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臨床医学各論ノート03「神経系疾患」

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1.脳血管障害
・脳血管障害を一般に脳卒中という
(1)概念
脳の循環障害によって何らかの神経精神症状をていする病態
☆外傷によるものは含まない
(2)分類
(分類A)脳実質に変化あり
①脳梗塞
・脳血栓症
・脳塞栓症
②頭蓋内出血
・脳出血
・クモ膜下出血
③臨床的に脳出血や脳梗塞との鑑別が困難なもの
(分類B)脳実質に変化なし
①脳梗塞を伴わない一過性脳虚血
・反復性局所性脳虚血発作
・低血圧に伴う一過性脳虚血
②高血圧性脳症
③原因不明の発作

(3)疫学
①日本人の死因
・1951年以前
第1位:結核
・1951~1981年
第1位:脳卒中
・1982年以降
第1位:悪性腫瘍
☆降圧剤の開発によって、脳卒中の大半を占めていた脳出血が減少したことで脳卒中全体の数が減った。逆に脳梗塞は増えている

(4)危険因子
・高血圧
粥状硬化を起こし、脳梗塞や脳出血の原因となる
・糖尿病、高脂血症
脳梗塞を起こしやすい
・心臓弁膜症、心房細動
脳塞栓を起こしやすい
・ヘマトクリット値上昇、血液疾患
脳梗塞を起こしやすい

■1)脳梗塞
(1)概念
脳を潅流する血液が、減少ないし途絶し、その結果その潅流域の脳が代謝を維持しえず、壊死におちいった状態

1)脳血栓症
(1)概念
脳梗塞のうち、他部位より脳潅流血管に流入した異物によるもの以外の原因によるもの
(脳内にできた血栓による脳梗塞)
(2)病態生理
主たる原因としては、動脈硬化(粥状硬化=アテローム硬化が主)
その他としては動脈炎(SLE、大動脈炎症候群、梅毒など)、血液疾患(血小板減少性紫斑病、赤血球増多症、DIC)、経口避妊薬
☆DIC:播種性血管内血液凝固症候群
☆血小板減少性紫斑病:その他の血球の障害も出てくるので

(3)症状
潅流領域に一致した症状が出る
①血管枝の種類
・皮質枝:大脳表面
・穿通枝:大脳深部
②一般的特徴
・前駆症状
一過性脳虚血発作を認める
・安静時に発症しやすい
・局所神経症状の進展は緩徐
多くは数日程度で完成
・意識障害は発作時にはないこともあり、あっても比較的経度である
③潅流領域ごとの症状
ア.内頚動脈系血栓
一過性脳虚血発作により、片麻痺、一側の視力低下、失語症、失認症
a.中大脳動脈系血栓
・皮質枝
優位半球障害
…失語症、失算、失書など
劣位半球障害
…相貌失認、着衣失行、半側空間失認、半側身体失認、疾病否認など
・穿通枝
意識障害を伴わない片麻痺
・起始部の閉塞
昏睡を伴う片麻痺
…救命しえても、前記の皮質症状の出現、痴呆化
b.内頚動脈の閉塞
中大脳動脈計血栓の症状と似る
c.前大脳動脈の血栓
比較的少ない
・皮質枝
下肢の運動麻痺と知覚障害(片麻痺が多い)
・穿通枝
顔面下半部、上肢近位部の麻痺
・起始部
皮質枝、穿通枝の症状に加えて、前頭葉症状が現れる
★前頭葉症状:自発性低下など
d.後大脳動脈
・皮質枝
同名半盲、同名4分の1半盲
純粋失読、視覚失認
☆純粋失読:形そのものが離開できないような状態
・視床膝状体動脈(あまり重要でない)
半身感覚鈍麻、視床痛
不全片麻痺
運動失調、不随意運動出現
・視床穿通枝(あまり重要でない)
動眼神経麻痺、小脳失調、不随意運動
半身深部感覚障害
☆小脳失調:酔客歩行、企図振戦など

イ.脳底動脈系閉塞の症状
a.主幹部
回転性めまい
悪心嘔吐、昏睡
四肢麻痺、球麻痺、除脳固縮
★球麻痺:延髄から起始する神経の領域が麻痺する
縮瞳、瞳孔不同、斜偏視、共同偏視、発熱
b.分枝
交代性片麻痺
MLF症候群(一眼半水平注視麻痺症候群)
小脳失調、感覚障害、回転性めまい
ウェーバー症候群(動眼神経麻痺と反対側の片麻痺)
ミャールギュブレル症候群(顔面神経麻痺と反対側の片麻痺)
フォビーユ症候群(病巣側の注視麻痺と反対側の片麻痺)

ウ.椎骨動脈の閉塞
ワレンベルグ症候群(外側延髄症候群)
…回転性めまい、悪心嘔吐、嚥下困難、嗄声、病巣側の小脳失調症状、病巣側の顔面温度覚障害、軟口蓋麻痺、ホルネル徴候、味覚障害
頚部以下の半身の温度覚障害
★ホルネル徴候:頚部交感神経の傷害による眼瞼裂狭小、縮瞳、眼球後退

④ラクナ梗塞
・ラクナとは
直径0.5~15mmの小梗塞であり、基底枝を中心とした穿通枝領域に多発する
ア.ラクナ発作
・純粋運動性麻痺
片麻痺のみが出現
病巣:内包、橋底部
・純粋感覚性発作
半身の感覚障害
病巣:視床、大脳皮質感覚野
・失調性不全片麻痺
同側の小脳性運動失調と軽度の麻痺(不全麻痺)
病巣:内包、橋底部
・ダイサースリア・クラムシー・ハンド・シンドローム(重要でない)
dysarthria clumsy hand シンドローム
構音障害と反対側の手が不器用となる
病巣:橋底部

2)脳塞栓
(1)概念
脳潅流血管内に流入した異物により、血流が著しく減少ないし途絶した結果による脳梗塞
(2)原因
心臓由来の血栓が栓子となることが多い
頚部の動脈、大動脈弓の壁在血栓の剥離したものが栓子となることもある
ア.原因疾患
僧帽弁狭窄症、心房細動
心筋梗塞、心内膜炎
弁置換術後など

(3)症状
・出現する症状は、基本的に脳血栓症と同じ
★血栓との違い
・皮質領域に起こりやすい
・出血性梗塞を起こしやすい
☆つまった血管が破裂したり膨張したりして出血あるいは血液が染み出す
・急性に発症(数分以内に完成)

■2)頭蓋内出血
1)脳出血
(1)概念
脳実質での出血をいう
(2)原因
・高血圧性脳出血が最も多い
・脳内の動脈瘤
・血管腫
・動静脈奇形
☆もやもや病など
・出血性素因
白血病
・アミロイドアンジオパチー(非外傷性頭蓋内出血)
☆原因不明のもの
(3)好発部位
・被殻付近が最も多い
☆約70%
被殻付近での出血を外側型という
レンズ核線条体動脈の出血が多い
☆脳出血動脈とも呼ばれる、中大脳動脈の穿通枝
・視床での出血が次いで多い
視床での出血を内側型という
・小脳、橋と続く

(4)症状
①外側型出血
・主な症状
片麻痺、半身知覚障害、失語、半盲など
・眼症状
共同偏視(病巣をにらむ)
☆生命の予後は比較的良い。脳室出血を起こす3割は、予後不良
②内側型出血
・主な症状
片麻痺、半身の知覚障害
外側型より顕著な意識障害
・眼症状
下方または下内方偏位
上方注視麻痺(上を向けない)
瞳孔不同症
対光反射の消失
☆外側型よりも予後不良
③小脳出血
・主な症状
麻痺はないが、起立あるいは歩行不能となる
めまい、激しい後頭部痛、嘔吐、高血圧、ときに顔面神経麻痺
・眼症状
共同偏視(健側をにらむ)
病側への注視麻痺
ホルネル徴候
☆予後は比較的悪い
④橋出血
・主な症状
四肢麻痺
病的反射の出現
筋トーヌス低下
初期から意識障害が顕著
高体温、循環障害
呼吸障害
・眼症状
顕著な縮瞳
眼球は正中位
☆予後は非常に和売り

