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臨床医学各論ノート02「消化器疾患」

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1.食道疾患
■1)食道癌
(1)概念
食道粘膜に発生する癌
★癌は早期癌と進行癌に大別される
早期癌:癌の浸潤が粘膜下層までにとどまるもの(表在癌)
進行癌:癌の浸潤が粘膜下層以上にまで及んだもの
(2)組織学
食道癌では、組織学的には扁平上皮癌が最も多い(約9割)
ついで腺癌(約4%)、未分化癌
(3)疫学
・発生部位
食道中部に発生することが最も多い(5~6割り)
ついで下部食道
・性差
比較的男性の方に多く発生する
・発症年齢
最も多いのは60歳代、ついで50歳代、70歳代
・発症の誘引
熱い食事の接種
喫煙、飲酒
食道アカラジア(食道下部の弛緩不全によって通過障害が起こる)
バレット食道(食道下部の上皮が円柱上皮に置き換わってくる)
腐蝕性食道炎(強い刺激物によって食道粘膜がただれたような状態)
(4)症状
・早期症状
食道の通過障害
食物がしみる感じがする
胸骨後部の違和感
・進行症状
嚥下困難
胸部や背部の疼痛
体重減少
全身衰弱
気管支瘻(穴があいて気管支と食道がつながってしまう)
反回神経麻痺による嗄声(させい、嗄れ声)
吐血を見る場合も
(5)診断
・食道癌が疑われる症状
中年以後に出現する、徐々に進行する嚥下困難
・確定診断
X腺検査
内視鏡検査など
(6)経過と予後と
確定診断を受けるまでに時間を要する(自覚症状が出てもなかなか病院に行かないヒトが多い)
一年以内の死亡率が高い
☆5年生存率10%

■2)食道炎(あまり重要でない)
(1)概念
食道粘膜の炎症
(2)原因
感染性のもの
化学的刺激(酸やアルカリ)
機械的刺激
外傷性のもの
★最も多い原因は消化性食道炎(逆流性食道炎)
(3)症状
胸焼け(呑酸)
嚥下障害
胸骨後下部の疼痛
(4)治療
食事量を減らし、胃 の伸展を抑える
コーヒー、アルコール、サルチル酸製剤の接種、喫煙をさける
就寝前2時間は食事をさける
肥満の人は体重を減少させる
薬物療法

■3)食道静脈瘤
(1)概念
食道粘膜に発生した、静脈の異常な怒張
側副血行路の形成により発生する
☆肝臓の循環障害によって、門脈を通るはずの血液芽食道静脈などのその他の血管を通って心臓に戻ることになり、静脈にこぶができる
(2)原因
肝硬変
バンチ病
日本住血吸虫症
(3)症状
問題となるのは、静脈瘤の破綻による大量出血
→吐血、下血の出現
☆処置
腹臥位または側臥位にする(誤飲によって血が気管に入らないようにする)
(4)予後
一度吐血すると、再出血の起こる確率80%

2.胃疾患
■1)消化性潰瘍
胃十二指腸潰瘍のこと
(1)概念
胃液と摂食する消化管に生じた粘膜筋板を破る程度以上の組織損傷
(2)疫学
①胃潰瘍
全人口の7~8%程度に発症(内視鏡検査によると)
男性に多い
好発年齢:40歳代が最も多い(30~60歳に好発)
防御因子の低下が発症につながることが多い(胃酸濃度は上昇していない)
②十二指腸潰瘍
発症頻度は胃潰瘍とほぼ同じ
都会型の労働者に発症することが多い
男性に多い(胃潰瘍に比べても男性の率が高い)
好発年齢:20~30歳代
攻撃因子の増加によって発症することが多い(胃3濃度の上昇など)
(3)成因
・外来刺激説
・胃液焼痂説
・血管障害説
・内分泌障害説
・ストレス説
・ヘリコバクターピロリ菌の関与が大きい
①ヘリコバクターピロリ菌
ペニシリン、テトラサイクリン、エリスロマイシンなどの抗生物質に感受性がある(効く)
☆胃癌にも関与すると言われている
☆感染者のほとんどが胃炎を発症する
ア.ピロリ菌が粘膜障害を起こす陰市
・ウレアーゼ活性とフリーラジカルの産生(重要)
☆ウレアーゼ
尿素をアンモニアに変える物質。アミラーゼの一種
☆フリーラジカル
活性酸素や一酸化窒素のこと
・空胞化サイトトキシン:ピロリ菌の出す害毒素
・プロアーゼやリパーゼの活性
・アルコール脱水素酵素の活性
②攻撃因子
・塩酸
・ペプシン
・ストレス(胃酸の分泌が増加)
・胃壁血管の収縮
・ピロリ菌
・薬物
・喫煙
・NSAID:胃壁の血流量を減らす薬(非ステロイド系抗炎症剤)
③防御因子
・粘液の分泌(粘膜の保護)
・粘膜血流が盛んなこと
・粘膜の抵抗(粘液粘膜間門)
H+が粘膜より外に広がらないようになっている
アスピリン、アルコール、胆汁酸はこの機構を破壊する
・その他
セクレチン、CCK(コレシストキニン)、
…ガストリンの分泌を抑える
PG(プロスタグランジン)
…胃粘膜血流量増加

(4)好発部位
・胃潰瘍
胃角部小彎
・十二指腸潰瘍
球部(上行部)

(5)症状
①疼痛
潰瘍の大きさと痛みは比例しない
☆すべての人に疼痛が現れるというわけではない
・疼痛の部位
心窩部痛
・食事との関係
十二指腸潰瘍:空腹時痛が多い
胃潰瘍:食後1、2時間
②酸症状
胸焼け、げっぷのこと
③その他
腹部膨満感
重圧感
食欲不振
悪心、嘔吐

(6)合併症
・吐血、下血
吐血の場合、コーヒー残渣様の吐しゃ物
下血の際の便はコールタール様
・穿孔
腹膜炎やイレウス(腸閉塞)を発症することがある
☆隣の臓器にまで穴があいてトンネルができることを穿通という
・狭窄
幽門部や十二指腸球部に発生しやすい
☆嘔吐を引き起こしやすい

(7)診断
・理学的所見:特徴的なものはない
小野寺殿部圧診点、ボアス圧診点に圧痛がでる化膿性は高い
・X線検査
胃潰瘍:ニッシェを見出すことができる
嚢状胃(小彎短縮が著しい場合)になる
☆潰瘍のある部分に造影剤が入り込み、通常の輪郭より突出した部分が見える、これをニッシャという
十二指腸潰瘍:タッシェ(衣嚢)形成を見る
☆十二指腸の潰瘍部がクローバー状に見える、これをタッシェという
・内視鏡検査
活動期、治癒過程期、瘢痕期等に区別できる
・その他
胃液検査:攻撃因子を間置できる
便:コールタール様の便を見る(胃十二指腸からの出血を疑う)

