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生理学ノート11「神経」

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1.神経系とは
・神経系:中枢、末梢神経系
・中枢神経系:脳、脊髄
・末梢神経系:体性神経系、自律神経系(脳神経、脊髄神経という分け方も)
・体性神経系:感覚神経(知覚神経)、運動神経
感覚神経=求心性神経、運動神経=遠心性神経
・自律神経系:内臓求心性神経、交感神経と副交感神経は遠心性神経

2.ニューロンの構造と働き
■1)ニューロン
①構造
細胞体、樹状突起、軸索からなる
樹状突起は通常、数本の突起として細胞体から伸び、その先で多数分枝する他のニューロンから情報を受け取る機能を持つ
軸索は長い一本の突起で、ニューロンが受け取った情報を伝える働きを持つ
■2)支持細胞
(1)シュワン細胞
末梢神経系の軸索を取り囲む細胞のこと
(2)神経線維
軸索とシュワン細胞をまとめていう
①有髄線維
髄鞘(ミエリン)に囲まれている神経線維のこと
髄鞘は軸索を絶遠する働きがある
髄鞘には1~2ミリメートルごとに切れ目があり、これをランビエの絞輪
②無髄線維
髄鞘に囲まれていない神経線維のこと
一個のシュワン細胞が数本の軸索をつつむ

(3)グリア(グリア細胞、神経膠細胞)
ニューロンを支え、栄養や代謝産物などの物質交換に関与
分裂機能を有する
①末梢神経系のグリア細胞
・シュワン細胞
・外套細胞
神経節において細胞体を支持する
②中枢神経系のグリア細胞
・アストロサイト(星状膠細胞)
ニューロンと血液間での物質交換に関与
・オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)
軸索を取り巻く細胞

■3)軸索輸送
軸索内での物質移動のことで、細胞体や軸索に必要な物質の輸送や代謝産物の除去などを行う
(1)順行性軸索輸送
細胞体で合成された物質が神経終末に運ばれたりすること
・軸索輸送のモータータンパク:キネシン
・高速に輸送されるもの:神経伝達物質
・低速に輸送されるもの:細胞骨格を作るタンパク質など
(2)逆行性軸索輸送
神経終末で細胞の外から細胞内に取り込まれた物質が細胞体に運ばれたりすること
・逆行性軸索輸送のモータータンパク:ダイニン
・低速に輸送されるもの:神経終末で取り込まれた物質が運ばれる

■4)変性と再生
(1)順行性変性(ワーラー変性)
切断部より末梢側の軸索に起こる変成のこと
(2)逆行性変性
切断部より中枢側の軸索に起こる変性のこと
切断部が細胞体に近いほど起こりやすい
(3)再生
末梢神経系においてはニューロンの細胞体が死滅していない時、次のように神経線維の再生が行われる
切断部の両端のシュワン細胞が増殖して結合し、一本の管になる
その管の中を細胞体側から軸索が伸び、標的細胞に達する
(4)軸索発芽
中枢神経系において、損傷を受けなかった軸索の先が枝分かれして伸びること
神経損傷により失われた機能回復に重要な意味を持つ
(5)神経栄養因子(教科書p270)
グリア細胞、筋、神経細胞などで産生される
・神経成長因子(NGF)
・脳由来神経栄養因子(BDNF)
・ニューロトロフィン(NT)
・線維芽細胞(FGF)

(6)ニューロンの死
・ネクローシス
ニューロンが虚血、炎症、外傷などで死滅すること
・アポトーシス
遺伝子のプログラムによる死滅

3.ニューロンの興奮と伝導
■1)、■2)については前述
■3)興奮の伝導
(1)局所電流
細胞膜の一部に活動電位が生じるとその隣接部との間に流れる電流のこと
(2)神経線維の伝導の3原則
①絶縁性伝導
一本の神経線維が興奮しても、隣接するほかの神経線維には興奮は起こらない
②不減衰伝導
興奮の大きさは減衰せず一定の大きさで伝導する
③両方向性伝導
神経線維の一部を刺激するとそこで生じた興奮は両方向に伝導する
(3)跳躍伝導
有髄線維は髄鞘で覆われており、その部分は絶遠されている。そのため、ランビエ絞輪にのみ局所電流が流れる
これにより伝導速度は無髄線維より早くなる

