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臨床医学総論ノート08「神経系の検査」

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■1)意義と方法
知覚、運動、自律神経系の異常を知るために行う検査
■2)知覚検査
1)意義
知覚障害の種類、程度、範囲を調べ、その原因を探ることがじゅうようである
・知覚の種類
皮膚感覚(痛覚、温度覚、触圧覚)、深部感覚
・知覚障害の程度(パターン)
過敏、鈍麻、脱失
2)知覚検査
★方法と注意点
・会話形式で行う
・正常部と異常部の境界に注意する
・左右対称に同じ強さで行う
・深部知覚や複合知覚検査は、閉眼させて行う

(1)表在知覚検査(皮膚感覚検査)
①表在知覚検査の実際
・痛覚検査
ピンや鍼で皮膚を軽くついて行う
・温度覚検査
試験管にお湯(40~44度程度)または冷水(5~10度程度)を入れて皮膚にあてる
・触覚検査
薄紙、毛筆、ルーレットなどで軽く触れて行う
・圧覚検査
指頭、鉛筆などで圧迫する
★p65のデルマトーム参照
②原因疾患
ア.末梢神経障害
・単神経炎
単一の末梢神経の障害で支配領域に一致した知覚障害が起こる
・多発性神経炎
左右対称性で手袋・靴下型の知覚障害が現れる
ギラン・バレー症候群、糖尿病、脚気などでみられる
イ.神経根障害
その神経根が行き着く支配領域に障害が現れるもの
椎間板ヘルニア
変形性脊椎症
ギランバレー症候群
ウ.脊髄障害
傷害された部より下に運動野感覚の障害が起こる
脊髄腫瘍、脊髄損傷
脊髄空洞症、脊髄ろう(梅毒の症状の一つ)などでみられる
☆脊髄空洞症:中心管が拡大し、周囲の伝導路を圧迫する。痛覚、温度覚のみの障害(触覚を除く)
エ.中脳以上の脳障害
左右どちらかの半身の全知覚障害
脳梗塞などでみられる

(2)深部知覚検査
運動覚、位置覚、振動覚について検査する
①深部知覚検査の実際
ア.運動覚と位置覚の検査
患者の関節を他動的に動かし、その動きを答えさせたり、実際に導差させたりする(閉眼させる)
イ.振動覚の検査
C音叉を鎖骨や肘頭など、骨の突出部にあて、音叉の振動時間を聞く
☆被験者が感じなくなるまでの時間を測る
正常では15秒前後
②深部知覚障害の原因疾患
異常があった場合は概ね表在知覚検査と同じである
深部知覚の減弱や消失は脊髄の後索障害で現れる(脊髄癆など)

(3)複合知覚検査
①複合知覚検査の実際
ア.二点識別覚検査(二点弁別閾検査)
皮膚の二点を同時に刺激してそれが二つの刺激であると識別できるかをみる
イ.皮膚書字試験
手掌などに簡単な字を書いて
ウ.立体認知試験
日常よく使うものを触らせ、それを答えさせる
エ.重量覚の検査
明らかに重さの違うものを持たせ、どちらが思いか答えさせる
②複合知覚障害の原因疾患
末梢伝導路に障害がないのに、複合知覚検査に異常がみられる場合は、頭頂葉などの高位中枢障害(大脳皮質障害)を疑う