(8)経過と予後
治癒しやすいが、再発しやすい
☆5年以内に3分の1が再発
(9)治療
・薬剤
抗コリン薬、制酸薬を主に用いる
抗コリン薬の代表例
…ヒスタミンH2受容体拮抗薬
・食事
接種制限はなし
炭酸、炭酸を含むアルコール、コーヒーなどの刺激物、喫煙などは控える
☆牛乳などがよい

■2)胃下垂および胃アトニー
・胃下垂とは
胃が垂れ下がり胃角が蠕動のいずれの時点においても、腸骨稜よりも下にある場合
・胃アトニ―
胃壁の緊張低下状態
(1)症状
心窩部膨満感、悪心、食欲不振
易疲労感(疲れやすい)
(2)診断
X線検査
(3)治療
一回の食事量を減らす
食後30分から60分は右側臥位が良い
適切な運動、十分な睡眠
腹筋の強化
・薬物
精神安定剤
☆興奮を抑えて食欲を抑える
胃の運動促進剤
消化薬

■3)胃神経症とNUD
(1)胃神経症
器質的病変がなく、機能的ないしは神経症的反応で、上腹部症状を訴えるもの
・上腹部症状
食欲不振、腹部膨満感、上腹部痛、悪心嘔吐、胸焼け、げっぷ
(2)NUD
☆ノンアルサーディスペプシア
症状は胃神経症と類似するが、精神的なものの影響が少ないもの
①分類
・胃食道逆流型
胃液が食道に逆流したような症状が出る、逆流性食道炎と似た症状が出る
☆食道の炎症は起こっていない
・運動不全型
過敏性腸症候群と症状が重なる
腹部膨満感、食欲不振、もたれ感
・潰瘍症状型
夜間痛、上腹部痛
食物の摂取や制酸薬の接種で痛みが止まる
・非特異型
上記以外のタイプ
☆診断には心理テストが用いられる

■4)胃腫瘍
・胃腫瘍の種類
胃癌、胃肉腫、胃ポリープ、胃腺腫、胃粘膜下腫瘍
(1)胃癌
胃粘膜上皮に発生する癌
①疫学
日本人の発症率が高い(世界一)
癌全体の80%
注):男子においては肺癌の方が多い
・多発年齢:50~60代がピーク
・男女比:男>女 2:1
②分類
・早期癌:癌の浸潤が粘膜下層にとどまるもの
・進行癌:癌の浸潤が粘膜下層以上に及ぶもの
★リンパ節への転移の有無は問わない
ア.ボールマンの分類
Ⅰ型(限局隆起型)
限局性の隆起を作るものでその表面に大きい潰瘍,びらんの形成がない(ポリープ状)
Ⅱ型(限局潰瘍型)
限局性の潰瘍を作るが周辺には浸潤しないもの
Ⅲ型(潰瘍浸潤型)
潰瘍を形成し、さらに周辺に癌の浸潤が及ぶもの
Ⅳ型(びまん浸潤型)
瀰漫(びまん)性の浸潤をきたすもので,潰瘍はあっても浅く小さい
スキルス(硬性癌)が大多数
女性は30代~40代が多い
☆びまん=蔓延する
③好発部位
幽門側2/3の小弯側
組織的には腺癌が多い
④転移
リンパ行性転移することが多い
ア.リンパ行性転移
・左鎖骨上窩リンパ節転移が最も多い
=ウィルヒョウ腺腫大(ウィルヒョウ転移)
☆胃だけでなく、上部内臓の癌の転移に多い
・門脈や後腹膜のリンパ節に転移することもある
イ.血行性転移
肝臓、肺、骨、腎臓などに転移することが多い
★肝臓が最も多い
ウ.播種性転移
癌細胞が組織液の中を落ちていって転移する
ダグラス窩(直腸子宮窩)や卵巣に転移することが多い
・ダグラス窩への播種性転移:シュニッツラー転移
⑤原因(参考)
刺激性の強い食べ物、ニトロン化合物によって誘発されるとされる
⑥症状
胃癌の特徴症状はない
種々の上腹部の不定症状が出現
無症状の場合もある
★切除不能のものに症状が出ることが多い
盛り上がる型のものより、引っ込んでいる型の方が症状が出やすい
・一般的症状
腹部の膨満感
疼痛(潰瘍を形成しているものに多い)
癌の進行により、嗜好の変化が見られることがある
☆肉、魚を好まなくなったり
末期ではリンパ節転移、体重減少、貧血、浮腫などが出現
・噴門部の癌の症状
嚥下困難、嚥下痛
・幽門部癌の症状
上腹部の膨満感、嘔吐
⑦検査所見
ア.理学的所見
・早期癌では異常をみとめない
・進行癌
上腹部の腫瘤、腹水
リンパ節転移により、リンパ節がはれてくる
イ.X線検査
・ボールマンⅠ型
陰影欠損として描写される
☆癌の部分が黒い影のように写る
・ボール万Ⅱ、Ⅲ型
不整形のニッシェとその辺縁の隆起として描写
・ボールマンⅣ型
辺縁が硬化、不整に写る
粘膜の肥厚、硬化を呈し、ドカン状に写る
ウ.内視鏡検査
ボールマンの分類と一致した所見が見られる
エ.生検
☆組織診のこと
癌の確定診断に不可欠
ボールマンのⅣ型は偽陰性になることもある
オ.臨床検査所見
便潜血反応の持続的陽性
貧血
血清鉄の低下
☆鉄の吸収には胃酸の働きが必要なので
血清タンパクの低下
血沈促進
☆消化吸収が妨げられるので
⑧経過と予後
早期癌:5年生存率92%
進行癌:手術後の5年生存率30~45%
⑨治療
・切除
早期癌:切除化膿なものは積極的に切除
進行癌:基本的には切除を行う
・化学療法
抗がん剤などの薬物投与
・内視鏡的治療
開腹するまでもない小さな癌に対して
・放射線療法

