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あん摩マッサージ指圧理論ノート00「あん摩マッサージ指圧理論ノート」

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あん摩マッサージ指圧理論ノート全文

第1章 あん摩マッサージ指圧の意義
①あん摩マッサージ指圧は、術者の手指で被術者の体表にもむ、撫でるなど機械的刺激を加えることで、生体反応を起こさせ、変調を整え、疾病の予防と健康の保持増進に役立てる施術である
☆機械的刺激:もむ、撫でる、ひっぱる、たたくなど
あ摩指は温度刺激を加えることでもある
☆マッサージの場合は疾病治療の色合いもあるあ、普通は未病のヒトを対照とすることが多い

②あん摩は中国から日本に伝えられた漢方医術の一つで、経絡経穴理論をもとに体系化された

③マッサージはフランス、ドイツ、オランダで体系化され、、明示中期に日本に輸入され、現代医学においても医療補助の施術として医療や保険に応用されている

④指圧は導引、古法あん摩、柔道の活法から日本で発展し、、さらに大正初期にアメリカの整体療法の理論と手技を取り入れ今日に至っている
☆導引:中国の太極拳のようなもの

⑤あん摩マッサージ指圧の手技を分析すると、その基本単位は「一点圧」の圧刺激である

⑥あん摩マッサージ指圧施術は患者の反応パターンを重視し、自然治癒力を助長する施術である

===============
第2章 あん摩
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■1)あん摩の意義と沿革
(1)あん摩の意義
①あん摩は疾病の治療、予防、保健の目的で徒手により一定の方式に従って衣服の上から遠心性に施術する技術である
☆徒手:施術を行う手のこと
②あん摩を揉み療治といったり、腹部に行うものを按腹といったり。乳房へ行うものを乳揉みといったりする
③按摩の語源は「抑按調摩」で、その意味は押すことにより機能を抑制し、撫でることにより機能を整えるということである
④按摩の按の字義は押えることで、東洋医学の瀉術で
摩の字義は撫でることで補朮にあたる

(2)按摩の沿革
①按摩の基礎は痛みなどがあると手で撫でたり押したりする本能的なものであった(手当ての原点)
②あん摩が最も古くから行われていたのはインドで体操術として行われ、ついで中国で導引按として発展した
これは黄帝内経(素問と霊枢を合わせたもの)にも記載されている
③わが国では大宝元年(701年)、大宝令で宮内省に按摩博士、按摩師、按摩生を置いていたが、この制度はのちになくなった
④平安時代、永観2年(984年)に丹波康頼が記した「医心方」に導引や養生法として按摩術が紹介されている
⑤あん摩に関係する書物
○「導引体要」 :林正旦
○「古今導引集」 :大久保道古
○「導引口訣集」 :宮脇仲策
「古今養生導引篇」:竹中通庵
○「1本堂行余医言」:香川修庵
○「産論」 :賀川玄悦
「産論翼」 :賀川玄てき(米辺、義の上にれんが)
◎「按摩手引 :藤林良伯
◎「按腹図解」 :太田晋斎

(3)導引
①導引は筋、骨を動かし、節々を動かすことである
②導引は導引按となり、中国では道教の教義に通じ、体操法として発達した

■2)あん摩の基本手技
軽擦法、揉捏法、圧迫法、振戦法、叩打法、曲手、運動法
☆曲手はあん摩特有の手技
あん摩では運動法が基本手技に含まれるが、マッサージでは含まれない
(1)軽擦法(按撫法)
術者の手を施術部に密着させ、適度な力と速度で遠心性に撫でさする手技
軽擦法は各部位の施術ごとに初めと終わりに2、3回ずつ行う
①手掌軽擦法
背部、腹部などの比較的広い範囲に用いるが、場所によっては母指球、小指球、手根などを用いる
②母指軽擦法
母指腹で、手指や中手骨間など、比較的狭い部に用いる
③二指軽擦法
母指と示指、または母指と中指で、主に手指や趾に行う
④四指軽擦法
母指を除く四指で、頚部、頭部などに用いる
⑤指軽擦法
手拳の背面(基節の背面)を用い、手掌や足底など皮膚や筋膜の厚い部に用いる
⑥指頭軽擦(指尖軽擦)
頭部などをひっかくように行う手技

(2)揉捏法(揉捻法)
術者の手を施術部に密着させ衣服の上から筋を加圧または把握し、縦横または輪状にもむ手技
揉捏法は筋の走行にそって行うあん摩の大半を占める手技
①母指揉捏法
母指腹で肩上部や脊柱両側など、全身に用いる
狭い部では母指頭揉捏とする
②二指揉捏法
母指と示指または母指と示指および中指で筋をつまんでもむ手技
胸鎖乳突筋やアキレス腱などに用いる
③四指揉捏法
四指腹または四指頭で頭部、頚部、肩甲間部などに用いる
④手掌揉捏法
これには手根揉捏法、母指球揉捏法、小指球揉捏法などがある
⑤把握揉捏法
母指と四指を向かい合わせ、手掌や指原に平均的に力を加えて把握し、できるだけ大きく深く筋をつまみ、輪状に揉捏する手技で、上肢や下肢、肩上部などに用いる
⑥錐揉状揉捏(きりもみ状)
両手掌で上肢をはさみ、錐をもむように揉捏する手技
⑦艪盪揉捏(ろとう揉捏法)
母指と示指、または手根部と四指間で施術部をはさみ、船のろをこぐように行う手技で、主に腹部に行う
⑧肘頭揉捏法
肩上部、肩背部、腰部などに用いる手技

(3)圧迫法
適度な力を加えて施術部を押す手技で、指圧の通常圧法とほぼ同様である
部位や状況に応じ、持続時間などを変える
圧迫法は漸増漸減圧、垂直圧としなければならない
①母指圧迫法
脊柱両側や上項線などを母指頭や母指腹で圧迫する手技
②四指圧迫法
腹部などを四指頭や四指頭で圧迫
③手掌圧迫法
背腰部や腹部などを、手根などで圧迫
④肘頭圧迫法
腰部、肩上部などを圧迫

(4)振戦法
施術部に手を当てて震わせその振動を伝える手技
①手掌振戦
主に腹部に使用
②指頭振戦法
頚部、腹部などに母指頭、または四指頭で行う
③把握振戦
筋をつかみあげて行う
④拳摩振戦
左手拳の小指側を施術部に密着させ、右手拳でその指背同士を速やかに摩擦する手技
主に頭部に使用
⑤肘頭振戦法