(4)伝導速度
無髄線維でも有髄線維でも直径が大きいほど早い
(5)神経線維の分類
①A線維
すべて有髄線維
ア.Aα線維
・直径:15μm
・伝導速度:100m/秒
・骨格筋支配の運動線維
・筋紡錘からの求心性線維
イ.Aβ線維
・直径:8μm
・伝導速度:50m/秒
・触圧覚をつかさどる
ウ.Aγ線維
・直径:5μm
・伝導速度:20m/秒
・筋紡錘への遠心性線維
エ.Aδ線維
・直径:3μm
・伝導速度:15m/秒
・痛覚(さすような痛み)、温度覚をつかさどる
②B線維
・有髄線維
・直径:3μm
・伝導速度:7m/秒
・自律神経の節前線維(神経節よりも中枢側に近い線維)
③C線維
・無髄線維
・直径:0.5μm
・伝導速度:1m/秒
・自律神経の節後線維、温度覚、痛覚(鈍い痛み)

(6)求心性神経線維の分類
①Ⅰa(群)
・有髄線維
・直径:15μm
・速度:100m/秒
・Aα線維と対応
・起源となる感覚器:筋紡錘(らせん形終末)
②Ⅰb(群)
・有髄線維
・直径:15μm
・速度:100m/秒
・Aα線維と対応
・起源となる感覚器:腱受容器
③Ⅱ(群)
・有髄線維
・直径:9μm
・速度:50m/秒
・Aβ線維と対応
・起源となる感覚器:筋紡錘(散形終末)、触・圧覚受容器
④Ⅲ(群)
・有髄線維
・直径:3μm
・速度:20m/秒
・Aδ線維と対応
・起源となる感覚器:温度覚(特に冷覚)、痛覚(さすような痛み)受容器
⑤Ⅳ(群)
・無髄線維
・直径:1μm
・速度:1m/秒
・C線維と対応
・起源となる感覚器:温度覚(特に温覚)、痛覚(鈍い痛み)受容器

4.興奮の伝達
①興奮の伝達
一つの細胞の興奮が他の細胞に伝えられること
②シナプス
ニューロンの神経終末と他のニューロン、筋、あるいは腺細胞との接合部のこと
シナプスにおける興奮の伝達は神経終末から神経伝達物質が放出され、次の細胞に作用してその細胞の膜電位を変化させる(化学シナプス)

■2)シナプスの構造と働き
(1)構造
①シナプス前終末(シナプス小頭)
神経終末の少し膨らんだところ
②シナプス小胞
シナプス前終末中に大量に存在し、神経伝達物質を含む
③シナプス間隙
シナプス前終末とシナプス後細胞との間にある20から50ナノメートルの隙間のこと
④シナプス下膜(シナプス後膜)
シナプス後細胞の膜のうち、シナプス前終末と向かい合っている部分のこと
神経伝達物質に対して特異的に作用する受容体がある

(2)特徴
①一方向性伝達
シナプス前ニューロンの興奮は、神経終末から、シナプス後細胞に伝わる
②シナプス遅延
興奮がシナプスを通過するのに要する時間、約0.2ミリ秒
③易疲労
シナプス前ニューロンを繰り返し刺激すると、シナプスは疲労してシナプス伝達の中断が起こる
④酸素不足や薬物の影響
酸素不足や種々の薬物などに敏感に反応して、シナプス伝達が障害される

■2)中枢神経系のシナプス伝達
(1)興奮性シナプス
神経伝達物質により、シナプス下膜に脱分極が起こる
この膜電位変化のことを興奮性シナプス後電位(EPSP)という
また、多数のシナプス前線維の興奮により、EPSPが大きくなることを加重という(多数のシナプス線維からの刺激によるものを空間的加重、刺激が繰り返し送られることによるものを時間的加重という))

(2)抑制性シナプス
①シナプス後抑制
神経伝達物質により、シナプス下膜に過分極が起こる
この膜電位の変化のことを抑制性シナプス後電位(IPSP)という
IPSPにも加重が起こる
②シナプス前抑制
シナプス前終末からの興奮性神経伝達物質の放出を減少させるもの
これにより、シナプス下膜には小さなEPSPしか発生しない

(3)発散と収束
①発散
一本のシナプス前ニューロンの軸索が、多数の側枝に分かれて、他の多数のニューロンとシナプスを形成する場合をいう
発散によって、求心性の情報が中枢神経系のさまざまな部位に到達する
②収束
多数のシナプス前ニューロンの軸索が、同一の一戸のニューロンにシナプスを形成する場合をいう
中枢神経内で情報の統合が可能になる

