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生理学ノート00「生理学ノート」

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生理学ノート全文

◆題1章 生理学の基礎
生理学は生物が起こす生命現象の維持を明らかにすることを目的としたもの。
ここでは、人体生理学を取り扱う、
1.生理学の特徴
1)生命現象
生物が示す生命の営みのこと

2)生体の恒常性
ア.外部環境
生体外の常に活動し変化する環境のこと
イ.内部環境
生体を構成する細胞をとりまく細胞外液の状態のこと。1865年、フランスのクロードベルナールによって提唱されたもの。

ウ.ホメオスタシス(内部環境の恒常性)
生体の内部環境が安定に保たれているしくみのこと。アメリカのウォルターキャノンが提唱した

3)細胞・組織・器官・器官系・固体
ア.細胞
細胞の数は成人ではおよそ60兆個に達する。最大200マイクロメートル、1~30マイクロメートルぐらいのが多い。
イ.組織
同じ種類の細胞が集合して、構成される
上皮組織、支持組織、結合組織、筋組織、神経組織がある。
ウ.器官
これらの組織が一定の配列のもとに、組み合わされてひとつの機能を営む、心臓や肺などがある。
エ.器官系
いくつかの器官が集まって、構成されている神経系・感覚系・運動系・呼吸系・循環系などがある。

p4
2.細胞の構造と働き
ア.細胞の構造
人の細胞は基本的に細胞膜、細胞質、核より構成され、細胞質中には細胞小器官が存在する。p5の細胞のイメージ図を参照。

イ.細胞の形態
細胞の大きさは直径1~30マイクロメートルのものが多い。形状は、星型や球形や板状などさまざまである。神経細胞のように神経線維(生理学ではせんいを繊維と書く)が1メートルを超えるものもある。

****************************************
4月15日
p5
ウ.細胞の構成成分
a.分子レベル
水…60%※水が一番多い)
有機物33%
無機物(マグネシウム、ナトリウムなど)…7%

b.原始レベル
H水素、O酸素、C炭素、N窒素
→全体の96%を占める
その他の原子
→Ca、P、S、K、Na、Mg、Cl など

1)細胞膜の構造と機能
細胞内に存在するすべての物質を外界と隔てている。細胞は細胞膜を介して必要なものを取り込み、不要なものを排出している
ア.細胞膜の微細構造
細胞膜はたんぱく質と脂質(重荷リン脂質)より成る。厚さ75オングストローム(7.5ナノメートル)。細胞膜にはリン脂質分子が規則正しく配列しており、二重の層を作り、各々は疎水基を内側にして並ぶ。そこにさまざまな形をしたたんぱく質が分布する。外側は親水基

イ.細胞膜の性質
・半透性…水、酸素、二酸化炭素、アミノ酸などは通りやすいが、たんぱく質などのような大きな分子は通りにくいこと
・イオンについては選択的な透過性を持つ
・脂質に溶けやすい物質(ビタミン、ステロイドなど)は、比較的幕を通りやすい

p7
2)核
核は球形で、核膜におおわれている
核膜には、核膜孔があり、ここを物質が出入りする(DNA情報をコピーしたRNAが外に出て行ける)
核は通常、一個ないし数個の核小体を含む
核小体はリボソームを合成する場である
核には固体の形質を関するすべての遺伝情報を持った、DNA(デオキシリボ格さん)が存在する。これは、ヒストンを主とするたんぱく質と結合して染色質(クロマチン)と呼ばれる複合体で存在するが、細胞分裂の際に凝集して染色体(クロモソーム)を形成する
******************************************************
4月16日
★核のある細胞を真核細胞、ないものを愿核細胞という(参考まで)

(1)DNAの構造
DNAはリン酸と糖と塩基からなるヌクレオチドが鎖状につながった高分子化合物である。ヌクレオチドの鎖が二本無機愛互いの塩基同士で結合して、二重らせん構造を形成している。二重螺旋構造を形成する際、決まった組み合わせでのみ行われる。これを相補性という

★DNAを構成する糖=デオキシリボース
★ヌクレオチド(リン酸、糖、塩基の組み合わせでできたすべてのものをヌクレオチドと呼ぶ)
○ - △ - □
リン酸 糖 塩基
★塩基の種類
アデニン、グアニン、チミン、シトシン
A:T G:C

p8
(2)細胞分裂とDNA
体細胞分裂の際、核内の全DNAは正確にコピーされて、まったく同じDNAが合成され、新しい細胞に受け継がれる。

(3)たんぱく質の合成
DNAには細胞が作り出すたんぱく質合成に関するすべての情報が含まれている。RNA(リボ核酸)は細胞特有のたんぱく質合成に重要な役割を持つ。

ア.RNA
ヌクレオチドが一本の鎖状になっている伝令RNA(メッセンジャーRNA)、運搬RNA(トランスファRNA)、リボソームRNA(rRNA)がある。

******************************************
4月19日
★RNA(リボ核酸)
糖:リボース
アデニン:ウラシル、グアニン:シトシン

イ.タンパク質合成の仕方
核内でDNAの二重螺旋の一部がほどけて一本の鎖となり、その部分の塩基配列を写し取ったメッセンジャーRNAが合成される。これを転写という。
メッセンジャーRNAは、核膜孔より細胞質に出て、粗面小胞体にあるリボソームと結合し、転写した遺伝情報のアミノ酸配列を指令する。
その際、トランスファRNAが細胞質内から、必要なアミノ酸をリボソーム上へ運び、アミノ酸が連結し、たんぱく質が合成される。これを翻訳と言う。

★RNAは核から出てリボソームへ向かう。
★転写は核内で、翻訳はリボソームで

p10
(4)DNAと遺伝子
DNAのすべての塩基配列をカタカナで「ゲノム」という。
人のゲノムは約30億延期対。
DNAは数百から数十万の塩基配列が集まって一つの遺伝情報を示す
=遺伝子
ヒトには約3万個の遺伝子があるといわれている

3.細胞質
細胞質は液状の細胞質基質に満たされている。細胞質基質は細胞の形を作る、たんぱく質(細胞骨格)で構成されている。
これらのたんぱく質は細胞内の輸送や情報伝達にも関与する
細胞質内には細胞小器官が存在している

4.ミトコンドリア
内外二枚の膜からなる、棒状の小器官。内膜のところどころは、内方に向かってクリステと呼ばれるひだを作る。細胞のさまざまな活動のエネルギー減となるATP(アデノシン三リン酸)を大量に合成、供給する装置

5.小胞体とリボソーム
小胞体は細胞質内で網状に広がる小器官。表面にリボソームを持つものを粗面小胞体、持たないものを滑面小胞体
リボソーム:たんぱく質合成の場、リボソームRNAとたんぱく質からなる
滑面小胞体:細胞によって機能がことなる。
(例)肝細胞:物質の合成や分解に関与

6.ゴルジ装置
扁平な袋が重なった小器官。粗面小胞体から出る蛋白性の分泌物の、濃縮やそれを細胞外に排出する働きを持つ。

7.リソソーム(ライソソーム)
膜に包まれた袋状の小顆粒。細胞質内に散在する加水分解酵素を多く含んでおり、不要な物質の分解処理を行う。

8.中心体
一対の円筒状の小体。細胞分裂の際に働く。

◆物質代謝のしくみ
1.同化と異化
ア.同化
細胞が材料となる物質をとりいれ、細胞内で新しい物質を合成すること

イ.異化
不要になったものを分解処理したり、エネルギーを取り出す反応のこと
エネルギーを取り出す材料に使われるのは、主として糖質・脂質
たんぱく質が使われるのは、飢餓などの異常な場合のに

ウ.物質代謝
同化や異化の過程でさまざまな物質を作り出したり、エネルギーを放出したりすること

************************************
4月20日
p13 p156
2.解糖と内呼吸
グルコースを分解してATPを取り出す過程。
ア.解糖
酸素を必要としない過程。グルコースが細胞質内で酵素の働きにより、ピルビン酸になる。2ATPが生成される。
イ.クエン酸回路(TCA回路、クレブス回路)、電子伝達系
p159の図を参照
クエン酸回路は酸素を必要とする、電子伝達系では酸素をもとにエネルギーを取り出す。
両方ともミトコンドリア内で行われる
クエン酸回路で2ATP、電子伝達系で34ATPがごうせいされる
電子伝達系(=酸化的リン酸化)…水素と酸素からみ図を生成することによってエネルギー(ATP)を取り出す

ウ.内呼吸
細胞質内で起こる解糖とミトコンドリア内での酸素の供給下で起こる反応系を合わせていう。
生じたエネルギーの一部は、ATPの形で残され他は熱になる。
1モルのグルコースから38モルのATPが得られる

◆4.体液の組成
体液:身体を構成している水分を体液
体液は体重の約60%。
■1)体液の区分と移動
(1)体液の区分
細胞内液:体重の約40%
細胞外液:体重の約20%
・細胞を取り囲む間質液(体重の約15%)
・血液中の血漿(体重の約5%)
上の二つは欠陥によって隔てられている(成分としてはほとんど同じ)

*****************************
4月21日

(2)体液の移動
細胞内液と細胞外液を隔てている細胞膜や、間質液と血漿を隔てている血管は半透性を備えている
このため、水や体液に溶けている物質の内あるものは、これらの膜を通って移動することができる。

■2)体液のイオン
(1)体液のph
7.35~7.45(非常に狭い範囲に一定に保たれている)
ア.生体の酸塩基平衡
体内で酸性物質やアルカリ性物質が作り出されたり、またそうした物質が対外から入ると体液(主として血液)中の緩衝系が働いて体液にphを7.4付近に維持する機構(弱アルカリ性)

(2)体液の浸透圧
体液の浸透圧は約290ミリosmol/リットル
ア.体液の主なイオン
a.陽(+)イオン
・Na+ナトリウムイオン:細胞外液中の陽イオンの中の約90%を占める
・K+カリウムイオン:細胞内液中に多く存在
・Ca2+カルシウムイオン:大部分が骨に存在
・Mg2+マグネシウムイオン
・H+水素イオン
b.陰イオンん
・Clー塩素イオン:細胞外液中に多く存在
・HCO3ー重炭酸イオン:
・HPO4^2-リン酸イオン
・タンパク質陰イオン:細胞内に多い

*************************************
4月22日
p17
■3)体液量と水分の出納バランス
健康成人の体液量は常にほぼ一定である。
健康人の一日の水交換量は通常焼く2.5リットル
体内に新しく加わる水分の大部分は、飲料水と食物中に含まれる水分である
このほか、体内において食物の酸化によってできる水分が、約10%である

5.物質の移動
(1)拡散
物質(溶質分子)が濃度の高い方から低いほうに移動する現象
細胞膜がある物質に対して透過性を持つ場合、その物質は拡散で移動する
(2)浸透
半透膜によって、溶質濃度の異なる溶液を隔てると、膜を透過できない溶質分子は拡散できないので、変わりに水の分子(溶媒)が溶質濃度の高い方へ移動する現象のこと
このとき生じる圧力を浸透圧という

(5)ろ過
ろ紙を通すと、水や小分子のものは通り抜けるが、大きな粒子のものは通ることができないで残ることをいう
ろ過には圧力が必要である

★(1)、(3)、(5)を合わせて受動輸送と呼ぶ

(3)能動輸送
物質の濃度勾配にさからって、物質を細胞内に取り込んだり、細胞外に運び出したりする仕組みのこと
この現象は、ATPを使って行われる

(5)膜動輸送(サイトーシス)
ア.食作用
細胞膜がある物質に接触すると、膜に凹みが生じてそこから小胞になって細胞内に取り込まれる現象のこと
ex.白血球が外的を食べてしまう時とか
イ.飲作用
取り込まれる物質が液体の場合にいう、食作用と同様
ウ.開口放出
細胞の内から外に物質を放出すること
ex.ホルモンの分泌など

********************************************
4月23日
6.細胞膜の電気的性質
■1)静止電位
すべての細胞は制止時において細胞の内側は外側に対してマイナスになっている
この電位のことを静止電位という
神経細胞の場合、約-60~-90ミリボルトの負電位を示す
ア.機序
細胞内外のイオン分布の相違による
→細胞外はNa+やCl-が多く、細胞外はk+やタンパク質陰イオンが多い
K+は細胞膜にある狭いチャネルを通過できるが、タンパク質陰イオンは通過できない
k+は拡散によって細胞内から細胞外へ流出する
k+は細胞内のたんぱく質印イオンに、電気的に引き寄せられ細胞外から細胞内へ流入する
この流れのつりあった電位が静止電位に非常に近い

a.ナトリウムポンプ(ナトリウムカリウムポンプとも)
エネルギー(ATP)を使って、濃度勾配に逆らってNa+を細胞内から細胞外へ送り出す仕組みのこと
細胞膜はわずかながらNa+を透過する

細胞外に多いNa+が細胞内へ

ナトリウムポンプ

イオン分布を維持

***************************
4月26日
p272
■2)活動電位
ア.活動電位(インパルス、スパイク)
刺激が脱分極(閾値)に達すると、細胞膜の内外の電位差が一過性に変化する
このとき生じた電位のことをいう
持続時間はニューロンの場合、ミリ秒単位である
★脱分極:負の膜電位がゼロの方向に向かうことである
★閾値が高→感受性が弱
閾値が低→感受性が強

イ.全か無の法則
閾値以上の刺激であれば、刺激強度の大小とは無関係に一定の形と大きさの活動電位が発生すること

p274のグラフ参照
ウ.脱分極相
活動電位が発生している時、ナトリウムイオンのまくの透過性が急速に増加し、細胞外のナトリウムイオンが濃度勾配にそって細胞内に流入する
★上昇のはじめから頂点まで

エ.再分極相
活動電位がゼロを超えてプラスになるにつれて、膜のカリウムイオンに対する透過性が増加して、細胞内のカリウムイオンが細胞外へ流出するために、活動電位は頂点に達したのち、急速に低下して再び負の静止電位に戻る時期のこと
★頂点から下って過分極を過ぎて静止電位に戻るまで

オ.オーバーシュート
ゼロを超えてプラスになる活動電位のこと

カ.過分極
静止電位より膜電位が陰性方向に変化すること
★活動電位発生中に流入したナトリウムイオンと流出したカリウムイオンは、ナトリウムポンプでもとの状態に戻される

キ.絶対負応期
活動電位の上昇相と下降相の大部分で、新たに細胞が興奮できない時期

ク.相対負応期
絶対負応期終了後の、細胞が興奮しにくい時期
この時期は活動電位を誘発するための閾値が高くなり、活動電位の大きさも通常より小さくなる

p156
7.
2.三大栄養素の働き
■1)糖質
炭素、酸素、水素からなり、水素と酸素の割合が2:1となる
淡水化物ともいわれる
(1)糖質とは
①単糖類
糖質の最小単位
グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、フルクトース(果糖)
(参考)デオキシリボース、リボースも単糖類

②二糖類
単糖類が二個結合したもの
・ショ糖(スクロース)は、グルコースとフルクトースが結合
・乳糖(ラクトース)はグルコースとガラクトースが結合
・麦芽糖(マルトース)はグルコースとグルコースが結合
③多糖類
単糖類が多数結合したもの
でんぷん、グリコーゲン、、セルロースはいずれもグルコースが多数結合したもの

*******************************
4月27日

(2)糖質の働き
糖質は主に生命活動のエネルギー源としてはたらく
グルコースは血液中にもっとも多く含まれる単糖類
血液中のグルコースを血糖という
血糖は必要に応じて書く細胞にとりこまれエネルギー源となる
糖質の一部は糖鎖や核酸、アミノ酸、脂質の合成にりようされる

■2)脂質
(1)脂質とは
水に不溶な分子である
主な成分は炭素、酸素、水素である
含まれる水素と酸素の割合は2:1ではない(糖質と違う)
他の栄養素と比べ、高いエネルギーを出す
貯蓄エネルギーとして重要

①単純脂質
アルコールと脂肪酸が結合した物質をいう
食物中の単純脂質の大部分は中性脂肪(トリグリセリド)である
中性脂肪は一分子のグリセリンと三分子の脂肪酸からなる
②複合脂質
タンパク質など他の物質と結合している脂質をいう
リンを含むリン脂質(細胞膜など)、糖を含む糖資質、たんぱく質を含むリポタンパクなど
③誘導脂質
脂質の分解産物のうち、脂溶性を示すものをいう
脂肪酸、脂溶性ビタミン、ステロイド

★必須脂肪酸:対外から取り入れるしかない脂質
・リノレン酸
・リノール酸
・アラキドン酸

(2)脂質の働き
①エネルギー源
トリグリセリドはエネルギー源として重要で、特に貯蔵エネルギーとして重要
つまり、余分な中性脂肪は皮下や内臓の脂肪組織に蓄えられ、必要に応じて分解され血中へ放出、利用される
②細胞膜の構成成分
リン脂質は細胞膜の主成分であり、コレステロールは細胞膜に強度を与える
糖脂質は細胞表面で膜の認識機構などに関与する
③各種化合物の原料
コレステロールは胆汁酸やステロイドホルモンの前駆物質となる(からできる)

④物質の運搬
血液中の脂質はタンパク質と結合して水溶性のリポタンパクを形成する
リポタンパクは比重の小さいものから、以下のように分けられる
・キロミクロン(カイロミクロン)
・超低密度(低比重)リポタンパク
・低密度リポタンパク(LDL)
・高密度リポタンパク(HDL)
・超高密度リポタンパク
LDLはコレステロールを運搬する働きがあり、HDLは血管壁に蓄積したコレステロールを除去するはたらきがある
★タンパク質の法が重くて脂質のほうが軽い
タンパク質の割合が高まるにしたがって名前が変わる

■3)タンパク質
(1)タンパク質とは
タンパク質は炭素、水素、酸素、以外に窒素を含む
多数のアミノ酸がペプチド結合して作られる
体内で合成できるアミノ酸を非必須アミノ酸といい、体内で合成できず対外から摂取すべきアミノ酸を必須アミノ酸という
アミノ酸からなるものを単純タンパク質
他の物質と結合しているものを複合タンパク質という

★必須アミノ酸
メチオニン
トリプトファン
ロイシン
バリン
スレオニン
フェニルアラニン
リジン
イソロイシン

★成長期にのみとる必要のある、準必須アミノ酸もある

(2)タンパク質の働き
タンパク質は身体の主要な構成成分である
細胞内で行われるぬっしつ代謝に必要な控訴の材料だけで なく、筋収縮、免疫など、ほとんどの生体機能に関与する

===============
第2章 血液
===============
1.血液の組成と働き
ア.特徴
血液は比重1.06、ph7.4の液体
体重の約13分の1(8%)
血漿と細胞成分(赤血球、白血球、血小板)よりなる
血液の容積の55~60%が血漿、45~50%が細胞成分

*******************************************
5月6日

イ.主な働き
・物質の運搬:ヘモグロビンが酸素を運んだり
・内部環境の恒常性の維持
・身体の防御
・止血作用

■1)赤血球
(特徴)
無核
多量のヘモグロビンを含む
(役割)
主としてO2の運搬
CO2の運搬やPhの運搬

(1)形状と数
・直径 約7~8マイクロメートル
・厚さ:約1~2マイクロメートルの円盤状
・両面の中央がくぼんでいる
・1立方ミリメートル中に、成人男子で約500万個、成人女子で約450万個存在する
(2)ヘマトクリット(ヘマトクリット値)=赤血球容積比
全血液容積に占める赤血球容積の割合のこと
正常値は成人男子:45%、成人女子:40%
貧血で低下、脱水で上昇
(3)赤血球沈降速度(血沈、赤沈)
一時間で赤血球が沈降した長さのこと
赤血球の凝集度、血漿の粘性、赤血球の数などに左右される
正常値は成人男子:10ミリメートル以下、成人女子:15ミリメートル以下
数々の化膿性疾患、悪性腫瘍、重症の貧血で高くなり
赤血球増多症、ある種の肝疾患では低くなる
(4)ヘモグロビン(血色素、Hb)
ア.ヘモグロビンの構造と役割
グロビンというタンパク質とヘムという鉄を含む分子が結合したもの
O2、CO2の運搬や、血液のPhの緩衝に重要である
イ.ヘモグロビンと酸素の結合
ヘモグロビン1グラムは1.34ミリリットルのO2と結合可能
成人では約14~16グラム/デシリットルを含む
つまり、血液1デシリットルあたり、約20ミリリットルのO2を運ぶことができる

★酸素と結合したヘモグロビンを:酸素化ヘモグロビン
酸素を話したヘモグロビン:脱酸素化ヘモグロビン
★動脈血の色:鮮紅色
静脈血の色:暗赤色

ウ.CO2の運搬
一部はヘモグロビンと結合して運ばれ、大部分は重炭酸イオン(HCO3-)として運ばれる

(5)新生と寿命
ア.新生
赤血球は主に骨髄で産生される
幹細胞→前赤芽球→赤芽球→(脱核)→網状赤血球→赤血球
と分化成熟する
新生にはタンパク質、脂質、糖質などのほかに異化の因子が必要
a.エリスロポエチン
腎臓から分泌されるホルモン
骨髄に作用して赤血球新生をうながす
酸素不足が数日間続くと分泌が増加
b.抗貧血ビタミン
ビタミンB12や葉酸は骨髄における赤血球新生を促すビタミン
ビタミンB12が小腸から吸収されるには、胃液に含まれる内因子と結合しなければならない
c.鉄
ヘモグロビンの構成材料として不可欠
イ.寿命
約120日
一日に約1%が破壊され、新しいものと置き換わる

p29の絵参照
(6)破壊
脾臓の細網内皮系で溶血または食作用 によって破壊される
★細胞が古くなると細胞内皮のフィルターを通り抜けられなくなり、つまる。そこを食作用で食べられて破壊される
ア.ビリルビン
ヘモグロビンはヘムとグロビンに分解され、ヘムは鉄をはなしてビリルビンになる
この時点ではビリルビンは不溶性(=間接ビリルビンまたは非抱合型ビリルビン)
アルブミン(タンパク質)と結合して肝臓へ運ばれる
肝臓でグルクロン酸抱合を受けて、水溶性となる(=直接ビリルビン、抱合型ビリルビン)
胆汁の成分として、十二指腸に排泄される
腸内で最近の作用により還元(酸素を話す))され、ウロビリノゲンとなる
約80%は糞便中に排泄される
約20%は腸から吸収され、その一部は尿中に排泄され、一部は肝臓から再び腸管へ排泄される(腸肝循環)

***************************************
5月10日
イ.鉄・グロビン
鉄は肝臓や脾臓に蓄えられ、赤血球新生に再利用される
グロビンも再利用される
★血液中のビリルビン濃度は正常成人で0.2~1.2ミリグラム/デシリットルだが、約2ミリグラム/デシリットルを越えると黄疸が認められるようになる

(7)溶血
赤血球膜が壊れ内部のヘモグロビンが細胞外に流出する現象のこと
細胞外に出たヘモグロビンは酸素運搬能を失う
ア.原因
・低張液に入れたとき
★低張液:濃度の薄い液(水など)
・細菌の毒素
・血液型不適合輸血
・振動、超音波などの物理的刺激
・表面活性などの科学的刺激
など

(8)貧血
赤血球またはヘモグロビン量が減少した状態、それに伴う症状のこと
粘膜、結膜、皮膚、爪の色に反映される→蒼白色
全身倦怠、頻脈などの症状がでる
ア.原因
・栄養不足
・骨髄の障害
・溶血
・エリスロポエチンの分泌障害
など

p31
■2)白血球
(1)種類と形状
・赤血球より大きく、有核である
・種類
顆粒球…好中球、好酸球、好塩基球 に分類
酸、塩基、両方の物質に染色される
単球、リンパ球
・白血球中の割合
1.好中球(50~70%)
2.リンパ球(約30%)
3.単球(5%)
4.好酸球(1~2%)
5.好塩基球(1%未満)

(2)数
平均5000~9000個/リッポウミリ

(3)機能
ア.食作用
細菌などが進入した時、白血球が遊走し、それらを取込み分解、消化すること。
好中球と単球でこの作業が著しい
好中球を小食細胞とも言う
血中から組織中へ出た単球をマクロファージ(大食細胞)
好中球は炎症初期、単球は慢性期に出現

イ.抗体の産生
リンパ球は免疫機構をつかさどり、主にT細胞とB細胞に区別される
T細胞は直接抗原を攻撃し、B細胞は形質細胞となって抗体を産生し、それが抗原を攻撃する

(4)新生と寿命
次のように分化成熟する(この流れは暗記する必要なし)
・幹細胞→骨髄系幹細胞→骨髄芽球→骨髄球→顆粒球
・幹細胞→骨髄系幹細胞→単芽球→前単球→単球
・幹細胞→リンパ系幹細胞→リンパ芽球→前リンパ球→リンパ球

顆粒球の寿命は2~14日、
リンパ球の寿命は数日間~数十年までさまざま
老化した白血球は脾臓で破壊される

■3)血小板
(1)形状と数
直径2~5マイクロメートルの円板状をした無核の細胞
血液1立方ミリメートル中に15~40万個存在

(2)機能
ア.止血
a.血管収縮
血管が傷害されると、それが刺激となり血管が収縮する
→傷害部位の血流が減少
b.血栓(p34の絵参照)
血小板は血管壁の傷害部位の露出した膠原線維に付着
血小板からセロトニン(血管収縮に働く)やADP(血小板の凝集を促進する)などが萌出される
血小板はADPによって凝集し、血小板血栓を傾性する
c.血液凝固
血管収縮、血小板血栓傾性による止血は、一時的なものであり、続いて血液凝固が起こり止血が完了する

(3)新生と寿命
次のように分化成熟
幹細胞→巨核芽球→巨核球→血小板(巨核球の突起が血中に分泌されたもの)
寿命は5~10日、老化した血小板は脾臓で破壊

■4)血漿
(1)成分と機能
血漿は淡黄色の液体
①組成
水分…91%
タンパク質…7%
脂質…1%
糖質…0.1%
無機質…0.9%
②水
・物質の運搬
・溶解(成分を溶かす)
・血圧の維持
などに重要
③電解質(イオン)
・大部分はNa+とCl-である
・ミネラルの補給、体液の浸透圧やPh維持などに関与
★血漿と同じ濃度の食塩水(0.9%)を生理的食塩水
④血漿蛋白
血漿中に溶けているタンパク質のこと
その濃度は7.5グラム/デシリットルである
アルブミン、グロブリン、フィブリノゲンに分類される
アルブミンがもっとも多く、これらの60~70%を占め、次にグロブリンが多い。フィブリノゲンが一番少ない
アルブミンとグロブリンの比をA/G比という(正常では1.5から2.0)

ア.アルブミン
肝臓(※)で作られる
細胞へのアミノ酸の供給源である
血漿の膠質浸透圧の維持に関与する
★膠質浸透圧:血漿と細胞の間質液ではタンパク質の濃度が違う。血漿の方が濃いので間質液から血漿へ浸透圧がかかる
血液の酸、塩基平衡に特に関与する

イ.グロブリン
α1、α2、Β、γの四種類
・α1、α2、Β
肝臓で作られる
ホルモン(α1が甲状腺ホルモン)、ビタミン、鉄(α2)、銅(β)などの運搬に関与する
・γグロブリン
γグロブリンは形質細胞から作られ、抗体として免疫反応に関与する(リンパ球の働きを参照)

ウ.フィブリノゲン
肝臓で作られる
血液凝固に関与する

⑤糖質、脂質
細胞のエネルギー源となる

⑥老廃物
尿素、尿酸、クレアチンなど

(2)緩衝作用
血液のPhは通常7.35~7.45だが、酸または塩基が加えられてもそれによるPhの変化を緩和する作用のこと

*****************************
5月13日(緩衝作用の続き)
①血液の緩衝系
ア.重炭酸緩衝系
H+ + HCO3-(重炭酸イオン) ←→ H2CO(炭酸) ←→ CO2 + H2O
血中に酸が入ると、重炭酸イオンの働きにより弱酸炭酸へ変化する、その後水と二酸化炭素に分解され、二酸化炭素は肺から排出される
★H+があると酸性に傾く

