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病理学ノート04「循環障害」

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◎第1節◎ 血液の循環障害
■1)充血とうっ血
・充血とは
局所の血管内に血液が著しく増量している状態
・狭義の充血とは
動脈管の拡張により動脈血の供給が過剰になった充血状態
・狭義の充血の別名
動脈性充血
・うっ血とは
静脈側の灌流障害のために静脈血が貯溜している状態
・うっ血の別名
静脈性充血

1)充血
(1)充血の分類
・充血の原因による分類
機能性充血
筋麻痺性充血
神経性充血
代償清充血
側副性充血
反射性充血
①機能性充血(生理的充血)
・機能性充血とは
生理的機能の亢進によって起こる充血
・機能性充血の例
食事直後の胃腸
運動時の骨格筋
②筋麻痺性充血(筋性充血)
・筋麻痺性充血とは
動脈管の平滑筋が直接刺激によって弛緩することで起こる充血
・筋性充血を引き起こす刺激の例
温熱、寒冷刺激、紫外線
エーテル、カンタリジンなどの化学的刺激
・筋性充血を起こしやすくなる疾患
皮膚描記症
③神経性充血(神経麻痺性、神経興奮性充血)
・神経性充血とは
血管収縮神経の麻痺、または血管拡張性神経の興奮によって怒る充血
・血管収縮神経の麻痺による神経性充血の例
交感神経損傷
星状神経節ブロック(SGB)
・血管拡張神経の興奮による神経性充血の例
神経痛
④代償性充血
・代償性充血とは
代償機能が起こっている臓器に見られる充血
・代償性充血の例
腎臓摘出時、残った一方の腎臓に見られる充血
⑤側副性充血
・側副性充血とは
ある局所に貧血が起こっているときにその周囲に起きる充血
貧血性梗塞部の周囲に起こる充血
⑥反射性充血
・反射性充血とは
強い精神的刺激のため、反射的に血管拡張神経が興奮して起こる充血
・反射性充血の例
赤面など

⑦炎症性充血
・炎症性充血とは
炎症にともなって起こる充血
・炎症性充血の特徴
炎症が収まるまで長時間持続すること

(2)充血の徴候と結果
・充血箇所の温度と色の特徴
温度:上昇
色:鮮紅色
・充血箇所を圧迫すると皮膚色はどうなるか
鮮紅色が消える
(消えなければ内出血)
・充血組織の容積、硬度、機能
容積と硬度:増加
機能:高まる
・充血が持続した結果起こること
水腫(血液の液体部分が濾出)

2)うっ血(静脈性充血)
(1)うっ血の分類
・うっ血の種類
圧迫性うっ血
閉塞性うっ血
心機能不全によるうっ血
血流補助機関の障害によるうっ血
・圧迫背ウうっ血の原因
妊娠子宮、腫瘍、腹水などによる静脈管圧迫
・閉塞性うっ血の原因
血栓、塞栓、静脈炎などによる管壁の肥厚による静脈管腔の狭窄、閉塞
・心機能不全によるうっ血の原因
心機能の低下で静脈血の心房への引き戻しが不完全となることによる
全身性のうっ血を引き起こす
・右心の障害が引き起こすうっ血
体循環のうっ血
・左心の障害が引き起こすうっ血
肺循環のうっ血
・心機能が低下した寝たきり老人の背部や腰部に見られるうっ血
沈降性うっ血
・血流補助機関の障害によるうっ血の原因
静脈壁の弾力性の低下、静脈弁の機能不全、四肢の骨格筋麻痺、呼吸運動の不全など

(2)うっ血の徴候と結果
・うっ血では温度は低下するか上昇するか
低下する(血液の長時間対流によって熱放散が進む)
・うっ血部位の色
紫藍色、暗青色(チアノーゼ)
・うっ血部位の容積、硬さ
容積は増加
硬くなる
・うっ血部位の機能
減退する
・うっ血によって引き起こされる障害
うっ血性水腫
うっ血性硬結
組織の萎縮、偏性、壊死
太い静脈管の変形
・うっ血性水腫の原因
血液中の水分が組織に滲出することによる
・うっ血性水腫の例
肝硬変による腹水の貯溜(門脈のうっ血)
・うっ血性硬結の原因
毛細血管周囲に結合組織が増殖することによる
・組織の萎縮、偏性、壊死の原因
強いうっ血が持続することにより、酸素、栄養素が不足することによる
・肝臓のうっ血持続によって肝細胞が変性することで怒ること
肉ずく肝
(右心の不全によって起こる)
・太い静脈管の変形の例
静脈拡張症、静脈瘤
・太い静脈管の変形が起こりやすい静脈
痔静脈、膝窩静脈

