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東洋医学臨床論ノート15「便秘と下痢」

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【1】現代医学的な考え方
A.注意を要するもの(器質的なもの)
① 頑固な腹痛・便秘、腹鳴、グル音の増強、蠕動不安、腹部膨満を伴うもの … イレウス
② 血便、体重減少、全身倦怠を伴うもの … 腫瘍など
③ 急性の下痢に発熱、嘔吐、心窩部痛、脱水・ショック症状を呈するもの … 細菌性下痢、中毒
④ 血性下痢、発熱、体重減少、粘液便を伴うもの … 潰瘍性大腸炎、クローン病

【参考】便秘の分類
1)機能的な便秘
 これが便秘の原因で最も多く、次のようなものがある。
① 弛緩性便秘:大腸の運動低下や緊張低下によるもの。
② 痙攣性便秘:過敏性大腸症候群の症状としてみられる。
  腸管の副交感神経の緊張状態が原因である。
③ 習慣性便秘(常習性便秘・直腸性便秘)
2)食事性便秘
 食物摂取量の不足、糖質や繊維性食品の摂取不足によって起こる。
3)器質的疾患による便秘
 腸管の機械的通過障害による便秘(腹腔内腫瘤や、炎症性変化によるもの、大腸癌やイレウス)である。
4)消化管の麻痺や攣縮
 脳性麻痺、ダウン症候群、クレチン病、低カリウム血症な
どでみられる。

B.適応となるもの(機能的なもの)
① 神経性腸疾患や内臓弛緩下垂症による便秘
② 習慣性(常習性・直腸性)便秘
③ 単純性下痢
④ 心因性下痢
⑤ 過敏性腸症候群の便秘・下痢

A) 習慣性便秘
〔病態〕大腸の運動機能の低下や排便反射の低下
〔症状〕腹痛はないか、または軽症で、便意が起こりにくい。便は太く持続性である。下痢を伴わず、ストレスとの関連は少ない。
〔所見〕腹壁の緊張低下
〔治療方針〕腸の機能の調整
〔治療法〕
ア.マッサージ
① 大腸の経路に沿って軽擦・揉捏法を施す。その際、糞塊を徐々に挫砕し直腸に移送する。手技は柔軟にかつ丁寧に施す。
② 肩背部、腰部、殿部(三焦兪・腎兪・志室・大腸兪・小腸兪など)、下肢(足三里・上巨虚・三陰交など)に誘導施術を行う。
③ 併用療法として、冷水摩擦、腹部の冷水圧注や冷温交替圧注などを試みる。

イ.鍼灸
  天枢、大横、腹結、三焦兪、大腸兪

《備考》患者への指導として、次のような点に注意してもらえれば効果的である。
① 毎朝、一回は必ず排便の習慣をつける。
② 便意を催せば、直ちに排便する。我慢の習慣がつくと直腸性便秘の原因となる。
③ 腹筋の強化運動をする。例えば、仰臥位で伸展した下肢の上下運動、膝を腹部に接近させる運動などの自動他動運動法を行う。
④ 腸の蠕動運動を盛んにするために、あまり消化の良い食物は避けて、線維に富む植物性食品(こんにゃく・おから・さつま芋など)や果実などを摂取させ便通を付けるようにする。
⑤ 早朝の空腹時に、一杯の冷水または炭酸水を飲ませる。その寒冷刺激が催下作用となる。
⑥ 緩下剤を濫用しない。これが直腸性便秘を招く。
⑦ タンニンには止瀉作用がある。紅茶やお茶は便秘になりやすい。

B)過敏性腸症候群の便秘・下痢
〔病態〕腸管の運動機能の亢進
〔症状〕便秘(兎糞状)、下痢、便秘下痢交替が持続する。腹痛や腹部膨満感などを伴う。精神的ストレスと関連して起こりやすい。随伴症状として頭痛や全身倦怠感などがある。
〔所見〕大腸に沿って圧痛(殊に左下腹部)。または腹部や背部に筋緊張・圧痛・硬結をみる。
〔治療方針〕大腸の機能調整
〔治療法〕
ア.マッサージ
① 軽擦法を主とした腹部施術を軽く行う。
② 腹部(天枢・腹結・大巨など)、背部(肝兪・脾兪・胃兪等)、腰仙部(腎兪・三焦兪・次?など)の脊柱両側に現れる反応点に対して弱刺激で緩解する。
③ 下腿部の胃経(足三里・上巨虚・下巨虚など)や脾経(陰陵泉・三陰交・公孫など)に沿って揉捏・圧迫法を行う。精神的安静療法が必要である。
④ 併用療法として、水治療法・温泉療法を試みる。

