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東洋医学臨床論ノート26「運動麻痺」

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【1】現代医学的な考え方
A.注意を要するもの
①脳血管障害が疑われるもの
・深部反射亢進、病的反射陽性で診断が確定しない場合
②脳外傷、脳血管障害など
・外傷・非外傷にかかわらず、発症時に意識障害などの
 重篤な経過があり、発症後、期間の新しいもの
③神経腫瘍など
・麻痺の範囲・程度の拡大が進行性のもの
④重症の末梢神経障害
・強度の筋萎縮または麻痺を伴うもの
B.適応となるもの
①脳血管障害後遺症(片麻痺)
②末梢神経麻痺

1.脳血管障害後遺症
病態
・錐体路を循環する動脈の出血・梗塞・塞栓によって起こる。
・1~2週間の急性反応期の後、後遺症を残して慢性期に移行する。
症状
・片側上下肢の痙性麻痺、失語症などを呈す。
所見
・患側の深部反射亢進、病的反射陽性など。
治療方針
・リハビリテーションによる機能回復訓練と併行して、
 脳循環の改善、麻痺の回復や進行防止を目的に施術を行う。
治療法
①マッサージ
・発病初期は禁忌である。
・1~2週間後、医師の指示に従い施術する。
・施術は麻痺側を中心に全身を対象に行うが、最初は
 軽擦法を5~10分間程度、軽く施す。
・病状をよくみながら次第に刺激量を多くする。しかし、
 刺激時間・強さに十分注意し、決して疲労させてはならない。
・併用療法として、運動・温熱・水治・電気療法などを行う。
②鍼灸
・中風七穴、天柱、伏兎など

【参考】醒脳開竅法
・中国では脳血管障害後遺症に対する鍼治療法として
 「醒脳開竅法」という手法がある。脳血管障害の病理的機序を
 「竅閉神匿」(孔がふさがり神が隠れる)の結果であるとし、
 「醒脳開竅、補益肝腎を主とし、疏通経絡を補助となす」との
 治療原則で確立された。
処方
①主穴
・内関・人中(水溝)・三陰交
②副穴
・極泉・委中・尺沢
③その他
・嚥下困難に風池・翳風、手指の痙性に合谷、言語障害に金津・玉液
操作方法
①内関
・0.5~1寸直刺、捻転提挿の瀉法
②水溝
・鼻中隔に向け0.3~0.5寸斜刺、眼球に涙が充満するまで強い雀啄。
③三陰交
・アキレス腱方向へ1~1.5寸斜刺、提挿の補法をし、
 患側下肢を3回躍動させる。
④極泉
・腋毛を避けるため本来の位置よりも経絡に沿って2寸下方に取る。
・1~1.5寸直刺、提挿の瀉法をし、患側上肢を3回躍動させる。
⑤尺沢
・肘関節を約20度屈曲させ1寸直刺、提挿の瀉法をし、
 患側の前腕・手指を3回躍動させる。
⑥委中
・仰臥位で下肢を持ち上げ取穴し、1寸直刺、提挿の瀉法をし、
 患側下肢を3回躍動させる。
⑦風池・完骨・翳風
・喉に向けて2~2.5寸刺入、捻転の補法を1分間施す。
⑧合谷
・三間に向けて1~1.5寸刺入、提挿の瀉法をし、第2指を
 躍動させる。痙性が強い場合は全指が自然に開くまで行う。
⑨金津・玉液
・三稜鍼にて刺絡し1~2cc瀉血。