■2)貧血
・貧血の分類
全身性貧血
局所性貧血
・全身性貧血の原因
赤血球またはヘモグロビンの減少(血液疾患)
・局所性貧血の原因
循環障害(動脈血の不足)
・局所性貧血の著しいもの
虚血(疎血、乏血)
(1)局所性貧血の分類
・局所性貧血の種類
圧迫性貧血
閉塞性貧血
神経性貧血
筋痙攣性貧血
反射性貧血
代償性貧血
・圧迫性貧血の原因
腫瘍、膿瘍、腹水などの動脈管圧迫による
・閉塞性貧血の原因
血栓、塞栓、動脈硬化症、動脈内膜炎による血管の狭窄または閉塞
・神経性貧血の原因
血管収縮神経の興奮による
・神経性貧血の例
一過性の脳虚血発作(脳血管攣縮)
レイノー病
・筋痙攣性貧血とは
動脈管の平滑筋が強い寒冷刺激やアドレナリン・バゾプレッシンなどの作用を直接受けて痙攣性に収縮したために起こる
・反射性貧血の原因
強い精神的刺激のため、反射的に血管収縮神経が興奮して起こる
・反射性貧血の例
激しい疼痛や恐怖による、顔面蒼白、脳貧血
・代償性貧血の原因
身体の一部に急激な充血が起こることで、血液の分排にアンバランスが生じ。他の部分に貧血が起こる
・代償性貧血の例
腹水搬出による腹腔内圧の低下によって、充血が起こり、脳貧血を引き起こす

(2)局所性貧血の役割と結果
・局所性貧血の影響を最も受けやすい臓器

・脳細胞が壊死する血行停止時間
5分
・対比表
充血 うっ血 局所性貧血
血液 動脈血増加 静脈血増加 動脈血 の減少
持続時間 短時間 長時間 原因によって異なる
障害 軽い 重い 部位によって異なる
色 鮮紅色 紫藍色 蒼白色
温度 上昇 低下 低下
容積 増加 増加 減少
硬度 増加 増加 減少
機能 亢進 減退 減退

■3)出血
・出血とは
血液の全成分が血管外に出ること(特に赤血球が出ているかどうかがポイント)
・出血を引き起こす二つの要因
血管壁の異常
血液の異常
1)出血の分類
(1)血管壁の破損の有無による分類
・血管壁の破損の有無による分類
破綻性出血
漏出性出血
①破綻性出血
・破綻性出血とは
血管の一部が敗れてそこから血液が出るもの
・破綻性出血の原因
外傷、血圧の上昇
血管周囲の陰圧
血管壁の病変(動静脈瘤、動静脈炎)
組織の侵食(胃腸の潰瘍、悪性腫瘍による血管壁の侵食など)
②漏出性出血
・漏出性出血とは
毛細血管壁の内皮細胞の隙間が広くなって血液成分が漏れて出るもの
(毛細血管から細静脈にかけて起こりやすい)
・破綻性出血と漏出性出血で出血量が多いのは
破綻性出血
・漏出性出血の原因
酸素欠乏、貧血
各種の栄養不良(特にビタミンC欠乏)
ペストなどの感染症
血液の異常(血小板減少症、血友病)
(2)出血部位による分類
・出血部位による分類
内出血
外出血
・内出血とは
組織内や体腔内への出血(皮下組織、関節腔)
・外出血
血液が体外に流れ出るもの
皮膚、消化管、気道、尿路など

2)出血の結果
(1)全身的影響
・大出血の経過
大出血→血液減少→
貯蔵血液や組織液の導引
血液循環の維持
・ショック状態を起こして死に至る出血量
体内の3分の1以上
・少量でも重篤な症状を引き起こす出血部位
脳幹部の出血(呼吸、循環中枢の破壊)
心嚢内の出血(心拍動の阻害)
・全身性の貧血を引き起こすたぐいの出血
胃腸の潰瘍、痔出血、子宮筋腫による月経過多などの持続
(2)局所的変化
・小さな外出血でまず傷口をふさぐもの
血餅
・内出血において血管外に出た赤血球は破壊される
・破壊された赤血球から放出されたヘモグロビンは何に分解されるか
ヘモジデリン(鉄含有)
ヘマトイジン(鉄を含まない)
・内出血においてヘモジデリンなどによって組織は何色になるか
暗赤色
・内出血部位はマクロファージの貪食やリンパの流れによってもとの上体に戻る