イ.鍼灸
三焦兪、大腸兪、次、天枢、大巨、腹結、上巨虚、下巨虚
そのほか臍の塩灸などがよく用いられる。

【2】東洋医学的な考え方
東洋医学では便秘のことを「秘結」、下痢のことを「泄瀉」と称している。

1.便秘(秘結)
A.分類
① 胃腸の熱による便秘(熱秘)
 辛い物の偏食、もともと陽性体質、熱病での津液損傷などで、胃腸に熱が貯まり乾燥して便秘となる。
② 肝鬱による便秘(気秘)
 情志の失調、長時間の坐位などのために気機の運行が悪くなり腸の伝導機能が悪くなるとこのタイプの便秘が起こる。
③ 気虚、血虚による便秘(虚秘)
病後または産後で気血が回復しなかったり、老化により気血が不足してくると、気虚のために伝導無力となり、また血 虚のために腸が潤いを失い、このタイプの便秘が起こる。
④ 腎陽虚による便秘(冷秘)
 虚弱者や老人で下焦の陽気が虚すと温煦機能が低下し、陰寒が凝結すると排便困難となる。

B.鑑別
(1)虚実の鑑別:①②は実証、③④は虚証。随伴症状や舌脈所見で鑑別。
a.実証のものは経過が短い。
b.虚証のものは経過が長く反復しやすい。
(2)寒熱の鑑別
a.熱秘は煩熱、口渇、顔面紅潮、口臭、小便黄などの熱象を伴う。
b.冷秘は寒がり、四肢の冷え、顔色蒼白、小便清などの寒象を伴う。
c.①と③は教科書に参考症例があります。

C.参考症例:肝鬱による便秘(気秘)
〔病態〕情志の失調→肝鬱→腸の伝導機能に損傷。また、長 期に渡る坐業なども気の鬱滞を招き、この原因となる。
〔主要症状〕大便秘結、便意はあるが、排便できない。
〔随伴症状〕腹部・両脇部膨満、頻繁な気、口苦
〔舌脈所見〕舌質紅、舌苔薄、弦脈
〔治療方針〕肝鬱を改善し、気の巡りをよくする。
〔治療法〕 天枢、上巨虚、足三里、行間、陽陵泉、気海
〔取穴理由〕 天枢は大腸の気の巡りを円滑にし、便通を改善させる。上巨虚(大腸の下合穴)は気の巡りを良くし、腸 管内容物の停滞を除く。足三里は胃疾患の常用穴である。
 行間・陽陵泉の配穴は、肝の疏泄機能を改善させ、肝胆の機能を調整する。更に、気海を加えると、気の巡りを円滑にさせて腸管内容物の停滞を除く。

2.下痢(泄瀉)
A.分類 
① 外邪による下痢
 下痢を起こす外邪としては寒、湿、暑、熱があるが、湿邪によるものが多い。湿邪が影響すると脾に最も影響が及びや すく、脾気が抑止されて運化機能が失調すると下痢が起こる。湿に寒がからむと寒湿による下痢となり、湿に、熱がからむと湿熱による下痢となる。
② 傷食による下痢
 暴飲暴食や油っこいもの、生もの、冷たいものを食べすぎたり、不衛生なものを食べると脾胃を損傷し、腸の伝導機能 や脾胃の昇降機能が失調して下痢が起こる。
③ 肝鬱による下痢
 平素から脾胃の虚している者が、精神的緊張や情緒の変化により肝鬱となりそれが脾に影響すると、運化機能が失調して下痢が起こる。
④ 脾胃虚弱による下痢
 傷食、労倦または久病により脾胃の機能が衰えると、水穀の受納と精微の運化が悪くなり、清濁の分別がうまくいか なくなり下痢が起こる。

⑤ 腎陽虚による下痢
 久病または老化により腎気、腎陽が虚し、脾陽をうまく温煦できなくなると、運化機能が低下して下痢が起こる。夜 明け前に下痢をするものを五更泄瀉(鶏鳴下痢・腎泄)といい、腎虚、腎陽虚、脾腎陽虚により起こる。
(注)五更:夜を初更、一更、二更、三更、四更、五更と分けたときの明け方の3時から5時を指す。最も陰気が盛んで陽気が衰えている頃とされる。

B.鑑別
(1) 虚実の鑑別 … ①②③は実証である。
a.実証のものは急に発病し、経過が短い。また下痢の前に腹痛を伴いやすく、下痢すると腹痛は軽減するという特徴がある。
b.虚証のものは、経過が長く、発病は緩慢であり、それぞれ関連する臓腑の随伴症状を伴う。

(2) 寒熱の鑑別
a.大便が水様のものは寒証である。また、臭いも少ない。
b.また便が黄色くて臭いが強く、便意が急迫し肛門に熱感があるものは熱証。食滞によるものは、腐臭を伴う.
c.①と⑤は教科書に参考症例があります。





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