(5)叩打法
・叩打法とは
手の種々な部で、施術部を速やかにリズミカルに叩く手技
(叩打法は1部位の施術の終わりに行う)
①拳打法
手を軽く握り、その小指側で叩く手技で、肩背部に用いる
②切打法
全手指をゆるやかに伸ばして軽く開き、その小指側で敏速で弾力性のある叩打を行う
全身、あらゆる部に用いる
③合掌打法
全手指を伸ばし軽く開いた両手を合わせ、弾力性のある叩打を行う
肩背部や腰部に用いる
④空気打法(宿気打法)
肩背部や腰部などに行う 両手掌を中に空気を含むように合わせ、右または左の手背で巧打する
頭部に行う空気打は特に袋打ちの術といい、曲手に含まれる
⑤指頭叩打法
両手の指頭で、頭部や腹部を巧打する手技

(6)曲手
叩打法および振戦法、それに揉捏法や軽擦法を合わせた複合主義
普通、叩打法の跡に行う、あん摩独特の手技
①車手(三指の術)
まず、2~4指の指尖を施術部につけ、順次屈伸しながらその背面で車を転がすように施術する手技
肩背部や腰部に行う
②突手
四指頭を急激に施術部に突き当てると同時に手指を屈曲し、指関節末節、中節背面で背述部を叩く手技
屈曲した際、指腹で自己の手掌を叩く
③くじき手
母指くじきと四指くじきとがある
いずれも指頭を施術部に押し当て、その末節を屈伸し、その振動を伝える手技
④柳手(ばら手、あられ手)
四指の力を抜き、別々にその指腹で施術部を叩く主義
頭部に用いる
⑤横手(あおり手、鳴骨の術)
手部の小指側を施術部にあて、それを軸にあおるように動かしながら行う手技
軽擦法、揉捏法、振戦法などを兼ねた複合手技
⑥雷手
左手手拳を施術部に密着させ、その中に入れた右手示指を振動させる手技
頭部に用いる
⑦耳鐘の術
左右同時に耳孔に示指を入れ、それを母指や中指ではじき、その振動を伝える手技
示指を抜くときはすばやく左右同時に行う
⑧袋打ちの術
頭部に行う空気打
⑨雷振戦(雷おろし)
頭部に行う拳摩振戦のこと

(7)運動法
関節の構造に従い関節可動域いっぱいに静かに動かす手技
運動方向により、屈曲、伸展、内転、外転、内旋、外旋などがある
あん摩では主に各部位の施術の終わりに他動運動を行う
運動法とともに行う手技に牽引法がある

■3)古法あん摩の手技
(1)古法あん摩の基本手技
古法あん摩の基本手技は按腹図解によると、調摩の術、解釈の術、利関の術3種である
①調摩の術
重からず軽からず、早からず遅からず、肉筋に従い、何回も撫でさする手技で、現在の軽擦法に相当する
②解釈の術
凝結(硬結)・屈曲(曲がった状態で固まっている)・攣急(痙攣)するところを指頭ではじく手技で、
現在の揉捏法に相当する
③利関の術
関節を調利し整え和らげる手技で
現在の関節運動法にあたる

(2)六角三陰三陽経絡あん摩法
①墨規矩の一(すみかねのいち)
肩上部の左右同時手掌軽擦
②墨規矩の二(すみかねのに)
肩甲間部の左右同時手掌軽擦
③墨規矩の三(すみかねのさん)
脊柱両側縁の左右同時手掌軽擦
④肩井の術
墨規矩の一から三の部の母指揉捏
⑤督脈の術
脊柱直側の母指軽擦法と第3、5、7、9、11、14椎を特に重視した母指圧迫法
☆五臓を重視している
肺兪、心兪、膈兪、肝兪、脾兪、腎兪

■3)腹部あん摩法
(1)腹部七症の鑑別法
①食痞の腹(しょくひのはら)
左下肋部の凝結は宿食の兆で、
第7椎、第9椎にこりがあり、悪心、疼痛を伴う
☆胃もたれ
②癪聚の腹(しゃくじゅのはら)
中の部の水気があり、左側に動悸があって、攣急するのは毒気の癪聚
腰背部の緊張感を伴う
☆悪いものがとどまってしまっている状態
腹大動脈に動悸があり、腹部の緊張が高まっている
アルコールなどの毒を飲んだときの状態
③苦労の腹
上胃部広範の硬結で、心身過労、食気のうつ、不眠の症
☆疲れてストレスがあり、食べ物がつかえる、不眠
巨闕付近の硬結がある
④難治の腹
鳩尾穴中心の限局性の硬結で腹皮とともに動かないもの
☆癌など
⑤血塊の腹
下腹部に硬結や血海があるもので、
婦人では血塊、男子では疝気の症
☆下腹部の血塊がある=卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮癌
疝気=ぎっくり腰、下腹部に割り箸のような索状物が触れる(性交のしすぎとか)
⑥虚人の腹
大動脈の動悸があり、全体の力がなく、皮膚のざらつくもの
虚症である
☆元気がないなど
⑦脚気の腹
臍や下腹部のしびれで、他人の腹のように感じる
☆ビタミン不足による脚気

(2)按腹古法手技(十三手技)
①分排
術者は左側に座り、左手掌を臍にあて、右手掌で胸部を左右交互に軽擦する
②分肋
左右の手掌および指頭での肋間に対する軽擦で、特に鳩尾から左右に開いたときは章門を中指頭で圧迫する
③鉤腸
巨闕、上、中に右手の3指をあて、左手四指頭で右腹斜筋を右手の母指頭で左腹斜筋を持ち上げる手技
④降気
左手母指、示指頭で左右の天枢を圧迫しながら、右手母指、示指頭で腹直筋上を不容から天枢まで軽擦する手技
⑤艪盪
腹部全体の艪盪揉捏
⑥鎮悸
左母指で水分穴を圧迫し、右手手掌を胸骨部に伏せ、右母指で上から水分までを軽擦する
⑦調胃
左右の手掌で交互に胃部を圧迫
⑧達神
両四指での第6から第14椎までの脊柱両側の四指揉捏および四指くじき
さらに腰仙部、殿部の四指揉捏および四指くじき
⑨参差(しんし)
両四指を右側腹部に、両母指を左側腹部にあてた状態で、上腹部と下腹部を絞るように揉捏する
⑩升降
鎖骨下部より幽門穴までを往復する軽擦法
⑪利水
左右の母指で上腹部の胃経および腎経の諸穴の圧迫と玉堂と中の間の四指交互軽擦
⑫収斂(しゅうれん)
脊柱両側より左右同時に任脈に至るまでのかきあげるような四指軽擦
⑬安神
左手掌を臍上に置き、右手掌で天突より中にいたるまでの軽擦法
治療の終わりを告げ、臓腑の位置を整える