2)クモ膜下出血
(1)概念
広義にはくも膜下腔に出血するもの全般をいう
狭義には外傷性などは含めない
(2)原因
・嚢状動脈瘤の破綻が最も多い(半数以上)
★嚢状動脈瘤の好発部位
前交通動脈
中大脳動脈の第一分岐部
内頚動脈と後交通動脈の分岐部
・動脈硬化性動脈瘤の破綻
☆高血圧の人など
・動静脈の奇形など

(3)症状
・典型例
突然に起こる激しい頭痛
意識障害
・その他の症状
急死することもある
髄膜刺激症状(項部強直、ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候)
☆ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候とは
大腿後側に痛みが出ることで、股関節や膝関節を屈曲してしまうもの
ケルニッヒは下腿を持ち上げることで、ブルジンスキーは頚部を屈曲させることで現れる
脳神経障害(動静脈奇形の場合に出ることがある)
片麻痺(嚢状動脈瘤の場合に出ることもある)

■3)脳血管障害の鑑別
頭蓋内出血 脳梗塞
脳出血 クモ膜 脳血栓症 脳塞栓
発作の始まり 急激 急激 緩徐 急激
発症し易い時期 昼間、運動時 特になし 夜間、睡眠時 特になし
前駆症状 高血圧 特になし TIA 心疾患
意識障害 深く長い 出現(大小あり) 緩徐 深いが短い
頭痛 激しい 激烈 なし なし
嘔吐 有り 有り なし なし
病巣症状 片麻痺 巣症状なし 潅流域に一致 片麻痺出現
その進行 数分~数時間で完成 片麻痺徐々に増 完成数秒~数分
完成に数時間~数日
項部強直 置く出現 著しい 少ない 少ない
好発年齢 50~60歳 30~40歳 60歳以後 特になし(若年)
高血圧と 著名な高血圧 特に関係なし 関係あり 特になし
その他の疾患 脳出血より少 心臓疾患と関係
★TIA:一過性脳虚血発作

(1)重傷度の判定
・意識障害
強いほど予後不良
・麻痺
片麻痺より四肢麻痺の方が予後不良
・眼球頭囲反射
消失していると予後不良
☆姿勢反射の中枢は中脳、よって脳幹が損傷を受けていることの証となる
・呼吸不全
呼吸不全出現は予後不良
☆脳幹の障害によるので
・体温
異常体温は予後不良
・嘔吐
頻回の嘔吐は予後不良
・血圧
血圧低下は予後不良

■4)一過性脳虚血発作(TIA)
(1)概念
脳の虚血によって一過性に神経症状を呈するもの
☆繰り返し起こすことが多い
☆低血圧によるものは含まれない
(2)原因
・内頚動脈系のTIA
大多数は微小梗塞による
☆微小梗塞の原因はアテローム硬化
脳梗塞への移行率は3、4年以内で30%
・椎骨動脈系のTIA
頚椎による椎骨動脈の圧迫が多い
(3)症状
・発作は多くは数分から1時間以内でおさまる
・発作は24時間以内であることを基準とする
・発作回数は、一日数回から数年に一度のこともある
①内頚動脈系の症状
・症状は身体の半側に出現
運動麻痺:不全麻痺または片麻痺
感覚障害:両下肢、1眼の視力障害
失語
・発作回数は少ない
発作ごとの症状は概ね同じ
・脳梗塞を起こしやすい
①椎骨動脈系のTIA
・症状出現部位は多様
☆半側、両側いずれでも出現しうる
・出現する症状
運動障害
感覚障害
同名半盲
平衡障害
嚥下困難
構音障害など
・発作後とに症状は変動し、発作回数が多い
・脳梗塞を起こすことは比較的少ない

■5)高血圧性脳症
(1)概念
著しい高血圧に伴って見られる急性の脳症で、血圧を下げることにより症状が消失するもの
・血圧の基準
最高血圧:200mlHg以上
最低血圧:120mlHg以上
…これを悪性高血圧という
(2)症状
頭痛、悪心嘔吐、視力障害、意識障害など
血圧を下げることで消失

■6)脳血管障害のまとめ
(1)検査
①髄液検査
・クモ膜下出血
血性
・脳出血
約8割が血性ないしキサントクロミーを認める
★キサントクロミー:髄液が黄色を呈すること(古い出血を意味する、かつて破壊された赤血球のビリルビン)
②X線、CT
・出血や梗塞の鑑別診断、部位診断などに有効
③MRI
④脳血管造影、MRアンジオグラフィー
☆MRアンジオグラフィー:磁気共鳴血管造影法
閉塞動脈の部位、血腫、血管偏位、動脈瘤、動静脈奇形の部位や大きさの診断に有効
⑤その他
単純頭蓋X線
脳波、超音波エコー
SPECT(血流状態を見る検査)

(2)脳血管障害の経過と予後
・脳出血
発作後1週間以内の死亡率が約50%
脳幹出血、脳室内出血、脳ヘルニアのあるものほど予後不良
・クモ膜下出血
再発することが多い
初回発作での死亡率は10~15%
再発時での死亡率は40~50%
再発発作は2週間以内で起こることが多い
☆動脈瘤による出血の人は再発することが多い
・脳梗塞
発作後一週間以内の死亡率は約15%
昏睡患者の死亡率は約90%
☆半昏睡の場合も死亡率は高い
★脳血管障害の後遺症回復の特徴
2週間以内の症状改善が顕著で、3ヶ月以内なら改善は見られる
☆上肢では4ヶ月以降、下肢では6ヶ月移行の改善はほとんどない

(3)脳血管障害の治療
発作直後における治療よりも、危険因子の除去に力を注ぐべき
・発作後の治療として、急性期の一般的看護と処置
・薬物療法と外科療法などの特異的療法(それぞれの症状にあわせた治療)
①疾患ごとの治療
・脳出血の治療
脳浮腫治療
高血圧コントロール
止血治療
脳代謝の賦活
・クモ膜下出血の治療
外科手術
・脳梗塞
脳浮腫治療
血栓溶解薬
・TIAの治療
抗血小板薬
抗凝固薬
・高血圧性脳症の治療
降圧剤
②リハビリテーション
発作初期より開始する
下肢は独立歩行を目指す

2.感染症
■1)髄膜炎
(1)概念
一般に脳・脊髄の軟膜炎やくも膜炎などをいう

①分類
・感染性髄膜炎
細菌性髄膜炎
化膿性髄膜炎
結核性髄膜炎
真菌性髄膜炎
スピロヘータ性髄膜炎
リケッチア性髄膜炎
ウィルス性髄膜炎
☆コクサッキーウィルス、エコーウィルス、ムンプスウィルス、ヘルペスウィルスなど
・非感染性髄膜炎
無菌性髄膜反応
機械的、化学的刺激による髄膜炎
癌性髄膜炎
ベーチェット病性髄膜炎
サルコイドーシス性髄膜炎

(2)疫学
・細菌性のもの
髄膜炎菌
肺炎双球菌
インフルエンザ杆菌
ブドウ球菌、連鎖状球菌
・ウィルス性のもの
エンテロウィルス(コクサッキーウィルスやエコーウィルス)
ムンプスウィルス
ヘルペスウィルス
麻疹ウィルス
髄膜炎ウィルス
・真菌性のもの
クリプトコッカス
カンジダ
アスペルギルス
(3)感染経路
・血行性
…結核などでみられる
・近接部からの波及
…中耳炎、副鼻腔炎、頭蓋骨の骨髄炎などでみられる
・顔面の血栓性静脈炎などからの逆向性の波及
☆静脈がうっ帯することで髄膜炎になる。比較的少ない
・腰椎穿刺などによる髄液性の感染

(4)病態生理
軟膜の血管拡張、充血、脳浮腫
回復につれて、癒着性くも膜炎を起こし、脳内水腫をていすることもある

(5)症状
①急性化膿性髄膜炎
☆ブドウ球菌など
発熱、頭痛、髄膜刺激症状
意識障害…脳実質面への炎症の波及が疑われる
脳神経の障害
痙攣 ☆髄膜静脈血栓に伴う
片麻痺
失語症
②結核性髄膜炎
慢性髄膜炎の代表的なもの
☆亜急性髄膜炎ということもある
症状は比較的緩徐に出現
・初期症状
微熱、食欲低下
嘔吐、頭痛
周囲への無関心、譫妄なども
数週間ほど続く
・その後の症状
髄膜刺激症状
瞳孔の異常(不同、反射異常など)
脳神経の障害(動眼、外転神経の障害が多い)
☆脳底部に炎症が及んだ場合に起こる
痙攣、片麻痺