(4)反射検査方
表在反射、深部反射、病的反射、自律神経反射について調べる
・注意事項
必ず左右を検査する
①表在反射
皮膚や粘膜への刺激により、筋収縮が見られる反射で、多シナプス反射である
減弱、または消失する
末梢神経障害で見られる。錐体路障害でも減弱
☆錐体路:随意運動の伝導路
・表在反射の例
角膜反射(まばたき反射)
腹壁反射
挙睾筋反射
②深部反射(伸張反射、腱反射)
筋や腱を叩打するとその筋が収縮する反射で、筋紡錘が受容器となる、単シナプス反射である
固有反射ともいう
・深部反射の判定と表記
正常:+
減弱:±
消失:-
軽度亢進:++
亢進:+++
高度亢進:++++
ア.深部反射の異常
・減弱または消失
反射弓のどこかの障害による
末梢神経疾患、脊髄疾患、多発性神経炎などでみられる
・反射亢進
錐体路障害(中枢系への損傷が疑われる)
脳血管障害、筋萎縮性側索硬化症などで見られる
イ.深部反射の例
下顎反射、眼輪筋反射、上腕二頭筋反射、上腕三頭筋反射、腕橈骨筋反射など
膝蓋腱反射、アキレス腱反射など
ホフマン反射、トレムナー反射、ワルテンブルグ反射は正常では非常に微弱なので、陽性では反射亢進とみなされる
・反射とその支配神経根
上腕二頭筋反射:C5
腕橈骨筋反射:C6
上腕三頭筋反射:C7
膝蓋腱反射:L4
アキレス腱反射:S1

③病的反射
健康人には見られないが、錐体路障害で出現する反射をいう
乳児期(生後半年程度)には正常でも見られる
病的反射出現時には深部反射も亢進している
・バビンスキー反射
刺激:足底の外側をこする
結果:母指の背屈、四指の外転が見られる
・チャドック反射
刺激:足の外果後下部をこする
結果:バビンスキーと同じ
・オッペンハイム反射
刺激:脛骨内側面をこする
結果:バビンスキーと同じ
・シェファー反射
刺激:アキレス腱を強く握る
結果:バビンスキーと同じ
・ゴルドン反射
刺激:腓腹筋を強く握る
結果:バビンスキーと同じ
・足クローヌス
刺激:足関節を強く背屈
結果:底屈背屈を交互に繰り返す
下腿三頭筋の伸展をきっかけとする深部反射
・膝クローヌス
刺激:膝を伸展し膝蓋骨を引き下げる
結果:膝蓋骨が上下に動く
大腿四頭筋の伸展をきっかけとする深部反射

(5)脳神経の検査法 P.81
Ⅰ.嗅神経
 嗅覚検査を行う。一般的には非刺激性で匂いのある物質を用いる。
①方法
・T&Tオルファクトメータによる基準嗅覚検査(重要でない)
5種の嗅素を用いて8段階の希釈濃度をつくる。薄い溶液からかがせ、初めて嗅感の起こった濃度を調べる。
・静脈性嗅覚検査
通常プロスルチアミン注射液を静脈より注入し、嗅感の起こり方を調べる。
②嗅覚の異常
・嗅覚の低下・脱失
末梢神経障害、鼻疾患、老化、
脳腫瘍、脳血管障害

Ⅱ.視神経
視力、視野、眼底について検査する。
①視力検査
 視力表(ランドルト環など)で検査を行い、裸眼視力と矯正視力を計る。視力表が見えなければ眼前指数・眼前手動・光覚・視力0と評価する。
②視野検査
ア.検査法
視野計を用い、一点を固視したときに視標のみえる範囲を測定する。
・静的視野検査:視標を静止させて測定する。
・動的視野検査:視標を動かしながらみえ始める点を求める。
・中心視野検査:30°以内の検査を行う。
イ.視野の異常
a.中心暗点
 球後視神経炎、中心性脈絡網膜炎、黄斑変性
☆球後視神経炎:梅毒などで見られる
b.束状暗点
 緑内障
c.求心性視野狭窄
 網膜色素変性症、ヒステリー
d.半盲
・異名半盲
左右眼でそれぞれ反対側の視野が欠損する場合で、両耳側半盲と両鼻側半盲に分けられる。
視交叉部の障害(両耳側半盲が多い)
・同名半盲
両眼で同じ側の視野が欠損する場合をいい、右側半盲と左側半盲がある。
視交叉部より中枢側の視路障害
③眼底検査
検眼鏡を用いて乳頭、血管、網膜、出血、黄斑部をみる。
・うっ血乳頭:視神経乳頭の非炎症性浮腫。
脳腫瘍、クモ膜下出血、低眼圧、眼窩内腫瘍
☆脳圧亢進症状の一つ
・視神経萎縮
視神経の外傷、炎症、変性、脱髄、虚血、圧迫
☆脱髄:髄鞘が脱落すること
・網膜の血管性病変
動脈硬化症、糖尿病の診断に有効。
・網膜色素変性:骨小体様色素斑が特徴的。
・チェリーレッドスポット
網膜後極部は灰白色混濁、中心窩は鮮紅色を呈する。
テイ・サックス病

