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病理学ノート00「病理学ノート」

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病理学ノート全文

・現代の医療の4分類
予防、治療、診断、リハビリテーション
=====================
第1編 病理学の基礎
=====================
1.病理学の意義と分類
■1)病理学の意義
病気の本体を研究する学問
ヒポクラテス、ウィルヒョウ(細胞病理学説)など
■2)病理学の分類
病理解剖学(形態と構造から)
病態生理学(機能の面から)
病理診断学(細胞・組織診による)
・病理解剖学とは
形態、構造を見ていく病理学
病理学の主体をなす
・病理解剖学の分類
臓器病理、組織病理
・病態生理学
機能の面から見ていく病理学
臨床医学の根底をなす

2.疾病の意義と分類
■1)健康・疾病および半健康状態
・健康についてのクロードベルナールの生理学的定義
生体の内部環境が一定に保たれている状態
ホメオスタシス
・頭重、倦怠感などの不定愁訴が現れる状態
半健康状態(未病)

■2)疾病の分類
(1)先天性疾患と後天性疾患
先天性疾患:出生前に罹患したもの
先天性疾患には遺伝性のものといでんしないものがある
遺伝するもの:血友病、色盲
遺伝しないもの:先天性梅毒、アザラシ肢症
★アザラシ肢症の原因物質はサリドマイド
(2)局所性疾患と全身性疾患
・局所性疾患:疾病が体の一部に限局
例)白内障、胃潰瘍
・全身性疾患:全身の臓器に広がっているもの
例)敗血症、白血病
(3)器質的疾患と帰納的疾患
・器質的疾患:組織、臓器に形態的変化の認められるもの
例)花粉症、心臓弁膜症
・機能的疾患:形態的変化の認められないもの
例)ノイローゼ、抑うつ症
(4)急性疾患と慢性疾患
・急性疾患:急激に始まり、症状が激しく、短期間に経過
例)流行性感冒、急性虫垂炎
・慢性疾患:徐々に進行し、症状が緩やかで、経過が聴器にわたるもの
例)肺結核症、関節リウマチ
(5)感染症と非感染症
・感染症:病原体の感染によって発病するもの
例)ペスト、コレラ
・非感染症:感染によらないもの
例)変形性膝関節症、胆石症
(6)小児疾患と老人性疾患
小児疾患:麻疹、ポリオ
老人性疾患:脳梗塞、狭心症
★麻疹の時に出てくる発疹:コプリック斑
(7)原発症、続発症、合併症
一つの疾患に罹患しそれが原因となって次の疾病が起こったとき、全社を原発症、後者を続発症
二つの疾患に因果関係がない場合、これらを合併症という
(8)特発性疾患
原因が明らかでない疾患
本態性疾患ともいう
本態性高血圧症、特発性側弯症

3.病変と症候
■1)病変の意義と分類
・病変とは
疾病に際して組織や臓器に現れる構造的形態的変化のこと
・病変の分類
循環障害、退行性病変、進行性病変炎症、海洋

■2)症候の意義と分類
・症候(症状)とは
疾病によって現れてくる病的現象のこと
・症候の分類
(1)自覚症状と他覚症状
自覚症状:耳鳴、頭痛
他覚症状:発熱、高血圧など
(2)直接症状と関節症状
・直接症状:病変のある臓器から直接発する症状
例)気管支炎の咳、大腸炎の下痢など
・関節症状:直接症状の結果として二次的に起こってくるもの
例)腎炎…直接症状:蛋白尿
関節症状:顔面の浮腫)
(3)一般的症状と特徴的症状
一般的症状:多くの疾病に共通して現れる症状
特徴的症状:その疾病にしか現れない症状(診断の重要な手がかりとなる)
例)麻疹の時に出てくる口腔内の斑点(コプリック斑)

4.疾病の経過
・疾病の経過の区分
①潜伏期
病原体に感染して発病するまでの時期
疾病によってその期間が異なる
②前駆期
不定愁訴を表す時期
③侵襲期
その疾病の特徴的な症状が現れる
増悪する時期
④極期(頂期)
疾病の勢いが最も強く激しく現れる時期
⑤消退期
症状が次第に弱まる時期
⑥回復期
病変や症状が消えて体力が回復する時期

5.予後と転帰
■1)予後の意義と分類
・予後とは
疾病の終わりを予測すること
・予後の分類
良予後:疾病が治癒すると予測されるもの
不良予後:生命の危険または疾病が治らないと予測されるもの
疑予後:良予後とも不良予後ともわからないもの

■2)転帰の意義と分類
・転帰とは
疾病の終わりのこと
・転帰の分類
完全治癒:完全にもとの健康状態に復する場合
不治:病変や症状が長く存在し治癒しない場合
死:病変が進行し、ついに生活現象が停止する場合

==============
第2編 病 因
==============
1.病因の一般
・病因とは
疾病の原因となるもの
・病因の分類
外因:外部から作用する、外部から侵入する
内因:体自体が持っている疾病へのかかりやすさ
主因:最も主要な病因
副因・誘因:主因以外の病因
・最近よく使われる病因の分類
遺伝的因子によるもの
環境的因子によるもの
上記2つの相互作用によるもの

2.内因
・内因の分類
素因
体質
遺伝と染色体異常
内分泌障害
免疫異状
精神作用の変動

■1)素因
・素因とは
生体の内部にあって、疾病にかかりやすい性状のこと
・素因の分類
一般的素因
個人的素因
(1)一般的素因
・一般的素因とは
一般的に多くの人に認められる素因
①年齢素因
・幼児にかかりやすい疾患
麻疹、百日咳、水痘
・高齢者にかかりやすい疾患
動脈硬化症、高血圧症、癌
②性素因
・男性がかかりやすい疾患
動脈硬化症、心筋梗塞、通風、肺癌、肝臓癌
・女性がかかりやすい疾患
関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病
胆石症、鉄欠乏性貧血、骨粗鬆症、甲状腺疾患
③人種素因
・日本人に多い疾患
胃癌、子宮癌、脳卒中
・欧米人に多い疾患
大腸癌、乳巌、通風
④臓器素因
臓器によって影響を受けやすい病原体が異なる
・臓器と病原体の組み合わせ
脊髄前角細胞:ポリオウィルス
末梢神経:ヘルペスツォスタウィルス
大腸:赤痢菌
小腸:腸チフス菌
肺やリンパ節:結核菌

(1)個人的素因(病的素因)
・個人的素因とは
一定の個人に限って現れる病的な性状
①局所的素因
外傷や胃酸の欠乏などによって高められる
②全身的素因
異常体質
肉体的、精神的過労
栄養不良
過度の飲酒や喫煙
妊娠
免疫抑制剤や副腎皮質ホルモンの連用など

■2)体質
個人の持つ形態、機能的、性格的諸性状の総称
・体質を構成するもの
遺伝因子
出生後の環境・栄養・疾病など
・性状が一定範囲内にある状態と、一定範囲を超えた状態
異常体質と正常体質
①胸腺リンパ体質
思春期以降も胸線が残存し、肥大しているような状態
感染症にかかりやすい
外来刺激に対して過敏で、ショック死を起こしやすい
②無力性体質
やせていて、筋肉や結合組織の発育が悪い
内臓下垂症、結核症を起こしやすい
③関節性体質(卒中体質)
肥満して頚が太く短く、胸郭が大きい体型
通風、動脈硬化症、慢性皮膚病、脳卒中などにかかりやすい
④滲出性体質
皮膚や粘膜に浸出性の反応を起こしやすいもの
乳幼児に多く見られる
皮膚の湿疹、上気道炎、胃腸粘膜のカタル性炎を起こしやすい
⑤発育不全製体質
循環器や生殖器の発育が不良
小児形をていする
⑥児形体質
心身の発育が遅れ、成人になっても小児期の状態にとどまる
⑦血管神経性体質
心臓及び血管系統が過敏で、機能異常を起こすことが多い
片頭痛、高血圧、低血圧、十二指腸潰瘍などを起こしやすい
⑧アレルギー体質
気管支喘息、花粉症、じんま疹などのアレルギー性疾患を起こしやすい
アレルギー体質の中でも、特定の食物や薬剤によって嘔吐や薬疹などの変化を発症するものを特異体質という

■3)遺伝と染色体異常
・対をなす染色体
相同染色体
・同一の形質を持つ遺伝子
対立遺伝子
・優性、劣勢遺伝
・突然変異
遺伝子が何らかの影響で変化し、それが子孫に伝えられること
(1)遺伝性疾患
・遺伝疾患とは
両親から受け継いだ配偶子(遺伝子)が、発症に関与していると考えられる病気
その遺伝疾患が同じ家系に数代にわたって見られた場合、家族性疾患と呼ばれる
先天性疾患の形をとらない遺伝病の中には、20歳代から30歳代で初めて発病する
・先天性疾患
出生時にすでに見られる疾病または病的状態
遺伝によらない先天性疾患もある
①単一遺伝子による遺伝疾患(メンデル型)
ア.伴性遺伝病
X染色体によって伝えられる劣勢の遺伝病
女性を介して男性に遺伝することが多い
・伴性遺伝病の例
血友病、赤緑色盲、無γ-グロブリン血症、巨大角膜
進行性筋ジストロフィー症(デュセンヌ型)など
☆デュセンヌ型は進行が激しい
イ.常染色体遺伝病
常染色体によって伝えられる
a.常染色体性優性遺伝病
劣性遺伝病に比べて、発生時期が遅く、症状も軽い
運動期や神経系の疾患として現れることが多い
・常染色体性優性遺伝病の例
異常ヘモグロビン血症
マルファン症候群
大腸腺腫症
多指症
先天性白内障
網膜色素変性症
網膜芽腫
進行性筋ジストロフィー症(顔面肩甲差骨型)
☆マルファン症候群
手足が長い、疲れやすいなど
b.常染色体性劣性遺伝病
・常染色体性劣勢遺伝病が発症した子供の両親の特徴
近親婚によって発症することが多い
両親は正常なことが多い
・常染色体性劣性遺伝病の例
ある種の酵素欠損による代謝異常
…白皮症、フェニールケトン尿症、ガラクトース血症、無カタラーゼ症、ウィルソン病など
小頭症、
白内障
網膜色素変性症
先天性緑内障
全色盲
進行性筋ジストロフィー(肢体型)
☆白皮症
メラニンシキソがないとか
☆フェニルケトン尿症
フェニルアラニンの異常分解
②多数の遺伝子の相互作用による遺伝疾患
複数の遺伝子と、多くの環境因子が発症に関与する疾患
・多数の遺伝子の相互作用による遺伝疾患の例
奇形(口蓋裂、兎唇など)
先天性股関節脱臼
本態性高血圧症
若年性糖尿病
通風、
躁鬱症
悪性腫瘍など
・生活習慣の改善によってある程度予防できる

(2)染色体異常
・染色体異常とは
減数分裂や卵の初期分割の段階で、染色体が切れたり、ねじれたり、重なったりすることで起こる異常
・染色体異常の3つの型
染色体数の異常
構造の異常
モザイク
・モザイクとは
1個の生体に数や構造の異なる染色体を持つ細胞が2種以上混在している状態
・次の世代には遺伝子内
・染色体の突然変異とも呼ばれる
・自然流産には染色体異常が非常に多い
①性染色体異常
・クラインフェルター症候群
X染色体を2~3本持つ男性
☆精巣の機能不全症、すべての患者が不妊症である(静止の数が足りない)
多くの患者は通常の男性として生活
・XYY症候群
Y染色体を1本多く持つ男性
☆身長が高い、足が長い、大胸筋の発達が悪い、精神的に不安定なことが多い
1000人に1.5人程度出現
・ターナー症候群
X染色体が1本しかない女性
☆卵巣形成不全、低身長、奇形を伴うことも
1000人に1人程度の割合で出現
②常染色体異常
★染色体の一部が切れて3つになっているような状態をトリソミーという
・ダウン症候群
21番目の染色体のトリソミー
☆知能発育不全、蒙古人様顔貌
・エドワーズ症候群
18番目の染色体のトリソミー
☆発育不全、後頭部の突出、手指の屈曲、心臓疾患
・猫鳴き症候群
5番目の染色体の一部欠失
☆特徴的な泣き声と顔貌、知能障害を伴う
1万人に1人、女児に多い
・慢性骨髄性白血病
22番目の染色体の一部が欠失し小さくなっている
この染色体をフィラデルフィア染色体という

(3)奇形
・胎児の発育途上に起きた形態異常
①原因
奇経の原因を催奇形因子という
妊娠初期の胎芽期に催奇形因子が作用すると重唱の奇経をまねく
★胎芽期:授精後3~8週(各器官の元が作られる時期)
ア.内因
・内因(遺伝的因子)による奇経の例
多指症、兎唇、ターナー症候群、ダウン症
イ.外因
・物理的因子とは
胎児に対する機械的外力
放射線など
・化学的因子
アルコール
サリドマイド系睡眠薬
ホルモン剤
ダイオキシン
有機水銀
・サリドマイドによる奇形
アザラシ肢症
・生物学的因子
風疹ウィルス
サイトメガロウィルス
トキソプラズマ
梅毒のスピロヘータ
・母体の状態
年齢
栄養障害
糖尿病
全身性エリテマトーデス
②奇形の分類
ア.単体奇形
1個の生体に発生する奇形
・単体奇形の分類
外表奇形
内臓奇形
イ.重複奇形(二重体奇形)
一卵性双生児となるべきものが発育の途上で癒合したもの
・重複奇形の分類
対称性二重体
非対称性二重体

■4)内分泌障害
・下垂体の機能低下
シモンズ病
・間脳の障害によって下垂体前葉に影響がでたもの
フレーリッヒ症候群
・成長ホルモン(成長期)
低下:下垂体性小人症
亢進:下垂体性巨人症
・成長ホルモン(成人)
亢進:末端肥大症(アクロメガリー)
・副腎皮質刺激ホルモン
亢進:クッシング病
・甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(成長期)
低下:クレチン病(甲状腺性侏儒)
亢進:甲状腺性巨人症
・甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(成人)
低下:粘液水腫
亢進:バセドウ病
・バゾプレッシン
低下:尿崩症
・パラソルモン(副甲状腺)
低下:テタニー
亢進:骨粗しょう症、線維性骨炎
・副腎皮質ホルモン
低下:アジソン病
・電解質コルチコイド
亢進:コン症候群
・糖質コルチコイド
クッシング症候群
・副腎アンドロジェン
亢進:副腎性器症候群
・副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)
亢進:交感神経緊張症
褐色細胞腫
・インスリン
亢進:低血糖
低下:糖尿病
・テストステロン、エストロゲン、プロゲステロン
低下:第二次性徴の減退、不妊
亢進:早熟
・アジソン病の症状
皮膚の色素沈着、身体がだるい、疲れやすい
・バセドウ病の症状
頻脈、眼球突出、甲状腺腫
(メルゼブルグの3兆候)

★参考
・ウィルソン病
銅の代謝異常(銅が身体に蓄積される)

■5)免疫とその異常(後述)
・免疫とは
自己と非自己を識別し非自己を除去することによって有害物質から生体を守り、甲状腺を維持しようとする働き
・免疫における非自己とは
抗原
(1)免疫応答の過剰
・免疫応答が過剰となり病的状態を示すもの
アレルギー(過敏症)
・抗原侵入から症状出現までの時間の長短によってアレルギーを分類
即時型
遅延型
・発生機序の違いによるアレルギーの分類
Ⅰ~ⅣまたはⅤ型

3.外因
・外因の分類
栄養素の供給傷害
物理的、化学的、生物学的病因の作用
◎第1節◎ 栄養素の供給傷害
適度なカロリーをできるだけ多くの種類の食品から摂取することが望ましい
・カロリー接種過多が引き起こす疾病
肥満、動脈硬化症、脂肪肝、脂肪心
代謝異常(通風、糖尿病)
(1)飢餓
栄養素の供給が不足している状態
絶対飢餓、部分飢餓
①絶対飢餓
栄養素のすべてが不足している状態
・過程
貯蔵栄養素の消費
身体構成成分のタンパク質の消費
体重の減少
・脳だけは死を迎えるまで縮小を免れる
②部分飢餓
栄養素の一部に不足があること
・水の不足は最も重大
・水の供給があれば60日ぐらいは生きられる

(2)各栄養素の供給傷害
①タンパク質
・膠質滲透圧の低下
血漿タンパクのアルブミン減少
→膠質滲透圧低下
→浮腫
*タンパク質不足による膠質滲透圧の低下による浮腫
飢餓浮腫
・感染症に対する抵抗力の低下
・実質臓器の細胞萎縮、機能低下
・成長期においては発育不全
★タンパク質の過剰摂取は肥満につながる
②脂肪
・脂肪が溶媒となって働くビタミン
ADEK
・コレステロールが構成に関わる(素材となる)もの
細胞膜
ステロイドホルモン
・過剰摂取
動脈粥状硬化症(アテローム硬化症)
内臓への脂肪沈着
③炭水化物
・過剰摂取
脂肪として蓄積
肥満
・分解されてグルコースなどに
・食物繊維の働き(人類では消化できない)
排泄の促進
大腸癌の発生を抑える
④ビタミン
・水溶性、脂溶性ビタミンはそれぞれ何とともに吸収されるか
水溶性(BCP):水
脂溶性(ADEK):脂肪
★脂肪の吸収が妨げられると、脂溶性ビタミン欠乏
★胆汁酸や膵液の分泌不足によって脂肪の吸収が妨げられる
・ビタミンB群に属するもの
ビタミンB1、2、、6、12
ナイアシン、葉酸、パントテン酸
ア.ビタミン欠乏症
<それぞれのビタミンの欠乏症>
A 夜盲症、角膜乾燥症
B1 脚気
B2 口角炎、口内炎
B6 脂漏性皮膚炎、口内炎
B12 悪性貧血、舌炎
ナイアシン ペラグラ
葉酸 悪性貧血
ペントテン酸 易疲労性、頭痛
C 壊血症(成人)
メーレルバロー病(小児)
D 骨軟化症(成人)
くる病(小児)
E 貧血、出血傾向
K 血液凝固遅延
☆脂漏性皮膚炎
皮膚からの脂肪の分泌によって起こる失神

<ビタミンの物質名>
A アクセロフトール、レチノール
B1 チアミン
B2 リボフラビン
B6 ピリドキシン
B12 コバラミン
ナイアシン ニコチン酸
葉酸
C アスコルビン酸
D カルシフェロール
E トコフェロール
K フェロキノン
イ.ビタミン過剰症
・脂溶性ビタミンは体内に蓄積して過剰症を引き起こす
★脂溶性ビタミンは簡単に尿中に排泄されないため
<ビタミンの過剰症>
A 発育不全、骨吸収の促進(骨折の原因となる)、出血素因、爪の脆弱かなど
D 動脈、心筋、肺、腎尿細管などに石灰沈着
腎臓の障害→腎不全
★血中のカルシウム値の増加による
⑤無機物(ミネラル)
・無機物の例
ナトリウム、カリウム、カルシウム
マグネシウム、鉄、銅、コバルト
・無機物は塩化物、炭酸化物、リン酸化物、タンパク質などの結合体として存在
・日本人に最も不足している無機物
カルシウム
・ナトリウムの働き
組織液、血液の浸透圧の調節(NaClの形で細胞外液に大量に存在)
・ナトリウムの過剰摂取によって引き起こされる疾患
高血圧、動脈硬化症
・ナトリウムの欠乏によって、何の代謝が妨げられるか