(5)促通と閉塞
①促通
シナプス前線維の2群に対する刺激が弱いとき、2群それぞれの単独刺激効果の和より、同時刺激効果の方が大きくなること
②閉塞
シナプス前線維の2群に対する刺激が十分に強いとき、それぞれの単独刺激効果の和よりも同時刺激効果の方が小さくなること

(6)シナプス伝達の可塑性
シナプスが頻繁に使用されると伝達機能が変化すること
①反復刺激後増強(テタヌス後増強=PTP)
シナプス前ニューロンを連続刺激すると、しばらくの間通常の刺激に対してシナプス後ニューロンに大きな反応が起こること
②長期増強と長期抑圧
ア.長期増強(LTP)LongTermPotensiation
シナプス前ニューロンへの反復刺激により、シナプス後ニューロンへのシナプス伝達機能の増強が数時間から数日にわたり持続する現象
イ.長期抑圧(LTD)LongTerm
シナプス伝達機能が反復刺激後、長期にわたって抑制される現象

■3)神経伝達物質
(1)末梢神経系
①アセチルコリン
運動神経末端、自律神経節前線維の末端
副交感神経節後線維末端
②ノルアドレナリン
交感神経節後線維末端
(2)中枢神経系
・カテコールアミン
・アセチルコリン
・グリシン、γアミノ酪酸(GABA)
…抑制性に働く
・グルタミン酸
…興奮性アミノ酸
・セロトニン
・ヒスタミン
・ATP、アデノシン
・オピオイドペプチド
…鎮痛作用
・P物質
…サブスタンスPなどがあり、痛覚に作用
・VIP、CGRP

■4)受容体
神経伝達物質に対して特異的に結合するタンパク質よりなる構造物
神経伝達物質に対応して受容体が存在
受け止める細胞によって、同じ神経伝達物質でも性質が違う
例)アセチルコリン受容体
骨格筋の受容体:ニコチン受容体(ニコチンにも反応する)
平滑筋の受容体:ムスカリン受容体(ムスカリンにも反応する)

(1)神経伝達物質に対応する受容体の型
①イオンチャネル型受容体
神経伝達物質の受容部位とイオンチャネルが一体になっているもの
…ニコチン受容体、イオンチャネル型グルタミン酸受容体など
②代謝調節型受容体
神経伝達物質に対する細胞外に突出した受容部位と、細胞内でGタンパクと結合した部分から構成されている
受容体で受けた情報をGタンパクを介してイオンチャネルに伝える
…ムスカリン受容体、α受容体、β受容体など