Ⅲ.動眼神経・滑車神経・外転神経
①外観及び眼球運動の検査法
☆外転神経:外側直筋
滑車神経:上斜筋
動眼神経:内側直筋、上下直筋、下斜筋、上眼瞼挙筋
ア.外観の観察
眼裂の左右差、眼瞼下垂の有無をみる。
・眼瞼下垂:上眼瞼挙筋や上瞼板筋の麻痺による。
 動眼神経麻痺、ホルネル症候群、重症筋無力症
イ.眼球運動検査
眼前40~50cmで検者の指またはペンライトを各方向(8方向)に、あるいは遠くから眼前に動かして注視させ、眼筋麻痺の有無をみる。
・複視:像が二つに離れて見える状態。
外眼筋麻痺(両眼性)、白内障・強度乱視(単眼性)
②瞳孔検査
瞳孔の形状や大きさ、左右差、対光反射をみる。
・縮瞳
モルヒネ中毒、ホルネル症候群
・散瞳
動眼神経麻痺、ショック、バセドウ病、アトロピン点眼
・アーガイル・ロバートソン徴候
神経梅毒(進行性麻痺・脊髄癆)
☆対光反射が消失し、輻輳反射、近見反応が正常な状態をいう
・絶対性瞳孔硬直
神経梅毒、外傷
☆瞳孔が開閉しない
③眼位(眼筋麻痺)
ア.外斜視
 動眼神経麻痺
イ.内斜視
外転神経麻痺
ウ.共同偏視:両眼が同じ方向に偏位している状態。
・水平性共同偏視
病巣側をにらむ:中脳より上の破壊性病変
病巣側の反対をにらむ:小脳の破壊性病変
正中位固定:橋の破壊性病変
・垂直性共同偏視
  下方をにらむ:視床出血
  上方をにらむ:てんかん発作、睡眠中
エ.人形の目現象
頭部を左右に回旋させると、眼球はもとの位置に保たれる現象。意識障害患者で、この反射が正常であればその原因は動眼神経核より上(大脳の両側性の障害)、消失していれば原因が動眼神経核より下にあることを示す。

Ⅴ.三叉神経
①知覚検査
第1枝・第2枝・第3枝に分けて検査する。
②反射検査
角膜反射・下顎反射を検査する。
③運動機能検査
口を大きく開けさせて、下顎の偏位をみる。
麻痺側への下顎の偏位:咀嚼筋麻痺

Ⅵ.顔面神経
①運動機能検査
・顔面の非対称の観察:鼻唇溝の消失、健側口角の挙上
・上を見るよう命じて額にしわを寄せさせる。(前頭筋)
・閉眼させる。また閉じた眼瞼を開いてみる。(眼輪筋)
・口唇をすぼめ口笛を吹かせてみる。(口輪筋)
・口角を下方へ引かせへの字にさせる。(広頚筋)
②味覚検査
舌の前2/3の味覚検査をする。舌の一側に味溶液を舌にのせ、味についてきく。
③その他
涙腺・唾液腺の検査
④顔面神経麻痺の種類
ア.末梢性(核下性)顔面神経麻痺
・麻痺側の前額にしわを寄せられない。
・閉眼出来ない。
・口唇をすぼめたり、口笛を吹くことができない。
・ベル現象や兎眼がみられる。
☆無理やり閉眼すると眼球が上を向くもの
・味覚障害や唾液分泌障害を伴うことがある。
イ.中枢性(核上性)顔面神経麻痺
・前額部にしわを寄せることができる。
☆中枢では左右の脳の両側性の支配を受けているので、片方脳が障害されても麻痺が出にくい
・味覚障害や唾液分泌障害はみられない。
☆中枢が延髄など中枢部以下にあるので