・カリウムの働き
細胞の生理機能と関連(細胞内に多く存在)
・低カリウム血症が引き起こす疾患
急性心停止
・カルシウムの欠乏によって引き起こされる疾患
骨や歯の発育不全
骨粗鬆症
・カルシウムが大量に不足したときに起こる疾患
テタニー
・鉄の不足によって引き起こされる疾患
貧血
・鉄の過剰摂取によって引き起こされる疾患
全身性色素症(ヘモクロマトーシス)
血鉄症(細網内皮系へのヘモジデリン沈着症)
肝不全、心不全
・銅の代謝異常によって引き起こされる疾患
ウィルソン病
・ウィルソン病ではどこに銅が沈着するか
脳、肝臓
・ウィルソン病が引き起こす症状
肝硬変
錐体外路系の障害
⑥水
・脱水症を引き起こすこと
激しい下痢や多尿
急激な腹水の貯溜
激しい発汗
広範囲の焼けど
頻回の嘔吐
・脱水症の症状
体重減少
乏尿
血清ナトリウム値の上昇→細胞内液減少
・体内に多量の水分が蓄積された状態
水中毒
・水中毒を引き起こすこと
輸液などによる水分の過剰供給
腎不全
手術後で水分排泄に障害があるときなど
・水中毒によって引き起こされること
血漿浸透圧の低下
低ナトリウム血症
ヘモグロビン、血漿タンパクの低下
・水中毒の症状
吐き気
脱力、痙攣
錯乱、昏睡などに陥る場合もある
⑦酸素
・酸素の供給が妨げられた状態を窒息という
・窒息の種類
外窒息
内窒息
・外窒息:空気や呼吸器の異常によって起こる
・内窒息:呼吸酵素の異常によって起こる
☆呼吸酵素
ミトコンドリア内で好気呼吸に働く酵素
・窒息の症状
局所的:細胞の変成や壊死
全身的:死をまねく
・酸素欠乏を最も受けやすい臓器は脳である
・酸素の供給過剰
→呼吸が緩やかになりやがて停止する
・純酸素吸入によって引き起こされる症状
肺機能の低下、肺出血
骨格筋、心筋などの障害
・哺育器内の未熟児に高濃度の酸素を長時間与えることによって引き起こされる疾患
未熟児網膜症(失明することも)

◎第2節◎ 物理的病因作用
・物理的病因の例
外力、熱、電流、光線
放射線、音波、気圧、気候
(1)機械的病因作用
①局所作用
外傷:外力によって組織破壊を起こしたもの
・創傷
皮膚表面に損傷がみられるもの
例)切創、刺創、擦過傷、裂傷、銃創、咬創
・挫傷
打撲、衝突など、鈍性の外力によって、皮下組織あるいは深部の組織が損傷されたもの
例)打ち身、捻挫、骨折、脱臼
・脳振盪
強い外力が脳に作用したため、脳挫傷にまではいたっていないが、失神や嘔吐などの症状を表すこと
・その他機械的刺激が長時間作用することによって起こる障害
褥瘡、タコ、魚目、白蝋病
☆褥瘡:とこずれ
☆白蝋病:チェーンソーなどの細かい振動を手に受け続けることによって、指先が白くなること
②全身作用
・外力が全身的に作用することで起こるもの
乗物酔い、ショック
・局所作用に続発する変化
*開放創傷に伴うもの
空気塞栓症、
*骨折や脂肪組織の挫滅に伴うもの
脂肪塞栓症
☆塞栓症:血管に何かがつまること

(2)温度的病因作用
①高温の病因作用
ア.局所作用
生体の一部が高温に触れたとき、その局所に起こる組織編制を火傷という
・火傷の程度による分類
*第1度(紅斑性)火傷
皮膚血管の麻痺性拡張により、局所は発赤腫脹する
*第2度(水疱性)火傷
血管壁の透過性が亢進し、表皮の下に漿液が滲出して水疱をつくる
*第3度(焼痂皮性)火傷
熱凝固及び血管損傷により組織壊死を起こし、焼痂皮を作る
治療後も皮膚に瘢痕を残すことが多い
*第4度(炭化性)火傷
組織は燃焼して炭化する
多くは焼死者に見られる
・低温火傷
45~50度の低温が長時間作用し続けた場合に起こる火傷
イ.全身作用
・熱射病
高温多湿の環境下で長時間作業を続けることで、熱放散が妨げられ、体温が上昇する
頭痛、めまい、意識混濁などを起こす
・日射病
長時間直射日光にさらされることによって、熱射病と同様の現象が起こること
・日射病と熱射病を合わせて病という
・火傷が体表の20%以上に及ぶと死をまねく
死にいたる原因=全身合併症
*ショックによる循環障害
*蛋白分解による自家中毒
☆タンパク質の分解の結果出てくる物質が毒性を持っている場合がある
*上記のことに続く重篤な感染症
②低音の病因作用
ア.局所作用
・凍傷
生体の一部が低音にさらされることによって、その局所に起こる組織編制
・凍傷の程度による分類
*第1度(紅斑性)凍傷
低音かで血管は収縮するがやがて拡張。血流は停滞し局所に紫藍色となる
*第2度(水疱性)凍傷
血管壁の透過性が高まり、表皮の下に漿液が滲出して水疱を作る
*第3度(壊疽性)凍傷
局所の血行は停止し、組織は暗褐色の壊死におちいり、脱落して潰瘍を作る
☆第4度:凍結、を加えることもある
イ.全身作用
凍死が起こる体温=25度以下
心肺活動低下
→酸素欠乏
→意識喪失
→凍死

(3)電流の病因作用
・感電:生体を電流がこと
・電撃:落雷のように強い電源から放電を受けること
・直流よりも交流の方が生体への影響が大きい
・家庭用の100Vであっても感電死する
①局所作用
・長時間直流電流を皮膚に流すと、皮膚が変色し、触覚や痛覚が脱失する
→電気分解による障害
・放電によって残る障害
火傷、電撃斑
・電撃斑
血管運動神経の反応
稲妻型または樹枝状の少し隆起した赤い線状斑
②全身作用
・強い電流が全身を流れたときに激痛を感じる原因
全身の筋肉が一度に収縮するため
・電流が流れると感電死を引き起こす臓器
脳幹:呼吸麻痺
心臓:心停止

(4)光線の病因作用
・太陽光線の分類(波長の長い順に)
赤外線、可視光線、紫外線
病因作用が最も強いのは紫外線
①紫外線の作用
・高度の紫外線照射による症状
不快感、悪心、全身虚脱
・紫外線照射によって皮膚に現れる症状
紅斑、水疱形成、色素沈着(=日焼け)
・紫外線が細胞に与える作用
表皮細胞のDNAに軽度の障害を与える
・通常正常な修復機構により回復するはずのDNA障害が、修復されずに皮膚癌へと移行することのある疾患
色素性乾皮症
・紫外線の眼に対する作用
角膜や結膜の炎症
・紫外線によって引き起こされる目の炎症を
電離性眼炎(雪眼炎)
・紫外線の不足によって欠乏するビタミン
ビタミンD
・ビタミンD不足によって引き起こされる疾病
くる病、骨軟化症
(2)赤外線の作用
・赤外線の長時間大量照射によって皮膚に引き起こされる症状
火傷に似た病変(発赤、水胞、壊死)
・赤外線の長時間大量照射によって眼に引き起こされる症状
白内障を起こすことも
・赤外線を用いた温度計測器
赤外線サーモグラフィー

(5)放射線の原因作用
・放射線の分類
電磁放射線:X線、γ線
粒子放射線:α線、β線、電子線、中性子線
・放射線が強く作用する細胞の特徴
未分化で増殖力の盛んな細胞(組織)
・放射線が強く作用する細胞の例
骨髄の造血細胞
リンパ節
清掃や卵巣の性細胞
消化管の粘膜上皮
悪性腫瘍の細胞
・放射線が作用しにくい組織、臓器
神経系、腎臓、肝臓、筋肉
・放射線が作用した結果引き起こされる症状
貧血
免疫不全
生殖障害
皮膚炎
悪性腫瘍の発生
・骨髄が破壊されることによる貧血を
再生不良性貧血
・リンパ系組織が破壊されることによって引き起こされる疾患
リンパ球減少症
顆粒球減少症
(感染症への抵抗力が低下)
・生殖細胞の傷害によって引き起こされること
不妊、奇形
・放射線による皮膚炎の症状
脱毛、水疱形成、潰瘍
・少量の放射線が反復して作用したときに起こりやすい疾患
慢性皮膚炎
・慢性皮膚縁の症状
表皮の増殖、亀裂、湿疹
(皮膚癌の発生をみることも)
・放射線によって起こりやすい悪性腫瘍
白血病、悪性リンパ腫

(6)音波の病因作用
・騒音環境に長時間去らされることで起こる疾患
軟調、鼓膜が破れる

(7)気圧の病因作用
1気圧=1013ミリバール=1013ヘクトパスカル
10メートルで1気圧上昇
①高い気圧の病因作用
・人体が耐えられる気圧:7気圧
・潜水者が急に浮上した時の急激な減圧によって引き起こされる疾患
潜函病
・潜函病の別名
ケイソン病、潜水夫病
・潜函病の機序
高圧下で血中や組織中に溶解した窒素が急激な減圧によって体内で気泡となり、これが血管を閉塞する
・潜函病で窒素の気泡が脂肪組織を破壊することで起こる症状
脂肪塞栓
・潜函病の症状
頭痛、めまい、関節痛、呼吸困難、皮膚掻痒感、灼熱感
激しい場合は死亡
②低い気圧の病因作用
・低気圧下では酸素欠乏が起こる
・低い気圧によって引き起こされる疾患
高山病(山岳病、航空機病)
・一般に高山病が現れ始める標高
3000メートル
・高山病の症状
めまい、頭痛
呼吸数や脈拍数の増加
反射機能の低下、思考力減退
筋力低下など

(8)気候の病因作用
・気候に関係する疾病の分類
気象病
季節病
ア.気象病
・気象病とは
急激な気温の変化によって悪化する疾病
(前線の通過やフェーン現象)
・気象病の例
関節リウマチ
神経痛
心臓循環器系の障害
気管支喘息
自律神経失徴症
イ.季節病
・冬の気切病
流行性感冒
気管支炎などの呼吸器疾患
・夏の気切病
食中毒
急性胃腸炎のような消化器疾患
光化学スモッグによる障害

◎第3節◎ 化学的病因作用
・毒物とは
組織へ化学的に作用して傷害を与える物質
1)毒物の種類
・化学薬品
酸、アルカリ、ベンゼン、シアンなど
・金属
水銀、カドミウム、鉛など
・植物毒
モルヒネ、ニコチン、カフェイン、キノコ毒など
・動物毒
蛇毒、昆虫毒、フグ毒など
・細菌毒
細菌毒素、プトマインなど
・カビ毒
アフラトキシン、マイコトキシンなど
・異常代謝産物の例
アセト酢酸、アセトンなど

2)毒物の作用機序
①たんぱく質の凝固
強い酸(塩酸、硫酸)、昇汞
②細胞のたんぱく質を溶解
強いアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)
③脂質の溶解
有機溶媒(アルコール、四塩化炭素)
④酵素作用の傷害
青酸(呼吸酵素の傷害によって内窒息を引き起こす)
⑤遺伝子に作用して突然変異を引き起こす
クロム
アフラトキシン
⑥蓄積作用

3)毒物による障害
・毒物による障害の分類
毒物の接触した局所に起こる障害
血液中に入った毒物による全身への障害
(1)摂食による障害
・酸やアルカリの溶液の作用
皮膚、消化管粘膜細胞の破壊
・気道や眼球粘膜に摂食してその粘液に溶けて障害を起こす物質
塩素ガス
亜硫酸ガス
ホルマリン
・自動車の排気ガスに含まれる物質で紫外線の作用を受けて過酸化窒素やオゾンを発生させるもの
窒素化合物
・過酸化窒素は何の成分となるか
光化学スモッグ
・過酸化窒素、オゾンの作用
気管や眼球粘膜を刺激

(2)中毒
毒物が血液中に入って、選択的に親和性の高い組織や臓器を傷害すること
①外来性毒物による中毒
・外来性毒物の例
毒物に汚染された生活環境、職場、
防腐剤や着色料を含む食品
各種の薬物など
・毒物が体に入る経路
経口的
経皮的
経気道的
ア.気体として体内に入るもの
a.一酸化炭素(CO)
物が不完全燃焼するときに発声
ヘモグロビンへの親和力が酸素の200倍以上(少量でも酸素からヘモグロビンを奪う)
・症状
酸素欠乏による筋麻痺、意識障害
・内窒息を起こして死にいたる濃度
0.15~0.2%
b.青酸(HCN)
・青酸の種類
青酸カリ
青酸ソーダ
・作用
飲むと胃酸の作用で青酸ガスが発生
→細胞の呼吸酵素を破壊
→内窒息
c.毒ガス
・毒ガスの種類
イペリット(マスタードガス)
ホスゲン
サリン
★サリンは有機リンと同様、アセチルコリン分解酵素を阻害
d.その他
・その他の毒物
ベンゼン(白血病など)
ベンゾール
二酸化炭素
過酸化窒素
(中枢神経や骨髄を侵す)

イ.粉塵として体内に入るもの
・粉塵毒物の及ぼす影響
肺や肺門リンパ節の炎症
気道粘膜上皮細胞の譫妄運動障害
粘液産生の亢進
扁平上皮化生
線維症
☆扁平上皮化生:円柱上皮や繊毛上皮が刺激によって性質を変え、扁平上皮になること
☆線維症:臓器に線維成分が増加することで、それが臓器の広範に見られるもの
・粉塵毒物の吸引によって引き起こされる症状
呼吸障害、二次感染(結核など)、肺癌
・粉塵毒物の例
珪酸
石綿
煙草の煙
・珪酸による疾病
珪肺症
・石綿による疾病
アスベスト症、肺癌
・たばこの煙に含まれるもの
一酸化炭素、ニコチン
その他多くの化学物質

ウ.液体として体内に入るもの
・液体として体内に入る毒物の例
エチルアルコール
メチルアルコール
・エチルアルコールの急性中毒
中枢神経傷害
・エチルアルコールの慢性中毒
肝臓の脂肪変性(脂肪肝)、肝硬変
多発性神経炎
・メチルアルコールは体内で何に分解されるか
ホルムアルデヒド
・ホルムアルデヒドの引き起こす症状
神経細胞の傷害

エ.重金属などによる中毒
・重金属の例
水銀
カドミウム

クロム
ヒ素
リン
内分泌撹乱化学物質
a.水銀
・無機水銀を大量に含んだ消毒液
昇こう水
・無機水銀の誤飲による症状
胃の粘膜の凝固壊死
無尿から尿毒症を起こす(尿細管がつまる)
・有機水銀による公害病
水俣病
・水俣病の症状
中枢神経系の重篤な器質的障害による
痺れ、言語障害、難聴、性心疾患、死亡
・水俣病の原因となった汚染物質
メチル水銀
・水俣病に罹患する経路
汚染された海の魚介類を接種することによって
b.カドミウム(Cd)
・カドミウムによって障害される臓器
腎尿細管
・腎尿細管の傷害によって再吸収が阻害される物質
カルシウム、リン
(骨が弱くなる)
・カドミウムの汚染によって引き起こされた公害
イタイイタイ病
c.鉛(Pb)
・鉛中毒の特徴
慢性中毒が主
・鉛中毒の症状(重要)
消化器症状
末梢神経炎(特に橈骨神経麻痺)
頭痛、不眠など
食欲不振、鉛疝痛
貧血、徐脈
d.クロム(Cr)
・最も有名なクロム中毒を引き起こすクロムの種類
六価クロム
・クロム中毒の急性症状
肺、腎臓、肝臓障害
・クロム中毒の慢性症状
肺癌、
鼻中隔穿孔
皮膚炎(アレルギー)
e.ヒ素(As)
・ヒ素中毒の急性症状
腹痛、嘔吐、下痢
末梢神経炎
皮膚炎
肺水腫
・ヒ素中毒の慢性症状
黒皮症、皮膚癌、脱毛
消化器症状、知覚異常、脱力
肝臓、循環器の異常→溶血性黄疸
・ヒ素ミルク事件
f.リン
・有機リンを含むもの
殺虫剤
・有機リンの作用
コリンエステラーゼの働きの阻害
・症状
頭痛、めまい、吐き気
全身倦怠感、腹痛、下痢、
歩行困難、意識障害
g.内分泌撹乱化学物質
・内分泌撹乱化学物質の別名
環境ホルモン
・内分泌撹乱化学物質の例
DDT、ダイオキシン
ポリ塩化ビフェニール
・これらの内分泌撹乱化学物質の作用が類似するホルモン
エストロゲン
アンドロゲン
・内分泌撹乱化学物質による症状
生殖機能異常
悪性腫瘍
奇形

オ.動植物が作る毒物による中毒
・かび毒の例
アフラトキシン
・キノコ毒の例
ファロイジン
・植物毒の例
サポニン
・フグ毒
テトロドトキシン
☆筋の活動電位が発生しなくなり、呼吸困難などを引き起こす
・その他の毒
ヘビ毒、蜂毒、クラゲ毒、
(中毒、発癌物質として働く)

②自家中毒
・自家中毒とは
自己の体内で発生した有毒物質によって起こる中毒
ア.腸管内異常発酵による自家中毒
・原因
便の長時間の停滞
腐敗作用の進行
→有毒な分解産物の血液への流入
・症状
腹痛、嘔吐、頭痛、めまい、昏睡、心臓機能の異常
イ.中間代謝産物による自家中毒
・原因
糖尿病などの代謝性疾患
・糖尿病で発生する中間代謝産物
ケトン体
ウ.物質代謝の終産物による自家中毒
・種類
尿毒症
胆血症(胆毒症)
妊娠中毒
・尿毒症の原因
腎障害
・胆血症の原因
溶血の促進、肝機能障害、胆道疾患
(胆汁成分が血液中に流入)
・妊娠中毒の原因
妊娠毒
・妊娠中毒症の主な症状
高血圧、浮腫、タンパク尿
・妊娠初期の妊娠中毒
妊娠悪阻(つわり)
・妊娠末期に起こる妊娠中毒
妊娠腎、子癇
・子癇とは
妊娠末期から出産直後にかけて発作的に起こる間代性全身痙攣
・子癇の症状
口から泡をふき、人事不省におちいる

◎第4節◎ 生物学的病因作用
・生体に疾患を起こさせる生物を2つに大別
小寄生体(微生物、病原体)
大寄生体(寄生虫など)
■1)小寄生体
・小寄生体の分類
ウィルス
分裂菌(広義の細菌)
真菌
原虫
1)病原体と疾病
・最も小さい病原体は
ウィルス(電子顕微鏡で観察)
(1)ウィルス
・ウィルスのもつ核酸
DNAまたはRNAのいずれか片方
・ウィルスの増殖の特徴
生きた細胞内でなければ増殖できない
・DNAのみを持っているウィルス(DNAウィルス)による疾患
痘瘡(天然痘)、水痘(水疱瘡)、
帯状疱疹、B型肝炎など
☆帯状疱疹:小児期に感染した水痘のウィルスが長期間潜伏し発症したもの、比較的高齢者に多い
・RNAのみをもっているウィルス(RNAウィルス)による疾患
麻疹、インフルエンザ、流行性耳下腺炎
日本脳炎、急性脊髄前角炎(ポリオ)、成人T細胞白血病
後天性免疫不全症候群(エイズ:AIDS)
A型肝炎、C型肝炎
狂犬病、エボラ出血熱など
(2)分裂菌(広義の細菌)
・分裂菌の種類
クラミジア
リケッチア
狭義の細菌
・狭義の細菌に含まれるもの
カンピロバクター
スピロヘータ
・狭義の細菌の形状による分類
球菌、杆菌、ラセン菌
①クラミジア
・ウィルスとの類似点
生きた細胞内でしか生きられない
(サイズが大きい、核酸にDNA、RNAの療法を持つ点で異なる)
・クラミジアによる主な疾病
トラコーマ
封入体結膜炎
オウム病
鼠径リンパ肉芽腫症(第四性病)

