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臨床医学総論ノート00「臨床医学総論ノート」

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臨床医学総論ノート全文

第1章 診察の概要
■1)診察の意義
患者の精神的異常や肉体的異常を把握し、適切な治療につなげるための医療行為をいう
(1)診察の流れ
問診
→理学的検査(視診、聴診、打診、触診など)
→臨床検査(尿検査、血液検査など)
→診断
→治療
→経過観察

■2)診察の一般的心得
患者が信頼感をよせる人間関係を作る
・話をよく聞く
・身だしなみ、清潔感
・守秘義務

■3)関連用語の理解
①予後
疾病の経過と終末状態を予測すること
・良予後:疾病が治癒していくだろうと予測される状態
・不良予後(予後が悪い):疾病が悪化するような状態
②転帰
病気の経過の行き着くところ(結果)
・治癒:疾病が治ったこと
・死亡
③自覚症状
患者自身が体験している身体的精神的苦痛
④他覚症状
他者が認識できる症状や所見

■4)診察法の種類
5診法
・問診
・視診
・触診
・聴診
・打診

■5)診察の順序
頭、胸部、腹部、鼡径部、外陰部、肛門、四肢、口腔内、舌、隠頭の順に

■6)記録の目的と内容
診察(診療)記録=カルテ=病歴書
①目的
患者の持つ問題点を正確に把握し適切な治療を行うために記録する
☆初診時には比較的たくさんの記録をとる
☆経過(変化)を記録することも重要
②内容
ア.一般的事項
施術年月日、施術者氏名、患者氏名、性別、住所など
イ.問診事項
主訴、現病歴、既往歴、社会歴など
ウ.現症
理学的所見(視診、触診などの結果)、臨床検査データ
エ.治療方法
オ.経過(評価)

===================
第2章 診察の方法
===================
1.問診(医療面接)
■1)意義と方法
1)意義
病状や病歴について質問し、診断の根拠を得る
(2)手順
主訴
→現病歴
→既往歴
→家族暦
→社会歴(生活習慣)

■2)注意事項
患者の人格を尊重する
わかりやすい言葉を使う
カルテに正確に簡潔に記載する
誘導的な質問はしない

■3)主訴
来院のきっかけとなった患者自身の主な苦痛のこと
☆主訴の例
肩こり、腰痛、頭痛など

■4)現病歴
患者の苦痛(主訴)がどのように始まり、現在に至ったかという経過をいう
①発症の日時、様式
いつ、どのように始まったか
②発症時および発症後の状態
症状が持続的か間欠的か
部位が移動したか
症状(痛み)の性質
③主訴以外の症状
④発症の増悪因子と軽快因子
⑤これまで受けた治療

■5)既往歴
現在までの健康状態(すなわち、今までにかかった主な疾病)
手術の有無、アレルギーの有無、予防接種、輸血

■6)家族暦
家族や近親者の健康状態や疾病について

■7)社会歴
患者の生活習慣や生活環境について聞く
職業、食生活、嗜好品(飲酒、喫煙)、常用薬

■8)POS(問題志向型システム)
 患者の医療上の問題点を軸に診療記録を作成し、これを監査し修正しながら患者のケアに当たる一連の作業システムをいう。
 1958年、ウィードにより提唱された。
(1)POSの長所
・患者の持つ問題点の把握が容易である。
・他の医療スタッフと情報を共有できる。
(2)POSの流れ
・問題志向型診療記録(POMR)の作成
・POMRの監査
・POMRの修正
(3)POSの記録方法=問題志向型診療記録(POMR)の作成
①基礎データ
病歴、診察所見、検査データ、患者の生活像など
②問題リスト
基礎データから問題となる点をリストアップする。
経過中に現れた問題点はその都度追記する。
社会的問題、精神的問題も含まれる。
③初期計画
問題リストの各問題点に対しての診断計画、治療計画、教育的計画、患者のケアに必要な諸作業計画を立てる。
④経過記録
叙述的経過ノートと経過一覧表が含まれる。
ア.叙述的経過記録ノート:SOAP方式により叙述式に記録する。
S(subjectives:主観的):主訴や病歴など患者が提供する主観的情報(自覚症状)
O(objectives:客観的):診察所見や検査データなどの客観的情報(他覚症状)
A(assessment:査定):SやOで得られた情報に対する判断、評価
P(plan:計画):治療計画、患者への教育計画
イ.経過一覧表:各種情報や治療内容を経時的に表にしたもの。
(5)最終的経過ノート(退院時要約、治療終了時要約)
 患者が他の医師に手渡される場合や退院時には、最終的経過ノートをつくる。  各問題がどのように解決したか、また治療を続ける場合にはその計画を書く。

2.視診
■1)意義と方法
・意義
患者を見て観察する診察法である
・方法
まず全身観察を行い、のちに局所観察を行う

■2)注意事項
・診察室の環境に注意する
照明、室温
・患者が診察室に入ってきたときから始める
・視診部位はできるだけ濾出させる

■3)全身の観察
(1)病的顔貌(顔つき)
①ヒポクラテス顔貌
やせて、高度の貧血があり、眼がくぼみ、頬がおちて鼻がとがる
死相ともいう
・出現する疾患
消耗性疾患や癌の末期など(重篤な疾患)
☆消耗性疾患:高熱の続く疾患、癌など
②仮面様顔貌
こわばった顔で能面のように表情に乏しい
・出現する疾患
パーキンソン病、パーキンソン症候群
☆パーキンソン病
錐体外路の障害によって発症する
全身の筋肉が緊張する
③満月様顔貌
顔全体が丸く、赤みをおび、多毛となる
・出現する疾患
クッシング症候群(副腎皮質の機能亢進症、糖質コルチコイドの過剰分泌)
ステロイド剤の過使用
★ステロイド剤:抗炎症剤
☆ステロイド剤=糖質コルチコイド
④無欲状顔貌
顔の表情や眼に活気がない。周囲に対して関心を示さない
・出現する疾患
髄膜炎、腸チフスなど、高熱や意識障害を伴う状態
☆髄膜炎:脳脊髄膜の炎症
⑤苦悶状顔貌(重要でない)
しかめ顔
⑥粘液水腫顔貌(重要でない)
顔がはれぼったい(顔に水がたまっている)
・出現する疾患
粘液水腫:甲状腺機能低下症によって出現(成人性の)
⑦蒙古人様顔貌(重要でない)
内眼角贅皮、両眼隔離、鞍鼻などを示す顔貌
・出現する疾患
ダウン症候群
☆ダウン症候群:染色体疾患、身体、知能の発育不全

(2)顔色
・顔面蒼白
貧血の疑いがある
☆唇や眼瞼結膜をチェックする
・顔面潮紅
精神的な高揚
発熱
血圧上昇
赤血球増多症

(3)体型の異常
病理学参照

(4)体格の異常
①巨人症
・診断基準
身長が同性、同年齢の標準身長に比較して、プラス2標準偏差以上に高いもの
ア.疾患
・家族性巨人症
・下垂体性巨人症:成長期の成長ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる
・甲状腺性巨人症:甲状腺ホルモンの過剰分泌により引き起こされる
・脳性巨人症:ソトス症候群
☆ソトス症候群:原因不明で、乳幼児期に過剰な成長を示す
・マルファン症候群:別名クモ指症、遺伝性の秒
・ホモシスチン尿症:代謝異常
②小人症
侏儒症ともいう
ア.疾患
・原発性小人症(真性侏儒):遺伝による
☆原発性:他に原因がないこと
・下垂体性小人症:成長ホルモンの分泌不全
・甲状腺性侏儒:甲状腺ホルモンの分泌不全
★ホルモン性の小人症は、成長期におけるホルモン異常による
★クレチン病は下垂体性小人症と異なり、知能障害を伴う
・ダウン症候群
・ターナー症候群:性染色体異常による疾患
XO症候群とも呼ばれる
・フレーリッヒ症候群
間脳腫瘍による小人症、肥満、性腺発育障害

(5)栄養状態
皮膚の状態、皮下脂肪の量、標準体重との比較により判断する
①標準体重
標準体重=(身長センチー100)×0.9
②判定基準
肥満 :+20%以上
肥満傾向 :+10~20%
普通 :-10~10%
やせ傾向 :-10~20%
やせ :-20%以上
☆ブローカの提唱した標準体重
身長-100
現在の標準体重はこのブローカの標準体重をもとに作られたので、ブローカの変法と呼ばれる
③肥満
<分類>
・単純性肥満(本態性肥満)
食べすぎと運動不足による肥満
☆本態性:その他の疾患などの原因が見られない
生活習慣病につながりやすい
・症候性肥満
二次性肥満ともいう
<肥満を引き起こす疾患>
*内分泌疾患:
クッシング症候群
中心性肥満が見られる(体幹に脂肪が蓄積される)
粘液水腫
*フレーリッヒ症候群
*ローレンスムーンビートル症候群
☆遺伝病、肥満、網膜色素変性症、知能発育障害、性器発育不全などを伴う
④やせ(るいそう)
<分類>
・体質的なやせ
・病的なやせ
<病的なやせが見られる疾患>
*糖尿病
*肝硬変
*悪性腫瘍(癌)
上記のような疾患を「慢性消耗性疾患」と呼ぶ
下痢をきたす疾患も慢性消耗性疾患に含まれる
*内分泌疾患
アジソン病(副腎皮質機能低下症)
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
*神経性食欲不振症
*アルコール中毒
ア.悪液質
慢性消耗性疾患の末期で、極度の栄養不良状態をいう
(ヒポクラテス顔貌をともなったり)

⑤身長体重指数
相対的な発育の度合いを見るための指標
ア.BMI(体容量指数、Body Math Index)
・計算式
体重(kg)/(身長(m))^2
・判定
25以上を肥満とする
イ.カウプ指数
主に生後3ヶ月から2歳までの乳幼児の栄養状態の判定に用いられる
・計算式
(体重(g)/(身長(cm))^2)×10
・判定
15~19が普通
13以下がやせ
22以上が肥満
★学童に用いる指数にローレル指数がある

(6)姿勢と体位
①良い姿勢
☆脊柱は生理的に胸椎で後彎、腰椎で前弯
②異常姿勢
ア.脊柱の彎曲の異常
前弯、後彎、側弯
☆良い姿勢からみて
イ.前かがみ姿勢
パーキンソン病が疑われる
ウ.ウェルニッケ・マン肢位
上肢:屈曲拘縮(肩関節内転、肘関節屈曲、前腕回内、手関節屈曲、手指屈曲)
下肢:伸展拘縮(股関節伸展、膝関節伸展、足関節底屈)
脳梗塞の後遺症に表れる
③体位の異常
・鬱血性心不全や喘息発作時にとりやすい姿勢
起坐位
☆上体を起こしていた方が呼吸がしやすい
・気胸、乾性胸膜炎で見られる体位
患側を上にした側臥位
・湿性胸膜炎で見られる体位
患側を下にした側臥位
☆湿性胸膜炎:胸膜内に水がたまるような状態
正常な側の肺で呼吸しようとする
★患側の逆側=健側
・激しい腹痛がある場合(参考)
側臥位で海老状になる
・破傷風(参考)
後弓反張
☆破傷風:傷口から入った破傷風菌による感染症、末梢神経をおかし、伸張反射を亢進させる

(8)意識状態
①意識水準を示す用語
・感情鈍麻
無欲で無関心な状態
・傾眠
刺激により覚醒し、放置すると眠ってしまう
・昏迷
強い痛みにだけ防御反応を示す
・昏睡
意識が完全に消失して、強い痛みにも反応しない
②意識障害の数量化
・Ⅲ群3段階方式(3-3-9度方式、Japan Coma Scale)
・グラスゴーコーマスケール
(資料参照)
ア.Ⅲ群3段階方式
意識水準の程度をⅠ、Ⅱ、Ⅲ群に評価して、さらに各群の中で意識水準の程度の重篤な順に3、2、1と三段階に評価する。
・Ⅲ群:刺激をしても覚醒しない状態で、3桁で表現する。
・Ⅱ群:刺激すると覚醒するが、刺激をやめると眠りこむ状態で、2桁で表現する。
・Ⅰ群:刺激なしでも覚醒している状態で、1桁で表現する。
・評価における注意点
乳児の場合は成人と異なった判断基準をする。
・意識障害時の強い痛み刺激とは
大胸筋を強くつまんだり
乳様突起前方で茎状突起の上を指で強く圧迫したり
眼球を強く圧迫する
イ.グラスゴーコーマスケール
 意識レベルをE(開眼)、V(言葉による応答)、M(運動反応)のそれぞれの項目で判定する。
③見当識
現在の自己および自己がおかれている状況についての認識を言う
例)現在の時間や場所、自分の名前などについての認識、

(9)精神症状
①もうろう状態
軽い意識混濁と強度の意識狭窄が見られる
例)てんかん、ヒステリー
②せん妄(譫妄)
覚醒しているが認識がなく、幻覚、錯覚、妄想から過行動を起こす状態
例)アルコール中毒、薬物中毒、脳疾患、高熱