(3)小児按腹手技
①始の手
手掌で呼吸に合わせた上胃部の圧迫法
②中の手
章門穴に両手の四指頭をおき、大きく把握しながら圧迫を行う
③終の手
腹部全体に輪状または線状に手掌軽擦

■4)あん摩の効果
・あん摩の効果
新陳代謝を高める
循環機能改善
神経刺激(爽快感、機能を高める)
筋の疲労回復
内臓の働きを活発にする
①皮膚が発赤するのは充血が起こった結果
☆充血:局所に流れ込む動脈血液量が増えた状態
②軽度のあん摩が睡眠を引き起こしたり、
圧迫などは神経痛の痛みを軽減させたり
③疲労し硬直した筋の緊張をとり、疲労回復をする
新陳代謝がさかんになり、疲労物質が除去されることによる
④内臓機能の活発化
肩背部のあん摩→食欲増進
腰腹部のあん摩→便通促進、利尿促進

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第3章 マッサージ
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1.マッサージの意義と遠隔
■1)マッサージの意義
①マッサージは疾病の治療、予防、保健の目的で、徒手で一定の手技を方式に従い、皮膚に直接求心性に施術する技術である
応用分野により
②医療マッサージ
保健マッサージ
スポーツマッサージ
産業マッサージ
美顔マッサージ
美容マッサージ
③マッサージという言葉は近世になってフランスで使われるようになった
語源はギリシア語のマッシー(もむ)、あるいはアラビア語のマス(和らげる)という言葉である

■2)マッサージの沿革
①マッサージもあん摩と同様、痛いところをなでる、さするということから発展したとされる
②BC5世紀、ヒポクラテスはマッサージの効果を提唱し、
「およそ医師たるものは、一般医術に関する学理はもちろん、マッサージをも習得されなければならない」
と述べた
③紀元前にマッサージを研究した人には、ギリシアのアスクレピアデス、ローマのガレヌスなどがいた
④16世紀末、アムブロアスパレーは、頭部の充血に対する頚部への誘導マッサージや、長期臥床患者の運動不足解消などのマッサージの研究を行った
⑤18世紀スウェーデンのリングはストックホルムに中央体操院を設立し、スウェーデン式マッサージを築いた
☆体操院:体育大学みたいなもの
⑥マッサージの研究を深めた人物一覧
・オランダ
メッツゲル(*)、その門人のベルグマン
・ドイツ
モーゼンガイル(*)、ザブルドスキー、ホッファー(*)、キルヒベルグ
・フランス
ノムストレーム、デュジャルダン(*)、ホーメッツ、
・オーストリア
ブム、ライブマイル、
・スウェーデン
リング(*)
・イタリア
マギオラ、コロンボ
・アンリか
ケルロック(*)など
⑦わが国への導入は明治18年(1885年)、陸軍軍医総監で赤十字病院長の橋本乗晃がヨーロッパから書物を持ち帰り、部下の長瀬時衡に紹介し、彼が研究を進め広めた

2.マッサージの基本手技とその生理的作用
・マッサージの基本手技6種
軽擦法(按撫法)
揉捏法
強擦法(按捏法)
圧迫法
振戦法
叩打法
☆求心性の心は心臓
☆滑剤を使用する
乾性マッサージ:天花粉など
湿性マッサージ:オイル
■1)軽擦法(按撫法)
6手技の中で最も多く用いられる手技
術者の手を皮膚に密着させ、静脈、リンパの流れに沿って、求心性に撫でさする
(1)手技
①手掌軽擦法
片手または両手の手掌で軽擦する手技
これに母指球軽擦法、小指球軽擦法が含まれる
腹部、背部、上腕、前腕、大腿、下腿など比較的広い施術部に応用する
②母指軽擦
片手または両手の母指頭または母指腹で軽擦する手技
手指や足指、手背や足背の骨幹など比較的狭い部に応用
③二指軽擦法
母指と示指で施術部をはさんで軽擦するもの
手指や足指などに応用
この変法として、環状軽擦法があり、手関節や足関節に用いる
④四指軽擦法
両手または片手の四指腹で軽擦するもの
頭部や顔面に用いる
⑤指軽擦法
四指の基節、中節の手背で軽擦する方法
皮膚の厚い部や筋膜の硬い施術部に応用
(毛がはえている部分、硬い部部に用い、顔面や胸腹部などの柔らかい部には用いない)

(2)軽擦法の生理的作用
①軽擦法は直接の圧力や各種反射によって、血液リンパの循環を促進する
モーゼンガイルやライブマイルの実験により上肢や腹部の血行促進や浮腫の吸収が促進されることがわかった
最近では脈波を指標にした実験も行われている
②皮膚に対し強い軽擦法をおこなうと
・皮膚面の分泌物や老廃物を除去し、皮膚の感受性を調整する
・皮脂腺や汗腺の機能を増進させ体温を調整し皮膚呼吸を盛んにする
・皮下静脈やリンパ流を促進し、老廃物の吸収を助け、反射的に皮膚血管を拡張させ充血を起こすこれにより、皮膚温を上昇させ、皮膚の栄養を高め、抵抗力を増す
③知覚神経に対し、弱い軽擦法はその機能を盛んにし、強い軽擦法はこれを減退させ適度の軽擦法は爽快感を与える
④筋に対し強い軽擦法を行えば、筋肉内の血液、リンパの流れを促進し、新陳代謝を盛んにし、栄養を高め疲労物質を吸収させ、筋疲労を回復・予防する
⑤腹部に弱い軽擦法を行うと反射的な作用で、強い軽擦法を行うと直接的な作用で、腹腔内臓器の機能を高め消化吸収、便通を促す

■2)揉捏法
筋肉を対照にもむ手技である
(1)手技
①母指揉捏法
両手または片手の母指で輪状または線状にもむ手技
頭部や顔面、手背や足背の骨間などに応用
両母指揉捏法とは、両母指の間に筋をはさみもむもので、脊柱両側筋群、前腕後面、下腿前面などに応用
②二指揉捏法
母指と示指で筋をはさみ、もむ手技
頚部、肩上部、上肢、下肢などに応用
③四指揉捏法
四指腹でもむ手技で、
頭部顔面部、背部、胸部、腹部などに応用
④手掌把握揉捏法
手掌で筋をつかみ、力を加え絞りこねるようにもむ手技
背部、胸腹部、上肢、下肢などに応用
⑤鋸切状揉捏法
両手を並べて筋をつかみ、筋線維の方向に直角に(筋を横切るように)、両手をかわるがわる反対方向に動かす主義
肩上部、腹部、上肢、下肢などに応用
⑥縦行揉捏法
両手で縦方向に揉捏する
⑦錐揉状揉捏法
両手手掌間に上肢をはさみ、錐を揉むように揉捏する手技
⑧艪盪揉捏法
あん摩参照