3)出血性素質
・出血性素質とは
わずかな衝撃で出血したり、容易に止血できなかったりする素質
・止血に必要な3要素
血小板、血管壁、血液凝固因子
①血小板の異常
・血小板の破壊の促進または、生産能の障害
・血小板異常による疾病
血小板減少症(ウェルホーフ紫斑病)
・止血が遅延するようになる血小板の数
10万個/ミリリットル以下
②血管壁の異常
・血管壁の透過性の亢進、血管壁の障害
・血管壁の異常によって怒る疾病
アレルギー性紫斑病
老人性紫斑病
壊血病
③凝固因子の異常
・先天性の凝固因子異常の例
血友病
・血友病患者に欠落している凝固因子
第Ⅷ、Ⅸ因子
(プロトロンビンがトロンビンに活性化できない)
・後天性の凝固因子異常
肝疾患、ビタミンK欠乏症
抗凝固剤の乱用

(付録)ショック
・ショックとは
全身の血液循環が急激に不調となり、組織臓器の機能に障害をきたした状態
・ショックの原因
血管運動神経の不調や大出血など
・ショックの分類
一次性ショック、二次性ショック
・一次性ショックの別名
神経型ショック
・二次性ショックの別名
血液喪失性ショック
・その他、ショックを引き起こすこと
心機能不全
敗血症
中枢神経の破壊
アナフィラキシー
☆アナフィラキシー
一度ある抗原にさらされたあと、再び同じ抗原にさらされたときに起こる急激な反応

■4)血栓症、塞栓症および後側
1)血栓症
・血栓とは
心臓や血管内で血液が凝固したもの
・血栓によって血流が妨げられた上体
血栓症
(1)血栓の種類
・動脈硬化や動静脈炎で起こること
血管内面の滑らかさが失われそこに血小板が凝着する
血液凝固因子を放出して線維素の析出をみる
・上記のような段階の血栓を
析出血栓(白色血栓)
・析出血栓がより成長し、その線維素の網に赤血球が捕らえられた状態
凝固血栓(赤色血栓)
・析出血栓から凝固血栓へ行こうする間にみられる血栓
混合血栓(赤と白が交互に層になる)
・大きな血栓は上流から下流の純で
頭部:白色
中間部:混合
尾部:赤色

(2)血栓形成の条件
・通常、血管内では凝集を起こさない血液が、血栓が形成されるようになる条件を
ウィルヒョウの3条件
・ウィルヒョウの3条件とは
血流の変化
血管壁の変化
血液性状の変化
・血流の変化
・血栓ができやすい血流の状態
血流の停止や緩やかになること
動静脈瘤の部位でのうず巻き
・血流の緩やかな静脈は動脈の何倍血栓ができやすいか
3~4倍
②血管壁の変化
・血管壁にある血液凝固抑制物質の冷
ヘパリン
・血液凝固抑制を阻害し、血栓をできやすくする血管壁の状態
血管内皮の障害(血管炎、動脈硬化)
血管壁が脂肪で覆われる
③血液性状の変化
・血中にトロンボプラスチンやトロンビンが増加し、血栓をできやすくする疾病
胎盤早期剥離、流産
悪性腫瘍、外傷
血管内溶血、羊水エンボリ
・血液凝固活性物質の増加により、全身の細血管に多数の血栓が形成された状態
汎発性(播種性)血管内凝固(DIC)
・血液凝固因子を活性化し、血栓が形成されやすくなる感染症の原因
エンドトキシン
(3)血栓の運命(転帰)
・血栓の経時的変化
器質化
再疎通
軟化
化膿
石灰化
・器質化とは
血栓全体が肉芽組織に置き換えられた状態
(血管狭窄、血管そのものの索状物化などが起こる)
・再疎通とは
肉芽組織の中の新生毛細血管が、不完全ながら肉が組織を貫いて血流が回復した状態
(器質化の過程で起こることがある)
・軟化とは
血栓が蛋白融解酵素の作用で軟化、融解すること
・軟化によって引き起こされる危険
血栓の破片が下流の細い血管で閉塞を引き起こす
・化膿とは
血栓に化膿菌が感染して軟化すること
・石灰化
器質化下血栓に石灰分が付着したもの
・石灰化は動脈、静脈いずれに多くみられるか
静脈(静脈石という)