イ.リン酸緩衝系
血中のリン酸濃度にはこの系の寄与は少ない
H+ + HPO4^2- ←→ H2PO4

ウ.血漿タンパク緩衝系
血漿タンパクも酸の中和に関与
特にアルブミンが括約

エ.ヘモグロビン緩衝系
ヘモグロビンは酸素とくっつくと水素イオンを放出しやすく、酸素をはなすと水素イオンとくっつきやすい
末梢では水素イオンと結合して酸を中和する

★酸塩基平衡の維持をつかさどるもの
①血液の緩衝作用
②肺:CO2の排出
③腎臓:H+の排泄、重炭酸イオンの再吸収

(3)アシドーシス、アルカローシス
血液のPhが正常範囲を超えて酸性側に傾いた状態をアシドーシス、アルカリ性側に傾いた状態をアルカローシスという
呼吸性によるものと、代謝性によるものとがある

ア.呼吸性アシドーシス
呼吸器疾患などで呼吸が傷害され、CO2が体内に蓄積した場合に起こる
イ.呼吸性アルカローシス
過換気により、CO2が過度に排出された場合に起こる
ウ.代謝性アシドーシス
糖尿病などで酸性物質が蓄積した場合などに起こる
エ.代謝性アルカローシス
激しい嘔吐による胃液中のHClの喪失によって起こる
★ここでいう酸性、アルカリ性は基準と成るPH7.35より高いか低いかで決まる

**************************************************
5月14日
p37
2.血液凝固の仕組み
ア.血餅
血液は血管外に出ると5~10分以内にゼリー状の塊となる
これを血餅という
イ.血清
血餅はやがて退縮して硬くなり、透明な淡黄色の液体がでる
これを血清という
血清=血漿 - (フィブリノゲン + 凝固因子)

→ア、イの流れが血液凝固

(1)血液凝固系
①第1相
種々の血液凝固因子が活性化される相
血漿に由来する内因性凝固機序と組織に由来する外因性凝固機序
ア.内因性凝固機序
血管が傷害されたりして血液が異物と接触すると、血漿中の第XⅡ因子、第XⅠ因子、第Ⅸ因子が次々に活性化される
活性第Ⅸ因子はカルシウムイオンと第Ⅷ因子の存在下で血小板因子と反応して第10因子を活性化する
★異物進入で12因子活性化

第11因子が活性化、

第9因子が活性化

第9、8因子、カルシウムイオン、血小板因子と反応

イ.外因性凝固機序
組織が破壊されて組織液が血液に触れると、組織中に存在する第Ⅲ因子(組織因子)が血漿中の第Ⅶ因子を活性化させる
活性第Ⅶ因子はカルシウムイオンの存在下で、血漿中の第Ⅹ因子を活性する

②第2相
トロンビンが生成される相
活性第Ⅹ因子は血小板因子(第Ⅴ因子)、カルシウムイオンの存在下で血証中のプロトロンビンを活性化してトロンビンに変える
ア.プロトロンビン(第Ⅱ因子ともいう)
ビタミンKの存在下において肝臓で産生される

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5月17日
③第3層
フィブリンの生成される層
トロンビンがフィブリノゲン(線維素原)に作用して可溶性のフィブリン(線維素)の重合体ができる
この重合体に活性第13因子とカルシウムイオンが作用して、不溶性のフィブリン網が作られる
フィブリン網に血球が捕らえられ血液凝固が完了する

(2)線維素溶解(線溶)系
血管内で一度凝固した血液は、血管が完全に修復されると、再び溶解する
この現象はまずプラスミノゲンがプラスミノゲンアクチベーターの作用により活性型のプラスミンとなる
このプラスミンの作用により、フィブリンが分解される
ア.プラスミノゲンアクチベーター
血管内皮細胞や尿、唾液、涙液、など汗以外のほとんどの分泌液中に存在する

(3)凝固阻止物質
ア.ヘパリン
肝臓に存在し、アンチトロンビンⅢの作用を増強し、トロンビンを不活性化する
イ.アンチトロンビンⅢ
トロンビンや第Ⅹ因子と結合してその働きを抑制する
ウ.プロテインC、プロテインS
第Ⅴ因子と第Ⅷ因子を不活性化する
エ.クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、EDTA
試験管内の血液凝固阻止としてカルシウムイオンを除くために用いられる

3.血液型
(1)ABO式血液型
ア.凝集原
赤血球の膜に存在するA、Bの二種の抗原(凝集原)の有無によって分類される
Aのみを持つもの:A型
Bのみを持つもの:B型
AB両方持つもの:AB型
AB両方持たないもの:O型
イ.凝集素
血漿中には凝集原に対するα、βの二種の抗体(凝集素)が含まれる
A型:βをもつ
B型:αを持つ
O型:両方持つ
AB型:両方もたない
ウ.凝集反応
Aとα、Bとβの組み合わせで起こる
エ.遺伝子型
ABO式血液型はメンデルの法則にしたがって遺伝する
OはAとBに対して劣性で、ABの間には優劣はない
A型:AA、AO
B型:BB、BO
O型:OO
AB:AB

(2)Rh式血液型
Rh因子は赤血球の膜にある抗原で、アカゲザルの赤血球にあるものと同じためこのように名づけられた
Rh因子を持つ人をRh陽性(Rh+)、持たない人をRh陰性(Rh-)という
日本人の99.6%がRh+である
輸血を繰り返す場合や妊娠時に問題になる
★Rh-の人にRh+の血液を輸血すると一度目のときに抗体ができて、二度目以降は抗原抗体反応が起こる
Rh-の母親がRh+の子供を二回以上妊娠したとき

5月18日
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第3章 循 環
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1.心臓血管系
■1)体循環と肺循環
ア.体循環(大循環)
左心室→大動脈→動脈→各組織→静脈→大静脈→右心房
組織へのO2や栄養素の供給、組織からのCO2や老廃物の除去
イ.肺循環(小循環)
右心室→肺動脈→肺の毛細血管→肺静脈→左心房
血中のCO2が肺より呼気中に排出され、吸気中のO2が肺より血中に取り込まれる
ウ.血液が体内を一循環する時間
心臓から流出した血液が心臓に戻るには安静時の成人の場合、約1分を要する
エ.安静時の各期間への血液分布
脳:15%
心臓:5%
肝臓:26%
腎臓:25%
骨格筋:17%
皮膚、骨、その他:12%
■2)動脈と静脈
心臓から出る血管を動脈、心臓へ入る血管を静脈という
動脈と静脈の間には、一般に毛細血管が存在する
体循環の動脈波動脈血を静脈は静脈血を運ぶが、肺動脈は静脈血を肺静脈は動脈血を運ぶ

******************************
5月19日
2.心臓
■1)心臓の構造と機能
心臓はにぎりこぶし大の中空器官でポンプとして働く
右心房、右心室、左心房、左心室の四つの部屋からなる
右心房と左心房の間を心房中隔
左心暴徒左心室の間を心室中隔
右心房と右心室の間にある弁を三尖弁(右房室弁)
左心房と左心室の間にある弁を二尖弁(僧帽弁、左房室弁)
左心室と大動脈の間にある弁を大動脈弁
右心室と肺動脈の間にある弁を肺動脈弁
弁は一方向のみ開き、逆流を防ぐ
また、心房が収縮して約0.16秒遅れて心室が収縮する

■2)心筋の基本的性質
心筋とは特殊な横紋筋である
心筋には収縮に適した固有心筋と興奮と伝導に適した特殊心筋がある
心筋は自動能を持ち、不随意筋。自律神経の支配を受ける
ア.固有心筋
心筋細胞は互いに介在板によって吻合している
介在板にはギャップ結合という電気抵抗の著しく低い部分があり、電気的な興奮が洋医に伝わる仕組みになっている
このため、心筋に域値以上の刺激が加わると、すべての細胞が興奮して心房、心室おのおのがあたかも一個の細胞のように機能する
→機能的合胞体
ただし、心房と心室の間は結合組織によって隔てられ、刺激伝導系によってのみ連絡する

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5月19日

★心筋の構造
Xを横に連ねた形をしている
結合部には介在板が存在する
結合部はギャップ結合という、電気的に抵抗が少ない
機能的合胞体として働くために電気的抵抗が少なく設定されている(電気がスムーズに流れる)
心房と心室の間には線維組織があるため、刺激伝導系を通らなければ収縮運動が伝わらない

イ.刺激伝導系
特殊心筋が関与する
洞房結節の細胞(歩調とり、ペースメーカー)→心房筋→房室結節の細胞→ヒス束→右脚左脚→プルキンエ繊維→心室筋
洞房結節に発生した興奮は、刺激伝導系によってごく短時間に心房、心室に伝えられ、心臓の搏動を引き起こす
正常では洞房結節のペースメーカー細胞の作るリズムで興奮する
(語句の説明)
・洞房結節の細胞:上大静脈と右心房の境界部
・房室結節:右心房の下方で右心室の境界部。
・ヒス束:左右の心室を隔てる心室中隔にある
・右脚左脚:ヒス束から右心室に伸びる繊維を右脚、左心室の法にいくのを左脚
・プルキンエ繊維:心室を下に向かった右脚、左脚からUターンして上にのぼる繊維

ウ.スターリングの心臓の法則
心臓に大量の血液が充満して心筋が伸展されると、その伸展度合いに応じて大きな収縮力を発生すること。右心房に流入する静脈還流量が多いほど、心臓の拍出量が増加する

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5月20日
■3)心筋細胞の電気活動
ア.心筋細胞における活動電位
細胞内は-80~-90ミリボルトの静止電位
域値以上の刺激により、活動電位が発生する
活動電位の持続時間が長い(心筋の場合は0.25秒、骨核金の場合は0.005秒、つまり50倍)
その波型の特徴としてオーバーシュートの後に0.2~0.3秒のプラトー相が現れる(カルシウムイオンが細胞内に流入するため)
絶対不応期が長い(心筋の場合0.25秒、骨核筋の場合0.001秒)←収縮の加重が起こらない←心筋は単収縮のみ
心筋の収縮の持続時間は骨格筋に比べて長い(心筋:0.3秒、骨格筋:0.02秒)

★プラトー相(プラトー=平たい(フラット?)
オーバーシュートした後のくだりがなだらかになる。そのくだり部分を指す
Ca+という陽イオンが細胞に流入することで、マイナスの電圧にもどるスピードが下がる。カルシウムは細胞外からやってきて、細胞内の筋小胞体を刺激し、筋小胞体からはさらにCa+が放出される
★収縮の加重
骨格筋は収縮の加重が起こる。持続的に筋肉を収縮させ続けることができる

■4)心機能の腸節)
(1)心周期
心搏動の周期のこと
心周期は約0.8秒(心拍数=75回/分)
このうち、収縮期は約0.3秒、拡張期は約0.5秒持続
ア.収縮期(心室の収縮期)
a.等容性収縮期
心室の収縮が始まってから、動脈弁が開くまでの時期
すべての弁が閉じた状態で、心室が収縮
心室内容積は一定で、心室内圧は上焦
b.駆出期
心室内圧が動脈圧を超えると、動脈弁が開き血液が動脈に駆出される
心室収縮が終わると心室内圧が低下し始め、動脈圧よりも低下すると動脈弁が閉鎖する
イ.拡張期(弛緩期)
a.等容性弛緩期
動脈弁が閉鎖してから房室弁が開くまでの時期
動脈弁と房室弁の両方が閉鎖した状態で、心室が弛緩する
心室容積は一定で、心室内圧が下降する
b.充満期(流入期)
心室内圧が心房内圧より低下すると、房室弁が開き血液が流入する
この時期には動脈弁が閉じており、血液が心室に充満する

(2)心音
心臓の搏動ごとに発生する音。
ア.第1心音(Ⅰ音)
収縮期の開始時、やや低い周波数(30~40Hz)で、やや長く続く音
心尖部で、聴取される
主に房室弁の閉鎖音である
他に、筋の収縮音、動脈内の渦流なども関与する
イ.第2心音(Ⅱ音)
弛緩期の開始時に発言するやや多開周波数(50~70Hz)の短い音
心底部で聴取される
主に動脈弁の閉鎖によって生じる
動脈壁の振動なども関係する
ウ.第3心音(Ⅲ音)
心房から心室への血液の流入によって生じる音で、第2心音の後に心尖部でかすかに聞こえることがある

★心尖部:心臓の下部でとがったところ
心底部:心臓の上部

★搏動の周期0.8としたとき
(収縮期)(弛緩期)
0.3 0.5
ーーーーーーーーーーーーーー-ー
↑ ↑ ↑
Ⅰ Ⅱ Ⅰ

<参考>
●心雑音
器質的な心雑音は弁口が狭くて十分に開かないとき(狭窄)、弁口が完全に閉じないために血瘤が逆に流れるときなどに起こる

(3)心拍数
一分間の心臓の拍動数のこと。
正常成人の安静時の平均は約70回/分
ア.頻脈
心拍数が正常より高いこと
運動時などは生理的な頻脈がみられる
100回/分以上
★貧血、発熱
イ.徐脈
心拍数が正常より低いこと
50~60回以下/分
★スポーツ心臓、甲状腺機能低下症などで発生

ウ.不整脈
不規則な心拍リズムのこと
エ.呼吸性不整脈
呼吸に同期してわずかに変動(吸息時に早い、小児に著しい、健常者にもみられる)

(4)心拍出量
ア.一回拍出量
一回の心臓拍動によって、左心室から拍出される血液量のこと
正常成人の安静時で70~80ミリリットルである
イ.毎分心拍出量
一分間の拍出量のこと
一回拍出量 × 心拍数 でもとめられる
★正常成人安静時:70×70回
★一回心拍出量はある程度までしか上がらない。運動時などは、心拍数が上がることで毎分心拍出量が増える

p56
■5)心電図
(1)心電図(ECG)
心筋の活動電位の総和を体表から記録したもの
心臓の異常の診断に用いられる
心電図は活動電位そのものではなく、細胞外液中に伝わった、電位変化の経時的記録である

(2)心電図の記録方法
記録には通常、以下の12誘導が用いられる
①標準肢誘導(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)
右手、左手、左足に電極をおき、そのうちの二つを組み合わせて、二点間の殿位差を記録する方法
・第Ⅰ誘導:右手と左手
・第Ⅱ誘導:右手と左足
・第Ⅱ誘導:左手と左足

②増幅単極肢誘導(aVR、aVl、aVF)
電極の置き方は標準肢誘導と同じ
ある部位の電気変動を他の二箇所の電位の平均値を基準にして記録

③単極胸部誘導(V1~V6)
心臓近くの胸壁の六ヶ所に電極を置く
各部位の電位変動を右手、左手、左足の電位の平均値を基準にして記録
心臓の状態をより直接的に把握
★V1~6の位置(暗記の必要なし)
V1:第4肋間の胸骨右縁
V2:第4肋間の胸骨左縁
V3:V2とV4との中
V4:第5肋間で、左鎖骨中線上
V5:左前腋窩線上
V6:左中腋窩線上
★V1、2は右心室、V3、4は心室中隔、V5、6は左心室の電位を主に反映

(3)心電図の波形
一回の心拍ごとに普通、一回出現する
ア.P波
心房の興奮をあらわす
脱分極をあらわす
イ.QRS群
心室の興奮を現す
心室の脱分極をあらわす
R波型の高さを表すのは1ミリボルト
ウ.T波
心室の興奮の消退
心室の再分極をあらわす
★心房の再分極は、QRSの大きな波型に飲み込まれている
エ.PQ間
心房筋の興奮開始から、心室筋の興奮開始まで
成人では0.12~0.2秒
オ.QS間
心室筋が興奮し始めてから心室内を伝導する時期
カ.ST間
心室筋が全体的に興奮(脱分極)している時期

★R-R間隔
心拍数の求め方
心拍数=60/RR間隔

****************************************************
6月3日
p59
★心電図の異常
心筋の異常や刺激伝導系の傷害 → PQ間隔の変動、QRS群の変動
心室筋に傷害 → T波に変化

6)心臓の神経支配
心臓の活動の調節は自律神経による変時作用(心拍数)、変伝導作用(刺激伝導での興奮伝導の速度)、変力作用(深筋の収縮力、によって収縮される
①交感神経
活動亢進により、心拍数が増加、興奮伝導時間の短縮、心筋収縮力の増大
②副交感神経(迷走神経)
活動亢進により心拍数の減少、興奮伝導時間の延長

(参考)
心臓支配の交感神経は、脊髄の上部胸髄より出て、心房、洞房結節、房室結節、心室などに分布する
心臓の迷走神経は延髄より出て、洞房結節と心房に分布する

*********************************************
6月4日
p62
3.血管系の構造と機能
■1)血管の構造
(機能、太さから)
大動脈、動脈(中動脈)、細動脈、毛細血管、細静脈、静脈(中静脈)、大静脈
に分類される
(血管壁)
血管壁は原則として外膜、中膜、内膜よりなる
外膜は結合組織
中膜は平滑筋が主(弾性線維、膠原線維なども含む)
内膜は内皮細胞が主(膠原線維を含むことがある)

ア.大動脈
・内径:25mm(直径)
・壁厚:2mm
中膜に弾性線維が豊富
→別名を弾性血管とも

イ.動脈(中動脈)
・内径:4mm
・壁厚:1mm
中膜の平滑筋が発達
→別名を筋性血管とも

ウ.細動脈
・内径:30μm
・壁厚:20μm
血管抵抗が大きい
→別名を抵抗血管とも
血管収縮神経が豊富で、血流調節に重要

エ.毛細血管
・内径:8μm
・壁厚:1μm
物質の透過性が高く、物質交換がさかん
→別名を交換血管とも
1層の内皮細胞とそれを取り囲む基底膜からなる

オ.静脈系
静脈は壁が薄く、血管の抵抗が小さく、伸展しやすい
血液の貯蔵庫として働く
→別名を容量血管とも
・細静脈
内径:20μm
壁厚:2μm
・静脈
内径:5mm
壁厚:0.5mm
・大静脈
内径:30mm
壁厚:30mm

■2)脈拍
心臓の拍出によって、大動脈の血管壁が収縮、拡張されるが、その振動波が抹消の動脈へ伝えられる
これを脈波という
橈骨動脈などではそれを触知できる
これを脈拍という

■3)血流
血管の中を血液が圧の高い方から低い方に流れること
ア.血流量
血管の断面を単位時間に通過する血液量
血流量 = 血管の断面積 × 血流速度
*血流速度:血液が単位時間に移動する距離

・総断面積:毛細血管部は、大動脈の約1000倍
・血流速度:毛細血管部では大動脈の1000分の1

■4)毛細血管の循環
(1)毛細血管の構造
ア.優先路
血液が常時流れている毛細血管
イ.真毛細血管
組織の活動に応じて流れる毛細血管
入り口には前毛細血管括約筋があり血流の調節を行う

ウ.動静脈吻合
動脈と静脈を毛細血管を介さずに直接つなぐ連絡路
手足、口唇、鼻、耳など外気にさらされる皮膚で発達
体温調節に関与する

(2)毛細血管における物質の移動
濃度差による拡散と毛細血管両側の液圧差にもとづくろ過によって行われる
ア.O2やCO2などの脂溶性物質
毛細血管壁(血管内火細胞)そのものを通過
イ.水や電解質、アミノ酸、グルコースなど(=水溶性の物質)
内皮細胞間隙
チャネルや輸送体の助けをかりる場合もある

ウ.水と水溶性物質
毛細血管の場所によっては小孔があいており、動脈側ではろ過によって小孔から間質液中に出る(小孔は内皮細胞上にあって、細胞がうすっぺらくなった部分)

エ.血漿タンパクのような高分子
毛細血管壁を通りにくい(分枝が大きいので)

(3)膠質滲透圧と水分の移動
ア.膠質滲透圧
血漿タンパクの作る浸透圧
血漿の方が間質液に比べ、タンパク質濃度が高く、水分は間質液から毛細血管内へ吸引される力となる
イ.水分の移動
毛細血管圧は動脈側で高く(約35mmHg)、静脈側で低い(約15mmHg)
<動脈側では>
35-25=10mmHg
の力で水分が血管内から組織へ押し出される
<静脈側では>
25-15=10mmhg
の力で水分が組織から血管内へ吸収される

毛細血管に吸収されなかった間質液は、毛細リンパ管に吸収される

■5)静脈
静脈系は血液を貯溜して心臓に戻る静脈還流量を調節する
静脈圧は動脈圧に比べ低く、細静脈でも15mmHgに過ぎない
細静脈、静脈、大静脈、右心房と順次圧が低下するので、心房に血液が流れる
①静脈還流を促す因子
・心室収縮に伴う心房内圧低下時に心房内に吸引される
・静脈弁による逆流防止
・骨格筋の収縮、弛緩が静脈内の血液をポンプのように押し出す
=筋肉ポンプ
特に歩行時に顕著
・吸息時胸腔内圧が低下することによって血液が胸腔内に吸引される
(横隔膜が下がることで腹腔内圧があがり、胸腔内圧がさがる。それによって胸腔に腹の血液が上がりやすくなる)

■6)血管の神経支配
①血管運動神経
主として中膜周辺部の平滑筋に分布
ア.血管収縮神経
ほぼ全身に分布する交感神経である
特に皮膚、腎臓、などで分布密度が高い
動脈、細動脈、前毛細血管括約筋、細静脈、静脈など広く分布するが、細動脈への分布が特に密である
毛細血管には分布しない
神経伝達物質としてノルアドレナリンを萌出することから、交感神経アドレナリン作動性血管収縮神経ともいう
ノルアドレナリンがα受容体に反応して血管を収縮させる
血管収縮神経は常時ある程度興奮しており、この自発性活動(トーヌス)のために軽度な収縮状態にある

************************************
6月9日
イ.血管拡張神経
a.交感神経コリン作動性血管拡張神経
猫ではその存在が確認されているが、人、サルでは不明
b.副交感神経性血管拡張神経
顔面、唾液腺、甲状腺、生殖器、脳などの血管には交感神経以外に副交感神経性血管拡張神経が分布
伝達物質は従来はアセチルコリンであったが、VIP、サブスタンスP、などの血管拡張性ペプチド、NO(一酸化窒素、=血管内皮細胞由来弛緩因子)なども関与
c.脊髄後根神経による血管拡張(軸索反射)

②血管求心性神経
頚動脈洞にある圧受容器や大動脈弓にある化学受容器の情報は迷走神経や舌咽神経を通って脳幹に伝えられる

4.血圧
血管内の圧力のこと
大動脈が最も高く、動脈、細動脈、毛細血管、抹消に行くにつれて低くなり、大静脈でほとんど0になる
肺動脈圧は大動脈圧に比べ、著しく低い
■1)血圧の測定
血圧は動脈にカテーテルを挿入して測定する直接法と、以下に述べる間接法とがある
①聴診法
1.上腕の中ほどにマンシェット(圧迫帯)をまく
2.肘窩部に聴診器をあてる(上腕動脈の拍動がよく触れるところ)
3.マンシェットの圧を上げていくと上腕動脈の血流が阻止されて音が聞こえなくなる
4.次に圧迫圧を徐々に下げていくと、澄んだ音が聞こえ始める。この点をスワン第1点といい、最高血圧をあらわす
5.さらに圧を下げていくと、雑音性になる(スワン第2点)
6.その後音が再び澄んだ音(スワン第3点)になる
7.音が急に小さくなる(スワン第4点)
8.まったく音が聞こえなくなる(スワン第5点)
第4または第5点を最低血圧という
★血管音のことをコロトコフ音

②触診法
聴診法と異なるところは、聴診器を用いず、橈骨動脈の脈拍を触診する点である
圧を徐々に下げていき、脈拍がはじめて触れるようになった点を最高血圧とする
聴診法より10mmHg程度低い
最低血圧は計れない

p69
■2)最高血圧と最低血圧、脈圧
①最高血圧(収縮期血圧)
収縮期における血圧のこと
②最低血圧(拡張期血圧)
拡張期における血圧のこと

③脈圧
最高血圧と最低血圧の圧差のこと

④平均血圧
1心周期に見られる、すべての圧の変動の平均値
最低血圧に脈圧の3分の1を加算した値に近い

⑤血圧の変動
ア.性別
女性の方が低い
イ.年齢
年がいくほど高くなる
年齢+90 が目安(血管の弾力が失われたりして)
ウ.精神的、身体的状態
緊張状態で血圧が上昇したり
エ.日内変動
日中高く、夜間睡眠中に低い
オ.気温
寒いときたかくなる、など
<参考>
・高血圧症:最高血圧140mmHg以上、または最低血圧90mmHg以上
・底血圧症:最高血圧100mmHg以下
・至適血圧:120/80(最高血圧/最低血圧)
・正常血圧:130/85

■3)血圧に影響を与える因子
動脈圧 = 心拍出量 × 総末梢抵抗
* 総末梢抵抗:体循環全体の血管抵抗の総和

・血流量
・血管の断面積
・血管壁の弾性
・一回拍出量
・血液の粘性

5.循環の調節
■1)調節の仕組み
局所性、神経性およびホルモン性に行われる
(1)局所性
①心筋、血管平滑筋の収縮性
筋は伸展されると筋固有性(筋原性)の働きで収縮する
ア.心筋
スターリングの心臓の法則により、流入する血液が増えても局所的に心臓の収縮力が高まって、増えた血液量を排出することができる
イ.血管平滑筋
細動脈などの血管壁の伸展が著しくなると、筋原性に収縮し血流を一定に保とうとする
②代謝産物
水素イオン、アデノシン、二酸化炭素、乳酸など
以上のような代謝産物は、血管を拡張させる
③血管内皮細胞由来因子
・エンドセリン:血管収縮に働く
・NO(一酸化窒素:血管拡張に働く
④その他
・組織の損傷などによって局所に産生されるヒスタミン、ブラジキニン:血管拡張に働く
・セロトニン:血管をしゅうしゅくさせる
⑤自己調節
血管が血流を一定に保とうとする玄証で、腎臓、脳および心臓の血管で特に顕著

(2)神経性調節
局所性、ホルモン性調節に比べ、短時間(秒単位)で後下を発揮

(3)ホルモン性調節
循環を中期(分短胃)、あるいは長期(時間単位または日短胃)で調節

ア.カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミンを合わせて)
↑*副腎髄質ホルモンのことを指す
血管の収縮に作用
イ.バゾプレッシン(抗利尿ホルモン)
↑*下垂体後葉から分泌されるホルモン
水分の再吸収(血液量の調節)を促す
ウ.心房性ナトリウム利尿ペプチド
血液量の増加により、心房筋が伸展されたときに心房で分泌される
腎臓に作用して水とナトリウムイオンの排出を促し、血液量を減少させる
また、血管平滑筋を弛緩させ、血圧を低下させる

エ.レニン・アンギ(ジ)オテンシン系
血圧低下、循環血液量の減少、血中ナトリウムイオン濃度の低下

腎臓の糸球体近接細胞からレニンが分泌

レニンによりアンギオテンシノーゲンが活性化され、アンギオテンシンⅠになる

肺などにあるアンギオテンシン変換酵素(ACE)によりアンギオテンシンⅡになる

アンギオテンシンⅡにより副腎皮質からアルドステロンが分泌

ナトリウムイオンの再吸収の促進、水分の再吸収を促進

細胞外液量の増加

血液量が増加

血圧上昇

※アンギオテンシンⅡにはそれ事態に血管収縮能力がる

■2)循環中枢(心臓血管中枢)
延髄の網様体にある、血圧維持をつかさどる中枢
特に延髄の吻側延髄腹外側は昇圧部として
尾側延髄腹外側部は降圧部として重要

■3)循環の反射性調節
★反射の流れ
受容器→求心路→中枢→遠心路→効果器
(1)圧受容器反射(別名高圧受容器反射)
血圧上昇

頚動脈洞や大動脈弓の圧受容器の活動が亢進

迷走神経や舌咽神経

延髄の循環中枢

交感神経の活動の低下および迷走神経(迷走神経中の副交感神経)の活動の亢進(遠心路の変化)