Ⅶ.聴神経(内耳神経)
①聴力検査
オージオメータやC128音叉、時計などを用いたり会話により検査する。
☆オージオメータ:聴力検査のための装置
★難聴:聴力が低下した状態
・伝音性難聴:外耳や中耳の障害による。
・感音性難聴:内耳や求心路、中枢の障害による。
ア.ウェーバー試験
C音叉を振動させてから被験者の前額部あるいは頭頂部の正中にあて、きこえ方を調べる。正常では音が左右差なく聴こえる。
・患側で大きく聴こえる:伝音系難聴(骨伝導が強くなる)
・健側で大きく聴こえる:感音系難聴
イ.リンネ試験
C音叉を振動させてから患耳の乳様突起に当てる。音が聴こえなくなると、音叉の先端を外耳孔に近づけて再び音が聴こえるかどうかを検査する。
・骨伝導より空気伝導の方が長く聴こえる(リンネ陽性)  正常、感音系難聴
・音叉の先端を近づけても音は聴こえない(リンネ陰性)  伝音性難聴
②前庭機能検査
平衡機能や眼振の有無をみる。
ア.平衡機能検査
閉眼して上肢の運動・起立・足踏み・歩行などをさせる。
偏位・転倒:偏位側の小脳や前庭の障害
☆平衡感覚に関わる3つの感覚
深部感覚、視覚、平衡感覚
イ.眼振検査
注視眼振検査、頭位眼振検査、頭位変換眼振検査、温度眼振検査、回転検査などを行う
☆注視眼振検査:何かを見つめさせる
頭位眼振検査:特定の頭の位置にしたときに眼振が出る
頭位変換眼振検査:頭の位置を変えると眼振がでる
温度眼振検査: 外耳道に水を入れる。眼振が起こらない方が異常
回転検査:回転いすに座らせて回転させる。眼振が起こるのが正常
前庭性眼振は注視により抑制されるので、検査時にはフレンツェル眼鏡をかけさせて注視できないようにする。
☆フレンツェル眼鏡:すりガラスのようになっていて見えない

Ⅸ.舌咽神経・迷走神経
①運動機能検査
構音障害、発声障害、嚥下障害の有無をみる。
☆声帯筋を支配するのは反回神経
ア.口を開け発音させて軟口蓋・口蓋垂・咽頭壁の運動を観察する。
・軟口蓋や口蓋垂の偏位:迷走神経障害
・無声、嗄声:迷走神経障害
イ.水を飲ませる。
・鼻への逆流、嚥下障害:軟口蓋麻痺(迷走神経障害)
②知覚検査
咽頭周辺の知覚を舌圧子で調べる。
③反射検査
口蓋反射、咽頭反射をみる。
④自律神経機能検査
頚動脈洞反射、アシュネル反射をみる。

ⅩⅠ.副神経
上部僧帽筋、胸鎖乳突筋の運動機能をみる。
①上部僧帽筋の検査
 肩に手を当て、これに抗して肩を挙上させる。麻痺があると肩の挙上が出来ない。
②胸鎖乳突筋の検査
 胸鎖乳突筋に検者の手を当て、回転させないように抵抗を加えながらそれに抗して頭を左右に回転するよう命ずる。一側性の末梢性障害の場合は、頭を健側へ回転できない。

ⅩⅡ.舌下神経
舌筋の筋力やなめらかさを検査する。
①頬部粘膜に舌尖をおしつけ頬より突出させるよう命じ、 外から指で触れて筋力をみる
②舌を口の外に出させて舌の偏位の有無をみる。
核下性麻痺では病巣側へ、核上性麻痺では反対側へ偏位する。
③萎縮、線維束性攣縮、不随意運動の有無をみる。
☆線維束性攣縮:末梢神経麻痺でみられる、100~200単位の筋が収縮する現象。大きな筋の中の一部だけが収縮する。ピリピリと感じる