(10)不随意運動
後述

(11)皮膚の異常
①皮膚色の異常
ア.チアノーゼ
末梢血の還元ヘモグロビンが5グラム/デシリットル以上に増えた状態で、皮膚や粘膜が紫色または暗赤色に見える
☆還元ヘモグロビン:酸素と結合していないヘモグロビン
酸化していない鉄は黒っぽい
・チアノーゼを招く疾患
慢性肺疾患(肺気腫など)
慢性心疾患(鬱血性心不全)
肝硬変
イ.色素沈着
・メラニン
メラニンの多量沈着症により、青色から黒を示す
☆メラニンの沈着が少ないと青っぽく見える
*メラニン色素沈着症を引き起こす疾患
アジソン病(副腎皮質ホルモン機能低下)
・ビリルビン
黄疸 :ビリルビンの皮膚の色素沈着
・カロチン
黄色
甘皮症:カロチンの色素沈着(黄色くなる)
・ヘモジデリン
褐色
鉄の代謝異常によって沈着症
☆ヘモジデリン:ヘモグロビンの分解産物
ウ.色素脱失
・メラニン色素が減少した状態
白皮症(アルビノ)
白斑
エ.黄疸
血中ビリルビン濃度が2ミリグラム/デシリットル以上に増加して、組織が黄色くなった状態をいう
ビリルビン=胆汁色素
黄疸が起こっているかどうかを確認するときには眼球の白め(眼球結膜)を見ることが多い
a.黄疸の原因による分類
・溶血性黄疸
…赤血球(ヘモグロビン)が破壊されてビリルビンが増加する
例)新生児黄疸
・肝細胞性黄疸
…肝臓の機能低下により、胆汁生成の不足によって起こる
例)肝炎、肝硬変
・閉塞性黄疸
…胆道の一部がつまることで十二指腸から胆汁が排出されなくなり、抱合型ビリルビンが血中に流出する
例)胆石症
★関節ビリルビンと直接ビリルビン
・関節ビリルビン:非抱合型ビリルビン
溶血性黄疸で増加
・直接ビリルビン:抱合型ビリルビン
閉塞性黄疸で増加
*肝細胞性黄疸では法則性はない
オ.貧血
血液中の赤血球数、血色素量、ヘマトクリット値が正常より減少した状態をいう
皮膚色が蒼白になる
例)鉄欠乏性貧血(鉄欠乏)
悪性貧血(ビタミンB12、葉酸欠乏)
再生不良性貧血(赤血球の賛成の減少)
溶血性貧血(ヘモグロビンの破壊が過ぎる)
白血病(骨髄が傷害されて赤血球が不足する)
カ.紅潮
皮膚が赤くなること
発熱、炎症、高血圧、赤血球増多症(多血症)、精神興奮

②発疹(皮疹)
・発疹とは
皮膚に現れる肉眼的な限局的病変
ア.発疹の分類
a.原発疹(げんぱつしん)
健康な皮膚に出現する発疹
・斑
健常皮膚面と同じ高さの限局性の色調の変化
例)紅斑、出血斑(紫斑など)、色素斑、白斑など
・水疱
表皮が隆起し、その内部に漿液をもつ発疹
・小水疱
小さな水胞
・膿疱
水胞が化膿して膿液でみたされた発心
・丘疹
針頭大で円形または楕円形の発疹
・結節
くるみの実ぐらいの大きさの限局した病巣
・腫瘍
体細胞が過剰に増殖する病変
・膨疹(じんましん)
皮膚の一過性の限局性浮腫
Ⅰ型アレルギー反応

b.続発疹
原発疹の形が変形するか、続発して出現したもの
・鱗屑
皮膚の角層が肥厚し、はがれやすくなった状態
・びらん
上皮が欠損歯、結合織面が露出した状態、瘢痕を残さない
・潰瘍
さらに深部に及ぶ欠損、瘢痕性に治癒する
・膿瘍
局所に膿汁が蓄積する化膿性炎の一種
・瘢痕
皮膚面の傷などが治癒した後に残るあと
イ.発疹と疾患
・蝶形紅斑
鼻を中心に顔面に現れる蝶形の紅斑
疾病:全身性エリテマトーデス(SLE)
☆30代から50代の女性に好発する、膠原病
・手掌紅斑
手掌全体に生じる紅斑(赤く細かな斑点)
疾病:肝硬変
(妊娠、慢性肺疾患でも出現することがある)
・コプリック斑
口腔粘膜に見られる境界明確な斑点(青白色、やや膨隆、輪郭が充血)
疾患:麻疹
・バラ疹
多発する小型の紅斑(ほぼ全身に発生)
疾病:腸チフス、梅毒

③出血
出血性素因(出血傾向)の診断では皮下出血の有無の確認が重要
ア.分類
・点状出血 :直径が2ミリ以下のもの
・紫斑 :直径2~5ミリ
・斑状出血 :直径5ミリ以上
☆紫斑という語が重要、その他のサイズなどは重要でない
ウ.出血傾向の原因
・血小板の障害
例)血小板減少性紫斑病
血小板無力症(血小板はあるが能力が低い)
・血管壁の障害
血管壁が弱くなり出血しやすくなる
例)壊血病(ビタミンCの欠乏による)
・血液凝固因子の異常
例)血友病(伴性遺伝病)

④毛細血管拡張(クモ状血管腫)
クモ状血管腫瘍とは、中央部に隆起した点状血管と放射状にのびた細い血管でつくる血管腫である(クモの形に似ている)
顔面に多発し、頸部や前胸部でも見られる
慢性肝障害(肝硬変)や妊娠時にも見られる
肝硬変ではエストロゲンの不活性化が障害されるため女性化乳房や手掌紅斑が見られる
⑤母斑
先天的な原因によって皮膚に現れる限局性病変
ア.黒子(ほくろ)
イ.ポートワイン母斑:扁平淡赤色の血管腫で生涯にわたって見られる
 症例):スタージ・ウェーバー症候群(三叉神経第1枝,2枝の領域に)
⑥浮腫
皮下組織に液体が溜まった状態
局所は腫大し、指圧により圧痕が残る
浮腫の有無は骨が皮膚のすぐ下にある部で診るとよい
…脛骨の内側面、前額部など
★水腫とは
液体が組織に溜まった状態
水腫には腹水、胸水、浮腫などがある
ア.浮腫の分類
a.局所性浮腫
血管が拡張して透過性が高まって起こる浮腫
例):炎症、クインケの浮腫、循環障害
★クインケの浮腫
自律神経の異常によって現れる浮腫
(血管神経性、アレルギー性)
  一過性で無痛性、発赤はない
b.全身性の浮腫
・心臓性浮腫
心疾患の時に見られる浮腫で、循環障害による
立位では下肢、仰臥位では背部や腰仙部からはじまり、全身に広がる
・腎性浮腫
腎障害で見られる浮腫で、低たんぱく血症による
ネフローゼが代表的
☆膠質滲透圧の低下により、組織内の水分が血管に戻りにくくなる
顔面、特に眼瞼に始まり、全身に広がる
・肝性浮腫
肝疾患で見られる浮腫で、低たんぱく血症による
下肢に多く見られ、腹水を伴うことが多い
★肝臓ではアルブミンなどの血漿タンパクを生産しているので、その機能が衰えると低蛋白血症(=低アルブミン血症)となる
・飢餓浮腫(栄養不良性浮腫)
長期間の栄養不足によって起こる浮腫で低蛋白血症による
☆蛋白の接種不足により、体を構成する蛋白を使ってしまう
イ.粘液水腫
甲状腺機能低下症に見られる浮腫で、指圧による圧痕を残さない
⑦その他の皮膚症状
皮下気腫や発汗の異常
川崎病に特徴的な落屑など
☆皮下気腫
外科手術後に起こることがある(皮下組織に空気が入り込んだ状態)

(12)毛髪の異常
・脱毛症(禿髪症)
頭髪の数が少なくなる、あるいは短く細くなる現象
粘液水腫でも見られる

(13)爪の異常
後述

(14)リンパ節
頚部、顎下部、鎖骨上窩部、腋窩部、鼡径部など、表在性のリンパ節を視診、触診する
リンパ節腫脹を観察する
その腫脹が、全身性のものか局所性のものかを観察
☆全身性のリンパ節腫脹が見られる疾患
悪性リンパ腫、白血病など
大きさ、型さ、皮膚の性状など

(15)その他
食欲。睡眠、便通、排尿について観察

■4)局所の観察
1)頭部
①頭囲と頭蓋の形
・頭囲の測定
眉間の中心点と後頭結節を通る最大周径で測定する
・評価のポイント
年齢別の正常値との比較
経時的変化
②頭部の異常と疾患
ア. 小頭症
年齢別の標準頭囲より、マイナス2標準偏差以上小さい場合をいう
脳の発育不全による知能障害を伴う
・一時性小頭症
出生前に原因があるもの
ダウン症、妊娠時の母体の疾患など
母体の疾患の例:糖尿病、風疹、放射線被爆
・二次性小頭症
生後に原因があって起こる小頭症
外傷、低酸素症、脳炎、髄膜炎など
イ.大頭症
年齢別標準頭囲よりプラス2標準偏差以上
・水頭症
頭蓋内に脳脊髄液が貯溜している状態
・脳性巨人症(ソトス症候群)
ウ.頭蓋の形の異常
・前額部の突出
→水頭症、軟骨痙性不全
・短頭
→冠状縫合の早期癒合
・長頭(舟状頭)
→矢状縫合の相期癒合
・塔状頭
→冠状縫合、矢状縫合の相期癒合
エ.大泉門の異常
・大泉門の早期閉鎖
環状縫合と矢状縫合の早期癒合
・大泉門の閉鎖遅延
クレチン病、くる病、脳腫瘍、水頭症
☆骨の性腸不全や脳内からの圧迫があるような疾患
・大泉門陥凹
脱水症
・大泉門膨隆
水頭症、脳腫瘍、髄膜炎

2)顔面
(1)顔面全体
皮膚の色、対称性、浮腫や腫脹の有無
①皮膚の色
貧血:蒼白
チアノーゼ:紫色
黄疸:黄色
②対称性
浮腫、腫脹、顔面神経麻痺
☆麻痺:神経の障害
(2)眼瞼結膜と眼球結膜
☆眼瞼、眼球結膜は透明な膜
①眼瞼結膜
結膜の下の組織が透視できる
・貧血:赤みが少なくなる
・結膜炎:潮紅
②眼球結膜
血管を透視できる
出血、黄疸
(3)眼瞼下垂
まぶたがあまり上がらない状態
上眼瞼挙筋や上瞼板筋の麻痺によって起こる
・上眼瞼挙筋:動眼神経支配、上瞼の挙上
☆瞼が閉じられないのは、眼輪筋の麻痺
・上瞼板筋:瞼の中にある平滑筋、交換神経支配
・疾患
*動眼神経麻痺
*ホルネル症候群
…頚部交感神経の傷害による眼瞼裂狭小、縮瞳、眼球後退
*重症筋無力症
…神経筋接合部のアセチルコリン伝達傷害による筋力低下を主とする疾患
☆眼瞼下垂は初発症状、片側ずつ現れる
疲労によって増強する
*先天性眼瞼下垂
マーカスガン現象などの症状が見られる
☆マーカスガン現象:
下顎を動かすと眼瞼の挙上反応が見られる
(4)眼球突出
①両側性の眼球突出が見られる疾患
バセドウ病
②片側性の眼球突出が見られる疾患
眼窩腫瘍、眼窩筋炎
☆眼窩筋炎:筋が炎症を起こして腫れるため

(5)瞳孔
大きさ、形、左右差、瞳孔反射(対光反射、輻輳)
①縮瞳の原因
薬物中毒、ホルネル症候群(多くは一側性)
②散瞳の原因
バセドウ病、ショック、散瞳剤(アトロピンなど)
③アーガイル・ロバートソン徴候
対光反射が消失し、輻輳反射、近見反応が正常な状態をいう
この徴候が見られる疾患:神経梅毒
☆神経梅毒:神経症状のある梅毒

(6)その他の眼の異常
①水晶体脱臼
マルファン症候群
ホモシスチン尿症
☆脱臼:位置の異常
②白内障
水晶体が混濁した状態
・白内障を引き起こす疾患
先天性白内障
糖尿病の合併症
ステロイド剤の過使用
先天性風疹症候群
…母体の風疹ウィルスが胎児に影響を与える
ロウ症候群
…伴性遺伝病で知能障害、白内障、発育障害などを見る疾患
ガラクトース血症
…常染色体性劣性遺伝病、血中、尿中のガラクトースが増加する
③カイザー・フライシャー環(輪)
角膜輪ともいう
角膜周辺に見られる緑褐色の色素輪で、銅の沈着症による
・疾患
ウィルソン病(肝レンズ核変性症)
…銅の代謝異常

(7)眼球運動の異常
①眼球振盪(眼振)
眼球の一定方向への不随意的、律動的な往復運動で、一点を注視できなくなる
・眼振の見られる疾患
生理的眼振
眼疾患
小脳疾患
脳幹疾患
②落陽現象
両側の眼球が下を向く現象
・疾患
黄疸をきたす疾患
☆溶血性黄疸、肝細胞性黄疸、閉塞性黄疸
水頭症
③メビウス徴候
輻輳障害のため視軸が合わず、目の前のものを注視できない状態
・疾患
バセドウ病
④斜視
目標を両岸で見つめたとき、1眼の視線が目標から外れた、眼位異常をいう
・疾患
眼球運動に関する、筋や神経の麻痺
・特に斜刺を起こしやすい神経麻痺
末梢性の外転神経麻痺
⑤複視(二重視)
一つの物体が二つに分かれて見える状態をいう
眼筋麻痺などで起こる