心臓:心拍数の低下、心筋収縮力の低下、心拍出量の減少
血管:末梢の抵抗血管の拡張、容量血管の拡張、
副腎髄質:カテコールアミンの分泌の減少

血圧の低下
★頚動脈洞:頚動脈は総頚動脈から二股に外頚動脈と内頚動脈に分かれる。その分岐店の内頚動脈側に少し膨らんだ部があり、そこを頚動脈洞という。頚動脈洞には圧受容器がある

(2)化学受容器反射
動脈血中のO2の減少、CO2やH+の増加

頚動脈小体や大動脈小体の末梢性化学受容器が興奮

舌咽神経や迷走神経

延髄の呼吸中枢や循環中枢

呼吸機能の亢進、心拍数の増加、心拍出量の増大、血圧上昇

(3)心肺部圧受容器反射(低圧受容器反射)
血液量の増加

心肺部圧受容器が興奮

迷走神経

延髄の循環中枢 - 視床下部 - 下垂体後葉

バゾプレッシンの減少

尿量の増加

血液量の減少
★心肺部圧受容器:大静脈と右心房、葉胃静脈と左心房の接合部などにある

ア.ベインブリッジ反射
血液量の増加

心肺部圧受容器が興奮

迷走神経

延髄の循環中枢

交感神経の活動の亢進

心拍数の増加

(4)体性感覚刺激による循環反射
皮膚などへの刺激は反射性に循環を調節
★体性感覚刺激:たとえばあんまなど

(5)脊髄後根神経による血管拡張
・軸索反射
皮膚への有痛性刺激

求心性の神経線維の興奮

中枢神経系に伝えられるのと同時に、別の側枝にも伝導

サブスタンスP、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)

血管拡張

■4)高位中枢からの影響
大脳皮質の連合野なども循環機能に影響を及ぼす

6.特殊な部位の循環
■1)冠状循環(冠循環)
心拍出量の5%を占める
心筋は左右の冠状動脈から血液の供給を受ける
冠血流量は左心室が収縮する細に著しく妨げられる
循環の調節は主として代謝産物によってなされる

■2)肺循環
肺動脈の血圧は収縮期血圧で約25mmHgである

■3)肝循環
心拍出量の20~30%を占める
肝臓を流れる血液の30%は固有肝動脈
約70%は門脈より流入する
門脈系は腸および脾臓などからの血液を肝臓に送る血管系で、固有肝動脈と肝臓内で合流し、
洞様毛細血管→中心静脈、→肝静脈→下大静脈
へ注ぐ
★門脈:栄養豊富
固有肝動脈:O2豊富
★肝小歯
六角形の各頂点からそれぞれの頂点に向かってひいた体格線上に肝細胞がならび、その合間を血管などがながれる。対角線の交点である中心部には中心静脈がながれる
肝臓には肝小歯がたくさん並んでいる

■4)脳循環
心拍出量の15%を占める
内頚動脈、椎骨動脈から血液の供給を受ける
脳血管は自己調節作用が著しい
脳血管はCO2の増加により拡張する
血液脳関門が存在する
←有害物質が作用するのを防ぐ
脳の毛細血管は他の毛細血管と異なり、神経膠細胞(グリア細胞)の突起で取り囲まれている
毛細血管の内皮細胞自体、あるいは内皮細胞の楔合部分(タイトジャンクション)は物質に対する透過性が低い
★タイトジャンクションのことや、グリア細胞など、全部含めて血液脳関門

■5)皮膚循環
動静脈吻合と皮下静脈叢が発達しており、体温調節に重要
交感神経血管収縮神経によって、血流が調節される

■6)筋循環
安静時で、心拍出量の約20%
激しい運動中では約80%を占める

<参考>
血管の機能による分類
・機能血管
・栄養血管
( 肺 ) 肺の場合、ガス交換という役割をになっている。肺でガス交換を行う血管つまり肺動脈と肺静脈が機能血管。栄養血管は気管支動脈
(心臓)心臓における栄養血管は冠状動脈
心臓の役割はポンプ作用、心臓の機能血管は愛動脈、肺動脈、下大・上大静脈、肺静脈
(肝臓)肝臓の栄養血管は固有肝動脈、機能血管は門脈

7.リンパ系
■1)リンパ系の機能
①リンパ系
毛細リンパ管→集合リンパ管→右リンパ本管・胸管→左右の静脈角

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6月22日
・胸管:
第5胸椎から上行
下肢、腹部、左半身からのリンパを集める
・右リンパ本管
右上半身からのリンパを集める

②特徴
毛細リンパ管は毛細血管より透過性が高いため、体内に侵入した異物の大部分はリンパ系に取り込まれ、リンパ節で食作用によって取り除かれる

③機能
・過剰な間質液の吸収
・体外から侵入した異物の除去
・膠質滲透圧の維持
・小腸内のリンパは消化された脂肪の吸収

(2)リンパの生成と組成
間質液がリンパ管に流入したものをリンパという
成分は間質液とほぼ同じ
タンパク質濃度は血漿より低い
リンパ節で作られたリンパ球を含む(特に胸管内に多い)

■3)リンパの輸送
①能動的な輸送
毛細リンパ管以外のリンパ管には平滑筋があり、一分間に2~6回収縮する
また、リンパ管には多数の弁があり、逆流を防ぐ
②受動的な輸送
・骨格筋の収縮
・呼吸運動
・消化管の運動
・動脈の拍動など

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第4章 呼吸
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呼吸の種類は外呼吸(肺呼吸)と内呼吸(組織呼吸)とがある
1.呼吸器系の構造と機能
■1)気道
鼻腔→咽頭→喉頭→気管→気管支
(1)気道の機能
①鼻腔
鼻粘膜には静脈叢、粘液腺が多く、吸気を暖め湿り気を与える
鼻毛は細埃の侵入を防ぐ
②咽頭
呼吸器系と消化器系をかねる
③喉頭
発生に関与
④気管および気管支
気管には繊毛上皮や分泌腺があり、異物を分泌物とからめ、咽頭に向かって排出
細気管支部には軟骨が少なくなり平滑筋や弾性線維に富むが、この平滑筋は、交感神経活動亢進で弛緩し、副交感神経活動亢進で収縮する

■2)肺
気管支はさらに分岐
細気管支→終末細気管支→呼吸細気管支→肺胞管→肺胞嚢
(1)肺胞
・直径:0.1~0.2ミリメートル
・総数:約3億個
・総評面積:約70平方メートル
内壁は一層の肺胞上皮細胞に覆われている
肺胞には多数の毛細血管が取り囲んでいる
肺胞は弾性線維に富むが平滑筋はない

■3)胸郭
胸壁と横隔膜よりなる
胸壁の前部には胸骨、後部には脊柱があり、これらを肋骨が結合し肋骨間を肋間筋が覆う
胸郭の内腔を胸腔という

2.呼吸運動
呼気と外界の空気とを肺において交換することを換気という
換気は呼吸運動によって行われる
呼吸運動は吸息と呼息よりなる
■1)吸息
①主吸息筋
・横隔膜:収縮すると沈下
・外肋間筋:収縮すると肋骨が挙上
☆肋間神経に支配されている
②補助吸息筋
肋骨を居城させて胸食うの拡張を助ける
・斜角筋
・胸鎖乳突筋
・肋骨挙筋など

③吸息のながれ
横隔膜、外肋間筋が収縮

胸郭の拡大

胸腔内圧がより陰圧へ
★ 呼息時:-3~-6mmHg
吸息時:-5~-9mmHg
外界の空気が受動的に流入

■2)呼息
①主呼息筋
内肋間筋
②補助呼息筋
腹壁筋(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋 など)
③呼息の流れ
吸息筋の弛緩にともない、胸郭自体の重みと肺の弾性により肺内の空気が呼出される

■3)腹式呼吸と胸式呼吸
主に横隔膜の運動によって行われる呼吸を横隔膜呼吸(=腹式呼吸)
主に肋間筋の運動によって行われる呼吸を胸式呼吸という
安静時には主として腹式呼吸が行われる

■4)胸腔内圧(胸膜腔内圧)
肺の組織は豊富な弾性線維からなり、胸腔内の圧は陰圧に保たれているため、肺は収縮しようとする性質に逆らって、常時引き伸ばされた状態にある
(参考)気胸
肺が破れたり胸壁に穴があいて空気が胸膜腔内に流入すると、肺が弾性によって収縮すること

3.肺機能
スパイロメーターで測定
■1)肺気量
(1)一回換気量(TV)
安静呼吸時に一回の吸息、あるいは呼息で出入りする空気の量
成人:約500ml
(2)予備吸気量(IRV)
安静吸息の上に、さらに吸い込める最大の吸気量
成人:約2~3リットル
(3)予備呼気量(ERV)
安静呼息後にさらに吐き出せる呼気量
成人:約1リットル
(4)残気量(RV)
最大に吐き出した後に、肺内に残っている気体容量
成人:1~1.5リットル
(5)機能的残気量(FRC)
予備呼気量 + 残気量
](6)肺活量(VC)
一回の呼吸で可能な最大の換気量で、最大吸気位から最大呼気位までゆっくりと呼出させてはかる
肺活量 = 1回換気量 + 予備吸気量 + 予備呼気量
成人男子:3~5リットル
成人女子:2~3リットル
(7)全肺気量(TLC)
全肺気量 = 肺活量 + 残気量

(参考)
①%肺活量
体格、年齢、性別を加味した肺活量の予測値に対する実測値の割合
正常値は80%以上
②努力肺活量(強制肺活量 FVC)
最大吸気位から最大速度で吐き出した最大の呼気量
③1秒率
努力肺活量のうち、はじめの1秒間で吐き出される量を1秒量といい、努力肺活量に対する1秒量の割合を1秒率という
正常値は70%以上
④換気障害
・閉塞性肺疾患では%肺活量は正常、1秒率は低下
・拘束性肺疾患では1秒率は正常、%肺活量は低下
・混合性障害では両方低下
☆閉塞性疾患:気管歯疾患などで気導が狭くなってしまっている
拘束性肺疾患:肺そのものの病

■2)呼吸数
安静時の成人の呼吸数は毎分12~20回
分時換気量= 呼吸数(16回) × 一回換気量(500ml)= 8リットル

■3)肺胞換気量
ガス交換に関与しない容積を生理的死腔といい、成人で約150mlである
気道の容積を解剖学的死腔という
健康な肺では両者は等しい
肺疾患がある場合、生理学的死腔は大きくなる

肺胞換気量 = 1回換気量 - 死腔量
500 - 150
分時肺胞換気量=(1回換気量-死腔量) × 1分間の呼吸数
呼吸は深く遅くするほうが効率的

4.ガス交換とガスの運搬
■1)吸気、呼気の組成
・吸気
O2:約21%、CO2:約0.03%、☆N2:約78%
・呼気
O2:約16%、CO2:約4%

■2)肺におけるガス交換
①肺胞
O2:13~14%、CO2:5~6%
O2分圧:約100mmHg
CO2分圧:約40mmHg
②静脈血
O2分圧:約40mmHg
CO2分圧:約46mmHg
③ガス交換
肺胞気と肺の毛細血管の静脈血との間のガス分圧の差によって行われる
O2は 100-40=60の分圧差により肺胞気から静脈血へ拡散
CO2は 46-40=6の分圧差により静脈血から肺胞気へ拡散
その結果、O2分圧:95mmhg、CO2分圧:40mmHgの動脈血になる

■3)血液のガス運搬
(1)O2の運搬
ヘモグロビンとO2の結合は、O2分圧に左右されるが、その関係を描いたのが酸素解離曲線である
O2分圧が高いほど、酸素化ヘモグロビンの割合が増える
動脈血の場合、約97%が酸素化ヘモグロビンである
酸素解離曲線はCO2濃度が上昇すると、右方向に移動する
このことを、ボーア効果という
ボーア効果はその他にpHの低下、温度の上昇などでも洞様の現象が起こる
動脈血は約20ml/デシリットル
静脈血:約15ml/デシリットル
のO2を含むことから約5ml/デシリットルのO2が供給されたことになる

************************
6月30日

(2)CO2の運搬
・動脈血:40~50ミリリットル/デシリットル
静脈血:45~55ミリリットル/デシリットル
大部分(80%)は重炭酸イオンHCO3-として存在
CO2+H2O←→H2CO3 ←→ H + HCO3-
赤血球内にある炭酸脱水酵素の働きによって、この反応が速やかに行われる
・ヘモグロビンと結合して存在するのは約10%
CO2がヘモグロビン内のタンパク質と結びついたものをカルバミノ化合物
・その他溶解しているもの、10%

■4)組織におけるガス交換
組織においてもガス分圧の差によって拡散する
①組織
O2分圧 : 0~40mmHg
CO2分圧:40~70mmHg
②動脈血
O2分圧 :95mmHg
CO2分圧:40mmHg
分圧差
O2分圧差 :55~95mmHg
CO2分圧差:0~30mmHg

③静脈血
O2分圧 :40mmHg
CO2分圧:46mmHg

5.呼吸運動の調節
■1)呼吸中枢
延髄の網様体部には吸息中枢と呼息中枢があり、両者を合わせて呼吸中枢という
この部位で呼吸リズムが形成される
呼吸リズムは肋間神経やや横隔神経を介して呼吸器に伝えられる
また、橋には呼吸中枢の働きを調節する、呼吸調節中枢があると考えられている

(参考)
延髄の化学受容器=中枢性化学感受領野
延髄の呼吸中枢の近くにある、二酸化炭素の増加に反応する領域

■2)反射性調節
(1)ヘーリング・ブロイエル反射(=肺迷走神経反射)
肺の伸展受容器の興奮

迷走神経(求心路)

延髄の呼吸中枢(吸息中枢・呼息中枢)
吸息中枢:抑制
呼息中枢:亢進

呼吸筋にいく運動神経

吸息筋の運動が抑制、呼息筋の運動が促進

(2)その他の反射性調節
①くしゃみ反射
鼻粘膜への刺激

三叉神経を求心路としておこる

②咳反射
咽頭や気道粘膜への刺激

舌咽神経および迷走神経を求心路としておこる

<参考>
呼吸調節に直接かかわりを持たないが、換気に影響を与える因子を特殊呼吸駆動力という
・皮膚への熱刺激、冷刺激、筋への機械的刺激など
・体温上昇は呼吸を促進し、体温低下は呼吸を減弱する
・運動時や精神的興奮時にはアドレナリン分泌亢進により、呼吸促進

■3)大脳による呼吸の調節
呼吸運動は意志により大脳からの指令で調節される

<参考>
異常呼吸に関しては試験汎胃外

<参考>特殊環境への呼吸への影響
①高圧環境
・潜函病
海中では10メートルごとに約1気圧の水圧が加わるが、海中に深くもぐると多量の空気が血中に溶ける
この後、急に水面に上がると、血中に解けていた空気(特に窒素)が気泡となって毛細血管につまり、その部分の組織に障害を起こすこと

①低圧環境
・高山病
比較的短時間のうち高山に登った時に起こる症状
気圧の低下や酸素の欠乏などが原因となる
息切れ、めまい、動悸、頭痛など
高地に長く居住していると、肺胞換気量、心拍出量、赤血球数が増加する
③運動時の呼吸
運動開始と同時に呼吸運動は速やかに増大し、その後ゆるやかに増大
☆たとえば中程度の運動、無酸素域値までは比較的緩やかに上昇し、その後は比較的急になる
④一酸化炭素中毒
一酸化炭素はヘモグロビンに対してO2より約200倍の親和性を持ち、組織低酸素状態になる

====================
第5章 消化と吸収
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1.消化器系の構造と機能
①消化管
口腔→咽頭→食道→胃→小腸→大腸→肛門
②消化に関わる付属機関
唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓
③消化
ア.機械的消化作用
消化管の運動における筋肉系の働きで、食物を粉砕、輸送、混和
イ.化学的消化作用
酵素によって加水分解する作用

④消化管の構造
基本的には内側から粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜の順に配列
筋層の内側は輪走筋、外側は縦走筋
平滑筋の内側と外側の間には、筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)
粘膜下層と内側の平滑筋との間:粘膜下神経叢(マイスネル神経叢)
二つの神経叢を合わせて壁内神経叢という

2.口腔内の消化
■1)そしゃく(咀嚼)
口腔内に入った食物はそしゃくによって唾液と混ぜられ適当な大きさの食塊となる
下顎の運動による歯のかみ合わせに、舌、口唇、頬の動きが巧妙に調節することによって行われる
咀嚼は随意的に開始されるが、一度はじめると反射性に行われる
☆下顎を持ち上げて閉じる閉口筋:側頭咬筋、内側翼突筋
下顎を下げて口を開く開放筋:外側翼突筋、舌骨上筋群

■2)嚥下
(1)第1相(口腔相)
随意運動
口唇を閉じ、舌を後上方に引き上げることで、口腔内圧が上がり、食塊が咽頭へ押し出される
(2)第2相(咽頭相)
反射運動
軟口蓋の挙上により、鼻腔への出口が
喉頭蓋の閉鎖によって気管への出口が
舌根を押し上げることによって口腔への出口が
ふさがれる
それによって咽頭内圧が上昇し、食塊が食道へ送られる
この間1~2秒は、呼吸が抑えられる
=嚥下性無呼吸
(3)第3相(食道相)
反射運動
食塊が食道を通過して胃に達するまでの相
食道の蠕動運動により食塊が胃に向かって移送される

****************************
7月5日
■3)唾液
(1)唾液の成分・作用
ア.唾液腺
唾液は唾液腺で産生・分泌される
唾液腺には左右に一対ずつ
耳下腺、舌下腺、顎下腺がある
耳下腺が一番大きい
イ.成分
唾液の大部分は水分で、残りの成分は唾液アミラーゼ(プチアリン)とムチン(粘液)である
pH=6~7
一日の分泌量:約0.5~1.5リットル
・耳下腺からはプチアリンを含む漿液性の唾液が分泌される
・舌下腺と顎下腺からはムチンを含む粘液性の唾液が分泌される

①作用
・消化酵素である唾液アミラーゼはでんプンをマルトースに分解
→作用はさほど強くない
・ムチンは食塊を滑らかにし、咀嚼や嚥下をしやすくする
また、口腔粘膜を保護する役目も担う
・食物成分をとかし、味覚を起こす
・口腔内を湿った状態にする
・口腔内と歯を清浄にに保つ
・抗菌作用

(2)分泌調節
自律神経によって調節される
・副交感神経
舌咽神経を介して耳下腺、顔面神経を介して顎下腺・舌下腺に分布
・交感神経
三つの唾液腺に分布

両者とも唾液の分泌を促進する
←拮抗的作用ではない

唾液分泌中枢は延髄に存在
☆(副交感神経)
・上唾液核:顔面神経→(神経節で枝分かれして)→舌下腺、顎下腺
・下唾液核:舌咽神経→(神経節)→耳下腺
☆(交感神経)
すべての唾液腺に

①無条件反射
食塊によって、口腔粘膜、舌、咽頭粘膜が刺激されると、反射性に唾液の分泌促進する
②条件反射
本来、唾液分泌を起こさない感覚刺激によって、唾液の分泌が促進されること

**********************************
↑期末試験の範囲
**********************************

3.胃内の消化
ア.構造
・噴門:胃の入り口
・幽門:胃の出口
・胃の構成
:胃底、胃体、幽門部(上から順に)
大きなカーブを大弯、小さなカーブを小弯
・幽門部
幽門括約筋がある

■1)胃運動
(1)内容物の受け入れ
受け入れ弛緩
胃に食物が入ると、反射性に胃壁が弛緩し、胃の内圧をあまりあげずに胃の容積を増やすこと

(2)蠕動運動
胃に食物が入ってしばらくすると、蠕動運動が始まる
毎分約3回の頻度で胃体上部から幽門に向かって伝えられる
胃内容量により、収縮度が変化する

(3)内容物の排出
蠕動運動が幽門部に及ぶと、幽門部の内圧が高まり、内容物が幽門から少量ずつ十二指腸に送られる

(4)飢餓収縮
長い間空腹状態にすると、起こる胃の激しい収縮のこと

(5)胃運動の調節
①局所性
平滑筋自体の性質および、壁内神経叢によって調節
②神経性
・副交感神経:胃運動の促進
・交感神経 :胃運動の抑制
ア.小腸-胃反射
十二指腸が伸展されると、反射性に胃運動が抑制されること

③ホルモン性
ア.ガストリン
胃幽門部に機械的・科学的刺激が加わると、幽門粘膜にあるガストリン分泌細胞(G細胞)から分泌され、胃酸の分泌を促進する
イ.GIP(胃抑制ペプチド)
十二指腸に脂肪の多い食物が入ると、十二指腸粘膜から分泌され、胃運動を抑制する

(6)嘔吐
胃の内容物を急激に吐き出す反射
嘔吐は咽頭、舌根、胃腸管粘膜などが機械的、化学的に刺激されたり、頭部の回転(乗物酔い)、内臓の痛みなどによって起こる
延髄に嘔吐中枢がある

嘔吐中枢が興奮
→悪心、唾液分泌
→食道、胃が弛緩して噴門が開く
→痙攣性吸息運動
→横隔膜と腹筋が収縮し、腹腔内圧を著しく高め、胃の内容物を吐き出す

①化学受容器引金帯
延髄にあり、ここが化学的に刺激されると、その情報が嘔吐中枢に伝えられ、嘔吐が起こる
→毒性のもの食べた時に、小腸から吸収される前に排出する防禦作用となる

■2)胃液の分泌
(1)胃腺の構成
胃の内壁は粘膜で覆われているが、この粘膜壁には胃小窩というくぼみが存在する
胃小窩の部分では、粘膜上皮細胞が内部に陥入して胃腺を形成している

①胃腺を構成する細胞
ア.粘液細胞(副細胞)
ムチンを分泌
イ.主細胞
ペプシノゲン(ペプシノゲーン)を分泌
ウ.壁細胞(傍細胞)
塩酸(HCL)の分泌
エ.内分泌細胞
各種ホルモンを分泌
ガストリン←G細胞
②胃腺の種類
ア.噴門腺
噴門部にある胃腺で、主に粘液細胞を含む
イ.胃底腺(固有胃腺)
胃底部、胃体部にある胃腺
4種の細胞すべてが含まれる
ウ.幽門腺
幽門部にある胃腺
粘膜細胞が大部分をしめるが、G細胞も多くみられる

(2)胃液の成分・作用
・色は一般に無職透明である
・一日に1~3リットル分泌される
・pHは1~2
・主成分は塩酸、消化酵素、ムチン
・その他の成分、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどの無機物
抗貧血ビタミン(B12)の吸収を助ける内因子を含む
①HCL(塩酸)
・ペプシノゲンを活性化してペプシンにする
・ペプシンの作用を促進する
・胃内の殺菌、消毒作用
・十二指腸におけるセクレチンの分泌を促進する
(セクレチンは胃液分泌を抑制するホルモン)
②消化酵素
ペプシノゲンがHCLの作用によりペプシンとなり、タンパク質をペプチドに分解する
☆ペプチド結合:アミノ酸同士の結合の仕方
☆ペプチド:アミノ酸がいくらか結合したもの。タンパク質よりも結合しているアミノ酸の数が少ない
③ムチン
胃粘膜の保護

(3)胃液分泌の調節
①自律神経による調節
・副交感神経の亢進→胃液分泌の促進
・交感神経の亢進 →胃液分泌の抑制
②ホルモンによる調節
・ガストリン(幽門部から分泌)→胃液分泌を促進
・セクレチン(十二指腸から分泌)、GIP(胃抑制ペプチド)→胃液分泌を抑制
③反射性に起こる胃液の分泌
ア.頭相(脳相)
食物によって味覚、嗅覚、視覚や口腔粘膜が刺激されると、その情報が延髄に送られ迷走神経を介して反射性に胃液分泌を増加させる
イ.胃相
食物が胃に入ると、胃壁が伸展されたり、食物中の化学物質によって刺激され、胃液分泌を起こす
これは主にガストリンの作用による
食事をとった時に分泌される胃液の大部分が胃相分泌によるものである
ウ.腸相
胃の内容物が十二指腸に送られると、酸や脂肪が十二指腸からセクレチンや胃抑制ペプチドを分泌させ、胃液分泌を抑制する
☆p127:腸相における胃液分泌の促進について

4.小腸内の消化と吸収
■1)小腸の運動
(1)小腸運動の種類
①分節運動
輪走筋の働きによる運動
内容物の混和に重要
②振り子運動
縦走筋による運動
内容物の混和に重要
③蠕動運動
輪走筋と縦走筋の収縮によって起こる
この運動は、口側から肛門側に向かって進み、糜粥の移送に重要
十二指腸においては肛門側から口側に向かって逆蠕動が起こる

(2)小腸運動の神経性調節
①自律神経による調節
・副交感神経の亢進→小腸運動促進
・交感神経の亢進 →小腸運動抑制
②壁内神経叢の調節
③平滑筋による調節

(3)回盲弁
回盲部には括約筋からなる回盲弁があり、内容物の逆流を防ぐ。
内容物の量により、収縮・弛緩する
糜粥を長く回腸に滞留させ、吸収効果を高める
①胃-回腸反射
胃に食物が入ると、反射的に回腸の蠕動運動がさかんになり、回盲弁が開く

■2)膵液の分泌
(1)膵液の成分・作用
・無色透明な液
・一日=約1~1.5リットル分泌
・pH=約8
①消化酵素
ア.膵液アミラーゼ(アミロプシン)
デンプンをマルトースに分解
イ.トリプシン・キモトリプシン
タンパク質をペプチドに分解
腸液の中のエンテロキナーゼによって、トリプシノゲン・キモトリプシノゲンが活性化されたもの
ウ.膵リパーゼ(ステアプシン)
脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解
☆中性脂肪(トリグリセリド)
モノグリセリド=一つの脂肪酸と一つのグリセリン
エ.ヌクレアーゼ
核酸を分解

②重炭酸ナトリウム(NaHCO3)
胃からの糜粥の中和(酸性をアルカリに近づける)

(2)膵液の分泌調節
①神経性調節
副交感神経亢進→分泌促進
交感神経亢進 →分泌抑制
②ホルモン性調節
十二指腸内に胃の内容物が入ると、S細胞からセクレチン、I細胞からコレシストキニン(CCK)が血液中に分泌され、膵液分泌を促す。
・セクレチン:水分とHCO3-に富む膵液の分泌を促す
・コレシストキニン:消化酵素に富む膵液分泌を促す

■3)胆汁の分泌
(1)胆汁の成分・作用
・黄褐色の液体
・一日:約500ミリリットル
・胆汁酸、胆汁色素(ビリルビン)、コレステロールなどを含むが、消化酵素を含まない
・脂肪の消化・吸収に重要

①胆汁酸
脂肪を乳化し、消化酵素の働きを助ける
脂肪酸やモノグリセリドに作用して、水溶性のミセルを形成し、小腸から吸収されやすい形にする
腸内に分泌された胆汁酸の90~95%は小腸で再吸収され、腸肝循環を繰り返す

(2)胆汁の分泌調節
①神経性調節
副交感神経の亢進→胆嚢収縮により分泌促進
交感神経の亢進 →胆嚢弛緩により分泌抑制
②ホルモン性調節
・セクレチン→胆汁分泌の促進
・コレシストキニン→胆汁分泌の促進
脂肪性食物が十二指腸を刺激した場合に、よりコレシストキニンが分泌される