(6)自律神経機能検査法
自律神経反射を応用して自立機能をみる
①アシュネル眼球圧迫試験
非検者を閉眼させ、両眼または片眼を瞼の上から指頭で圧迫する。10~15秒間圧迫し、これを3~4会繰り返す
正常では6~8/分の脈拍減少をみる
10/分以上減少(陽性):副交感神経緊張亢進

②ツェルマク・ヘーリング頚動脈洞圧迫試験
一側の頚動脈洞部を指で圧迫する試験で、徐脈と血圧下降が起こる
10/分以上の脈拍数現象、めまい(陽性):副交感神経緊張亢進、自律神経不安定

③体位変換試験(シェロング試験)
仰臥位から座位または立位になった時の脈拍数、血圧の変化をみる試験
正常では起立直後に脈拍数は10~20/分増加し、最高血圧は10mmHg以内の下降、最低血圧は5~10mmHgの上昇がみられる
またこの変化は2分以内に前値に復帰する
脈拍の変動大、血圧下降:自律神経不安定

④皮膚紋画症(皮膚描記症)試験
ハンマーの柄などで前胸部や背部の皮膚を擦過する試験
・6~10秒後に赤色の線条が出現:自律神経不安定
・6~10秒後に白色の線条が出現:アトピー性皮膚炎

⑤寒冷昇圧試験(ハインズ・ブラウン試験)
☆カタカナ名前は重要でない
☆内容はあまり重要でない
まず30分間以上の安静臥床後に血圧を測定する
次に一側の手を手関節上部まで4℃の冷水に浸し15秒毎に他側の上肢で血圧測定する
さらに1分後に冷水から手を出し、1分間隔で血圧測定し、血圧が元に戻るまでの時間を測定する
正常では、最高血圧が12mmHg、最低血圧が10mmHg程上昇し、2分程度で回復する
最高血圧20、最低血圧15mmHg以上の上昇、回復時間の延長:交感神経緊張亢進

⑥その他
ア.心電図R-R間隔変動係数
安静臥位で、100拍の心電図のR-R間隔変動係数を求める
イ.ピロカルピン試験
ピロカルピン溶液を皮下注射氏、その1時間後の反応を観察する
ウ.アトロピン試験
アトロピン溶液を皮下注射、その後の脈拍変化を観察する
エ.アドレナリン試験
 アドレナリン溶液を皮下注射し、その後の脈拍・血圧・呼吸の変化を観察する。
オ.コカイン・エピネフリン試験
コカイン、及びエピネフリンを点眼して瞳孔反射をみることで
交感神経と副交感神経の障害部位の診断を行う。
カ.質問紙による検査
CMI健康調査表
1949年に作成された心身全般の健康調査表
・深町変法:計195項目の質問票で、神経症の診断に有用。
・阿部変法:計94項目の質問票で、自律神経失調の診断に有効。

(7)髄膜刺激症候
・髄膜に刺激が加わったときに、みとめられる症状をいう
・疾患
髄膜炎、クモ膜下出血
・自覚症状
頭痛、悪心嘔吐、発熱
・他覚症状
項部強直
…頚部を前屈させると強い抵抗がある
ケルニッヒ徴候
…仰臥位で股関節、膝関節を90度屈曲し、ついで膝関節を伸ばすと疼痛を訴えて伸展が困難となる現象
ブルジンスキー徴候
…下肢を伸展させた仰臥位の患者の頭を、他動的に全屈させると、股関節、膝関節が屈曲する現象