③真菌性髄膜炎
慢性に経過
結核性髄膜炎とほぼ同じ
④癌性髄膜炎
肺癌、乳巌、胃がんからの転移が多い
頑固な頭痛、嘔吐
脳神経の麻痺、髄膜刺激症状

(6)検査所見
髄液圧の上昇、脳脊髄液中の蛋白質増加
白血球数の増加(細胞増加ともいう)
…概ねリンパ球が増加
急性化膿性髄膜炎では多核白血球が著名に増加

(7)合併症
・髄膜炎菌による髄膜炎の場合
ウォーターハウス・フリードリクセン症候群
…髄膜炎菌による敗血症を起こし
副腎出血、紫斑、昏睡
ショック死することもある

(8)経過と予後
抗生物質の発達により、死亡率が著しく低下した

(9)治療
一般的療法としては
安静、呼吸管理、水分や栄養の補給、悪物など
☆呼吸管理:酸素マスクをつけるなど
☆薬物には抗生物質、脳浮腫などへの対照薬など

■2)日本脳炎
(1)概念
日本脳炎ウィルスによって起こる急性脳炎
コガタアカイエ蚊によりウィルスが媒介される
(2)症状
・潜伏期(7日程度)
・前駆期
頭痛、倦怠、食欲低下、悪心など
・中期
急激な発熱、頭痛、悪心嘔吐
昏睡におちいる
・極期
髄膜刺激症状
さらに進むと筋固縮、振顫、錐体外路症状
・転帰
死に至るまたは回復しても後遺症が残る

(3)後遺症
性格変化、知能低下、錐体外路症状

(4)恵果と予後
・発熱度と予後には関連性がある
40度以上は予後不良
41度以上では死亡することが多い
・致死率
30~50%

■3)ポリオ
・ポリオの
急性灰白髄炎、脊髄性小児麻痺とも呼ばれる
(1)概念
・ポリオウィルスによる急性感染症
・主にどこを侵すか
脊髄前角細胞
脳幹の運動神経細胞
・その支配筋の弛緩性麻痺を起こすこともある
主な感染経路
経口感染

(2)症状
不全型、非麻痺型、麻痺型
・不全型
感染しても発熱、頭痛、咽頭痛だけで終わる
☆9割りがこのタイプ
・非麻痺型
筋肉痛、髄膜炎、症状
・麻痺型
発熱、筋肉痛、髄膜炎症状
下肢の弛緩性麻痺が多く、非対称性

(3)検査所見
・髄液検査
初期は白血球と蛋白が増加
その後一時的に減少
再び増加

(4)経過と予後
・麻痺型の致死率10%程度
・麻痺型の回復は、2~3ヶ月までは良好(よく回復する)
二年以上たつと症状は固定(後遺症となる)

(5)治療
・発症後は一般対症療法のみ
・生ワクチンによる予防が重要

3.脳、脊髄腫瘍
■1)脳腫瘍
(1)概要
脳膜または脳組織、下垂体、松果体などに由来し、頭蓋内にできる原発性の良性ないし悪性新生物及び、頭蓋内に転移した悪性新生物
(2)疫学
①小児期に多い腫瘍
小脳髄芽腫
…グリア組織由来
小脳星細胞腫
グラニオファリンジオーム(下垂体管腫)
…先天性腫瘍
松果体腫
②成人に多い腫瘍
大脳半球の髄膜腫
下垂体腫瘍
神経膠芽腫
聴神経腫(多形膠芽腫)
転移性腫瘍
(3)分類
①脳ならびに関連組織の腫瘍
・神経膠腫(グリオーマ)…最も多い
星状細胞腫
乏突起膠腫
神経膠芽腫
・髄膜由来のもの
・下垂体由来の腫瘍…1割程度
☆その他として、神経細胞由来、神経上皮由来のもの、脳血管由来、松果体由来などもある
②その他の頭蓋内腫瘍
・転移性腫瘍
・先天性腫瘍
・肉芽腫
・脊索腫など

(4)症状
①全般症状
・脳腫瘍(脳圧亢進)の3大徴候
嘔吐、頭痛、うっ血乳頭
・頭痛
頭蓋内圧上昇によって起こる
早朝に起こりやすい
非拍動性
頭位変換などにより増強
・嘔吐
小児の後頭蓋窩の腫瘍で特によく見られる
☆後頭蓋窩腫瘍=小脳の腫瘍
早朝に多くみられる
悪心を伴わない
・うっ血乳頭
後頭蓋窩の正中部の腫瘍で起こりやすい
大脳半球や下垂体部の腫瘍では起こりにくい
・その他の脳圧亢進症状
めまい、痙攣、精神症状
★脳圧亢進の機序
腫瘍が大きくなると内圧が高くなる
腫瘍周囲に生じる脳浮腫
腫瘍発生に伴う髄液循環障害
②局所症状
★片麻痺や四肢麻痺、失語症、失認などはどこの腫瘍でも起こりうる
ア.下垂体腫瘍の症状
ホルモン過剰症候群の出現
・成長ホルモン産生腺腫(好酸性腺腫)
…巨人症、末端肥大症
・ACTH産生腺腫(好塩基性腺腫)
…クッシング病など
・プロラクチン産生腺腫(嫌色素性腺腫)
☆男性化が多少遅れる程度
イ.松果体腫瘍の症状
☆松果体の役割:体内時計、ゴナドトロピン放出を遅らせる
・パリノー徴候の出現
上方注視麻痺
☆四丘体、中脳水道の圧迫などでも出現する
ウ.神経鞘腫
シュワン細胞から発生する良性の腫瘍
小児には少ない
・代表的なものは聴神経腫、
そのほかに小脳橋角部の腫瘍、三叉神経主もある
エ.先天性腫瘍の症状
最も多いのはグラニオファリンジオーム(頭蓋咽頭腫)
☆下垂体は咽頭粘膜より発生
☆トルコ鞍上部に好発

・グラニオファリンジオームの症状
下垂体や視床下部の圧迫により、内分泌不全
視交差部の圧迫による視野狭窄や視力障害
第3脳室の圧迫による脳圧亢進症状
オ.血管性腫瘍の症状
・血管腫
毛細血管から発生することが多い
大脳半球にある血管から起こることが多い
・血管芽腫
管芽細胞の増殖により発声
小脳や網膜に多く発生
ヒッペルリンダウ氏病などがある
…網膜血管腫に小脳の血管芽腫を伴ったもの
カ.転移性脳腫瘍の症状
原発巣は肺がん、乳がん、胃腸がん、子宮がん、癌が多い
病巣が多発性であることが多い
☆脳のあちこちに腫瘍ができる

(5)検査所見
単純頭蓋X線検査
脳血管造影
X線CT、脳波など

(6)診断
脳血管障害よりも経過がが緩徐
退行性疾患(アルツハイマ、地方など)よりも早い経過をとる
中年以後に初発するてんかん、比較的急性に進行する痴呆は、脳腫瘍の疑いがある

■2)脊髄腫瘍
(1)概念
脊髄自体のほか、脊髄髄膜、血管、脊椎に由来する悪性ないし良性の新生物、
ならびに多臓器の悪性新生物の脊髄転移
発生頻度は低い(脳腫瘍の5分の1程度)

(2)分類
①硬膜内腫瘍
脊髄実質、に由来するもの
予後不良
・髄内腫瘍、髄外腫瘍に分けられる
②硬膜外腫瘍

(3)症状
①髄外腫瘍
脊髄圧迫症状に先行して神経根の刺激症状が現れる
・神経根圧迫症状:分節に一致した痛み、感覚障害、運動障害
・神経圧迫症状:下肢より上行することが多い
痙攣症状、感覚障害、膀胱直腸障害
②髄内腫瘍
・頚髄に病変がある場合
上肢、ついで下肢に運動障害が現れる
・胸髄の病変がある場合
一側の下肢、ついで対側の下肢の痙性麻痺が現れる
・知覚障害はしばしば解離性を呈する
☆温度覚痛覚が消失して触圧覚が残っている状態
・その他
ブラウン・セカール症候群、膀胱直腸障害の出現をみることもある