(2)揉捏法の生理的作用
①筋に揉捏法を行うと筋肉内の決行を促し、老廃物を除去し栄養を高め、新陳代謝を盛んにする
②筋疲労の回復や予防に役立つ
③腹部に揉捏法を行うと
胃腸の機能を盛んにし、消化、吸収、便通を促す

■3)強擦法(按捏法)
軽擦法と揉捏法の複合手技で主に関節部に用いる
その種類には、うずまき状(渦紋状)強擦法と、らせん状(屋瓦状)強擦法がある
(1)手技
①うずまき状強擦法(渦紋状強擦法)
母指または示指または中指を、施術部の皮膚に直角にあて、輪状または楕円状に、初めは軽く周囲から、徐々に強く中心部に皮膚とともに動かす手技
☆最後に軽擦を入れることも
②らせん状強擦法(屋瓦状強擦法)
母指または示指または中指で、輪状に強擦しながら、屋根瓦が重なるように、屋瓦状(らせん状)に進行する手技
★腱に用いることが多い
(2)強擦法の生理的作用
①外傷や炎症などによる軟部組織の癒着を剥離する
②炎症性産物や病的滲出物を、破砕し吸収させる
③矯正法とともに行い、間接拘縮を改善する
★間接拘縮:間接の軟部組織の問題による間接の運動障害
間接強直:骨の問題による間接運動障害
★矯正法:関節可動域を拡大させるための運動法

■4)圧迫法
圧迫法は手の種々な部を用い圧迫するもので、間歇的圧迫法と持続圧迫法がある
(1)手技
①間歇圧迫法
母指と四指または両手の手掌でいったん圧迫し、その後力をゆるめ、さらに次の部を圧迫する方法
上肢や下肢に応用
関節部に対しては、片手で間接の遠位部を圧迫し、他方で関節部に間歇圧迫を与える
②持続圧迫法
片手、両手の母指、四指、指のいずれかで、神経が骨から皮下に現れるところや、皮下を走行する神経、筋肉などを圧迫する
★神経が骨から皮下に現れるところ(翳風、オトガイ孔など)
皮下を走行する神経、筋肉など(陽陵泉など)
・ワレー圧痛点

(2)圧迫法の生理的作用
①上肢や下肢に対する間歇圧迫法は無痛性で行い、静脈・リンパの流れを促進する
☆ポンプ作用のようなもの
②腹部に対する間歇圧迫法は胃腸の機能を盛んにする
③神経、筋に対する持続圧迫法は、興奮性を抑制し、神経痛の痛みや、痙攣に効果的である
☆持続圧迫法=沈静作用

■5)叩打法
叩打法は手の種々な部で施術部をリズミカルに叩く手技で、手関節を柔軟にし、
1秒間に2~5回程度の速さで行う
(1)手技
①手拳叩打法
握りこぶしを少し傾け、その小指側で叩く主義
頭部、顔面部、胸部、腹部以外の全身に応用
☆強く行う場合は肘間接を使って、軽い時には手関節だけで行う
②切打法(細切叩打法)
指を伸ばし、指を開きその小指側で軽くたたく手技
顔面以外の全身に応用
③拍打法
指を伸ばし、少しくぼませた手掌面で叩く手技
腹部、胸部、背部などの広い部分に応用
④指頭叩打法
四指頭で叩く手技
これに中指末節で行う打診状叩打法(啄打法)を含める
頭部、顔面、胸部、腹部などに応用
⑤指背叩打法
軽く伸ばし、開いた指背または半ば握った指節の背面で施術する
顔面や背部以外の全身に応用
⑥環状叩打法
母指と示指とを開き、両手同時に施術部を挟むように叩く手技
上肢や下腿に応用

(2)叩打法の生理作用
①通常のゆるやかで短時間の叩打法は、神経、筋の機能を亢進させる(興奮作用)
②皮膚や筋の血管を拡張させ、血行を促進し、栄養を高める
③直接的または反射的作用により、神経や内臓の機能を調節する
☆近くや運動の麻痺に効果的
☆運動前の準備として効果的

■6)振戦法
術者の手や手指を患者の施術部に軽く押し当て振動させ、それを諸組織に伝える手技
(1)手技
①手掌振戦法
これには母指球振戦法、小指球振戦法が含まれる
頭部、胸部、腹部などの施術に応用
変法として母指と四指との間に後頚部や後頭部をはさんで行うものもある
②指頭振戦法
母指から薬指の種々の指先で行う手技
頭部、顔面、腹部、背部などに応用
③牽引性振戦法
術者の両手で患者の上肢または下肢をひっぱりながら振動させる手技
(2)振戦法の生理的作用
①振戦法は叩打法と同様、断続的でリズミカルな刺激を加える手技であるが、叩打法より加える厚保は弱い
②振戦法は神経や筋の興奮性を高める
③腹部に対する振戦法は食物の消化吸収を高め、便通を促す

3.運動法とその生理的作用
■1)徒手筋力検査法(MMT=Manual Massle Test)
患者の筋力を術者の徒手により評価する方法で、6段階がある
①筋力Ⅴ
=正常、N(Normal)、100%
強い抵抗に打ち勝って間接可動域いっぱいに動かすことができる
②筋力Ⅳ
=優、G(Good)、75%
弱い抵抗に打ち勝って間接可動域いっぱいに動かすことができる
③筋力Ⅲ
=良、F(Fare)、50%
抵抗を加えなければ重力に打ち勝って間接可動域いっぱいに動かすことができる
④筋力Ⅱ
=可、P(Poor)、25%
重力を取り除けば、間接可動域いっぱいに動かすことができる
⑤筋力Ⅰ
=不可、T(Trace)、10%
筋収縮により間接を動かすことはできないが、筋の収縮を触知できる
④筋力0
=零、Z(Zero)、0%
筋収縮を触れることができない