■3)運動機能検査
1)運動麻痺
運動中枢から筋線維に至るまでの伝導路のどこかに障害があり、随意運動が困難または不能になった状態という
☆運動中枢:大脳皮質の中心前回にある運動野
・中枢から出ている1本眼の神経
上位運動ニューロン
・脊髄に神経細胞を持つ二本目の神経
下位運動ニューロン
☆錐体路の経路(外側皮質脊髄路(錐体側索路))
大脳皮質の運動野から内包をとおり、中脳の大脳脚をとおり
延髄で膵体を形成
延髄下端で交叉する(=錐体交叉)
そこから下行し、側索、前角に行き(起点と反対側)、シナプスを形成
そして筋に達する(シナプスあり、神経筋接合部)

(1)分類
①麻痺の性状による分類
ア.痙性麻痺
筋緊張亢進状態での麻痺
上位運動ニューロンの障害によって起こる
深部反射の亢進、病的反射出現
筋萎縮なし
イ.弛緩性麻痺
下位運動ニューロン障害によって起こる
深部反射減弱または消失
病的反射は出現しない
筋萎縮が著名に現れる
②麻痺の程度による分類
ア.完全麻痺
随意運動が全くできない状態
イ.不全麻痺(不完全麻痺)
随意運動が困難な状態
③麻痺の部位による分類
ア.単麻痺
一側の上肢または化しのみの運動麻痺をいう
中枢性の障害、末梢性の障害、両方ありえる
イ.片麻痺
一側上下肢の運動麻痺をいう
内包付近の脳血管障害
ウ.対麻痺
両下肢の運動麻痺をいう
頚髄より下の脊髄障害
エ.四肢麻痺
四肢の運動麻痺
頚髄損傷によるものが多い

3)不随意運動
自分の意思に関係なく生じる運動で、錐体外路障害によるものが多い
(1)振せん
いわゆる振るえのことで、比較的規則的な運動である
①安静時振せん(静止時振せん)
パーキンソン病などで見られる
②運動時振せん
ア.姿勢振せん
一定の姿勢を保持したときに
・羽ばたき振せん
両上肢を側方水平挙上させると起こる振せん
ウィルソン病(肝レンズ核変性症)、肝性脳症などで見られる
・動作時振せん
・企図振戦
ある動作の開始時や終了時にみられ、特に運動の終わりに増強する振せんである
小脳疾患で見られる

(2)舞踏病様運動
四肢末端、体幹、頚部、顔面におよぶ不随意運動で、不規則で非対称性の急速な短時間の動きをする
・ハンチントン舞踏病
遺伝性の疾患
・シデナム舞踏病
リウマチ熱に伴って起こる
・アルコール中毒、妊娠などでもみられる

(3)アテトーゼ
持続的で粗大な舞踏病より遅い不随意運動である
大脳基底核の病変による

(4)ジストニア(ジストニー運動)
関節、特に脊中の高度の屈曲、捻転を伴う不随意運動
線条体の変性でみられる

(5)ミオクローヌス
突然に起こる急速で短時間の不規則な不随意的収縮
☆ミオクローヌス:筋 間代という意味

(6)チック
心因性の不随意運動

4)筋萎縮、筋の硬度、圧痛、線維束性攣縮、仮性肥大、ミオトニア
(1)筋萎縮(重要)
筋束の径が小さくなった状態
①分類
・廃用性萎縮
運動が行われない時に見られる萎縮
長期臥床、ギプス固定
・神経原性萎縮
下位運動ニューロン障害による筋萎縮をいう
四肢遠位部に有意に起こる(末端から萎縮が起こる)
・筋原性萎縮
筋自体の異常によるもので、四肢近位部優位である
進行性キンジストロフィー症

(2)線維束性攣縮
一つの前角細胞に支配される筋線維群にみられる、急速な不随意的収縮をいう
下位運動ニューロン障害でみられる
☆線維束=筋線維の束
☆一つの前角細胞は100~200本程度の筋線維を支配
☆筋肉の一宇がひくひく収縮する感じ