②リケッチア
・光学顕微鏡で観察可能
・生きた細胞の中でなければ増殖できない
・何を介して人間に感染するか
シラミ、ダニ、ノミ
・感染したときの症状
発疹をともなう熱性疾患
・主な疾病
発疹チフス
発疹熱
恙虫病
ロッキー山紅斑病
Q熱
五日熱
③細菌(狭義の細菌)
・細菌の分類
球菌
杆菌
ラセン菌
ア.球菌
・球菌の結合状態による分類
連鎖球菌
ブドウ球菌
双球菌
・連鎖球菌による疾患の例
猩紅熱
糸球体腎炎
・ブドウ球菌
傷口の膿瘍
食中毒の一部
トビヒ
・双球菌の例
線維素性肺炎
淋疾
イ.杆菌
・杆菌による疾患の例
ジフテリア
ガス壊疽
破傷風
百日咳
ペスト
腸チフス
パラチフス
赤痢
結核症
ハンセン病
コレラ
ウ.ラセン菌
・ラセン菌の例
スピロヘータ
カンピロバクター
・スピロヘータによる疾患
梅毒
回帰熱
ワイル病
鼡咬症
・カンピロバクターによる疾患
腸炎
髄膜炎
(3)真菌
・真菌の産生する毒素の例
アフラトキシン
マイコトキシン
・一般によく見られる真菌による症状
皮膚真菌症
・抵抗力低下児、抗生物質多量投与字などに起こる、真菌による症状
内臓真菌症
・皮膚真菌症の例
水虫、タムシ
白癬
・内臓真菌症の例
放線菌症
カンジダ症
クリプトコッカス症
アスペルギルス症
(4)原虫
・単細胞動物
・何を介して人間に感染するか
蚊、ハエ
・原虫による疾患の例
アメーバ赤痢
マラリア
腟炎
水頭症
・腟炎の原因原虫
腟トリコモナス
・水頭症の原因原虫
トキソプラズマ

2)病原微生物の病因作用
(1)感染と発病
病原体に感染しても生体の抵抗力によって病原体が死滅した場合を不顕性感染または無症候感染という
不顕性感染でも抗体は作られる
①病原体の毒素
・細菌が作りだす毒素の分類
菌体外毒素(エクソトキシン)
菌体内毒素(エンドトキシン)
(菌体外毒素の方が一般に毒性が強い)
ア.菌体外毒素
・代謝産物として菌体外毒素を産生する菌(重要)
破傷風菌
クラミジア菌
コレラ菌
ボツリヌス菌
ガス壊疽菌
(ぼくはこれがすき)
・菌は局所にしか存在しないが、毒素は全身に広がり、親和性のある組織を傷害する
ア.菌体内毒素
・aであげた細菌以外のほとんどの細菌がもつ(リポ多糖体として存在)
・菌体内毒素は菌が破壊されたとき放出される

②生体の抵抗力
ア.病原体侵入門戸での防衛
・皮膚の働き
物理的障壁
分泌物中には殺菌力のある脂肪酸を含む
・気道の働き
繊毛による異物の排除
分泌物中には抗微生物性の液体因子を含む
・気道から分泌される抗微生物性の液体因子
リゾチーム
ラクトフェリン
・胃の働き
胃酸による殺菌作用
イ.血液による防衛
・防衛作用のある血液成分
白血球、リンパ球、抗体
ウ.内分泌系の作用
・感染のストレスによって分泌が盛んになるホルモン
副腎皮質ホルモン
・副腎皮質ホルモンの作用
肝臓の解毒作用、白血球の貪食作用の亢進
エ.免疫系の作用
・免疫系の作用とは
病原体に対する抗体産生による、抗原抗体反応

(2)日和見感染
・日和見感染とは
生体の抵抗力が著しく衰えたときに、感染力の弱い病原体の感染を受けること
・日和見感染を起こす感染力の弱い病原体の例
黄色ブドウ球菌
緑膿菌
各種の真菌・原虫
・日和見感染を起こしやすい時
放射線治療
抗がん剤の使用
悪性腫瘍の増殖
外科手術
菌交代現象
未熟児や老人
・菌交代反応とは
気道や腸管内に常在する非病原性、弱病原性の微生物による勢力バランスが崩れること
・菌抗体現象の原因
抗生物質の投与など

■2)大寄生体
1)大寄生体と疾病
(1)蠕形動物
・蠕形動物の分類
扁形動物
線形動物(ミミズのような形)
・扁形動物の分類
条虫類(さなだ虫)
吸虫類
・扁形動物、線形動物のうち、一般に中間宿主を持たないのは
線形動物
・条虫類に含まれる寄生虫とその中間宿主(中間宿主は重要でない)
広節裂頭条虫 剣ミジンコ
有鉤条虫 豚
無鉤条虫 牛
・条虫類の寄生部位(重要でない)
小腸
・吸虫類に含まれる寄生虫とその中間宿主、寄生部位(中間宿主、寄生部位は重要でない)
日本住血吸虫 淡水の巻き貝 門脈
肝吸虫 豆タニシ、淡水魚 胆管
肺吸虫 淡水のカニ 肺
・線形動物に含まれる寄生虫とその寄生部位(寄生部位は重要でない)
回虫 小腸
蟯虫 小腸下部、結腸、直腸
ズビニ鉤虫 十二指腸、空腸、リンパ管
バンクロフト 同上
糸状虫 同上

(2)節足動物
①.昆虫類
・病気を媒介する昆虫とその媒介する病気
ノミ ペスト
シラミ 発疹チフス、発疹熱
蚊 日本脳炎、マラリア
②蜘蛛類
・病気を媒介する蜘蛛類
恙虫(毛ダニ)
疥癬虫
家ダニ

2)大寄生体の病因作用
・大寄生体の病因作用5つ
栄養障害
催炎作用
中毒作用
機械的作用
組織の反応
・栄王障害とは
消化管や血液中から栄養を奪う
・機械的作用の例
腸管の穿孔
胆管、血管、リンパ管などの閉塞
臓器の圧迫
・組織反応とは
組織破壊に対する修復、再生
線維症、肉芽腫、、アレルギー反応など

(付録)プリオン
・プリオンの特徴
体内に存在する糖蛋白の一種
異常蛋白化することでほかのプリオンも変化させる
・プリオン病の組織学的特徴
中枢神経系に見られる
炎症反応がない
プリオン沈着
脳が高度に萎縮し海綿状になる
・人のプリオン病の種類
感染性プリオン病
散発性プリオン病
遺伝性プリオン病
・感染性プリオン病の例
クロイツフェルトヤコブ病(成長ホルモン製剤や脳硬膜移植などによる)
クールー病など
・散発性プリオン病の例
クロイツフェルトヤコブ病(原因不明)
(多くのプリオン病がこれにあたる)
・牛のプリオン病
狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)
・羊のプリオン病
スクレピー

◎ 第5節◎ 加齢と老化
■1)加齢と老化の意義
・老化とは
生まれてから成長し死にいたるまでの間に生理的機能が衰えていく過程
■2)老化の特徴
・老化の内容
組織・臓器の機能の低下
予備力の低下
代謝機能の低下
免疫機能の低下
・老化によって臓器に沈着がみられる色素
リポフスチン
・老化による臓器の変化
重量の減少
機能低下
・脳の萎縮
・動脈硬化
・Na+、K+は老化の影響を受けにくい

■3)老化と疾病
・老化にかかわりの深い疾患
脳血管障害(脳出血、脳梗塞)
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
高血圧症
・老化にかかわりの深い疾患で局所的なもの
腎障害
悪性腫瘍
骨や間接の疾患
前立腺肥大
白内障、難聴など

===============
第3編 病 変
===============
1.循環障害
◎第1節◎ 血液の循環障害
■1)充血とうっ血
・充血とは
局所の血管内に血液が著しく増量している状態
・狭義の充血とは
動脈管の拡張により動脈血の供給が過剰になった充血状態
・狭義の充血の別名
動脈性充血
・うっ血とは
静脈側の灌流障害のために静脈血が貯溜している状態
・うっ血の別名
静脈性充血

1)充血
(1)充血の分類
・充血の原因による分類
機能性充血
筋麻痺性充血
神経性充血
代償清充血
側副性充血
反射性充血
①機能性充血(生理的充血)
・機能性充血とは
生理的機能の亢進によって起こる充血
・機能性充血の例
食事直後の胃腸
運動時の骨格筋
②筋麻痺性充血(筋性充血)
・筋麻痺性充血とは
動脈管の平滑筋が直接刺激によって弛緩することで起こる充血
・筋性充血を引き起こす刺激の例
温熱、寒冷刺激、紫外線
エーテル、カンタリジンなどの化学的刺激
・筋性充血を起こしやすくなる疾患
皮膚描記症
③神経性充血(神経麻痺性、神経興奮性充血)
・神経性充血とは
血管収縮神経の麻痺、または血管拡張性神経の興奮によって怒る充血
・血管収縮神経の麻痺による神経性充血の例
交感神経損傷
星状神経節ブロック(SGB)
・血管拡張神経の興奮による神経性充血の例
神経痛
④代償性充血
・代償性充血とは
代償機能が起こっている臓器に見られる充血
・代償性充血の例
腎臓摘出時、残った一方の腎臓に見られる充血
⑤側副性充血
・側副性充血とは
ある局所に貧血が起こっているときにその周囲に起きる充血
貧血性梗塞部の周囲に起こる充血
⑥反射性充血
・反射性充血とは
強い精神的刺激のため、反射的に血管拡張神経が興奮して起こる充血
・反射性充血の例
赤面など

⑦炎症性充血
・炎症性充血とは
炎症にともなって起こる充血
・炎症性充血の特徴
炎症が収まるまで長時間持続すること

(2)充血の徴候と結果
・充血箇所の温度と色の特徴
温度:上昇
色:鮮紅色
・充血箇所を圧迫すると皮膚色はどうなるか
鮮紅色が消える
(消えなければ内出血)
・充血組織の容積、硬度、機能
容積と硬度:増加
機能:高まる
・充血が持続した結果起こること
水腫(血液の液体部分が濾出)

2)うっ血(静脈性充血)
(1)うっ血の分類
・うっ血の種類
圧迫性うっ血
閉塞性うっ血
心機能不全によるうっ血
血流補助機関の障害によるうっ血
・圧迫背ウうっ血の原因
妊娠子宮、腫瘍、腹水などによる静脈管圧迫
・閉塞性うっ血の原因
血栓、塞栓、静脈炎などによる管壁の肥厚による静脈管腔の狭窄、閉塞
・心機能不全によるうっ血の原因
心機能の低下で静脈血の心房への引き戻しが不完全となることによる
全身性のうっ血を引き起こす
・右心の障害が引き起こすうっ血
体循環のうっ血
・左心の障害が引き起こすうっ血
肺循環のうっ血
・心機能が低下した寝たきり老人の背部や腰部に見られるうっ血
沈降性うっ血
・血流補助機関の障害によるうっ血の原因
静脈壁の弾力性の低下、静脈弁の機能不全、四肢の骨格筋麻痺、呼吸運動の不全など

(2)うっ血の徴候と結果
・うっ血では温度は低下するか上昇するか
低下する(血液の長時間対流によって熱放散が進む)
・うっ血部位の色
紫藍色、暗青色(チアノーゼ)
・うっ血部位の容積、硬さ
容積は増加
硬くなる
・うっ血部位の機能
減退する
・うっ血によって引き起こされる障害
うっ血性水腫
うっ血性硬結
組織の萎縮、偏性、壊死
太い静脈管の変形
・うっ血性水腫の原因
血液中の水分が組織に滲出することによる
・うっ血性水腫の例
肝硬変による腹水の貯溜(門脈のうっ血)
・うっ血性硬結の原因
毛細血管周囲に結合組織が増殖することによる
・組織の萎縮、偏性、壊死の原因
強いうっ血が持続することにより、酸素、栄養素が不足することによる
・肝臓のうっ血持続によって肝細胞が変性することで怒ること
肉ずく肝
(右心の不全によって起こる)
・太い静脈管の変形の例
静脈拡張症、静脈瘤
・太い静脈管の変形が起こりやすい静脈
痔静脈、膝窩静脈

■2)貧血
・貧血の分類
全身性貧血
局所性貧血
・全身性貧血の原因
赤血球またはヘモグロビンの減少(血液疾患)
・局所性貧血の原因
循環障害(動脈血の不足)
・局所性貧血の著しいもの
虚血(疎血、乏血)
(1)局所性貧血の分類
・局所性貧血の種類
圧迫性貧血
閉塞性貧血
神経性貧血
筋痙攣性貧血
反射性貧血
代償性貧血
・圧迫性貧血の原因
腫瘍、膿瘍、腹水などの動脈管圧迫による
・閉塞性貧血の原因
血栓、塞栓、動脈硬化症、動脈内膜炎による血管の狭窄または閉塞
・神経性貧血の原因
血管収縮神経の興奮による
・神経性貧血の例
一過性の脳虚血発作(脳血管攣縮)
レイノー病
・筋痙攣性貧血とは
動脈管の平滑筋が強い寒冷刺激やアドレナリン・バゾプレッシンなどの作用を直接受けて痙攣性に収縮したために起こる
・反射性貧血の原因
強い精神的刺激のため、反射的に血管収縮神経が興奮して起こる
・反射性貧血の例
激しい疼痛や恐怖による、顔面蒼白、脳貧血
・代償性貧血の原因
身体の一部に急激な充血が起こることで、血液の分排にアンバランスが生じ。他の部分に貧血が起こる
・代償性貧血の例
腹水搬出による腹腔内圧の低下によって、充血が起こり、脳貧血を引き起こす

(2)局所性貧血の役割と結果
・局所性貧血の影響を最も受けやすい臓器

・脳細胞が壊死する血行停止時間
5分
・対比表
充血 うっ血 局所性貧血
血液 動脈血増加 静脈血増加 動脈血 の減少
持続時間 短時間 長時間 原因によって異なる
障害 軽い 重い 部位によって異なる
色 鮮紅色 紫藍色 蒼白色
温度 上昇 低下 低下
容積 増加 増加 減少
硬度 増加 増加 減少
機能 亢進 減退 減退

■3)出血
・出血とは
血液の全成分が血管外に出ること(特に赤血球が出ているかどうかがポイント)
・出血を引き起こす二つの要因
血管壁の異常
血液の異常
1)出血の分類
(1)血管壁の破損の有無による分類
・血管壁の破損の有無による分類
破綻性出血
漏出性出血
①破綻性出血
・破綻性出血とは
血管の一部が敗れてそこから血液が出るもの
・破綻性出血の原因
外傷、血圧の上昇
血管周囲の陰圧
血管壁の病変(動静脈瘤、動静脈炎)
組織の侵食(胃腸の潰瘍、悪性腫瘍による血管壁の侵食など)
②漏出性出血
・漏出性出血とは
毛細血管壁の内皮細胞の隙間が広くなって血液成分が漏れて出るもの
(毛細血管から細静脈にかけて起こりやすい)
・破綻性出血と漏出性出血で出血量が多いのは
破綻性出血
・漏出性出血の原因
酸素欠乏、貧血
各種の栄養不良(特にビタミンC欠乏)
ペストなどの感染症
血液の異常(血小板減少症、血友病)
(2)出血部位による分類
・出血部位による分類
内出血
外出血
・内出血とは
組織内や体腔内への出血(皮下組織、関節腔)
・外出血
血液が体外に流れ出るもの
皮膚、消化管、気道、尿路など

2)出血の結果
(1)全身的影響
・大出血の経過
大出血→血液減少→
貯蔵血液や組織液の導引
血液循環の維持
・ショック状態を起こして死に至る出血量
体内の3分の1以上
・少量でも重篤な症状を引き起こす出血部位
脳幹部の出血(呼吸、循環中枢の破壊)
心嚢内の出血(心拍動の阻害)
・全身性の貧血を引き起こすたぐいの出血
胃腸の潰瘍、痔出血、子宮筋腫による月経過多などの持続
(2)局所的変化
・小さな外出血でまず傷口をふさぐもの
血餅
・内出血において血管外に出た赤血球は破壊される
・破壊された赤血球から放出されたヘモグロビンは何に分解されるか
ヘモジデリン(鉄含有)
ヘマトイジン(鉄を含まない)
・内出血においてヘモジデリンなどによって組織は何色になるか
暗赤色
・内出血部位はマクロファージの貪食やリンパの流れによってもとの上体に戻る

3)出血性素質
・出血性素質とは
わずかな衝撃で出血したり、容易に止血できなかったりする素質
・止血に必要な3要素
血小板、血管壁、血液凝固因子
①血小板の異常
・血小板の破壊の促進または、生産能の障害
・血小板異常による疾病
血小板減少症(ウェルホーフ紫斑病)
・止血が遅延するようになる血小板の数
10万個/ミリリットル以下
②血管壁の異常
・血管壁の透過性の亢進、血管壁の障害
・血管壁の異常によって怒る疾病
アレルギー性紫斑病
老人性紫斑病
壊血病
③凝固因子の異常
・先天性の凝固因子異常の例
血友病
・血友病患者に欠落している凝固因子
第Ⅷ、Ⅸ因子
(プロトロンビンがトロンビンに活性化できない)
・後天性の凝固因子異常
肝疾患、ビタミンK欠乏症
抗凝固剤の乱用

(付録)ショック
・ショックとは
全身の血液循環が急激に不調となり、組織臓器の機能に障害をきたした状態
・ショックの原因
血管運動神経の不調や大出血など
・ショックの分類
一次性ショック、二次性ショック
・一次性ショックの別名
神経型ショック
・二次性ショックの別名
血液喪失性ショック
・その他、ショックを引き起こすこと
心機能不全
敗血症
中枢神経の破壊
アナフィラキシー
☆アナフィラキシー
一度ある抗原にさらされたあと、再び同じ抗原にさらされたときに起こる急激な反応

■4)血栓症、塞栓症および後側
1)血栓症
・血栓とは
心臓や血管内で血液が凝固したもの
・血栓によって血流が妨げられた上体
血栓症
(1)血栓の種類
・動脈硬化や動静脈炎で起こること
血管内面の滑らかさが失われそこに血小板が凝着する
血液凝固因子を放出して線維素の析出をみる
・上記のような段階の血栓を
析出血栓(白色血栓)
・析出血栓がより成長し、その線維素の網に赤血球が捕らえられた状態
凝固血栓(赤色血栓)
・析出血栓から凝固血栓へ行こうする間にみられる血栓
混合血栓(赤と白が交互に層になる)
・大きな血栓は上流から下流の純で
頭部:白色
中間部:混合
尾部:赤色

(2)血栓形成の条件
・通常、血管内では凝集を起こさない血液が、血栓が形成されるようになる条件を
ウィルヒョウの3条件
・ウィルヒョウの3条件とは
血流の変化
血管壁の変化
血液性状の変化
・血流の変化
・血栓ができやすい血流の状態
血流の停止や緩やかになること
動静脈瘤の部位でのうず巻き
・血流の緩やかな静脈は動脈の何倍血栓ができやすいか
3~4倍
②血管壁の変化
・血管壁にある血液凝固抑制物質の冷
ヘパリン
・血液凝固抑制を阻害し、血栓をできやすくする血管壁の状態
血管内皮の障害(血管炎、動脈硬化)
血管壁が脂肪で覆われる
③血液性状の変化
・血中にトロンボプラスチンやトロンビンが増加し、血栓をできやすくする疾病
胎盤早期剥離、流産
悪性腫瘍、外傷
血管内溶血、羊水エンボリ
・血液凝固活性物質の増加により、全身の細血管に多数の血栓が形成された状態
汎発性(播種性)血管内凝固(DIC)
・血液凝固因子を活性化し、血栓が形成されやすくなる感染症の原因
エンドトキシン
(3)血栓の運命(転帰)
・血栓の経時的変化
器質化
再疎通
軟化
化膿
石灰化
・器質化とは
血栓全体が肉芽組織に置き換えられた状態
(血管狭窄、血管そのものの索状物化などが起こる)
・再疎通とは
肉芽組織の中の新生毛細血管が、不完全ながら肉が組織を貫いて血流が回復した状態
(器質化の過程で起こることがある)
・軟化とは
血栓が蛋白融解酵素の作用で軟化、融解すること
・軟化によって引き起こされる危険
血栓の破片が下流の細い血管で閉塞を引き起こす
・化膿とは
血栓に化膿菌が感染して軟化すること
・石灰化
器質化下血栓に石灰分が付着したもの
・石灰化は動脈、静脈いずれに多くみられるか
静脈(静脈石という)