2.末梢神経麻痺(上肢痛の頁も参照)
病態
・神経の走行上での打撲・圧迫などによる支配筋の弛緩性麻痺
症状
①橈骨神経麻痺
・上腕骨骨幹部骨折、上腕中央部外側の注射などで生じる。
・手関節背屈、母指の伸展、その他の指のMP関節伸展が
 困難となり、下垂手(落下手)を呈す。
②正中神経麻痺
・肘関節部の骨折、フォルクマン拘縮、手根管症候群などで生じる。
・低位麻痺では母指球筋が麻痺して母指対立運動が不能となり、
 猿手を呈し、手掌の橈側半分の知覚が脱出する。
・高位麻痺では、前腕の屈筋・回内筋群の一部分まで麻痺する。
※正中神経支配の筋
・円回内筋、橈側手根屈筋、長掌筋、浅指屈筋、深指屈筋、
 長母指屈筋、方形回内筋、短母指外転筋、短母指屈筋浅頭、
 母指対立筋。
③尺骨神経麻痺
・肘部管症候群による高位麻痺と、尺骨管症候群による
 低位麻痺があるが、前者の頻度が高い。
・低位麻痺では手内筋(小指球筋、骨間筋、虫様筋,母指内転筋)の
 麻痺より手指の内外転不能、フロマン徴候陽性となり、
 鷲手を呈す。知覚障害は小指と環指尺側。
・高位麻痺は、低位麻痺に加えて尺側手根屈筋、
 4~5深指屈筋の麻痺、手背尺側の知覚障害が加わる。
④総腓骨神経麻痺
・膝窩・腓骨頭・腓骨頸への外部からの圧迫などにより起こる。
・前脛骨筋、長母指伸筋、腓骨筋の麻痺により、
 足関節の背屈・外反や足趾の背屈が障害され下垂足となり、
 鶏歩を呈す。足背から膝下下肢外側にかけての感覚障害を来す。
⑤脛骨神経麻痺
・骨折や打撲など局所の外傷、足根管症候群などによる。
・下腿三頭筋、後脛骨筋、足趾の屈筋群の麻痺により、
 足関節の底屈・内反が障害され外反踵足位(鉤足)を呈す。
・感覚障害は、下腿後側から足底にみられる。
※足根管症候群:
・足関節内側での脛骨神経の絞扼性神経障害。
・脛骨内果、距骨、踵骨、屈筋支帯からなる骨線維性トンネルを
 足根管と呼ぶ。この中で脛骨神経本幹やその分枝が障害されるが、
 内側足底神経が障害されるタイプが最も多い。
治療方針
・神経の障害部および麻痺筋の血行改善
治療法
・上肢の神経麻痺は上肢痛参照。
①マッサージ
・麻痺神経支配下の筋と神経経路中の刺激点に対する施術。
・定型的な変形には次の部位と共に拮抗筋に対する施術も
 忘れずに行う。
・総腓骨神経麻痺には足少陽胆経、足陽明胃経、下腿屈筋群
・脛骨神経麻痺には足膀胱経、下腿伸筋群
・併用療法として運動・温熱・電気療法、装具による
 変形の予防・矯正なども効果的。
②鍼灸
・総腓骨神経麻痺には委陽、陽陵泉、懸鍾、足三里、解谿など
・脛骨神経麻痺には委中、承筋、承山、太谿、照海など
※神経麻痺と主な装具
①橈骨神経麻痺
・コックアップスプリント、トーマス副子、オッペンハイマー装具
②正中神経麻痺
・対立副子
③尺骨神経麻痺
・ナックルベンダー(MP関節屈曲補助装具)
④下垂足
・靴べら型装具

【2】 東洋医学的な考え方
・運動麻痺について古典では「四肢不用」「四肢不挙」「痿躄」等の
 記載がある。「痿」とは四肢に力がなく運動障害が生じることで、
 「躄」とは下肢が軟弱で力がないことをいう。
・中医学では『痿証』として捉えている。
・急性症として現れることもあるが慢性症として現れることが多い。
・原因としては虚や熱によるものが多い。
A.分類
①肺熱によるもの
・肺熱により肺や津液を損傷し、皮毛や筋脈を
 うまく栄養できなくなると運動麻痺が起こる。
②湿熱によるもの
・湿邪が長期にわたって除去されず熱化した湿熱が筋脈に影響し、
 気血の運行が悪くなり運動麻痺が起こる。
・また、辛いものや甘いものの偏食により脾胃に熱がこもり、津液を
 損傷して、筋脈をうまく栄養できなくなって起こるものもある。
③脾胃虚弱によるもの
・後天の本である脾胃がいろいろな原因により虚弱となり、
 そのために筋脈・肌肉がうまく栄養されないと次第に
 運動麻痺が起こる。
④肝腎陰虚によるもの
・老齢、慢性疾患、房事過多などにより肝腎を損傷し、
 精血が不足して筋骨・経脈をうまく栄養できなくなると
 次第に運動麻痺が起こる。
B.鑑別
(1) 虚実
・①②は実証であり、③④は虚証である。
・一般的には実証は急に発症し変化が早く、
 虚証は緩慢に発症し変化も緩慢である。
(2)随伴症状
①肺熱によるもの
・むせるような咳、皮膚の乾燥などの症状を伴いやすい。
②湿熱によるもの
・胸や腹のつかえ、身体の重だるさ、浮腫など湿による症状を
 伴いやすい。
③脾胃虚弱によるもの
・倦怠感、息切れ、四肢のだるさ、軟便など脾気虚による症状を
 伴いやすい。
④肝腎陰虚によるもの
・腎虚(精の不足)による腰のだるさ、めまい、耳鳴り、
 肝虚(血の不足)によるしびれ、拘縮、筋肉のひきつりなどの
 症状を伴いやすい。

C.参考症例 脾胃虚弱による運動麻痺 
※②湿熱によるものと、④肝腎陰虚によるものは教科書参照
病態
・脾胃の虚弱により筋脈・肌肉が栄養されない。
主要症状
・四肢の軟弱、次第に運動麻痺または筋萎縮
随伴症状
・食欲不振、疲労、倦怠感、下痢、顔がむくみ艶がない
舌脈所見
・舌質淡、舌苔薄白、細弱脈
治療方針
・四肢の経絡気血の疏通の改善を図ると共に、脾胃両虚を補う。
治療法
・上肢では、肩、曲池、手三里、陽谿、合谷など。
・下肢では、髀関、伏兎、梁丘、足三里、解谿などの中から
 適宜選び、脾兪、胃兪、太白を加える。
取穴理由
・『素問』痿論篇に「痿を治すには、独り陽明を取る」という
 治療原則を基に、手足の陽明経を主体に選穴する。これに
 脾兪、胃兪、太白を配穴して脾胃の運化機能を円滑にし、
 筋脈・肌肉の栄養改善を図る。





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