(3)仮性肥大(偽性肥大)
容積の増大が正常成分以外のもので占められる場合をいう
デュセンヌ型筋ジストロフィなどで見られる

(4)ミオトニア(筋強直症)
筋が強く収縮した後、弛緩させようとしても、すぐには弛緩されにくい状態をいう
先天性筋緊張症、筋緊張型ジストロフィ症などで見られる

5)筋緊張(トーヌス)
静止している筋が保っている緊張状態をいう
検査は関節を他動的に動かして、そのときの可動範囲や抵抗感をいう
(1)トーヌスの異常
①トーヌスの亢進(重要)
ア.痙直(痙縮)
錐体路障害で出現する筋緊張亢進状態をいう
☆痙性麻痺のこと。深部反射亢進状態、病的反射出現
・ジャックナイフ現象(折りたたみナイフ現象)
他動的に動かすと、最初は抵抗が強いがあるところから急に抵抗がなくなる
最初の抵抗=深部反射の亢進
☆ゆっくり動かしても出現しないことが多い
イ.固縮
錐体外路疾患で出現する筋緊張亢進状態をいう
・鉛管現象
他動的に動かすと鉛の管を曲げるような持続性の抵抗がある
・歯車現象
他動的に動かすときに抵抗ががくがくと断続的にあるもの
②トーヌスの低下
筋が弛緩している状態
末梢神経麻痺、弛緩性麻痺、筋疾患(筋ジスなど)、小脳疾患などによって起こる
・弛緩した筋の特徴
受動性の亢進(他動運動に際して抵抗がない状態)
伸展度の亢進(関節が過伸展する)

6)起立と歩行
姿勢、上肢の動き、不安定性、両足の開き具合などを観察する
(1)爪先歩行、かかと歩行(検査法)
・爪先歩行困難、不能
腓腹筋の筋力低下
・踵歩行困難、不能
前脛骨筋の筋力低下
錐体路障害
☆尖足になるので
(2)つぎ足歩行
つま先に反対側の踵をつける導差を左右交互に行わせて見る
小脳疾患、前庭迷路障害でみられる
→運動失調の徴候の一つ
(3)片足立ち
片足立ちが困難な場合、運動失調が疑われる
(4)ロンベルグ徴候
開眼状態で両足をそろえて立たせ、次に閉眼させて体の動揺をみる
動揺が著しい場合が陽性
深部感覚障害、脊髄後索障害
(5)突進現象
非検者を直立させ検者が前方、左右などに押すと押された方向に倒れる、または突進する現象
パーキンソン病、パーキンソン症候群などでみられる
(6)その他の歩行の異常
①動揺性歩行
腰を左右に振りながら進む歩行
腰帯筋の筋力低下があるときにみられる
進行性キンジストロフィー症などで見られる
☆腰帯筋:腰周りの筋肉全般
②鶏状歩行(鶏歩)
つま先が垂れるのを代償するため、ひざを高く上げて進む歩行
腓骨神経麻痺による。ポリオ、多発性神経炎などでみられる
③片麻痺歩行
伸展した患側下肢が股関節を中心に半円を描くように進む歩行
ぶんまわし歩行とも言われる
脳血管障害の後遺症でみられる
④痙性歩行
両足の膝を突っ張って下肢を伸ばしたまま歩く歩行
脊髄麻痺でみられる
**
⑤小脳性失調性歩行(酩酊歩行、千鳥足歩行)
・つぎ足歩行や踵歩行ができず、フラフラしながら歩くもの。
・小脳疾患でみられる。
⑥脊髄性失調性歩行
・両足を開き、地面に投げ出すように叩きつけながら歩き、
 体幹も動揺する(チンピラ歩き風)。
・脊髄後索障害(深部感覚障害)でみられ、ロンベルグ徴候は陽性を示す。
⑦パーキンソン歩行(小刻み歩行、突進歩行、すくみ足歩行)
・前傾姿勢で歩幅が狭く、小刻みに歩く。
・パーキンソン病、パーキンソン症候群でみられる。
⑧トレンデレンブルグ歩行
・患側で片足立ちすると健側の骨盤が下がり、上体を傾けながら歩く。
・中殿筋麻痺、先天性股関節脱臼でみられる。
⑨ヒステリー歩行
・奇妙な歩き方で、一定の型はない。
・ヒステリー(神経症、ノイローゼ)などでみられる。
⑩間欠性跛行
・歩き始めると疼痛と脾労によって足を引きずり、休息により回復する。
・脊柱管狭窄症、バージャー病(下肢の動脈炎)でみられる。