(8)眼底所見
網膜、視神経、血管の状態を見る
①うっ血乳頭(乳頭浮腫)
視神経乳頭のうっ血
脳圧亢進症状の一つ
★脳圧亢進を伴う疾患
脳腫瘍、クモ膜下出血、髄膜炎など
②血管の細小化(細小血管症)、脆弱か
・疾患
糖尿病、動脈硬化症
③視神経萎縮
④網膜色素変性
色素沈着が観察できる
⑤チェリーレッドスポット(桜赤色斑点)
中心窩に赤い斑点ができる
・疾患
テイ・サックス病
…ガングリオシドが蓄積する常染色体性劣性遺伝病

(9)鼻
・鼻の観察のポイント
形、鼻出血、鼻翼呼吸
①鞍鼻
鼻背が陥凹した状態をいう
・疾患
ダウン症候群
梅毒
多発性軟骨炎
②鼻出血
・疾患
出血傾向をきたす疾患
…壊血病(ビタミンC欠乏)
血友病
血小板減少性紫斑病、白血病
高血圧
肝疾患
外傷

(10)口
・観察のポイント
口唇の色、歯、歯肉、口腔粘膜、口臭
①口唇の色の変化
チアノーゼ:紫色
②口腔粘膜の異常
開口状態で観察
・アフタ性口内炎
円形白色の丘疹
☆中心が白く、周囲が充血して赤い。もっともポピュラーな口内炎
・コプリック斑
麻疹の特徴的症状
③口臭
・口臭の原因
口内炎
歯槽膿漏
糖尿病:ケトン臭(アセトン臭)
アルコール中毒
④歯の異常
・齲歯
・ハッチンソンの歯
短く樽状をなし、咀嚼面が半月状に陷凹する
・ハッチンソンの歯が見られる疾患
先天性梅毒
⑤歯肉出血
・出血傾向をきたす疾患

(11)舌
形や大きさ、舌苔の有無、舌乳頭の変化を観察
☆舌乳頭が腫れると光沢が出てくる
・舌苔が増える疾患
口内炎
熱性疾患
…感染症など発熱する疾患
猩紅熱
・イチゴ舌
舌乳頭が腫大し、発赤舌状態
猩紅熱で出現
・ハンター舌炎
疼痛と舌の光沢とが特徴の舌炎
舌乳頭が萎縮する
悪性貧血で出現
・地図状舌
無症状の舌炎状態
・巨大舌
ダウン症候群
末端肥大症
アミロイドーシス
☆末端肥大症:成人における成長ホルモン過剰
☆アミロイドーシス:アミドイドが全身に沈着する原因不明の疾患
アミロイド=類澱粉質(でんぷんに似た物質)
・舌の偏位
舌下神経麻痺

(12)咽頭
炎症の有無、扁桃肥大、軟口蓋麻痺を視診
①嚥下障害
=嚥下困難、嚥下痛
・疾患
咽頭炎、扁桃炎、アンギーナ
食道炎
★アンギーナ:嚥下時に狭窄感を起こす病状のこと
②軟口蓋麻痺
★軟口蓋:校外の後方3分の1
★軟口蓋麻痺には口蓋垂の麻痺も含む
・軟口蓋麻痺の視診法
あ」と発音したときに口蓋垂、軟口蓋が挙上しない
片麻痺の場合は健側だけが挙上
・疾患
迷走神経の傷害

(13)耳
大きさ、形、耳疾患の有無を視診
①通風結節
耳介軟骨にできるしこりで尿酸結晶の沈着症による
・疾患
通風(高尿酸血症)
②小耳
・疾患
ダウン症

3)頚部、項部
リンパ節、コマ音、甲状腺、唾液腺などを視診
(1)頚部の異常
①頚部のリンパ節腫大
・疾患
感染症(扁桃炎、咽頭炎など)
結核
…るいれき(頚部のリンパ節が腫脹して数珠状になったもの。無痛)
白血病、悪性リンパ腫(全身性のリンパ節腫脹が見られる)
②項部強直
仰臥位で頭を前屈させたときに異常な抵抗をみとめるもの
髄膜刺激症状の一つ
★髄膜=脳脊髄膜
・疾患
(脳脊髄膜に異常な刺激が加わったときに起こす)
クモ膜下出血
③翼状頚
乳様突起から肩峰へ薄い膜を形成するものをいう
・疾患
ターナー症候群

(2)コマ音(独楽音)
鎖骨上窩で聞かれる連続性の静脈雑音
・疾患
発熱、妊娠、貧血、バセドウ病
正常小児でも聞かれる

(3)甲状腺
腫脹や圧痛の有無
左右差
甲状腺は嚥下運動にともなって上下する
・甲状腺腫大
バセドウ病
橋本病
…橋本病:自己免疫性の慢性甲状腺炎、30~50歳代の女性に好発
甲状腺癌

(4)唾液腺
腫脹の有無
・唾液腺腫脹
流行性耳下腺炎
唾石
耳下腺腫瘍
☆癌:上皮性の悪性腫瘍

3)胸部の視診
大きさ、形、
呼吸運動
心尖拍動
(1)大きさや対称性の異常、(2)形の異常
①扁平胸
扁平で細長く前後径が短い胸郭
無力性体質で見られる
②ロザリオ胸(数珠状今日)
胸骨と肋軟骨の接合部が突出し、ビーズ球が並んでいるように見える胸郭
・疾患
ビタミンD欠乏症(くる病)
…骨端部の異常増殖
ビタミンC欠乏症
…胸骨の亜脱臼による

③樽状胸
太短くて、前後径が長い胸郭で肋骨の走行は水平となる
・疾患
慢性肺気腫(肺気腫が両側性の場合)
④鳩胸
胸骨下半部が前方に突出した胸郭をいう
・疾患
くる病
先天性心疾患など
⑤漏斗胸
胸骨下部が陥没した胸郭
・疾患
マルファン症候群

⑥左右の非対称
・一側性の拡大
湿性胸膜炎
一側性の肺気腫
・一側性の縮小
肺の萎縮
⑦翼状肩甲
肩甲骨の内側縁から下角が胸郭から離れる
・疾患
長胸神経麻痺(前鋸筋麻痺)

(3)異常呼吸
後述

(4)心臓の視診
心尖拍動の位置や強さを観察する
★成人:左第4~5肋間の高さ。鎖骨中線のやや内側
①病的移動
・左方移動
左室肥大
右気胸
右の胸水
縦隔腫瘍
・右方移動
左の気胸
左胸水
縦隔腫瘍
右室肥大
・下方移動
肺気腫
…左右の肺に圧迫されて心臓が細長く変形する(滴状心)
・上方移動
腹水
妊娠

②心尖拍動の強さの異常
・増強
左室肥大
胸壁が薄い
・減弱
心衰弱
胸壁の暑い人

5)腹部の視診
皮膚の変化、膨隆や陥凹、蠕動運動などの観察を行う
(1)腹壁皮膚の変化
①皮膚線条
皮膚が一度伸展して弛緩した際にできる白色から灰白色の線状の瘢痕をいう
・疾患
妊娠
肥満
クッシング症候群
…赤色の皮膚線条が見られる
(2)腹壁静脈の怒張
①メズサの頭(メデューサの頭)
浅腹壁静脈が臍を中心として放射状に怒張する現象をいう
☆静脈怒張:静脈が膨らんだ状態
・疾患
門脈の通過障害(門脈圧亢進症)
…肝硬変など
②下大静脈の閉塞による静脈怒張
主に側腹部に見られる

(3)腹部の陥没
・疾患
消耗性疾患
…癌、糖尿病の末期、熱性疾患、下痢
神経性食欲不振症
(4)腹部の膨隆
①全体的な膨隆
・疾患
肥満
妊娠
宿便
腹水の貯溜
鼓腸
②局所的な膨隆
・心窩部の膨隆
胃拡張、胃癌
・右季肋部
肝腫大
・左悸肋部
脾臓の腫大
☆悸肋部:肋骨弓の下縁あたり
・右腸骨窩
盲腸部の腫瘍
・左腸骨窩
下行結腸、S状結腸の腫瘍

(5)鼓腸
消化管内にガスが貯留して、お腹がはっている状態をいう
・疾患
腸閉塞(イレウス)

(6)腸の蠕動運動
正常では観察できない
蠕動運動不安(不穏)
…腸管の蠕動運動が亢進し、腹壁を通して見えるものをいう
・蠕動運動不安の見られる疾患
腸管の通過障害(腸閉塞など)
下痢

6)四肢の視診
 左右の比較、皮膚、筋、神経系、関節の状態、血行障害の有無をみる。
1)上肢
(1)大きさの異常
・巨大な手:末端巨大症
・著名に細長い手指:マルファン症候群
(2)変形
①猿手
母指球が萎縮し、四指腹と母指腹が平面上に並ぶ。
正中神経麻痺
②鷲手(鉤手)
手指の基節骨が強く背屈し,中節・末節骨が屈曲する。手背の骨間溝が著明となり、鷲の足のようにみえる。
尺骨神経麻痺
③下垂手(垂れ手)
手がだらりと手掌側に垂れて伸展できない。肘関節・手関節が屈曲しやや回内する。
橈骨神経麻痺
④〔太鼓〕ばち指
指趾の末節が球状や紡錘状に膨大している状態。
心疾患、慢性肺疾患、肝機能障害
③匙状爪(スプーン状爪)
爪甲の両側縁が上方に反り、中央が凹んでスプーン状を呈する。爪が薄くもろい。
鉄欠乏性貧血、甲状腺機能亢進
④デュプイトレン拘縮
指の屈曲拘縮で、慢性に経過する。
⑤ヘバーデン結節
DIP背側にみられる結節様の変形。手指は屈曲位に変形する。
変形性関節症(頻度は低い)
⑥オスラー結節
手足の指の掌側に生じる有痛性の小結節で、紅斑様あるいは青みがかっている。
細菌性心内膜炎(ただし30%以下にしかみとめない)
⑦関節リウマチに伴う変形
・尺側偏位
手指列が尺側に傾く。
・ボタン穴変形
PIP関節屈曲、DIP関節過伸展位を呈した変形
・スワンネック変形
MP関節屈曲、PIP関節伸展、DIP関節屈曲位をとる変形
・オペラグラスハンド
骨破壊が進行し、オペラグラスを畳み込んだような外観を呈する。

(3)振戦
①指の振戦
甲状腺機能亢進症(細かい振戦)
②羽ばたき振戦
上肢全体を鳥が羽ばたくように動かす。
ウィルソン病、重症肝疾患

(4)色の異常
①レイノー現象
手足の母指を除く両四指が発作性に蒼白となり、皮膚は間欠的に冷感としびれ感をきたし、回復時に発赤する現象。皮膚色は蒼白→チアノーゼ→発赤
レイノー病、関節リウマチ、SLE、バージャー病、斜角筋症候群
☆バージャー病:閉塞性血栓血管炎(足に多い)

②柑皮症
 手掌、足底、鼻唇溝などの黄色色素沈着。
 柑橘類やカロチンの過剰摂取
③クインケの拍動
手指の爪甲の先端を圧迫し爪床の一部を蒼白にしたとき、残りの赤色調の部分との境界が動静脈叢の血管拍動として触れたり見えたりするもの。
大動脈弁閉鎖不全症、発熱、貧血、甲状腺機能亢進
④手掌紅斑
手掌全体にび漫性に生じる紅斑。
肝硬変、妊娠、慢性肺疾患、ピル長期内服

2)下肢
(1)変形
①尖足
アキレス腱の拘縮により足関節が底屈位をとる変形。
腓骨神経麻痺(下垂足)、片麻痺、脊髄性小児麻痺
★前脛骨神経麻痺
②踵足(鈎足)
足関節が背屈位をとる変形。
脊髄性小児麻痺
③内反足
足が内反(回外・内転)位に固定された変形で、足部の外縁で歩行する。
先天奇形、腓骨神経麻痺、外傷
④外反足
足が外反(回内・外転)位に向いた変形で、扁平足を伴うことが多い。
先天性、静力学性、外傷性、麻痺性
⑤扁平足
足部の足アーチ(長軸弓隆)が低下して土踏まずがない変形。足アーチを構成している足根骨群,足底靱帯・筋群の障害により生じる.静力学的扁平足が最も頻度が高く,長時間立位作業者にみられる。
⑥O脚(内反膝)
両下肢が膝部で外方凸,内側凹面の弯曲をなす状態.片方のみを内反膝という。
生理的内反膝、くる病、姿勢性
⑦X脚(外反膝)
下肢軸が膝以下で外側方へ向かった状態。
生理的X脚、くる病、内分泌疾患、骨端形成異常

(2)循環障害
①間欠性跛行
歩行時に下肢が痛み、歩行を続けることができなくなるが、歩行を中止すると回復してまた歩行が可能となる。
バージャー病、下肢の動脈硬化、脊柱管狭窄症(馬尾神経性)
・馬尾神経性の間欠性跛行
脊柱管狭窄症
・循環障害性の間欠性跛行
バージャー病
下肢の動脈硬化
②静脈瘤
限局性に静脈が拡張した状態で、膝窩や下腿後側にできることが多い。