■5)胃炎
(1)急性胃炎
①概念
化学的、機械的、物理的刺激により惹起された(引き起こされた)、胃粘膜の急性炎症傷害で、急性の腹部症状をともない、
数日、ないし数週で治癒するものをいう
②成因による分類
ア.急性外因性胃炎
・急性単純性胃炎
暴飲暴食、薬物(NSAIDや抗生物質など)によって引き起こされる
アルコール、コーヒー、喫煙なども
・急性腐食性胃炎
腐蝕剤(酸、アルカリ、重金属塩など)の誤飲による
イ.急性内因性胃炎
・急性感染性胃炎
細菌やウィルスの感染によって起こる
インフルエンザウィルス、肺炎球菌、腸チフス菌など
・急性化膿性胃炎
連鎖状球菌、ぶどう球菌など
③症状
・通常、原因があってから短時間のうちに食欲不振、上腹部症状が出現
☆上腹部症状:悪心、嘔吐、上腹部痛
これらの症状が数時間から数日間続く
原因が除去されれば自然に消退
④治療
原因の除去
食事を1,2回抜き、胃の安静をはかる
水分の補給
薬物療法

(2)慢性胃炎
①概念
胃粘膜の表層胃炎から始まって、萎縮性胃炎の過程を経て、胃萎縮にいたるまでをいう
萎縮性胃炎が中心
・表層性胃炎の特徴
表層性胃炎では胃腺の萎縮は見られない
粘膜固有層に形質細胞とリンパ球の浸潤が見られる
・肥厚性胃炎
胃腺の萎縮はあるが、炎症所見がない
②萎縮性胃炎とは
胃腺の減少、消失を本体とするびまん性の胃の病変である
固有胃腺の減少が特に多い
☆粘膜、胃腺の減少が症状の中心
☆加齢により多くの人は胃腺が減少する
胃の間質にはリンパ球やプラズマ細胞の浸潤が見られる
☆プラズマ細胞=形質細胞
③原因
原因は明らかでない
ピロリ菌の関与、加齢など
④症状
特有症状はない
・萎縮性胃炎の一般的症状
疼痛(鈍痛が多い、痛みが出ない場合も)
膨満感
胃の存在感の自覚
食欲不振、胸焼け、げっぷ
低酸無酸症状をきたすことが多い
⑤合併症
胃癌との関連性が無視できない
悪性貧血を見ることが多い
⑥治療(参考)
萎縮を改善し、胃腺を再生することはできない
・薬物治療
制酸剤、粘膜保護剤、消化酵素薬、精神安定剤など
☆病理を細かく説明してあげるのが体節

■6)胃切除後症候群
胃切除に伴う、残胃の狭小化および、胃より小腸への食物の通過促進などに基づく、主として機能的な障害を意味する
☆実際は器質的病変も含む
(1)ダンピング症候群
①概念
食後20分ぐらいに起こる上腹部症状とともに、血管運動性の全身症状(全身不快感、発汗、心悸亢進など)を示すもので、一般的にはこれらの症状が術後数ヶ月以上存在し、かつ数ヶ月以上続くもの
★胃癌よりも胃潰瘍での切除による発生頻度の方が高い
☆炭水化物が空腸にそのまま流れ込むことにより、浸透圧によって組織から腸内に水分が流れ出し、体内の水分が減少する
②症状
・早期症状
食後20分ぐらいで現れる
上腹部症状、血管運動性の全身症状が含まれる
・後期症状
食後低血糖症候群ともいわれる
食後、2~3時間後に出現
冷や汗、脱力感、めまい、眠気
☆高張な食物が腸内に流れ込み、一過性の高血糖に続くインスリン過剰によって低血糖が起こる
③合併症
栄養摂取不足が起こる
→貧血
④経過と予後
自然に軽快することが多い
一般的に予後は良好
☆一年ぐらいで治るのでは
⑤治療
過食、炭水化物の多い食事で症状が誘発される
食事は少量ずつ頻回行う
たんぱく質の多い食事をとる
運動は症状を増悪させる
精神的緊張をさける
・薬品
抗ヒスタミン剤
胃粘膜の局麻薬など

(2)輸入脚症候群
①概念
ビルロートⅡ法の残胃で輸入脚になんらかの通過障害があると輸入脚内に内容の鬱滞を起こし、大量の十二指腸液が貯溜し、それに基づく症状をきたす
嘔吐によって内容が排除されれば症状が消失する
このような症状を繰り返すもの
☆ビルロートⅡ法:胃の途中と十二指腸の途中をつなげる方法。十二指腸の前半は残してある状 態
ビルロートⅠ法:胃の切断部と十二指腸の先頭をつなげる方法
☆輸入脚
十二指腸のあまりの部分
☆手術ミスなどで起こる
②症状
食後10~20分に悪心、腹部不快感、疼痛が起こる
この症状が数分から数時間持続した後に、胆汁の混ざった内容物の嘔吐が起こる
嘔吐後は種々の症状が消失
③経過
解剖学的要因が除去されない限り症状が繰り返される

(3)その他
・吻合部潰瘍
手術で吻合させたところに潰瘍尾が発生するもの
ビルロートⅠ法では十二指腸にビルロートⅡ法では空腸に潰瘍ができやすい
・貧血
悪性貧血、鉄欠乏性貧血
・消化吸収障害、下痢
・逆流性食道炎
全摘出の際に起こりやすい
・残胃炎
・骨障害
栄養の吸収傷害による

3.腸疾患
■1)腸炎(急性腸炎)
①概念
腸炎(急性腸炎)とは、一般に臨床症状からつけられる診断名で、
腹痛、下痢を主な特徴とし、急性に経過するものをいう
②症状
・腹痛
小腸の炎症では臍周辺
大腸の炎症では結腸の走行にそって発する
・下痢
回数は多いが量は少ない
テネスムス(裏急後重、しぶり腹)
(1)感染性腸炎
①急性細菌性腸炎
・急性細菌性腸炎の原因菌
黄色ブドウ球菌
腸炎ビブリオ
サルモネラ菌
ボツリヌス菌
毒素原性大腸菌
カンピロバクター
腸チフス
コレラなど
②慢性細菌性腸炎
・慢性細菌性腸炎の例
腸結核
③ウィルス性腸炎
エンテロウィルス
アデノウィルス
コクサッキーウィルス
肝炎ウィルス
など
④その他
原虫(アメーバ赤痢)
真菌(カンジダ、放線菌)
エイズ

(2)薬剤性腸炎(抗生物質起因性腸炎)
①偽膜性腸炎
・原因薬剤
クリンダマイシン、リンコマイシン
・投与後3週間前後で発症
・欧米に多い
・中高年層に好発
☆偽膜:リンパ球その他の組織が集まって、膜状をていすもの
・症状
発症は緩徐
腹痛、下痢等が1~数週間継続
病変部はS状結腸や直腸が多い。コレラの部では偽膜が見られる
②出血性腸炎
主に合成ペニシリン(特にアンピシリン)で発症する
わが国に多い
投与数日後に発症
青年、壮年に多く、女性に多い
病変部:下行結腸より口側
治療:対症療法