2)塞栓症
・血液に溶解しない異常物質
塞栓(栓子)
・塞栓によって血管が閉塞され血流を妨げている状態
塞栓症
(1)塞栓(栓子)の種類
・塞栓(栓子)の種類
血栓、、脂肪
空気、窒素ガス
細胞
細菌、寄生虫
腫瘍
・閉塞の原因で最も多いのは
血栓
・閉塞を引き起こす血栓
剥離した血栓
軟化崩壊した破片
・脂肪塞栓の原因
外傷、外科手術
(脂肪組織が遊離して静脈に入る)
・空気塞栓の原因
外傷、外科手術
(陰圧になっている太い静脈に起こる)
・窒素ガス塞栓による疾病
潜函病
・細胞、組織塞栓の原因
心内膜炎(弁の一部がちぎれる)
流産、早産(胎盤組織が母体の血管に入る)
骨折(骨髄組織が血管に入る)
・細菌の塊が塞栓になる場合もある
・塞栓の原因となる寄生虫
日本住血吸虫(門脈系に入って肝循環を妨げる)
(5)塞栓症の種類
・塞栓症の分類
静脈性塞栓症
動脈系塞栓症
逆向性塞栓症
交差性塞栓症(奇異な塞栓症、逆説性塞栓症)
・静脈性塞栓症ではどこで塞栓がつまるか
肺動脈の末梢
(静脈で生じた塞栓)
・動脈性塞栓症ではどこで塞栓がつまるか
動脈の末梢部
(大動脈や左心室から生じた塞栓)
・逆流性塞栓症の機序
静脈内の塞栓が逆流時に上流の狭い部でつまる
・静脈の逆流が起こる原因
激しい咳、深呼吸
(胸腔内静脈で起こる)
・交差性塞栓症が起こる状態
心臓中隔欠損
(静脈でできた塞栓が動脈に入って動脈性塞栓症を起こす)

(3)塞栓症の結果(転帰)
・塞栓症によって血管の末梢域に起こること
貧血
・特に、塞栓症が起こることでその支配領域が壊死に陥る血管
終動脈
・終動脈で起こった塞栓症を
梗塞
・普通の塞栓は、やがて血管壁からの肉が組織の増殖によって器質化する
・微生物や腫瘍からなる塞栓は、つまった部位で何を引き起こすか
新たな転移巣を作る
・死に至る空気塞栓の量
100ミリリットル
(少量なら血管壁に吸収される)

3)梗塞
・梗塞とは
終動脈に閉塞が起こり、その支配領域に限局性の壊死を起こすこと
・梗塞の原因の主なもの
血栓、塞栓がほとんど
(1)梗塞の分類
・梗塞の分類
貧血性梗塞
出血性梗塞
①貧血性梗塞
・貧血性梗塞の別名
白色梗塞
・貧血性梗塞とは
動脈の閉塞によって限局性の貧血が起こり、局所組織が壊死するもの
・貧血性梗塞の患部の色
灰白色
・貧血性梗塞の例
心筋梗塞
脳梗塞
腎梗塞
②出血性梗塞
・出血性梗塞の別名
赤色梗塞
・出血性梗塞とは
梗塞によって壊死した組織に周囲から血液が流れ込み、患部を亜核染めるもの
・出血性梗塞が起こりやすい臓器
肺、肝臓
・なぜ肺や肝臓に出血性梗塞が起こりやすいか
栄養血管の閉塞による梗塞部に、機能血管からの血液が流入するため
・その他出血性梗塞を起こしやすい臓器
うっ血をおこしている臓器の梗塞
・うっ血を起こしている臓器の梗塞の例
絞扼性腸閉塞
卵巣嚢胞捻転部の梗塞
(2)梗塞の転帰
・小さい梗塞の転帰
壊死組織が融解吸収される
マクロファージによって貪食される
(ほとんど痕を残さずに治癒)
・大きい梗塞の転帰
壊死組織が肉芽組織によって吸収、被包、線維化される
・出血性梗塞の転帰の特徴
患部に血鉄素の沈着が顕著

■5)側副循環(傍側循環)
・側副循環とは
ある場所に閉塞や狭窄が起こった場合、血液はその部の前後を連絡する吻合枝を流れるようになり、循環の回復がみられること(吻合枝はしだいに拡張、血流増加)
(吻合枝がある場合にのみ起こる)
・側副循環で血流回復に関係した吻合枝
側副路(傍側路)
・動脈では側副循環の形成は普通見られない
・最初から多くの吻合枝を有する稀有な動脈
腸間膜動脈
・動脈に比べ、静脈波一般に多数の吻合枝を有する
・小静脈の閉塞の結果
循環にほとんど支障をきたさない
・大静脈の閉塞の結果
著名な側副循環がみられる
(1)下大静脈の通過障害
・下大静脈圧迫の原因
腹水、腫瘍、妊娠子宮など
・下大静脈通過障害で形成される側副路の経過
下肢の静脈→
外腸骨静脈→
鼡径部付近の皮下静脈→
側腹部、側胸部の皮下静脈→
腋窩静脈から上大静脈にそそぐ
(2)門脈の通過障害
・門脈の通過障害で形成される側副路3種
食道下部に向かう側副路
臍周囲に向かう側副路
肛門周囲に向かう側副路
①食道下部に向かう側副路
・食道下部に向かう側副路の経過
胃周囲の静脈→
食道静脈→
上大静脈
・この側副路によって静脈瘤が起こる部位
食道の粘膜下層にある静脈
(破裂すると大量出血、死に至ることも)
②臍周囲に向かう側副路
・臍周囲に向かう側副路の経過
臍静脈(胎児の時に機能していた)→
臍周辺の皮静脈→
上大静脈または下大静脈
・この側副路形成によってみられる、臍を中心に放射状に怒張し、蛇行した皮静脈
メズーサの頭
③肛門周囲に向かう側副路
・肛門周囲に向かう側副路の経過
下腸間膜静脈、上直腸静脈→
痔静脈、内陰部静脈→
下大静脈
・肛門周囲に向かう側副路の形成によって起こること
痔静脈の怒張(疼痛、出血)

◎第2節 リンパの循環障害
■1)水腫(広義の)
・水腫とは
組織間隙や体腔内に異常に多くの組織液が貯溜した状態
・体重に占める水分の割合
60%(細胞内液40%、細胞外液:20%)
・組織内に起こる水腫
狭義の水腫
・体腔内に起こる水腫
腔水腫
・皮下に起こる水腫
浮腫
1)組織液の生成機序
・組織液とは
毛細血管の動脈側から血液の水分、塩類、膠質の一部が漏出したもの
・組織液はどこで再吸収されるか
大半は毛細血管の静脈側
一部は毛細リンパ管
・リンパ管はしだいに集まり局所リンパ節に流入
・局所リンパ節で行われること
大食細胞や細網組織などによる濾過
免疫グロブリンやリンパ球が加わる
・最終的なリンパの経過
胸管、右リンパ本幹←左右の静脈角で静脈と合流
・水腫の起こる原因
血液成分の漏出過剰
組織液の血管やリンパ管への吸収障害
・水腫の原因6種
毛細血管内圧の上昇
組織圧の低下
血液膠質浸透圧の低下
組織液膠質滲透圧の上昇
毛細血管壁の透過性亢進
リンパの環流障害
・水腫の分類
うっ血性水腫
腎臓性水腫
消耗性水腫
血管神経性水腫
補腔性水腫
リンパ灌流障害性水腫
内分泌性水腫
化学性水腫
炎症性水腫
①うっ血性水腫
・うっ血性水腫の原因
うっ血が持続することによって毛細血管内圧が高まることによる
・うっ血性水腫を引き起こす疾患
心臓の機能障害
肝硬変などによる門脈圧の亢進(腹水)
・心臓の機能傷害では一般にどこから水腫が始まるか
下肢
・うっ血性水腫が高度になるとどこに水腫が起こるか

・肺に水腫が起こるとどうなるか
呼吸困難
②腎臓性水腫
・腎臓性水腫の機序
尿中に蛋白が排泄されるような疾患で
血漿蛋白(主にアルブミン)が著しく減少する
血液の膠質滲透圧が低下する
・腎臓性水腫の原因疾患
急性腎炎、ネフローゼ症候群など
・腎臓性水腫が初めに現れる部位
眼瞼(阻止気圧が低いので)
③消耗性水腫
・消耗性水腫の別名
飢餓浮腫
悪液性水腫
・消耗性水腫の機序
血中アルブミンが減少して膠質滲透圧が低下
血管壁の透過性亢進
血液循環障害
・消耗性水腫の原因
慢性の消耗性疾患
悪液質
老衰
栄養不良
・全身性の水腫を起こす
④血管神経性水腫
・血管神経性水腫の別名
充血性水腫
・血管神経性水腫の機序
血管運動神経の機能異常により
局所的充血が起こり
血管内圧が上昇
・血管神経性水腫の例
クインケの浮腫
帯状疱疹
⑤補腔性水腫
組織臓器の萎縮によって腔所ができ、組織内圧が低下することによる
・補腔性水腫の例
脳萎縮に伴う能水腫
⑥リンパ灌流障害性水腫
・リンパの流れが妨げられることによる水腫
・リンパ灌流障害性水腫の原因
リンパ管の圧迫
フィラリア虫などによる閉塞
外科手術に伴うリンパ管の結紮
・リンパ灌流障害性水腫の例
鼠径リンパ節の通過障害による下肢の象皮病
⑦化学性水腫
・化学性水腫の原因
細菌毒素、昆虫毒、アルカロイドなど
・上記の原因物質によって血管透過性が亢進する
・化学性水腫の例
虫笹レの時の水泡
⑧内分泌性水腫
・内分泌性水腫に関わるホルモン
副腎皮質ホルモン
・副腎皮質ホルモンの働き
Naの蓄積促進
(ナトリウムとともに水が身体にたまる)
・内分泌性水腫の例
満月様顔貌(クッシング病、症候群)
⑨炎症性水腫
・炎症性水腫の原因
炎症による充血、血管壁の透過性亢進
・炎症性水腫の例
胸膜炎、腹膜炎の際の胸水、副膵
関節縁の際の関節腔内水腫
・炎症の際組織間隙に貯留する液
浸出液
(水腫の漏出液とは異なる)
・滲出液の比重と蛋白量
1.015以上でたんぱく質4%以上
漏出液はそれ以下のものをいう

3)水腫の徴候と転帰
・水腫部位の色、温度
色:蒼白
温度:低下
・組織容積と硬度
容積:増加
硬度:低下(弾力性を失う)
・組織臓器の機能
機能は低下
(圧迫されて貧血状態となる、持続すると萎縮)
・浮腫の特徴
指圧による圧痕を残す

■2)脱水症
(1)脱水症の意義
・脱水症とは
体内から水分またはナトリウムが減少した結果、体内の水分平衡に失調をきたすこと
・脱水症が高度になると起こること
循環障害、血圧低下、ショック状態
・一般に体重の何割の水分を失うと死亡するとされるか
15%
(2)脱水症の分類
・脱水症の分類
高張性脱水症
低張性脱水症
・高、低張性脱水症の別名
高張性脱水症:一次的脱水症
低張性脱水症:二次的脱水症
・高張性脱水症の原因
高度な発汗、多尿
・高張性脱水症のみられる疾患、状態
尿崩症
糖尿病
・高張性脱水症の機序
水分補給の不足
→組織外液の塩分濃度上昇
→細胞内の水分が細胞外へ移動
→細胞内脱水症
・高張性脱水症の症状
強い口渇感
皮膚感想(ゴムのような感触)
発熱
②低張性脱水症
・低張性脱水症の原因
高張性脱水症の際水分のみを補給
利尿剤の過剰投与
→細胞外液塩分(Na)濃度の低下
・低張性脱水症の機序
細胞外液塩分(Na)濃度の低下
→水分が細胞内へ移動
・細胞内へ水分が移動した状態を
細胞浮腫
・低張性脱水症の際の排尿
抗利尿ホルモンの分泌抑制により尿量増加
細胞外液がさらに減少
・低張性脱水症の臨床症状
口渇は強くない
発熱は起こらない
皮膚緊張の低下
・皮膚緊張の低下を示す症状
前腕、大腿伸側部を大きくつまみあげると山のようにひだが残る

2.退行性病変
・退行性病変とは
組織細胞の代謝系に異常が起こり、機能が低下している状態
・退行性病変の分類
萎縮、変性、壊死

◎第1節 萎縮
・萎縮とは
一度完成していた組織や臓器が、何らかの原因によって小さくなること
機能低下もみられる

■1)萎縮の分類
1)萎縮の性状による分類
・性状による分類
単純萎縮と数的萎縮
真性萎縮と変性萎縮
偽性肥大
①単純萎縮と数的萎縮
・単純萎縮とは
組織を構成する細胞が小さくなったもの
・数的萎縮とは
組織を構成する細胞の数が減少したもの
・両方の萎縮が同時に起こる場合もある
②真性萎縮と変性萎縮
・真性萎縮とは
組織臓器の性状には変化がなく、容積のみが減少しているもの
・変性萎縮とは
性状に変化があり、容積も減少しているもの
③偽性肥大
・偽性肥大とは
臓器の実質細胞は萎縮し、機能も低下しているが
間質細胞の増殖が著しく
臓器全体としてはかえって大きくなっているもの
*・偽性肥大の例
筋ジストロフィ(下腿三頭筋の偽性肥大)
2)萎縮の原因による分類
(1)全身性萎縮
・全身性萎縮とは
全身の広い範囲にわたって萎縮がみられるもの
・全身性萎縮の例
老人性萎縮(=生理的)
飢餓萎縮、悪液質性萎縮(=病的)
(2)局所性萎縮
・局所性萎縮とは
体の一部または一系統にのみ萎縮が現れるもの
・局所性萎縮の分類
生理的萎縮
圧迫性萎縮
不動作性萎縮
貧血性萎縮
神経性萎縮
内分泌性萎縮
中毒性萎縮
放射線性萎縮
①生理的萎縮
・生理的萎縮とは
年齢の頸窩とともに誰にでも起こる萎縮
・生理的萎縮の例
思春期以降の胸線の萎縮
更年期以後の卵巣の萎縮
②圧迫性萎縮
・圧迫性萎縮とは
持続的に圧迫されたために起こる萎縮
・圧迫性萎縮の例
動脈瘤の圧迫による脊椎骨の萎縮
水頭症による脳実質の萎縮
③不動作性萎縮
・不動作性萎縮の別名
廃用性萎縮
無為萎縮
・不動作性萎縮とは
長期間、器官や臓器が機能を停止していたために起こる萎縮
・不動作性萎縮の例
骨折の治療のためギブス固定していた部位の骨格筋の萎縮
眼球摘出後の視神経の萎縮
④貧血性萎縮
・貧血性萎縮の別名
栄養障害性萎縮
・貧血性萎縮とは
動脈硬化などによって血流が不十分なために起こる萎縮
・貧血性萎縮の例
動脈硬化にともなう萎縮腎
⑤神経性萎縮
・神経性萎縮とは
神経系疾患や神経切断により、その支配下の組織や臓器に起こる萎縮
・神経性萎縮の例
脳出血後遺症にみられる骨格筋の萎縮
橈骨神経麻痺による上肢筋の萎縮
⑥内分泌性萎縮
・内分泌性萎縮とは
内分泌腺の障害によってホルモンの分泌が少なくなったために起こる萎縮
・内分泌性萎縮の例
下垂体前葉の機能低下による甲状腺や性腺の萎縮
⑦中毒性萎縮
・中毒性萎縮とは
毒物の作用を受けて起こる萎縮
・中毒性萎縮の例
鉛中毒による上肢筋の萎縮
ヨードによる甲状腺の萎縮
⑧放射線性萎縮
・放射線性萎縮とは
放射線を浴びることによって起こる萎縮
・放射線性萎縮の例
放射線照射による精巣、卵巣、リンパ節、骨髄などの萎縮
(上記の器官は放射線の影響を受けやすい)

■2)萎縮の徴候と結果
・萎縮を起こした組織、臓器の大きさ、硬度、形状、温度、機能
大きさ:小さくなる
硬度:硬くなる
表面:シワができる
温度:低下
機能:減退
・代謝低下によって萎縮局所に沈着する色素
リポフスチン(褐色の消耗性色素)
・リポフスチン沈着のみられる萎縮を
褐色萎縮

◎第2節 変性
・変性とは
組織細胞の物質代謝が障害され、局所の正常が変化すること
・変性による組織細胞の変化
組織内に生理的には存在しない物質が現れる
生理的物質であっても、多量または異常な場所に現れる
・変性の種類
蛋白質変性
脂肪変性
糖原変性
石灰変性
色素変性

1)蛋白質変性
・蛋白質変性の種類
混濁腫脹
空胞変性
硝子滴変性
硝子変性
角質変性
類膠変性
粘液変性
アミロイド変性
フィブリノイド変性
尿酸代謝異常
①混濁腫脹
・混濁腫脹とは
組織や臓器が膨大し混濁して見える
☆肉にお湯をかけたようなにごった色
・混濁腫脹の別名
実質変性
・混濁腫脹がみられる臓器
肝臓、腎臓などの実質臓器
②空胞変性
・空胞変性の別名
水腫様変性
・空胞変性とは
細胞が腫脹しその中にたんぱく質を溶かした水が入った空胞がみられるもの
③硝子滴変性
・硝子滴変性
細胞内に大小不ぞろいの硝子様蛋白顆粒がみられるもの
④硝子変性
・硝子変性の別名
硝子化
・硝子変性とは
結合組織に無構造でガラスのようにみえる蛋白質性の硝子質が沈着するもの
・硝子変性で沈着する硝子質
ヒアリン
⑤角質変性
・角質変性とは
持続的な刺激によって角質が異常な量または異常な場所に現れるもの
・角質変性の種類
同所性角質変性
異所性角質変性
・同所性角質変性の別名
過角化症
・同所性角質変性とは
表皮の角質層が分厚くなるもの
・同所性角質変性の例
たこ、魚目、魚鱗癬
・異所性角質変性とは
生理的には角質層が存在しない
口腔、食道、腟などの重層扁平上皮の粘膜に角質層が現れるもの
*・上記のような異所性角質変性の名前
白板症
⑥類膠変性
・類膠変性の別名
コロイド変性
・類膠変性とは
組織内に粘液より濃厚で膠に似た蛋白質性の統名物質が現れるもの
*・主に甲状腺などで見られる
⑦粘液変性
・粘液変性とは
糖蛋白を主成分とする粘液上の透明物質が異常に多く現れるもの
⑧アミロイド変性
・アミロイド変性の別名
類澱粉変性
・アミロイド変性とは
生理的には存在しない半透明無構造性、かつ弾力のある物質が出現する変性
・この物質内には何が含まれるか
免疫グロブリンと関連する物質
(免疫系の異常代謝によるとみられる)
⑨フィブリノイド変性
・フィブリノイド変性の別名
類線維素変性
・フィブリノイド変性とは
フィブリン類似の物質が多量に現れるもの
・フィブリノイド変性の原因
膠原線維にアレルギー性の刺激が加えられたときに起こる
*・フィブリノイド変性の例
関節リウマチのリウマトイド結節
⑩尿酸代謝異常
・尿酸代謝異常の別名
通風
・尿酸代謝異常の誘引
肉や卵などの動物性蛋白質の多量摂取
・蛋白質の代謝過程で生じる物質
プリン体
・蛋白質の代謝過の最終分解産物
尿酸
・尿酸は通常尿中に排泄される
・通風の原因
血中尿酸値の上昇
・尿酸は何に変化するか
尿酸塩
・尿酸塩が形成する一種の異物肉芽腫
痛風結節
(通風発作の原因となる)
・痛風結節ができやすい場所
四肢の関節軟骨
・通風は肉食習慣のある男性に多い
・通風の原因は不明