(3)関節痛
変形性関節症、スポーツ障害、外傷、膠原病、感染症、ペルテス病、先天異常など

(4)その他の所見
①痛風結節
尿酸塩が沈着してできる結節。耳介軟骨、第1MP関節の底面に好発する。
痛風、高尿酸血症
②オスラー結節
③スプーンネイル
④太鼓ばち指
⑤クモ指
⑥末端肥大
⑦腓腹筋の偽性肥大
進行性筋ジストロフィー症

3.打診
■1)打診の意義と方法
・打診の意義
胸部(肺、心臓)、腹部、骨などの異常の有無を検査する
(1)直接法
中指末節手掌面で直接叩く方法
(2)間接法(指・指法)
打診板を胸壁などに当て、打診槌で垂直に叩く
(間接法の方が一般的)
・打診板:中指末節手掌面(きき手と逆)
・打診槌:中指先(きき手)

■2)胸部打診の注意事項
・打診板としては中指末節のみを胸壁に当て、他の指は離しておく。
・打診槌は手首のみを動かして瞬間的に叩く。
・側臥位で打診する場合は、両側臥位で打診して評価する。

■3)打診内容
(1)清音・正常共鳴音
正常な肺野を叩打したときの音である。
比較的低調で長い音がする。
(2)濁音
・濁音の分類
絶対的濁音、比較的濁音
・絶対的濁音
実質臓器が直接胸壁に接している部分での音
・比較的濁音
心臓や肝臓が肺に覆われている部分での打診音
(3)鼓音
清音より高調な音で、含気量の多い場合に聞かれる。
肺気腫や気胸、胃腸で聞かれる。

■4)胸部の打診
・胸部の打診は座位で行う
(1)肺の打診
①肺肝境界
・肺の下界の高さ
右鎖骨中線上で第6肋骨下縁から第6肋間
・肺肝境界の上昇を引き起こすこと
腹水、腹部腫瘍など
(横隔膜が挙上しておこる)
・肺肝境界の下降を引き起こすこと
肺気腫など
②肺野の濁音
・肺野に濁音をきたす原因
肺の空気含量の減少
・両側性の肺野で濁音が聞かれる疾患
肺線維症、両側性胸水
・片側の肺野で濁音が聞かれる疾患
肺の浸潤性病変
硬化性病変(肺炎・肺化膿症・結核・
腫様)、無気肺、胸水の貯溜など
(2)心臓の打診
・心濁音界の分類
絶対的濁音界、相対的濁音界
・絶対的濁音界
心臓が直接胸壁に接している部分
高度の濁音を呈する
・相対的濁音界
心臓が肺で覆われた部分
心臓の大きさを知るためには有用
①正常な心濁音界
右界は胸骨右縁のやや外方、上界は第3肋骨下縁、左界は左鎖骨中線のやや内側
②異常な心濁音界
・心濁音界の増大が見られる疾患
心肥大、多量の心膜腔液貯溜など
・心濁音界の減少が見られる疾患
肺気腫など
・心濁音界の位置異常が見られる疾患
腹水、気胸、妊娠など

■5)腹部の打診
・正常な腹部の打診音
鼓音
・腹部の打診において鼓音が増大する原因
鼓腸
・腹部の打診において濁音をきたす疾患
腹水の貯溜
(体位の変化により濁音の位置が移動する)
・仰臥位:側腹部に濁音、中央部に鼓音
・側臥位:下側に濁音、上側に鼓音

第4節 聴 診 (.P39)

1.意義と方法
1)意義
 体内の音(肺、心臓、腸など)の音を聴診器によって聴取し、音の頻度、強度、継続時間などの変化を知り、病的状態を把握する診察法。

2)聴診器
ヘッドの形状によって分類
①ベル型:低い周波数の音(心音など)に適する
②膜 型:高い周波数の音(呼吸音など)に適する

2.注意事項
①適温(23℃前後)の静かな室内で行う
②患者をリラックスさせる
③聴診器のヘッドは体表に密着させる
 など

3.聴診内容
1)胸部の聴診
(1)心臓の聴診
正常心音、心音の変化、心雑音を聴取
①心音
 心拍動に伴う心周期のいくつかの変節点において生じる持続の短い心腔内音
弁の閉鎖時に生じる
ア.心音の種類
a.第Ⅰ心音
主に房室弁の閉鎖音(筋の収縮音、動脈内の渦流なども関係)
時期:収縮期の開始時
高さと長さ:やや低い周波数(30~40Hz)で、やや長く続く濁った音)
場所:心尖部で聴取される
b.第Ⅱ心音
主に動脈弁の閉鎖音(動脈壁の振動なども関係)
時期:拡張期の開始時
高さと長さ:やや高い周波数(50~70Hz)で、やや短い澄んだ音)
場所:心底部で聴取される
イ.聴取する部位
・心尖部 →僧帽弁口
*心尖部:左第4~5肋間の高さで乳頭線上
・胸骨下端部 →三尖弁口
・第2肋間胸骨左縁→肺動脈弁口
・第2肋間胸骨右縁→大動脈弁口
ウ.心音の間隔
第1~2音より、第2~1音の間隔の方が長い

②心音の異常
ア.増強
運動時、発熱時、興奮時
甲状腺機能亢進症、高血圧、心臓弁膜症など
*心臓弁膜症の種類
僧帽弁口狭窄、僧帽弁閉鎖不全
大動脈弁口狭窄、大動脈弁閉鎖不全
イ.減弱
肥満、肺気腫など
ウ.音の伝達障害
大動脈弁狭窄など

③心雑音
弁口の器質的機能的障害や血流量変化による乱流の振動音
ア.収縮期雑音
a.駆出性雑音
左室から大動脈へ、あるいは右室から肺動脈へ血液が流出するときに聴かれる
原因)大動脈弁狭窄、肺動脈弁狭窄など
b.全収縮期雑音
心室から心房への血液の逆流、左室から右室への流入などによる雑音、収縮期全体にわたって聴かれる
原因)心室中隔欠損など
イ.拡張期雑音
原因)大動脈弁閉鎖不全、肺動脈弁閉鎖不全など
ウ.連続性雑音
収縮期~拡張器に聴かれる雑音
原因)動脈管開存
*動脈管開存…出生後、肺動脈と下行大動脈を結ぶ動脈管が閉鎖しない
エ.無害性雑音、機能性雑音
小児に多く見られる収縮期駆出性雑音、座位で減弱
心臓血管系に異常はない
オ.心膜摩擦音
頭髪をねじる時の音に似る
原因)心外膜炎

(参考)Levine分類
現在、世界中で広く使われている心雑音の強度の分類
・第Ⅰ度:聴診してしばらくは雑音の存在が明らかにできないきわめて弱い雑音
・第Ⅱ度:聴診器をあてるとすぐに聴こえる弱い雑音
・第Ⅲ度:第Ⅱ度と第Ⅴ度の中間で弱い雑音
・第Ⅳ度:第Ⅱ度と第Ⅴ度の中間で強い雑音(スリルを触れる)
・第Ⅴ度:非常に強いが、聴診器を胸壁から離すと聴こえない雑音
・第Ⅵ度:聴診器を胸壁からはなしても聴こえる強い雑音

(2)肺の聴診
正常呼吸音、異常呼吸音(呼気の延長、呼吸音の減弱・増強・粗雑化、病的気管支音)、
副雑音(乾性ラ音、湿性ラ音、摩擦音)を聴く
*副雑音…肺の聴診時に呼吸音以外に聴こえる雑音
①呼吸音の分類
・肺胞音 :吸気時に聴かれ、胸壁の広い範囲で聴かれる。
・気管支音:気管上部や背部の第7頸椎~第5胸椎の直側で聴かれる
主に呼気時に聞かれる
(正常では肺の上では聴かれない)
②呼吸音の異常
ア.肺胞音
・両側性の減弱:肺気腫
・片側性の減弱:無気肺、胸水、肺腫瘍など
・完全消失:気胸・大量の胸水
・増強:肺炎、無気肺、気道閉塞などの際の健側肺
イ.気管支音
・病的気管支音:大葉性肺炎、滲出性胸膜炎、気管支拡張症
*大葉性肺炎…短期間で肺一葉全体に炎症が広がる肺炎、肺炎球菌などによる
・呼気延長:気管支喘息・細気管支炎・肺気腫

③ラ音
ア.湿性ラ音(断続性ラ音)
気道内に分泌物・粘液・血液などがある時に空気の通過によって生じる断続的な音
 a.水泡性ラ音
音の性質により、小水泡音・中水泡音・大水泡音に分けられる
ブツブツ、ゴロゴロという音
原因)気管支炎、肺炎、肺化膿症など
b.捻髪音
微小な小水泡音
チリチリ、ジリジリという音
原因)細気管支炎や無気肺など
イ.乾性ラ音(連続性ラ音)
気管支攣縮、気管支粘膜腫脹、大きな分泌物などにより気道が狭められることによって生じる連続的な音
笛音、いびき音、喘鳴などがある
ピー、グーという連続的な音
原因)気管支喘息、気管支炎

④摩擦音
ア.胸膜性摩擦音
胸膜に線維素性物質が析出して呼吸時に摩擦して聴かれる
原因)胸膜炎
イ.心膜性摩擦音
心拍動に伴って聴かれる
原因)線維素性心膜炎

2)腹部の聴診
(1)グル音(腹鳴)
 胃や腸管内にガスと液体が存在し、蠕動運動とともに移動するときに拡張した腸管内腔に共鳴して発する音
①グル音の亢進:腸管通過障害・腹部膨満、便秘、下痢
②グル音の消失:急性腹膜炎、麻痺性イレウス
 *麻痺性イレウス…腸管運動が麻痺して腸内容物の停滞を生じたもの。多くの場合で自然寛解する

(2)血管雑音
 血管から生じる雑音
 腹部大動脈瘤や腹部大動脈の狭窄でその病変部の腹壁で収縮期雑音を聴取

5.触診
■1)意義と方法
①意義
術者の手指を用いて患者の身体各部に触れて診る診察法である
②方法
・双手診
両手で行う触診法
肝臓、腎臓、脾臓などを診るときに行う
・単手診
右手で行う触診法
・浮球感を診る方法
水袋の中にあるゴム玉が動揺するときに触れる手指の感じを浮球感という
腹浮球感:腹水があるときに、腹水の中に浮かんでいる臓器が動くのを感じられる
腎浮球感:一方の手を腹壁に置き、他方の手を背部に回し、背部に当てた手を押し上げると、副に当てた手に浮球感を生じる

■2)注意事項
清潔な暖かい手で行う
患者を緊張させないよう工夫する
疼痛を訴えている部位は最後に診る
左右対称に診る

■3)触診内容
(1)概略
①脈拍の触診
②頚部の触診
頚動脈の拍動
甲状腺
③皮膚の触診
皮膚温度、柔軟性、粗滑、圧痛、感覚異常(過敏、鈍麻、消失)を診る
④リンパ節の触診
視診と触診を合わせて行う
腫脹、圧痛、可動性などをみる
⑤筋、骨、関節の触診
筋の硬さ、筋緊張、萎縮、関節の変形、腫脹などをみる
☆筋の異常は神経との関わりが強いので、神経の項で後述
⑥胸部の触診
心尖拍動、声音振盪など
⑦腹部の触診
腹壁の緊張(筋性防禦など)、圧痛点、腹部内臓の触診(肝、腎、脾など)

(2)胸部の触診
①心尖拍動
②声音振盪
患者を座位か仰臥位にさせ、検者の両手の小指側を患者の側胸部にあて、患者になるべく長く低い声で「ひとーつ」と発声させ、伝わる振動の左右差をみる
ア.増強
肺炎、肺結核、無気肺など
イ.減弱
胸水、気胸、気道閉塞、肺癌など
③振戦
・猫喘
心尖拍動部に手を当てたときに触れる心血管雑音の振動をいう
☆ネコが喉を鳴らすような音
心臓弁膜症、動脈管開存、心室中隔欠損などで診られる
④乳房、乳頭の触診
両側乳房の変形、乳頭や乳輪の形、位置異常、しこりの有無
・しこり
乳巌、乳腺症(乳腺炎など)、乳汁うっ滞
・女性化乳房
肝硬変、性腺異常、クラインフェルター症候群、副腎皮質機能亢進(クッシング症候群での中心性肥満)

(3)腹部の触診
腹部全体、限局性の腹壁硬直、圧痛、腫瘤
①腹部の触診の方法
・患者を仰臥位にして股関節、膝関節を屈曲させて診る
☆下肢を屈曲させることで腹筋をゆるめる
・患者をリラックスさせる
・最初は手掌でやわらかく触れ、腹壁の緊張やざらつきなどを診る
・次に指頭にやや力を入れ、腫瘤や圧痛を診る
②腹壁の緊張亢進
・腹壁全体の緊張亢進
汎発性腹膜炎(消化管潰瘍、虫垂炎の悪化によって起こる)
☆広い範囲に発生する腹膜炎
・限局性の緊張亢進 (筋性防禦)
消化性潰瘍:心下部に限局した緊張
虫垂炎:右腸骨窩部