5.末梢神経系
■1)末梢神経系の機能
(1)脳神経
a.脳を離れる部位、脳に終着する部位
b.頭蓋骨を通過する部位
c.その神経の機能
d.その他
①Ⅰ(嗅神経)
a.前頭葉下面にある嗅球に終着
b.篩骨の篩板の小孔
c.嗅覚
d.受容器は嗅細胞
②Ⅱ(視神経)
a.間脳の外側膝状体に終着
b.視神経管
c.視角
d.受容器は網膜の視細胞
③Ⅲ(動眼神経)
a.中脳から起こる
b.上眼窩裂
c.運動性と副交感性
運動性:上直筋(顔弓の上についている)、内側直筋(顔弓を内転させる)、下直筋(下内方へ向ける)、下斜筋(上外転させる)、上眼瞼挙筋(まぶたを持ち上げる)といった筋肉を支配する
副交感性:瞳孔括約筋、毛様体筋(水晶体の暑さ調節)
④Ⅳ(滑車神経)
a.中脳を起点とする
b.上眼窩裂
c.運動性
運動性:上斜筋(眼球を下斜め外に動かす)
⑤Ⅴ(三叉神経)
a.橋
b.第1枝=眼振計:上眼窩裂
第2枝=上顎神経:正円孔
第3枝=下顎神経:卵円孔
c.運動性と感覚性
感覚性:顔面と前頭部の皮膚感覚、鼻腔、口腔粘膜の感覚、舌の前3分の2の知覚(味覚以外)
・第1枝:前頭部の皮膚など(上眼瞼まで含む)、鼻腔粘膜の上部の知覚
・第2枝:下眼瞼から上唇の皮膚の知覚(口蓋粘膜、鼻腔粘膜の下部、上顎の歯髄、脳硬膜)
・第3枝:下唇より下の部分(顎)、側頭部の皮膚、舌3分の2、下顎の歯髄、外耳道の知覚
運動性:咀嚼(嚥下 重要じゃないけど)
・第3枝:咀嚼筋、鼓膜張筋などの支配
⑥Ⅵ(外転神経)
a.橋
b.上眼窩裂
c.運動性
運動性:外側直筋
⑦Ⅶ(顔面神経)
a.橋
b.内耳孔→内耳道→顔面神経管→茎乳突孔
c.感覚性、運動性、副交感性
感覚性:舌の前3分の2の味覚
運動性:表情筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋幸福、アブミ骨筋
副交感性:顎下腺、舌下腺の唾液分泌を調節、涙腺の調節
⑧Ⅷ(内耳神経)
a.橋
b.内耳孔から入り内耳道の途中で蝸牛神経と前庭神経に分枝する
c.感覚性
感覚性:蝸牛神経は聴覚、前庭神経は平衡覚をつかさどる
⑨Ⅸ(舌咽神経)
a.延髄
b.頚静脈孔
c.感覚性、運動性、副交感性
感覚性:舌の後ろ3分の1の味覚および知覚を支配
運動性:茎突咽頭筋を支配
副交感性:耳下腺の唾液分泌を調節、内臓求心性神経(頚動脈洞にある圧受容器とか、頚動脈小体とか)を含む
⑩Ⅹ(迷走神経)
a.延髄
b.頚静脈孔
c.感覚性、運動性、副交感性
感覚性:咽頭や喉頭の粘膜の知覚
運動性:咽頭や喉頭の筋肉を支配
副交感性:咽頭、喉頭、胸部や腹部の内臓機能の調節。内臓求心性神経(大動脈弓の圧受容器、大動脈小体など)を含む、
⑪ⅩⅠ(副神経)
a.延髄
b.頚静脈孔
c.運動性
運動性:胸鎖乳突筋、僧帽筋
⑫ⅩⅡ(舌下神経)
a.延髄
b.舌下神経管
c.運動性
運動性:舌筋、オトガイ舌骨筋

(2)脊髄神経
頚神経 :8対(C1~C8)
胸神経 :12対(T1~T12)
腰神経 :5対(L1~L5)
仙骨神経:5対(S1~S5)
尾骨神経:1対(Co1)

脊髄に入る求心性神経は脊髄の後根をとおり、脊髄から出る遠心性神経は脊髄の前根を通る
遠心性神経の細胞体は脊髄内の灰白質に存在
求心性神経の細胞体は、脊髄外の椎間孔付近に存在し、後根神経節(脊髄神経節)という

①皮膚分節(デルマトーム)
脊髄神経の感覚神経とその神経によって支配される皮膚領域の間には規則的な対応がある
②筋分節(ミオトーム)
一つの骨格筋は数個の脊髄分節から支配を受けており、その境界は皮膚分節よりあいまいである

6.中枢神経系
■1)分類
・中枢神経:脳と脊髄
・脳 :脳幹、間脳、小脳、大脳
・脊髄:頚髄、胸髄、腰髄、仙髄
・中枢神経=統合機能の中心

■2)中枢神経系の統合機能の概要
(1)反射機能
①反射弓
受容器→求心性神経→反射中枢→遠心性神経→効果器
②反射時間
受容器が刺激されてから効果器が反応するまでの時間
シナプスの数が多くなるほど長くなる
例)膝蓋腱反射:20ミリ秒
対光反射:200ミリ秒
③単シナプス反射と多シナプス反射
・単シナプス反射
中枢神経内で一つのシナプスを介して、求心性神経と遠心性神経がつながる反射
ex.膝蓋腱反射
・多シナプス反射
中枢神経内で直列に2個以上のシナプス連絡を持つ反射
ex.対光反射
④反射の分類
ア.効果器の存在部位によって
・運動反射:伸張反射と屈曲反射
・自律神経反射:圧受容器反射、対光反射など
・内分泌反射:射乳反射
イ.反射中枢の存在部位によって
・脊髄反射:膝蓋腱反射
・脳幹反射:対光反射
ウ.受容器の存在部位によって
・深部反射(筋や腱などに受容器があるもの)
:膝蓋腱反射
・表在反射(皮膚や粘膜に受容器があるもの)
:核膜反射