2)脂肪変性
・脂肪変性とは
細胞内に支質が過剰に沈着、出現する状態
・脂肪変性の原因
脂質の過剰摂取
貧血やうっ血による組織の酸素欠乏
内分泌異常(糖尿病、クッシング症候群)
遺伝性脂肪分解酵素の欠損(ゴーシェ病、ニーマンピック病)
*・脂肪の代謝異常を引き起こす遺伝病の例
ゴーシェ病
ニーマンピック病
・血中中性脂肪、コレステロールの正常値
中性脂肪:150mg/100ml
コレステロール:220mg/100ml
・正常値を上回ると高脂血症となる
・高脂血症の結果、皮下などに脂肪が多量に蓄積されている状態
肥満
・脂肪変性を起こしやすい臓器
肝臓、心臓
腎尿細管上皮
廃用性萎縮を起こした筋
血管など
・血管内皮にコレステロールが沈着すること
アテローム化
・血管のアテローム化で血管内皮細胞に起こること
血液との摂食が遮断されて壊死する
・動脈粥状硬化症の機序
血管のアテローム化
→コレステロールと壊死細胞の混合物が粥状となって血管を分厚く覆う
→血管壁の結合組織増加
→弾性線維断絶
→血管の硬化
・動脈粥状硬化症が引き起こす疾患
心筋梗塞、高血圧症
・動脈粥状硬化の別名
アテローム硬化

3)糖原変性
・糖原とは
グリコーゲン
・糖原変性とは
糖原が細胞内に異常に多く貯溜した状態
・糖原変性を引き起こす代表的な疾患
糖尿病
・血糖値の上昇によって糖原が沈着しやすい場所
肝細胞、腎尿細管上皮
心筋、脳のグリア細胞など
・糖原の沈着によって引き起こされる疾患
糖尿病性腎障害、昏睡
・グリコーゲン分解酵素系の先天異常によりグリコーゲンが臓器に沈着する病気
糖原病
・糖原病でグリコーゲン沈着がみられる臓器
心臓、肝臓、脾臓など
・代表的な糖原病
フオンギールケ病
ポンペ病

4)石灰変性(石灰化)
・石灰変性とは
石灰塩が異常な量、あるいは異常な場所に現れる状態
・石灰塩の例
リン酸塩、炭酸塩
・石灰変性の種類
転移性石灰化
異栄養性石灰化
①転移性石灰化
・転移性石灰化の原因
ビタミンDの過剰摂取
上皮小体機能亢進
骨の腫瘍による骨破壊
・転移性石灰化とは
高カルシウム血症により、血液中から酸を放出する臓器にカルシウムが沈着すること
・血液中に酸を放出する臓器
腎臓、肺、胃
②異栄養性石灰化
・異栄養性石灰化とは
変性や壊死を起こした組織にカルシウムが沈着すること(結晶Ca値が正常であっても起こる)
・カルシウムが沈着しやすいもの
古い結核病巣
貧血性梗塞部
血栓
動脈硬化を起こした血管壁

4付録)結石
・結石とは
体内で作られた固い固形物
(変性とは異なる、無機質の沈着が「中心)
・結石の核となるもの
炎症性産物
脱落した細胞
細菌など
・核を中心に体液中の物質が沈着、大きくなる
・結石の原因
分泌液の濃度変化
溶解性の変化
分泌液のうっ帯など
・結石の種類
胆石
尿路結石
その他の結石
①胆石
・発生場所
胆嚢、胆道中
・好発年代、性別
中年の女性
・胆石の成分
ビリルビン、コレステロール
カルシウム
②尿路結石
・尿路に発生
・発生部位による分類
腎結石、尿管結石、膀胱結石
・尿路結石の成分
尿酸塩
リン酸塩
硝酸塩
③その他の結石
・その他の結石の例
唾石、膵石、肺石(気管支石)
鼻石、歯石、扁桃腺石など
・上記の結石の原因
分泌物が濃厚になり、これに石灰分が沈着する
・腸にできる結石、その別名(重要でない)
腸石(糞石)
・腸石の原因
糞塊に塩類が沈着することによる
・腸石の好発部位
虫垂部(虫垂炎の原因)

5)色素変性
・色素変性とは
さまざまな色素が異常に現れる状態(量、室、部位的な異常)
・色素を二つに分類
体内性色素
体外性色素
(1)体内性色素による変性
・体内性色素の種類
メラニン
リポフスチン
ヘモジデリン
ヘマトイジン
*・ヘモジデリンは鉄を含むがヘマトイジンは含まない
①メラニン
・メラニンが生理的に多く存在する部位
皮膚、網膜
・メラニンの色
黄褐色
黒褐色
・メラニン色素変性の例
そばかす(雀卵斑)
ほくろ(色素性母斑)
日焼け、妊娠性褐色斑
アジソン病など
②リポフスチン
・リポフスチンの別名
脂褐素、消耗性色素
・リポフスチンの色
黄褐色
・リポフスチンの成分
脂質と蛋白質の結合したもの
・リポフスチンが生理的に存在する場所
心筋、横紋筋、腎上皮、神経節など
・リポフスチン沈着の原因
加齢
退行性病変
消耗性疾患(癌など)
③ヘモジデリン
・ヘモジデリンの別名
血鉄素
・ヘモジデリンの色
黄金色、黄褐色
・ヘモジデリンは何から生じるか
ヘモグロビンの分解によって
・ヘモジデリンが、生理的に多く存在する場所
脾臓、肝臓、骨髄など
・病的ヘモジデリン沈着の原因
溶血性貧血
赤血球破壊を伴う中毒
大量の輸血時
・ヘモジデリンが病的に沈着する場所
細網内皮系細胞(肝臓、脾臓)
・ヘモジデリン沈着症を
ヘモジデローシス(血鉄症)
④ヘマトイジン
・ヘマトイジンとは
ビリルビンまたは類血素
・ヘマトイジンは何から生じるか
ヘモグロビンが分解されることによって
・ヘマトイジンの色
黄金色、黄褐色
・血液中では何と結合しているか
アルブミンと結合()(間接型ビリルビン)
・ビリルビン排泄の流れ
間接型ビリルビン
→肝臓でグルクロン酸抱合
→直接型ビリルビン(水溶性)
→胆汁中に排泄
→腸内に分泌
→腸内細菌の還元作用でウロビリノゲンとなる
→便とともに排泄
一部は再吸収されて肝臓へ
→胆汁中に排泄
一部はウロビリノゲンのまま尿中に排泄
・酸化された胆汁中のビリルビン
ビリベルジン
・腸から再吸収されて肝臓へ胃ってふたたびビリルビンになること
腸肝循環
・ビリルビン代謝過程が傷害されて全身の組織が黄色く染まること
黄疸
・黄疸の種類
溶血性黄疸
肝細胞性黄疸
閉塞性黄疸
ア.黄疸
・溶血性黄疸(肝前性黄疸)の原因
過剰な溶血のため、肝臓の処理能力を超えた量のビリルビンが形成されて起こる
・溶血性黄疸をみる疾病の例
新生児黄疸
溶血性貧血
・肝細胞性黄疸の原因
肝細胞の機能が障害されたために、ビリルビンの処理能力が低下するため
・肝細胞性黄疸をみる疾病の例
ウィルス性肝炎
リンやヒ素などの中毒
・閉塞性黄疸(肝後性黄疸)の原因
胆道が閉塞され、胆汁が血液中に逆流するため
・閉塞性黄疸をみる疾患
胆道の腫瘍、胆石

(2)体外性色素による変性
・体外性色素の分類
皮膚から侵入するもの
気道から侵入するもの
経口的に侵入するもの
・皮膚から侵入する色素による変性
入墨
・気道から侵入する色素による変性の例
炭粉の吸入によって胚胞壁や肺門リンパ節を黒く染める(喫煙者、炭鉱夫)
・経口的に侵入する色素による変性の例
柑皮症(カロチノージス)
・柑皮症の原因
カロチンの大量摂取(かぼちゃやみかんなど)

◎第3節 壊死および死
■1)壊死
・壊死とは
生体内で起こった組織の部分的な死
・壊死の原因
局所の循環障害
物理的作用(圧迫、熱など)
化学的作用(酸、アルカリなど)
生物的作用(細菌、ウィルスなど)
1)壊死の分類
・壊死の分類
凝固壊死
融解壊死
壊疽
*・蛋白質が多いときに起きるのは
凝固壊死
①凝固壊死
・凝固壊死とは
壊死した細胞の蛋白質が凝固するもの
・壊死部の色、形状
黄色不透明
やや膨隆
・凝固壊死が見られる部位
心臓、腎臓などの貧血性梗塞部
・凝固壊死の特殊例
結核結節
ゴム腫の乾酪変性
骨格筋の蝋様変性
②融解壊死
・融解壊死とは
壊死した細胞が融解していくもの
・壊死部融解の原因
周囲の水分を吸収
細菌や好中球の蛋白融解酵素の作用
・融解壊死が特徴的に見られるもの
脳の白質梗塞
③壊疽(脱疽)
・壊疽とは
壊死した組織が外界や細菌の作用を受けて
二次的に変化したもの
・壊疽の分類
乾性壊疽(ミイラ化)
湿性壊疽
ガス壊疽
・乾性壊疽とは
四肢の先端が動脈硬化のために壊死氏乾燥すること
・湿性壊疽とは
壊死組織に腐敗菌が繁殖すること
・湿性壊疽をみる疾病の例
肺壊疽
壊疽性子宮内膜炎
・ガス壊疽とは
壊死組織がガス産生細菌に感染したもの

2)壊死部の運命
・小さな壊死組織の運命
マクロファージによって貪食、吸収
・やや大きい壊死部の運命
器質化(肉芽組織に置き換えられる)
・大きい壊死部の運命
水分が吸収されて縮小、石灰沈着
・外界と連絡している壊死部の運命
脱落し潰瘍や空洞を作る(健康な部との間に境界線ができる)

(付録)アポトーシス
・アポトーシスとは
遺伝子にプログラムされた生理的死
・細胞分裂と表裏一体
・アポトーシスが順調に行われないと
ホメオスタシスがくずれる
癌や自己免疫疾患の原因となる

■2)全身死
・死とは
個体の生活現象が永久に停止すること
・法的な死の判定基準
心、肺、脳の機能が24時間以上継続して停止すること
・最近の死の基準(臓器移植との関連で)
脳波が平坦になる
脳幹を含めた脳全体の機能が不可逆的に停止した状態
・上のような状態を
脳死
・植物人間とは
大脳半球や小脳の機能が停止しても、脳幹は働いている状態
脳波は平坦にならない
・死体に見られる現象
死冷、死斑
死剛、自家融解
乾燥、腐敗
・死冷とは
体温が下がり、外気温と等しくなる
・死斑とは
血液が沈下し現れる、背部などに紫色の煩悶
・死剛の別名
死後硬直
・死剛の機序
蛋白質が変性を起こし、筋が短縮する
(やがて寛解しもとにもどる)
・自家融解とは
体内の酵素の作用により自家融解や消化が起こること
・死ぬと角膜や唇が乾燥する
・腐敗は何によって起こるか
腸内細菌の作用
・腐敗が進むことで起こる変化
腐敗ガスによって腹部が膨張する

3.進行性病変
◎第1節 肥大と増殖
・進行性病変とは
何らかの原因によって組織、臓器が傷害されたとき、関係する細胞が増大、増殖してそれに適応し、機能を回復して正常な生活を保持しようとする病変
・進行性病変の分類
肥大、増殖、再生
化生、移植、創傷の治癒
組織内異物の処理
■1)肥大
・肥大とは
組織や臓器が本来の組織的構造を維持したまま、容積が増大すること
・肥大部の機能
亢進する
(1)性状による分類
・性状による肥大の分類
単純肥大と数的肥大
真性肥大と偽性肥大
①単純肥大と数的肥大
・単純肥大とは
個々の細胞が大きくなっているもの
・数的肥大とは
細胞の数が増えることによる肥大
・数的肥大の別名
増殖、過形成
・単純肥大がみられる組織
再生力の乏しい平滑筋や心筋
・多くの場合は単純肥大と数的肥大が同時に起こる
②真性肥大と偽性肥大
・真性肥大とは
臓器の実質細胞が増大することによる肥大
・偽性肥大とは
臓器の間質細胞が増殖することによる肥大
(実質細胞は萎縮または変性)
・真性、偽性肥大それぞれの機能
真性:亢進
偽性:低下
(2)原因による分類
・肥大の原因による分類
労働性肥大
代償性肥大
刺激性肥大
内分泌性肥大
補腔性肥大
退縮不全性肥大
再生性肥大
特発性肥大
・労働性肥大の別名
作業肥大
・労働性肥大の原因
組織や臓器がより多くの機能を要求されることによる
・労働制肥大の例
スポーツマンの骨格筋、心臓
高血圧症、心弁膜症の心臓
・代償性肥大の原因
一部臓器機能の欠損を補い維持しようとするため
・代償性肥大の例
腎摘出者の残像腎臓の肥大
肝臓一部摘出者の残存肝臓の肥大
・刺激性肥大の原因
持続的な刺激を受けること
・刺激性肥大の例
ペンだこ、座りだこ
・内分泌性肥大(ホルモン性肥大)の原因
ホルモン分泌の過剰または欠損
・内分泌性肥大の例
成長ホルモン(下垂体前葉)過剰による末端肥大
男性ホルモン欠乏による前立腺肥大
・補腔性肥大の原因
組織や臓器に加えられていた周囲からの圧力が失われることによって
・補腔性肥大の例
抜歯時の対向する歯の延長
脳萎縮に伴う頭蓋骨肥大
・退縮不全性肥大とは
退縮すべき組織や臓器が、そのままの大きさを維持しているもの
・退縮不全性肥大の例
思春期以降も残存している胸腺
経産婦の子宮
・再生性肥大とは
組織の再生が適当な程度で泊まらずに、過剰な組織が生成されたもの
・再生性肥大の例
骨折治癒時の贅骨
四肢切断部に見られる断端神経腫
・特発性肥大とは
原因不明の肥大
・特発性肥大の例
魚鱗癬(全身の角質層が増殖する)
多毛症(体毛が増える)

■2)増殖
・増殖の分類
再生、化生
・再生とは
組織や臓器に欠損が生じた際
同一種類の細胞の新生によって欠損部が補充されること
・化生とは
欠損部の細胞がその形態および機能の方向を変えて再生すること

1)再生
(1)再生の分類
①生理的再生
・芽細胞の分裂増殖によって、常に新しい細胞が補充されること
生理的再生
・欠損部が元通りに修復される再生
完全再生
(例えば生理的再生)
②病的再生
・外傷や疾病が原因で起きた欠損部の再生のこと
・病的再生の特徴
完全再生は起こりにくい
最も再生力旺盛な組織が欠損部をより多く補充する
・再生力王政な組織とは
主に結合組織
(2)再生の法則
・再生能力の原則3つ(動物界全体で)
下等な動物は高等な動物より際勢力が強い
若い動物は高齢のものより再生力が高い
個体内では下等、未分化な細胞は、高等、分化したものより再生力が強い
(3)再生の機転
・再生の機転による分類
生理的に存在する芽細胞の増殖による再生
新しく現れた芽細胞の増殖による再生
芽細胞によらない再生
・生理的に存在する芽細胞の増殖による再生が行われている臓器、組織の例
表皮、粘膜上皮
骨髄、精巣など
・新しく現れた芽細胞の増殖による再生がみられる組織の例、芽細胞の名前
結合組織:線維芽細胞
軟骨組織:軟骨芽細胞
骨組織:骨芽細胞
・特有の基質を分泌しながら芽細胞が増殖し再生が完了すると、芽細胞は消失
・芽細胞によらない再生がみられる組織の例
神経組織、毛細血管
横紋筋線維
・既存の組織が延長し、後に分化して再生が完了
(4)人体組織の再生能力(重要)
・再生力の強い組織、細胞の例
表皮、粘膜上皮
腺の排泄管上皮
漿膜被覆細胞
肝細胞、結合組織
軟骨組織、骨組織
神経膠組織、神経線維
毛細血管、血液など
・再生力の弱い組織、細胞の例
横紋筋、平滑筋
一般の腺上皮細胞など
・まったく再生しない組織、細胞の例
神経細胞
心筋

2)化生
・化生とは
分化・成熟した細胞や組織が
ある一定の範囲内で構造や機能の異なった他種の細胞、組織に変化すること
・化生の原因(これに適応する)
慢性炎症
持続的な刺激(物理、化学的)
・化生で変化が起こる組織
上皮組織内での変化
間葉系組織内での変化にとどまる
(つまり外胚葉、中胚葉の組織)
①上皮組織の化生
・上皮組織の化生が起こる組織
気管支、子宮頚部、尿路など
・上皮組織の化生が起こる細胞の種類
立方上皮、円柱上皮、移行上皮
・化生の結果現れる細胞の種類
重層扁平上皮
・その他化生の例
胃粘膜上皮の腸上皮化生
②間葉系組織の化生
・間葉系組織では何組織から何組織への化生が起こるか
線維性結合組織から
軟骨組織、骨組織へ化生
・間葉系組織の化生の例
乗馬骨(大腿内側にできる)

◎第3節 移植
1)移植の意義
・移植とは
生体の一部を分離して移し植えること
(同一個体の他部位、または他個体)
・移植される組織片
移植片(グラフト)
・移植片を受け入れる生体
受容者(レシピエント)
宿主(ホスト)
2)移植の分類
(1)供給者と受容者との関係による分類
・供給者と受容者との関係による分類
自家移植
同種移植
異種移植
・成功しやすいのは
自家移植、同種移植の同系移植
①自家移植
・一つの個体内での移植のこと
・自家移植される組織の礼
皮膚、血液、血管、骨など
②同種組織
・同種移植の分類
同系移植
異系移植
・同系移植とは
遺伝子系が同じ個体間(近交系間)での移植
(一卵性双生児の間での移植)
・異系移植とは
同一種族の個体間で行われる移植
・拒絶反応を起こす原因
組織適合抗原(HLA)の不適合
・拒絶反応が出ると成功率は低い
・異系移植が行われる臓器の例
血液、角膜、腎臓、
肝臓、心臓、骨髄など
③異種移植
・異種族間での移植のこと
・拒絶反応が起こり、成功する確率が低い
(2)移植の方法による分類
・移植の方法による分類
遊離移植
有柄移植
・遊離移植とは
供給者から移植片を完全に切り離してから
他の場所へ移植する方法
・有柄移植とは
供給者から組織片を完全に切り離さず
その一部に組織的連絡を保ちながら他へ移していくこと
(遊離移植の困難な皮膚移植などで行われる)

3)拒絶反応
・遺伝因子の免疫学的不適合による抗原抗体反応のこと
=HVG(宿主対移植片反応)
・個体の免疫系により認識される、移植片の拒絶を起こす抗原
組織適合性抗原(HLA)
・HLAの中でも強い反応を引き起こすもの
主要組織適合性抗原(MHA)
・拒絶反応が起こると移植片はどうなるか
壊死し排除される
器質化される
(主に細胞性免疫の作用を受けて)
・骨髄移植や大量の輸血の際、移植片の免疫担当細胞が宿主の物質を抗原として攻撃すること
GVH(移植片対宿主反応)
・GVHで障害を受けることのある臓器
皮膚、腸管、肺
肝臓、唾液腺
・同種移植では拒絶反応を抑えるために薬品で受容者の免疫力を低下させる。一方で感染症や悪性腫瘍を抑えるために、移植後は受容者の継続的、漸進的監視が必要