③ブルンベルグ徴候
腹膜刺激症状の一つで、腹部を圧迫し、急に手を離すと痛みを生じる徴候
虫垂炎や腹膜炎でみられる

④圧痛
圧迫したときに痛みを生じる現象
ア.圧診点(圧痛点)
a.胃十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)
・心窩部圧痛点
胃:やや左、十二指腸:やや右
・ボアス背部点
第10~12胸椎の左側(特に胃潰瘍で)
・小野寺殿部点
腸骨稜の中央から下3センチ
左は胃、右は十二指腸の反応点
b.胆嚢疾患
・小野寺胆嚢点
右鎖骨中線と肋骨弓の交点のやや内側
・ボアス背部点
第12胸椎右側
c.胸膜炎(比較的重要でない)
・成田胸膜点
第6肋間で乳房の外下方
・ボルゲス点
鎖骨上窩で僧帽筋部
d.虫垂炎
・マックバーネ点
右臍棘線上で外3分の1
・ランツ点
棘間線上で右から3分の1
・レンツマン点
棘間線上で右から5センチ
・モンロー点
右臍棘線と腹直筋外縁との交点
・キュンメル点(重要でない)
臍の直下または右下方1~2センチ
☆右臍棘線:臍と右上前腸骨棘を結ぶ線
☆棘間線:左右の上前腸骨棘を結ぶ線

イ.撮診点
2本の指で皮膚をつまんでその部の感覚異常を患者に問診する方法
・右腰部脊椎側に反応の出る疾患
胆石症
・左悸肋部に反応の出る疾患
膵疾患
心下部に反応のでる疾患
消化性潰瘍

ウ.ヘッド帯(皮膚疼痛帯、知覚過敏帯)
関連痛の投射部位をいう
ヘッド帯の知覚異常は皮膚を軽くこすって間隔度を検査する
・胃疾患のヘッド帯
第6~8胸髄に相当する皮膚に知覚過敏が現れる疾患(第6~8肋間)
・膵疾患のヘッド帯
左悸肋部から左肺胸部にかけて帯状に知覚異常(第5~9胸髄神経)
・胆嚢疾患のヘッド帯
右悸肋部から帯状の知覚異常(第7~11胸髄神経)
・狭心症、心筋梗塞のヘッド帯(重要)
左上腕、肩、頚部への放散痛

エ.マッケンジー帯
ヘッド帯と同様の機序で生じた筋、筋膜その他深部組織に現れる痛みや筋緊張などをいう

⑤腫瘤の触知
腫瘤が腹腔内のものか、副壁のものか、
どの臓器のものか、
良性か悪性か
その大きさ、形、硬さ、表面の性状
呼吸性移動の有無を診る
ア.形、硬さ、表面の性状
・良性腫瘍
表面が滑らか、形状は球状のことが多い
硬くない
・悪性腫瘍
表面に凹凸がある
形状に法則性がない
硬い
移動しにくい
イ.呼吸性移動の有無
・呼吸性移動が著名な器官
肝臓、脾臓、腎臓の腫瘤
☆横隔膜の影響を受けやすい臓器
・呼吸性移動があまりない器官
胃、横行結腸
ウ.その他
・強い圧痛
炎症が起こっている可能性が高い
・こぶが拍動性の場合
動脈瘤

⑤波動(あまり重要でない)
患者を仰臥位にして、一側の側腹部に検者の手をあて、反対側の側腹部を軽くたたくと、水のゆれるような振動が手掌に伝わる現象をいう
腹水の際に見られる

⑦臓器の触診(圧痛に比べれば重要でない)
ア.胃
・噴門部の腫瘤
胃癌
・心下部のデファンス
胃潰瘍
・心下部の振水音
胃下垂、胃アトニ―
☆振水音
液体と空気が存在する体腔をゆするときに聞かれるぴちゃぴちゃという音
イ.腸
・左腸骨窩の腫瘤(よくみられる)
S状結腸の腫瘤や大腸の糞塊
・上腹部やや右よりの限局性圧痛と抵抗
十二指腸潰瘍
ウ.肝臓
・肝臓の触診の方法
検者の手指を患者の右肋骨弓に対し平衡に当てる
ゆっくりと呼吸をさせ、手指を肋骨弓の裏に向かって進める
・正常な肝臓
辺縁は鋭く、やわらかく、表面は円滑
圧痛なし
・肝腫大が見られる疾患
各種肝疾患、うっ血性心不全
閉塞性黄疸など

エ.胆嚢
・正常な胆嚢は触れない
・胆嚢腫大(右悸肋部)が見られる疾患
胆石発作の直後
閉塞性黄疸など

オ.膵臓
・触れにくい
・膵臓の喰殺の方法
右側臥位で膝を曲げ、背面から胃を右方へ押しやるように双手で深部触診を行う
・著名な圧痛がみられる疾患
急性膵炎

カ.腎臓
・触れにくい
・腎臓の触診方法
双手診で行う
右腎は患者の右側から左手を廃部に、右手を右悸肋下の腹壁におき、左右両手で腎をその間に挟むようにして深呼吸させると、呼気時に腎の下極に触れる
・腎が触知される疾患
腹水腫、腎臓癌、遊走腎

キ.脾臓
・やわらかく触れにくい
・脾臓の触知の方法
患者を右側臥位で右半臥位にする
右手の指先を左肋骨弓下で左鎖骨中線上で腹壁にほぼ平衡にあて
左手では左胸郭下部の背面におき、深呼吸させながら触診する
・脾腫がみられる疾患
炎症、白血病など

(4)背腰部の触診
脊柱の異常(前・後・側彎、棘突起のずれ)
脊柱両側筋群の状態をみる
・脊柱の彎曲には骨盤の位置が影響する
①凸背、円背、後弯
・凸背
椎体が破壊され脊柱が後方に強く突出する
・円背
主に胸椎部の後弯の増加したもの
・後弯
脊柱の後弯が生理的範囲を超えているもの
…老人性後弯:骨粗しょう症
外傷性後弯:脊椎の圧迫骨折
炎症性後弯:脊椎カリエス、強直性脊椎炎など

②側弯
脊柱の側方への彎曲と回旋を伴う変形
ア.症候性側弯症
・症候性側弯の分類
神経筋性
先天性骨奇形性
外傷性
感染性
代謝性
坐骨神経痛性など
イ.特発性側弯症
原因不明の側弯
側弯症の約80%を占める
女児に多く、大部分は思春期性と習慣性である

6.測定法
■1)意義と方法
身体計測とバイタルサイン
■2)注意事項
各計測値の年齢による正常値の違いを考慮する
測定条件による影響を考慮
■3)身体計測
1)身長、体重、坐高、頭囲、胸囲
・身長
身体の長さ(身長計を使う)
・体重
身体の重さ、栄養状態をみる(体重計)
・坐高
座った時の腰から頭までの高さ(坐高計)
・頭囲
頭の大きさ(メジャー)
眉間の中央と後頭結節を結ぶライン(最大径)
・胸囲
胸郭の大きさ(乳頭の上と肩甲骨下角を結ぶ線)
女性では乳頭のやや上または乳房の下で測定
呼気と吸気の中間で計る
★呼吸運動の幅:呼気時の胸囲-吸気時の胸囲
・腹囲
12肋骨先端と腸骨稜の中間で最も細い部を測る
・骨盤囲
第5胸椎棘突起-腸骨稜-上前腸骨棘を結ぶライン
・身長年齢
測定した慎重と同じ平均身長を持つ年齢
・上節・下節比
下節長:恥骨結合上縁から床までの長さ
上節長:身長-下節長
★坐高を仮の上節長とすることもある

2)四肢長と周径(1よりも重要)
(1)四肢長
①上肢の計測
・上肢計測時の姿勢
上肢を対側に下垂
肘間接伸展
前腕回外位
手関節掌背屈中間位
・上肢長
肩峰端-橈骨茎状突起
・上腕長
肩峰端-上腕骨外側上顆
・前腕長
上腕骨外側上顆-橈骨茎状突起
・手長
橈骨茎状突起-中指先端

②下肢の計測
・下肢計測時の姿勢
骨盤を水平にする
両下肢平行伸展位
股関節内外旋中間位
・下肢長(重要)
上前腸骨棘-内果
・大腿長
上前腸骨棘-膝関節外側裂隙
・下腿長
膝関節外側裂隙-外果
・足長
踵後端-足の先端(母指または第2指)
・棘果腸(参考)
上前腸骨棘-内果
・転子果長(参考)
大転子-外顆

(2)周径
①上肢の周径
・上肢の周径の測定の体位
上肢を下垂
膝関節伸展位
・上腕周径
肩峰端から一定の距離で測る(上腕中央、上腕二頭筋最大隆起部)
・前腕周径
前腕最大隆起部
・指の太さ
ホイートシーフの指輪で測定

②下肢の周径
・下肢の周径の測定の体位
股関節、膝関節伸展位
・大腿周径
膝関節外側裂隙より一定の距離で測る
(成人では10センチ、小児では5センチ上)
・下腿周径
下腿部の最大周径

■4)生命徴候(バイタルサインの検査)
生体が生きている状態を示す徴候をいう
体温、脈拍、呼吸、血圧
(1)体温
①正常体温(平熱)
36度代
・測定部位とその温度
腋窩温:36度代
口腔温:腋窩温より約0.5度高い
直腸温:腋窩温より約0.8度高い
②体温の変動
・日内変動
日中高く、夜間から総長にかけて低くなる
0.8度程度の振幅
・年齢的な変化
年齢とともに低下
☆小児と尖刃での差:0.5度
・月経周期による変動
卵胞期:低温期
排卵期:最低
黄体期:高温期
0.3~0.5度の振幅
③熱型の分類
★熱型:発熱のタイプ
・稽留熱
日差が1度以内の、持続する高熱(39度程度)
大葉性肺炎、腸チフス、髄膜炎など
→細菌感染症
☆大葉性肺炎:線維素性肺炎、くるっぷせい肺炎
・弛張熱
日差が1度以上で、一日の体温の最低が37度以下にならない
敗血症、化膿性疾患、悪性腫瘍、ウィルス感染症など
・間欠熱
日差が1度以上で、一日の体温の最低が37度以下になる
弛張熱と同様の疾患
・波状熱
有熱期と無熱期を不規則に繰り返すもの
ブルセラ症、ホジキン病、マラリアなど
☆ブルセラ症:ブルセラ菌による感染症、家畜感染
☆ホジキン病:悪性リンパ腫の一種
④下熱の分類
・分利性解熱(分利)
高熱が急に下降するもの
大葉性肺炎、解熱薬の投与
・渙散性下熱(渙散)
徐々に下熱し、数日で平熱になる
大多数の熱性疾患

(2)脈拍
①脈拍の測定
橈骨動脈拍動部に検者の示指、中指、薬指をあてて診る
左右差、速さ、大きさを診る
ア.健康な成人の安静時の正常な脈拍数
60~80回/分
☆脈拍=心拍数
★乳児:115~130
幼児1:00~110
学童:85~95
イ.脈拍の変動
・性別による差
一般的には男性より女性の方が脈拍が多い
・活動による差
運動時、精神的興奮時、食後、発熱は脈拍増加
②脈拍の異常
ア.速さの異常
・頻脈(頻拍)
成人で脈拍数が100/分を超える状態
発熱時、貧血、心不全などでみられる
・発作性頻脈
突然脈が200回近くに増えるもの
発作性上室性頻拍、発作性心室性頻拍などでみられる
☆心室に障害がある場合の方が重篤
・徐脈
脈拍数が50回/分以下の状態
甲状腺機能低下症(粘液水腫)、脳圧亢進(脳腫瘍、水頭症など)、房室ブロック、ジギタリス中毒
☆房室ブロック:刺激伝導系の障害で、房室の興奮が心室に伝わらないので、心室は自動運動し、そのペースは心房より遅いので徐脈となる
ジギタリス:強心剤の一種
・アダムス・ストークス症候群
心拍の急激な変化の結果、40回/分以下の徐脈となり、めまい、意識消失(失神)、痙攣を起こすもの(症状が重篤)
完全房室ブロック、心室細動などにの際に見られる
イ.リズムの異常
★不整脈とは
脈のリズムや大きさが整っていないもの
・呼吸性不整脈
洞性不整脈の一つで、吸気時に早く、呼気時に遅くなるものをいう
発熱時、脳腫瘍、多発性神経炎、自律神経失調などで著名にみられる
☆洞性不整脈:洞房結節の障害による不整脈
・期外収縮
本来の収縮に先立って、小さい拍動が起こるもので、不整脈で最も多い
異常刺激発生部位によって、洞性、心房性、心室性などに分ける
睡眠不足、過労、嗜好品(煙草など)
ジギタリス中毒、、心内膜炎、心筋炎などでみられる
・絶対性不整脈
脈拍のリズムと大きさが、まったくばらばらなものを言う
心臓弁膜症、動脈硬化症、甲状腺機能亢進症、房室ブロックなど