(2)感覚系の統合
求心性神経を介して中枢に伝えられる
大脳皮質の感覚野に投射されて感覚が生じる
連合野で過去の経験などを照らし、正確な認識となる
視床下部や大脳辺縁系にも送られ、種々の情動反応を起こす

(3)運動系の統合
随意運動に関する指令は、大脳皮質から発せられる
連合野でどのような運動を行うか決定する
運動性皮質や大脳基底核、小脳などに伝えられ、運動プログラムが作られる
運動野から運動指令が発せられる

(4)自律機能の統合
・脊髄や脳幹は自律神経系を統合する
・視床下部、大脳辺縁系、大脳皮質の連合野によっても調節

(5)情動
・情動反応とは
喜怒哀楽の感情によって、自律神経、内分泌、運動機能に起こる反応
大脳辺縁系、視床下部、視床、大脳皮質感覚野、大脳皮質連合野に密接に関与

(6)高次神経系
・高次神経機能とは
学習、認識、抽象化、言語、判断、創造など
前頭葉の連合野が関与

■3)脊髄の機能
①構造
ア.灰白質
脊髄の中心部にある、灰色をした部分
細胞体が多く集まっている
・前角は運動に関与し、後角は感覚に関与する
・その中間部に中間質がある
・側角:胸髄および上位腰髄(L1~L3)では交感神経の細胞体、仙髄では副交感神経の細胞体がある
・中心管:中心にあるきわめて細い管
☆レクシードの分類
後角のⅠ~Ⅳ層は感覚の領域
前角のⅨ層は前根に軸索を送る運動ニューロンがある
Ⅴ~Ⅷ層には種々の脊髄下行路と筋の一次求心性線維が終止
イ.白質
脊髄の白色をした部分
神経線維が多く集まっている
・前索:前正中裂と前索との間
・側索:前角と後角との間
・後索:後角と後正中溝との間
(1)ベル・マジャンディーの法則
脊髄後根を通る神経線維⇒求心性線維
脊髄前根を通る神経線維⇒遠心性線維
★脊髄神経節
偽単極神経細胞とよばれる
神経細胞から、一本の短い軸索が出、その後軸索が両側に分かれて伸びる
脊髄神経節には神経細胞があるが、シナプスは形成しない
☆後根:感覚神経、内臓求心性神経
前根:運動神経、交感神経、副ア交感神経

(2)脊髄反射
①体性ー運動(体性)反射
ex.膝蓋腱反射
②内臓ー自律神経(内臓)反射
求心路=内臓求心性神経
遠心路=自律神経
ex.排便反射、排尿反射
③体性ー自律神経(内臓)反射
ex.寒冷刺激による皮膚血管の収縮、鍼灸刺激
④内臓ー運動(体性)反射
ex.ヘーリングブロイエル反射
(吸息筋の過度の働きを防いで、吸息筋の働きを抑制し呼息筋の働きを促進する)

(3)脊髄ショック
脊髄切断後、一時的に脊髄機能が失われ、切断部以下の領域に次のような影響がでる
①運動麻痺
②知覚脱失
③血管運動麻痺による血圧低下
④脊髄反射の消失
切断後、時間が経過すると反射は回復する。
高等動物ほど回復に時間がかかる

(4)脊髄の伝導路
①上行路
ア.脊髄視床路(p417も参照)
a.外側脊髄視床路
皮膚の温度覚と痛覚を伝える
(経路)
一次ニューロンが後根から後角に入り、シナプスを形成
二次ニューロンの線維は同じ高さで交叉し、
反対側の側索に行く
そこから視床まで上行しシナプスを形成
内包をとおり、大脳皮質の感覚野に達する
★細胞体は4つ(脊髄神経節、後角、視床、感覚野)
シナプスは3箇所(脊髄後角、視床、感覚野)
☆視床から大脳までの経路は視床ー大脳路と呼ぶ
☆内包:大脳基底核と視床との間にあるもの
この場合は視床とレンズ核の間にある内包の中でも後脚を通る
☆脳を水平段すると
視床が最も内側にあり、その前方で側脳室の直外側に尾状核
視床と尾状核の外方にレンズ核
尾状核とレンズ核の間を全客
視床、尾状核、レンズ核の間を膝
視床とレンズ核との間を後脚
b.前脊髄視床路
粗大触圧覚を伝える
(経路)
一次ニューロンが後根から後角に入りシナプスを形成
二次ニューロンの線維は同じ高さで交叉し、
反対側の前索に行く
そこから視床まで上行しシナプスを形成
内包をとおり大脳皮質の感覚野に達する