(4)検査
①髄液検査
・クェッケンシュテット症候の陽性
…正常では腰椎穿刺の際、両側頚部を平手でで圧迫すると、髄液が50mm/秒以上上昇する。脊髄管区が閉塞しているときは、髄液の変動が病巣以下に及ばず、液圧の上昇が起こらない。この状態をクェッケンシュテット症候陽性とする
・キサントクロミー
・髄液膠様凝固
・蛋白細胞解離
②その他
X線検査、MRIなど

■3)パーキンソン症候群(パーキンソニズム)
(1)概念
パーキンソン病に類似した症状を呈する疾患をいう
①パーキンソン症候群を引き起こす疾患
・パーキンソン病(振戦麻痺)
・脳炎後パーキンソニズム
・中毒性パーキンソニズム
・脳血管障害性パーキンソニズム
・連合性パーキンソニズム

1)パーキンソン病
(1)概念
筋固縮、運動低下症(寡動)、姿勢反応障害などを主徴とする退行性疾患である
(2)疫学
1万人に5人程度程度発症
やや男性に多い
50~65歳に発症することが多い

(3)病理
主病変は黒質のメラニン含有細胞の減少
★メラニン含有細胞はドパミン代謝に関与

(4)症状
・筋固縮(歯車様固縮、鉛管現象)
★他動的に運動させると常に負荷がかかる
上下肢や頚部の筋を中心に出現
・振せん
静止振せん
上肢に著名に出現
精神緊張で増悪、睡眠中は消失
丸薬丸め運動
・運動低下症(寡動)
動作が緩慢で運動の始動が困難となる
すくみ足:歩行の際、最初の踏み出しが困難となる
歩行は前方突進歩行と呼ばれる
☆前傾姿勢なので加速がついてしまう
すくみ手(小字症):字を書いているうちにだんだん小さな文字になっていくこと
すくみ言語:声が低くなり、話し方に抑揚が少なくなる
・仮面様顔貌
表情が乏しくなり、瞬きが少なくなる
マイアーソン徴候が出現
…眉間を叩くと正常人以上にすばやい瞬きを繰り返す徴候
・姿勢反応異常
前傾前屈した姿勢をとる
・自律神経症状
便秘、あぶら顔
起立性低血圧、発汗過多
唾液分泌亢進
☆唾液は粘度が高そう

(5)検査所見
・特有な検査はない
☆主に症状によって診断する。血液検査などでは分かりにくい

(6)経過と予後
・慢性に進行する
・5年以内に約4分の1が強い傷害を起こす
・10年以内に約3分の2が強い傷害を起こす
・寝たきりになった後の感染症などで死の転帰をとることもある

(7)治療
①薬物治療
・L-ドーパ
…ドーパミンの前駆物質
☆普通のドパミンでは血液脳関門を通過しない
・塩酸アマンタジン
☆パーキンソン病用の薬。ドパミン分泌を促進する
・抗コリン薬
・L-ドプス
☆ノルアドレナリンの前駆物質

2)パーキンソニズム
(1)脳炎後パーキンソニズム
エコノモ脳炎後が最も多い
☆日本脳炎なども含まれる
(2)中毒性パーキンソニズム
マンガン、鉄、塩素、一酸化炭素による中毒
薬物としてはレセルピン(降圧剤)など
(3)脳血管障害性パーキンソニズム
大脳基底核のラクナの多発

4.痴呆性疾患
・痴呆とは
発育家庭で獲得した知能、記憶、判断力、理解力、抽象能力、言語などの種々の精神機能が脳の器質的障害によって損なわれ、そのことによって独立した日常生活や社会生活、円滑な人間関係を営めなくなった状態
・原因疾患
老年期にみられる脳血管性痴呆
アルツハイマー病
ピック病、
ハンチントン舞踏病
パーキンソン病
癲癇,頭部外傷
脳腫瘍
アルコール中毒
正常圧水頭症など。

■1)アルツハイマー病
(1)概念
主に老年期に発生し、高度の痴呆と人格の崩壊を主徴とする疾患である。
(2)発生時期による分類
40歳未満で発症した場合、若年性アルツハイマー病という。
40~64歳で発症した場合、アルツハイマー病という。
65歳以上で発症した場合、アルツハイマー型老年性痴呆という。
(3)疫学
・65歳以上の5%の人は痴呆を呈しており、その3分の1はアルツハイマー病と考えられている。
(4)病理
・脳萎縮、アルツハイマー神経束線維変化、老人斑が著名に出現する。
①脳萎縮
・前頭葉、側頭葉、頭頂葉に萎縮が起こる。
・海馬の萎縮が顕著
②アルツハイマー神経束線維変化
・脳内に太い線維構造物が出現する。
③老人斑の出現
・大脳皮質にアミロイド蛋白が沈着し、さらにニューロン変性物などが集まり、
球塊となった構造物が出現する。
④その他
・脳室の拡大、マイネルト核の脱落(アセチルコリン系の障害)など。
※家族性アルツハイマー病(FAD)
・第19番染色体に存在するアポリポ蛋白Eのε4アリルが
 危険因子といわれている。

(5)症状
①第Ⅰ期
発症後1~3年程度
記銘力の低下(物忘れ)
日時や場所の見当識障害
②第Ⅱ期
発症から2~10年程度
空間的失見当の出現
日常生活(食事。掃除など)に支障が出てくる
無意味な常同的行為が出てくる
意味のない収集行為
徘徊
計算障害、失行、失認、失語
③第Ⅲ期
感情の鈍麻
人格の崩壊
臥床生活に入る
麻痺で多いのは下肢の屈曲対麻痺
尿失禁、原始反射の出現
合併症(肺炎等)により死の転帰をとることが多い

(6)検査所見
特徴的な検査所見はない
脳波は全般的に徐波をていする
X線CTでは、大脳皮質全般の萎縮、脳室の拡大がみられる

(7)治療
特になし

■2)ピック病
(1)概念
初老期に発症する慢性進行性の痴呆で、大脳皮質の限局性(葉性)萎縮を特徴とする疾患
☆アルツハイマーに比べてまれ。100分の1程度
(2)病理
前頭葉や側頭葉の萎縮が多い
神経細胞の脱落
ピック細胞(細胞が浮腫状に膨らんだもの)
ピック球(嗜銀性封入体)
☆銀に反応するもので、細胞内に現れる小体
(3)症状
アルツハイマー病に似る
自発性の欠如、無関心がアルツハイマー病よりも顕著
自制心の欠如、恥知らずな行動の出現
☆記憶障害は軽度、アルツハイマーに見られる老人斑、神経元線維変化などは見られない

■3)脳血管性痴呆
(1)概念
1)多発梗塞性痴呆
脳に小梗塞が多発するために起こる痴呆
(2)症状
記銘力の低下、判断力は比較的保たれる
まだら痴呆
症状が動揺する(良くなったり悪くなったり)
仮性球麻痺
小刻み歩行
深部反射の亢進
不全片麻痺
強迫泣、強迫笑
などの出現

2)ビンスワンガー病
脳動脈硬化症による大脳白質の広汎な障害によって起こる慢性進行性の痴呆
(1)症状
片麻痺、失語症
構音障害、歩行障害
☆内包で出血ではなく動脈硬化による栄養障害が起こる

3)正常圧水頭症
(1)概念
痴呆、歩行障害、尿失禁を3主症状とし、髄液圧が正常で大脳皮質の萎縮はないが脳室が拡大している
・シャント短絡手術により改善することが多い

■4)その他の痴呆
・痴呆をていする疾患
クロイツフェルトヤコブ病
エイズ
甲状腺機能低下症(クレチン病)
慢性硬膜下血腫
アジソン病(副腎皮質ホルモン分泌低下)
ペラグラ
ビタミンB12不足
進行性麻痺(神経梅毒)
アルコール中毒