(3)アレルギー性腸炎
小児のミルクに対するアレルギー
①症状
・急性型
胃腸炎症状
全身の浮腫、腹水、脱水
・慢性型
貧血、喘息、湿疹、じんま疹
間欠的な下痢や腹痛
②治療
食事からのミルクの除去
ステロイド剤の投与

(4)放射線照射性腸炎
腹部臓器の悪性腫瘍に対する多量の放射線照射によって発生する、腸の慢性炎症
☆放射線腸炎は数ヶ月から数十年後に発病することもある
・症状
悪心嘔吐、下痢、腹痛
出血、穿孔、腸管狭窄など

■2)過敏性腸症候群(過敏性大腸)
(1)概念
腸管の機能異常であって、器質的変化はなく、便通異常を主とする、各種不定の腹部症状を伴うもので
これらの症状が長く続き、また症状の発現に心身医学的な側面が強いもの
(2)疫学
成人に発症することが多い
女性に多い
知的労働者に多い
・患者の性格的特長
攻撃的、環境にうまく適応できない
絶えず緊張している状態
(3)病理
腸管自体の神経(腸管神経叢など)や筋の異常はあまり見られない
・分類
下痢型
便秘型
下痢、便秘交替型
粘液分泌型
ガス優位型
(4)症状
便通異常(下痢、便秘)
腹痛(下腹部痛が多い、心窩部痛もあり)
★排便前に痛みが起こる。排便後は痛みが消える
自律神経症状
★めまい
精神症状
★不安など
(5)経過と予後
持続する
完全な治癒は困難
予後は良好
(6)治療
心身医学的アプローチが必要
その他一般養生法
・薬剤
トランキライザー(緊張を抑える)
抗コリン薬(鎮痛)
止痢薬は無効であることが多い

■3)潰瘍性大腸炎
(1)概念
主として粘膜を侵し、しばしば糜爛や潰瘍を形成する原因不明の大腸のびまん性非特異性炎症。
☆非特異性:その症状を見て病名が特定できないということ
慢性に経過し増悪と寛解を繰り返す特徴がある
初発部位は直腸またはS状結腸が多い(周囲に病巣が広がっていく)
(2)疫学
白人、ユダヤ人に多い
☆黒人、日本人には少ない
20代が最も多く、30代、40代と続く
(3)原因
原因は不明
☆諸説ある
細菌感染説
粘液分解酵素の傷害作用説
粘膜再生機能の変化
アレルギー反応
(4)分類
①病変の広がりによる分類
・全大腸炎
すべての大腸に炎症
・左側大腸炎
横行結腸の途中ぐらい
・直腸炎
直腸に限局
②病期による分類
・活動期
・寛解期
③重傷度による分類
・軽症
全身症状がないか、あってもきわめて軽微
・中等症
軽症と重症の中間
・重症
発熱、頻脈等の全身症状を伴う
④臨床経過による病型分類
・再燃寛解型
最も多いタイプ
・慢性持続型
症状が6ヶ月以上持続するもの
・急性電撃型
きわめて激烈な症状で発症するもの
中毒性大腸拡張症(巨大結腸)、穿孔、敗血症などの合併症を伴う
予後不良である
★中毒性大腸拡張症(巨大結腸)
炎症によって結腸が拡張する
・初回発作型
発作が一回きりのもの
しかし、再燃寛解型に移行しやすい

(5)病理
病変の主体は粘膜下層までに限られる
粘膜表面の発赤、易出血性びらん、潰瘍を形成
病変は連続的であって、罹患部では全周にわたって病変が見られる
腸管相互の癒着はない

(6)症状
主要症状は下痢、血便
・軽症
下痢も血便も少なく、全身症状もほとんどでない
・重症
下痢と血便の回数が増える
発熱、頻脈、食欲不振、体重減少など全身症状
・急性電撃型
大量の出血、著名な下痢で発症
合併症の出現

(7)検査所見
・理学的所見
中等症以上では大腸の走行にそって圧痛が見られる
中毒性大腸拡張では著名な膨隆がみられる
・内視鏡検査
臨床上きわめて重要な検査
・一般検査
中等症以上では、白血球増多
赤沈の亢進
低色素性貧血
A/G比の低下
CRP陽性
★CRP:リウマチ熱、RA(間接リウマチ)、耳下腺炎などでもCRP陽性になる
★CRP=C反応性蛋白試験
炎症、感染症などによって増殖するある種の蛋白の増加を試験する
・X線検査
罹患範囲の決定、炎症の程度を知るために利用される

(8)合併症
①腸管に関連する合併症
・大出血
・中毒性大腸拡張症(巨大結腸)
・穿孔
・腹膜炎
・癌化
②腸管外病変
・結節性紅斑(皮膚)
・関節縁(大間接が多い)
・脂肪肝
・ぶどう膜・角膜・虹彩炎
・貧血
など

(9)経過と予後
・急性電撃型
予後不良
(死の転帰をとることも)
・その他の型
増悪と寛解を繰り返しながら慢性に経過
生命の予後は良好
・癌化する確率は1~2%

(10)治療
安静
精神面のケア
食事では、線維の多い食物は避ける
アルコール、コーヒー、牛乳をさける
・薬物(参考)
サラゾフルファビリジン
5-アミノサリチル酸
☆抗コリン剤は巨大けっちょを引き起こすので用いない
・外科手術による患部の摘出

■4)クローン病
(1)概念
腸に好発する非特異性肉芽腫炎である
原因は不明だが、自己免疫機序がもっとも有力
(2)疫学
・好発年齢
若年者(特に20代)が多い
・好発部位
回盲部に好発
(3)症状
発熱、腹痛、下痢
低たんぱく血症
貧血、体重減少
(4)合併症
患部の閉塞
瘻孔
狭窄