(3)呼吸
①正常呼吸
不整がなく、呼気と吸気が規則正しい周期を保っている
・安静時の成人の正常呼吸数
14~20回/分
年齢が下がるほど回数が増える
女性の方が多少多い
☆乳児:30~40回
幼児:25~30
学童:16~25回
②腹式呼吸、胸式呼吸
教科書参照
③異常呼吸
呼吸数、リズム、深さ、呼吸運動を診る
①呼吸困難(重要)
息苦しい、呼吸に努力がいるなどの自覚症状をいい、他覚的には鼻翼呼吸が見られる
循環器、呼吸器疾患の重要な症状である
ア.呼気性呼吸困難
呼気の延長が見られる
気管支喘息、肺気腫、
…細気管支の狭窄による
イ.吸気性呼吸困難
吸気の延長が見られる
喉頭炎、喉頭腫瘍(癌も含む)、異物など
上気道の狭窄による
ウ.混合性呼吸困難
呼気性と吸気性が合併した呼吸困難
肺炎、気胸、胸膜炎、心不全など
☆心疾患では肺にうっ血が起こり、肺でのガス交換が障害される
②異常呼吸の分類
ア.頻呼吸(呼吸促迫)
一回の呼吸の深さは変化しないが、呼吸数が増加すること
成人で24回/分以上
運動時、精神的興奮、発熱
心不全、貧血など
イ.徐呼吸
一回の呼吸の深さは変化せず、呼吸数が減少する
成人で12回/分以下
脳圧亢進(脳腫瘍、脳内出血など)、薬物中毒
ウ.過呼吸
呼吸の頻度は変わらず、深さが深くなる場合をいう
動脈血二酸化炭素分圧が低下して、呼吸性アルカローシスを示す
過換気症候群(過呼吸症候群)、薬物中毒、低酸素環境、妊娠などで見られる
エ.浅呼吸
呼吸の頻度は変わらず、深さが浅くなっている状態
睡眠時、呼吸筋麻痺、結核、肺炎
オ.下顎呼吸
下顎を大きく動かして呼吸するものをいう
瀕死の重傷者
カ.チェーンストークス呼吸(交代性無呼吸)(重要)
無呼吸から深い呼吸、深い呼吸から無呼吸という変動が繰り返されるものをいう
脳疾患(脳出血、脳腫瘍など)、各種の中毒、気圧の低いところでの睡眠時で見られる
キ.ビオー呼吸(間欠髄膜炎性呼吸)
深さが一定しない呼吸と、無呼吸が不規則に交互に現れるもの
脳圧亢進をきたす疾患(脳腫瘍、脳炎、髄膜炎、クモ膜下出血など)
ク.クスマウル(大)呼吸
ゆっくりとした不覚大きい呼吸が規則正しく続くもの
代謝性アシドーシスの際み見られる
★代謝性アシドーシスを引き起こす疾患:糖尿病、尿毒症
ケため息呼吸
過剰換気のうち、軽度なものをいう
過換気症候群、神経症
コ.起坐呼吸
仰臥位では呼吸困難が強いため、起坐位をとるもの
うっ血性心不全、気管支喘息発作時、肺気腫などで見られる

4)換気障害
胚胞換気量をみる
・胚胞換気量:一回換気量から死腔量をひいて、呼吸数をかけたもの
①低換気
低酸素血漿、呼吸性アシドーシスをきたす。
外傷、薬物中毒、肺気腫、鬱血性心不全などでみられる
・ピックウィック症候群
高度肥満に見られる低換気

(4)血圧(Blood Pressure)
血液が血管壁に及ぼす圧力をいう
一般に血圧は動脈圧をさす
1)血圧測定
①測定上の注意
血圧は変動しやすく、寒冷や精神的緊張などで上昇し、安静では下降する
・室温を20度前後に保つ
・測定部と心臓は同じ高さにする
②血圧測定器具と測定法
・代表的な血圧計
リバロッチ型
(電子血圧計、アネロイド型など)
☆アネロイドは重要でない
・測定法の種類
触診法
聴診法
・マンシェットの位置は、下縁が肘窩の2~3㎝上
・拍動をとる場所は上腕動脈
・拍動が消えてから30mmHg高くなるまで加圧する(およそ150~200mmHg)
・減圧の速さは、1心拍ごとに2~3mmHg
・聴診器から聴こえる血管音をコロトコフ音という
・コロトコフ音が聴こえ始める点
スワン第1点(最高血圧)
・コロトコフ音が減弱する点
スワン第4点(最低血圧)
・コロトコフ音が消失する点
スワン第5点(最低血圧)
イ.下肢の血圧測定
・大腿にマンシェットを巻いて膝窩動脈で測定、または足首にマンシェットを巻いて足背動脈で測定
・下肢の血圧を測定する必要のある疾患
大動脈縮窄症(用事や若年者)
・大動脈縮窄症の上肢と下肢の血圧
上肢の血圧:高い
下肢の血圧:低い

③正常血圧
成人で最高血圧が100~140mmHg、最低血圧は60~90mmHg
ア.血圧の変動
・年齢
年齢とともに血圧は上昇する(少しずつ)
年齢+90が正常値とされる
・日内変動
夜間、早朝に低く、日中高い
・季節性
冬高く、夏低い
・精神的要因
興奮時、不安なときに上昇
・身体的要因
運動時などに上昇

④血圧の異常
ア.高血圧
血圧が慢性的に上昇した状態をいう
a.WHOによる高血圧診断基準(1999年改訂)
・至適血圧(最適血圧)
最高血圧=120未満、かつ最低血圧=80未満
・正常血圧
最高血圧=130未満、かつ最低血圧=85未満
・正常高値
最高血圧=130~139、または85~89
・高血圧1(軽度高血圧)*
最高血圧=140~159、または最低血圧=90~99
・高血圧2(中等度高血圧)
最高血圧=160~179、または最低血圧=100~109
・高血圧3(重症高血圧)
最高血圧=180以上、または最低血圧=110以上
☆教科書の基準は新しくなっていない
b.高血圧の分類
・本態性高血圧症(原因不明)
大半の高血圧がこれにあたる
・昇汞性高血圧
原因疾患があるもの
腎疾患(腎不全、腎硬化症など)、内分泌疾患の一部(褐色細胞腫、バセドウ病、アルドステロン症)、心・血管疾患(大動脈弁閉鎖不全など)
★高血圧の展開
高血圧、高脂血症→動脈硬化→生活習慣病(心筋梗塞、脳卒中)

イ.低血圧
収縮期血圧が常に100mmHg以下の場合をいう
めまい、疲労感、肩こり、などの症状が現れる
a.低血圧の分類
・本態性低血圧症
・症候性低血圧症(二次性低血圧症)
内分泌異常
…甲状腺機能低下症(クレチン病、粘液水腫)
栄養障害
・起立性低血圧
起立時に最高血圧が一過性に低下するものをいう
自律神経の失調、シャイ・ドレーガー症候群などで起こる
★シャイ・ドレーガー症候群
自律神経の変性疾患

7.神経系の検査
■1)意義と方法
知覚、運動、自律神経系の異常を知るために行う検査
■2)知覚検査
1)意義
知覚障害の種類、程度、範囲を調べ、その原因を探ることがじゅうようである
・知覚の種類
皮膚感覚(痛覚、温度覚、触圧覚)、深部感覚
・知覚障害の程度(パターン)
過敏、鈍麻、脱失
2)知覚検査
★方法と注意点
・会話形式で行う
・正常部と異常部の境界に注意する
・左右対称に同じ強さで行う
・深部知覚や複合知覚検査は、閉眼させて行う

(1)表在知覚検査(皮膚感覚検査)
①表在知覚検査の実際
・痛覚検査
ピンや鍼で皮膚を軽くついて行う
・温度覚検査
試験管にお湯(40~44度程度)または冷水(5~10度程度)を入れて皮膚にあてる
・触覚検査
薄紙、毛筆、ルーレットなどで軽く触れて行う
・圧覚検査
指頭、鉛筆などで圧迫する
★p65のデルマトーム参照
②原因疾患
ア.末梢神経障害
・単神経炎
単一の末梢神経の障害で支配領域に一致した知覚障害が起こる
・多発性神経炎
左右対称性で手袋・靴下型の知覚障害が現れる
ギラン・バレー症候群、糖尿病、脚気などでみられる
イ.神経根障害
その神経根が行き着く支配領域に障害が現れるもの
椎間板ヘルニア
変形性脊椎症
ギランバレー症候群
ウ.脊髄障害
傷害された部より下に運動野感覚の障害が起こる
脊髄腫瘍、脊髄損傷
脊髄空洞症、脊髄ろう(梅毒の症状の一つ)などでみられる
☆脊髄空洞症:中心管が拡大し、周囲の伝導路を圧迫する。痛覚、温度覚のみの障害(触覚を除く)
エ.中脳以上の脳障害
左右どちらかの半身の全知覚障害
脳梗塞などでみられる

(2)深部知覚検査
運動覚、位置覚、振動覚について検査する
①深部知覚検査の実際
ア.運動覚と位置覚の検査
患者の関節を他動的に動かし、その動きを答えさせたり、実際に導差させたりする(閉眼させる)
イ.振動覚の検査
C音叉を鎖骨や肘頭など、骨の突出部にあて、音叉の振動時間を聞く
☆被験者が感じなくなるまでの時間を測る
正常では15秒前後
②深部知覚障害の原因疾患
異常があった場合は概ね表在知覚検査と同じである
深部知覚の減弱や消失は脊髄の後索障害で現れる(脊髄癆など)

(3)複合知覚検査
①複合知覚検査の実際
ア.二点識別覚検査(二点弁別閾検査)
皮膚の二点を同時に刺激してそれが二つの刺激であると識別できるかをみる
イ.皮膚書字試験
手掌などに簡単な字を書いて
ウ.立体認知試験
日常よく使うものを触らせ、それを答えさせる
エ.重量覚の検査
明らかに重さの違うものを持たせ、どちらが思いか答えさせる
②複合知覚障害の原因疾患
末梢伝導路に障害がないのに、複合知覚検査に異常がみられる場合は、頭頂葉などの高位中枢障害(大脳皮質障害)を疑う

(4)反射検査方
表在反射、深部反射、病的反射、自律神経反射について調べる
・注意事項
必ず左右を検査する
①表在反射
皮膚や粘膜への刺激により、筋収縮が見られる反射で、多シナプス反射である
減弱、または消失する
末梢神経障害で見られる。錐体路障害でも減弱
☆錐体路:随意運動の伝導路
・表在反射の例
角膜反射(まばたき反射)
腹壁反射
挙睾筋反射
②深部反射(伸張反射、腱反射)
筋や腱を叩打するとその筋が収縮する反射で、筋紡錘が受容器となる、単シナプス反射である
固有反射ともいう
・深部反射の判定と表記
正常:+
減弱:±
消失:-
軽度亢進:++
亢進:+++
高度亢進:++++
ア.深部反射の異常
・減弱または消失
反射弓のどこかの障害による
末梢神経疾患、脊髄疾患、多発性神経炎などでみられる
・反射亢進
錐体路障害(中枢系への損傷が疑われる)
脳血管障害、筋萎縮性側索硬化症などで見られる
イ.深部反射の例
下顎反射、眼輪筋反射、上腕二頭筋反射、上腕三頭筋反射、腕橈骨筋反射など
膝蓋腱反射、アキレス腱反射など
ホフマン反射、トレムナー反射、ワルテンブルグ反射は正常では非常に微弱なので、陽性では反射亢進とみなされる
・反射とその支配神経根
上腕二頭筋反射:C5
腕橈骨筋反射:C6
上腕三頭筋反射:C7
膝蓋腱反射:L4
アキレス腱反射:S1

③病的反射
健康人には見られないが、錐体路障害で出現する反射をいう
乳児期(生後半年程度)には正常でも見られる
病的反射出現時には深部反射も亢進している
・バビンスキー反射
刺激:足底の外側をこする
結果:母指の背屈、四指の外転が見られる
・チャドック反射
刺激:足の外果後下部をこする
結果:バビンスキーと同じ
・オッペンハイム反射
刺激:脛骨内側面をこする
結果:バビンスキーと同じ
・シェファー反射
刺激:アキレス腱を強く握る
結果:バビンスキーと同じ
・ゴルドン反射
刺激:腓腹筋を強く握る
結果:バビンスキーと同じ
・足クローヌス
刺激:足関節を強く背屈
結果:底屈背屈を交互に繰り返す
下腿三頭筋の伸展をきっかけとする深部反射
・膝クローヌス
刺激:膝を伸展し膝蓋骨を引き下げる
結果:膝蓋骨が上下に動く
大腿四頭筋の伸展をきっかけとする深部反射

(5)脳神経の検査法 P.81
Ⅰ.嗅神経
 嗅覚検査を行う。一般的には非刺激性で匂いのある物質を用いる。
①方法
・T&Tオルファクトメータによる基準嗅覚検査(重要でない)
5種の嗅素を用いて8段階の希釈濃度をつくる。薄い溶液からかがせ、初めて嗅感の起こった濃度を調べる。
・静脈性嗅覚検査
通常プロスルチアミン注射液を静脈より注入し、嗅感の起こり方を調べる。
②嗅覚の異常
・嗅覚の低下・脱失
末梢神経障害、鼻疾患、老化、
脳腫瘍、脳血管障害