■4)腸液の分泌
ア.分泌腺
・ブルンネル腺(十二指腸腺)
十二指腸上部にのみ分布
粘液とNaHCO3を多く含み糜粥を中和
・リーベルキューン腺(腸腺)
小腸全体に分布
各種消化酵素と粘液を含み、消化を完成させる

(1)腸液の成分・作用
・pH=7~8.5
・一日:1.5~3リットル
・各種の消化酵素は、小腸上皮細胞の刷子縁膜で消化作用をおこなう
①アミノペプチダーゼ
ペプチドをアミノ酸に分解
②マルターゼ
マルトースをグルコースに分解
③スクラーゼ
スクロースをグルコースとフルクトースに分解
④ラクターゼ
ラクトースをグルコースとガラクトースに分解
⑤リパーゼ
脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解
⑥ヌクレアーゼ
核酸を分解
⑦エンテロキナーゼ

(2)腸液の分泌調節
副交感神経の亢進→分泌促進
セクレチンの作用→分泌促進

■5)小腸吸収の機序
①小腸粘膜の構造
小腸には多数の輪状ヒダがあり、その表面には無数の絨毛が突出する
絨毛の表層は一層の上皮細胞からなり、この細胞にも微絨毛がある
絨毛
・刷子縁膜:微絨毛が刷毛のように並んでいることからこのようによぶ
・絨毛:絨毛の中心にはリンパ管(乳び管)が発達しており、これを毛細血管がとりまく
・毛細血管:糖質やアミノ酸を吸収運搬
・乳び管:脂肪を吸収運搬

■6)各種栄養素の吸収
(1)糖質の吸収
単糖類の形で吸収される
①グルコース(ブドウ糖)
能動輸送によって吸収
刷子縁膜にある特殊な担体により、グルコースー担体ーNa+ という三者複合体が作られ膜を通過する(共輸送)
②ガラクトース
能動輸送によって吸収
③フルクトース
拡散によって吸収
(2)アミノ酸の吸収
能動輸送によって上皮細胞内に吸収され、拡散によって毛細血管に移動する
アミノ酸の輸送もグルコース同様、共輸送
拡散による輸送もあり
(3)脂肪の吸収
脂肪酸、モノグリセリドはそのままでは不溶性であるが、胆汁酸と結合して水溶性のミセルとなり、拡散によって小腸上皮細胞内に吸収され、その中で脂肪に再合成され、キロミクロンになった後リンパ管にはいる
(4)水と電解質の吸収
<水分>
成人の一日の水分摂取量:約2リットル
分泌される消化液の量:約7リットル
・消化管内の水分の吸収
小腸:83%
大腸:16%
糞便中排出:1%

<Na+>
小腸では大部分が能動輸送、一部が受動輸送で吸収
大腸では能動輸送で吸収
<Cl-、水分>
ナトリウムイオンの吸収に伴い受動的に行われる
<その他>
Ca2+やFe2+は能動輸送によって吸収

(5)ビタミンの吸収
・脂溶性ビタミン:ビタミンA、D、E、K
ミセルとなって拡散によって吸収
・水溶性ビタミン:ビタミンB、C
拡散、あるいは小腸壁の担体分子によって速やかに吸収される(担体を使ってもエネルギーは使わない、受動輸送)

5.大腸内の消化と吸収
(1)大腸運動
①分節運動・振子運動・
輪走筋による分節運動や、縦走筋による振子運動によって、内容物の攪拌が行われる
主に横行結腸で行われる
②蠕動運動
ア.逆蠕動
盲腸から上行結腸にかけておこり、内容物が押し戻され、水分やNa+の吸収や、腸内細菌による内容物の分解が行われる
イ.大蠕動
横行結腸からS状結腸にかけて、平滑筋が同時に収縮し、内容物を一気に直腸に運ぶ現象
これはしばしば摂食後数分以内に起こるが、胃の充満によって起こる胃-大腸反射によるものである
一日数回起こる

(2)大腸運動の調節
副交感神経によってその運動が促進され、交感神経によって抑制される
①大腸の支配神経
・上行結腸、横行結腸の口側より
迷走神経中の副交感神経によって支配
内臓神経中の交感神経によって支配
・下行結腸、横行結腸の肛門側より
骨盤神経中の副交感神経
下腹神経中の交感神経によって支配

②直腸の終末部
・内側:内肛門括約筋(平滑筋)
交感神経の亢進→収縮
副交感神経の亢進→弛緩
・外側:外肛門括約筋(横紋筋随意筋)
陰部神経によって支配

(3)大腸の分泌機能
大腸液はアルカリ性で消化酵素を含まないが、粘液を富む
大腸壁の保護、内容物の移送に役立つ

(4)大腸における吸収
主に水、Na+が吸収される

(5)腸内細菌
大腸菌など、大腸には多くの細菌が常在している
小腸での未消化物を分解する
・食物繊維
食物繊維が発酵され、酪酸、酢酸、CO2、H2、メタンなどを発生させる
・アミノ酸
アミノ酸からはインドール、スカトールなどを生成し、糞便集の原因となる

(6)直腸・肛門と排便
糞便によって直腸が伸展されると、その情報が大脳に伝えられ、便意が起こるとともに、排便反射が起こる
平素は大脳によってこの反射は抑制されている
①排便反射(大脳の支配によって我慢もできる)
直腸壁の伸展→
骨盤神経を通って中枢へ→
腰仙髄の排便中枢→
骨盤神経中の副交感神経の亢進、下腹神経中の交感神経の抑制、陰部神経の抑制→
S状結腸・直腸の収縮、内肛門括約筋の弛緩、外肛門括約筋の弛緩
意志による排便動作が加わると、陰部神経を介して外肛門括約筋の弛緩が始まる
さらに横隔膜、腹筋を収縮させて腹圧を高め、排便を容易にする
☆陰部神経だけは随意神経で、外肛門括約筋を調節

7.消化管ホルモン
(1)VIP(血管作動性腸ペプチド)
血圧降下
平滑筋弛緩作用
消化管壁に存在する神経細胞から分泌される

(2)モチリン
胃、小腸、大腸から分泌
消化管運動の亢進

(3)ソマトスタチン
胃、十二指腸粘膜に存在
消化器系の分泌腺の働きを抑制

(4)腸管グルカゴン
インスリン分泌の促進

8.肝臓の働き
(1)物質代謝
①糖代謝
血液中のグルコースをグリコーゲンに合成して貯蔵
②タンパク質代謝
血漿タンパク
アミノ酸から各種タンパク質を合成(アルブミンなど)
アミノ酸から別のアミノ酸を合成
不要なアミノ酸の分解産物であるアンモニアを尿素に転換
③脂質代謝
脂肪の合成、分解に関与
コレステロールの生成
④ビタミン、無機質の代謝
各種ビタミンや無機質の貯蔵と放出
ホルモンの代謝
ホルモンの前駆物質の産生
ホルモンそのものの不活性化

(2)胆汁の生成

(3)解毒作用
血液中の有害物質をグルクロン酸抱合や酸化などで無害化

(4)血液凝固における働き
フィブリノゲン、プロトロンビン、ヘパリンなどの生成

(5)血液の貯蔵

(6)生体の防衛作用
クッパー細胞の食作用によって血液中の異物を除去

(7)熱の発生

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第6章 栄養と代謝
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1.栄養素とエネルギー代謝
■1)栄養素
・三大栄養素=糖質、脂質、タンパク質
・五大栄養素:糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、無機質

★分解されるときに放出されるエネルギー量(1グラムあたり)
・糖質 :約4KCal
・脂質 :約9KCal
・タンパク質:約4KCal

■2)エネルギー必要量と栄養所要量
(1)エネルギー必要量
①基礎代謝量
②身体活動に必要なエネルギー
③得意動的作用(食事誘発性産熱反応)
④呼吸商
④発育に必要なエネルギー

(2)栄養所要量
健康的な日常生活の遂行のための毎日の栄養摂取量を年齢別、性別、生活活動強度別に示したもの

■3)エネルギー代謝
(1)基礎代謝
①基礎代謝量(基礎代謝率、BMR)
覚醒直後の早朝空腹時、室温23~24度で安静臥床のままで測定
日本人の成人男子で約1500KCal/日
日本人の成人女子で約1200KCal/日
ア.特徴
・男性の方が女性より高い
・ホルモンによる影響
例)甲状腺ホルモン:代謝を促進
・夏低く、冬高い
・飢餓では低く、過食では高い
・幼年期に高く、老人気に低い
・睡眠時はBMRの約90%%(1割減)

②特異動的作用(食事誘発性産熱反応)
食後の体熱発生の増加のこと
各栄養素100KCalに対して
タンパク質:約30KCal
糖質 :約6KCal
脂質 :約4KCal
③身体滑動時のエネルギー代謝
エネルギー代謝率(RMR)
…活動によって余分に消費した代謝量が基礎代謝量の何倍に相当するかという値
(活動時の代謝量-座位安静時の代謝量)/基礎代謝量
※座位安静時の代謝量=基礎代謝の1.2倍
④呼吸商(RQ)
ある時間内における生体の酸素消費量に対する二酸化炭素排泄量の比のこと
CO2/O2
糖質:1、脂質:0.7、タンパク質:0.8
☆脂質やタンパクの法がより酸素を必要とする。糖質が最も効率がいい

2.各栄養素の代謝
■1)糖質
(1)グルコースの分解
①内呼吸(好気呼吸)
※以前のノートを参照
②嫌気呼吸(狭義の解糖)
激しい運動時においてはグルコースは酸素を用いずピルビン酸をへて乳酸になる
この過程では2ATPが取り出される
乳酸が筋肉にたまると、疲労により運動できなくなる
★ピルビン酸が乳酸になるときに働く酵素:乳酸脱水素酵素(LDH)
☆(参考)
フルクトースは肝臓で代謝され、解糖系の途中段階に入る(解糖の過程でフルクトースを使うこともある、解糖に必ず必要ってわけではなく)
ガラクトースは容易にグルコースに変換される

(2)グリコーゲンの合成と分解
余分なグルコースはグリコーゲンとして肝臓・骨格筋に貯蔵
さらに余分なものは脂肪に変換され皮下や内臓に貯蔵
血糖値が低下した場合に肝臓のグリコーゲンが分解されて放出される
骨格筋のグリコーゲンは筋収縮時のエネルギー源となる

(3)糖新生
糖質以外の物質からグルコースを合成すること

(4)アミノ酸・脂質の合成
アミノ酸はクエン酸回路の中間代謝産物を使って合成
脂肪酸はアセチルコエンザイムA(アセチルCoA)を使って合成

■2)脂質
(1)トリグリセリドの分解
・グリセリン:解糖系の過程に入る
・脂肪酸:β酸化を受け、アセチルコエンザイムAになりクエン酸回路に入る
糖尿病…クエン酸回路の働きが不十分→ケトン体(アセトン体)→アシドーシスの原因

(2)脂肪酸の合成
過剰な糖質・アミノ酸から、肝臓や脂肪組織でアセチルコエンザイムAから合成

(3)コレステロール代謝
食物からも摂取されるか、主に肝臓でアセチルコエンザイムAから合成

■3)タンパク質
(1)タンパク質の合成
※以前のノートを参照
(2)アミノ酸の合成
必須アミノ酸は体内では合成されない
他のアミノ酸は体内で合成できる
(3)タンパク質とアミノ酸の分解
アミノ酸はアミノ基転移酵素などにより、脱アミノ作用を受け、有機酸とアンモニア(NH3)を生じる
有機酸はクエン酸回路に入りエネルギー源として利用
アンモニアは肝臓で尿素になり、尿中へ排出される
☆脱アミノ作用の化学式
・アスパラギン酸アミノ酸転移酵素(AST)別名グルタミン酸オキサロ酢酸アミノ基転移酵素(GOT)
アスパラギン酸+2オキソグルタン酸←→オキサロ酢酸+グルタミン酸
↑アミノ基転移酵素
・アラニンアミノ基転移酵素(ALT)別名グルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素
アラニン+2オキソグルタン酸←→ピルビン酸+グルタミン酸
↑アミノ基転移酵素
3.ビタミン、無機質、水
■1)ビタミン
エネルギー源ではなく、物質代謝の過程で触媒として作用
ごく少量で有鉤に作用
体内で合成されない
(1)脂溶性ビタミン
過剰摂取はさまざまな障害を起こす
①ビタミンA(レチノール)
レバー、うなぎなどに多く含まれる
視覚機能や皮膚・粘膜の形成・発育に必要
★プロビタミンA(カルテノイド)
緑黄色野菜に多く含まれる
動物体内でビタミンAに変化
(不足)
夜盲症、皮膚乾燥症
(過剰)
妊娠時の催奇形性
小児の骨異常
②ビタミンD(カルシフェロール)
レバー、いわし、カツオ、椎茸(天日干し)などに多く含まれる
カルシウム代謝に重要
★プロビタミンD(エルゴステロール)
プロビタミンDから日光商社を受け、皮膚で生成
(不足)
小児:くる病
成人:骨軟化症
(過剰)
腎障害
③ビタミンE(トコフェロール)
種実類(アーモンドや落花生)、植物油
抗酸化作用
(不足)
溶血性貧血
動物では不妊症
④ビタミンK
緑色野菜、納豆などに多く含まれる
腸内細菌による合成も行われる
血液凝固に重要
(不足)
小児の場合、新生児出血(消化管出血、頭蓋内出血)
成人の場合、血液凝固異常

(2)水溶性ビタミン
①ビタミンB1(チアミン)
豚肉や玄米、大豆などに多く含まれる
糖代謝に重要
(不足)
脚気、神経炎
②ビタミンB2(リボフラビン)
レバー、乳製品、塩さばなどに多く含まれる
酸化還元反応に重要
(不足)
皮膚炎、口角炎

③ビタミンB6(ピリドキシン)
米ぬか、レバー、にんにくなどに多く含まれる
アミノ酸代謝に重要
(不足)
皮膚炎、口唇炎、神経炎など
④ビタミンB12
ほとんどの動物性食品に含まれる(レバー、青魚、卵など)
赤血球新生に関与
(不足)
悪性貧血
⑤ナイアシン(ニコチン酸)
魚介類、きのこ類、レバーなどに多く含まれる
糖質、タンパク質、脂質の代謝に重要
(不足)
ペラグラ(皮膚炎を伴う神経系の機能障害)
⑥葉酸
緑黄色野菜に多く含まれる
赤血球新生に関与
(不足)
悪性貧血
⑦ビタミンC(アスコルビン酸)
野菜、果物、柑橘類、緑茶
コラーゲン、結合組織の生成に重要
(不足)
壊血病(血管が弱くなって出血)
小児ではメーレルバロー病

■2)無機質
(1)ナトリウム
細胞外液の主な陽イオン
体液の浸透圧、体液量の調節に重要
神経や筋の活動に不可欠(活動電位とか)
慢性的な過剰摂取は高血圧の原因になる

(2)カリウム
野菜、果物などに多く含まれる
細胞内液の主な陽イオン

(3)カルシウム
小魚や乳製品、海藻などに多く含まれる
99%が骨や歯の成分として存在
心筋、骨格筋、神経細胞の活動に不可欠

(4)リン
魚、乳製品に多く含まれる
骨や歯の成分として重要
DNA、RNA、ATPの構成成分でも在る

(5)鉄
レバー、豆類、緑色野菜
ヘモグロビンの構成要素として重要
(不足)
貧血
(過剰)
肝不全、心不全

(6)亜鉛
かきなどに多く含まれる
さまざまなタンパク質の合成に必要
(不足)
成長遅延、味覚障害
(過剰)
腹痛、神経症状

(3)水
p171参照

★(参考)核酸
合成に関しては食物中の核酸は消化によって分解されてしまうので、そのままでは利用されない
生体内の糖、塩基、リン酸、などを利用して合成
消化では、核酸がヌクレオチドに変化して鰓後にリン酸、糖、塩基へと分解される
ピリミジン塩基(シトシン、チミン、ウラシル)が代謝されてCO2とNH3になる
プリン塩基(アデニン、グアニン)が代謝されて尿酸になる

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第7章 体温
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1.体温の部位差と変動
(1)核心温度と外殻温度
①核心温度
深部体温のことで、外気温が変化しても一定のレベル内に保たれている体温のこと
・腋窩温(36度~36.7度)
・口腔温(36.5度~37度)
・直腸温(37度~37.5度)
②外殻温度
皮膚温で代表されるもので、外気温の影響を受ける体温のこと
体幹部から四肢に向かっていくにつれ低温になる

(2)体温の変動
①概日リズム(日内変動)
夜間から早朝にかけて低く、日中高い
(0.5~0.7度)
②体温は身体活動で上昇
③月経周期に対応した体温変化
ア.基礎体温
早朝覚醒直後に安静状態で測定した口腔温のこと
イ.基礎体温の変化
月経時から排卵前まで低温期が続き、排卵を境に高温期となり、次の月経で再び低温期に入る
その差は0.5度である
これは黄体ホルモン(プロジェステロン)によるものである

2.体熱の産生と放散のしくみ
■1)熱産生(産熱)
安静時の産熱は主として内臓(特に肝臓)で行われ、活動時には骨格筋による産熱が増加

(1)基礎代謝量
(2)筋収縮による産熱
運動時の骨格筋や姿勢保持などに関与する筋の緊張により、熱が発生する
ア.震え産熱
寒いときに骨格筋が不随意的に細かく律動的に収縮し、産熱が起こること
(3)特異動的作用(食事誘発性産熱反応)
※以前のノートを参照
(4)非震え産熱
筋肉の収縮によらず、代謝を高めて行う産熱
肝臓などの臓器で起こる
新生児では褐色脂肪組織での非震え産熱が寒冷時の産熱に重要
(5)ホルモンの作用
・甲状腺ホルモン:代謝促進作用
・カテコールアミン:グリコーゲンを分解して血糖を高め、産熱を促す
・黄体ホルモン:代謝の促進作用
(6)放熱の防止
寒いとき
→交感神経の活動が亢進
→皮膚血管の収縮、血流の減少
→体熱放散の防止

■2)熱放散(放熱)
放熱は物理的機序によって行われる
主として体表面から行われるが、呼気、尿、便からも行われる
(1)放射(輻射)
人体からそれと接触していない他の物体へ熱が伝達されること
皮膚温と外気温との差および
体表面席の大きさに比例
(2)伝導・対流
伝導とは人体からそれと接している他の物質に熱が流れること
風などの対流があると、放熱はさらに効果的に行われる
(3)蒸発
①不感蒸散
常時起こっている身体からの水分の蒸発現象で、一般に意識に上らないものをさす
皮膚から600~700ミリリットル
肺から150~450ミリリットル
合計で約1リットルに及ぶ
②発汗
外気温が30度を超えると急激に増大し、35度以上になると発汗のみによる放熱で体温上昇を防ぐ
ア.汗腺
交感神経によって支配
a.エクリン腺
ほぼ全身に分布(口唇など以外)
b.アポクリン腺
腋窩、陰部、乳輪に分布する腺
イ.温熱性発汗
外気温が上昇すると、手掌、足底を除く全身に起こる発汗のこと
平均約600ミリリットル/日
夏季は最大10リットル/日
視床下部の体温調節中枢によって制御
ウ.精神性発汗
精神的な緊張時に、外気温の影響を受けることなく、手掌、足底、腋窩、に起こる発汗のこと
大脳皮質により制御される
(4)皮膚血管の拡張
外気温が高い
→皮膚血管の交感神経活動減少
→皮膚血管拡張、血流増加
→皮膚音の上昇
→放熱

3.体温調節のしくみ
■1)体温の調節
(1)温度受容器と体温調節中枢
・体温調節中枢=視床下部
・温度受容器=外気温の変化を感受するもので、皮膚にある
冷受容器は30度付近
温受容器は43度で最も高頻度に発火する
??発火?
・温度受容ニューロン
核心温度の変化を感受
視床下部にある

(2)体温調節反応
①外気温29度前後
産熱が最小
放熱は皮膚血管により調節
暑さ、寒さを感じない
温熱中性帯という
②外気温低下時
ア.交感神経の活動亢進により放熱を防止
イ.甲状腺ホルモン、カテコールアミンの分泌亢進により、産熱が亢進

ウ.震え産熱
エ.核心温度が
33~34度になると、意識が失われ
25度から30度で心筋に細動が起こり死にいたる
③外気温上昇時
ア.発汗と皮膚血管の拡張により、放熱亢進
イ.発汗により水分排泄がさかんになるが、バゾプレッシン分泌増加により、腎臓からの水分排泄が抑制される
ウ.食欲不振、運動量減少などによって、産熱が減少する
エ.核心温度が43度を超えるとタンパク質が変成し、やがて死にいたる

■2)体温調節の障害
(1)設定値(セットポイント)
体温調節中枢によって保たれている一定範囲の体温
(2)発熱
セットポイントが正常よりも高いレベルにずれることによって起こる
①発熱物質
外気温に関係なく視床下部の体温調節中枢に作用して、産熱を高め、放熱を抑制する
ア.外因性発熱物質
細菌、ウィルスなど
イ.内因性発熱物質
外因性発熱物質が誘引となり、生体内で産生される物質
インターロイキン、インターフェロンなど
②解熱
発熱の原因の除去により、産熱が元に戻り放熱が高まる
通常、発汗が起こり体温が元に戻る

(3)うつ熱
放熱より産熱が多くなったり、環境から受ける熱が異常に大きくなって体温が上昇する場合にいう
セットポイントは正常
解熱剤を投与しても体温が下がらない
対処法は唯一冷やすこと
熱中症

■3)暑さ寒さへの適応
気候順化(生理的適応)
長期にわたる気候の変化に身体が耐えられるようになること
(1)暑さへの適応
汗腺の働きが亢進
皮膚血管の拡張で放熱が促進される
発汗による水分や塩分の喪失の防止
・アルドステロン分泌の増加
・バゾプレッシンの分泌の増加
・口渇による水分摂取促進

(2)寒さへの適応
・皮下脂肪の肥厚、皮膚血管の収縮
→放熱の抑制
・産熱がより効率のよい非震え産熱に変化

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第8章 排泄
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1.腎臓の構造と働き
①水分の排泄を調節し体液量を一定に保つ
②電解質の排泄を調節し体液の浸透圧を一定に保つ
③水素イオンの排泄を調節し体液のpHを一定にたもつ
④不要な物質や体外から取り入れた薬物などを除去し、有用な物質を体内に保持
⑤ホルモンの産生・分泌

■1)尿の生成
(1)腎臓の構造
☆腎臓の部位の名称
腎臓は内側がへこんだソラマメ状
外側(膨らんだ側)を皮質
内側(へこんだ側)を髄室
①ネフロン(腎単位)
腎臓の尿生成に関わる最小機能単位のこと
一個の腎臓は約100万個のネフロンからなる
ネフロンは腎小体一個と尿細管からなる
②腎小体
腎臓の皮質に存在し、糸球体とボーマンのうからなる
③糸球体
毛細血管がマリ状に集まったもの
糸球体に流入する血管を輸入細動脈、流出する血管を輸出細動脈という
④尿細管
ボーマンのうから伸び、初めはまがりくねり近位尿細管を作り、髄室に入りUターン(ヘンレループ)して皮質に入る
皮質内で遠位尿細管を作り、集合管に合流して次第に太くなり腎盂に開口する

(2)尿生成の過程
糸球体において血漿がボーマンのう中にろ過された濾液のことを原尿という
原尿がボーマンのうから尿細管を流れている間にそこを取り巻く毛細血管との間で、物質の再吸収と分泌が行われ、尿が生成される
生成された尿は尿管を通って膀胱へ送られる

■2)腎循環
(1)腎の血管系
腹大動脈から分岐した左右の腎動脈が、腎門を通って腎臓内に入る
その後枝分かれして
葉間動脈→弓状動脈→小葉間動脈→輸入細動脈→糸球体→
輸出細動脈→小葉間静脈→弓状静脈→葉間静脈→腎静脈→腎門
腎静脈として出て行く

(2)腎血流量(RBF)
糸球体に流入する血液量のこと
安静時約1.2~1.3リットル/分
心拍出量の4分の1にあたる
血圧の変動に関わらず、ほぼ一定に保たれている
=腎血流量の自己調節

■3)糸球体におけるろ過
(1)糸球体におけるろ過のしくみ
①ろ過されないもの
大きな粒子…血漿中のタンパク質、血球、脂肪球など
②ろ過されるもの
小さな粒子…水、Na+、アミノ酸、グルコースなど
③有効ろ過圧
糸球体血圧 - 血漿の膠質滲透圧 - ボーマンのう内圧
45mmHg 25mmHg 10mmHg
=10mmHg

中間試験範囲
p117~p217

(2)腎血漿流量(RPF)と糸球体ろ過量(GFR)
①腎血漿流量
腎臓に一分間に流入する血漿量のこと
約500ミリリットル/分
②糸球体ろ過量(=愿尿)
糸球体でろ過されてボーマンのうへ押し出されるろ過量のこと
100~150ミリリットル/分
腎血流量、全身の血圧、糸球体の血圧、ボーマンのう内圧、膠質滲透圧、糸球体毛細血管の透過性の変化などによって、影響される

■4)尿細管における再吸収と分泌
尿細管において有用な物質は再吸収され、不要な物質はあまり再吸収されず、アンモニアなどは分泌される
(1)水とナトリウムイオンと塩素イオンの尿細管における再吸収
ろ液の水分の約99%は再吸収され、血液中に回収される
残り約1%の水分は尿として排泄される(=1.5リットル)
①水の再吸収
ナトリウムイオンが能動的に再吸収される
→塩素イオンが電気的勾配にそって再吸収される
→浸透圧の変化により水が受動的に再吸収

近位尿細管にて60~70%が再吸収され、残りは遠位尿細管、集合管にて行われる
集合管ではバゾプレッシンの作用により、再吸収が促される

②ナトリウムイオンの再吸収
アルドステロンの分泌により集合管において再吸収が促される

③カリウムイオンの再吸収と分泌
近位尿細管で能動輸送によって再吸収されるが、遠位尿細管や集合管では逆に少量分泌される
カリウムイオンの分泌は水素イオンの分泌と拮抗する
→アシドーシスで抑制、アルカローシスでは促進
アルドステロンは集合管におけるナトリウムイオンの再吸収を促すとともに、K+の分泌を増加させる

(2)グルコースの尿細管における再吸収
グルコースは近位尿細管で能動輸送によって100%近く再吸収され、尿中には出てこない
しかし、尿細管には一定時間に輸送できる限界量(尿細管最大輸送量)があるので、血糖値が高くなると尿中に出てくる

(3)尿細管分泌
アンモニア、水素イオン、カリウムイオン、尿素、
パラアミノ馬尿酸、ペニシリン など

■5)腎機能の測定 -クリアランス)
腎臓の排泄能力を示す指標
クリアランスとは、ある物質が一分間に尿中に排泄される量が何ミリリットルの血漿に由来するか示す値のこと
物質Sのクリアランス
(Sの尿中濃度×尿量(ml/分))/Sの血漿濃度

(1)種々の物質のクリアランス
①ろ過されても尿細管においてほとんど再吸収される物質
クリアランスはほぼ0になる
例)ブドウ糖
②ろ過のみ行われてほとんど再吸収も分泌もされない物質
GFRの指標となる
例)クレアチニン
イヌリン
③ろ過と分泌が行われ血液が一回腎臓内を流れるだけで血漿から完全に除去されてほとんど尿中に排泄される物質
腎血漿流量にほぼ等しい
例)パラアミノ馬尿酸
☆腎血漿流量に等しい証明
血漿濃度:pb
尿中濃度:ub
pb×RPF=ub×尿量
RPF=ub×尿量/pb

④ろ過され尿細管において再吸収と分泌が両方行われる物質
ア.再吸収量が分泌量より多い
GFRより小さい値になる
例)尿素
イ.再吸収量が分泌量より小さい
GFRより大きい