■5)虫垂炎
(1)概念
虫垂の急性炎症
・発生機序
虫垂の閉塞
→虫垂に分泌物の貯溜
→虫垂の拡張
→虫垂の血行不全(免疫低下)
→感染の発症
・閉塞の原因(参考)
糜粥、スイカの種
(2)症状
・疼痛
心窩部痛から始まり、回盲部に移動(持続的で牽引性の痛み)
☆高齢になると疼痛を感じにくかったりもする
・圧痛
・悪心、嘔吐
・発熱(37~38度程度)
・排ガス、排便停止が見られることも
(3)検査所見
①疼痛の現れる場所
・マックバーネ点
臍と右上前腸骨棘を結ぶ線の外3分の1の点
・ランツ点
左右の上前腸骨棘を結ぶ線を3等分した右外方3分の1の点
・グラドー点
左右の上前腸骨棘を結ぶ線が、右腹直筋外延と交わる点
・モンロー点
右上前腸骨棘と臍を結ぶ線で、右腹直筋外縁
②徴候(重要)
・ブルンベルグ徴候
回盲部を手で圧迫し、急に手を離すと疼痛が増加する現象
・ローゼンシュタイン徴候
左側臥位で圧痛点を圧迫すると、仰臥位での圧迫より疼痛が増加する現象
・ロブジング徴候
下行結腸を逆蠕動性に圧迫すると回盲部に痛みを感じる現象
・腸腰筋症状
左側臥位で右股関節を過伸展させると、回盲部に痛みが出現する現象
(腸腰筋の炎症)
・直腸指診
直腸前壁右側に圧痛があれば小骨盤腔内に炎症が波及しているとみられる
③筋性防禦(デファンス)
壁側腹膜の刺激症状
(腹膜に炎症が起きることによって腹直筋が硬く収縮する)
④その他の所見
白血球数の増加(病変に比例して)
白血球の核の左方転移

(4)合併症
腹膜炎(限局性のものから全体に及ぶものまで)
直腸周囲膿瘍

(5)経過と予後
・初期は化学療法で対応可能
・穿孔を起こす前に適切な処置をすることが大切
・小児は経過が早い
・老人は経過が遅いために、予後不良になることがある

(6)治療
・白血球数が1万を超えれば手術

■5)大腸癌
(1)概念
大腸の上皮性悪性腫瘍
(2)疫学
・好発部位
直腸、S状結腸
直腸の方が多い
・性差
少し男性に多い
・好発年齢
60歳代(50歳代と続く)
・日本人の大腸癌
増加傾向
(3)原因
原因は不明
・誘因
高脂肪食と低食物繊維食
①多段階発ガン説
発生機序についての節
正常上皮→中間病変→癌と変化する
遺伝子が関与するとされる
・遺伝子の関与の仕方
癌抑制遺伝子(APC)の欠失、変異により腺腫が発生
→癌遺伝子(K-ras)の突然変異、活性により、腺腫の高度異型化
→癌抑制遺伝子(P-53)の欠失や変異があると腺腫の癌化が起こる

(4)大腸癌の発生機序による分類
①通常癌
多段階発ガン説が受け入れられているもの
大腸癌の95%を占める
②遺伝性癌
家系的に大腸癌が多発するもの
③炎症癌
潰瘍性大腸炎などの炎症に伴って発生するもの

(5)症状
出血、便通異常、疼痛が3主症状
・右側結腸癌
便通異常は比較的起こりにくい。軟便になりやすい
比較的強い症状が出にくい
・左側結腸癌
狭窄症状が出現し、便秘が起こりやすい
腹痛の頻度が高い
出血もしばしば見られる
・直腸癌
排便時の不快感、残存感、テネスムス、粘血便、下痢、便柱不整(細くなることが多い)
腹痛は比較的少ない

(6)検査所見
①理学的所見
・上行結腸癌
腫瘤を触知することが多い
・直腸癌
直腸指診で80%が指診可能
②便潜血反応
陽性となる
③X線検査
アップルコアサイン
…肛門側の腸管に口側の腸管が入り込む
④内視鏡検査も行う
⑤CEA(胎児性癌抗原)
陽性となる

(7)経過と予後
胃癌よりは良好
肝臓に転移しやすい

(8)治療
早期発見による切除が基本

■6)イレウス(腸閉塞)
(1)概念
腸管内容の通顆が傷害された状態
(2)分類
①閉塞性イレウス(単純性イレウス)
異物、糞塊に基づく、腸管の屈曲や、腫瘤による圧迫によって発生
メタリックサウンド(金属製雑音)が見られる
②絞扼性イレウス
腸重積、S状結腸捻転症、脱腸などが含まれる
腸間膜血管の血行停止を引き起こす(重要)
①と②を合わせて機械的イレウスという
③麻痺性イレウス
腹膜炎、開腹手術後に発生することが多い
腸管の蠕動がなくなる
④痙攣性イレウス
鉛中毒などで発症
③と④を合わせて帰納的イレウスという

(3)病理
腸管の拡張
体液phの異常
上部閉塞による嘔吐
…胃液喪失によるアルカローシス
下部閉塞による嘔吐
…HCO3-喪失による代謝性アシドーシス
腸内細菌増殖、およびそれに伴うエンドトキシン増加によるショック、敗血症
呼吸障害、循環障害(横隔膜が押し上げられることによる)

(4)症状
・主要症状
疼痛、悪心、嘔吐(ひどいときは吐糞)
排便・排ガス停止
鼓腸、蠕動不穏
・絞扼性イレウスが最も症状が強い

(5)治療
保存的療法と外科的療法
①保存的療法
絶食、輸液による電解質補給
消化管内容物の吸引
薬物療法
②外科的療法
主として絞扼性イレウスに適用

4.肝臓疾患
■1)肝炎(急性ウィルス性肝炎)
(1)概念
肝炎ウィルスによって起こる伝染性疾患である
(2)肝炎ウィルス
①A型肝炎ウィルス(HAV)
流行性肝炎、伝染性肝炎を起こす
経口感染が中心(飲料水を介して流行することも多い)
慢性化することはほとんどない
②B型肝炎ウィルス(HBV)
母子感染(垂直感染)、輸血、性交による感染が多い
キャリアのままのことも多い
慢性化することもある(3割程度)
劇症肝炎になる比率が高い
・抗原・抗体について
HBs抗原:HBVの表面抗原
HBe抗原:HBVの芯抗原、感染力が強い状態で検出される
HBc抗原:HBVの芯抗原
HBs抗体:B型肝炎の治癒時に検出される
②C型肝炎ウィルス(HCV)
慢性肝炎になりやすい
輸血による感染が多い
肝硬変や肝がんに移行しやすい
④D型肝炎
非経口感染
B型肝炎との重複感染が多い
⑤E型肝炎
経口感染する
妊婦が感染すると重篤化しやすい
⑥G型肝炎ウィルス(HGV)
輸血により感染