5.運動ニューロン疾患
上位および下位運動ニューロンのいずれか、あるいは両者に変性がありしかもこの部位以外には変性が見られない退行性疾患である
■1)筋萎縮性側索硬化症
(1)概念
略称ALS
上位及び下位運動ニューロンを侵し、20~60歳の間に徐々に発症し、四肢の遠位性の筋萎縮と筋力低下を起こし、ついには球麻痺のため多くは12~13年の経過で死の転帰をとる
(2)病理
錐体路、前角細胞、脳幹下部の運動神経細胞に変性がみられる
大脳皮質のベッツ細胞の変性も
☆中心前回に多い
残存運動ニューロンに好酸性封入体出現
(3)症状
・上肢の障害
一側上肢に初発することが多い
小手筋群の萎縮や筋力低下が目立つ
猿手や鷲手が出現
・下肢の障害
上位ニューロンの異常では痙性麻痺出現
下位ニューロンの異常では弛緩性麻痺が出現
・感覚障害が見られることもある
・深部反射の亢進、病的反射出現
・球麻痺の出現(7割程度)
☆球麻痺:延髄から出る運動神経核の障害
暝想、舌咽、舌下神経の核・核下性の麻痺
嚥下、咀嚼、構語障害

■2)脊髄性進行性筋萎縮症(あまり重要でない)
(1)概念
略称APMA
下位運動ニューロンのみに変性が見られる疾患で、ALSの一亜型として考えられる
(2)症状
ALSに似る
小手筋群の萎縮から始まり、下肢に及ぶ
(弛緩性麻痺、深部反射減弱)
(3)予後
中には予後良好のものもある

■3)球脊髄性筋萎縮症
・概念
SPMAの下位ニューロン変性が、下部脳幹の運動神経のみに限局したもの
・症状
球麻痺
女性化乳房、性腺機能不全、睾丸萎縮の出現も見ることも

6.脊髄小脳変性症
(1)概念
小脳皮質、小脳脚、脊髄後索、脊髄小脳路などの変性によって運動失調を主症状とする神経症状をていする変性疾患
・上小脳脚:小脳から中脳
・中小脳脚:大脳皮質の情報を橋を経て小脳へ
・下小脳脚:脊髄、延髄から小脳に

■1)孤発性オリーブ橋小脳萎縮症(最も代表的)
(1)概念
小脳、橋、オリーブ核に変性をきたす疾患
その他黒質、線条体、錐体路などにも変性をきたすことがある
(2)症状
失調歩行、四肢の協調運動障害、断綴言語
(←つまり小脳症状)
筋固縮、寡黙
(←錐体外路症状)
排尿障害、起立性低血圧
(←自律神経症状)
時には深部反射の亢進
(←錐体路症状)
(3)合併症
オリーブ小脳橋萎縮症と シャイ・ドレーガー症候群、線条体黒質萎縮症を併せ持つようなものを、多系統萎縮症と呼ぶ

■2)孤発製小脳皮質萎縮症(孤発製皮質性小脳萎縮症)
(1)概念
小脳皮質とオリーブ核の変性を主症状とする
(2)症状
小脳症状に限定することが多い

■3)マカド・ジョセフ病
常染色体性優性遺伝病
小脳症状、錐体外路症状、錐体路症状、脳神経症状、筋萎縮などが見られる
コリエー徴候の出現
…びっくり眼(開眼時に眼瞼が後退して眼球が突出した位置をとる)

■4)フリードライヒ失調症
(1)概念
常染色体劣勢遺伝性失調症
脊髄後索、脊髄小脳路の変性を主病変とし、臨床的には運動失調症、腱反射低下、深部知覚障害を主症状とする
発症年齢は平均で13歳
(2)症状
失調歩行が初発症状となることが多い
数年後に上肢や体幹の運動失調が出現
フリードライヒ足の出現
…内側縦足弓の増加(凹足)
脊中の後弯、側弯
心異常、自律神経症状、視神経萎縮
・20年程度で死の転帰をとることが多い

■5)歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮(重要でない)
☆ルイ体(ルイス体):大脳基底核の一つ
常染色体性優性遺伝病
小脳失調症、性格変化、ミオクローヌス(不随意運動の一種)、てんかんなど
■6)遺伝性痙性対麻痺(重要でない)
遺伝性疾患(さまざまなパターンがある)
大脳皮質、脳幹、脊髄が傷害される
α系あるいはγ系の異常亢進
深部反射の亢進、病的反射(バビンスキー)の出現、膀胱直腸障害、筋トーヌス亢進など

7.筋疾患
■1)進行性筋ジストロフィー症
(1)概念
筋線維の変性、壊死を主病変とし、進行性の筋力低下をきたす遺伝性の筋疾患である

1)ヂュセンヌ型(ドゥシャンヌ型)筋ジストロフィー
(1)概念
・伴性劣性遺伝
・2~6際で発症
・筋力低下と筋萎縮が腰帯筋、ついで上肢帯筋に出現
(1)症状
登はん性起立(ガワーズ徴候またはゴワーズ徴候)
…腹臥位から規律するときに手で自分の体をよじのぼるようにして立ち上がること
鵞鳥歩行(動揺性歩行)
…両下肢を開き上半身が左右にゆれ腹を突き出して歩く
弛緩肩
…大胸筋や肩甲部の筋の萎縮により出現
腰椎の前腕、ついで側弯
仮性肥大
…ほぼ必ず出現
好発部位は下腿三頭筋。三角筋にも出ることがる
内反尖足
…アキレス腱の短縮による
関節の拘縮
・発病後10年程度で歩行不能となり、20歳前後で呼吸不全などにより死の転帰をとる
(2)検査
CK(クレアチンキナーゼ)、アルドナーゼ、GOT、GPTの著名な増加
心電図異常も高率に出現
ジストロフィン遺伝子検査の異常
(3)治療
対症療法のみ
副腎皮質ステロイドホルモン投与の効果報告もある

2)ベッカー型筋ジストロフィー
・5から25歳程度で発症
・ヂュセンヌ型より進行が遅く、心筋障害、関節拘縮の出現はないことが多い
・寿命もほぼ正常である

3)エメリードレフェス型筋ジストロフィー
比較的緩徐に進行する筋力低下、早期から出現する関節拘縮
☆肘関節や足関節に出現しやすい
心筋の伝導障害
☆思春期から20歳にかけてペースメーカーが必要となることが多い

4)肢体型筋キンジストロフィー
☆常染色体劣性遺伝
男女ともに出現
発症は10代から20代
下腿の偽性肥大、動揺性歩行、関節拘縮
発症後20年程度で高度の機能傷害をていする

5)顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
男女ともに出現
発症は5~20歳程度が多い
ミオパチー願望(仮面様顔貌)、翼状肩甲の出現
☆筋萎縮により健康骨内縁が後方に突出する

6)眼咽頭型筋ジストロフィー
外眼筋麻痺、咽頭筋の麻痺、咽頭筋麻痺による嚥下障害

7)福山型先天性筋ジストロフィー
発症はほとんど日本人
出生時から発症している
独立歩行不能、著名な精神発達遅滞
顔面の萎縮が著名
10歳程度で死の転帰をとることが多い

8)筋緊張性ジストロフィー症(スタイナート病)
筋緊張症状(ミオトニア)と共に、進行性の筋萎縮、白内障、額の禿げ上がり、睾丸萎縮、無月経などの内分泌障害を伴う、常染色体性優生、劣勢遺伝病
発症年齢は10~20歳
動作緩慢、白鳥の首、
親から子に遺伝するにつれ症状が十度化していく
グリップミオトニア(手を握ると急には開けない)、パーカッションミオトニア(母指球を叩打すると母指が内転してなかなかもとに戻らない)
西洋おの顔貌

■2)重症筋無力症
(1)概念
・神経筋接合部におけるアセチルコリンの伝達障害による筋の易疲労性を特徴とする疾患
・男女の発症頻度の比率1:2
・終板のアセチルコリン受容体の減少と血液中にアセチルコリン受容体に対する抗体が存在する
☆終板:骨格筋側の受容器官
自己免疫疾患である
胸線の異常がみられる
(2)症状
①筋の易疲労
眼瞼挙筋、外眼筋、咽頭筋、四肢の近位筋
→眼瞼下垂、複視、構音障害、嚥下障害、上肢の挙上困難、歩行困難
上記症状は朝方よりも夕方に著名となる
・症状の進行により呼吸筋の障害が出現し、呼吸困難となる
②クリーゼ
症状が休息に増悪して呼吸困難におちいるもの
(死因の第一位)
(3)病型の分類
・Ⅰ型(眼筋型)
外眼筋のみがおかされるもの
・Ⅱ型(全身型)
全身の筋がおかされるもの
予後は比較的良い
・Ⅲ型(急性劇症型)
全身性に急激に発症し、呼吸困難により死亡する
・Ⅳ型(慢性重症型)
Ⅰ型、Ⅱ型で発症し、二年以上系かしてから増悪するもの
予後不良
・Ⅴ型(筋萎縮型)
Ⅱ型で発症し、6ヶ月以内に著名な筋萎縮を示すもの
(4)検査所見
・筋電図
減衰現象の出現
☆使うにつれて波型が小さくなる
・CKは正常値
☆筋ジスでは低下するけども
(5)治療
対症療法