2.尿の疎性
尿は淡黄色
95%が水分
1~2リットル/日
pH:4.5~8.0(平均6程度)
肉食、糖尿病→酸尿
過呼吸、重炭酸イオンの顆状摂取→アルカリ尿
比重:約1.003~1.030

★尿量の異常
①乏尿
尿量が異常に少ないこと(400~500ml/日)
極端な乏尿を無尿という(100ml/日以下)
乏尿が続くと尿毒症になる
②多尿
尿量が異常に多いこと(3000ml/日以上)
バゾプレッシンの分泌不足→尿崩症

3.腎臓における体液の調節
■1)体液のpHの調節
腎臓におけるpHの調節は次に述べるように尿細管の細胞が水素イオンを分泌したり、重炭酸イオンを再吸収することによって行われ、時間ないし日単位でゆっくりと行われる
①水素イオンの分泌と重炭酸イオンの再吸収
ろ液中の重炭酸イオンは尿細管細胞から分泌された水素イオンと反応して炭酸(H2CO3)となる
→炭酸脱水酵素により、水とCO2に分解
→CO2は尿細管細胞内に入り、炭酸脱水酵素によりH2Oと反応して、水素イオンと重炭酸イオンが生成される
→水素イオンはろ液中に分泌され、重炭酸イオンは血液中に戻る

ろ液中での水素イオンの分泌は最大で、尿細管内のpHが4.5になるまで起こりうる
しかし、ろ液中の重炭酸イオン、アンモニアなどと反応し容易に限界に達することはない

②アンモニア(NH3)の分泌
尿細管細胞内では、主にグルタミナーゼの働きによってグルタミンからNH3が生成され、分泌された水素イオンと反応してNH4+となって、尿中に排泄される
アシドーシスで、尿のpHが低い時、NH3の分泌が増大する

■2)細胞外液浸透圧
(1)浸透圧の上昇
視床下部にある浸透圧受容器が刺激され、下垂体後葉からバゾプレッシンが分泌される
渇きの感覚が起こる

(2)浸透圧の下降
浸透圧受容器が刺激され、バゾプレッシンの分泌が減少
塩を欲する感覚が起こる

■3)細胞外液量の調節
(1)細胞外液量の減少
①心肺部圧受容器で感受され、その情報が視床下部に伝えられ、バゾプレッシンの分泌が増加し、尿量が減少する
②レニン・アンギオテンシン系
アンギオテンシンⅡは渇きの感覚を起こし、飲水を増加させる
☆レニン・アンギオテンシン系を参照。アンギオテンシンⅡ自体の働きとして、血管の収縮というのもある

4.蓄尿と排尿
■1)尿管・膀胱・尿道の構造と働き
(1)尿管
腎盂と膀胱をつなぐ平滑筋よりなる管
尿管壁の内層は縦走筋、外層を走るのは輪走筋よりなる
蠕動運動によって、腎盂から膀胱へ尿が約1ミリリットル/分ずつ送られる
(2)膀胱
膀胱壁は三層のの平滑筋層(排尿筋)よりなる

(3)尿道と尿道括約筋
尿道は膀胱底から体外につながる管で、尿を体外に排出する通路
尿道の起始部の平滑筋の肥厚部= 内尿道括約筋
尿道の末梢側の横紋筋 = 外尿道括約筋

■2)膀胱と尿道の神経支配
・排尿筋 :骨盤神経によって収縮
下腹神経によって弛緩
・内尿道括約筋 :骨盤神経によって弛緩
下腹神経によって収縮
・外尿道括約筋 :陰部神経によって収縮

■3)膀胱内圧容積曲線
膀胱内圧を測定することによって得られる曲線のこと
カテーテルで膀胱内にゆっくりと水を注入していくと
最初は内圧があがるが、その後は容積が増加しても内圧はほとんど変化しない
容積が300~400ミリリットル付近になると、排尿筋が収縮し始める
排尿を決意すると内圧は急激に上昇して排尿が起こる

■4)蓄尿・排尿
(1)蓄尿
膀胱壁の伸展受容器
→骨盤神経を介して
→腰仙髄の排尿中枢
→下腹神経
→排尿筋の弛緩、内尿道括約筋の収縮

この反射により膀胱内圧があまり上昇せずに
ある程度まで尿が貯まる。
これと同時に陰部神経の興奮により外尿道括約筋の収縮。
膀胱内の尿量が150から300ミリリットルになると尿意を感じるようになるが、大脳皮質からの指令により外尿道括約筋の収縮がたかまり排尿が我慢できる。

(2)排尿
膀胱様量が400ミリリットルくらいになると更に尿意が高まり、排尿が行われる。
膀胱壁の伸展受容器
→骨盤神経
→脳幹の排尿中枢
→腰仙髄の排尿中枢
→骨盤神経の活動交信・下腹神経の活動低下
→排尿筋の収縮・内尿道括約筋の弛緩
→陰部神経の活動低下により外尿道括約筋が弛緩し、排尿が完了。

参考
膀胱炎などで膀胱壁が過敏になると尿が僅かに貯まっても尿意を感じる。
①尿失禁
脊髄損傷など大脳による排尿を抑制する機構がはたらかない場合に起こる
②排尿困難
前立腺肥大など膀胱に尿が貯まっても出にくい場合。
③尿閉
排尿困難の内、尿が出ない物。

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第9章 内分泌
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1.ホルモンの一般的特徴
■1)ホルモンと内分泌腺
①ホルモン
一般に内分泌腺にあるない分泌細胞から、直接血液中に分泌
血液循環を介して標的細胞に達し効果を発揮する
微量で効果を発揮する
②内分泌腺
下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、、副腎、卵巣、精巣など
③内分泌腺と外分泌腺
・内分泌腺:ホルモンを血液中に分泌
・外分泌腺:汗や消化液などの分泌物を消化管腔や体外に放出

■2)ホルモンの化学的性質
(1)ペプチドホルモン
ペプチドよりなるホルモン
ホルモンの大多数はペプチドホルモンに属する

(2)ステロイドホルモン
ステロイド核を持つ脂溶性のホルモン
コレステロールから生成
例)副腎皮質ホルモン、性ホルモン

(3)アミン類
アミノ酸より生成されるホルモン
例)カテコールアミン、甲状腺ホルモン など

■3)ホルモンの作用機序
ホルモンの受容体が細胞膜にある場合と、細胞内にある場合とがある
(1)細胞膜にある場合
細胞膜上の受容体に作用して細胞内でセカンドメッセンジャーを介して生理作用を発言する
例)ペプチドホルモン、カテコールアミン
☆受容体の傍らにGタンパクがある
ホルモン(ファーストメッセンジャー)が受容体につくことでGタンパクが活性化
アデニル酸シクラーゼという酵素を活性化
ATPからサイクリックAMP(セカンドメッセンジャー)作る
サイクリックがプロテインキナーゼを活性化
生理作用を引き起こす

(2)細胞内にある場合
細胞膜を通過して細胞内にある受容体と結合し、核内に入ってDNAに作用し、メッセンジャーRNAを介して特定のタンパク質の合成を促して生理作用を発現する
例)ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン
☆脂溶性のホルモンは細胞悪を通過しやすい
細胞内で受容体と結合
受容体と結合した状態で核内に入る
DNAに作用してmRNAに翻訳させる
タンパク質を合成する
生理作用を引き起こす

■4)ホルモン分泌の調節
(1)階層的支配
多くのホルモン分泌は上位ホルモンから下位ホルモンへ階層的に支配されている

(2)負のフィードバック機構
上位ホルモン分泌は下位ホルモン濃度が低くなれば増加し、高くなれば減少する

(3)自律神経や血中成分による調節
・副腎髄質ホルモン :交感神経によって調節を受ける
・血糖値 :膵臓に作用
・血中カルシウム濃度:副甲状腺、甲状腺に作用

(4)ホルモン分泌の生体リズム
多くのホルモンは概日リズムを示す
・副腎皮質ホルモン:早朝高まり、深夜に最も低くなる
・カテコールアミン:昼高く、睡眠中に低くなる

2.各内分泌腺の働き
■1)視床下部・下垂体の構造とホルモン
下垂体は腺下垂体と神経下垂体からなる
①腺下垂体
下垂体前葉・中葉のこと
下垂体中葉は人では退化して明瞭でない
視床下部とは下垂体門脈で連絡
前葉ホルモンは前葉の内分泌細胞で産生され、その調節は血流を介して視床下部ホルモンによって行われる
②神経下垂体
下垂体後葉のこと
後葉ホルモンは視床下部で産生され、軸索を通じて輸送され血中に萌出される

(1)視床下部ホルモン
下垂体前葉ホルモンの分泌調節を行う

下垂体ホルモン 視床下部ホルモン
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・成長ホルモン(GH) 成長ホルモン放出ホルモン(GRH)
成長ホルモン抑制ホルモン(GIH)
・プロラクチン(PRL) プロラクチン放出ホルモン(PRH)
プロラクチン抑制ホルモン(PIH)
・甲状腺刺激ホルモン(TSH) 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)
・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)
・性腺刺激ホルモン(GnH) 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)

(2)下垂体前葉ホルモン
①成長ホルモン(GH)
・骨端での軟骨形成の促進
→骨の成長
・タンパク質合成の促進
→筋肉、心臓、腎臓などの発育の促進
・血糖値の上昇
→肝臓からグリコーゲンをグルコースに
・脂肪酸の遊離
→蓄積されていた脂肪を放出してエネルギー源とする

②プロラクチン(乳腺刺激ホルモン、PRL)
・乳腺の発達
・成熟した乳腺細胞の乳汁産生、分泌の促進
・排卵の抑制

③甲状腺刺激ホルモン(TSH)
・甲状腺を刺激してホルモン分泌を促す

④副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
・副腎皮質ホルモンの分泌を促し、糖質コルチコイドの分泌を促す

⑤性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン、GnH)
ア.卵胞刺激ホルモン(FSH)
(女性)
・卵胞の成熟を促す
・黄体形成ホルモンと協調して卵胞ホルモンの生成と分泌の促進
(男性)
・精細管の発育の促進
・精子形成の促進
イ.黄体形成ホルモン(LH)
(女性)
・成熟卵胞に対する排卵の誘発
・排卵後の黄体形成を促し、黄体ホルモンの分泌増加
(男性)
・精巣の間質細胞に作用し、男性ホルモンの生成と分泌の促進
★(参考)下垂体中葉ホルモン
・メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)
メラニン細胞(黒色素細胞)におけるメラニン形成の促進

(3)下垂体後葉ホルモン
①バゾプレッシン(抗利尿ホルモン、ADH)
・腎臓の集合管での水の再吸収の促進
・多量に分泌された場合、血圧上昇作用→細動脈収縮
②オキシトシン
ア.成熟した乳腺に対する乳汁排出の促進
=(筋上皮細胞の収縮)
・射乳反射
授乳時、乳児が乳首を吸引すると、オキシトシンの分泌が増加して射乳を起こす
イ.子宮平滑筋の収縮
・陣痛
胎児が産道に入る刺激によって、オキシトシンの分泌が増加し、子宮平滑筋の収縮が起こる

★下垂体の機能異常
①下垂体機能低下
下垂体にある種の腫瘍や血管障害が起こり、下垂体ホルモンの分泌が低下すると次のような異常が起こる
・内分泌腺の萎縮
甲状腺・性腺、副腎皮質の萎縮が起こる
→寒冷に対する抵抗力の低下、第二次性徴の消失、血糖値の低下など
・成長の停止
成長期の成長ホルモン分泌低下により、小人症(下垂体性侏儒症)を引き起こす
・尿崩症
バゾプレッシンの分泌低下による
②下垂体機能亢進
・成長ホルモン分泌亢進
→成長期においては巨人症
→成人においては末端肥大症
・副腎皮質刺激ホルモンの分泌亢進
→クッシング病(ムーンフェイスとか)

■2)甲状腺
①甲状腺の構造
甲状軟骨の下の気管の前面にあり、U字型様をしている
約20グラムの内分泌腺
ア.ろ胞(p223の図)
組織内には多数のろ胞がある
ろ胞は一層のろ胞細胞と、コロイド状の物質で満たされたろ胞腔よりなる
ろ胞細胞は甲状腺ホルモンを産生・分泌
イ.傍ろ胞細胞(C細胞)
ろ胞の外側にありカルシトニンを分泌

(1)甲状腺ホルモン
・サイロキシン(T4)
ヨウソ原子を4つ含む
・トリヨードサイロニン(T3)
ヨウソ原子を3つ含む
T3はT4に比べ、約十倍の活性をもつ
甲状腺からは主にT4が分泌され、T3の多くは末梢組織でT4から

①生理作用
ア.物質代謝の亢進
・酸素踵腓の増大
・ 基礎代謝の亢進
・体温の上昇
・タンパク質代謝
タンパク質の生合成分解の促進
・糖代謝
血糖の上昇、組織での糖利用の促進
・脂質代謝
血清コレステロールの低下
イ.発育の促進
GHの働きを助け、骨や歯の発育の促進
中枢神経細胞の髄鞘の発育の促進
ウ.精神機能刺激
精神活動に影響を与える
甲状腺ホルモン欠乏により精神活動が鈍くなり、逆に過剰になると興奮しやすくなる
エ.その他
他のホルモンの作用に相加的、相乗的な影響をあたえる
→許容作用(他のホルモンの働きを助ける作用)

②分泌調節
甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調節を受ける
負のフィードバック機構(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン → 甲状腺刺激ホルモン → 甲状腺ホルモン → 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)

★分泌異常
①機能亢進
・バセドウ病
甲状腺腫、眼球突出、頻脈
←メルゼブルグの3兆候
基礎代謝の増加
手指の振るえなど
②機能低下
・クレチン病
小児における甲状腺機能低下によって起こる
成長や機能の発達が曽我井される
(甲状腺性の小人症と違って、知能の発達にも影響を与える)
・粘液水腫
成人における甲状腺の機能低下によって起こる
浮腫を特徴とする(加圧してもへこみにくい粘りのある浮腫)

(2)カルシトニン
①生理作用
血漿カルシウムイオン濃度の低下
・骨吸収の抑制
・骨形成の促進
・腎臓からのカルシウムイオン排泄の促進
②分泌を促す要因
血漿カルシウムイオン濃度の増加

■3)副甲状腺(上皮小体)
(1)副甲状腺ホルモン(パラソルモン、PTH)
①生理作用
血漿カルシウムイオン濃度の増大
・骨吸収の促進
・腎臓の尿細管でのカルシウムイオンの再吸収の促進
・腎臓におけるビタミンD活性化促進により、間接的に腸からのカルシウムイオンの吸収促進
(2)血漿カルシウムイオン濃度の調節
正常値:10ミリグラム/デシリットル
・正常値より低下した場合→パラソルモンの分泌増加
・正常値より増加した場合→カルシトニンの分泌増加

★副甲状腺ホルモンの分泌異常
①機能亢進
・骨粗鬆症
②機能低下
・テタニー
筋の興奮性が高まり、骨格筋の不随意的収縮が起こる
四肢、喉頭筋に起こり、窒息を起こすことがある

■4)膵臓
①ランゲルハンス島
内分泌細胞の集まり
膵臓内に100万から200万個存在
重量は膵臓全体の1~2%
膵尾に多くある
②内分泌細胞
ア.α細胞(A細胞)
内分泌細胞全体の約20%を占める
グルカゴンを分泌
イ.β細胞(B細胞)
内分泌細胞全体の約60~75%を占める
インスリンを分泌
ウ.δ細胞(D細胞)
内分泌細胞全体の約1~8%を占める
ソマトスタチンの分泌
(1)インスリン
①生理作用
骨格筋、脂肪組織、肝臓に作用して同化作用の促進、異化作用の抑制
ア.糖代謝
血中のグルコースの細胞内への取込みの促進
肝臓におけるグリコーゲン合成の促進

血糖値を下げる

イ.脂質代謝
グルコースの脂肪への変換の促進
ウ.タンパク質代謝
アミノ酸の細胞内への取込みの促進
タンパク質合成の促進

②分泌調節
血糖値の変動
迷走神経により分泌促進
グルカゴン、GIPにより分泌が促進
ソマトスタチンにより分泌が抑制される

★分泌異常(糖尿病)
・インスリンの分泌低下やインスリン応答低下によって起こる
・高血糖、糖尿、多尿、多飲
・ケトンアシドーシス

(2)グルカゴン
①生理作用
肝臓でのグリコーゲンの分解、糖新生の促進
→血糖値の上昇
肝臓での脂肪分解の促進により、血中遊離脂肪酸の増加
インスリン、ソマトスタチンの分泌促進

(3)ソマトスタチン
インスリン、グルカゴンの分泌抑制
血糖値の上昇やグルカゴンの分泌により促進される

(4)血糖の調節
・正常値:70~110ミリグラム/デシリットル
・正常より上昇した場合:インスリンの分泌上昇
・正常より低下した場合:グルカゴンの分泌上昇

・インスリン→グルカゴンの分泌抑制
・グルカゴン→インスリン、ソマトスタチンの分泌促進
・ソマトスタチン→インスリン、グルカゴンの分泌抑制

☆血糖値上昇
→インスリン分泌
→ソマトスタチンがインスリンの過剰分泌を抑える、グルカゴンの分泌促進で血糖値を下げすぎない

★血糖値を上昇させるホルモン
グルカゴン
カテコールアミン(特にアドレナリン)
成長ホルモン
副腎皮質ホルモン(うち、糖質コルチコイド)
甲状腺ホルモン

■5)副腎
☆内側(内部)を髄室、外側(表面側)を皮質
(1)副腎髄質ホルモン
クロム親和性細胞から、大量のアドレナリン(エピネフリン)、わずかのノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ごくわずかのドパミンを分泌
上記三種のホルモンを称してカテコールアミンという
①アドレナリンとノルアドレナリン
ア.生理作用
・アドレナリン:
心拍出量増加作用、血糖値上昇作用が顕著
・ノルアドレナリン
末梢血管収縮による、血圧上昇作用が顕著
a.循環系に及ぼす作用
・アドレナリン→心筋の収縮力、心拍数の増加
・ノルアドレナリン→末梢血管収縮による血圧上昇
b.血糖値に及ぼす作用
肝臓や筋におけるグリコーゲンの分解促進により血糖値上昇
アドレナリンの方がその作用が強い
c.遊離脂肪酸量に及ぼす作用
脂肪分解を促進し、血中遊離脂肪酸の増加
d.代謝に及ぼす作用
代謝量を増加させる
組織の酸素消費量を増加させ、熱産生量の増加
e.血管以外の平滑筋に及ぼす作用
気管支の拡張、胃運動の抑制
→アドレナリンの方がその作用が強い

イ.分泌調節
交感神経によって調節
激しい筋運動時、著しい寒冷・温熱刺激、大量出血による血圧降下時などによく分泌される

②ドパミン
その作用は不明

③緊急反応
緊急事態には、全身の種々の器官の交感神経の活動が亢進し、カテコールアミンの分泌が増大し、瞳孔散大、心拍数増加、血圧・血糖値上昇など、闘争や防衛などに都合のよい身体状態にすること(キャノンにより提唱された)

★分泌異常
・褐色細胞腫
クロム親和性細胞が腫瘍化すること
副腎髄質ホルモンが過剰に分泌される
→高血圧、心悸亢進、発汗、頭痛

(2)副腎皮質ホルモン(コルチコステロイド)
①副腎皮質の構造
外側から順に
・顆粒層
電解質コルチコイドを分泌
・束状層
糖質コルチコイドを分泌
・網状層
副腎アンドロジェンを分泌

②糖質コルチコイド
主なものコルチゾル、コルチコステロン
ア.生理作用
a.物質代謝に対する作用
血糖値の上昇←肝臓での糖新生による
タンパク質や脂肪の分解促進
b.抗炎症、抗アレルギー作用
c.許容作用
他のホルモンの働きを助ける
甲状腺ホルモン、成長ホルモン、カテコールアミン、インスリン、グルカゴンなどの作用を発揮するのに必要
d.胃に対する作用
胃酸およびペプシンの分泌の促進
粘液の分泌を抑制
e.その他
・抗ショック作用
ストレス刺激に対する抵抗力を高める

イ.分泌調節
a.促進要因
・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって分泌促進
☆副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)によって分泌調節される
・種々のストレス刺激によって分泌促進
b.抑制要因
負のフィードバック機構

③電解質コルチコイド
主なものはアルドステロン
ア.生理作用
腎臓の、主に集合管に作用してNa+再吸収促進、K+の排出促進
細胞外液量の増加
イ.分泌調節
レニンアンギオテンシン系
ACTH、ナトリウムイオン・カリウムイオンの濃度低下などでも分泌促進

④副腎アンドロジェン
主なものはデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
作用(身体を男性化する)は弱い
分泌調節はCRH-ACTHによる

★分泌異常
①機能低下
・アジソン病
皮膚の色素沈着
低血圧、低血糖、ナトリウムイオンの顆状排泄

②機能亢進
・クッシング症候群
糖質コルチコイドの分泌過剰によって起こる
満月様顔貌、中心性肥満
高血糖、高血圧など
・コン症候群
電解質コルチコイドの分泌過剰によって起こる
ナトリウムイオンの貯溜、カリウムイオンの低下
多飲、多尿、高血圧など
・副腎性器症候群
副腎アンドロジェンの分泌過剰によって起こる
女性:体型の男性化
男性:思春期前に起こると精巣が未成熟であるのに第二次性徴のみ成熟する

■6)精巣
アンドロジェン(男性ホルモン)とは、身体を男性化する物質の総称
精巣からでるアンドロジェンの主なものはテストステロン
①構造
多数の精細管からなる
精細管の間を埋める間質細胞(ライジッヒ細胞)がテストステロンを生成、分泌
精細管には精子となる精祖細胞と精細胞を栄養するセルトリ細胞がある
②テストステロン
ア.生理作用
セルトリ細胞に作用して、精子形成の促進
前立腺や精嚢の発育の促進、機能の維持
男性の第二次性徴の発現(外生殖器の発育、体毛の成長、甲状軟骨の突出、声変り)を促進
筋肉および骨基質のタンパク質合成の促進(タンパク質同化作用)
性欲の亢進

イ.分泌調節
黄体形成ホルモンにより調節(性腺刺激ホルモン放出ホルモンが上位に)
負のフィードバック機構
セルトリ細胞は卵胞刺激ホルモンによって調節を受ける

■7)卵巣
①構造
皮質と髄質からなる
皮質には卵胞、黄体などがある
髄質は血管で占められている
卵胞は原始卵胞、胞状卵胞、成熟卵胞(グラーフ卵胞)の順に発育し、卵子を放出(排卵)
排卵後、卵胞は赤体を経て黄体となる
黄体は受精すると妊娠黄体に、受精しなければ退化して白体になる

(1)卵胞ホルモン(エストロジェン)
主なものは、エストラジオール、エストロン、エストリオール
①生理作用
卵胞の発育の促進
卵管運動を高め、卵子の子宮腔への輸送を助ける
子宮内膜と膣上皮の増殖の促進
乳腺発育の促進
女性の第二次性徴(乳房の発達、骨格の女性化、皮下脂肪の沈着など)の発現の促進
性欲の亢進

(2)黄体ホルモン(プロジェステロン)
①生理作用
受精卵の着床を容易にし、妊娠を維持する作用
乳腺の発育の促進
排卵の抑制
体温の上昇作用

(3)分泌調節
・エストロジェン
性腺刺激ホルモン(FSH、LH)(←GnRHが上位に)
・プロジェステロン
性腺刺激ホルモン(LH)(←GnRHが上位に)
・負のフィードバック機構
・正のフィードバック
排卵の約36時間前には、血中エストロジェンが急激に増加し、プロジェステロンの存在下で正のフィードバックにより、一過性にLHの分泌が増加

■8)その他のホルモン
教科書を参照

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第10章 生殖・成長と老化
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1.生殖
■1)男性生殖器の構造と働き
精子を作る精巣、精子を運ぶ管(精巣上体、精管など)、 これらに開口する腺(精嚢、前立腺、尿道球腺)などの内生殖器
陰経、陰嚢などの外生殖器からなる

(1)精子の形成
精子は精巣で作られる
思春期になるとテストステロンの作用により、精祖細胞が成熟し一次精母細胞に、減数分裂して二次精母細胞に、さらに分裂して精子細胞に、そして精子となる
一日に約3千万から2億の精子を産生

(2)精反射
①勃起
ア.反射
陰茎の触受容器
→陰部神経
→仙髄
→副交感神経性血管拡張神経
→陰茎の細動脈の拡張により海綿体の体積増加、陰茎の静脈圧迫、血液流出抑制により陰茎の充血が起こり勃起

イ.情動刺激でも勃起は起こる
ウ.交感神経の血管収縮神経の活動亢進で消失

②射精
ア.精液を尿道まで射出する過程
陰茎の触受容器
→陰部神経
→腰仙髄
→交感神経(下腹神経内)
→精管、精嚢の収縮
→内尿道括約筋の収縮(精液の尿道内への流入防止)
→精液の尿道への射出

イ.尿道から体外に圧出する過程
陰部神経の活動亢進
→陰茎の横紋筋収縮
→精液排出

ウ.一回の射精(約3.5ミリリットル)で、平均4億の精子が放出される
通常1ミリリットるあたりの精液:1.2億
不妊の基準:1ミリリットル中2千万以下

■2)女性生殖器の構造と働き
(1)卵子の形成
①原始卵胞
胎生期で約700万個
出生時で約100万個
思春期で約1万個になる
②卵子
一回の月経周期ごとに成熟して放出される
生殖可能な時期に約400個放出される
(2)性周期
A)卵巣周期
排卵から次の排卵までを一周期とする
①卵胞期(1~14日目ごろ)
FSHの分泌増加により乱歩宇賀成熟、卵胞の発育
→エストロジェンの分泌増加
→子宮内膜の増殖
②排卵(14日目ごろ)
血中エストロジェン濃度が急激に上昇
→LHの一過性の急激な分泌増加(LHサージ)
→排卵
☆正のフィードバックを参照(???)
③黄体期(14~28日目)
LHの作用で排卵後の卵胞から黄体形成
プロジェステロンの作用により子宮内膜から分泌液が増加
受精が行われないと黄体は退化し、プロジェステロンの分泌低下

B)月経周期(子宮内膜周期)
子宮内膜の周期的変化を反映
月経出血の始まりを第1日とする
・月経期と増殖期 → 卵胞期
・分泌期 →黄体期
①月経期(1~5日目)
子宮内膜の脱落によって膣から出血
出血期間は平均5日
出血量:平均35ミリリットル
②増殖期(5~14日目)
月経終了から排卵直後までの約9日間のこと
エストロジェンの作用により、子宮内膜が増殖する
③分泌期(14~28日目)
排卵後から次の月経が始まるまでの時期
プロジェステロンにより、子宮内膜の分泌腺が活発になり受精卵が着床しやすい状態になる
受精が行われないと黄体は退化し、プロジェステロンの分泌低下

■3)妊娠
(1)受精、着床、妊娠
寿命=卵子:約1日、精子:約2日
受精は通常卵管で行われる
受精卵は卵割をしながら子宮内腔に移動し、子宮内膜に着床し、妊娠が始まる
母体と胎児を連絡するのが胎盤
①妊娠
ア.黄体は妊娠黄体になり、プロジェステロンの分泌が継続
→LHの分泌低下(負のフィードバック)、次の排卵が起こらず、月経が停止
イ.妊娠6週後には、胎盤が十分な量のプロジェステロンを産生するようになり、黄体の機能は低下する
ウ.胎盤から分泌されるホルモン
・ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
黄体機能の維持に働く
・ヒト絨毛性ソマトマンモトロピン(hCS)
成長ホルモンやプロラクチンに似た作用をもつ
・プロジェステロン
・エストロジェン