(3)症状
①潜伏期
感染し発症するまでの期間
・A型:15~50日
・B型:50~180日
・C型:15~180日
②前駆期
1~2週間継続
軽い全身倦怠、食欲不振
悪心嘔吐、腹痛、発熱
頭痛、関節痛、肝腫大(圧痛が現れる)
★A型肝炎では比較的発熱が高く、38℃を超えることがある
☆風邪のような症状
③黄疸期(1~2ヶ月)
皮膚のかゆみ、褐色尿、淡色便、黄疸
・黄疸期の極期(黄疸期の1~2週間後)
自覚症状は改善傾向
自覚症状が増悪してきた際は、激症肝炎の可能性が出てくる
④回復器
食欲の回復、全身倦怠感の消失
肝の腫大はあっても、圧痛は消失

(4)検査所見
・血清ビリルビン
20ミリグラム/デシリットル以上になることは少ない
直接型ビリルビン値が優位に上昇
・血清タンパク
A型はB型に比べ、IgM、チモール混濁試験が異常値を示すことが多い
☆IgM:γグロブリン
・血清酵素
血清トランスアミラーゼのGOT、GPTが他の酵素に先んじて高値をとる
上昇率はGOT<GPTになることが多い
回復とともに他の化学的検査に先んじて改善傾向が見られる
ALP γーGTP、血清鉄なども上昇
・尿、糞便
尿中ビリルビン値の上昇(黄疸に先んじて見られる)
一時淡色便になる
・肝炎ウィルスマーカー
A型肝炎の診断は血中IgM型HA抗体の検出により診断
B型肝炎の診断は血中HBs抗原やIgM型HBC抗体の検出により診断
C型肝炎の診断はamtiーC100-3、第2世代HCV抗体、第3世代HCV抗体の検出により診断
D型肝炎の診断はHDV抗体、Igm型HDV抗体の検出、HDV-RNAの検出により診断可能

(5)経過と予後
急性ウィルス性肝炎の予後は良好
通常、一ヶ月以内に黄疸や自覚症状が消退する
3ヶ月以内に化学的検査は正常化する

(6)治療
原則は安静にし、少なくとも一ヶ月は臥床休養が必要である
☆寝ることで肝臓への血流量を増やす
バランスのとれた食事(カロリー量、蛋白量に配慮)
最低6ヶ月は経過観察が必要
B、C型肝炎に対し、インターフェロンの投与が有効とである場合もある

■2)慢性肝炎
(1)概念
慢性肝炎とは6ヶ月以上、肝に炎症が持続、あるいは持続していると思われる病態である
・進行過程
慢性持続性肝炎から慢性活動性肝炎をていし、肝がんまたは肝硬変に移行することが多い
(3)成因
・ほとんどが肝炎ウィルス
B型:30%、C型:50~70%
・アルコール性の肝炎、薬剤、自己免疫因子によって起こることも
・発症は30~50歳代が多い

(4)病態生理
抗原抗体反応が強くないために、持続的炎症が起こる
門脈域を中心とした持続性の炎症が起こり、円形細胞の浸潤と線維の増生により、門脈域の拡大が見られる

(5)症状
・自覚症状
全身倦怠、食欲不振、体重減少が持続
特定症状はなし
褐色尿や黄疸、皮膚創痒感、腹部膨満感なども出てくる
・他覚症状
肝腫大、脾臓腫大、クモ状血管腫、手掌紅斑

(6)検査所見
①生化学検査
ZTT、TTT(チモール混濁試験)などの膠質反応が上昇(蛋白が増える)
BSP、ICGなどの色素排泄試験の遅延
GOT、GPTの上昇(急性肝炎ほどには上昇しない)、GOT<GPTの経口が強い
血清アルブミン、コリンエステラーゼ、総コレステロールなどは低下することがある(特に病状が進行すると)
②ウィルスマーカー
B型:HBVDNAポリメラーゼなどの持続的陽性は、滑動性病変を示す
C型:HCV抗体陽性でHCVRNAの陽性は持続性感染を示す
③肝生検
本疾患の確定
活動性、非活動性の判別
④その他
腹腔鏡検査
CTスキャン、超音波検査、核医学検査(MRIなど)

(7)治療
・障害因子の除去
肉体的精神的疲労の除去、アルコールや薬物を摂取停止
・安静
・食事療法(急性肝炎と同じ)
①薬物療法
・B型
ステロイド離脱療法
…ステロイドを投与後、投与を停止する療法
インターフェロン
ステロイドとインターフェロンの合併療法
・C型
インターフェロン療法
インターフェロンとリバビリンとの併用療法

(8)経過と予後
慢性肝炎から肝硬変への移行率は8~20%
活動型の慢性肝炎は肝硬変に移行しやすい

■3)自己免疫性肝炎
(1)概念
肝臓における自己免疫反応の持続が、進行性の肝細胞の破壊の原因となっている、びまん性炎症性肝疾患
(2)疫学
女性に多い
☆ウィルスの関与が否定できて、γグロブリンが2.5グラム/デシリットル以上になったものをいう
(3)症状
潜行性に発症し、緩徐に進行する
倦怠感、黄疸、食欲不振、発熱、関節痛、発疹など
膠原病の合併もある
(4)治療
ステロイド剤、免疫抑制剤
(5)予後
早期発見、早期治療では予後良好
治療が遅れれば肝硬変に移行することも

■4)劇症肝炎
(1)概念
肝細胞の広汎ないし、亜広汎壊死、または急激な肝機能不全に基づいて急性感不全症候群をていする疾患
☆肝炎症状が現れてから8週間以内に上記のような状態になる
意識レベルが2度以上になる
プロトロンビン時間の延長など
(2)疫学
原因の90%はウィルス性肝炎(特にB型が多い)
その他としては薬剤による(吸入麻酔薬など)

(3)症状
・自覚症状(意識障害出現までの症状)
不定の消化器症状、全身倦怠、発熱、不眠
黄疸出現以後もこれらの症状が持続する
・他覚症状
肝性脳症(意識障害など)の出現
黄疸(急激に進行し、強く出現)

(4)検査所見
・肝機能検査
血清ビリルビン、アンモニア値の上昇
GOT、GPT、アルブミン、総コレステロール、コリンエステラーゼ値の低下
・血液凝固試験
プロトロンビン時間の40%延長
・血清遊離アミノ酸の増加
・脳波の異常
徐波の出現、三相波(意識障害が現れるため)
・腹部超音波、腹部CT
肝臓の縮小や壊死が現れる
・頭部CT
脳浮腫の出現