■3)周期性四肢麻痺
(1)概念
四肢筋に弛緩性麻痺発作が起こり、数時間、長くても数日以内に自然寛解するもの
(2)原因
・家族性(重要でない)
・甲状腺機能亢進症
・アルドステロン症
・尿細管アシドーシス
・パーター症候群
…血清レニン活性上昇
アンギオテンシンに対する昇圧反応低下
アルドステロン分泌過常
正常血圧で浮腫もでない
などを示す原因不明の疾患
(2)症状
夜間から早朝にかけて起こりやすい
低カリウム血症をていする

8.末梢神経障害
■1)ギランバレー症候群(急性炎症性脱髄性多発性根ニューロパチー)
(1)原因
原因としては自己免疫機序が考えられる
☆自らの髄鞘を抗原として攻撃する
カンピロバクタージェジュニの感染も関与
(2)症状
・三主症状
弛緩性運動麻痺
嚥下障害
両側の顔面神経麻痺
・急性に発症
・運動麻痺
下肢の末梢から始まり、上肢、顔面、呼吸筋へと移る
・髄液の蛋白細胞解離
☆血漿蛋白の髄液腔への漏出によって、蛋白量だけが増加し、血球数は増加しない状態

(3)経過
経過は良好で原則として治癒する

■2)神経痛
(1)概念
脳神経、脊髄神経、(末梢神経)が刺激されてその神経の支配領域に痛みが生じることをいう
原因としては、血管、腫瘍、椎間板などによる機械的圧迫、 腫瘍による直接的浸潤、炎症、外傷などがある。
(2)症候的特長
・痛みの様相は灼熱様、穿刺様、電撃様
・疼痛部位は神経の経路上に出現
・痛みの出現は発作性で、間歇性である
・ワレー(氏)圧痛点の出現
・痛みは押圧により軽減

1)三叉神経痛
(1)概要
三叉神経痛では、微小血管が三叉神経を脳幹からの出口で圧迫し、一側の顔面に針で刺すような電撃痛が生じる。
激痛のため、顔をしかめるところから疼痛性チックといわれる。 
(2)疫学
40歳以降に発症し、男女比は1:1.5~2とやや女性に多い。
10万人に4~5人といわれる。
(3)成因と病態生理
 従来特発性と考えられていた症例のうち約70%は屈曲した走行異常血管、動脈硬化性病変を持つ血管が三叉神経根を圧迫して起こるとされる。
(4)症状
・三叉神経痛では、咀嚼、洗顔、髭剃りなどの動作の際に一側の顔面に針で刺すような電撃痛が生じる。
・痛みの持続時間は数秒間の短いものであるが、程度が激烈であるため、患者はこれらの動作を避けるようになる。
☆痛みのきっかけとなることをトリガーポイントという
・眼神経痛で痛みが現れる点
上眼窩点、内眼角、外眼角
・上顎神経で痛みが現れる点
眼窩下点(四白)、胸骨点(検量)、上唇点(人中)
上歯槽点
・下顎神経で痛みが現れる点
オトガイ点、側頭点
(5)診断
小脳橋角部腫瘍によることもあるために、まずMRI検査により腫瘍がないことが確認できれば、症状から診断は容易である。
(6)治療
・腫瘍の場合には外科的摘出術からガンマナイフ療法がすすめられる。
☆放射線による手術
・腫瘍が除外された場合の治療法
①薬物療法  
テグレートルを主体とする薬物療法
ふらつき眠気などの副作用の強い薬であるために、初回量は100㎎程度から始め、漸増する。
また、肝機能障害・白血球減少などをきたす薬剤であるために、定期的に血液検査を行う。
②三叉神経節ブロック
薬物療法の無効例、手術を受けられない高齢者を対象に行われる。
アルコール注入する方法や電気凝固する方法がある。
③微小血管減圧術(いわゆるジャネッタ手術)
ジャネッタ手術は除痛効果が長期にわたり期待できる手術であるが、ときに重篤な合併症を生じる事があるために、この手術に熟練した脳神経外科医により治療される必要があることを説明する。
(7)経過・予後】
治療をしなければ、症状は持続するため、日常生活にも影響が出る。
治療により症状をコントロールできれば、予後は良好である。

2)肋間神経痛
(1)概要
肋間神経がその走行の途中で、何らかの原因により刺激されて、その神経の走行に沿った帯状の痛みを生じる。
(2)疫学
 30~40代以降に多い。
(3)成因と病態生理
 肋間神経が帯状疱疹、腫瘍、胸椎椎間板ヘルニア、黄色靭帯骨化症に刺激されて起こる
(4)症状】
・肋間神経痛の圧痛点
脊柱点(後点):肋間神経が椎間孔を出るところ
側胸点(側点):側胸部の中央で外側皮枝の出る部分
胸骨点(前点):胸骨縁の近く、または腹直筋の外延
①原発性肋間神経痛
 一側性の持続的な痛みが半環状に胸郭を取り巻くように放散する。その痛みが強い時には呼吸によって増悪し、また、咳、あくび、怒責などで増強する。
 肋間神経を肋骨の下で圧迫する時その圧迫部位で、また、脊椎の外縁胸骨傍部などに圧痛を認める。
②症候性肋間神経痛
 帯状疱疹、腫瘍、胸椎椎間板ヘルニア、黄色靭帯骨化症などの場合に刺激されてそれに相応した肋間領域に痛みを生じる。
(5)治療
・腫瘍では外科治療が選択される。
・椎間板ヘルニア、靱帯骨化症では神経痛以外の脊髄圧迫症状の有無が問題となる。
脊髄症状が著明な場合には外科治療を早期に計画する。
・神経痛のみの場合には。薬物療法・コルセット装着・理学療法がまず試みられる。
帯状疱疹に特徴的な皮疹が肋間神経の走行に一致して認められる場合には、抗ウイルス薬の使用が選択される。
(6)経過・予後
 それぞれの原因により異なる。

3)坐骨神経痛
(1)概要
 坐骨神経に沿って、下肢から腰背部にかけて疼痛をきたすもので、80%は腰椎椎間板ヘルニアが原因といわれている。
(2)疫学
 30~40代の発症が最も多い。
(3)成因と病態生理
 原因として腰椎椎間板ヘルニアによることが最も多い。
 椎間板は中心にあるゲル状の髄核と周囲の線維輪とからなり、隣接する上下の椎体間に働く力を吸収するショックアブソーバーである。
椎間板ヘルニアは変性した線維輪の一部が破れ、髄核や線維輪が脱出して起こる。
後方に脱出すると馬尾や神経根を刺激して激しい症状を起こす。
時間の経過とともにヘルニアは縮小し、症状緩解するが再発もある。
罹患椎間はL4/L5ついでL5/S1の2つが大部分を占める。ついでL3/L4
 その他の原因
 50~60代以降では、腰部脊柱管狭窄症が原因となることも多い。
ときには脊柱管近傍への転移性腫瘍によることもあり、この場合には激しい持続性の腰痛・下肢痛が特徴的である。
(4)症状
・症状の始まりはさまざまで、たとえば、床にある重いものを持ち上げようとして突然腰部に強い痛みを覚え、これが大腿、下腿に放散し、痛みのために動けなくなることがある
痛みは大腿後面にあり、膝窩部を下がって踝から足に放散する。腰痛、下肢痛が単独にまたは合併して起こる。
1回の外傷で突然発生することは少なく、多くは日常生活やスポーツで腰痛の既往を繰り返すうち急に悪化する。
疼痛は坐骨神経に沿って放散し、咳、くしゃみ、息みで増強し、臥位をとると軽快する。
・脊柱管近傍への転移性腫瘍による場合には激しい持続性の腰痛・下肢痛が特徴的である
(5)診断
 MRI検査などにより、腫瘍の有無、椎間板ヘルニアの存在などをチェックする。
(6)治療
・腫瘍以外の坐骨神経では、
 まずは保存的療法(安静、薬物、理学的療法、ブロック療法など)が試みられる。
これらが無効の場合に外科的治療法が採用される。
(7)経過・予後
 保存的療法により80~90%の患者で症状が改善する。
(8)圧痛点
坐骨結節と大転子の間(承扶)
大腿後側中央(殷門)
膝窩中央(委中)
腓腹筋中央(承筋)
腓骨頭の直下(陽陵泉)
下腿前面上部(足三里)
外果の後部(崑崙)
内果の後部(太谿)