■2)運動法
運動法には自動運動法(自動介助運動法を含む)
他動運動法、抵抗運動法、矯正法がある
①自動運動法
術者は被術者に運動の方法や回数を定め、被術者自身が行う運動法である
筋力Ⅲに適する
自動運動法の中で筋力Ⅱのように重力について介助しながら行わせるものを自動介助運動法という
自動運動法は関節内の血行を促進し関連する筋の機能を高める
②他動運動法
術者が被術者の間接を目的の方向にゆっくりと円滑にROMいっぱいに動かす方法
筋力0と筋力Ⅰに適する
関節周囲の腱や靭帯、関節包などの軟部組織を伸展し、血液リンパの流れを促進
新陳代謝を盛んにし、栄養を高め拘縮や癒着を予防する
★ROM
関節可動域、Range Of Mortion
③抵抗運動法(反抗運動法)
被術者が行う関節運動に対し、術者が徒手により抵抗を加える方法である
筋力Ⅳに適する
これに被術者が上肢下肢を曲げる方向に動かすのに抵抗を加える、求心性抵抗運動法と
伸ばすことに抵抗を加える遠心性抵抗運動法とがある
抵抗運動法は筋力増強作用がある
④矯正法
間接拘縮などで間接可動域制限がある場合、他動的にその間接の可動範囲を広げ、軟部組織の癒着を除去し徐々に伸張し正常な関節可動範囲に戻そうとするものをいう
矯正法には徒手矯正法と機械矯正法とがある

4.結合織マッサージ
■1)結合織マッサージの意義と沿革
①結合織マッサージはドイツのエリザベート・ディッケにより20世紀前半に創始された
②結合織マッサージは、砒化結合組織に牽引刺激を与える目的で、皮膚をずらすようにして行う
■2)結合織マッサージの基本手技
(1)手技
結合織マッサージの手技には、擦過軽擦とカギ形軽擦とがある
①擦過軽擦
中指と薬指をそろえ、PIPとDIPをともに軽度屈曲し、皮膚にしわを作りながら術者の手関節の方向にこすっていく手技
②カギ形軽擦
擦過軽擦の終わりに術者の母指側に引っ張って、皮膚のしわを引っ掛けるようにする手技
(2)結合織マッサージの実際
①診断法
結合織の異常を調べる方法に結合織の緊張を調べるものと、皮膚血管の反射を見るものとがある
②術式
施術にあたっては、体幹の後面、特に腰椎下部から仙骨部(L2~S2)、頚椎下部(C8)を重視して行う

5.その他のマッサージ
■1)骨膜マッサージ
(1)骨膜マッサージの概要
①骨膜マッサージはベルリンのフォグラー教授より創始されたもので、骨膜に対しリズミカルな点状圧迫を加える
②骨膜マッサージは骨膜の栄養起点および増殖過程を賦活し、局所の骨膜、骨、間接などに直接影響するとともに、周囲数センチにまで作用する
また、自律神経反射機構を介して内臓にも影響する
③適応疾患として
疼痛性疾患
各種関節の疾患(五十肩など)
自律神経疾患(耳鳴、めまいなど)
末梢循環障害など
(2)施術部位および施術方法
①施術部位
限局した骨部に直接趣旨を当てることが可能な部であれば適応する
すなわち、筋などによって深く覆われていない部
②施術方法
まず過敏点を見つけ、徐々に垂直圧を加えながら、ほとんどわからない程度の円運動を行う

■2)リンパマッサージ
(1)リンパマッサージの概要
①リンパマッサージは老廃物をリンパ系に吸収させる目的で行う方法である
②手技には
擦法(さする方法)と揉捏(もむ方法)とがあり、硬結部に揉捏し、後にリンパに沿って擦法を行う
③リンパの方向(求心性)に擦法を行うときは力を入れ、戻すときは力を抜く
その時、指や手掌を離さない

6.マッサージの応用分野
マッサージ導入当初(明治)には、傷痍軍人の治療に用いられていた
(1)医療マッサージ
医療分野で応用されるマッサージ
①治療マッサージ
疾病の治療を目的とする
・内科
胃アトニー、胃下垂、胃酸過多、慢性の便秘・下痢、鬱血肝、腸神経症などの内臓疾患に応用
神経痛、知覚異常、筋の麻痺、痙攣などに応用
・整形外科
前処置(口蓋裂、内反足、股関節脱臼などの手術前に行う)
後療法(不動作性萎縮の後など)
・産婦人科
乳汁分泌障害に対する乳房マッサージ
胎児の位置異常の修正
・神経科
自律神経の調整(ヒステリー、不眠症など)
②看護マッサージ
褥瘡の予防など
関節拘縮の予防
(2)保健衛生マッサージ
①保健マッサージ
健康の維持増進を目的とする
②美容マッサージ
美容、美顔、健康増進を目的とする
不眠、便秘の予防
良肢位の保持
美顔マッサージは顔面に特化した美容マッサージ
オイルマッサージが主
③スポーツマッサージ
スポーツ選手のスポーツ障害の防止と記録向上を目的とする
基礎医学のみならず体育生理学なども学ぶ必要あり
コンディションの調整、身体のアンバランスな発達の予防
錐揉状揉捏、振動法などを中心にリズミカルに行う
競技前マッサージ、競技中マッサージ、競技後マッサージ、中間日マッサージの4つに分類できる
・競技前マッサージ
興奮を鎮めるなど
・競技中マッサージ
競技の合間のわずかな時間に行う
局所を短く
・競技後マッサージ
疲労回復
・中間日マッサージ
シーズンオフや練習のない日に行う
太りすぎの予防など
・世界で最も古いのは、フランス式スポーツマッサージ
昭和6年にはすでに日本でスポーツマッサージが行われていた
譫語は野球選手を中心に盛んになった
芹澤勝助が不及に寄与した
スウェーデン式(叩打法中心)、フィンランド式(揉捏を中心)、ドイツ式(振動、振戦を多用)などがある
④産業マッサージ
労働能力の向上と健康の増進

6.マッサージに応用できる体操法
■1)ウィリアムズ体操
腰痛の治療に応用する
①両膝を曲げゆっくりと状態を起こし、腹筋を強化する
②両手を腹の上で組み、殿筋に力を入れ、骨盤を持ち上げる
③膝を腋窩に近づけるようにし、背部・腰部・仙骨部の筋や靭帯を他動的に伸展する
④③と同じ動作を膝関節伸展位で行い、下肢後側筋群を伸ばす。ただし、神経根症状のある場合は禁忌
☆神経根症状:椎間板ヘルニアなど神経根が圧迫されている症状
⑤立位で片側の膝を曲げ、もう一方の膝を伸ばしたまま、体重を前下方に移し、大腿後面の筋群を伸展する
⑥両下肢を左右に少し離して立ち、床からかかとを離さないようにして立ったりしゃがんだりする
☆殿筋と腹筋を鍛え、大腿後面と背部を引き伸ばす

■2)コッドマン体操
50肩(肩関節周囲炎)の治療体操で、アイロン体操とも言われる
①1~2キログラムの錘を患側上肢で持ち、上体を90度前かがみにし、腕が自由に動く姿勢をとらせる
②腕を前後に振る
③腕を左右に振る
④円を描くように運動させ、徐々にその円を大きくする