◎第4節 創傷の治療
■1)肉芽組織
・肉芽組織とは
例えば傷口から盛り上がってくる赤く軟らかい新生組織
・肉芽組織を構成するもの
毛細血管、線維芽細胞が中心
白血球、リンパ球などの遊走細胞なども
・肉芽組織の働き
結合組織の欠損
創傷の治癒
再生力の弱い組織の修復
炎症や異物の処理
変性、壊死組織のあとしまつ
・良い肉芽、悪い肉芽の特徴
良い肉芽:鮮紅色で、毛細血管や線維芽細胞に富む
悪い肉芽:遊走細胞や浸出液が多い(線維芽細胞の代わりに)
・肉芽組織の経時的変化
毛細血管、線維芽細胞の減少
→膠原線維形成(線維化)
→結合組織化
→瘢痕組織となる(組織全体が硬く収縮)
・瘢痕化の結果みられるもの
臓器、皮膚表面の陥凹
気道、消化管の狭窄

■2)創傷の治癒
・治癒の分類
完全治癒(跡形もなく回復)
不完全治癒(多少とも瘢痕を残す)
・治癒の二つの種類(重要)
外科的治癒(第一次治癒)
肉芽形成治癒(第二次治癒)
・第一次治癒とは
肉芽組織の増殖がわずかで、その上を表皮が覆い、跡形の小さな治癒
・第一次治癒がみられる創傷の例
傷口が密着している(メスによる傷など)
細菌感染がないもの
・第二次治癒とは
欠損部を補うために大量の肉芽組織が増殖し、その上を表皮が覆うもの
肉芽組織が瘢痕化し、跡形を残す
・第二次治癒がみられる創傷の例
傷口が開いている
細菌感染がある

■3)細胞や分子レベルでの修復
・細胞には事故修復機能がある
・DNAの変異の修復に働くもの
修復基点
・細胞の修復機能の障害によって起こること
突然変異
細胞の腫瘍化
・細胞の変異や腫瘍化を抑制するもの
癌抑制遺伝子

◎第5節 異物の処理
・体外、体内からの異物の例
体外:金属片、寄生虫の卵
体内:血栓、壊死組織、炎症性滲出物
*・異物処理の種類
排除
器質化
被包
(1)排除
・排除の分類
吸収
貪食
融解
・最も簡単な異物処理の方法は
吸収
①吸収
・吸収されやすい異物
水溶性の異物
・どこに吸収されるか
血管やリンパ管
②貪食
・貪食細胞の例
好中球、マクロファージ
・貪食されやすい異物
小さな異物(炭粉や細菌など)
・大型異物の処理に活躍するもの
多核性で大型の異物型巨細胞(マクロファージが変化したもの)
(外科組織の縫合糸なども貪食)
・異物処理のための巨細胞の例(重要)
類上皮細胞(結核症やサルコイドーシスの病変部に見られる)
ラングハンス巨細胞(同上)
アショッフ細胞(リウマチ性心筋炎)
…リウマチ熱で作られるアショッフ結節も同様
破骨細胞(骨折治癒過程で見られる)
トートン型巨細胞(高脂血症)=黄色腫
③融解
・融解の対象となるもの
線維素塊(炎症などで滲出)
壊死組織(貪食されなかったもの)
・融解を引き起こす物質(重要)
白血球から放出される蛋白融解酵素
(融解跡は吸収される)

2)器質化
・器質化とは
異物の周囲に肉芽組織が形成され、線維芽細胞によって結合組織に置き換えられること
・器質化によって処理される異物
大きな血栓
線維素性肺炎の線維素塊

3)被包
・被包によって処理される異物の例
鍼のような金属(簡単には排除できない)
大きな壊死巣
・被包とは
異物の周囲に肉芽組織が増殖し、やがて結合組織の袋で包み込むこと

4.炎症
◎第1節 炎症の概念
・炎症とは
有害刺激に対する局所組織の防衛反応であって、さまざまな病的変化を伴う複雑な病変
・炎症で見られる病変
組織の変質(退行性病変)
循環障害と滲出(血管反応)
組織の増殖(進行性病変)
・炎症における生体の防衛反応
有害刺激の破壊、排除
勝賀胃組織の修復
・炎症における生体の防衛反応の経過
有害刺激による障害(変性や壊死が起こる)
→破壊組織から化学物質放出
→化学物質によって循環障害が起こる(充血、うっ血)
→血管の透過性亢進
→滲出(血液成分の血管外滲出)
→ 血管外に出た白血球やリンパ球や抗体が炎症の原因を処理
→周辺組織増殖による修復
・破壊された組織から放出される化学物質を何と呼ぶか
ケミカルメディエーター
・炎症性反応が激しすぎて、それ自体が生体を傷害することもある
*・炎症の特徴による分類
変質性炎
滲出性炎
肉芽腫性炎(特異性炎)
増殖性炎

◎第2節 炎症の原因
・炎症の原因となるもの
催炎体、起炎体
・催炎体の量、濃度が生理的限界を超えると炎症が起こる
(1)外因
・外因の催炎体の分類
物理的刺激
化学的刺激
生物学的刺激
・物理的刺激の例
機械的外力、温熱、寒冷
電気、紫外線、放射線
・化学的刺激の例
酸、塩基、オキシダント
薬物、毒物など
・生物学的刺激の例
細菌、ウィルス、リケッチア
真菌、原虫、寄生虫など
(2)内因
・内因の例
体内で作られた
壊死組織、結石
異常代謝産物、毒性物質など
(3)アレルギー
・アレルギーとは
激しすぎる抗原抗体反応
免疫複合物の沈着など

◎第3節 炎症の経過と転帰
・催炎体の種類によって炎症の経過が異なる
・物理、化学的または毒性の強いものによる炎症の経過
短時間に経過
滲出性の変化が中心
・生物による炎症の経過
比較的経過時間が長い(生体内で病原体が増殖するため)
・特に経過時間が長く、増殖性変性が見られる感染症
結核、ハンセン病

◎第4節 炎症の病変
■1)組織の変質
・炎症の初期に起こること
局所の組織破壊(催炎体の作用によって)
・組織破壊の程度は催炎体の種類などによって様々
・障害を受けやすい組織
分化の進んだ高等な機能を営む臓器の実質細胞
・組織破壊の顕著な炎症のことを
変質性炎、実質性炎
・変質性炎の例
劇症肝炎
クロイツフェルトヤコブ病
ジフテリア毒素による心筋炎
・炎症組織が破壊されることによって放出されるもの
ケミカルメディエーター(化学伝達物質)
・ケミカルメディエーターの作用
血管の透過性亢進
これによる循環障害、滲出
・ケミカルメディエーターの種類
ヒスタミン
セロトニン
ブラジキニン
ヴァゾエキシン
プロスタグランジン
・ヒスタミンはどこから放出されるか
組織内の肥満細胞(マスト細胞)
・セロトニンはどこから放出されるか
肥満細胞や血小板
・ブラジキニンは何によって生じるか
血漿中のキニン酸素系の活性化によって
・ヴァゾエキシン、プロスタグランジンは何によって生じるか
組織中の酸素の作用によって作られる

■2)循環障害と滲出
・循環障害や滲出は何として観察されるか
発赤、腫脹
1)炎症性充血
・炎症性充血の第1相
ケミカルメディエーターの刺激
→一過性の細動脈収縮
・炎症性充血の第2相
細動脈収縮による虚血状態
→数分で細動脈拡張
→細静脈収縮
→強い充血
2)滲出
・炎症時に毛細血管の透過性が更新する原因
血管内皮細胞が傷害され、細胞間隙が開くため
・血管内皮を傷害するもの
ヒスタミンやブラジキニンなど
・滲出とは
炎症によって血液成分が血管外に異常に多く流出すること
(アルブミン、グロブリンやフィブリノゲン、赤血球と、炎症が強くなるほどサイズの大きいものが流出する)
・滲出によって血管外に流出したもの
滲出物、滲出液
・炎症局所に滲出物が貯溜したもの
炎症性水腫

3)白血球の遊走
・炎症局所での白血球の動き
血液の滞留によって血管壁近くを流れるようになり、血管内壁に付着
・血管内壁に付着した白血球はどうなるか
アメーバ様運動により血管外に出る
・白血球遊走因子の例
ロイコエグレシン
ロイコカイン
リンフォカイン
細菌毒素
補体の分解産物など
・白血球が白血球遊走因子に向かって郵送する性質
走化性
・炎症巣に向かって郵送する細胞を
炎症細胞
・炎症細胞の主なもの
好中球
(好酸球、好塩基球、単球、リンパ球、肥満細胞なども含む)

4)各滲出物の役割
・滲出物の種類
水、白血球
単球、免疫グロブリン、補体
フィブリノゲン
・水の役割
催炎体濃度を薄め、処理をしやすくする
・白血球の役割
炎症巣に集まり病原体を貪食、破壊する
・炎症初期、慢性期それぞれに主に働く白血球
初期:好中球
慢性期:リンパ球
・単球の役割
組織の破壊産物や異物を貪食し、患部を清掃する
・免疫グロブリンと補体の働き
病原体およびその毒素を破壊、中和する
・フィブリノゲンの働き
線維素の網を作り、病原体を閉じ込めてその拡散を防ぐ
白血球の攻撃を容易にする

5)滲出液と漏出液との比較
・滲出液とは
炎症の際に組織間隙に貯留する液
・漏出液とは
水腫の際に組織間隙にしみだすもの
★滲出液と漏出液の比較
・原因
滲出液:炎症による血管壁の障害
漏出液:水症(水腫)を起こす疾患
・蛋白質含有量
滲出液:多い
漏出液:少ない
・線維素
滲出液:多い
漏出液:少ない
・凝固性
滲出液:強い
漏出液:弱い
・比重
滲出液:重い
漏出液:軽い
・リベルタ反応
滲出液:陽性
漏出液:陰性
・リベルタ反応とは
蛋白質の含有量を検査するもの(多いほど陽性)

6)滲出物の相違による炎症の分類
・循環障害と滲出が著名な炎症のこと
滲出炎
・滲出物の相違による炎症の分類
漿液性炎
線維素性炎
化膿性炎
出血性炎
カタル性炎
腐敗性炎
(1)漿液性炎
・漿液性炎とは
漿液が滲出する炎症
(漿液は血清と組成がほぼ同じ)
・漿液性炎の例
胸膜炎、腹膜炎、心外膜炎
(漿液性の)
・皮膚に漿液が溜まる炎症の例(水疱ができる)
虫刺され
第2度の火傷(水疱性火傷)
(2)線維素性炎
・線維素性炎で滲出する液の特徴
血漿に類似する(フィブリノゲンも含まれている)
・線維素性炎が後発する部位
漿膜、粘膜、肺
①漿膜の線維素性炎
・漿膜の線維素性炎では線維素がどこに現れるか
胸膜、心外膜、腹膜といった漿膜
・線維素性炎を起こした漿膜はどうなるか
滑らかさを失って粗造となる
・漿膜の線維素性炎の理学的検査所見
膜の摩擦音を聴取
・線維素が肉芽組織に置き換えられて器質化氏、漿膜同士の癒着が起こることもある
・心外膜に無数の線維素が付着したもの
絨毛心

②粘膜の線維素性炎
・粘膜の線維素性炎の原因
ジフテリアなど
・炎症が起こる場所
喉頭や気管の粘膜
・粘膜の線維素性炎で起こること
線維素と壊死した粘膜上皮が混じって偽膜を作る
③肺の線維素性炎
・肺の線維素性炎の例
大葉性肺炎
・大葉性肺炎の原因
肺炎双球菌
・大葉性肺炎の正常な経過
肺胞内に線維素が充満
→蛋白融解酵素によって融解(白血球から放出される)
→痰として排出
・線維素が器質化され肺胞としての機能を失うこともある

(3)化膿性炎
・化膿性炎とは
滲出物中に多量の好中球が含まれており、
これが膿となる炎症のこと
・膿の特徴
淡黄白色
濃厚不透明
アルカリ性
・膿の構成物
脂肪変性を起こした白血球、
組織細胞の破片、細菌など
・膿の周囲への影響
周囲の組織を融解して広がる
(白血球が放出した蛋白融解酵素による)
・化膿性炎を起こす菌の例
ブドウ球菌、淋菌
緑膿菌
・上記のような菌を
化膿菌
・無菌性の化膿性炎を引き起こす物質
テレピン油、クロトン油
硝酸銀
・化膿性炎の種類(重要)
膿瘍、蓄膿
蜂巣織炎(蜂窩織炎)
膿性カタル(膿漏)
①膿瘍
・膿瘍とは
膿によって組織内に空洞が作られ、これに膿が貯留したもの
・膿瘍の特徴
膿の持つ蛋白融解作用によって他へ流れ新たな膿瘍を作ることがある
・上記のようにして生まれた膿瘍を(重要)
流注膿瘍
・膿が流れた管を
瘻孔、瘻管
(皮膚に開口することもある)
・膿瘍は何を中心に形成されることが多いか
毛根
・毛根を中心に形成された膿瘍を(重要)
、疔
・や丁が集まったもの(重要)
癰(よう)
②蓄膿
・蓄膿とは
副鼻腔、胸腔、心嚢などの空所に膿が貯溜するもの
③蜂巣織炎
・蜂巣織炎とは
膿が組織間隙に広くびまん性に広がるもの
・蜂巣織炎がみられる疾患
急性虫垂炎
指先に起こる疽
顔面に見られる面疔
④膿性カタル
・膿性カタルとは
粘液に膿が混じるもの
・膿性カタルの例
膿性鼻カタル
淋菌による尿道の膿性カタル
歯槽膿漏

(4)出血性炎
・出血性炎とは
滲出液中に赤血球が含まれるもの
・出血性炎がみられる疾患
インフルエンザによる肺炎
出血性大腸炎
発疹チフスなど
(5)カタル性炎
・カタル性炎とは
粘膜から多量の粘液が滲出するもの
・カタル性炎がみられる疾患
アレルギー性の鼻炎
胃腸の炎症
(6)腐敗性炎
・腐敗性炎の別名
壊疽性炎
・腐敗性炎とは
炎症によって壊死した組織に腐敗筋が感染し、滲出液や壊死組織が腐敗するもの
・腐敗性炎の例
肺壊疽、壊疽性気管支炎
壊疽性子宮内膜炎など

■3)組織の増殖
・炎症局所に見られる組織増殖は、能動的な防衛修復反応の現れ
・組織の増殖が顕著となる場合
催炎体からの刺激が慢性化したとき
・慢性的炎症によって組織増殖が顕著となった炎症を
増殖性炎
①遊離細胞の増殖
・炎症局所に増殖する遊離細胞
マクロファージ
(病原体、組織の残骸を貪食、清掃する)
・マクロファージが形を変えたものの種類3種
組織球、類上皮細胞
巨細胞
②固定細胞の増殖
・組織修復のために特に顕著な増殖が見られる実質細胞は
肉芽組織
・組織破壊によってできた空所をうずめていく過程
線維芽細胞が盛んに膠原線維を作る
→空所を埋める
→結合組織化する
→修復終了
・増殖性炎の例
慢性肝炎による肝硬変
珪肺症(珪酸吸入による)

■4)肉芽腫の形成
・炎症が慢性化することによって生じる、独特の症状を持った肉芽腫
特異性肉芽腫
・特異性肉芽腫が生じるような炎症を
肉芽腫性炎(特異性炎)
・特異性肉芽腫の特徴
残存している病原体が肉芽組織の増殖に影響を与える
肉芽組織に抗原が混じる
抗原抗体反応によって生じた物質が蓄積
・肉芽腫性炎による疾患
結核症
サルコイドーシス
梅毒
ハンセン病
①結核症
・結核で見られる肉芽腫
結核結節
・結核結節の中心に見られる凝固壊死巣
乾酪変性(黄白色、チーズのよう)
・乾酪変性部で起こること
結核菌の増殖
・乾酪変性部の周囲に見られる細胞
類上皮細胞、ラングハンス巨細胞
(結核菌と戦う細胞)
・上記の細胞の周囲に見られる細胞
リンパ球、形質細胞
線維芽細胞
②サルコイドーシス
・サルコイドーシスとは
肺、リンパ節、肝、脾など、多くの臓器に結核結節に似た肉芽腫を作る原因不明の疾患
・結核結節との相違点
中心部に乾酪変性を作らない
③梅毒
・性行為によって感染
・梅毒の第1期とは
感尖部の潰瘍、リンパ節の腫大
・梅毒の第2期とは
皮膚の発疹や脱毛
・梅毒の第3期とは
ゴム腫と呼ばれる肉芽腫、びまん性増殖性間質炎
・第3期で上記のような病変が現れる部位
肝、精巣、皮膚、大動脈
・梅毒の病原体が脳、脊髄を侵したもの
脳:麻痺性痴呆
脊髄:脊髄癆
・妊婦の梅毒感染によって先天性梅毒の子供が生まれる
・先天性梅毒に特徴的にみられる症状
(第2、3期の病変が同時に出現)
実質性角膜炎
迷路性聾(内耳性聾)または難聴
ハッチンソンの歯
・上記の3症状をまとめて
ハッチンソンの3徴候
④ハンセン病
・ハンセン病で形成される肉芽腫
らい結節
⑤その他
・肉芽腫を作るその他の疾患の例
リウマチ熱、関節リウマチ
真菌症、クローン病
野兎病、腸チフスなど

◎第5節 炎症の5大徴候と病変との関係
・炎症の5大徴候
発赤、腫脹、発熱
疼痛、機能傷害
・発赤とは
炎症性充血によって局所が赤くなること
・腫脹の原因(一般に)
充血とそれにともなう滲出液の貯溜
・腫脹の原因(慢性化した場合)
肉芽組織の増殖による炎症部の腫脹
・発熱の原因
充血による
・疼痛の原因(何が知覚神経を刺激するか)
炎症による諸般脳
ブラジキニンなどの化学伝達物質
滲出物による圧迫
・機能傷害の原因
疼痛、組織の破壊、腫脹

◎第6節 炎症の全身への影響
・炎症の全身への影響
発熱、白血球の増加
リンパ球や脾臓の腫大
赤血球沈降速度の亢進
①発熱
・炎症による全身発熱の原因
細菌の毒素
マクロファージが産生する物質
・上記の物質のどんな作用によって発熱するか
視床下部の体温調節中枢の刺激
②白血球の増加
・全身的な白血球増加の原因
炎症生産物による骨髄の刺激
・炎症の種類と増加する白血球のタイプ
化膿性炎症:好中球
寄生虫感染:好酸球
慢性炎症:リンパ球、単球
③リンパ節や脾臓の腫大
・リンパ節や脾臓の腫大の原因
病原体やその分解産物による細網内皮系組織の反応
④赤血球沈降速度の亢進
・血沈亢進がみられる疾患
感染症、悪性腫瘍
心筋梗塞、各種の血液疾患

5.腫瘍
◎第1節 腫瘍の意義
・腫瘍とは
生体自身の細胞が変化して無目的に自律的過常増殖を示すようになった病変
・自律的増殖とは
周囲の正常な組織細胞とは無関係に増殖し続けるもの
・WHOによる腫瘍の呼称
新生物