(2)胎児の発育
胎児は胎盤を通じて物質交換を行う
子宮内で約40週間発育を続ける

(3)分娩
ア.出産が近づくとオキシトシンおよびその受容体の増加
→子宮筋収縮
イ.胎児が産道を降下し始め、子宮頚部が伸展すると、反射性にオキシトシンの分泌が増加
→子宮筋収縮
ウ.オキシトシンは子宮内膜のプロスタグランジンの産生を促進
→子宮筋収縮
エ.プロジェステロンの分泌が急激に低下
→オキシトシンの左葉作用が出やすくなる

ア~エのような反応により陣痛が起こり、胎児およびその付属物が排出されることを分娩という

(4)乳汁分泌
ア.出産後、プロラクチンの分泌が急激に増加
→分娩後1~3日で乳汁の排出が始まる
イ.乳頭に吸引刺激
→オキシトシンの分泌増加により乳汁排出が促進(射乳反射)
ウ.授乳によってプロラクチンの分泌が継続し、乳汁産生の促進
→排卵の抑制

2.成長
成長とは形態的に身体の各単位の重量や大きさがそれぞれ増加したり、機能的に成熟する現象
(1)身長、体重の経時的変化
新生児で比較的高く、児童期に緩徐になり、思春期に再び高くなり、成人で安定

(2)身体各部の成長
教科書を参照

(3)各期間の成長
①脳
出生後急激に成長し、数年で成人のレベルに達する
②骨・筋・内臓
全身の成長にともなって、S字状の成長曲線を示す
③生殖器
ア.胎生時に弾性型または女性型に分化
イ.思春期に急激に成長率が高まり、1~2年で成人のレベルに達する
この際、特有の第二次性徴を伴う
④胸腺
思春期に最大となり、成人になれば退縮する
⑤副腎
出生後、一次重量が減少するが、8歳ごろから急激に増加する

3.老化
■1)細胞の寿命
細胞の寿命は個々の細胞で違う
例)神経細胞はその人の寿命と同じ
腸管上皮などは2~5日

■2)生理的老化の特徴
(1)種々の機能の過齢変化
機能低下の速度は、各機能によって異なる
例)30歳に対する80歳の機能低下率
・神経伝導速度:15%減
・腎血流量:50%減
・最大換気能力:60%減

(2)個体間のばらつきの増大

(3)ホメオスタシス機能の低下

■3)身体機能の過齢変化
(1)高次神経機能
①知能
一般的な知能には85歳まで変化はないが、柔軟性や対処能力は低下する
②記憶
逆順での暗礁などがしにくくなる
③言語
構文能力は維持される、喚語能力は80歳代から低下し言語の流暢さも低下する
④運動機能
比較的早い時期から過齢により低下
(3)感覚機能
すべての感覚機能が衰える
(4)血液循環機能
血圧は一般に過齢により上昇する傾向にある
(5)呼吸機能
通常での一回換気量は成人と比べほとんど差がないが、肺活量は減少する
(6)排尿機能
女性では尿失禁になりやすく
弾性では前立腺肥大などで排尿困難が生じやすい
(7)内分泌機能
性ホルモンは過齢により分泌減少
カテコールアミン、副甲状腺ホルモンは過齢により分泌増加
インスリンや甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなどはほとんど変化しない
(8)その他の機能
消化吸収、免疫機能も過齢により低下

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第11章 神経
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1.神経系とは
・神経系:中枢、末梢神経系
・中枢神経系:脳、脊髄
・末梢神経系:体性神経系、自律神経系(脳神経、脊髄神経という分け方も)
・体性神経系:感覚神経(知覚神経)、運動神経
感覚神経=求心性神経、運動神経=遠心性神経
・自律神経系:内臓求心性神経、交感神経と副交感神経は遠心性神経

2.ニューロンの構造と働き
■1)ニューロン
①構造
細胞体、樹状突起、軸索からなる
樹状突起は通常、数本の突起として細胞体から伸び、その先で多数分枝する他のニューロンから情報を受け取る機能を持つ
軸索は長い一本の突起で、ニューロンが受け取った情報を伝える働きを持つ
■2)支持細胞
(1)シュワン細胞
末梢神経系の軸索を取り囲む細胞のこと
(2)神経線維
軸索とシュワン細胞をまとめていう
①有髄線維
髄鞘(ミエリン)に囲まれている神経線維のこと
髄鞘は軸索を絶遠する働きがある
髄鞘には1~2ミリメートルごとに切れ目があり、これをランビエの絞輪
②無髄線維
髄鞘に囲まれていない神経線維のこと
一個のシュワン細胞が数本の軸索をつつむ

(3)グリア(グリア細胞、神経膠細胞)
ニューロンを支え、栄養や代謝産物などの物質交換に関与
分裂機能を有する
①末梢神経系のグリア細胞
・シュワン細胞
・外套細胞
神経節において細胞体を支持する
②中枢神経系のグリア細胞
・アストロサイト(星状膠細胞)
ニューロンと血液間での物質交換に関与
・オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)
軸索を取り巻く細胞

■3)軸索輸送
軸索内での物質移動のことで、細胞体や軸索に必要な物質の輸送や代謝産物の除去などを行う
(1)順行性軸索輸送
細胞体で合成された物質が神経終末に運ばれたりすること
・軸索輸送のモータータンパク:キネシン
・高速に輸送されるもの:神経伝達物質
・低速に輸送されるもの:細胞骨格を作るタンパク質など
(2)逆行性軸索輸送
神経終末で細胞の外から細胞内に取り込まれた物質が細胞体に運ばれたりすること
・逆行性軸索輸送のモータータンパク:ダイニン
・低速に輸送されるもの:神経終末で取り込まれた物質が運ばれる

■4)変性と再生
(1)順行性変性(ワーラー変性)
切断部より末梢側の軸索に起こる変成のこと
(2)逆行性変性
切断部より中枢側の軸索に起こる変性のこと
切断部が細胞体に近いほど起こりやすい
(3)再生
末梢神経系においてはニューロンの細胞体が死滅していない時、次のように神経線維の再生が行われる
切断部の両端のシュワン細胞が増殖して結合し、一本の管になる
その管の中を細胞体側から軸索が伸び、標的細胞に達する
(4)軸索発芽
中枢神経系において、損傷を受けなかった軸索の先が枝分かれして伸びること
神経損傷により失われた機能回復に重要な意味を持つ
(5)神経栄養因子(教科書p270)
グリア細胞、筋、神経細胞などで産生される
・神経成長因子(NGF)
・脳由来神経栄養因子(BDNF)
・ニューロトロフィン(NT)
・線維芽細胞(FGF)

(6)ニューロンの死
・ネクローシス
ニューロンが虚血、炎症、外傷などで死滅すること
・アポトーシス
遺伝子のプログラムによる死滅

3.ニューロンの興奮と伝導
■1)、■2)については前述
■3)興奮の伝導
(1)局所電流
細胞膜の一部に活動電位が生じるとその隣接部との間に流れる電流のこと
(2)神経線維の伝導の3原則
①絶縁性伝導
一本の神経線維が興奮しても、隣接するほかの神経線維には興奮は起こらない
②不減衰伝導
興奮の大きさは減衰せず一定の大きさで伝導する
③両方向性伝導
神経線維の一部を刺激するとそこで生じた興奮は両方向に伝導する
(3)跳躍伝導
有髄線維は髄鞘で覆われており、その部分は絶遠されている。そのため、ランビエ絞輪にのみ局所電流が流れる
これにより伝導速度は無髄線維より早くなる

(4)伝導速度
無髄線維でも有髄線維でも直径が大きいほど早い
(5)神経線維の分類
①A線維
すべて有髄線維
ア.Aα線維
・直径:15μm
・伝導速度:100m/秒
・骨格筋支配の運動線維
・筋紡錘からの求心性線維
イ.Aβ線維
・直径:8μm
・伝導速度:50m/秒
・触圧覚をつかさどる
ウ.Aγ線維
・直径:5μm
・伝導速度:20m/秒
・筋紡錘への遠心性線維
エ.Aδ線維
・直径:3μm
・伝導速度:15m/秒
・痛覚(さすような痛み)、温度覚をつかさどる
②B線維
・有髄線維
・直径:3μm
・伝導速度:7m/秒
・自律神経の節前線維(神経節よりも中枢側に近い線維)
③C線維
・無髄線維
・直径:0.5μm
・伝導速度:1m/秒
・自律神経の節後線維、温度覚、痛覚(鈍い痛み)

(6)求心性神経線維の分類
①Ⅰa(群)
・有髄線維
・直径:15μm
・速度:100m/秒
・Aα線維と対応
・起源となる感覚器:筋紡錘(らせん形終末)
②Ⅰb(群)
・有髄線維
・直径:15μm
・速度:100m/秒
・Aα線維と対応
・起源となる感覚器:腱受容器
③Ⅱ(群)
・有髄線維
・直径:9μm
・速度:50m/秒
・Aβ線維と対応
・起源となる感覚器:筋紡錘(散形終末)、触・圧覚受容器
④Ⅲ(群)
・有髄線維
・直径:3μm
・速度:20m/秒
・Aδ線維と対応
・起源となる感覚器:温度覚(特に冷覚)、痛覚(さすような痛み)受容器
⑤Ⅳ(群)
・無髄線維
・直径:1μm
・速度:1m/秒
・C線維と対応
・起源となる感覚器:温度覚(特に温覚)、痛覚(鈍い痛み)受容器

4.興奮の伝達
①興奮の伝達
一つの細胞の興奮が他の細胞に伝えられること
②シナプス
ニューロンの神経終末と他のニューロン、筋、あるいは腺細胞との接合部のこと
シナプスにおける興奮の伝達は神経終末から神経伝達物質が放出され、次の細胞に作用してその細胞の膜電位を変化させる(化学シナプス)

■2)シナプスの構造と働き
(1)構造
①シナプス前終末(シナプス小頭)
神経終末の少し膨らんだところ
②シナプス小胞
シナプス前終末中に大量に存在し、神経伝達物質を含む
③シナプス間隙
シナプス前終末とシナプス後細胞との間にある20から50ナノメートルの隙間のこと
④シナプス下膜(シナプス後膜)
シナプス後細胞の膜のうち、シナプス前終末と向かい合っている部分のこと
神経伝達物質に対して特異的に作用する受容体がある

(2)特徴
①一方向性伝達
シナプス前ニューロンの興奮は、神経終末から、シナプス後細胞に伝わる
②シナプス遅延
興奮がシナプスを通過するのに要する時間、約0.2ミリ秒
③易疲労
シナプス前ニューロンを繰り返し刺激すると、シナプスは疲労してシナプス伝達の中断が起こる
④酸素不足や薬物の影響
酸素不足や種々の薬物などに敏感に反応して、シナプス伝達が障害される

■2)中枢神経系のシナプス伝達
(1)興奮性シナプス
神経伝達物質により、シナプス下膜に脱分極が起こる
この膜電位変化のことを興奮性シナプス後電位(EPSP)という
また、多数のシナプス前線維の興奮により、EPSPが大きくなることを加重という(多数のシナプス線維からの刺激によるものを空間的加重、刺激が繰り返し送られることによるものを時間的加重という))

(2)抑制性シナプス
①シナプス後抑制
神経伝達物質により、シナプス下膜に過分極が起こる
この膜電位の変化のことを抑制性シナプス後電位(IPSP)という
IPSPにも加重が起こる
②シナプス前抑制
シナプス前終末からの興奮性神経伝達物質の放出を減少させるもの
これにより、シナプス下膜には小さなEPSPしか発生しない

(3)発散と収束
①発散
一本のシナプス前ニューロンの軸索が、多数の側枝に分かれて、他の多数のニューロンとシナプスを形成する場合をいう
発散によって、求心性の情報が中枢神経系のさまざまな部位に到達する
②収束
多数のシナプス前ニューロンの軸索が、同一の一戸のニューロンにシナプスを形成する場合をいう
中枢神経内で情報の統合が可能になる

(5)促通と閉塞
①促通
シナプス前線維の2群に対する刺激が弱いとき、2群それぞれの単独刺激効果の和より、同時刺激効果の方が大きくなること
②閉塞
シナプス前線維の2群に対する刺激が十分に強いとき、それぞれの単独刺激効果の和よりも同時刺激効果の方が小さくなること

(6)シナプス伝達の可塑性
シナプスが頻繁に使用されると伝達機能が変化すること
①反復刺激後増強(テタヌス後増強=PTP)
シナプス前ニューロンを連続刺激すると、しばらくの間通常の刺激に対してシナプス後ニューロンに大きな反応が起こること
②長期増強と長期抑圧
ア.長期増強(LTP)LongTermPotensiation
シナプス前ニューロンへの反復刺激により、シナプス後ニューロンへのシナプス伝達機能の増強が数時間から数日にわたり持続する現象
イ.長期抑圧(LTD)LongTerm
シナプス伝達機能が反復刺激後、長期にわたって抑制される現象

■3)神経伝達物質
(1)末梢神経系
①アセチルコリン
運動神経末端、自律神経節前線維の末端
副交感神経節後線維末端
②ノルアドレナリン
交感神経節後線維末端
(2)中枢神経系
・カテコールアミン
・アセチルコリン
・グリシン、γアミノ酪酸(GABA)
…抑制性に働く
・グルタミン酸
…興奮性アミノ酸
・セロトニン
・ヒスタミン
・ATP、アデノシン
・オピオイドペプチド
…鎮痛作用
・P物質
…サブスタンスPなどがあり、痛覚に作用
・VIP、CGRP

■4)受容体
神経伝達物質に対して特異的に結合するタンパク質よりなる構造物
神経伝達物質に対応して受容体が存在
受け止める細胞によって、同じ神経伝達物質でも性質が違う
例)アセチルコリン受容体
骨格筋の受容体:ニコチン受容体(ニコチンにも反応する)
平滑筋の受容体:ムスカリン受容体(ムスカリンにも反応する)

(1)神経伝達物質に対応する受容体の型
①イオンチャネル型受容体
神経伝達物質の受容部位とイオンチャネルが一体になっているもの
…ニコチン受容体、イオンチャネル型グルタミン酸受容体など
②代謝調節型受容体
神経伝達物質に対する細胞外に突出した受容部位と、細胞内でGタンパクと結合した部分から構成されている
受容体で受けた情報をGタンパクを介してイオンチャネルに伝える
…ムスカリン受容体、α受容体、β受容体など

5.末梢神経系
■1)末梢神経系の機能
(1)脳神経
a.脳を離れる部位、脳に終着する部位
b.頭蓋骨を通過する部位
c.その神経の機能
d.その他
①Ⅰ(嗅神経)
a.前頭葉下面にある嗅球に終着
b.篩骨の篩板の小孔
c.嗅覚
d.受容器は嗅細胞
②Ⅱ(視神経)
a.間脳の外側膝状体に終着
b.視神経管
c.視角
d.受容器は網膜の視細胞
③Ⅲ(動眼神経)
a.中脳から起こる
b.上眼窩裂
c.運動性と副交感性
運動性:上直筋(顔弓の上についている)、内側直筋(顔弓を内転させる)、下直筋(下内方へ向ける)、下斜筋(上外転させる)、上眼瞼挙筋(まぶたを持ち上げる)といった筋肉を支配する
副交感性:瞳孔括約筋、毛様体筋(水晶体の暑さ調節)
④Ⅳ(滑車神経)
a.中脳を起点とする
b.上眼窩裂
c.運動性
運動性:上斜筋(眼球を下斜め外に動かす)
⑤Ⅴ(三叉神経)
a.橋
b.第1枝=眼振計:上眼窩裂
第2枝=上顎神経:正円孔
第3枝=下顎神経:卵円孔
c.運動性と感覚性
感覚性:顔面と前頭部の皮膚感覚、鼻腔、口腔粘膜の感覚、舌の前3分の2の知覚(味覚以外)
・第1枝:前頭部の皮膚など(上眼瞼まで含む)、鼻腔粘膜の上部の知覚
・第2枝:下眼瞼から上唇の皮膚の知覚(口蓋粘膜、鼻腔粘膜の下部、上顎の歯髄、脳硬膜)
・第3枝:下唇より下の部分(顎)、側頭部の皮膚、舌3分の2、下顎の歯髄、外耳道の知覚
運動性:咀嚼(嚥下 重要じゃないけど)
・第3枝:咀嚼筋、鼓膜張筋などの支配
⑥Ⅵ(外転神経)
a.橋
b.上眼窩裂
c.運動性
運動性:外側直筋
⑦Ⅶ(顔面神経)
a.橋
b.内耳孔→内耳道→顔面神経管→茎乳突孔
c.感覚性、運動性、副交感性
感覚性:舌の前3分の2の味覚
運動性:表情筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋幸福、アブミ骨筋
副交感性:顎下腺、舌下腺の唾液分泌を調節、涙腺の調節
⑧Ⅷ(内耳神経)
a.橋
b.内耳孔から入り内耳道の途中で蝸牛神経と前庭神経に分枝する
c.感覚性
感覚性:蝸牛神経は聴覚、前庭神経は平衡覚をつかさどる
⑨Ⅸ(舌咽神経)
a.延髄
b.頚静脈孔
c.感覚性、運動性、副交感性
感覚性:舌の後ろ3分の1の味覚および知覚を支配
運動性:茎突咽頭筋を支配
副交感性:耳下腺の唾液分泌を調節、内臓求心性神経(頚動脈洞にある圧受容器とか、頚動脈小体とか)を含む
⑩Ⅹ(迷走神経)
a.延髄
b.頚静脈孔
c.感覚性、運動性、副交感性
感覚性:咽頭や喉頭の粘膜の知覚
運動性:咽頭や喉頭の筋肉を支配
副交感性:咽頭、喉頭、胸部や腹部の内臓機能の調節。内臓求心性神経(大動脈弓の圧受容器、大動脈小体など)を含む、
⑪ⅩⅠ(副神経)
a.延髄
b.頚静脈孔
c.運動性
運動性:胸鎖乳突筋、僧帽筋
⑫ⅩⅡ(舌下神経)
a.延髄
b.舌下神経管
c.運動性
運動性:舌筋、オトガイ舌骨筋

(2)脊髄神経
頚神経 :8対(C1~C8)
胸神経 :12対(T1~T12)
腰神経 :5対(L1~L5)
仙骨神経:5対(S1~S5)
尾骨神経:1対(Co1)

脊髄に入る求心性神経は脊髄の後根をとおり、脊髄から出る遠心性神経は脊髄の前根を通る
遠心性神経の細胞体は脊髄内の灰白質に存在
求心性神経の細胞体は、脊髄外の椎間孔付近に存在し、後根神経節(脊髄神経節)という

①皮膚分節(デルマトーム)
脊髄神経の感覚神経とその神経によって支配される皮膚領域の間には規則的な対応がある
②筋分節(ミオトーム)
一つの骨格筋は数個の脊髄分節から支配を受けており、その境界は皮膚分節よりあいまいである

6.中枢神経系
■1)分類
・中枢神経:脳と脊髄
・脳 :脳幹、間脳、小脳、大脳
・脊髄:頚髄、胸髄、腰髄、仙髄
・中枢神経=統合機能の中心

■2)中枢神経系の統合機能の概要
(1)反射機能
①反射弓
受容器→求心性神経→反射中枢→遠心性神経→効果器
②反射時間
受容器が刺激されてから効果器が反応するまでの時間
シナプスの数が多くなるほど長くなる
例)膝蓋腱反射:20ミリ秒
対光反射:200ミリ秒
③単シナプス反射と多シナプス反射
・単シナプス反射
中枢神経内で一つのシナプスを介して、求心性神経と遠心性神経がつながる反射
ex.膝蓋腱反射
・多シナプス反射
中枢神経内で直列に2個以上のシナプス連絡を持つ反射
ex.対光反射
④反射の分類
ア.効果器の存在部位によって
・運動反射:伸張反射と屈曲反射
・自律神経反射:圧受容器反射、対光反射など
・内分泌反射:射乳反射
イ.反射中枢の存在部位によって
・脊髄反射:膝蓋腱反射
・脳幹反射:対光反射
ウ.受容器の存在部位によって
・深部反射(筋や腱などに受容器があるもの)
:膝蓋腱反射
・表在反射(皮膚や粘膜に受容器があるもの)
:核膜反射

(2)感覚系の統合
求心性神経を介して中枢に伝えられる
大脳皮質の感覚野に投射されて感覚が生じる
連合野で過去の経験などを照らし、正確な認識となる
視床下部や大脳辺縁系にも送られ、種々の情動反応を起こす

(3)運動系の統合
随意運動に関する指令は、大脳皮質から発せられる
連合野でどのような運動を行うか決定する
運動性皮質や大脳基底核、小脳などに伝えられ、運動プログラムが作られる
運動野から運動指令が発せられる

(4)自律機能の統合
・脊髄や脳幹は自律神経系を統合する
・視床下部、大脳辺縁系、大脳皮質の連合野によっても調節

(5)情動
・情動反応とは
喜怒哀楽の感情によって、自律神経、内分泌、運動機能に起こる反応
大脳辺縁系、視床下部、視床、大脳皮質感覚野、大脳皮質連合野に密接に関与

(6)高次神経系
・高次神経機能とは
学習、認識、抽象化、言語、判断、創造など
前頭葉の連合野が関与

■3)脊髄の機能
①構造
ア.灰白質
脊髄の中心部にある、灰色をした部分
細胞体が多く集まっている
・前角は運動に関与し、後角は感覚に関与する
・その中間部に中間質がある
・側角:胸髄および上位腰髄(L1~L3)では交感神経の細胞体、仙髄では副交感神経の細胞体がある
・中心管:中心にあるきわめて細い管
☆レクシードの分類
後角のⅠ~Ⅳ層は感覚の領域
前角のⅨ層は前根に軸索を送る運動ニューロンがある
Ⅴ~Ⅷ層には種々の脊髄下行路と筋の一次求心性線維が終止
イ.白質
脊髄の白色をした部分
神経線維が多く集まっている
・前索:前正中裂と前索との間
・側索:前角と後角との間
・後索:後角と後正中溝との間
(1)ベル・マジャンディーの法則
脊髄後根を通る神経線維⇒求心性線維
脊髄前根を通る神経線維⇒遠心性線維
★脊髄神経節
偽単極神経細胞とよばれる
神経細胞から、一本の短い軸索が出、その後軸索が両側に分かれて伸びる
脊髄神経節には神経細胞があるが、シナプスは形成しない
☆後根:感覚神経、内臓求心性神経
前根:運動神経、交感神経、副ア交感神経

(2)脊髄反射
①体性ー運動(体性)反射
ex.膝蓋腱反射
②内臓ー自律神経(内臓)反射
求心路=内臓求心性神経
遠心路=自律神経
ex.排便反射、排尿反射
③体性ー自律神経(内臓)反射
ex.寒冷刺激による皮膚血管の収縮、鍼灸刺激
④内臓ー運動(体性)反射
ex.ヘーリングブロイエル反射
(吸息筋の過度の働きを防いで、吸息筋の働きを抑制し呼息筋の働きを促進する)

(3)脊髄ショック
脊髄切断後、一時的に脊髄機能が失われ、切断部以下の領域に次のような影響がでる
①運動麻痺
②知覚脱失
③血管運動麻痺による血圧低下
④脊髄反射の消失
切断後、時間が経過すると反射は回復する。
高等動物ほど回復に時間がかかる

(4)脊髄の伝導路
①上行路
ア.脊髄視床路(p417も参照)
a.外側脊髄視床路
皮膚の温度覚と痛覚を伝える
(経路)
一次ニューロンが後根から後角に入り、シナプスを形成
二次ニューロンの線維は同じ高さで交叉し、
反対側の側索に行く
そこから視床まで上行しシナプスを形成
内包をとおり、大脳皮質の感覚野に達する
★細胞体は4つ(脊髄神経節、後角、視床、感覚野)
シナプスは3箇所(脊髄後角、視床、感覚野)
☆視床から大脳までの経路は視床ー大脳路と呼ぶ
☆内包:大脳基底核と視床との間にあるもの
この場合は視床とレンズ核の間にある内包の中でも後脚を通る
☆脳を水平段すると
視床が最も内側にあり、その前方で側脳室の直外側に尾状核
視床と尾状核の外方にレンズ核
尾状核とレンズ核の間を全客
視床、尾状核、レンズ核の間を膝
視床とレンズ核との間を後脚
b.前脊髄視床路
粗大触圧覚を伝える
(経路)
一次ニューロンが後根から後角に入りシナプスを形成
二次ニューロンの線維は同じ高さで交叉し、
反対側の前索に行く
そこから視床まで上行しシナプスを形成
内包をとおり大脳皮質の感覚野に達する

イ.後索路
精細触圧覚、深部感覚
(経路)
一次ニューロンが後根から同側の後索へ行き
延髄まで上行しシナプスを形成(後索核において)
二次ニューロンの線維は反対側の視床へ行きシナプスを形成
内包をとおり大脳皮質感覚野に達する
☆延髄と視床の部分で半対側にわたるとき、その反対側へわたる線維の束を網帯という

ウ.脊髄小脳路
運動や姿勢の維持に関与
☆姿勢をバランスよく保つために無意識に感じとるもの
a.前脊髄小脳路
(経路)
一次ニューロンが後根から後角に入りシナプスを形成
二次ニューロンの線維は同じ高さで交叉し、反対側の側索にいく
そこから上行し小脳にいたる
b.後脊髄小脳路
(経路)
一次ニューロンは後根から脊髄に入り
後索をやや上行し後角にいくものと
直接後角に行くものとがある
二次ニューロンの線維は同側の側索に行く
そこから上行し小脳にいたる

②下行路(p401も参照)
ア.皮質脊髄路(錐体路)
随意運動に関与
a.前皮質脊髄路(錐体前索路)
(経路)
大脳皮質の運動野から内包をとおり
中脳の大脳脚をとおり前索に行く
同じ高さで交叉して反対側の前角に行きシナプスを形成
筋に達する(シナプスあり、神経筋接合部)
☆大脳脚というのは中脳の中では腹側にあたる
b.外側皮質脊髄路(錐体側索路)
大脳皮質の運動野から内包をとおり、中脳の大脳脚をとおり
延髄で膵体を形成
延髄下端で交叉する(=錐体交叉)
そこから下行し、側索、前角に行き(起点と反対側)、シナプスを形成
そして筋に達する(シナプスあり、神経筋接合部)

イ.皮質延髄路
顔面や頭部の筋を支配
主に両側性の支配を受ける)
(脊髄には関与しない)
ウ.錐体外路
無意識的な運動調節に関与
a.視蓋脊髄路
主に視覚刺激に対応して行う反射的な姿勢、体位の維持や運動に関与
b.前庭脊髄路
平衡覚刺激に応じて前庭や小脳からの刺激を脊髄に伝え、反射的に筋を調節する
c.網様体脊髄路
運動ニューロンに対して促進、抑制作用がある
d.赤核脊髄路
筋緊張の調節に関与

★ブラウン・セカール症候群
脊髄の半側だけが切断されたときに、切断した高さより下位の脊髄支配領域に見られる症状
①切断した側に起こる症状
・随意運動麻痺(脊髄小脳路)
・深部感覚消失(後索路)
・触圧覚低下(後索路の精細触圧覚だけが麻痺し、前脊髄視床路の粗大触圧覚は残る)
②切断した反対側に起こる症状
・痛覚、温度覚消失(外側脊髄視床路)
・触圧覚低下(前脊髄視床路の粗大触圧覚が麻痺し、後索路の精細触圧覚が残る)

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↑二学期期末

■4)脳幹の機能
脳幹:延髄、橋、中脳
①脳幹には多数の脳神経が出入りし、脳神経の神経核が存在する
☆神経核と神経節
神経節は末梢神経のもの
神経核は中枢神経のもの
②脊髄から視床に上行する感覚性上行路が通る
③上位中枢から脊髄に下降する運動性下行路が通る
④自律神経機能や運動機能の中枢である
⑤意識と覚醒に重要な神経回路がある