■3)棒体操
50肩のための体操法で、球間棒を用いる
①患側の手で球間棒の中央を握り、外側へ90度挙上した状態で、内外旋を行う
②棒の両端を両手掌で握り、健側で患側の手を側方へ突き上げる
③身体の正面で手掌を身体の方へ向け、棒の中ほどを両手で握り、両腕を伸ばしたまま前方挙上する
④棒の中ほどを頭の上で手掌を後方に向け、両手で握らせ、肘を曲げて肩の高さまで後ろへ下ろさせる
⑤腰の後ろで手掌を前方へ向け、棒の中ほどを握り、両手を伸ばしたまま後方挙上する
⑥腰の後ろで手掌を後方に向け、棒の中ほどを握らせ、棒を身体にこするように肘を曲げ、背中の方に上げる

7.マッサージに応用される物理療法
物理療法とは、電気・熱・音波などのエネルギーを使って治療する方法
(1)電気療法
①電気が生体に及ぼす作用
筋収縮、痛みの減少、筋の再教育(麻痺筋の運動)、血行増進など
②電気療法の種類
・感電電気療法(昔の手法)
・平流電気療法
直流の電流を流す
・低周波電気療法(断続平流電気療法)
0.5~1000ヘルツの電流
10ヘルツ以下なら単収縮が起こるが、20ヘルツを超えると不完全強縮になり、100~200ヘルツ程度は完全強縮、それ以上になると収縮を認めなくなる
☆ヘルツとは、一秒間に何回電気のオン、オフがあるか
③陽極通電と陰極通電
・陽極通電
刺激導子に陽極、不関導子に陰極を用いるもの
刺激導子よりも不感導子の方が面積を広くする
・陰極通電
刺激導子に陰極、不関導子に陽極を用いるもの
・興奮作用を目的とするとき
神経、筋の麻痺や知覚鈍麻などがあるとき、その機能を亢進させるため、比較的低い周波数で陽極通電を行う(10ヘルツ以下程度)
・沈静作用を目的とする
神経痛や痙攣など、その機能を抑制したいときには、比較的高い周波数で陰極通電を行う(100~1000ヘルツ程度)

(2)光線療法
紫外線療法、赤外線療法などがある
①紫外線療法
皮膚病やくる病などの治療に応用するもの
☆現在はあまり使用されない
☆皮膚病:水虫、白癜(メラニン色素が突然抜ける)
②赤外線療法
温熱作用がある
皮膚表面に対する作用が強い
遠赤外線は、近赤外線より、皮下深達度が高い

(3)温熱療法
ア.温熱の生体に対する作用
皮膚毛細血管の拡張
新陳代謝の促進
知覚神経の調整
筋緊張の緩和
イ.熱移動の種類
・伝導熱
湿布
ホットパック
パラフィン浴
浴療法
・対流熱
熱風療法
・輻射熱
赤外線療法
極超短波療法

(3)温熱療法の実際
①罨法
・冷罨法
10~20度の冷水にひたした、湿布を頻繁に交換し、局所を冷やす方法
皮膚血管を収縮させ、新陳代謝を抑制し、沈静・鎮痛・抗炎作用がある

・温罨法
お湯にひたした湿布を局所にあて、頻繁に交換する
局所の循環促進、新陳代謝亢進が起こり、鎮痛作用がある
・プリースニッツ罨法
冷湿布をあて、その上を毛布などで覆っておく(湿布は交換しない)
血液、リンパの循環を促進し、鎮痛、鎮痙、鎮咳、去痰作用がある
胸部に対するプリースニッツ罨法は、咽頭炎、肺炎、気管支炎、気管支喘息などに効果がある

②ホットパック
木綿の袋に珪酸塩を入れたものを70~80度の温水で暖め、水分と熱を吸収させる。それをバスタオルなどでくるみ、患部に当てるもの
ホットパックを暖める装置を、ハイドロコレーター

③パラフィン浴
50度で解けるパラフィンを55度程度に暖め、そこへ手部・足部を何度もつける
パラフィンの膜ができると、その上を布で覆っておく

④赤外線療法
⑤転換熱を利用したもの
いずれも深部加熱を目的とするもので、極超短波療法(マイクロウェーブ)、超短波療法、超音波療法などがある
・極超短波療法
波長12.5センチ、周波数2450mHzの電磁波を照射するものである
強さは、80~120ワット
注意としては、内部に金属プレートなどを挿入している場合、顔面、睾丸などには照射してはならない
・超短波療法
波長6メートル、周波数50mHzの電磁波を照射するもの
注意事項は極超短波と同じ
マイクロよりもより深部を暖めることができる
・超音波療法
金属プレート挿入者にも利用できる

⑥牽引療法
直接牽引と介達牽引とがある
直接牽引は骨折の整復などで直接骨に硬線を差し入れ牽引するもの
介達牽引は皮膚上から引っ張るものである
持続牽引と間欠牽引に分けることもできる
持続牽引は重りと滑車を使用して行うもので、間欠牽引は牽引機を利用して行うものである
・牽引の強さ
頚椎の牽引は体重の6分の1
腰椎の牽引は体重の2分の1を上限とする

⑦水治療法
水圧と浮力を利用し、水の中で行う運動法
これに用いる特殊な浴槽をハバードタンクという
☆手足を自由に動かせるひょうたん型の浴槽

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第5章 指 圧
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1.指圧の意義と沿革
■1)指圧の意義
①指圧は徒手により体表の一定部位を押圧し、その圧刺激により、生体の変調を矯正し、健康の保持増進をはかるとともに、特定の疾病の治療に役立てる施術方である
②押圧の目的は矯正と反射である
③矯正とは身体の形態を正常にすることを目的とし、
反射とは身体の機能を調整することを目的とする
指圧は反射と矯正の二つの機転を応用して全身の機能を調整するものである

■2)指圧の沿革
指圧は按摩法や導引、柔道の活法などの手技が日本で発達し、
さらに大正時代にアメリカの手技療法であるカイロプラクティック(創始者:ダニエル・デイビッド・パルマー)、オステオパシー(創始者:アンドリュー・テーラー・スチール)
スポンディロテラピー(創始者:アルベート・エブラム)の技術が取り入れられた、日本独特の手技療法