2)塞栓症
・血液に溶解しない異常物質
塞栓(栓子)
・塞栓によって血管が閉塞され血流を妨げている状態
塞栓症
(1)塞栓(栓子)の種類
・塞栓(栓子)の種類
血栓、、脂肪
空気、窒素ガス
細胞
細菌、寄生虫
腫瘍
・閉塞の原因で最も多いのは
血栓
・閉塞を引き起こす血栓
剥離した血栓
軟化崩壊した破片
・脂肪塞栓の原因
外傷、外科手術
(脂肪組織が遊離して静脈に入る)
・空気塞栓の原因
外傷、外科手術
(陰圧になっている太い静脈に起こる)
・窒素ガス塞栓による疾病
潜函病
・細胞、組織塞栓の原因
心内膜炎(弁の一部がちぎれる)
流産、早産(胎盤組織が母体の血管に入る)
骨折(骨髄組織が血管に入る)
・細菌の塊が塞栓になる場合もある
・塞栓の原因となる寄生虫
日本住血吸虫(門脈系に入って肝循環を妨げる)
(5)塞栓症の種類
・塞栓症の分類
静脈性塞栓症
動脈系塞栓症
逆向性塞栓症
交差性塞栓症(奇異な塞栓症、逆説性塞栓症)
・静脈性塞栓症ではどこで塞栓がつまるか
肺動脈の末梢
(静脈で生じた塞栓)
・動脈性塞栓症ではどこで塞栓がつまるか
動脈の末梢部
(大動脈や左心室から生じた塞栓)
・逆流性塞栓症の機序
静脈内の塞栓が逆流時に上流の狭い部でつまる
・静脈の逆流が起こる原因
激しい咳、深呼吸
(胸腔内静脈で起こる)
・交差性塞栓症が起こる状態
心臓中隔欠損
(静脈でできた塞栓が動脈に入って動脈性塞栓症を起こす)

(3)塞栓症の結果(転帰)
・塞栓症によって血管の末梢域に起こること
貧血
・特に、塞栓症が起こることでその支配領域が壊死に陥る血管
終動脈
・終動脈で起こった塞栓症を
梗塞
・普通の塞栓は、やがて血管壁からの肉が組織の増殖によって器質化する
・微生物や腫瘍からなる塞栓は、つまった部位で何を引き起こすか
新たな転移巣を作る
・死に至る空気塞栓の量
100ミリリットル
(少量なら血管壁に吸収される)

3)梗塞
・梗塞とは
終動脈に閉塞が起こり、その支配領域に限局性の壊死を起こすこと
・梗塞の原因の主なもの
血栓、塞栓がほとんど
(1)梗塞の分類
・梗塞の分類
貧血性梗塞
出血性梗塞
①貧血性梗塞
・貧血性梗塞の別名
白色梗塞
・貧血性梗塞とは
動脈の閉塞によって限局性の貧血が起こり、局所組織が壊死するもの
・貧血性梗塞の患部の色
灰白色
・貧血性梗塞の例
心筋梗塞
脳梗塞
腎梗塞
②出血性梗塞
・出血性梗塞の別名
赤色梗塞
・出血性梗塞とは
梗塞によって壊死した組織に周囲から血液が流れ込み、患部を亜核染めるもの
・出血性梗塞が起こりやすい臓器
肺、肝臓
・なぜ肺や肝臓に出血性梗塞が起こりやすいか
栄養血管の閉塞による梗塞部に、機能血管からの血液が流入するため
・その他出血性梗塞を起こしやすい臓器
うっ血をおこしている臓器の梗塞
・うっ血を起こしている臓器の梗塞の例
絞扼性腸閉塞
卵巣嚢胞捻転部の梗塞
(2)梗塞の転帰
・小さい梗塞の転帰
壊死組織が融解吸収される
マクロファージによって貪食される
(ほとんど痕を残さずに治癒)
・大きい梗塞の転帰
壊死組織が肉芽組織によって吸収、被包、線維化される
・出血性梗塞の転帰の特徴
患部に血鉄素の沈着が顕著