イ.後索路
精細触圧覚、深部感覚
(経路)
一次ニューロンが後根から同側の後索へ行き
延髄まで上行しシナプスを形成(後索核において)
二次ニューロンの線維は反対側の視床へ行きシナプスを形成
内包をとおり大脳皮質感覚野に達する
☆延髄と視床の部分で半対側にわたるとき、その反対側へわたる線維の束を網帯という

ウ.脊髄小脳路
運動や姿勢の維持に関与
☆姿勢をバランスよく保つために無意識に感じとるもの
a.前脊髄小脳路
(経路)
一次ニューロンが後根から後角に入りシナプスを形成
二次ニューロンの線維は同じ高さで交叉し、反対側の側索にいく
そこから上行し小脳にいたる
b.後脊髄小脳路
(経路)
一次ニューロンは後根から脊髄に入り
後索をやや上行し後角にいくものと
直接後角に行くものとがある
二次ニューロンの線維は同側の側索に行く
そこから上行し小脳にいたる

②下行路(p401も参照)
ア.皮質脊髄路(錐体路)
随意運動に関与
a.前皮質脊髄路(錐体前索路)
(経路)
大脳皮質の運動野から内包をとおり
中脳の大脳脚をとおり前索に行く
同じ高さで交叉して反対側の前角に行きシナプスを形成
筋に達する(シナプスあり、神経筋接合部)
☆大脳脚というのは中脳の中では腹側にあたる
b.外側皮質脊髄路(錐体側索路)
大脳皮質の運動野から内包をとおり、中脳の大脳脚をとおり
延髄で膵体を形成
延髄下端で交叉する(=錐体交叉)
そこから下行し、側索、前角に行き(起点と反対側)、シナプスを形成
そして筋に達する(シナプスあり、神経筋接合部)

イ.皮質延髄路
顔面や頭部の筋を支配
主に両側性の支配を受ける)
(脊髄には関与しない)
ウ.錐体外路
無意識的な運動調節に関与
a.視蓋脊髄路
主に視覚刺激に対応して行う反射的な姿勢、体位の維持や運動に関与
b.前庭脊髄路
平衡覚刺激に応じて前庭や小脳からの刺激を脊髄に伝え、反射的に筋を調節する
c.網様体脊髄路
運動ニューロンに対して促進、抑制作用がある
d.赤核脊髄路
筋緊張の調節に関与

★ブラウン・セカール症候群
脊髄の半側だけが切断されたときに、切断した高さより下位の脊髄支配領域に見られる症状
①切断した側に起こる症状
・随意運動麻痺(脊髄小脳路)
・深部感覚消失(後索路)
・触圧覚低下(後索路の精細触圧覚だけが麻痺し、前脊髄視床路の粗大触圧覚は残る)
②切断した反対側に起こる症状
・痛覚、温度覚消失(外側脊髄視床路)
・触圧覚低下(前脊髄視床路の粗大触圧覚が麻痺し、後索路の精細触圧覚が残る)

*********************************************************
↑二学期期末

■4)脳幹の機能
脳幹:延髄、橋、中脳
①脳幹には多数の脳神経が出入りし、脳神経の神経核が存在する
☆神経核と神経節
神経節は末梢神経のもの
神経核は中枢神経のもの
②脊髄から視床に上行する感覚性上行路が通る
③上位中枢から脊髄に下降する運動性下行路が通る
④自律神経機能や運動機能の中枢である
⑤意識と覚醒に重要な神経回路がある

(1)延髄
①循環中枢
昇圧部と降圧部がある
②呼吸中枢
呼息中枢と吸息中枢
③嘔吐中枢
④嚥下中枢
⑤唾液分泌中枢
顔面神経と舌咽神経
・上唾液核:顔面神経→(神経節で枝分かれして)→舌下腺、顎下腺
・下唾液核:舌咽神経→(神経節)→耳下腺