(5)予後
きわめて不良
☆生存率:20~35%
生命をとりとめたとしても、壊死後肝硬変へ移行することが多い

(6)治療
できるだけ早急に硬度の集中治療管理体制のもとで治療する

■5)肝硬変
(1)概念
慢性ウィルス性肝炎を主とする慢性肝疾患の終末期であり、肝全体に及ぶ線維化と壊死後の結節(再生結節)形成を特徴とする
(2)病因
・肝炎ウィルスによるもの
最も多いのはC型、続いてB型
慢性肝炎の肝硬変への移行率は20~40%
・アルコール性肝炎
・代謝異常
ヘモクロマトーシス、ウィルソン病
・胆汁うっ滞
・心不全
☆血流が悪くなるため
・肝毒性の強い薬剤や毒物
☆例:アサリ中毒、黄変米など、ピーナッツ油
・栄養障害
☆アルコールとの組み合わせで起こることが多い
・寄生虫
…日本住血吸虫など
・自己免疫異常
(3)病態生理
肉眼的結節形成
門脈域間、中心静脈間の核壁形成
肝小葉構造の改築
☆肝細胞壊死→炎症→線維の増生→再生結節の形成→循環悪化→さらに多くの肝細胞壊死
(4)検査
・血液生化学検査
GOT、GPTの中等度上昇
アルブミン減少
γグロブリン上昇→AG比の低下
TTの上昇
血小板、コリンエステラーゼ、プロトロンビンなどの減少
血中アンモニアの上昇(肝性口臭のもと)
…。アミン臭
ICG(インドシアニングリーンという色素)の血中停滞率上昇

(5)症状
・自覚症状
初期は無症状
食欲不振、体重減少
不定の消化器症状、腹部の膨満感
性欲低下、月経異常
・他覚症状
クモ状血管腫(顔面、前胸部、肩、上肢などに発声)
手掌紅斑(母指球、小指球などに)
色素沈着、赤鼻
顔面血管の拡張
女性化乳房
つめの変化(割れやすくなるなど)
太鼓ばち指
黄疸
肝の硬度増加と変形
発熱、出血傾向
・門脈圧亢進症状
側副血行路の発達
→メズーサの頭、食道静脈瘤の形成、痔
腹水
脾腫
・末期症状
吐血、下血、昏睡など
肝腎症候群を併発
・代償期の症状
クモ状血管腫、手掌紅斑
女性化乳房、太鼓ばち指
脾腫、肝腫
★代償期
肝細胞が死滅していきつつあるが、残存肝細胞によって肝機能が保持されている時期
・非代償期の症状
発熱、黄疸
出血傾向、消化管出血
門脈圧亢進症
口臭、昏睡
羽ばたき振戦

(6)合併症
原発性肝癌
耐糖能異常(糖尿病を引き起こす)
胃腸管の障害(消化管潰瘍など)
胆石症

(7)経過と予後
・肝がんを合併していないものの5年生存率は50%を超える
・ただし、B型ウィルスによる肝硬変の予後は比較的悪い
・飲酒群と非飲酒群では生存率に有意な差がでる

(8)治療
安静と適切な食事療法
アルコールや刺激物は避ける
☆高蛋白の食事は、アルコール性肝硬変にはいいが、ウィルス性肝硬変にはよくない

■6)肝がん
A.原発性の上皮性腫瘍の肝細胞がんを扱う
(1)原因
・肝臓毒
黄変米
クロロホルム)
四塩化炭素
塩化ビニル
合成ホルモン薬(ピルなど)
・肝炎ウィルス(特にB型)
・栄養性因子(低栄養地域での発症が多い)

(2)疫学
アフリカや東南アジアに多い
発生頻度は胃癌、肺癌につぐ
男性に多い
50~70代に多い
肝硬変との合併は約70%

(3)症状
・肝硬変と合併することが多いので、肝硬変の症状が現れる
・がんの進行によって、肝の急速な腫大、肝の表面に腫瘤を触知
・肝細胞癌随伴症状
低血糖、赤血球増多症
高コレステロール血症、高カルシウム血症
・病変が腹膜に及ぶと
激しい右悸肋下部痛
・肝がんの末期症状
黄疸、血清腹水

(4)検査所見
αフェトプロテイン(AFP)の上昇(腫様マーカー 重要)
☆AFP:通常は胎児の肝細胞で作られる蛋白。原発性肝がんで出やすい
CEAも異常をていする
☆大腸癌でより出やすい
異常プロトロンビンが出現する患者の確率は50%
☆異常プロトロンビン=PIVKAー2
LDHの上昇
GOT/GPT比が3以上になる
アルカリフォスファターゼ、γGTPの上昇
☆アルカリフォスファターゼ:変換酵素の一種

(5)経過と予後
・還願の予後
不良
・肝がんの主要な死因
消化管出血
・初発症状から1年、診断から7、8ヶ月で死亡することが多い

(6)治療
教科書参照

B.転移性肝がん
(1)転移の機序
・原発性肝癌と転移性肝癌の発症比率=1:2
・血行性、リンパ行性によるものが35~50%
・原発巣:胃がんが最も多い。ついで肺がん、乳がん、膵臓がんと続く
(2)症状
・基本的に原発性肝がんと同様
・肝腫大が原発性肝癌よりも著しく現れる
・原発性肝癌と異なる点
アルカリフォスファターゼは異常値を示す(70%以上のケースで)
☆肝臓への転移を疑う指標となる
AFPの上昇率は低いが、CEAの上昇率は高い
腹腔鏡検査では癌臍が見られる
☆癌臍:癌細胞の中で帯白黄色の部分
(3)予後
原発性肝がんよりも悪い

■7)脂肪肝
(1)概念
通常、肝重量の約34%が脂肪であるが、これが10~12%以上増加したものを脂肪肝という
☆脂肪量が肝重量の半分を超えたら完全に脂肪肝
(2)原因
肥満、アルコール摂取
肥満型の糖尿病
栄養障害(菜食主義)
中毒性肝障害(薬物、毒物など)
循環障害
(3)検査所見
・肝生検で肝細胞と脂肪の比率をみる(最終的には)
・血清トランスアミラーゼ値やコリンエステラーゼ値の上昇

■7)胆石症
(1)概念
胆道系にできた結石を胆石といい、それによる疾患を胆石症という

(2)疫学
・発生頻度
日本人の胆石保有率:7~8%(欧米の方が高い)
・胆石の成分
ビリルビン系結石、コレステロール系結石が中心
☆栄養状態不良の人はビリルビン系、肥満の人はコレステロール系が多い
・胆石の所在
胆嚢内:90%
胆管内:10%程度
・性差
男:女=1:2