Ⅱ.視神経
視力、視野、眼底について検査する。
①視力検査
 視力表(ランドルト環など)で検査を行い、裸眼視力と矯正視力を計る。視力表が見えなければ眼前指数・眼前手動・光覚・視力0と評価する。
②視野検査
ア.検査法
視野計を用い、一点を固視したときに視標のみえる範囲を測定する。
・静的視野検査:視標を静止させて測定する。
・動的視野検査:視標を動かしながらみえ始める点を求める。
・中心視野検査:30°以内の検査を行う。
イ.視野の異常
a.中心暗点
 球後視神経炎、中心性脈絡網膜炎、黄斑変性
☆球後視神経炎:梅毒などで見られる
b.束状暗点
 緑内障
c.求心性視野狭窄
 網膜色素変性症、ヒステリー
d.半盲
・異名半盲
左右眼でそれぞれ反対側の視野が欠損する場合で、両耳側半盲と両鼻側半盲に分けられる。
視交叉部の障害(両耳側半盲が多い)
・同名半盲
両眼で同じ側の視野が欠損する場合をいい、右側半盲と左側半盲がある。
視交叉部より中枢側の視路障害
③眼底検査
検眼鏡を用いて乳頭、血管、網膜、出血、黄斑部をみる。
・うっ血乳頭:視神経乳頭の非炎症性浮腫。
脳腫瘍、クモ膜下出血、低眼圧、眼窩内腫瘍
☆脳圧亢進症状の一つ
・視神経萎縮
視神経の外傷、炎症、変性、脱髄、虚血、圧迫
☆脱髄:髄鞘が脱落すること
・網膜の血管性病変
動脈硬化症、糖尿病の診断に有効。
・網膜色素変性:骨小体様色素斑が特徴的。
・チェリーレッドスポット
網膜後極部は灰白色混濁、中心窩は鮮紅色を呈する。
テイ・サックス病

Ⅲ.動眼神経・滑車神経・外転神経
①外観及び眼球運動の検査法
☆外転神経:外側直筋
滑車神経:上斜筋
動眼神経:内側直筋、上下直筋、下斜筋、上眼瞼挙筋
ア.外観の観察
眼裂の左右差、眼瞼下垂の有無をみる。
・眼瞼下垂:上眼瞼挙筋や上瞼板筋の麻痺による。
 動眼神経麻痺、ホルネル症候群、重症筋無力症
イ.眼球運動検査
眼前40~50cmで検者の指またはペンライトを各方向(8方向)に、あるいは遠くから眼前に動かして注視させ、眼筋麻痺の有無をみる。
・複視:像が二つに離れて見える状態。
外眼筋麻痺(両眼性)、白内障・強度乱視(単眼性)
②瞳孔検査
瞳孔の形状や大きさ、左右差、対光反射をみる。
・縮瞳
モルヒネ中毒、ホルネル症候群
・散瞳
動眼神経麻痺、ショック、バセドウ病、アトロピン点眼
・アーガイル・ロバートソン徴候
神経梅毒(進行性麻痺・脊髄癆)
☆対光反射が消失し、輻輳反射、近見反応が正常な状態をいう
・絶対性瞳孔硬直
神経梅毒、外傷
☆瞳孔が開閉しない
③眼位(眼筋麻痺)
ア.外斜視
 動眼神経麻痺
イ.内斜視
外転神経麻痺
ウ.共同偏視:両眼が同じ方向に偏位している状態。
・水平性共同偏視
病巣側をにらむ:中脳より上の破壊性病変
病巣側の反対をにらむ:小脳の破壊性病変
正中位固定:橋の破壊性病変
・垂直性共同偏視
  下方をにらむ:視床出血
  上方をにらむ:てんかん発作、睡眠中
エ.人形の目現象
頭部を左右に回旋させると、眼球はもとの位置に保たれる現象。意識障害患者で、この反射が正常であればその原因は動眼神経核より上(大脳の両側性の障害)、消失していれば原因が動眼神経核より下にあることを示す。

Ⅴ.三叉神経
①知覚検査
第1枝・第2枝・第3枝に分けて検査する。
②反射検査
角膜反射・下顎反射を検査する。
③運動機能検査
口を大きく開けさせて、下顎の偏位をみる。
麻痺側への下顎の偏位:咀嚼筋麻痺

Ⅵ.顔面神経
①運動機能検査
・顔面の非対称の観察:鼻唇溝の消失、健側口角の挙上
・上を見るよう命じて額にしわを寄せさせる。(前頭筋)
・閉眼させる。また閉じた眼瞼を開いてみる。(眼輪筋)
・口唇をすぼめ口笛を吹かせてみる。(口輪筋)
・口角を下方へ引かせへの字にさせる。(広頚筋)
②味覚検査
舌の前2/3の味覚検査をする。舌の一側に味溶液を舌にのせ、味についてきく。
③その他
涙腺・唾液腺の検査
④顔面神経麻痺の種類
ア.末梢性(核下性)顔面神経麻痺
・麻痺側の前額にしわを寄せられない。
・閉眼出来ない。
・口唇をすぼめたり、口笛を吹くことができない。
・ベル現象や兎眼がみられる。
☆無理やり閉眼すると眼球が上を向くもの
・味覚障害や唾液分泌障害を伴うことがある。
イ.中枢性(核上性)顔面神経麻痺
・前額部にしわを寄せることができる。
☆中枢では左右の脳の両側性の支配を受けているので、片方脳が障害されても麻痺が出にくい
・味覚障害や唾液分泌障害はみられない。
☆中枢が延髄など中枢部以下にあるので

Ⅶ.聴神経(内耳神経)
①聴力検査
オージオメータやC128音叉、時計などを用いたり会話により検査する。
☆オージオメータ:聴力検査のための装置
★難聴:聴力が低下した状態
・伝音性難聴:外耳や中耳の障害による。
・感音性難聴:内耳や求心路、中枢の障害による。
ア.ウェーバー試験
C音叉を振動させてから被験者の前額部あるいは頭頂部の正中にあて、きこえ方を調べる。正常では音が左右差なく聴こえる。
・患側で大きく聴こえる:伝音系難聴(骨伝導が強くなる)
・健側で大きく聴こえる:感音系難聴
イ.リンネ試験
C音叉を振動させてから患耳の乳様突起に当てる。音が聴こえなくなると、音叉の先端を外耳孔に近づけて再び音が聴こえるかどうかを検査する。
・骨伝導より空気伝導の方が長く聴こえる(リンネ陽性)  正常、感音系難聴
・音叉の先端を近づけても音は聴こえない(リンネ陰性)  伝音性難聴
②前庭機能検査
平衡機能や眼振の有無をみる。
ア.平衡機能検査
閉眼して上肢の運動・起立・足踏み・歩行などをさせる。
偏位・転倒:偏位側の小脳や前庭の障害
☆平衡感覚に関わる3つの感覚
深部感覚、視覚、平衡感覚
イ.眼振検査
注視眼振検査、頭位眼振検査、頭位変換眼振検査、温度眼振検査、回転検査などを行う
☆注視眼振検査:何かを見つめさせる
頭位眼振検査:特定の頭の位置にしたときに眼振が出る
頭位変換眼振検査:頭の位置を変えると眼振がでる
温度眼振検査: 外耳道に水を入れる。眼振が起こらない方が異常
回転検査:回転いすに座らせて回転させる。眼振が起こるのが正常
前庭性眼振は注視により抑制されるので、検査時にはフレンツェル眼鏡をかけさせて注視できないようにする。
☆フレンツェル眼鏡:すりガラスのようになっていて見えない

Ⅸ.舌咽神経・迷走神経
①運動機能検査
構音障害、発声障害、嚥下障害の有無をみる。
☆声帯筋を支配するのは反回神経
ア.口を開け発音させて軟口蓋・口蓋垂・咽頭壁の運動を観察する。
・軟口蓋や口蓋垂の偏位:迷走神経障害
・無声、嗄声:迷走神経障害
イ.水を飲ませる。
・鼻への逆流、嚥下障害:軟口蓋麻痺(迷走神経障害)
②知覚検査
咽頭周辺の知覚を舌圧子で調べる。
③反射検査
口蓋反射、咽頭反射をみる。
④自律神経機能検査
頚動脈洞反射、アシュネル反射をみる。

ⅩⅠ.副神経
上部僧帽筋、胸鎖乳突筋の運動機能をみる。
①上部僧帽筋の検査
 肩に手を当て、これに抗して肩を挙上させる。麻痺があると肩の挙上が出来ない。
②胸鎖乳突筋の検査
 胸鎖乳突筋に検者の手を当て、回転させないように抵抗を加えながらそれに抗して頭を左右に回転するよう命ずる。一側性の末梢性障害の場合は、頭を健側へ回転できない。

ⅩⅡ.舌下神経
舌筋の筋力やなめらかさを検査する。
①頬部粘膜に舌尖をおしつけ頬より突出させるよう命じ、 外から指で触れて筋力をみる
②舌を口の外に出させて舌の偏位の有無をみる。
核下性麻痺では病巣側へ、核上性麻痺では反対側へ偏位する。
③萎縮、線維束性攣縮、不随意運動の有無をみる。
☆線維束性攣縮:末梢神経麻痺でみられる、100~200単位の筋が収縮する現象。大きな筋の中の一部だけが収縮する。ピリピリと感じる

(6)自律神経機能検査法
自律神経反射を応用して自立機能をみる
①アシュネル眼球圧迫試験
非検者を閉眼させ、両眼または片眼を瞼の上から指頭で圧迫する。10~15秒間圧迫し、これを3~4会繰り返す
正常では6~8/分の脈拍減少をみる
10/分以上減少(陽性):副交感神経緊張亢進

②ツェルマク・ヘーリング頚動脈洞圧迫試験
一側の頚動脈洞部を指で圧迫する試験で、徐脈と血圧下降が起こる
10/分以上の脈拍数現象、めまい(陽性):副交感神経緊張亢進、自律神経不安定

③体位変換試験(シェロング試験)
仰臥位から座位または立位になった時の脈拍数、血圧の変化をみる試験
正常では起立直後に脈拍数は10~20/分増加し、最高血圧は10mmHg以内の下降、最低血圧は5~10mmHgの上昇がみられる
またこの変化は2分以内に前値に復帰する
脈拍の変動大、血圧下降:自律神経不安定

④皮膚紋画症(皮膚描記症)試験
ハンマーの柄などで前胸部や背部の皮膚を擦過する試験
・6~10秒後に赤色の線条が出現:自律神経不安定
・6~10秒後に白色の線条が出現:アトピー性皮膚炎

⑤寒冷昇圧試験(ハインズ・ブラウン試験)
☆カタカナ名前は重要でない
☆内容はあまり重要でない
まず30分間以上の安静臥床後に血圧を測定する
次に一側の手を手関節上部まで4℃の冷水に浸し15秒毎に他側の上肢で血圧測定する
さらに1分後に冷水から手を出し、1分間隔で血圧測定し、血圧が元に戻るまでの時間を測定する
正常では、最高血圧が12mmHg、最低血圧が10mmHg程上昇し、2分程度で回復する
最高血圧20、最低血圧15mmHg以上の上昇、回復時間の延長:交感神経緊張亢進

⑥その他
ア.心電図R-R間隔変動係数
安静臥位で、100拍の心電図のR-R間隔変動係数を求める
イ.ピロカルピン試験
ピロカルピン溶液を皮下注射氏、その1時間後の反応を観察する
ウ.アトロピン試験
アトロピン溶液を皮下注射、その後の脈拍変化を観察する
エ.アドレナリン試験
 アドレナリン溶液を皮下注射し、その後の脈拍・血圧・呼吸の変化を観察する。
オ.コカイン・エピネフリン試験
コカイン、及びエピネフリンを点眼して瞳孔反射をみることで
交感神経と副交感神経の障害部位の診断を行う。
カ.質問紙による検査
CMI健康調査表
1949年に作成された心身全般の健康調査表
・深町変法:計195項目の質問票で、神経症の診断に有用。
・阿部変法:計94項目の質問票で、自律神経失調の診断に有効。

(7)髄膜刺激症候
・髄膜に刺激が加わったときに、みとめられる症状をいう
・疾患
髄膜炎、クモ膜下出血
・自覚症状
頭痛、悪心嘔吐、発熱
・他覚症状
項部強直
…頚部を前屈させると強い抵抗がある
ケルニッヒ徴候
…仰臥位で股関節、膝関節を90度屈曲し、ついで膝関節を伸ばすと疼痛を訴えて伸展が困難となる現象
ブルジンスキー徴候
…下肢を伸展させた仰臥位の患者の頭を、他動的に全屈させると、股関節、膝関節が屈曲する現象

■3)運動機能検査
1)運動麻痺
運動中枢から筋線維に至るまでの伝導路のどこかに障害があり、随意運動が困難または不能になった状態という
☆運動中枢:大脳皮質の中心前回にある運動野
・中枢から出ている1本眼の神経
上位運動ニューロン
・脊髄に神経細胞を持つ二本目の神経
下位運動ニューロン
☆錐体路の経路(外側皮質脊髄路(錐体側索路))
大脳皮質の運動野から内包をとおり、中脳の大脳脚をとおり
延髄で膵体を形成
延髄下端で交叉する(=錐体交叉)
そこから下行し、側索、前角に行き(起点と反対側)、シナプスを形成
そして筋に達する(シナプスあり、神経筋接合部)

(1)分類
①麻痺の性状による分類
ア.痙性麻痺
筋緊張亢進状態での麻痺
上位運動ニューロンの障害によって起こる
深部反射の亢進、病的反射出現
筋萎縮なし
イ.弛緩性麻痺
下位運動ニューロン障害によって起こる
深部反射減弱または消失
病的反射は出現しない
筋萎縮が著名に現れる
②麻痺の程度による分類
ア.完全麻痺
随意運動が全くできない状態
イ.不全麻痺(不完全麻痺)
随意運動が困難な状態
③麻痺の部位による分類
ア.単麻痺
一側の上肢または化しのみの運動麻痺をいう
中枢性の障害、末梢性の障害、両方ありえる
イ.片麻痺
一側上下肢の運動麻痺をいう
内包付近の脳血管障害
ウ.対麻痺
両下肢の運動麻痺をいう
頚髄より下の脊髄障害
エ.四肢麻痺
四肢の運動麻痺
頚髄損傷によるものが多い