■5)側副循環(傍側循環)
・側副循環とは
ある場所に閉塞や狭窄が起こった場合、血液はその部の前後を連絡する吻合枝を流れるようになり、循環の回復がみられること(吻合枝はしだいに拡張、血流増加)
(吻合枝がある場合にのみ起こる)
・側副循環で血流回復に関係した吻合枝
側副路(傍側路)
・動脈では側副循環の形成は普通見られない
・最初から多くの吻合枝を有する稀有な動脈
腸間膜動脈
・動脈に比べ、静脈波一般に多数の吻合枝を有する
・小静脈の閉塞の結果
循環にほとんど支障をきたさない
・大静脈の閉塞の結果
著名な側副循環がみられる
(1)下大静脈の通過障害
・下大静脈圧迫の原因
腹水、腫瘍、妊娠子宮など
・下大静脈通過障害で形成される側副路の経過
下肢の静脈→
外腸骨静脈→
鼡径部付近の皮下静脈→
側腹部、側胸部の皮下静脈→
腋窩静脈から上大静脈にそそぐ
(2)門脈の通過障害
・門脈の通過障害で形成される側副路3種
食道下部に向かう側副路
臍周囲に向かう側副路
肛門周囲に向かう側副路
①食道下部に向かう側副路
・食道下部に向かう側副路の経過
胃周囲の静脈→
食道静脈→
上大静脈
・この側副路によって静脈瘤が起こる部位
食道の粘膜下層にある静脈
(破裂すると大量出血、死に至ることも)
②臍周囲に向かう側副路
・臍周囲に向かう側副路の経過
臍静脈(胎児の時に機能していた)→
臍周辺の皮静脈→
上大静脈または下大静脈
・この側副路形成によってみられる、臍を中心に放射状に怒張し、蛇行した皮静脈
メズーサの頭
③肛門周囲に向かう側副路
・肛門周囲に向かう側副路の経過
下腸間膜静脈、上直腸静脈→
痔静脈、内陰部静脈→
下大静脈
・肛門周囲に向かう側副路の形成によって起こること
痔静脈の怒張(疼痛、出血)

◎第2節 リンパの循環障害
■1)水腫(広義の)
・水腫とは
組織間隙や体腔内に異常に多くの組織液が貯溜した状態
・体重に占める水分の割合
60%(細胞内液40%、細胞外液:20%)
・組織内に起こる水腫
狭義の水腫
・体腔内に起こる水腫
腔水腫
・皮下に起こる水腫
浮腫
1)組織液の生成機序
・組織液とは
毛細血管の動脈側から血液の水分、塩類、膠質の一部が漏出したもの
・組織液はどこで再吸収されるか
大半は毛細血管の静脈側
一部は毛細リンパ管
・リンパ管はしだいに集まり局所リンパ節に流入
・局所リンパ節で行われること
大食細胞や細網組織などによる濾過
免疫グロブリンやリンパ球が加わる
・最終的なリンパの経過
胸管、右リンパ本幹←左右の静脈角で静脈と合流
・水腫の起こる原因
血液成分の漏出過剰
組織液の血管やリンパ管への吸収障害
・水腫の原因6種
毛細血管内圧の上昇
組織圧の低下
血液膠質浸透圧の低下
組織液膠質滲透圧の上昇
毛細血管壁の透過性亢進
リンパの環流障害
・水腫の分類
うっ血性水腫
腎臓性水腫
消耗性水腫
血管神経性水腫
補腔性水腫
リンパ灌流障害性水腫
内分泌性水腫
化学性水腫
炎症性水腫
①うっ血性水腫
・うっ血性水腫の原因
うっ血が持続することによって毛細血管内圧が高まることによる
・うっ血性水腫を引き起こす疾患
心臓の機能障害
肝硬変などによる門脈圧の亢進(腹水)
・心臓の機能傷害では一般にどこから水腫が始まるか
下肢
・うっ血性水腫が高度になるとどこに水腫が起こるか