(3)成因
①コレステロール系結石
胆嚢などの炎症性変化による
(胆汁酸やレシチン(アミノ酸)の吸収が盛んに)
→コレステロール濃度上昇
→コレステロールが核になり結石形成
・危険因子
飽和脂肪酸の多い食事
②ビリルビン系結石
胆汁の鬱滞と細菌感染(大腸菌が中心)により発声

(4)症状
・胆石症の3主症状
疝痛発作(右悸肋部、心下部)
発熱、黄疸
①疝痛発作
脂肪性の食事のとりすぎ、暴飲暴食によって誘発
→数時間を経て突然発症
・発作時間
数十分から1時間前後
・悪寒、戦慄、発熱、黄疸などの症状は、疝痛発作に伴って現れる
②間欠期
所見に乏しい
(5)検査
・超音波検査が有効
・胆道造影法
・CTスキャン
・胆汁検査
・血液生化学検査
血清トランスアミナーゼの活性化
ALP、γーGTP、アミラーゼの上昇
☆膵液が上手く分泌できず、鬱滞した膵液が血液に入り込んでしまうので、血液中にアミラーゼが検出される
(6)合併症
・胆嚢炎
・胆管炎
・胆嚢水腫
・胆嚢穿孔、それによる腹膜炎
・胆石イレウス

(7)経過と予後
・大きさがあまり変化しないもの
40%
・大きさが拡大していくもの
38%
・趾前障失礼
コレステロール系欠席に多い
6~8%

(8)治療
①急性期
・疼痛
鎮痙薬
麻酔薬(中枢性)…ものすごく痛いので
・炎症
抗生物質
②間欠期
・食事療法
過度の脂肪食、過食
アルコール。刺激物を避ける
規則正しい食生活
・薬物
排胆薬(胆石排出を促す)、催胆薬(胆汁分泌促進)
☆二つあわせて利胆薬
胆石溶解薬
・その他の療法
体外衝撃波胆石破砕療法

5.膵疾患
■1)急性膵炎
(1)概念
自己の産生・分泌する消化酵素によって、膵組織が消化される病態
(2)原因
・肝臓、胆道疾患が多い
☆胆石症と合併したりもする
・アルコール
アルコールの直接障害、血流低下など
・術後膵炎
☆術後数日で発症、神経や血管を傷つけたことによる
・その他
出産(原因不明)、
高脂血症
甲状腺機能亢進症
高カリウム血症
糖尿病
耳下腺炎(ムンプス)

(3)疫学
・30~50歳代に好発
・アルコール性の膵炎は男性に多い
・胆道疾患による垂炎は女性に多い

(4)病態生理
・急性間質性膵炎(急性浮腫性膵炎)
膵炎の多くを占め、比較的軽症
・急性壊死性膵炎(急性出血性膵炎)
症状が強い
☆劇症膵炎とも言われる、死に至る場合も
・急性化膿性膵炎
症状が強い
☆死に至る場合も

(5)症状
・腹痛
激烈で、症状が多様
心窩部から左悸肋部にかけて現れる
・デファンスの出現
・背部への痛みの放散
・姿勢
背臥位では痛みが増強
前屈位では痛みは軽減
患者はニーチェスとポジションをとる
・嘔吐、発熱、黄疸、腹水、腹部膨満、便通異常
・腹水が血清腹水となることがある(腹水自体現れない場合もあるが)
臍周囲の皮膚が青色になる=カレン徴候
側腹部の皮膚が青くなる=グレイターナ徴候
予後不良の徴候

(6)検査所見
①血液検査(重要)
・アミラーゼ、リパーゼが上昇
(数日すると尿中にもアミラーゼが出てくる)
☆重症膵炎ではアミラーゼの分泌自体がなくなるので、血液にアミラーゼが現れない場合もある
・耐糖能低下
・白血球増加
・血清カルシウムの著名な低下

(7)予後
壊死型は予後不良
☆壊死型では3割死亡

(8)治療
・食事
発病後数日間は絶食
十分な補液と電解質補給
回復に従いたんぱく質の摂取量を増やす
脂肪は極力避ける

■2)慢性膵炎
(1)概念
膵炎としての臨床所見が6ヶ月以上持続、または継続していると思われる状態
(2)病態生理
外分泌腺の分泌低下
脂肪の吸収障害
内分泌腺の分泌低下
☆膵管の狭窄、結石をみることも

(3)原因
・アルコールの過剰摂取
☆5割り以上
・胆石症
・急性膵炎からの移行
・高脂血症、糖尿病、甲状腺機能亢進症

(4)症状
・腹痛
夜間、食後(脂肪や甘いもの、アルコールを多くとったとき)
・腹部の腫瘤
左上腹部に横走する
・その他
便秘、体重減少、微熱、黄疸
☆増悪期で見られる

(5)検査所見
・PS試験の陽性
☆パンクレオザイミン・セクレチン試験
パンクレオザイミン=コレシストキニン
☆陽性:セクレチン、コレシストキニンの分泌が低い
・血清および尿中アミラーゼ増加
☆急性膵炎ほどではない
・血糖値の上昇および動揺
☆動揺=糖負荷試験の異常
・尿中PABAの出現
☆PABA:パラアミノ安息香酸

(6)合併症
・糖尿病
・胆道狭窄
…腫脹した膵臓の圧迫による
・十二指腸狭窄
…腫脹した膵臓の圧迫による
・膵潰瘍
…自己消化による
・膵癌
・肝障害
…胆汁うっ滞などによる
・精神症状

(7)治療
・食事療法
過食をさけ、低脂肪食にする
嗜好品をさける(煙草、酒、コーヒー)

■3)膵癌
(1)疫学
・男性に多い
・50~60歳代に好発
・悪性腫瘍の約2%を占める
・がんによる死亡の第4位
☆発見しにくい
・発生部位
頭部が3分の2
体部、尾部と続く
・組織学的には約8割が膵管癌(膵管上皮細胞のがん)
約1割が腺房細胞癌
膵島細胞がんもある

(2)症状
①初期
不定愁訴、または無症状のことが多い
②中期(初期を過ぎた後)
・腹痛
…食後や夜間に心窩部から左悸肋部に出現
持続的な痛み(ニーチェスとポジションをとることが多い)
・黄疸
…膵頭部がんでは高率に出現
閉塞性黄疸のため、肝腫大や胆嚢腫大が出現(=クールボアジェ徴候)
・その他
皮膚のかゆみ、灰白色便

(3)診断
・腫瘍マーカー
CAー19―9
CEA
POAなど
いずれも有意性は高くない

(4)治療
・早期発見が困難
・5年生存率
切除例:約10%
姑息手術:約1%
・対症療法が中心





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