◎第2節 腫瘍の携帯
1)腫瘍の形
・肺、肝、脳などの深部の実質臓器に発生した腫瘍の増殖の特徴
基本的に周囲に向かって増殖拡大
・実質臓器に発生する腫瘍の形の特徴
球状
・臓器の表面(皮膚、粘膜など)に発生した腫瘍の形の種類
いぼ状、きのこ状乳頭状
ポリープ状、噴火口状など
・ポリープ状腫瘍がよく見られる部位
胃腸の粘膜
(良性のものが多い)
・ポリープ状とはどんな形か
きのこの笠の部分が球状になっているもの
2)腫瘍の大きさ
・良性腫瘍の一般的な形の特徴
形が単純で、周囲との境界がはっきりしている
3)腫瘍の色
・一般的な腫瘍の色
灰白色
・赤色腫瘍が多く含むもの
血管に富む(血管腫など)
・黄色腫瘍が多く含むもの
脂肪(脂肪腫など)
・黒色腫瘍が多く含むもの
メラニン色素(黒色肉腫(メラノーマ)など)
4)腫瘍の硬さ
・硬い腫瘍の例
骨腫、軟骨腫
・軟らかい腫瘍の例
脂肪腫、年膜腫
・実質細胞、間質細胞どちらが多い方が硬い腫瘍か
間質細胞(結合組織)
・実質細胞の多い軟らかい腫瘍を
髄様癌
・間質細胞の多い硬い腫瘍を
硬癌
・癌腫と肉腫で一般的に硬いのは
癌腫

◎第3節 腫瘍の構造
1)腫瘍の実質
・腫瘍の実質とは
その腫瘍固有の細胞からなる
・悪性になるほど発生母組織の細胞からかけ離れる
・発生母組織と腫瘍実質細胞との違い
異型性
・異型の程度が軽いものを
成熟型
・異型の程度が著しいもの
未成熟型
①細胞の大きさの異常
・巨細胞や小細胞など
・悪性の場合には形が不ぞろいになることも
②細胞核の異常
・細胞核の異常のパターン
核の大きさの不揃い
クロマチン(染色質)分布の異常
細胞核/細胞質 比の増大など
③染色体の異常
・細胞分裂時の染色体の不分離、消失による染色体数の数の増減による
・慢性骨髄性白血病に見られる標識染色体
フィラデルフィア染色体

2)腫瘍の間質
・腫瘍の間質を構成するもの
結合組織(支持組織)
毛細血管(栄養供給)
・間質は多くの主要に共通の部分
・実質の増殖が旺盛だと、間質の増殖がそれに追いつかず、腫瘍組織が壊死することも

3)実質と間質の分布
・上皮組織(皮膚、粘膜)から発生した腫瘍の特徴
実質が集団をなし、間質がその周囲を包む形
・上記のような構造を
蜂巣構造
・非上皮性組織(骨、筋、脂肪など)から発生した腫瘍の特徴
実質と間質の細胞が交じり合っている(蜂巣構造ではない)

◎第4節 腫瘍の発育と転移
■1)連続性発育(局所性発育)
・発育の種類
膨脹性発育
浸潤性発育
(1)膨脹性発育
・膨脹性発育の別名
拡張性発育、限局性発育
・膨脹性発育とは
風船のように一塊となって拡大するもの
(周囲組織を圧迫)
・正常組織との境界が明確
・良性腫瘍に多い
(2)浸潤性発育
・浸潤性発育とは
腫瘍組織が正常細胞を破壊しながらその間に広がっていくもの
・正常組織との境界が不明確
・悪性腫瘍に見られる

■2)非連続性発育(転移)
・転移とは
腫瘍細胞が原発巣から他の部位に達し、増殖、発育すること
・悪性腫瘍の恐るべき特徴の一つ
・転移の種類
リンパ行性転移
血行性転移
体腔内転移
・癌腫で多く見られる転移
リンパ行性転移
・肉腫に多くみられる転移
血行性転移
(1)リンパ行性転移
・リンパ行性転移の流れ
癌細胞がリンパの流れにのる
→原発巣所属のリンパ節に転移
→遠隔部のリンパ節に転移
・肺癌、乳巌の所属リンパ節
肺癌:肺門リンパ節
乳巌:腋窩リンパ節
・胃がんに特徴的にみられる転移巣
ウィルヒョウの転移
・ウィルヒョウ転移で転移するリンパ節
左鎖骨上リンパ節
(2)血行性転移
・血行性転移の特徴
遠隔部に転移巣を作る
・全身に発生した腫瘍が転移しやすいのは
肺(体循環、肺循環によって)
・腹部内臓に発生した腫瘍が転位歯や膵のは
肝臓(門脈によって)
(3)体腔内転移
・体腔内転移の別名
播種
・体腔内転移が起こる腫瘍
胸腹部の臓器に発生した腫瘍
・体腔内転移の流れ
臓器にできた腫瘍細胞が拡大
→臓器表面に達する
・体腔内転移の特徴
胸膜や腹膜に多くの転移巣ができる
癌性腹膜炎、癌性胸膜炎を起こす
・体腔内転移を起こしやすい場所
ダグラス窩
・ダグラス窩への体腔内転移を
シュニッツラー転移
(4)その他
?・その他の転移の種類
接触転移
管腔性転移
クルーケンベルグ腫瘍
・接触転移の例
上唇の癌の下唇への転移
・管腔性転移の例
肺癌の気管を経由しての転移
腎臓癌の尿路を経由しての転移
*・クルーケンベルグ腫瘍とは
消化器の癌の卵巣への転移

◎第5節 腫瘍の発育段階
・癌の発育段階による分類
前癌状態
潜伏癌
早期癌
進行癌
末期癌
潜在癌
不顕性癌
1)前癌状態
・正常な細胞から悪性腫瘍が発生する前段階の変化
・前癌状態の例
老人性過角化症
火傷の瘢痕
慢性胃炎(特に悪性貧血寒邪の萎縮性胃炎)
乳腺症、肝硬変など
2)潜伏癌
・潜伏癌とは
前癌状態から癌化して臨床的に発見されるまでのもの
3)早期癌
・早期癌とは
癌原発病総の広がりが少ない
原発病総が一つの組織にとどまっているもの
・早期癌に属する癌
非浸潤癌
上皮内癌
・早期癌が発見されることが多い部位
子宮頚部、皮膚、乳腺
4)進行癌
・進行癌とは
癌原発病総が周囲の組織にまで浸潤しているもの
・周囲のリンパ節や臓器への転移が予測される
・予後不良なことも
5)末期癌
・末期癌とは
癌細胞が遠隔部まで転移し、全身が悪液質状態となっているもの
6)潜在癌
・潜在癌とは
死後の病理解剖で発見される癌
・潜在癌が見られる部位
甲状腺、前立腺など
7)不顕性癌
・別名オカルト癌
・不顕性癌とは
臨床的に転移が認められるのに
原発巣がわからないもの
8)悪性腫瘍の病期分類
・悪性腫瘍の発育段階の指標の例(予後推測などに使う)
TNM分類
・TNMそれぞれの意味
T:原発巣の大きさと広がり
N:付属リンパ節転移の有無と広がり
M:遠隔転移の有無
(それぞれに度数をつける)
・ステージⅠ~Ⅳに分類
・予後不良なステージ
ステージⅢ、ⅳ
・ステージⅠとは
原発部位に限局した癌
転移なし
・ステージⅡとは
原発臓器内部、ないし周辺部に拡大している
転移なし
・ステージⅢとは
所属リンパ節転移あり
遠隔転移なし
・ⅳとは
遠隔転移あり

◎第6節 腫瘍の診断
・進行癌にいたるまでの、早期発見早期治療が重要
・診断法の例
画像診断(超音波、CTスキャン、MRI)
内視鏡診断
細胞診
癌細胞マーカーの検出(最近の方法)
・癌細胞およびその周囲の組織反応の結果として出現する微量物質
・肝臓がんの主な癌細胞マーカー
αフェトプロテイン(AFP)
・大腸癌、膵臓癌の主な癌細胞マーカー
胎児性抗原
・膵臓癌の主な癌細胞マーカー
膵癌細胞抗原(CA19-9)
・卵巣、精巣腫瘍の主な癌細胞マーカー
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)
・前立腺癌の主な癌細胞マーカー
前立腺特異性抗原(PSA)

◎第7節 腫瘍の宿主の相互作用
■1)宿主に及ぼす腫瘍の影響
1)局所的影響
(1)圧迫
①臓器圧迫
・脳腫瘍で見られる圧迫症状
脳圧亢進
→脳皮質や神経線維(特に視神経)の萎縮
②管腔の圧迫
・消化管、血管、気道、胆管、尿路、などが圧迫されて閉塞する
→関連臓器に障害を与える
(2)出血
・腫瘍の浸潤性発育によって、消化管に海洋ができ出血、貧血になることがある
(3)細菌感染
・癌組織の壊死部、分泌物の貯溜部に細菌感染することも
・腫瘍の細菌感染の例
肝膿瘍、肺炎
(4)骨折
・腫瘍による骨折の原因
骨腫瘍(骨組織が弱くなる)
・骨腫瘍のその他の症状
骨髄破壊による貧血
高カルシウム血症
2)漸進的影響
(1)悪液質
・末期癌でみられる
・末期癌で悪液質となる原因
腫瘍細胞に栄養を奪われる
腫瘍から毒性物質が分泌される
免疫力低下による感染症
・腫瘍細胞が分泌する毒性物質
トキソホルモン
(2)免疫異常
・免疫力が低下すると腫瘍ができやすい
・腫瘍が拡大すると免疫力が低下し、日和見感染をしやすくなる
(3)内分泌異常
①ホルモン産生腫瘍
・ホルモン産生腫瘍とは
内分泌腺の腫瘍のうちでその内分泌腺のホルモンをぶんぴするようになった腫瘍
・ホルモン産生腫瘍の例
下垂体腺腫
副腎皮質腺腫
膵臓ランゲルハンス島の腫瘍
上皮小体腫瘍
・下垂体腺腫による疾病
巨人症、末端肥大症(成長ホルモン)
クッシング病(ACTH)
・副腎皮質腺腫による疾患
コン症候群(アルドステロン)
…高血圧、低カリウム血症
・膵臓ランゲルハンス島の腫瘍による症状
低血糖(インスリン)
・上皮小体腫瘍による症状
高カルシウム血症(パラソルモン)
②異所性ホルモン産生腫瘍
・内分泌腺意外から発生した腫瘍でホルモンを分泌するようになったもの
・異所性ホルモン産生腫瘍の例
肺癌、胃がん、肝がん
・肺癌で産生されるホルモンの例
ACTH、ADH
パラソルモン、ゴナドトロピンなど
☆ADH:バゾプレッシン
・胃癌で産生されるホルモンの例
ADH、パラソルモンなど
・肝がんで産生されるホルモンの例
ゴナドトロピンなど
(4)発熱
・腫瘍による発熱の種類
腫瘍崩壊物質による体温調節中枢の破壊
感染による発熱

■2)腫瘍に及ぼす宿主の影響
・宿主側の要因
免疫力
ホルモンの影響
(1)免疫力
・免疫力が腫瘍の発生や成長を抑制することを応用した療法
免疫療法
・臓器移植などで免疫抑制剤を使用した時に発生しやすい腫瘍
悪性リンパ腫(発育が急速)
(2)ホルモンの影響
・ホルモンの影響を受けやすい腫瘍
ホルモン依存性腫瘍
・性ホルモンの影響を受けやすい腫瘍
乳巌、子宮体癌
・腫瘍の発育を促進するホルモンに拮抗するホルモンを使用して癌の治療を行う療法
ホルモン療法
(3)その他
・その他の宿主側の要因
栄養状態、血液循環の状態

◎第8節 腫瘍の原因
・腫瘍の発生には多くの因子が関わっている
■1)腫瘍の外因
・腫瘍発生の外因の分類
起癌要因(腫瘍細胞を作る因子)
育癌要因(増殖を続けさせる因子)
・起癌要因、育癌要因の別名
起癌要因:イニシエーター
育癌要因:プロモーター
1)起癌要因
・物理、化学的因子などが反復、蓄積され、ある限界を超えると発癌能力を持つようになること
発癌の加算効果
・起癌要因の種類
物理的因子
化学的因子
生物学的因子
環境因子
(1)物理的因子
・物理的因子の例
放射線、紫外線
機械的外力、熱
①放射線
・放射線の種類と癌の組み合わせの具体例
原爆被爆者:白血病
ビキニ水域住民(原水爆):甲状腺癌
ラジウム照射寒邪:骨肉腫
レントゲン技師:皮膚癌
トロトラスト照射寒邪:肝臓がん
☆トロトラスト:かつて使用されていたX線造影剤
②紫外線
・白人の屋外労働者には皮膚癌が多い
③機械的外力
・機械的外力の例
虫歯が舌にあたって舌癌になる
パイプ利用者に発生する口唇癌
(2)化学的因子
・癌を発生させる化学物質
発癌物質(癌原性物質)
・直接体細胞を癌化させる物質と、体内での代謝の結果発がん性を持つものとがある
・発癌物質の働き
DNAと結合してこれを障害
→修復できないと突然変異発生
→癌遺伝子活性化
・通常は癌抑制遺伝子によって細胞の癌化が防止されている
・主な発癌物質の例
ベンツピレン、アニリン誘導体
ニトロ化合物、脂肪族化合物
アスベスト、ベンゼン
PCB、ヒ素
多環炭化水素、アフラトキシン
クロム、ニッケル
☆ベンツピレン:排気ガス、梅園、煙草、コールタールなどに広く存在
☆染料工場従業員の膀胱癌をアニリン癌と読んでいる。アニリンの発がん性は照明されていない。誘導体というのはアニリンとは別のものなのか
☆脂肪族化合物:炭素原子が一列に並ぶ構造を持つもの。エチルアルコール、アセトアルデヒド、塩化アセチルコリンなどが含まれる
☆多環炭化水素=多環芳香族炭化水素
・それぞれの発癌物質の起こす癌
ベンツピレン:皮膚癌(肺癌も)
アニリン誘導体:膀胱癌
ニトロ化合物:胃癌
脂肪族化合物:肝癌、膀胱癌
アスベスト:肺癌
ベンゼン:白血病
PCB:肝がん
ヒ素、皮膚癌
(3)生物学的因子
・人体に腫瘍を作るウィルスの例
ヘルペスウィルスのEBウィルス
乳頭腫ウィルス
アデノウィルス
B、C型肝炎ウィルス
C型オンコウィルス
・EBウィルスによる腫瘍
バーキットリンパ腫
鼻咽頭癌
・乳頭腫ウィルスによる腫瘍
尋常性乳頭腫
子宮頸癌
・アデノウィルスによる腫瘍
網膜芽腫
・B、C型肝炎ウィルスによる腫瘍
肝がん
・C型オンコウィルス(HTLV)による腫瘍(重要)
成人T細胞白血病
(4)環境因子
・生活環境に関連する癌を環境癌
・職業に関連する癌を職業癌
①食生活
・日本人に胃癌の多い原因
米食と過剰な塩分摂取
・米国人に大腸癌が多い原因
肉食と穀物摂取不足
・アフリカのバンツー族に肝癌が多い原因
動物性蛋白の摂取不足による肝硬変
②嗜好品
・タバコに関連する癌
肺癌、喉頭癌
・熱い食べ物や強い酒によって引き起こされるとされる癌
食道癌
③大気汚染
・大気汚染が最近の肺癌増加の原因ともいわれる

2)育癌要因
・細胞が癌化した後、それに分裂増殖の能力を与える育癌要因を
助発癌物質
・有名な助発癌物質
タバコ(肺癌など)
食塩(胃癌)
胆汁酸(大腸癌)

■2)腫瘍の内因
1)先天性要因
(1)素因
①臓器素因
・癌を発生しやすい臓器
胃、大腸、子宮筋腫
・癌を発生しにくい臓器
小腸、心筋腫
②年齢要因
・小児癌発生のピーク
4歳ごろ
・その後の癌発生のピーク
60~70代(30歳ごろから増加)
・小児に多い腫瘍の種類
非上皮性腫瘍(造血器、神経組織の腫瘍)
・高齢者には癌が多い
・胃癌、肝癌の好発年代
60~70代
・乳巌の好発年代
50代前半
・高齢者に癌が多い原因
潜伏期が長いことで発症が老年期になる
体細胞の突然変異の増加
免疫力の低下
③性素因
・男女で癌の発生率が高いのは(生殖器癌を除く)
男性
・男性に多い癌
食道癌、喉頭癌、肺癌
・女性に多い癌
甲状腺癌
④人種素因
・日本人に多い癌
胃癌
・西欧人に多い癌
肺癌、乳巌
・白人に多い癌(米国内比較)
口唇癌、膀胱癌
・黒人に多い癌(米国内比較)
食道癌、胃癌
(2)遺伝、染色体異常
・遺伝の関与が明らかな癌
眼の網膜芽腫
家族性大腸腺腫症
神経線維腫症(レックリングハウゼン病)
多発性内分泌腺腫症
腎臓のウィルムス腫瘍
色素性柑皮症から移行する皮膚癌など
・胃癌は遺伝するとも言われる
・ダウン症患者に多い主要
白血病
2)後天性要因
・後天性要因の分類
内分泌異常
免疫不全
(1)内分泌異常
・性ホルモンと関わりの深い腫瘍
前立腺癌(男性ホルモン)
子宮内膜癌、乳巌(女性ホルモン)
?分泌が増えると癌になる?
(2)免疫力の低下
・免疫力低下によって癌が発生しやすくなる

◎第9節 腫瘍の再発
・治癒後5年以内の腫瘍発生を再発と呼ぶ
・再発は悪性腫瘍に起こりやすい(良性ではまれ)

◎第10節 腫瘍の分類
・腫瘍を発生する母組織の違いによる主要の分類
上皮性腫瘍
非上皮性腫瘍
造血リンパ組織腫瘍
神経性腫瘍
(造血リンパ組織製と神経性腫瘍は非上皮性腫瘍に含むことも)
★良性腫瘍と悪性腫瘍の比較(重要)
・異型性
良性:軽い(成熟型)
悪性:著しい(未成熟型)
・発育形式
良性:膨張性発育
悪性:浸潤性発育
・発育速度
良性:ゆるやか
悪性:すみやか
・被膜
良性:存在
悪性:欠如
・組織破壊
良性:少ない
悪性:高度
・脈間内侵入
良性:ない
悪性:多い
・転移
良性:ない
悪性:多い
・再発
良性:少ない
悪性:多い
・全身への影響
良性:少ない
悪性:著しい

■1)上皮性腫瘍
・上皮性腫瘍の分類
成熟型上皮性腫瘍
未成熟型上皮性腫瘍
・悪性なのは
未成熟型上皮性腫瘍(癌)
1)成熟型上皮性腫瘍
・成熟型上皮性腫瘍の分類
乳頭腫
腺腫
(1)乳頭腫
・粘膜上皮にできる
・よく見られる乳頭腫の部位
口腔、咽頭(扁平上皮)
膀胱、腎盂(移行上皮)
(2)腺腫
・腺上皮に発生
・腺腫がよくみられる臓器
大腸、胃
甲状腺
・腺腫の分泌物が腺管内に貯溜氏大きく膨らんだもの
嚢胞腺腫
・嚢胞腺腫がみられる臓器
卵巣、腎臓、甲状腺
2)未成熟型上皮性腫瘍
・癌腫または癌と呼ばれる
・癌の分類
扁平上皮癌
腺癌
未分化癌
(1)扁平上皮癌
・癌細胞が重なり合い表面が角化することも
・扁平上皮癌がよく見られる部位
皮膚、口腔、食道、
腟、子宮頚部、気管
(2)腺癌
・腺上皮に発生。非常に多い
・癌巣の中に腺様の構造を示す腫瘍()(腺管などがみられる)
・腺癌がよく発生する臓器
胃、大腸、気管支
肺、膵臓
甲状腺、前立腺
乳腺、子宮体部
(3)未分化癌
・未分化癌の特徴
異型化が著しい(扁平上皮、腺上皮癌と類似しない)
悪性度が最も高い
・未分化癌の例(重要)
肺の小細胞癌
甲状腺の巨細胞癌