・肺に水腫が起こるとどうなるか
呼吸困難
②腎臓性水腫
・腎臓性水腫の機序
尿中に蛋白が排泄されるような疾患で
血漿蛋白(主にアルブミン)が著しく減少する
血液の膠質滲透圧が低下する
・腎臓性水腫の原因疾患
急性腎炎、ネフローゼ症候群など
・腎臓性水腫が初めに現れる部位
眼瞼(阻止気圧が低いので)
③消耗性水腫
・消耗性水腫の別名
飢餓浮腫
悪液性水腫
・消耗性水腫の機序
血中アルブミンが減少して膠質滲透圧が低下
血管壁の透過性亢進
血液循環障害
・消耗性水腫の原因
慢性の消耗性疾患
悪液質
老衰
栄養不良
・全身性の水腫を起こす
④血管神経性水腫
・血管神経性水腫の別名
充血性水腫
・血管神経性水腫の機序
血管運動神経の機能異常により
局所的充血が起こり
血管内圧が上昇
・血管神経性水腫の例
クインケの浮腫
帯状疱疹
⑤補腔性水腫
組織臓器の萎縮によって腔所ができ、組織内圧が低下することによる
・補腔性水腫の例
脳萎縮に伴う能水腫
⑥リンパ灌流障害性水腫
・リンパの流れが妨げられることによる水腫
・リンパ灌流障害性水腫の原因
リンパ管の圧迫
フィラリア虫などによる閉塞
外科手術に伴うリンパ管の結紮
・リンパ灌流障害性水腫の例
鼠径リンパ節の通過障害による下肢の象皮病
⑦化学性水腫
・化学性水腫の原因
細菌毒素、昆虫毒、アルカロイドなど
・上記の原因物質によって血管透過性が亢進する
・化学性水腫の例
虫笹レの時の水泡
⑧内分泌性水腫
・内分泌性水腫に関わるホルモン
副腎皮質ホルモン
・副腎皮質ホルモンの働き
Naの蓄積促進
(ナトリウムとともに水が身体にたまる)
・内分泌性水腫の例
満月様顔貌(クッシング病、症候群)
⑨炎症性水腫
・炎症性水腫の原因
炎症による充血、血管壁の透過性亢進
・炎症性水腫の例
胸膜炎、腹膜炎の際の胸水、副膵
関節縁の際の関節腔内水腫
・炎症の際組織間隙に貯留する液
浸出液
(水腫の漏出液とは異なる)
・滲出液の比重と蛋白量
1.015以上でたんぱく質4%以上
漏出液はそれ以下のものをいう

3)水腫の徴候と転帰
・水腫部位の色、温度
色:蒼白
温度:低下
・組織容積と硬度
容積:増加
硬度:低下(弾力性を失う)
・組織臓器の機能
機能は低下
(圧迫されて貧血状態となる、持続すると萎縮)
・浮腫の特徴
指圧による圧痕を残す

■2)脱水症
(1)脱水症の意義
・脱水症とは
体内から水分またはナトリウムが減少した結果、体内の水分平衡に失調をきたすこと
・脱水症が高度になると起こること
循環障害、血圧低下、ショック状態
・一般に体重の何割の水分を失うと死亡するとされるか
15%
(2)脱水症の分類
・脱水症の分類
高張性脱水症
低張性脱水症
・高、低張性脱水症の別名
高張性脱水症:一次的脱水症
低張性脱水症:二次的脱水症
・高張性脱水症の原因
高度な発汗、多尿
・高張性脱水症のみられる疾患、状態
尿崩症
糖尿病
・高張性脱水症の機序
水分補給の不足
→組織外液の塩分濃度上昇
→細胞内の水分が細胞外へ移動
→細胞内脱水症
・高張性脱水症の症状
強い口渇感
皮膚感想(ゴムのような感触)
発熱
②低張性脱水症
・低張性脱水症の原因
高張性脱水症の際水分のみを補給
利尿剤の過剰投与
→細胞外液塩分(Na)濃度の低下
・低張性脱水症の機序
細胞外液塩分(Na)濃度の低下
→水分が細胞内へ移動
・細胞内へ水分が移動した状態を
細胞浮腫
・低張性脱水症の際の排尿
抗利尿ホルモンの分泌抑制により尿量増加
細胞外液がさらに減少
・低張性脱水症の臨床症状
口渇は強くない
発熱は起こらない
皮膚緊張の低下
・皮膚緊張の低下を示す症状
前腕、大腿伸側部を大きくつまみあげると山のようにひだが残る





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