(2)橋
①呼吸調節中枢
②排尿中枢

(3)中脳
①姿勢反射の中枢
②目の運動反射に関する中枢
③対光反射の中枢
エディンガー(エディンゲル)ウェストファール核(動眼神経副核)が動眼神経の神経核

■5)間脳の機能
(1)視床
感覚、意識、運動に重要な部位
①特殊投射系
視床の外側部にあたる
嗅覚を除くすべての特殊感覚情報を受ける中継所
脊髄、脳幹から大脳皮質に向かって上行する感覚線維はすべてここでニューロンを変える
(ニューロンを変える部位)
・体性感覚:腹側基底核群
・聴覚:内側膝状体
・視角:外側膝状体

②非特殊投射系
視床の内側部にあたる
脳幹網様体に連なり、複雑なニューロン網を作って、大脳皮質に広く投射
覚醒、意識、注意に重要な部位

(2)視床下部
自律機能の調節を行う総合中枢
本能行動、情動行動の中枢
①体温調節中枢
②摂食および血糖調節中枢(p307)
満腹中枢:腹内側核にある
摂食中枢:視床下部外側野にある
③飲水中枢
視床下部外側野にある
体液の浸透圧の変化を感受し、体内の水分量を調節する
④日内リズム(概日リズム)形成に関する中枢
視交叉上核にある
⑤下垂体ホルモン分泌の調節中枢

■6)小脳の機能
①構造
虫部をはさんで左右の半球からなる
小脳の表層の皮質(灰白質)は三層からなり、深部に髄質(白質)がある
皮質には抑制性の大型のプルキンエ細胞がある
髄質中には、小脳核がある
②機能(p394)
運動の調節
身体の平衡や姿勢の保持に重要
熟練した運動の記憶や学習に関与
③小脳障害(395)
ア.企図振戦(意図振戦)
随意運動を始めると手賀震える
イ.推尺障害
随意運動の距離感を失う
ウ.酒客歩行(酩酊歩行)
一直線上に歩くことができない

■7)大脳の機能
①構造
・大脳縦裂によって、左右の半球に分かれる
大脳溝によって、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉に分かれる
・皮質(灰白質)
表面の神経細胞の集まり
・髄質(白質)
神経線維の集まり

(1)大脳基底核(p395)
尾状核、被殻、淡蒼球、前障を含む
被殻と淡蒼球を合わせてレンズ核という
尾状核と被殻を合わせて線条体という
①機能
・運動調節
脊髄との間に直接連絡せず、主として大脳皮質から入力を受ける
運動に関するプログラムの出力を視床を介して再び大脳皮質に送る
運動の発現、円滑な運動の遂行、姿勢の制御に関与

★パーキンソン病
大脳基底核の障害によって起こる
・振戦(安静時jに振るえが起こる)
・固縮(全身の筋肉が硬直している状態)
・無動または寡動

(2)大脳辺縁系
・辺縁皮質と扁桃体や中隔核を合わせていう
★辺縁皮質に含まれるもの
大脳半球の帯状回
前頭葉の鉤眼窩回
側頭葉の海馬傍回、海馬
①機能
・本能行動の調節
(視床下部の本能行動の発現を調節)
・情動行動の発現と動機づけ
・視床下部レベルで統合されている種々の自律機能を本能行動と情動行動とを協調させる場

(3)新皮質
6層からなる
機能局在が明確である
ブロードマンは皮質を52の領野に分類
①運動性皮質
大脳皮質の運動に関与する部位
ア.運動野(一次運動野)
ブロードマンの分類では4野にあたる
骨格筋の随意運動に関与する中枢
前頭葉の中心前回
内側から外側にかけて反対側、半身の下肢、体幹、上肢、顔面に対応する部位が配列
a.運動野の障害
破壊直後には反対側の弛緩麻痺が起こる
時間がたつにつれて、痙性麻痺が起こる
b.運動円柱
手指の個々の筋を活動させるニューロンの集まり
c.ベッツの巨大錐体細胞
運動野の深層(第5層)にある
ここから皮質脊髄路が始まる

イ.運動前野と補足運動野
運動野の近傍の連合野で
個々の運動の統合や運動の準備過程などに関与
☆運動前野は2次運動野と呼ばれることもある
運動前野と補足運動野はブロードマンの分類では第6野
a.運動前野の障害
麻痺は生じないが、熟練した運動ができなくなる
b.補足運動野の障害
麻痺は生じないが、痙縮や強制把握が認められる