■2)非上皮性(一般間葉組織)腫瘍
・非上皮性腫瘍の分類
成熟型非上皮性腫瘍
未成熟型非上皮性腫瘍
1)成熟型非上皮性腫瘍
・成熟型非上皮性腫瘍の分類
線維腫、脂肪腫
軟骨腫および骨腫
筋腫
血管腫およびリン化パン主
・最も多くみられる良性腫瘍の種類は
脂肪腫
・小児に多いのは
血管腫およびリンパ管腫
(1)線維腫
・あらゆる結合組織から発生(真皮など)
・線維腫発生の経過
線維芽細胞増殖
→膠原線維増殖
→結節化
・硬い腫瘍
(2)脂肪腫
・皮下に発生することが多い
(3)軟骨腫および骨腫
・軟骨、骨細胞の増殖。基質も増殖
・骨腫の好発部位
頭蓋骨、下顎骨
(4)筋腫
・筋腫の好発部位(平滑筋)
子宮、胃
・筋腫の発生することのある横紋筋
心臓、舌
(5)血管腫およびリンパ管腫
・毛細血管やリンパ管から発生

2)未成熟型非上皮性腫瘍
・未成熟型非上皮性組織から発生する腫瘍を
肉腫
・肉腫と癌で発生頻度が高いのは

・肉腫と癌で好発年齢が若いのは
肉腫
・肉腫の特徴
発育速度が速い
遠隔部に転移する
・悪性度が最も高い腫瘍
・主な肉腫の種類
線維肉腫、粘液肉腫
脂肪肉腫、骨肉腫
軟骨肉腫、筋肉腫

■3)造血リンパ組織腫瘍
1)成熟型(良性)腫瘍
・発生部位
骨髄、リンパ節、胸線
・多くは悪性
・良性腫瘍の例
真性赤血病
キャッスルマンリンパ腫
胸腺腫
2)未成熟型(悪性)腫瘍
・未成熟型悪性腫瘍の種類
リンパ節、リンパ組織の悪性腫瘍
白血病(白血球に腫瘍細胞がみられる)
多発性骨髄腫
・リンパ節、臓器のリンパ組織の悪性リンパ腫の種類
ホジキン病
非ホジキンリンパ腫
☆ホジキン病:悪性リンパ腫の1割を占める、原因不明の疾患
・白血病の分類
骨髄性、リンパ性
・多発性骨髄腫の発生部位
脊椎、頭蓋骨
肋骨、骨盤

■4)神経性腫瘍
1)成熟型(良性)腫瘍
・成熟型神経性腫瘍の例
神経線維腫
神経鞘腫
神経膠腫
褐色細胞腫
髄膜腫
メラニン細胞性黒球
・神経線維腫の発生部位
末梢神経
・神経鞘腫の発生部位
シュワン鞘
・神経膠腫の発生部位
中枢神経の神経膠細胞
・褐色細胞腫の発生部位
副腎髄質
交感神経傍神経節
・髄膜腫の発生部位
脳脊髄膜
・メラニン細胞性黒球の発生部位
メラニン細胞
・小児に多い脳腫瘍の種類
神経膠腫
・腫瘍としては良性でも、脳腫瘍などは脳圧を上げ、生命に関わることも。
2)未成熟型(悪性)腫瘍
・未成熟型神経性腫瘍の例
悪性末梢神経鞘腫
神経芽腫
悪性褐色細胞腫
網膜芽腫
膠芽腫
悪性黒色腫(メラノーマ)
・悪性末梢神経鞘腫の発生部位
末梢神経のシュワン細胞
・神経芽腫、悪性褐色細胞腫の好発部位
小児の副腎髄質、交感神経節
・網膜芽腫の好発部位
乳幼児の網膜
・膠芽腫の好発部位
成人の大脳半球
・悪性黒色腫(メラノーマ)の発生部位
メラニン細胞

★癌腫と肉腫の比較
・好発年齢
癌腫:中高年者
肉腫:若年者
・転移
癌腫:リンパ行性転移が多い
肉腫:血行性転移が多い
・肩さ
癌腫:一般に硬い
肉腫:比較的軟らかい(発生部位によるが)
・発育速度
癌腫:速い
肉腫:より速い
・実質と間質の関係
癌腫:混じらない(蜂巣構造)
肉腫:混じる

■付録)混合腫瘍
・混合腫瘍とは
腫瘍の実質が2種以上の異なった組織で構成されているもの
・混合腫瘍の原因
胎生早期に分化する芽組織が腫瘍化して増大したもの
・混合腫瘍の分類(実質を構成する腫瘍細胞の種類)
間葉性混合腫瘍
類臓器性混合腫瘍
奇形腫
(1)間葉性混合腫瘍
・2種以上の非上皮性組織で構成される
・間葉性混合腫瘍の例
線維脂肪腫
脂肪粘液腫
(2)類臓器性混合腫瘍
・上皮性組織と非上皮性組織由来の細胞によって構成
・類臓器性混合腫瘍の例
腎芽腫(ウィルムス腫瘍)
…10歳以下の小児に多い
(3)奇形腫
・奇形腫とは
内、外、中胚葉の3胚葉に由来する組織で構成されている
・奇形腫の発生部位
精巣、卵巣
縦隔、松果体

その他)
・腫瘍の成長の方向による分類
内成長性の発育(粘膜から筋層方向へなど)
外成長性の発育(粘膜から内腔方向へなど)
(進行癌では内外両方向に進むものもある)

6.免疫異常
◎第1節 免疫の仕組み
■1)免疫の一般
・免疫とは
自己に対して非自己(抗原)を認識し、これを除去する物質を産生、抗原を中和破壊し、生体の恒常性を保とうとする働き
・自己とは自らの正常な細胞
・非自己の例
外部から侵入した物質
体内で産生した有害物質(癌細胞、変性物質など)
・免疫の3つの特徴
自己と非自己とを識別
特異性
抗原の記憶と二次反応
・免疫の特異性とは
抗体はそれを作り出すきっかけとなった抗原とのみ反応すること
・抗原の記憶と二次反応とは
一度摂食した抗原を記憶する
再び同じ抗原と接触した際には速やかに大量の抗体を産生する
■2)抗原と抗体
1)抗原
・抗原とは
生体の免疫系を発動する物質
・抗原の分類
完全抗原
不完全抗原(脂質など)
・不完全抗原とは
蛋白と結合することによって初めて抗体が作られるもの
?・不完全抗原の別名(覚える)
ハプテン
・抗原の特異性を決定するもの
抗原決定基(立体的化学構造)
・抗原決定基が抗体の結合部位と合致するときに反応が起こる
2)抗体
・抗体とは
抗原の刺激によって作られ、その抗原と特異的に反応する物質
・抗体を2種に大別
液性抗体(液性免疫の主体をなす)
細胞性抗体(細胞性免疫の主体をなす)
・液性抗体とは
免疫グロブリンのこと(抗体産生細胞であるB細胞が産生)
・細胞性抗体とは
生きている感作リンパ系細胞が活性化されたもの
・感作リンパ系細胞とは
T細胞
■3)免疫グロブリン
・抗体としての作用を持つ血漿蛋白
・免疫グロブリンをアルファベットで
Ig
・免疫グロブリン5種類
IgG、IgA
IgM、IgD
IgE
・免疫グロブリンはY字型
・部位の名称
上半部:可変部
下半部:不変部
・可変部とは
アミノ酸配列が多様
無数の抗原に対して、それぞれが特異性を示す物質に変化する部分
・不変部とは
アミノ酸配列が個体によってほぼ一定
他のものと結合する部分
・不変部に結合するもの
マクロファージ
リンパ球、補体
・免疫グロブリンの中で最も量が多いのは
IgG
・感染防衛作用を持つIg
IgG、IgA
・分子量の多いIg
IgM
・病原体の感染に際して最初に現れるIg
IgM
・特に強力な傷害作用を持つIg
IgE
①IgG
・胎児におけるIgGの働き
母体から胎児の血液中に入り、免疫機構の不十分な乳児を有害物質から守る
②IgA
IgAが多く存在する部位
消化器、気道粘膜の粘液中
母乳の初乳
・IgAの分類
血清IgA
粘膜IgA
③IgM
・IgMの別名
マクログロブリン
・IgGの出現を待ってこれと交代する
④IgD
・骨髄腫患者の血清から発見された
・IgDの働き
B細胞の表面に限ってIg受容体として出現
(IgMとともに)
⑤IgE
・どのようなものと結合して存在するか
肥満細胞、好塩基球
・抗原と反応した時に何を放出するか(放出するのは肥満細胞や好塩基球)
ヒスタミン、セロトニン
■4)免疫応答の仕組み
1)免疫担当細胞
・免疫担当細胞を2つに大別
抗原提示細胞、抗原排除細胞
(1)抗原提示細胞
・抗原提示細胞とは
抗原を捕らえ、その情報をリンパ球などへ伝える細胞
・抗原提示細胞の種類
マクロファージ
樹状細胞
・貪食作用をもつ免疫提示細胞は
マクロファージ(樹状細胞にはない)
・マクロファージの役割
抗原や免疫複合体などを貪食氏、細胞膜上にその抗原情報を示してほかの免疫担当細胞に伝達する
・樹状細胞の形状
細胞表面に無数の樹枝状の突起をもつ
・樹状細胞が多く存在する場所
脾臓、リンパ節
・樹状細胞の働き
血液やリンパに乗って流れてきた抗原を突起で捕らえ、リンパ球などにその常法を提示する
☆樹状細胞とは組織球の一種
・オプソニン反応
微生物などの抗原と結合し、細菌などが貪食されやすいように感受性を高めるもの
血漿や体液に存在する
(2)抗原排除細胞
・抗原排除細胞の種類
B細胞、T細胞
ナチュラルキラー細胞
①B細胞
・骨髄の幹細胞で作られる
・B細胞の表面にあるもの
抗原受容体(免疫グロブリン)
・抗原情報の提示を受けて何に分化するか
形質細胞(プラズマ細胞)
・プラズマ細胞の働き
免疫グロブリンの大量産生
・プラズマ細胞への分化をさらに促進すること
同じ抗原に感作されたヘルパーT細胞の作用を受けること
・抗原刺激を受けたときにB細胞の一部が分化する形質細胞以外の細胞
記憶細胞
・記憶細胞の働き
抗原情報を長期間記憶し、次に同じ抗原の侵入を受けたときに速やかに反応して大量のIgを放出する
②T細胞
・T細胞の種類
ヘルパーT細胞
サプレッサーT細胞
細胞障害性T細胞
遅延反応T細胞
・T細胞が成熟分化する場所
胸腺
・T細胞の働き
抗体(Ig)産生の調節作用
細胞性免疫作用(自ら抗原を処理)
・T細胞の一部も記憶細胞となる
ア.ヘルパーT細胞(TH)
・抗原情報によって活性化
・THの働き
B細胞の分化成熟を促す
細胞免疫に関与するT細胞の働きを盛んにする
イ.サプレッサーT細胞(TS)
・TSの働き
B細胞の抗体産生機能を抑制
細胞性免疫に関与するT細胞の働きを抑制
ウ.細胞障害性T細胞(TC)
・TCの放出する物質
リンフォカイン
☆リンフォカイン:リンパ球由来の活性因子で,遅延型アレルギーなどの細胞免疫現象を仲介する一連の作用物質の総称
・TCの働き
抗原となっている細胞を破壊
エ.遅延反応T細胞(TD)
・TDの働き
マクロファージを活性化
遅延型免疫反応を起こす(リンフォカインを放出して)
・遅延型免疫反応の例
接触性皮膚炎
移植後
③ナチュラルキラー細胞(NK)
・NKの働き
癌化した細胞の破壊
抗原を破壊することもある(抗原と結合したIGの誘導によって)

2)免疫機能の活性物質
・免疫機能の活性物質の例
サイトカイン
補体
(1)サイトカイン
・サイトカインを放出する細胞
リンパ球、マクロファージ
線維芽細胞、内皮細胞
・糖蛋白よりなる
・サイトカインの働き
免疫担当細胞間の情報伝達や活性化
(生理活性物質の創傷)
・リンパ球から放出されるサイトカイン
リンフォカイン
・サイトカインに含まれるもの
インターロイキン(IL)
インターフェロン(IFN)
抗腫瘍因子(TNF)など
(2)補体
・血清中に存在する不安定な酵素系物質
・補体の働き(何と結合して活性化するか)
抗原と結合しているIGと結合して活性化し
抗原を破壊する
・現在9種類が知られる
3)胸腺の役割
・胸腺の働き
T細胞を分化成熟させる
自己の細胞に反応するT細胞の除去
(自己の細胞に対する免疫寛容を保つため)

◎第2節 免疫応答の異常
・免疫応答異常の種類
免疫応答の過常(アレルギー)
免疫応答の減退()(免疫不全症)
自己と非自己の識別不良(自己免疫疾患)
■1)アレルギー
・アレルギー(過敏症)とは
過常な免疫応答によって、細胞や組織が障害されること
・即時型アレルギーの肩
Ⅰ~Ⅲ型
・遅延型アレルギーの型
Ⅳ型(比較的緩やかに発症)
1)Ⅰ型アレルギー
・Ⅰ型アレルギーの別名
アナフィラキシー型
・Ⅰ型アレルギーの主体をなすもの
IgE(=レアギン)
・IgEの産生を促す抗原刺激の例
花粉、薬剤、ハウス出すとなど
・産生されたIgEは何に結合するか
肥満細胞、好塩基球、血小板などの細胞表面
・アナフィラキシーの機序
一度目の抗原侵入でIgEが蒸気の細胞と結合
→二度目の抗原侵入
→IgEとの間に激しい抗原抗体反応
・この抗原抗体反応で何が何を放出するか
肥満細胞が
ヒスタミンやセロトニンを放出
・ヒスタミンやセロトニンの作用
平滑筋の収縮
腺細胞の分泌作用亢進など
・Ⅰ型アレルギーによる疾患の例(局所性)(重要)
気管支喘息
じんま疹、花粉症
アトピー性皮膚炎
食餌性アレルギー
・Ⅰ型アレルギーによる疾患の例(全身性)
ペニシリンショック
・花粉症の機序
花粉が鼻粘膜の肥満細胞に付着
→感作が成立(抗原提示によって)
→肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質放出
→鼻粘膜の知覚神経を刺激
→くしゃみ、鼻水

2)Ⅱ型アレルギー
・Ⅱ型アレルギーの別名
細胞障害型
・Ⅱ型アレルギーで抗原となるもの
各種血球などの細胞自信
・抗原に結合する抗体
IgG、IgMなど
・補体の役割が重要
・Ⅱ型アレルギーの流れ
抗原に抗体が結合
→これに補体が作用
→マクロファージにより貪食
同時に補体系の活性化
→細胞の障害
・Ⅱ型アレルギーで結果として怒ること
赤血球の溶解など
・Ⅱ型アレルギーによる疾患の例
免疫性溶血性貧血
特発性血小板減少症
無顆粒球症、橋本病
重症筋無力症、新生児溶血病
グッドパスチャー症候群
☆グッドパスチャー症候群:肺出血や腎障害
3)Ⅲ型アレルギー
・Ⅲ型アレルギーの別名
免疫複合体型
・Ⅲ型アレルギーの流れ
抗原と抗体(IgG、IgM)と結合
→抗原・抗体複合物(免疫複合体)となる
→免疫複合体に補体が結合
同時に発生した白血球遊走因子が血管壁の透過性亢進、そこに集まってきた好中球が蛋白質誘拐酵素を出す
→組織障害
・Ⅲ型アレルギーによる疾患の例
血清病、糸球体腎炎
関節リウマチ
全身性エリテマトーデス
・関節リウマチにはIgM、腎炎にはIgAが関与すると言われる
4)Ⅳ型アレルギー
・Ⅳ型アレルギーの別名
細胞免疫型
・Ⅳ型アレルギー反応の原因
抗原によって感作されたT細胞が放出するリンフォカイン
→組織障害
リンフォカインの作用で集まってきたマクロファージや白血球から放出される化学物質
→炎症
・Ⅳ型が遅延型アレルギーになる理由
細胞性免疫に関連するアレルギー
(抗原に接してから反応が起こるまでに12時間以上かかる)
・Ⅳ型アレルギーによる疾病の例
結核症、ハンセン病
真菌症、接触性皮膚炎(うるし銀杏によるかぶれ)
移植時の拒絶反応
ツベルクリン反応
5)Ⅴ型アレルギー
・Ⅴ型アレルギーの別名
刺激型、機能亢進型
・何型アレルギーに類するか
Ⅱ型アレルギー
・Ⅴ型アレルギー反応の流れ
ホルモン受容体に対する抗体が作られる
→ホルモン受容体が刺激され臓器や組織の機能が亢進し
→有害な症状を表す
・Ⅴ型アレルギーによる疾病
バセドウ病

■2)免疫不全
・免疫不全とは
免疫不全細胞や関係臓器の帰納的器質的障害によって、免疫能力が減退または消失した状態
・感染症にかかりやすくなる
(1)先天性(原発性)免疫不全
・多くは遺伝性疾患
①液性抗体が欠如するもの
・何が障害されるか
B細胞の形質細胞への成熟分化が阻害されIG産生が低下する
・細胞免疫には異常は起こらない
・液性抗体の欠如による疾患の例
ブルトン型無γグロブリン血症
②細胞性免疫の欠損
・細胞性免疫欠損の原因
胸腺の発育不全
・胸腺の発育不全によって何が起こるか
血液中のT細胞が見られない
・液性免疫には異常は起こらない
・細胞性免疫欠損による疾患の例
デイジョージ症候群
(胸腺低形成、副甲状腺低形成による疾患)
③混合型
・B細胞、T細胞ともに欠損するもの
・混合型の原因
胸腺の発育不全
リンパ球の未成熟化
・混合型の例
スイス無γグロブリン血症
④その他
・その他の免疫異常
血清補体系の欠損や機能異常
マクロファージや好中球の貪食機能異常など
(2)後天性(続発性)免疫不全
・後天的に免疫系臓器に障害を受けたもの
①免疫系臓器の疾患
・骨髄やリンパ節の疾患
・免疫系臓器の疾患の例
慢性リンパ性白血病
多発性骨髄腫
ホジキン病
②医原性のもの
・医原性の免疫不全の例
移植に伴う免疫抑制剤の投与
悪性腫瘍の治療に用いる抗がん剤や放射線照射
ステロイド剤の使用
③感染症
・代表的なものはエイズ
・エイズはHIV(レトロウィルス)の観戦によって起こる
・エイズの発症によって引き起こされること
T細胞の破壊
→日和見感染(カリニ肺炎、カポジ肉腫)
・HT細胞の破壊によって、B細胞がIgを産生できなくなる
④その他
・その他免疫力を低下させること
腎不全、低栄養状態
癌末期

■3)自己免疫疾患
・免疫学的寛容とは
ある物質に対して特に抗体が作られず免疫反応が起こらない状態
・通常、体成分(自己抗原)に対しては自己抗体が作られないよう免疫学的寛容が働いている
・免疫反応抑制機能の主体をなすもの
サプレッサーT細胞
・自己免疫疾患とは
免疫学的寛容が何らかの原因によって破綻し、自己抗原に対する抗体が作られるようになったもの
・自己免疫疾患の例
橋本病、アジソン病
重症筋無力症
自己免疫性溶血性貧血
シェーグレン症候群
膠原病
☆シェーグレン症候群:乾性角結膜炎、口腔乾燥症、慢性関節リウマチその他の結合組織疾患(膠原病)を三主要症状とする症候群
・膠原病の例
全身性エリテマトーデス
関節リウマチ、リウマチ熱
強皮症、皮膚筋炎
結節性動脈炎
☆リウマチ熱:アショッフ結節三焦、心臓との関わりがある
・橋本病はⅡ型アレルギーに分類される(甲状腺腫などが見られる)





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