(7)運動失調
筋力低下や麻痺などの障害がないにも関わらず、多数の筋が協調して行う随意運動が円滑に行えない状態をいう
1)障害部位による分類
①小脳性運動失調
視覚による補正ができない
☆目を開けていても閉じていても運動失調が現れる
・測定異常(推尺異常)
運動を目的のところで止めることができない
・企図振戦
・失調性歩行(酒客歩行)
・構音障害
☆うまくしゃべれないこと
爆発性言語(断綴言語)が見られる
・変換運動反復障害
例)前腕の回内、回外運動を繰り返す運動がうまくできない
②脊髄性運動失調
脊髄後索の障害による運動失調
☆深部間隔障害による運動失調
・ロンベルグ徴候
閉眼すると現れる点が特徴的
③前庭迷路性運動失調
内耳および前庭神経の障害による運動失調
・ロンベルグ徴候陽性
・めまい
・眼球振盪
失調性歩行

2)運動失調の検査
①共同運動障害の検査
・指鼻試験
患者の示指を自分の鼻に当てさせ次に患者の前方に示した検者の示指に触れさせることを繰り返す
運動失調があれば患者の指が正確に目標で泊まらない測定障害が見られる
・踵膝試験
踵を他方の膝にのせ膝から脛骨に沿って足首まで下げさせ、運動が円滑にできるかをみる
・交互変換運動(ジアドコキネーシア)
前腕の回内、回外運動をできるだけ早く行わせる
変換運動困難、不能の場合は小脳失調を疑う
・運動時振戦、企図振せん
例えば指鼻試験で指が目標に近づくにつれて激しく振戦すれば企図振戦といい、小脳障害を疑う
②平衡障害の検査
・ロンベルグ徴候
開眼状態で両足でつま先と踵をそろえて立たせた後、閉眼させると大きく動揺して倒れそうになる場合を陽性とする
脊髄後索や前庭の障害を疑う。開眼状態でも動揺があればロンベルグ徴候陰性とし、小脳性疾患を疑う
・歩行状態の検査
失調性歩行では、つま先歩行ができず体をフラフラさせながら歩く(千鳥足)

(8)関節可動域の測定法
・可動域=RM(Rage of Motion)
・角度計を用いて測定する
・基本肢位は概ね解剖学的肢位
☆基本肢位:関節可動域測定の始点
・他動運動の測定と自動運動の測定があるが、原則として他動運動で行う

(9)徒手筋力検査法
・略称:MMT(Manyual Muscle Test)
・個々の筋の筋力を検者が用手的に評価する方法である
被験者に力を入れさせ、検者がそれに抵抗し、その抵抗に対して運動できるかを見て筋力を段階評価する
・筋力の記載法としてダニエル法が用いられている
①筋力の評価(重要)
・6段階に評価
*筋力5:正常(N:Normal)
100%
強い抵抗を加えても全可動域を完全に動かすことができる
*筋力4:優(G:Good)
75%
多少の抵抗を加えても全可動域を完全に動かすことができる
*筋力3:良(F:Fare)
50%
抵抗を加えなければ重力に打ち勝って全可動域を完全に動かすことができる
*筋力2:可(P:poor)
25%
重力を取り除けば全可動域を完全に動かすことができる
・筋力1:不可(T:Trace)
10%
関節は動かないが、筋収縮は認められる
・筋力0:ゼロ(0)
0%
筋収縮が認められない

(10)日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)
家庭や職場における暮らしの動作をいう
・日常動作の例
体の移動(寝返り、這って動くなど)
、立体応用動作(椅子に座る、しゃがむ、歩行など)
、食事、衣服着脱、整容(洗顔、歯磨など)





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