4)後頭神経痛
(1)疫学
40代以降に多く、三叉神経痛と合併することが多い。
(2)成因と病態生理
大後頭神経(第2経神経の後枝)、小後頭神経、大耳介神経(共に頚神経叢の枝)の分布領域の神経痛である。
(3)症状
大後頭神経の領域に相当して、表在性の痛みを生じる。
 後頭神経痛には2つの型がある。
①発作性神経痛
 痛みが間欠的、発作的で痛みは強く一側性に始まり、後頭部半側に放散する。
 三叉神経痛とよく似ており、痛みは時として灼熱痛を伴う。  
②持続的神経痛
 一側または両側の後頭部を占め、大後頭神経の走行上を圧迫すると、時として強い痛みを惹起する。
 このような持続的な痛みは二次的な痛みが多く、上部頚髄の腫瘍・脊髄空洞症・頸椎疾患のような器質的疾患に伴う。
(4)診断
CT検査、MRI検査により器質的な疾患を診断する。
(5)治療
治療薬としてテグレトールが有効なこともある。後頭神経の神経ブロックも行われる。
(6)経過・予後
保存的療法により改善することが多い。器質的疾患に伴う場合は、原疾患の治療を必要とする。

■3)圧迫性および絞扼性ニューロパシー
1)橈骨神経麻痺
(1)概要
橈骨神経がその走行中に骨折や圧迫などにより障害を受けると生じる。
顆上骨折、注射、睡眠麻痺(腕枕)
(2)成因と病態生理
 解剖学的に橈骨神経は上腕骨中央1/3部で後外側の橈骨神経溝を上腕骨に接して走るので骨折や圧迫により麻痺を生じる。
 後骨間神経は肘関節部で橈骨神経より分岐し、橈骨頭の前方を通り、回外筋内を通過する。回外筋入口部は剖検例の約30%で硬い線維性の索状物になっており、移動性がなく神経障害を生じやすい。
(3)症状
 橈骨神経の本幹が上腕の中央で障害されると手背から前腕の橈側の知覚障害と手関節背屈、母指の伸展、指節間(IP)・関節・中手指節(MP)関節の伸展ができず下垂手を生じる。
☆手背でも、母指と示指ぐらいが麻痺
(4)診断
 徒手筋力テスト、知覚検査、上肢の腱反射、筋萎縮の有無をチェックする。
 補助診断法としては、単純X線撮影(骨折・脱臼、変形の有無など)、電気生理学的検査、超音波検査やMRI検査(ガングリオンなど)を行う。
(5)治療
 ・骨折や脱臼などの外傷によるもの、腫瘤の存在するものでは、早期に手術療法を行う
 ・原因の明らかでないものや鈍的外力で受傷し回復の可能性のあるものでは、保存療法を行いながら1ヶ月ごとに筋電図検査を行う。
 ・神経炎と思われる例は、数ヶ月で回復するものが多い。
(6)経過・予後
・閉鎖性有連続損傷や絞扼性神経障害の軽症例は予後が良い。
・神経移植、端端縫合術では機能の回復は期待できない。

2)正中神経麻痺
(1)概
 正中神経麻痺は、外傷のほかに絞扼性神経障害や神経炎で発生する。
 正中神経の傷害は、鋭敏な知覚と巧緻性の要求される手にとって致命的なダメージを与える。
(2)成因と病態生理
 正中神経は肘関節近傍で上腕二頭筋腱膜の背側、円回内筋の二頭間および浅指屈筋アーチの深層を通過するが、この3カ所で絞扼性麻痺を生ずる可能性がある。
手根管症候群により正中神経が圧迫され、麻痺をきたす。
末端肥大症などでも発生する
(3)症状
 上腕部での本幹麻痺では、母指から環指(薬指)橈側1/2の掌側の知覚障害と母示指の屈曲と母指の対立が不可能となり手関節屈曲と環小指屈曲もうまくできない。母指対立が不能になり、猿手となる。
(4)診断、治療、経過・予
 橈骨神経麻痺と同様である。
チネル徴候陽性

3)尺骨神経麻痺
(1)概要
腕神経叢内束の最大の枝が尺骨神経である。
本神経障害の原因の多くは絞扼性神経障害で、肘部管症候群尺骨神経管症候群がある。
その走行途上どこでも切刺側など外傷を受ける可能性はある。
(2)成因と病態生理
原因の多くは絞扼性神経障害で肘部管症候群、尺骨神経管症候群がある。
絞扼の原因は、
局所の解剖学的異常による。小児期の上腕骨外果骨折後の外反肘、果上骨折後の内反肘など後天的なものや、先天的解剖異常である滑車上肘筋の存在がある。
最近では、むしろ変形性肘関節症の骨棘で肘部管が狭小化することに起因するものが多い
・昔はハンセン病で起こることもあった
(3)症状
本神経の麻痺では鷲手を呈する。尺側手根屈筋、中・環・小指の深指屈筋、小指外転筋、小指対立筋、母指内転筋、骨間筋群の麻痺のため手の巧緻運動の障害把持動作の障害が著明となる。
(4)診断、治療、経過・予後
橈骨神経麻痺と同様である。
・フローマン徴候陽性
☆母指と示指に紙などをはさめなくなる(母指内転筋が麻痺しているので)
代償動作として母指が屈曲する

4)総腓骨神経麻痺
(1)概
腓骨神経麻痺は下肢の神経麻痺の中では最も頻度がい。
これは腓骨頭に接して走行するため、腓骨神経が圧迫を受ける機会が多いからである。とくに術中麻酔下での圧迫、ギプスや牽引架台による圧迫など医原性に発生しやすい。
(2)成因と病態生理
 総腓骨神経は膝関節の後ろで坐骨神経から分枝し、腓骨頭の外側を取り巻くように走行するので、この部分での外部からの圧迫による麻痺が多い。
(3)症状
下腿外側から足背の知覚障害を示す。また、足関節および足指(趾)の背屈不可能となり、下垂足を呈する。
外反鉤足、鷲足の出現
☆鷲足:MP背屈、IP屈曲
(4)診断、治療、経過・予後
 橈骨神経麻痺と同様である。

5)脛骨神経麻痺
(1)概要
脛骨神経は坐骨神経の大腿下1/3で内側に分枝した神経で、おもに足の足底筋と下腿後面・足底の知覚に関与する。
(2)成因と病態生理
足根管症候群として内果下部分で圧迫を受けることが多い。
(3)症状
足の底屈・内転が不可能となる。
(4)診断、治療、経過・予後
橈骨神経麻痺と同様である。

6)末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺)
(1)概要
末梢性顔面神経麻痺は種々の原因で起こるが、50~70%の例で特発性・急性に発現するいわゆるベル麻痺である。 
ベル麻痺は通常一側性の顔面神経麻痺を呈する。
(3)疫学
発生頻度は人口10万人当たり30人前後で、男女差はない。30~40代に多い。
(4)成因と病態生理
顔面神経は骨性の硬い狭いトンネルのような顔面神経管を通るが、ウイルス感染や他の原因で腫脹すると管の中で圧迫され麻痺をきたす。
 最近では単純ヘルペスウイルス関係説が強い。
(5)症状
・通常一側性の末梢性麻痺を呈する。
・額のしわ寄せ、閉眼が困難となり、涙がこぼれ、兎眼となる。
・鼻唇溝が浅く、頬を膨らませることができなくなる。口角が下垂し、水が漏れ、口笛が吹けない。
・病変が膝神経節に強いと舌前2/3の味覚障害、涙分泌障害、唾液分泌障害、聴覚過敏、耳痛などを伴う。
☆アブミ骨筋を支配しているので
(6)診断
・臨床経過、症状から診断できる。
・脳幹の精査もかねてMRI画像をとるのが望ましく、ベル麻痺ではMRIガドリニウム造影像で顔面神経管内の顔面神経に高信号が認められることが多い。
・ヘルペスウイルスなどのウイルス抗体も検査する。
(7)治療
・発症直後は顔面筋の安静に努め、外出は避ける。数日経って麻痺の進行が停止してのち、局所のマッサージや低周波治療などを軽い程度から始める。
・麻痺がはっきり存在する場合は、抗浮腫、抗炎症作用をねらって副腎皮質ステロイドをできるだけ早期(3日以内)より始める。
(8)経過・予後
1~3ヶ月で回復することが多い。