②感覚野
ア.体性感覚野
ブロードマンの分類では3、1、2野
体性感覚をつかさどる
頭頂葉の中心後回にある
内側から外側にかけて反対側半身の下肢、体幹、上肢、頭部に対応する部位が配列
イ.味覚野
ブロードマンの分類では43野
頭頂葉の体性感覚野の下部
ウ.聴覚野
ブロードマンの分類では41野
側頭葉上部で外側溝に面する部分
エ.視覚野
ブロードマンの分類では17野
後頭葉の内側面

③連合野
大脳皮質の大部分を占め、高次の精神機能を営むところ
ア.後頭連合野
ブロードマンの分類では18・19野
視覚情報を第1次視覚野から受け取り、より選択性の高い情報を抽出し、その情報を頭頂連合野や側頭連合野へ送り出す
イ.頭頂連合野
ブロードマンの分類では5・7野
体性感覚に関する連合野
言語の認識など高次の精神機能に関する連合野
ウ.側頭連合野
ブロードマンの分類では22野
聴覚情報の連合野
視覚パターンの認知、識別、学習、記憶に関する連合野
エ.前頭連合野
ブロードマンの分類では8、9、10野
行動計画に必要な情報を側頭連合野や頭頂連合野から受け取り、複雑な行動計画を組み立て、その実行の判断を行う
☆人間で特に発達。人格にも大きく影響

(4)連合野と高次中枢神経系の統合
①言語機能
通常、左半球が優位
ア.運動性言語中枢(ブローカ野)(重要)
ブロードマンの分類では44、45野
前頭葉(外側溝の付近)
a.障害
運動性失語症
…言語を理解できるが、流暢に話せない
イ.感覚性言語中枢(ウェルニッケ野)
ブロードマンの分類では22野
側頭葉の上側頭回の後方付近
a.障害
感覚性失語症
言語の理解が障害される

②学習
過去の経験に基づいて行動や反応を比較的長い時間変化させる能力

③記憶
過去の経験を覚え(記銘)、その内容を保持し、意識的、無意識的に思い出す(再生・想起)能力
海馬が重要な役割を果たす
シナプスの可塑性も関係

ア.記憶の分類
a.感覚記憶
感覚器に受容した情報をそのまま保持する過程(0.1~0.5秒程度)
b.短期記憶(一次記憶)
感覚情報から抽出された情報を数分間程度保持する過程
c.長期記憶(二次記憶)
数分から一生涯続く記憶
・陳述的記憶(エピソード記憶と異味記憶)
・非陳述的記憶(手順記憶)
がある

④意識・注意・覚醒・睡眠
ア.意識
覚醒状態で外的刺激に反応できる脳の活動状態
イ.注意
情報の中からある情報に意識を集中させること
ウ.覚醒
上行性網様体賦活系が働くことで誘発される
エ.睡眠
上行性網様体賦活系の抑制によって起こる
筋緊張、反射、心拍数、血圧の低下
a.レム睡眠(逆説睡眠)
覚醒時のような脳波が現れれる
眼球が急速に動き、顔面や手足の筋肉が断続的に動く
心拍数や呼吸が乱れる
夢を見ていることが多い
成人では約90分ごとに出現し、一回の睡眠に4~5回出現する
全体の約20%を占める
新生児や乳児では成人二比べ、全体に占める割合が大きい
☆逆説睡眠→行動としては眠っているのに脳波は覚醒時と同じようだから
b.ノンレム睡眠(徐波睡眠)
レム睡眠以外の睡眠

⑤脳波(EEG)
ア.α波
8~13Hz
正常成人が目を閉じて安静にした状態で最もよく現れる
イ.β波
14Hz以上
精神活動中や、感覚刺激を受けたときなどに現れる
ウ.θ波
4~7Hz
睡眠時に著名に出現
エ.δ波
0.5~3Hz
深睡眠時や深麻酔時に出現
乳児では覚醒時でも出現

*****************************************
■8)脳脊髄液
(1)分泌と吸収
脳室の脈絡叢から分泌、くも膜のくも膜顆粒を静脈系に出し脳脊髄液を血中に排出

(2)組成
約90から150ミリリットル・生成量は500ミリリットル/日
色は透明・脳脊髄圧は安静時側臥位で70から180ミリメートルH2O
血漿に比べグルコース・タンパク質が少ない
(3)機能
脳脊髄の保護
脳脊髄の細胞外液の排出路





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