(1)延髄
①循環中枢
昇圧部と降圧部がある
②呼吸中枢
呼息中枢と吸息中枢
③嘔吐中枢
④嚥下中枢
⑤唾液分泌中枢
顔面神経と舌咽神経
・上唾液核:顔面神経→(神経節で枝分かれして)→舌下腺、顎下腺
・下唾液核:舌咽神経→(神経節)→耳下腺

(2)橋
①呼吸調節中枢
②排尿中枢

(3)中脳
①姿勢反射の中枢
②目の運動反射に関する中枢
③対光反射の中枢
エディンガー(エディンゲル)ウェストファール核(動眼神経副核)が動眼神経の神経核

■5)間脳の機能
(1)視床
感覚、意識、運動に重要な部位
①特殊投射系
視床の外側部にあたる
嗅覚を除くすべての特殊感覚情報を受ける中継所
脊髄、脳幹から大脳皮質に向かって上行する感覚線維はすべてここでニューロンを変える
(ニューロンを変える部位)
・体性感覚:腹側基底核群
・聴覚:内側膝状体
・視角:外側膝状体

②非特殊投射系
視床の内側部にあたる
脳幹網様体に連なり、複雑なニューロン網を作って、大脳皮質に広く投射
覚醒、意識、注意に重要な部位

(2)視床下部
自律機能の調節を行う総合中枢
本能行動、情動行動の中枢
①体温調節中枢
②摂食および血糖調節中枢(p307)
満腹中枢:腹内側核にある
摂食中枢:視床下部外側野にある
③飲水中枢
視床下部外側野にある
体液の浸透圧の変化を感受し、体内の水分量を調節する
④日内リズム(概日リズム)形成に関する中枢
視交叉上核にある
⑤下垂体ホルモン分泌の調節中枢

■6)小脳の機能
①構造
虫部をはさんで左右の半球からなる
小脳の表層の皮質(灰白質)は三層からなり、深部に髄質(白質)がある
皮質には抑制性の大型のプルキンエ細胞がある
髄質中には、小脳核がある
②機能(p394)
運動の調節
身体の平衡や姿勢の保持に重要
熟練した運動の記憶や学習に関与
③小脳障害(395)
ア.企図振戦(意図振戦)
随意運動を始めると手賀震える
イ.推尺障害
随意運動の距離感を失う
ウ.酒客歩行(酩酊歩行)
一直線上に歩くことができない

■7)大脳の機能
①構造
・大脳縦裂によって、左右の半球に分かれる
大脳溝によって、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉に分かれる
・皮質(灰白質)
表面の神経細胞の集まり
・髄質(白質)
神経線維の集まり

(1)大脳基底核(p395)
尾状核、被殻、淡蒼球、前障を含む
被殻と淡蒼球を合わせてレンズ核という
尾状核と被殻を合わせて線条体という
①機能
・運動調節
脊髄との間に直接連絡せず、主として大脳皮質から入力を受ける
運動に関するプログラムの出力を視床を介して再び大脳皮質に送る
運動の発現、円滑な運動の遂行、姿勢の制御に関与

★パーキンソン病
大脳基底核の障害によって起こる
・振戦(安静時jに振るえが起こる)
・固縮(全身の筋肉が硬直している状態)
・無動または寡動

(2)大脳辺縁系
・辺縁皮質と扁桃体や中隔核を合わせていう
★辺縁皮質に含まれるもの
大脳半球の帯状回
前頭葉の鉤眼窩回
側頭葉の海馬傍回、海馬
①機能
・本能行動の調節
(視床下部の本能行動の発現を調節)
・情動行動の発現と動機づけ
・視床下部レベルで統合されている種々の自律機能を本能行動と情動行動とを協調させる場

(3)新皮質
6層からなる
機能局在が明確である
ブロードマンは皮質を52の領野に分類
①運動性皮質
大脳皮質の運動に関与する部位
ア.運動野(一次運動野)
ブロードマンの分類では4野にあたる
骨格筋の随意運動に関与する中枢
前頭葉の中心前回
内側から外側にかけて反対側、半身の下肢、体幹、上肢、顔面に対応する部位が配列
a.運動野の障害
破壊直後には反対側の弛緩麻痺が起こる
時間がたつにつれて、痙性麻痺が起こる
b.運動円柱
手指の個々の筋を活動させるニューロンの集まり
c.ベッツの巨大錐体細胞
運動野の深層(第5層)にある
ここから皮質脊髄路が始まる

イ.運動前野と補足運動野
運動野の近傍の連合野で
個々の運動の統合や運動の準備過程などに関与
☆運動前野は2次運動野と呼ばれることもある
運動前野と補足運動野はブロードマンの分類では第6野
a.運動前野の障害
麻痺は生じないが、熟練した運動ができなくなる
b.補足運動野の障害
麻痺は生じないが、痙縮や強制把握が認められる

②感覚野
ア.体性感覚野
ブロードマンの分類では3、1、2野
体性感覚をつかさどる
頭頂葉の中心後回にある
内側から外側にかけて反対側半身の下肢、体幹、上肢、頭部に対応する部位が配列
イ.味覚野
ブロードマンの分類では43野
頭頂葉の体性感覚野の下部
ウ.聴覚野
ブロードマンの分類では41野
側頭葉上部で外側溝に面する部分
エ.視覚野
ブロードマンの分類では17野
後頭葉の内側面

③連合野
大脳皮質の大部分を占め、高次の精神機能を営むところ
ア.後頭連合野
ブロードマンの分類では18・19野
視覚情報を第1次視覚野から受け取り、より選択性の高い情報を抽出し、その情報を頭頂連合野や側頭連合野へ送り出す
イ.頭頂連合野
ブロードマンの分類では5・7野
体性感覚に関する連合野
言語の認識など高次の精神機能に関する連合野
ウ.側頭連合野
ブロードマンの分類では22野
聴覚情報の連合野
視覚パターンの認知、識別、学習、記憶に関する連合野
エ.前頭連合野
ブロードマンの分類では8、9、10野
行動計画に必要な情報を側頭連合野や頭頂連合野から受け取り、複雑な行動計画を組み立て、その実行の判断を行う
☆人間で特に発達。人格にも大きく影響

(4)連合野と高次中枢神経系の統合
①言語機能
通常、左半球が優位
ア.運動性言語中枢(ブローカ野)(重要)
ブロードマンの分類では44、45野
前頭葉(外側溝の付近)
a.障害
運動性失語症
…言語を理解できるが、流暢に話せない
イ.感覚性言語中枢(ウェルニッケ野)
ブロードマンの分類では22野
側頭葉の上側頭回の後方付近
a.障害
感覚性失語症
言語の理解が障害される

②学習
過去の経験に基づいて行動や反応を比較的長い時間変化させる能力

③記憶
過去の経験を覚え(記銘)、その内容を保持し、意識的、無意識的に思い出す(再生・想起)能力
海馬が重要な役割を果たす
シナプスの可塑性も関係

ア.記憶の分類
a.感覚記憶
感覚器に受容した情報をそのまま保持する過程(0.1~0.5秒程度)
b.短期記憶(一次記憶)
感覚情報から抽出された情報を数分間程度保持する過程
c.長期記憶(二次記憶)
数分から一生涯続く記憶
・陳述的記憶(エピソード記憶と異味記憶)
・非陳述的記憶(手順記憶)
がある

④意識・注意・覚醒・睡眠
ア.意識
覚醒状態で外的刺激に反応できる脳の活動状態
イ.注意
情報の中からある情報に意識を集中させること
ウ.覚醒
上行性網様体賦活系が働くことで誘発される
エ.睡眠
上行性網様体賦活系の抑制によって起こる
筋緊張、反射、心拍数、血圧の低下
a.レム睡眠(逆説睡眠)
覚醒時のような脳波が現れれる
眼球が急速に動き、顔面や手足の筋肉が断続的に動く
心拍数や呼吸が乱れる
夢を見ていることが多い
成人では約90分ごとに出現し、一回の睡眠に4~5回出現する
全体の約20%を占める
新生児や乳児では成人二比べ、全体に占める割合が大きい
☆逆説睡眠→行動としては眠っているのに脳波は覚醒時と同じようだから
b.ノンレム睡眠(徐波睡眠)
レム睡眠以外の睡眠

⑤脳波(EEG)
ア.α波
8~13Hz
正常成人が目を閉じて安静にした状態で最もよく現れる
イ.β波
14Hz以上
精神活動中や、感覚刺激を受けたときなどに現れる
ウ.θ波
4~7Hz
睡眠時に著名に出現
エ.δ波
0.5~3Hz
深睡眠時や深麻酔時に出現
乳児では覚醒時でも出現

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■8)脳脊髄液
(1)分泌と吸収
脳室の脈絡叢から分泌、くも膜のくも膜顆粒を静脈系に出し脳脊髄液を血中に排出

(2)組成
約90から150ミリリットル・生成量は500ミリリットル/日
色は透明・脳脊髄圧は安静時側臥位で70から180ミリメートルH2O
血漿に比べグルコース・タンパク質が少ない
(3)機能
脳脊髄の保護
脳脊髄の細胞外液の排出路

=================================
第12章 内臓の自律神経性調節
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1.自律神経系の特徴
■1)自律神経系の概要
p325
(1)節前ニューロンと絶後ニューロン
・節前ニューロン
中枢神経系内に細胞体を持つニューロンのこと
・節後ニューロン
自律神経節内に細胞体を持つ

■2)交感神経系
(1)特徴
節前ニューロンの線維は第1胸髄から第2(ないし3)腰髄から出る(白質の側角から出る)
・交換神経幹
脊柱の左右に配列した交感神経節が上下に連絡したもの
・自律神経の分節性
自律神経は全身に分布し、大まかではあるが分節性が認められる
p329参照

(2)経路
①頭部、頚部、胸部
側角→前根→白交通枝→椎傍神経節でシナプス形成
→効果器

②血管・汗腺・立毛筋
側角→前根→白交通枝→椎傍神経節でシナプス形成
→灰白交通枝→効果器
☆白交通枝は有髄線維のB線維
灰白交通枝は無髄線維のC線維

③腹部内臓
側角→前根→白交通枝→椎傍神経節でシナプスを形成しない
→椎前神経節(腹腔神経節、上腸間膜神経節、下腸間膜神経説)でシナプス形成
→効果器
☆椎前神経節は腹大動脈の枝である腹腔動脈などが、枝分かれする根元部分にある

④例外
副腎髄質は節前ニューロンによって直接支配されている

■3)副交感神経系
(1)特徴
脳幹および第2~4仙髄から始まり、効果器の近傍あるいは
効果器の壁内にある神経節でシナプスを形成し
効果器に達する
つまり、節前線維がより長い

■4)自律神経調節の特徴
(1)二重支配
交感神経・副交感神経の両方によって支配されていること
例)心臓、異聴、膀胱など
・交感神経のみの支配
例)瞳孔散大筋、副腎髄質、脾臓、立毛筋、汗腺、大部分の血管
・副交感神経のみの支配
例)瞳孔括約筋、一部の血管

(2)拮抗支配
同一効果器に対する相反的作用のこと
☆拮抗的支配でないのは唾液腺

(3)神経のトーヌス(トーヌス=自発性活動)
自律神経は一般に安静状態においても、常時自発性に活動している

2.自律神経系の神経伝達物質と受容体
■1)神経伝達物質
アセチルコリンを放出するニューロンのことをコリン作働性ニューロンといい、
ノルアドレナリンを放出するニューロンのことをアドレナリン作働性ニューロンという
例外として汗腺の交感神経節後ニューロン末端からはアセチルコリンが放出される
☆アセチルコリンは交感副、交感神経の節前線維と副交感神経の節後線維
ノルアドレナリンは交感神経の節後線維で

(1)神経伝達物質の合成と分解
①アセチルコリン
神経終末において、アセチルコリン合成酵素により、コリンとアセチルCoAから合成され、シナプス小胞内に貯蔵される
放出されたアセチルコリンは、アセチルコリン分解酵素により、コリンと酢酸になる
コリンは神経終末に取り込まれ、再利用される
・アセチルコリン合成酵素
コリンアセチルトランスフェラーゼ(CAT、ChAT)
・アセチルコリン分解酵素
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)
②ノルアドレナリン
神経終末において、チロシン、ドパ、ドパミンとなり、シナプス小胞内に入り、そこでノルアドレナリンに変換され、貯蔵される
放出されたノルアドレナリンは効果器に作用した後、次のようになる
ア.大部分は神経終末に再取り込みされ、再利用される
イ.再取り込みされたものの内、一部はミトコンドリアにあるMAO(モノアミン酸化酵素)により分解され、不活性化
ウ.一部は再取り込みされず、COMT(カテコール-O-メチル基転移酵素)により、ノルメタネフリン(NMN)に分解され不活性化
エ.一部は循環血中に入り、肝臓において代謝

■2)受容体
(1)アドレナリン受容体
ノルアドレナリンとアドレナリンが作用する受容体のこと
①α受容体
ア.α1受容体
血管平滑筋や胃腸・膀胱の括約筋に分布し、これらの筋の収縮に関与
イ.α2受容体
アドレナリン作動性ニューロンのシナプス前終末に存在し、神経伝達物質の放出に抑制的に働く
②β受容体
ア.β1受容体
主として心臓に分布し、心拍数・心収縮の増大に関与
ほかに、脂肪細胞に存在し、脂肪分解の促進に関与
イ.β2受容体
骨格筋の血管・気管支・胃腸などの平滑筋に分布し、これらの筋の弛緩に関与

(2)アセチルコリン受容体
①ニコチン受容体
自律神経節の節後ニューロンや、副腎髄質細胞に存在
少量のニコチンによって刺激され、大量のニコチンや神経節遮断薬によって遮断される

②ムスカリン受容体
平滑筋などの効果器に存在
ムスカリンで刺激され、アトロピンで遮断される
☆アトロピン:副交感遮断薬

★自律神経刺激・遮断薬
・交感神経刺激薬
アドレナリン(エピネフリン)
・交感神経遮断薬
α・β遮断薬
・副交感神経刺激薬
ムスカリン、ピロカルピン(縮瞳など)
・副交感神経遮断薬
アトロピン(散瞳などの効果)

3.自律神経反射
■1)内臓内臓反射(内臓自律神経反射)
圧受容器反射 など
■2)体性-内臓反射(体性-自律神経反射)
寒冷刺激による皮膚血管の交感神経の活動亢進により、皮膚血管が収縮
(1)体性-内臓反射の特徴
①脊髄反射
皮膚表面(特に体幹の)を刺激して、その皮膚分節を支配する神経を刺激する
②上脊髄反射
手足からの体性刺激が脳幹に知多割統合され、反射を引き起こす

■3)内臓-体性反射(内臓運動反射))
・ヘーリングブロイエル反射
・筋性防禦
内臓の病変で、激しい腹痛が起こったとき、腹筋が緊張すること

P329、330
■まとめ)
効果器 交感神経 副交感神経
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目 散瞳 縮瞳
涙腺 なし 分泌亢進
唾液腺 分泌亢進 分泌亢進
心臓 心拍数増加 心拍数現象
気道、肺 気管支筋弛緩 気管支筋収縮
脾臓 血管収縮 なし
副腎髄質 カテコールアミン分泌増加なし
胃腸 平滑筋弛緩 平滑筋収縮
分泌抑制 分泌促進
膵臓 分泌抑制 分泌促進
腎臓 レニン分泌 なし
直腸 平滑筋収縮 平滑筋弛緩(平滑筋=内肛門括約筋)
膀胱 排尿筋弛緩 排尿筋収縮
内尿道括約筋収縮内尿道括約筋弛緩
男性生殖器 射精 勃起
汗腺 分泌促進 なし
立毛筋 収縮 なし

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第13章 筋
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1.骨格筋の構造と働き
■1)骨格筋の作用=
(1)張力の発生
(2)運動作用
(3)姿勢保持作用
(4)熱の産生

■2)筋線維と筋原線維
(1)骨格筋
筋線維束が多数集まったもの
筋線維束の間は結合組織や血管で埋められている
(2)筋線維(筋細胞)
直径:10~100μm
長さ:数ミリメートル~30センチ程度とさまざま
多核細胞
(3)筋原線維
筋線維内に多数あり、直径1~2μm

■3)筋の微細構造
筋原線維を光学顕微鏡で観察すると、2種のフィラメントが規則正しく並び、横紋がみとめられる
①ミオシンフィラメント
太いフィラメントのこと
②アクチンフィラメント
細いフィラメントのこと
③I帯(明帯)
アクチンフィラメントがミオシンフィラメントに重ならない部分
④A帯(暗帯)
ミオシンフィラメントの部分
⑤H帯
A帯の中央のやや明るく見える部分
ミオシンフィラメントのみ
⑥Z帯
I帯の中央にあるくぎりのこと
⑦筋節
Z帯とZ帯との間で筋原線維の構造上、機能上の単位

2.筋の収縮のしくみ
■1)滑り説
アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間に滑り込むことにより、筋収縮が起こるということ

■2)興奮収縮連関
(1)概念
骨格筋の活動電位発声から収縮にいたるまでの過程のこと
(2)キーワード
①筋小胞体
筋原線維を取り巻く袋状の構造物で、終末槽に大量のカルシウムイオンを含む
②横行小管(T管)
骨格筋の細胞膜が細胞内に陥入したもの
この構造のため、細胞膜に発生した活動電位が細胞内にすぐに伝わる
③トロポミオシン
ミオシン頭部(連結橋)とアクチンフィラメントとの結合を抑制するタンパク
④トロポニン
トロポミオシン上に存在するタンパク質

(5)プロセス
筋細胞膜に活動電位発生
→横行小管
→筋小胞体
→終末槽からカルシウム・イオンが放出される
→カルシウムイオンがトロポニンに結合
→トロポミオシンによる抑制がとれ、アクチンとミオシンが結合
→アクチンフィラメントがミオシンフィラメントに滑り込み(ATPを消費)
★カルシウムイオンはATPを使って金小胞体に戻される

■3)等張性収縮と等尺性収縮
①等張性収縮
筋の張力がほぼ一定で、筋の長さが変化する収縮形態
例)歩行
②等尺性収縮
筋の長さが変化しない収縮形態
例)姿勢保持

■4)単収縮と強縮
①単収縮(攣縮)
一回の活動電位に対応して、筋肉が収縮して弛緩する過程
②収縮の加重
単収縮が終わらないうちに次の活動電位が生じると、筋の収縮が加重されて大きくなること
③強縮
収縮の加重の結果、生じた持続的な収縮
ア.不完全強縮
個々の刺激に対する単収縮が区別できる場合をいう
イ.完全強縮
個々の単収縮が完全に融合した場合をいう
④筋の疲労
筋収縮が繰り返されると、収縮力が減少、消失してしまうこと

3.筋のエネルギーの供給の仕組み
■1)筋収縮のエネルギー代謝
(1)ATPの消費
①筋収縮の過程でのミオシン頭部の運動
②筋弛緩の過程でのカルシウム・イオンの筋小胞体への回収
③ミオシン頭部とアクチンとの結合の分離

(2)ATPの生成
①ローマン反応
無酸素のもと、細胞質内で行われる
ADP + クレアチンリン酸←→ATP + クレアチン
ATPが消費されると、右方向の反応が起こり、不足が補われる
筋静止時には、ATPが補給され、反応が左に進んでクレアチンリン酸が再生される
②解糖
無酸素のもと、細胞質内で行われる
グルコースまたはグリコーゲンからピルビン酸、乳酸が精製される過程でATPが生成される
③クエン酸回路、電子伝達系
有酸素のもと、ミトコンドリアで行われる

(3)筋運動とATP
①数秒程度の収縮
筋線維内のATPを利用
②10秒程度の運動
ローマン反応によって生成されるATPを利用
③中等度の運動
有酸素下でクエン酸回路や電子伝達系において生成されたATPを利用
④激しい運動
解糖系で生成されたATPを利用
乳酸が筋に蓄積し、筋疲労を起こす

★筋肉の硬直と融解
ATPが不足すると筋肉が硬直する(死後硬直など)
時間が経過するとアクチン、ミオシンが壊され、筋肉が融解して柔らかくなる

■2)筋の熱産生
エネルギーのすべてが筋収縮に用いられるのではなく、一部は熱になる
①初期熱
筋が収縮してから弛緩するまでに発生する熱
②回復熱
弛緩した後に発生する熱
初期熱と回復熱との熱量はほぼ同じ

4.心筋と平滑筋の構造と働き
■1)骨格筋、心筋、平滑筋の特徴
骨格筋 心筋 平滑筋
①横紋構造 あり あり なし
②神経支配 運動神経 自律神経 自律神経
③細胞間の 絶縁伝導 ギャップ結合 ギャップ結合のものとそうでないものあり
興奮伝導
④自動性 なし あり 両方ある
⑤電気刺激域値 低い 中程度 高い
(機械的刺激には敏感)
⑥絶対不応期 1~2m秒 200m秒 50~100m秒
⑦単収縮の持続 0.1秒 0.5秒 数秒
⑧強縮 多い 単収縮のみ ほとんどが強縮
⑨核の数 多核細胞 単核細胞 単核細胞
⑩疲労が起こり やすい にくい にくい

■2)平滑筋
(1)単元性平滑筋
各細胞がギャップ結合によって電気的につながっている
自動性を持つ
例)胃腸管、膀胱、尿管、子宮などの平滑筋
(2)多元性平滑筋
細胞間の連結はない
例)瞳孔括約筋、瞳孔散大筋、血管壁の平滑筋

===================
第14章 運動
===================
1.骨格筋の神経支配
■1)運動単位とα運動ニューロン
①α運動ニューロン
骨格筋を支配する脊髄または脳幹に起始するニューロンの神経線維が、Aα線維に由来することからこのようにいう
②運動単位
1個の運動ニューロンとこれによって支配される筋線維群
③神経支配比
1個の運動ニューロンが何本の筋線維を支配するかということ
☆細かい運動に関与する筋では神経支配比は小さくなり
大まかな運動に関与する筋では神経支配比が大きくなる
④白筋線維と赤筋線維
ア.白筋線維(速筋線維)
・張力が大きい
・疲労しやすい
・収縮速度が速い
・嫌気的なATPを利用
・ミオグロビンの含有量が少ない
・瞬発的な運動に関与
イ.赤筋線維(遅筋線維)
・張力が小さい
・疲労しにくい
・収縮速度が遅い
・好気的なATPを利用
・ミオグロビンの含有量が多く、毛細血管も豊富
・持続的な運動に関与
⑤運動単位の種類
ア.FF型
収縮が早く、疲れやすい型
・比較的大きな細胞体と太い軸索の運動ニューロン
・主に白筋線維を支配
・瞬発的な運動に関与
イ.S型
ゆっくりと収縮し、疲労しにくい型
・比較的小さな細胞体と細い軸索の運動ニューロン
・主に赤筋線維を支配
・持続的な運動に関与
ウ.FR型
収縮が早く、疲労しにくい型
・FF型とS型の中間的性質をもつ

⑥筋線維の単位
・遅筋線維(赤筋)=タイプⅠ群線維→S型
・速筋線維(白筋)=タイプⅡ線維
疲労しにくいもの=タイプⅡA線維→FR型
疲労しやすいもの=タイプⅡB線維→FF型

■2)神経筋接合部の興奮伝達
①神経筋接合部
運動ニューロンの軸索末端と、骨格筋の間で興奮伝達を行うところ
間隙:数十ナノメートル
興奮性シナプス

②興奮伝達の仕組み
運動ニューロンの活動電位が軸索末端に伝わる
→軸索末端からアセチルコリンが放出
→受容体に作用
→筋細胞膜に脱分極(終板電位)がおこる
→閾値に達すると活動電位発生により筋収縮が起こる
★受容体に作用したのちのアセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼにより分解さ
れる
③受容体
受容体はニコチン受容体
クラーレによって遮断
④筋電図(EMG)
筋収縮に先立って起こる菌の電気的な活動を記録したもの

■3)筋紡錘と腱受容器
①筋紡錘
数本の錘内筋線維が被膜に包まれ、紡錘形をしたもの
筋紡錘は錘外筋線維に付着する(並列に並ぶ)
錘内筋線維の中央でⅠa群線維(求心性神経)がらせん終末(一次終末)を作る
Ⅱ群線維の終末部を撒形終末(二次終末)という
筋の伸張を感知する受容器である
②腱受容器(腱紡錘、ゴルジの腱器官)
骨格筋の腱への移行部に存在
(筋線維と直列に並ぶ)
Ⅰb群線維によって中枢へ情報が伝えられる
筋収縮により、腱が伸張することで興奮が伝えられる
③その他
・パチニ小体
圧や振動の受容器
・自由神経終末
痛覚の受容器

■4)γ運動ニューロン
錘内筋線維に遠心性の情報を伝える神経線維が、Aγ線維に由来することからこのようにいう
このニューロンは錘内筋線維の両端に近い部分に終末がある
筋紡錘の筋長に対する感受性または感度の調節

①α-γ連関(α-γ共同活動)
随意運動の際、α運動ニューロンとγ運動ニューロンは上位中枢からの指令を同時に受けており、両者が同時に興奮したり、抑制を受けたりすること

■5)骨格筋の緊張(筋緊張)
骨格筋は一定の緊張状態(トーヌス)を保っている
姿勢保持や体温調節に関与

2.運動の調節
■1)脊髄レベルでの運動調節
①末梢器官からの求心性情報によって起こる脊髄反射
②律動的歩行リズム発生の神経回路
(1)伸張反射
①概念
筋が伸張されることにより起こる反射
臨床では伸展反射という場合が多い
伸張された筋と同じ筋(同名筋)が収縮することから固有反射ともいう
単シナプス反射である
例)膝蓋腱反射、アキレス腱反射など
③反射弓
筋紡錘が伸張
→Ⅰa群線維に
→脊髄
→Aα線維
→錘外筋線維収縮
④生理学的意義
無意識に起こる姿勢の保持、関節の位置の保持に重要
⑤腱受容器の役割
自原抑制を行う
・流れ
伸張反射
→腱受容器興奮
→Ⅰb群線維
→脊髄内の抑制性介在ニューロン
→α運動ニューロンの抑制
・目的
過度の伸張反射の抑制

⑥γ環(γループ)
γ運動ニューロン – 筋紡錘 – Ⅰa群繊維 – α運動ニューロン
という流れのこと

⑦レンショウの反回抑制
脊髄前角にあるα運動ニューロンの軸索は脊髄内で側枝を出し、同じ脊髄の前角にあるレンショウ細胞という介在ニューロンを興奮させ、α運動ニューロンの活動を抑制すること

⑧種類
ア.相動性伸張反射
健常人で見られる
筋紡錘の一次的高頻度活動
イ.緊張性伸張反射
健常人には見られない
筋紡錘の静的、連続的活動

(2)拮抗抑制(相反性Ⅰa抑制、Ⅰa抑制)
伸張反射の際、Ⅰa群繊維は主動作筋のα運動ニューロンを興奮させるとともに、脊髄内で抑制性介在ニューロン(Ⅰa抑制ニューロン)を興奮させ、拮抗筋のα運動ニューロンが抑制され、筋緊張が減弱すること
この反射は、多シナプス反射である
また、Ⅰa抑制ニューロンは、皮膚からの感覚線維や脳からの下行性繊維もきており、末梢からの感覚情報や、運動指令のパターンで変化する

(3)伸張反射と誘発筋電図(H波とM波)
①H波
Ⅰa群線維を刺激したとき反射を介して(筋が収縮し)現れる波型
潜時:20~30ミリ秒
②M波
直接、α運動ニューロンを刺激することにより現れる波型
潜時:数ミリ秒
☆潜時:実験において神経に電流を流してから、筋が収縮する(筋電図に波型が表れる)までの時間
☆Ⅰa線維はより低い電圧で、α運動ニューロンはより高い電圧で興奮する