7)ラムゼー・ハント症候群
(1)疫学
顔面神経麻痺の80%がベル麻痺であり、残りがラムゼー・ハント症候群といわれている
(2)成因と病態生理
水痘・帯状ヘルペス(帯状疱疹)ウイルスが顔面神経に感染して起こる。
(3)症状
外耳道、耳介に疼痛を伴う疱疹あるいは発赤がみられ、
同側の末梢性顔面神経麻痺を生じる。
水痘・帯状ヘルペスウイルスにより髄膜炎を併発することがある。
(4)診断
外耳の発疹が同側の顔面神経麻痺に伴っていれば診断できる。
 水痘・帯状ヘルペスウイルスなどのウイルス抗体も検査する。
(5)治療
抗ウイルス薬の投与が必要である。
(6)経過・予後
麻痺の回復はベル麻痺に比べ遅く、不全麻痺を残すことが多い。

9.膠原病および膠原病類似疾患
1)概念
全身臓器の結合組織が免疫反応や炎症性過程の場となり、その結果結合組織にフィブリノイド変性、炎症組織の浸潤、肉芽腫などが生じる疾患群の総称
2)種類
・主な疾患
関節リウマチ
全身性エリテマトーデス(SLE)
皮膚筋炎、多発性筋炎(PM)
進行性全身性硬化症(全身性強皮症)
結節性動脈周囲炎(PN)
・類似疾患
シェーグレン症候群
ウェジナー肉芽腫症候群(参考)
ベーチェット病
脈なし病
重症筋無力症
グッドパスチャー症候群

3)一般的症状
・初発症状として
発熱、関節痛、レイノー現象
・続く全身症状
全身倦怠感、
易疲労感、体重減少

■1)関節リウマチ(RA、慢性関節リウマチ)
1)概念
しばしば種々の関節外症状を伴って、慢性に経過する非化膿性多発性関節縁
主たる病変は滑膜炎
2)疫学
膠原病の中でもっとも多い疾患
発症年齢:20~40歳代
男女比は男:女=1:4
発祥しやすい家系がある
3)病因
自己免疫疾患
遺伝的素因
内分泌的素因
HTLVー1の感染説もわる
4)病態生理
・RAで現れる病態
滑膜炎、パンヌス
☆パンヌス:滑膜組織に絨毛様の肥厚が起こること
軟骨組織の破壊、骨(関節)強直
リウマトイド因子(RA因子)の産生
5)症状
①関節症状
朝のこわばりから始まることが多い
左右対称性に症状(関節縁など)が現れる
手のPIP、MP、足のMPから症状が現れることが多い
疼痛:運動時痛が多い
腫脹:紡錘形になる
発赤、熱感の出現
・関節の変形
手の指の尺側偏位
…2~5指に現れる)
スワン頚変形
…PIPの過伸展とDIPの屈曲)
ボタン穴変形
…PIPの関節部に隙間が開き、ボタンの穴のようにくぼみができる
外反母趾
ハンマー指(くも指)
・その他
手根管症候群
環軸関節の亜脱臼
②関節外症状
・皮下結節リウマチ結節
肘頭部、前弯後面に好発
硬いが、痛みは生じない
・肺病変
胸膜炎、肺実質におけるリウマチ結節の発生
→肺線維症になる
・心病変
心外膜炎、刺激伝導障害
・眼症状
ぶどう膜炎
・骨症状
骨粗しょう症
・末梢神経症状
多発性単神経炎
・血管炎
全身性壊死性血管炎をていすることもある(ひどい場合は)
6)検査所見
・炎症反応の出現
CRP陽性
血清グロブリンの増加
血清補体の増加
白血球の増加
・免疫学的検査
RAテスト陽性(リウマトイド因子陽性)(80%)
抗核抗体検査陽性となることもある(25%程度)
・骨X線検査
初期は軟部組織の腫脹
徐々に骨萎縮、関節裂隙の狭小化
関節の変形、関節強直の出現
☆診断基準
朝のこわばりが1時間以上続く
関節の腫脹が3箇所以上
左右対称の関節腫脹、皮化結節など
7)症状
初期症状は自然に寛解することが多い
その後再発し、慢性的に増悪していくことが多い
☆30歳以下で発症した人悪化することが多い
8)治療
・食事
栄養価の高いものを摂取する
・温熱療法
ホットパック、パラフィン浴など
・運動療法
ROMと同じ程度の範囲でお子なる
・薬物療法
非ステロイド系抗炎症薬
抗リウマチ役
…金製剤、Dーペニシラミン
ステロイド剤

■2)全身性エリテマトーデス
(1)易学
20~30歳代に好発
男:女=1:9
(2)原因
自己免疫疾患
・誘引
なんらかの感染症
妊娠、分娩、外相など
(3)症状
・関節症状
移動性の多発性関節縁
関節の変形はほとんど見られない
・皮膚症状
蝶形紅斑、ディスコイド皮疹
☆ディスコイド皮疹:顔、頚、耳などに皮疹が現れる
光線過敏
・腎症状
ネフローゼ
ループス腎炎
腎不全
・神経症状
てんかん発作
脳卒中
不随意運動
精神障害
ニューロパチー
・漿膜炎
胸膜炎、心膜炎、髄膜炎など
・その他
脱毛、筋痛、口腔内潰瘍
肺出欠、肺高血圧
レイノー現象(割合は高くない)
(4)検査
抗核抗体検査の陽性
LE細胞陽性(異常白血球)
CRP検査の陽性、血沈上焦、ガンマグロブリン上焦
白血球、赤血球数の減少
☆5年生存率95%

■3)全身性進行性硬化症(全身性強皮症、PSI)
皮膚の硬化は手指の先端から始まり、全身の皮膚に広がる
内臓の間質性炎症もていする
レイノー現象、多発性関節炎、仮面様顔貌の出現
抗核抗体検査の陽性
中年女性に多い

■4)皮膚筋炎(多発筋炎)
横紋筋が広範に侵される疾患
肩、骨盤周囲の筋を障害することが多い
・その他の症状
舌の肥厚、短縮
嚥下障害
逆流性職洞炎
ヘリオトロープ疹(赤い発疹)
レイノー現象、関節炎、心伝導障害、心不全をていすることも
・中年女性に多い

※類似疾患
■5)ベーチェット病
・ベーチェット病の3大症状
口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍
ぶどう膜炎
外陰部潰瘍
・その他
HLAーB51(腫瘍組織抗体)を持つ人に発症しやすい
20~30代の発症が多い
皮膚の鍼反応が出現しやすい
関節縁や副睾丸炎、血管症状
☆やや男性に多く、男性は3大兆候をていすることが多く、失明率も高い

■6)結節性多発性動脈炎
・高熱、腎症、関節痛、筋肉痛、高血圧、抹消性神経炎、消化器症状、皮下結節、紫斑などの出現
・中等大の筋性血管の分岐部に生じる血管炎

※類似疾患
■7)リウマチ熱
・発症は児童期に多い
・溶連菌感染、発症後に自己免疫反応として発症することが多い
・症状
一過性のことが多い
多発性関節炎(大きい関節に発症しやすい)
心筋炎、小舞踏病
輪状紅斑、皮下結節、発熱など
弁膜障害を残すことがある(脳塞栓の原因になることも)
・検査所見
CRP検査陽性
ASO値、血沈、白血球数の上昇

※類似疾患
■8)シェーグレン症候群
・主として涙液、唾液の分泌障害をきたす乾燥性疾患
・RAを伴うことが多い
・閉経期の女性に多い
・症状
ドライアイ、眼の違和感
口腔内乾燥、耳下腺の腫脹





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