2.指圧の基本手技
・押圧操作と運動操作とがある
■1)押圧操作の異議
①押圧操作を分析すると、触れる、押す、放すの3つの要素があり、適量刺激はこれらにより決定される
一般に漸増漸減圧を心がける
②押圧操作の3原則
・垂直(圧)の原則
施術部の体表に垂直圧を加えること
・持続(圧)の原則
ある程度押圧下圧力を一定時間持続すること
・集中の原則
心理上の原則で、背術中は精神と力を集中すること
③押圧操作の強さによる分類
・軽圧法
気持ちが良い程度
・快圧法
多少痛む程度(快痛)
・強圧法
できるだけ我慢させる
・これらの強さは、被術者の感受性により決定する
④押圧の時間と間隔は部位により異なるが、およそ1点を3~10秒間
間隔は1~2センチ
1局所を数回押圧する

■2)押圧の加え方による圧法の種類(重要)
①通常圧法
最もよく用いるもので、漸増漸減圧で圧迫し、圧の持続時間は5~7秒とする
②衝圧法
ある程度まで圧を漸増し圧の強さを定め、ついで急激に押してすぐに離す方法
通常圧法より反射作用を引き起こす効果が強い
③緩圧法
一定の圧に達するまでの時間を、通常圧法の2~3倍かけ、圧を持続し同じようにゆっくり圧を抜く方法
これに2段押、3段押が含まれる
④持続圧法
圧を1分間程度持続する方法
比較的弱い力で強刺激とすることができる
⑤吸圧法
手掌や四指で皮膚を吸い上げるようにして圧を加える方法で、
主に皮膚反射を期待する

■3)押圧に使用する部位による圧法種類
①母指圧法
②四指圧法
これに挟圧法を含める
③手掌圧法
手根圧法を含める
④その他
手拳圧法、肘圧法、膝圧法、足圧法などがある

■4)あん摩の施術法を応用した手技
①撫擦法
軽擦法と同様
②揉圧法
揉捏法と同様であるが筋線維を引き伸ばすように行う
③振動圧法
振戦法と同様

■5)運動操作
①他動的にROMいっぱいに動かす方法
②柔軟性を高め、筋や結合組織の硬化を防ぐ
③カイロプラクティックの脊椎矯正操作などの一部は、運動操作と関連深い

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第6章 その他の関連する治療法
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1.カイロプラクティック
①カイロプラクティックはアメリカのダニエル・デイビッド・パルマーにより創始された
②カイロは「手」、「プラクティック」は技術という意味で、手をもちいて椎骨を調整することである
③カイロプラクティックでは、疾病の原因は脊椎に異常が起こり、神経芽圧迫されることと考えた
④異常を起こしている椎骨に手を用いて衝撃を加え、矯正し疾病を治療する
⑤横突起矯正をラトレッジ法」、棘突起矯正を「ナショナル法」、頚椎の矯正法を「スラスト法」という

2.オステオパシー
①オステオパシーはアンドリュー・テーラー・スチールによって創始された
②オステは「骨、パシーは「病理」という意味で骨格の異常が疾病を引起し、それを徒手により矯正するという意味

3.スポンディロテラピー
①スポンディロテラピーはアルベート・エブラムによって創始された
②スポンディロは「脊椎」、テラピーは「操作」という意味である
③脊髄反射衝動を、強圧法と叩打法とで引起し、疾病の治療を行うものである

4.足の反射区(反射帯)療法
①足底を中心に足背、内果、外顆を含む足部には、全身の器官に対応した反射区(帯)があり、全身の器官の病変がそれぞれの反射区に圧痛、硬結などの反応として表れ、それを対照にマッサージ治療を行うものを、足の反射区(帯)療法または、リフレックソロジーという
②ドイツのマルカート、スイスのマサフレット、台湾の呉若石などが研究した
③反射区には色々な説があるが、 第1指が頭部、踵が骨盤内臓という配置は共通している
④反射区のうち、腎臓、尿管、膀胱、直腸、副腎などは特に重視されている
☆圧迫しながら擦過する(おしながらにじりずらす)

5.推拿
①推拿はあん摩と同義語で、中国において漢方、鍼灸とともに発展した
②術者の指、手、前腕、肘、膝、足部などで患者の経絡経穴を中心に施術するものである

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第7章 あんまマッサージ指圧の臨床応用
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あマ指施術において、施術者は衛生面に配慮し、適応症か禁忌症かを判定し、適切な刺激量を決定しなければならない

1.刺激量
①刺激量が少なすぎると、十分な効果が期待できず、「患者に不満や不快感を与える
②刺激量が多すぎると痛みや強い疲労感を引き起こす
③適切な刺激量は、手技の種類、力度、時間の長短、患者の感受性などにより決定される

2.感受性
①同じ刺激量を与えても患者により感じ方が異なるので、個々の患者の感受性を十分に考慮する必要がある
②感受性は疾病の種類、患者の年齢、性別、体質、栄養状態、職業、習慣、施術部位、施術経験、体調などにより変化する

3.適応症
あん摩マッサージ指圧を行うことにより、一定の効果が期待できるものを適応症という
①神経系疾患
神経痛、末梢性神経麻痺、末梢性痙攣、脳卒中の後遺症など
☆中枢神経麻痺と末梢神経麻痺の鑑別
・筋緊張
中枢:亢進(痙性麻痺)
末梢:弛緩
・腱反射
中枢:亢進
末梢:減弱
・病的反射
中枢:出現
末梢:出現しない
・筋萎縮
中枢:萎縮は軽度
末梢:萎縮は高度

②運動器疾患
腰痛症、五十肩、頚腕症候群、変形性膝関節症、関節リウマチ(活動期は禁忌、筋肉痛、腱鞘炎、軽度の筋炎)、関節拘縮、骨折・脱臼・捻挫の後遺症
③消化器疾患
常習性便秘、過敏性腸症候群
胃腸のアトニー、慢性胃炎、慢性腸炎など
☆アトニー:弱っている状態、胃弱など
④呼吸器疾患
軽症の気管支喘息、慢性気管支炎など
☆喘息では肩甲間部、中府、雲門などに筋緊張がでる
⑤循環器疾患
局所性の充血、うっ血、貧血、水腫など
☆充血:逆側の部位にマッサージして充血を起こす
うっ血:中枢側にマッサージ
⑥婦人科疾患
鬱滞性乳腺炎、更年期障害、月経困難症
⑦不定愁訴症候群
頭重、頭痛、めまい、耳鳴
肩こり、冷え性、のぼせ、不眠
全身倦怠など
⑧その他
眼性疲労、病後の体力回復など