(4)屈曲反射(屈筋反射、引っ込め反射)
皮膚や筋、関節などへの強い刺激によって同側の屈筋が収縮し、伸筋が弛緩して起こる反射
多シナプス反射である
・屈曲反射の求心性線維
細い求心性線維である
侵害刺激、皮膚への機械的刺激に反応する
Ⅱ~Ⅳ群線維

(5)交叉性伸展反射
屈曲反射の際、反対側の肢に起こる反射
多シナプス反射
屈曲反射の際、脊髄の反対側に達して多シナプス性に反対側の伸筋のα運動ニューロンを興奮させ、屈筋のα運動ニューロンを抑制して起こる

(6)皮膚反射
皮膚刺激によって筋の収縮が脊髄レベルで多シナプス性に調節されること
ア.腹壁反射
腹部の皮膚を軽く刺激すると、腹壁筋が反射性に収縮すること
イ.挙睾筋反射
大腿の内側の皮膚を軽くこすると、挙睾筋が反射性に収縮すること
ウ.横隔膜反射
胸部の下方の皮膚を刺激すると横隔膜が反射性に収縮すること
①伸筋突進
足底を軽く圧迫すると、刺激側の伸筋が収縮する反射
歩行時の脚の着地の安定に関与

(7)長脊髄反射(髄節間反射)
入力と出力が離れた脊髄分節にある反射のこと
①四肢間反射
除脳動物(中脳と橋の間で脳幹を切断した動物)に対して
一側前肢に侵害刺激
→その前肢の屈曲反射
反対側前肢の交叉性伸展反射
同側後肢の伸展
反対側後肢の屈曲

②ひっかき反射
脊髄犬(頚部下部で切断した犬)の背中の皮膚を軽く触ったりすると、同側後肢で刺激部位を繰り返しひっかく反射のこと

(8)歩行リズムの発生
脊髄内に歩行リズムを作る神経回路の一部がある

■2)脳幹による運動調節
(1)脳神経を遠心路とする反射
①角膜反射
結膜、核膜などを刺激すると、眼瞼が閉じる反射
②開口反射
舌、口腔粘膜の刺激で開口筋が収縮し閉口筋が抑制され、開口が起きる反射
③咬筋反射
口を軽く開けてオトガイ部をたたくと、咬筋が収縮して口が閉じる反射
④嚥下反射
舌の後部や咽頭粘膜に加えられる触刺激によって起こる反射
⑤前庭動眼反射
頭部の回転により、前庭器官が刺激されると、反射性に外眼筋の運動ニューロンが反応して、眼球が頭部の回転と逆方向に動く反射
☆⑥咳反射(中枢が延髄にある。遠心路は運動神経)

(2)除脳固縮
①概念
動物の脳幹を中脳と橋の間で切断すると四肢の伸筋や頚筋などの緊張が高まった状態になるが、このことを除脳固縮(γ固縮)という
②機序
切断部の上位にγ運動ニューロンに対する抑制性の部位がある
そのため、除脳動物ではγ運動ニューロンの活動亢進によりⅠa群線維の活動が高まり、α運動ニューロンの活動が亢進することにより起こる

(3)姿勢反射
①緊張性頚反射
動物で頭を右にねじると、左側の前肢と後肢は屈曲し、右側の前肢と後肢は伸展すること
☆ヒトでは、小児麻痺や野球の時の補給導差などで見られる
②緊張性迷路反射
動物で、頭を右に傾けると、右の肢が伸展し、左の肢が屈曲
足場が傾いた場合に、身体の平衡を保つのに役立つ
③立直り反射
正常な猫などにおいて、背位から落としても反射性に正常な姿勢に戻ることができる

(4)歩行リズムの調節
歩行リズムは中脳、橋、視床下部、大脳からの調節も受ける

■3)小脳・大脳基底核・大脳皮質による調節
■4)錐体路系と錐体外路系
(1)錐体路系
(2)錐体外路系
①大脳の運動性皮質からの出力が脳幹を介して脊髄に下降する経路
・皮質網様体路
・皮質赤核路
・赤核脊髄路
・網様体脊髄路
②大脳の運動性皮質から直接投射を受けていない脳幹の核から脊髄に下降する経路
・前庭脊髄路
・視蓋脊髄路
③脊髄に投射せず大脳皮質から大脳基底核、視床、小脳を介して大脳皮質にフィードバックする回路

■7)発生と言語
①発声
・発声器官:主に喉頭
・声門:声帯と声門裂からなる
・声門裂:内喉頭筋の調節により、声門裂が閉じる
下方から呼気流が送られてきて声帯の振動が起こり、発声につながる
②構音
喉頭より上方の声道と呼ばれる管腔、すなわち咽頭・口腔内の器官の運動によって、言葉の音が生成される動作

■8)歩行運動
教科書参照
■9)呼吸運動
p94参照

===================
第15章 感 覚
===================
1.感覚の一般
■1)感覚とその分類
①体性感覚…皮膚感覚と深部感覚
②内臓感覚…臓器感覚と内臓痛覚
③特殊感覚…味覚、嗅覚、聴覚、平衡覚、視覚

■2)感覚の一般的性質
(1)適刺激
ある受容器に最適な刺激のこと
(2)感覚の投射
感覚は大脳皮質の感覚野で生じるが、主観的には刺激を受けた受容器に感覚が生じること
(3)刺激の強さと感覚
①弁別閾
異なる強さの刺激を区別するのに必要な刺激の最小差のこと
②ウェーバーの法則
もとの刺激=S
弁別閾=ΔS
とすると、SとΔSとの間に比例関係が成立すること
例)S=5キログラム、ΔS=1キログラム
S/ΔS=5/1=0.2
S=10のときはΔS=2キログラム
S×0.2=ΔS が成り立つ
③スティーブンスのべき関数
感覚の強さ(=E)と刺激(=S)との間に
E=kS^n(kは定数)
の肝経が成り立つこと

(4)感覚の順応
持続的な刺激が次第に弱く感じるようになること
順応が早い感覚:嗅覚、触覚など
順応が遅い感覚:痛覚、
(5)感覚と知覚・認識
感覚受容器で受け取られた感覚の情報は大脳皮質の感覚野に伝えられ、感覚を起こす
さらに連合野に送られ、過去の記憶と照合されその性質を知る

(6)感覚入力の調節
①周辺抑制
刺激が加えられた場所の周辺の感覚情報が抑制されること
(7)感覚と情動
感覚情報は視床下部や大脳辺縁系にも伝えられるが、この際に情動反応を起こすこともある
(8)感覚刺激と反射
ある感覚刺激により、無意識的に反射性反応を起こす
(9)ヨハネスミューラーの法則
例えば、目をたたかれると光を見る
受容器がたとえ非特殊刺激を受けたとしても、それが特殊刺激として受け取られるという法則

■3)受容器と興奮伝達
①受容器電位と起動電位
ア.特別な感覚受容器があるもの
刺激により受容器を興奮させ、受容器電位が発生し、伝達物質が放出され、感覚線維末端で起動電位が発生し、その後活動電位が発生して中枢神経系に伝わる
イ.求心性神経終末自体が特殊化したもの(痛覚の自由神経終末など)
受容器に加えられた刺激は、受容器を興奮させ、受容器電位として電気的変化に変換される
これが感覚線維に活動電位を発生させることから、起動電位とも言われる

2.体性感覚
■1)皮膚感覚(表在感覚)
①種類
触圧覚、温覚、冷覚、痛覚
②感覚点
平均すると皮膚1平方センチあたり
触(圧)点:25
温点:1~4
冷点:2~13
通天:100~200
(1)触圧覚
触・圧覚は皮膚の変形によって、触点が刺激されて起こる
①触点の密度
指先や顔面で高く、上腕や下腿などで低い
密度が高いほど閾値が低い
②2点弁別閾
皮膚上の2点に刺激を与えたとき、2点として識別できる最小の距離を言う
触点の密度の高いところでは、2点弁別閾が低い

③触圧覚の受容器
ア.順応が遅く、強度検出器として機能するもの
メルケル盤(表皮側)
ルフィニ終末(真皮側)
イ.刺激の動きに応じて反応し、速度検出器として機能するもの
マイスネル小体(真皮と表皮の間にある)
毛包受容器(毛の傾きをとらえたり)
ウ.最も順応が早く神堂刺激に反応するもの
パチニ小体(真皮かそうや皮下組織)

④求心性線維
Aβ線維

(2)温度感覚
①温度受容器
温受容器と冷受容器があり
特定の受容器構造を持たない自由神経終末である
②求心性線維
温線維=C線維(Ⅳ線維)
冷線維=Aδ線維(Ⅲ線維)とC線維
③無関温度
温覚も冷覚も起こらない温度(33度前後)
④熱痛覚・冷痛覚
皮膚が45度以上になると、熱痛が生じ
15度以下では冷痛が生じる
⑤逆説的冷感覚
45度以上の温度の時、冷感が生じる現象のこと

(3)痛覚
後述

(4)くすぐったい感じとかゆい感じ
①くすぐったい感じ
刺激が弱く、持続的な場合に起こる(触覚の一種)
②かゆい感じ
皮膚の炎症、外傷、化学的刺激で痛覚受容器が弱く刺激された時に起こる
ヒスタミンが原因物質である

(5)体性感覚の伝導路
①触圧覚
後索路、前脊髄視床路
②痛覚、温度覚
外側脊髄視床路、脊髄網様体路
・脊髄網様体路
側索を上行するニューロンが延髄の網様体に投射し、多くのシナプスを介して視床、視床下部、大脳辺縁系に情報を伝える
③顔面の体性感覚
三叉神経を通って脳幹と脊髄に送られた後、視床を経由して大脳皮質の体性感覚野に伝えられる

■2)深部感覚
目を閉じた状態でも手足の位置や曲がり具合、その動きなどを感じることができる感覚
皮下、筋、腱、筋膜、骨膜、関節などに受容器がある
①運動感覚(固有感覚)
ア.位置感覚
自己の四肢や身体の各部位の相対的位置関係を知る感覚
イ.動きの感覚
運動による四肢関節角度の変化の方向、速度などを知る感覚
ウ.力、重さの感覚
物体を持ってその重さやそれを保持するのに必要な菌力がわかる感覚
エ.受容器
筋紡錘、腱紡錘(腱受容器)、
筋・腱・関節にある機械的受容器
関節包にあるルフィニ小体、パチニ小体

②振動感覚
物体の振動に対する感覚
受容器はパチニ小体
③深部痛覚(後述)

3.内臓感覚
意識にのぼる感覚のこと
■1)臓器感覚
①空腹感
食欲に関する感覚で、血液中のグルコースの低下や飢餓収縮などでおこる
・受容器
視床下部、肝臓、小腸に存在するグルコース受容器
胃の機械的受容器
②乾き
飲水欲に関与する感覚で、体液浸透圧の上昇や、体液量の減少、咽頭の乾燥によって起こる
・受容器
視床下部にある浸透圧受容器
心肺部圧受容器
咽頭粘膜の受容器
③便意
糞便が直腸に入ると感じる
④尿意
膀胱内に尿がたまり、膀胱容積が約150~300ミリリットルになると感じる

■2)内臓痛覚
痛覚で後述

4.痛覚
■1)痛みの分類
(1)痛みの組織別分類
①表在性痛覚(皮膚の痛み)
ア.速い痛みと遅い痛み
痛み刺激は、はっきりとした鋭い局在の明瞭な痛みをまず起こし、ついで鈍い、うずくような、局在のはっきりしない不快な感じを起こす
前者を速い痛み(第一の痛み)、
後者を遅い痛み(第二の痛み)という
イ.受容器と求心性線維
a.高閾値機械受容器
機械的心外刺激にのみ反応
早い痛みを伝える
求心性線維:Aδ(Ⅲ)線維
b.ポリモーダル侵害受容器
機械的温度、化学的刺激など、異なる多種類の侵害刺激に反応
遅い痛みを伝える
求心性線維:C(Ⅳ)線維

②深部痛覚
皮下組織、骨格筋、腱、骨膜、関節などから生じる痛み
一般に局在性が乏しく、持続的な鈍痛
・受容器:自由神経終末
・求心性線維:C(Ⅳ)線維
例)激しい筋運動後や筋循環障害時の筋痛
関節の正常範囲を超えた伸展や、関節縁の時の関節痛

③内臓痛覚
内臓中空器官の過度の伸展や強い収縮、あるいは血流障害、化学的刺激などで誘発される
一般に、局在性が不明瞭で不快感を起こし、時に嘔気や嘔吐などの自律神経症状を伴う
平滑筋は一般に切ったり熱を加えたりしても痛みは起こらない
・受容器:自由神経終末
・求心性線維:C線維

ア.関連痛(連関痛)
内臓や胸膜、腹膜などに異常があるとき、特定の皮膚に感覚過敏や痛みを感じること
例)狭心症の左胸や左腕に感じる痛み
・機序
内臓の感覚情報と体性領域の感覚神経情報が後角で同じ痛覚伝導路のニューロンに収束して起こる

(2)急性通と慢性通
①急性通
傷害の痛みのように、普通傷害部位に限局しており、痛みの強さは傷害の程度に依存する
急性通は組織の障害を脳に伝えて警告する役割を持ち、傷が治ると消失する
②慢性通
慢性的な経過をたどる痛み
傷害が回復した後も、間欠的に痛みを訴えるときもある

■2)内因性発痛物質
①侵害受容器を興奮させて痛みを起こす物質
ブラジキニン
セロトニン
ヒスタミン
カリウムイオン、水素イオンなど
②侵害受容器の感受性を高めて、発痛、増強作用を示す物質
プロスタグランジン
ロイコトリエンなど
③その他
補体は肥満細胞に作用してヒスタミンを算出させたり
壊れた細胞の成分からブラジキニンを産出して発痛に関与する

■3)痛みによる反応
(1)
(2)運動系の反応
(3)自律神経系の反射
(4)内分泌系では、副腎皮質ホルモン、カテコールアミン、バゾプレッシンなどが分泌される
(6)内臓-体性反射の筋性防禦など

■4)痛みの抑制系
(1)脳からの下行性抑制系
脳幹から脊髄に下行し、脊髄後角での侵害情報の伝達を抑制する系
①関与する部位(重要)
中脳水道周囲灰白質
大縫線核(延髄)
延髄傍巨大細胞網様核
②下行性線維
セロトニン作働性線維
ノルアドレナリン作働性線維

(2)内因性鎮痛物質
①内因性オピオイド
中枢神経系において作られる、モルフィン様の物質のこと
例)β-エンドルフィン
メチオニンエンケファリン
ロイシンエンケジャリンなど
②オピオイド受容体
オピオイドが特異的に作用する受容体
中枢神経系に広く存在
③働き
中脳水道周囲灰白質、延髄などに作用して下行性抑制系を賦活したり
後角に直接作用して痛みを抑制

5.特殊感覚
■1)味覚と嗅覚
(1)味覚
①味の基本感覚
・塩味
舌尖部から舌縁部
・酸味
舌縁部
・甘味
舌尖部
・苦味
舌根部
②順応
著名
③受容器
味蕾
ほとんどが舌にあるが、軟口蓋、口蓋垂、咽頭、喉頭にも分布
味蕾の数:1万個
味蕾は味細胞、支持細胞、基底細胞よりなる
味細胞は微繊毛を舌面に向かって出し、細胞基底部では味神経線維とシナプスを形成
水に溶けた化学物質は味蕾の開口部(細孔)から入って味細胞に作用する
寿命は10日ぐらい
④伝導路
顔面神経(舌の前3分の2)
舌咽神経(舌の後3分の1)
→延髄の弧束核でシナプス形成
→大部分が交差
→視床でシナプス形成
→大脳皮質の味覚野

(2)嗅覚
①一般的性質
個人差がある
順応が早い
2種類以上の物質を混合すると第3のにおいが生じる
②受容器
嗅細胞
鼻腔の殿上部に嗅上皮があり、これは嗅細胞、支持細胞、基底細胞、ボーマン腺よりなる
嗅細胞の寿命は約1ヶ月
嗅細胞は1個の神経細胞で、匂い分子を感受して受容器電位を発生させる
③伝導路
嗅細胞
→嗅神経
→嗅球
→嗅索
→側頭葉の梨状皮質
→視床の背内側核
→前頭葉の眼窩前頭皮質

■2)聴覚
(1)聴覚の性質
①音の高さ
音の高さを決定するのは、主として周波数
・可聴範囲:下限15~20ヘルツ
上限2万ヘルツ
・普通の会話の周波数:200~4000ヘルツ
②音の強さ
ア.デシベル
音圧の大きさを示す単位
イ.ホン
主観的な音の強さを示す単位(周波数なども加味される)
ヒトの可聴範囲:4~130ホン
日常会話の大きさ:60ホン前後
ウ.聴覚閾値と周波数
周波数が低いと聴覚閾値が高い(聞き取りにくい)
周波数があがるにつれて閾値が低くなる(聞き取りやすい)
さらに周波数を上げていくと再び閾値が高くなり聞き取りにくくなる
(2)聴覚器と伝導路
①聴覚器の構造と機能
音波
→外耳道
→鼓膜が振動
→耳小骨で増幅
→内耳
→コルチ器官の有毛細胞
ア.鼓膜
外耳道の終端にある
色々な振動数の音に共鳴して、同じ振動数で振動する
イ.中耳
a.振動エネルギーの伝達
鼓膜の振動がツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨に伝わり、前庭窓(中耳と内耳の境)の膜を振動させ、内耳に伝達される
この際、
鼓膜と前庭窓の面積比=15:1と
耳小骨のてこの要素=ツチ骨柄とキヌタ骨長脚の長さの比=1.3:1
とにより前庭窓には約20倍の音圧が加わるようになる

b.鼓膜張筋とアブミ骨筋
・鼓膜張筋の収縮
→鼓膜の張力が増して、振動を減退させる
・アブミ骨筋の収縮
→アブミ骨底を前庭窓から引き離す
・上記2種の筋が収縮することの意義
強い音に対して鼓膜や内耳を保護する

ウ.内耳
a.蝸牛
側頭骨の中にあり、らせん形に巻かれた管
内部は前庭膜と基底膜によって上から、
前庭階、蝸牛管、鼓室階に分けられる
蝸牛管を満たしているリンパを内リンパ、前庭階と鼓室階を満たすリンパを外リンパという
内リンパと外リンパは組成が異なる(含まれウイオンの濃度が違ったり)
b.コルチ器官
蝸牛管の基底膜上にある聴覚受容器である有毛細胞と、複数の支持細胞で構成されている
c.音の伝わり方
前庭窓の振動は前庭階の外リンパに伝わり、これが前庭膜を介して内リンパ・基底膜を振動させる
このことが有毛細胞に覆いかぶさる蓋膜との間に摩擦や圧力が生じ、有毛細胞が興奮する
この際、基底膜の振動は蝸牛頂にある蝸牛孔まで、進行波として進行し、鼓室階の外リンパを介して終端である蝸牛窓から再び鼓室に抜ける

②伝導路
コルチ器官の有毛細胞
→蝸牛神経
→延髄の蝸牛神経核
→いくつかの中継核を経由
→視床の内側膝状体
→大脳皮質の聴覚野

■3)平衡感覚
①概念
身体の傾きや重力の変化、直線運動、回転運動の加速度を感じ取る感覚
②受容器
平衡感覚は内耳の前庭器官で受容されるが、筋・腱・間節などからの深部感覚、足底部の触圧覚、さらに視覚も加わる
ア.球形嚢と卵形嚢
内部には平衡斑がある
平衡斑の表面には受容器である有毛細胞が存在する
その表面はゼラチン様の耳石膜でおおわれ、その中に平衡砂(炭酸カルシウムの結晶)が多く含まれている
このため、重力や直線運動の加速度が加わると耳石膜が有毛細胞に対してずれを起こし、興奮が生じる
球形嚢は上下方向、卵形嚢は前後左右方向の加速度を牽出

イ.半規管
前半規管、後半規管、外側半規管(水平半規管)よりなり、互いに垂直に交わる
各半規管の膨大部の中には膨大部稜があり、そこに受容器である有毛細胞が並ぶ
頭部の回転速度が加わると半規管内の淋巴が回転にともなって流れを起こし、有毛細胞が刺激される

③伝導路
ア.眼球運動、姿勢調節の反射
前庭神経
→延髄の前庭神経核
→外眼筋の運動核、小脳、脊髄
イ.平衡感覚
前庭神経
→延髄の前庭神経核
→視床
→大脳皮質感覚野

■4)視覚
(1)視覚の性質
ア.通光器官
角膜、眼房水、水晶体、硝子体よりなる
イ.受容器
網膜
ウ.視細胞の感受する波長
400~800ナノメートル(可視光線)

①遠近の調節
水晶体の厚みを変えることにより行われる
ア.近くを見るとき
毛様体筋収縮
→毛様体小体弛緩
→水晶体の厚みの増加
→屈折力の増加
イ.遠くを見るとき
毛様体筋弛緩
→毛様体小体緊張
→水晶体の厚みの減少
→屈折力の低下

ウ.ジオプトリ(D)
眼の屈折力をあらわす
焦点距離(メートル)の逆数で示す
a.調節力
調節力=A
人が明視できる最も遠い点(遠点)=F
人が明視できる最も近い点(近点)=N
A=1/N - 1/F
※通常人ではFは無限大に近くなる
例)
・・10歳児
12ジオプトリ(つまり焦点距離=8.3センチ)
・60歳
0.5ジオプトリ()つまり焦点距離=2メートル

エ.屈折異常
正常では遠くの物体の像は水晶体の無調節状態で網膜に商店を結ぶ(正視)
a.近視
遠くの物体の像が無調節で網膜より前に結像
眼球の前後径が長すぎる場合と、水晶体などの屈折率が大きすぎるとが場合がある
凹レンズで補正
b.遠視
遠くの物体の像が無調節で網膜より後ろに結像
眼球の前後径が短すぎる場合と、水晶体などの屈折率が小さすぎるとが場合がある
凸レンズで補正

c.乱視
・正乱視
水晶体の水平方向と垂直方向で屈折力が違う場合
円柱レンズで補正
・不正乱視
角膜の表面が不規則で、光線の屈折も不規則になったもの
コンタクトレンズで補正

②明るさの調節
瞳孔を広げたり縮めたりすることにより調節
ア.瞳孔括約筋
虹彩の中を輪状に走る筋
副交感神経支配
対光反射に関与
イ.瞳孔散大筋
虹彩の中を放射状に走る筋
交感神経支配
ウ.暗順応
暗いところに入り、しばらくすると暗闇に慣れ、光に対する感受性が高まること
最初に錐体細胞で、ついで扞体細胞で起こるが、後者の関与が大きい
20~30分でほぼ一定になる
ロドプシンの貯蔵に要する時間に相当する
a.ロドプシン(視紅)
オプシン(タンパク質)とレチナール(ビタミンAのアルデヒド)の複合体
光を吸収すると瞬時に構造上の変化が起きて、視細胞の興奮を引き起こす
エ.明順応
暗いところから急に明るいところへ出ると、はじめはまぶしいがやがて慣れること
暗順応の消失で、約5分で起こる

③色の感覚(p441)
網膜の視細胞には錐体細胞と扞体細胞とがあり、
錐体細胞には赤、緑、青に最大感度を持つものがある
錐体細胞の集中している中心窩では色彩感覚が強い
扞体細胞の多い周辺部では明暗の桿核が強い

ア.色盲と色弱
・全色盲
色覚がまったくなく、明るさだけを感じるもの
・部分色盲
色覚が一部欠如するもの
赤緑色盲が最も多い
・色弱
色覚はあるが正常よりも劣っているもの

④視野と視力
ア.視野
一つの眼について視軸を固定した状態でその眼で見える空間の汎胃のこと
・鼻側:60度
・耳側:100度
・上方:60度
・下方:70度
a.盲斑(マリオットの盲点)
中心点から外方15度程度の小円形の見えない部分
両眼視では視野が重なり合って盲斑がなくなる
イ.視力
視覚の分解能のことで2点を2点として識別しうる能力
測定にはランドルト環を用いてその切れ目の方向を判定させる
識別できる最小の切れ目に対する視角がA分であるとき、視力を1/Aとする
つまり1分のとき、視力を1とする

⑤眼球運動と両眼視
ア.共同偏視
1眼の内転と他眼の外転のこと
イ.輻輳
両眼が内転すること
物体を注視する際に起こる
瞳孔収縮
ウ.近距離反射(近見反応)
近いものを見るときに起こる反応
水晶体の厚みの増大、縮瞳、輻輳のこと

(2)視覚の受容器と伝導路
①網膜の構造と機能
視覚の受容器である網膜は外側より視細胞層、内顆粒層、神経節細胞層に大きく分けることができる
ア.視細胞
a.錐体細胞
明るいところで働き、色や形を識別する
1眼約6×10^6個
中心窩、黄斑に密集している
b.扞体細胞
薄暗いところで働き、明暗や形を識別する
1眼に約1.2×10^8個
ロドプシンを含む
イ.内顆粒層
双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞
視細胞は双極細胞と水平細胞とにシナプス連絡する
双極細胞はさらに神経節細胞にも連絡
アマクリン細胞は双極細胞と神経節細胞に連絡
視覚の主な経路は視細胞ー双極細胞ー神経節細胞である
水平細胞とアマクリン細胞はこれを装飾
ウ.神経節細胞
この細胞の軸索は網膜の最内層を走り、乳頭部からし神経となって眼球を出る
a.視神経
1眼に約10×10^6
趾細胞数10~100個が1本の神経に収束する
中心窩の錐体細胞のみが感覚線維と1対1の対応になっている
エ.色素細胞(色素上皮細胞)
視細胞層の外側
入射した光が反射しないように光を吸収したり視細胞との間での栄養物や代謝物の受け渡しに重要

②視覚の伝導路と中枢機序
ア.主な伝導路
視神経
→視交叉
→視索
→外側膝状体
→視放線
→視覚野
なお、反射に関与する線維は外側膝状体の手前で分かれて、中脳の上丘に達する

イ.視交叉
網膜の内側部(鼻側)より発する線維はすべて対側へ交叉し、
外側部(耳側)より発するものは交叉せずに同側の視索に入る

ウ.経路中の傷害
a.視神経障害
障害側の全盲
b.視交叉における傷害
・両側性耳側半盲
視交叉部の障害で交叉性線維が断たれたときに起こる
下垂体の腫瘍などで起こる
・鼻側半盲
比較的まれであるが、
視交叉の外側に接する内頚動脈の動脈瘤などで生じる
c.視索の障害
同側半盲が生じる(一側の鼻側と一側の耳側の欠損)

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第16章 生体の防御機構
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1.生体の防御機構と免疫
■1)抗原
免疫系によって認識される分子
■2)自己と非自己の認識
・HLA(ヒト白血球抗原)
ヒトのほとんどの細胞に存在する自己のマーカーのこと

2.生体の防御機構に働く組織と因子
■1)生体表面のバリア
皮膚と粘膜が重要な働きをする
・皮膚
謙譲な皮膚ではほとんどの微生物が通過できない
多くの微生物にとって、毒性を持つ脂肪酸を分泌
・粘膜
体液の流れにより微生物を洗い流す
リゾチーム、ラクトフェリンなどの抗菌性のある化学物質やウィルスを無毒化する化学物質が含まれる

■2)白血球
(1)リンパ球
・リンパ球の分類
T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞

■3)免疫系に働く液性物質
(1)抗体
・オプソニン作用(免疫グロブリンの作用)
病原微生物などの抗原に抗体が結合すると白血球の抗原に対する食作用が促進されること
(2)サイトカイン
免疫反応の調節に関与する物質
インターフェロン、インターロイキンなどがある
リンパ球のT細胞の中でもヘルパーT細胞が分泌する





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