4.禁忌症
あん摩マッサージ指圧施術を絶対に行ってはいけないものを絶対的禁忌症
禁忌症であるが症状や病態をよく知り、治療開始時期や刺激の程度、および施術部位など、慎重な配慮をしながら施術するものを相対的禁忌症という
■1)絶対的禁忌症
①発熱性疾患、感染症など
②悪性腫瘍(癌、肉腫)
☆転移を促進する化膿性があるので
③急性炎症
☆虫垂炎など
④外傷部位
☆打撲、骨折、脱臼部位など
⑤血管疾患
動脈瘤、静脈血栓症、動静脈炎など
⑥潰瘍性疾患
☆慢性のものの不定愁訴などに対しては施術しても良い
⑦化膿性疾患
⑧重症の内臓疾患
⑨安静を要するもの
⑩中毒性疾患
☆蛇毒、破傷風

■2)相対的禁忌症
①動脈硬化症
☆軽めに施術
②妊娠
☆安定期以前、臨月などには注意する
③創傷や発疹のある場合
☆傷口、発疹以外の部位で行う

5.リスク管理
■1)リスク管理の基本
リスクとは、施術に関わる種々の危険因子のことである
(1)施術室の構造、物品など
施術室の構造、設備は法律に定められている
…床面積、照明、換気、手指の消毒設備など
特に高齢者を想定し、点頭などが起こらないように兪化剤や採光などにはいりょする
(2)治療機器などの点検精微
施術に使用する機器などで事故などを起こすことがある
定期的な点検精微、使用前の点検などが必要
(3)精神的リスク
あマ指師は患者に接する時間が長いので、良好な関係を作ることが大切
共感的に受け止める態度、言葉遣い、身だしなみなどが重要
(4)適切な人の配置と動線
施術が安全で円滑に運営されるためには、適切な人の配置が必要
施術所内の物品の位置も重要。移動中の事故が起こらないように配慮する

■2)あん摩マッサージ指圧の過誤
患者の健康状態や感受性に配慮し、適切な方法で施術する
思わぬ事故や過誤が発生しないようにリスク管理が必要
医療事故とは医療行為が開始されてから、終了するまでの過程においてなんらかの身体的障害が起こった場合をいう
医療過誤とは、医療事故が医療担当者の加湿によって怒った場合をいう
(1)揉み返し
①原因
炎症を引き起こしやすい患者の体調
不適切な手技
☆皮膚をこするなど
同一部位への過度な刺激
②揉み返しとは
機械的刺激による炎症、小外傷
施術の翌日から数日間、ひきつり感や痛みを感じる
③予防
皮下組織の移動性の範囲で、筋肉をとらえ揉捏する
痛みを我慢させるような強い施術は行わない
患者の体調把握
(2)骨折
①骨折の原因
移動中の転倒
体位変換時のベッドからの転落
粗暴な施術による肋骨や肋骨突起の骨折
骨粗しょう症や高齢
②予防
患者のペースで行動できるよう配慮する
施術者の立つ位置に配慮し、転落防止につとめる
患者の状況を把握し施術の体位を工夫する

■3)あん摩マッサージ指圧における感染症対策
正しく対策すれば感染症になる確率は少ない
①感染症対策で留意すべき点
患者を感染症から守る
施術者自身を寒栓症から守る
…手指の消毒、手指の傷に注意する
施術所が感染の媒介とならないようにする
…用具の洗浄、清掃、使い捨てのものを使う、換気

②施術者の手指消毒
石鹸で留水を用い十分に洗い流し、グルコン酸クロルヘキシジン(ヒビスコールなど)、ポピドンヨード(イソジンなど)などで消毒する
血液感染する疾患では、血液に触れないことが体節。患者に傷がある場合は直接触れない。施術者は爪を短く切る。指サック、ゴム手袋の着用なども考慮する

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第8章 あん摩マッサージ指圧の基礎理論
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5.治療的作用と生体反応
あん摩マッサージ指圧の効果は、患者に対し適量刺激を与え適切な生体反応を引き起こすことにより期待できる
(1)刺激強度と神経筋の興奮性との関係
これにプリューゲル・アルントシュルツの刺激法則がある
弱い刺激は神経、筋の機能を喚起し、中等度の刺激では興奮させ、強い刺激は抑制させ、最強度の刺激は制止する
☆神経痛などでは強い刺激を加えて機能を抑制するなど

2.あん摩マッサージ指圧の治療的作用
■1)鎮静作用
①神経痛や痙攣のように異常に機能が亢進している際、その興奮性を抑制する作用
②鎮静作用を目的とするときは強刺激を与える。しかし異常興奮を示している神経や筋は感受性が高まっているので、それを考慮する必要がある
③鎮静作用は圧迫法、強めの叩打法や振戦法、揉捏法などを持続的に圧痛点や電気運動点などに加えるとよい

■2)興奮作用
①知覚鈍麻や神経筋の麻痺、弛緩性便秘のように異常に機能が低下している際、、その興奮性を高める作用
②興奮作用には比較的弱い刺激が適している
③手技として軽擦法や弱い揉捏法などを圧痛点や電気運動点に短時間行うと良い

■3)誘導作用
①誘導作用とは患部または遠隔部に施術を施し、患部の循環に影響し、血液・リンパ・病的滲出物を誘導、調整することである
②患部誘導作用
筋萎縮、麻痺、局所貧血、冷えなど患部の循環が低下している際、直接施術を施し、血液・リンパの循環を促進する作用
③健部誘導作用
患部に発赤、腫脹、疼痛、充血、出血、炎症などがあり、直接の施術が困難な場合、健部(身体の中心部など)に施術し、患部より血液リンパを誘導子患部の状態を改善する作用
例えば脳充血に対する頚部、膝関節腫脹に対する大腿部など

■4)鎮痛作用
①鎮痛作用とは、疼痛局所に施術し、患部の循環を促進し、発痛物質を除去したり、施術による刺激がAβ線維から脊髄後角に伝わり、痛みの伝達を抑制したりして鎮痛をはかるものである
例えば、神経痛、筋肉痛、緊張性頭痛など
すなわち鎮痛作用は、あん摩マッサージ指圧の刺激による直接的な物理作用、間接的な神経反射を介する作用や中枢からの痛みの抑制機構などによる

■5)反射作用
①反射作用とは患部から離れたところに施術し、反射機転を介して機能を改善することをいう
例えば尿管結石疝痛発作に対する腰部、新形成胃痛に対する背部などへの持続圧迫など

■6)防御作用
防御作用とはあん摩マッサージ指圧を施すことにより、ストレスを解消し免疫機能を高めることである

■7)矯正作用
矯正作用とは、徒手による機械的な刺激で身体の形態的、帰納的、異常を正常に戻すことをいう

■8)調整作用
あん摩マッサージ指圧により、生体全体としての協調性や統合性を高めることを言う

■9)転調作用
自律神経失徴症やアレルギーなどで、体質を改善し強壮する作用である





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