3)不随意運動
自分の意思に関係なく生じる運動で、錐体外路障害によるものが多い
(1)振せん
いわゆる振るえのことで、比較的規則的な運動である
①安静時振せん(静止時振せん)
パーキンソン病などで見られる
②運動時振せん
ア.姿勢振せん
一定の姿勢を保持したときに
・羽ばたき振せん
両上肢を側方水平挙上させると起こる振せん
ウィルソン病(肝レンズ核変性症)、肝性脳症などで見られる
・動作時振せん
・企図振戦
ある動作の開始時や終了時にみられ、特に運動の終わりに増強する振せんである
小脳疾患で見られる

(2)舞踏病様運動
四肢末端、体幹、頚部、顔面におよぶ不随意運動で、不規則で非対称性の急速な短時間の動きをする
・ハンチントン舞踏病
遺伝性の疾患
・シデナム舞踏病
リウマチ熱に伴って起こる
・アルコール中毒、妊娠などでもみられる

(3)アテトーゼ
持続的で粗大な舞踏病より遅い不随意運動である
大脳基底核の病変による

(4)ジストニア(ジストニー運動)
関節、特に脊中の高度の屈曲、捻転を伴う不随意運動
線条体の変性でみられる

(5)ミオクローヌス
突然に起こる急速で短時間の不規則な不随意的収縮
☆ミオクローヌス:筋 間代という意味

(6)チック
心因性の不随意運動

4)筋萎縮、筋の硬度、圧痛、線維束性攣縮、仮性肥大、ミオトニア
(1)筋萎縮(重要)
筋束の径が小さくなった状態
①分類
・廃用性萎縮
運動が行われない時に見られる萎縮
長期臥床、ギプス固定
・神経原性萎縮
下位運動ニューロン障害による筋萎縮をいう
四肢遠位部に有意に起こる(末端から萎縮が起こる)
・筋原性萎縮
筋自体の異常によるもので、四肢近位部優位である
進行性キンジストロフィー症

(2)線維束性攣縮
一つの前角細胞に支配される筋線維群にみられる、急速な不随意的収縮をいう
下位運動ニューロン障害でみられる
☆線維束=筋線維の束
☆一つの前角細胞は100~200本程度の筋線維を支配
☆筋肉の一宇がひくひく収縮する感じ

(3)仮性肥大(偽性肥大)
容積の増大が正常成分以外のもので占められる場合をいう
デュセンヌ型筋ジストロフィなどで見られる

(4)ミオトニア(筋強直症)
筋が強く収縮した後、弛緩させようとしても、すぐには弛緩されにくい状態をいう
先天性筋緊張症、筋緊張型ジストロフィ症などで見られる

5)筋緊張(トーヌス)
静止している筋が保っている緊張状態をいう
検査は関節を他動的に動かして、そのときの可動範囲や抵抗感をいう
(1)トーヌスの異常
①トーヌスの亢進(重要)
ア.痙直(痙縮)
錐体路障害で出現する筋緊張亢進状態をいう
☆痙性麻痺のこと。深部反射亢進状態、病的反射出現
・ジャックナイフ現象(折りたたみナイフ現象)
他動的に動かすと、最初は抵抗が強いがあるところから急に抵抗がなくなる
最初の抵抗=深部反射の亢進
☆ゆっくり動かしても出現しないことが多い
イ.固縮
錐体外路疾患で出現する筋緊張亢進状態をいう
・鉛管現象
他動的に動かすと鉛の管を曲げるような持続性の抵抗がある
・歯車現象
他動的に動かすときに抵抗ががくがくと断続的にあるもの
②トーヌスの低下
筋が弛緩している状態
末梢神経麻痺、弛緩性麻痺、筋疾患(筋ジスなど)、小脳疾患などによって起こる
・弛緩した筋の特徴
受動性の亢進(他動運動に際して抵抗がない状態)
伸展度の亢進(関節が過伸展する)

6)起立と歩行
姿勢、上肢の動き、不安定性、両足の開き具合などを観察する
(1)爪先歩行、かかと歩行(検査法)
・爪先歩行困難、不能
腓腹筋の筋力低下
・踵歩行困難、不能
前脛骨筋の筋力低下
錐体路障害
☆尖足になるので
(2)つぎ足歩行
つま先に反対側の踵をつける導差を左右交互に行わせて見る
小脳疾患、前庭迷路障害でみられる
→運動失調の徴候の一つ
(3)片足立ち
片足立ちが困難な場合、運動失調が疑われる
(4)ロンベルグ徴候
開眼状態で両足をそろえて立たせ、次に閉眼させて体の動揺をみる
動揺が著しい場合が陽性
深部感覚障害、脊髄後索障害
(5)突進現象
非検者を直立させ検者が前方、左右などに押すと押された方向に倒れる、または突進する現象
パーキンソン病、パーキンソン症候群などでみられる
(6)その他の歩行の異常
①動揺性歩行
腰を左右に振りながら進む歩行
腰帯筋の筋力低下があるときにみられる
進行性キンジストロフィー症などで見られる
☆腰帯筋:腰周りの筋肉全般
②鶏状歩行(鶏歩)
つま先が垂れるのを代償するため、ひざを高く上げて進む歩行
腓骨神経麻痺による。ポリオ、多発性神経炎などでみられる
③片麻痺歩行
伸展した患側下肢が股関節を中心に半円を描くように進む歩行
ぶんまわし歩行とも言われる
脳血管障害の後遺症でみられる
④痙性歩行
両足の膝を突っ張って下肢を伸ばしたまま歩く歩行
脊髄麻痺でみられる
**
⑤小脳性失調性歩行(酩酊歩行、千鳥足歩行)
・つぎ足歩行や踵歩行ができず、フラフラしながら歩くもの。
・小脳疾患でみられる。
⑥脊髄性失調性歩行
・両足を開き、地面に投げ出すように叩きつけながら歩き、
 体幹も動揺する(チンピラ歩き風)。
・脊髄後索障害(深部感覚障害)でみられ、ロンベルグ徴候は陽性を示す。
⑦パーキンソン歩行(小刻み歩行、突進歩行、すくみ足歩行)
・前傾姿勢で歩幅が狭く、小刻みに歩く。
・パーキンソン病、パーキンソン症候群でみられる。
⑧トレンデレンブルグ歩行
・患側で片足立ちすると健側の骨盤が下がり、上体を傾けながら歩く。
・中殿筋麻痺、先天性股関節脱臼でみられる。
⑨ヒステリー歩行
・奇妙な歩き方で、一定の型はない。
・ヒステリー(神経症、ノイローゼ)などでみられる。
⑩間欠性跛行
・歩き始めると疼痛と脾労によって足を引きずり、休息により回復する。
・脊柱管狭窄症、バージャー病(下肢の動脈炎)でみられる。

(7)運動失調
筋力低下や麻痺などの障害がないにも関わらず、多数の筋が協調して行う随意運動が円滑に行えない状態をいう
1)障害部位による分類
①小脳性運動失調
視覚による補正ができない
☆目を開けていても閉じていても運動失調が現れる
・測定異常(推尺異常)
運動を目的のところで止めることができない
・企図振戦
・失調性歩行(酒客歩行)
・構音障害
☆うまくしゃべれないこと
爆発性言語(断綴言語)が見られる
・変換運動反復障害
例)前腕の回内、回外運動を繰り返す運動がうまくできない
②脊髄性運動失調
脊髄後索の障害による運動失調
☆深部間隔障害による運動失調
・ロンベルグ徴候
閉眼すると現れる点が特徴的
③前庭迷路性運動失調
内耳および前庭神経の障害による運動失調
・ロンベルグ徴候陽性
・めまい
・眼球振盪
失調性歩行

2)運動失調の検査
①共同運動障害の検査
・指鼻試験
患者の示指を自分の鼻に当てさせ次に患者の前方に示した検者の示指に触れさせることを繰り返す
運動失調があれば患者の指が正確に目標で泊まらない測定障害が見られる
・踵膝試験
踵を他方の膝にのせ膝から脛骨に沿って足首まで下げさせ、運動が円滑にできるかをみる
・交互変換運動(ジアドコキネーシア)
前腕の回内、回外運動をできるだけ早く行わせる
変換運動困難、不能の場合は小脳失調を疑う
・運動時振戦、企図振せん
例えば指鼻試験で指が目標に近づくにつれて激しく振戦すれば企図振戦といい、小脳障害を疑う
②平衡障害の検査
・ロンベルグ徴候
開眼状態で両足でつま先と踵をそろえて立たせた後、閉眼させると大きく動揺して倒れそうになる場合を陽性とする
脊髄後索や前庭の障害を疑う。開眼状態でも動揺があればロンベルグ徴候陰性とし、小脳性疾患を疑う
・歩行状態の検査
失調性歩行では、つま先歩行ができず体をフラフラさせながら歩く(千鳥足)

(8)関節可動域の測定法
・可動域=RM(Rage of Motion)
・角度計を用いて測定する
・基本肢位は概ね解剖学的肢位
☆基本肢位:関節可動域測定の始点
・他動運動の測定と自動運動の測定があるが、原則として他動運動で行う

(9)徒手筋力検査法
・略称:MMT(Manyual Muscle Test)
・個々の筋の筋力を検者が用手的に評価する方法である
被験者に力を入れさせ、検者がそれに抵抗し、その抵抗に対して運動できるかを見て筋力を段階評価する
・筋力の記載法としてダニエル法が用いられている
①筋力の評価(重要)
・6段階に評価
*筋力5:正常(N:Normal)
100%
強い抵抗を加えても全可動域を完全に動かすことができる
*筋力4:優(G:Good)
75%
多少の抵抗を加えても全可動域を完全に動かすことができる
*筋力3:良(F:Fare)
50%
抵抗を加えなければ重力に打ち勝って全可動域を完全に動かすことができる
*筋力2:可(P:poor)
25%
重力を取り除けば全可動域を完全に動かすことができる
・筋力1:不可(T:Trace)
10%
関節は動かないが、筋収縮は認められる
・筋力0:ゼロ(0)
0%
筋収縮が認められない

(10)日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)
家庭や職場における暮らしの動作をいう
・日常動作の例
体の移動(寝返り、這って動くなど)
、立体応用動作(椅子に座る、しゃがむ、歩行など)
、食事、衣服着脱、整容(洗顔、歯磨など)

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第3章 臨床検査法
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物理化学的な方法を用いて、生体内部の情報を得る検査のこと
客観性が高い

◎第1節 臨床検査
■1)検査対象による分類
(1)生体検査(生理機能検査)
患者自身に対して行う検査
・電図系統
心電図、筋電図、脳波
・バイタルサイン系
心音図、脈波、血圧、体温
・X線検査、CT、MRI
・その他
肺機能検査(スパイ路メータ)など
(2)検体検査(臨床病理検査)
患者から得られる検査材料(検体)について行う検査
・一般検査
尿検査、検便、髄液、消化液
喀痰
・血液検査
・免疫血清学的検査
抗原や抗体などの検査
・生化学的検査
コレステロールや酵素など
・細菌学的検査
・病理学的検査
生検:病的な部分を摘出し標本を作って検査する
剖検:死後に解剖して病的変化を確認する
細胞診:患者の分泌物を標本にして検査する

1.一般検査
■1)尿検査の概要
原則として早朝の起床直後に採尿する。
1)尿量
(1)正常値
 成人:1~1.5l/日
 6~12才:0.6~1.4l/日
 1~6才:0.3~0.6l/日
(2)異常
①乏尿:500cc以下/日
 脱水症、心不全、急性腎不全、ネフローゼ症候群の初期
②無尿:100cc以下/日
 水銀中毒、鉛中毒、尿毒症
③多尿:常に2000cc以上/日
 尿崩症、糖尿病、慢性腎疾患、多飲

(3)排尿異常
①尿閉:膀胱にたまった尿が排泄できない状態。
 前立腺肥大症、尿道狭窄、神経因性膀胱、膀胱麻痺
②頻尿:排尿回数が多い状態。1日に6回以上
 膀胱炎、前立腺肥大

2)尿色調
(1)正常
 淡黄褐色(わら色)
(2)異常
①褐色ないし赤色:血色素尿、血尿
②黄褐色ないし橙黄色:黄疸尿(あわも黄染される)
③尿混濁:尿路感染症

3)尿比重
 尿の濃縮力の指標で、尿中に溶解している全溶質の濃度を反映する。摂取した水分や汗の量により大きく変化する。
(1)正常値》
 1.005~1.030(平均1.015)
(2)異常
①低比重尿:1.005以下
 尿崩症、糸球体腎炎、腎盂炎、慢性腎炎、萎縮腎
☆多尿で尿比重が低くなければ糖尿病が疑われる
②高比重尿:1.030以上
 発熱、脱水、糖尿病、ネフローゼ症候群、うっ血性心不全

4)尿pH
(1)正常値
 平均6(4.5~8)の弱酸性
(2)異常
①酸性尿:発熱、疲労、糖尿病など
②アルカリ性尿:血尿、細菌尿、激しい嘔吐

5)尿蛋白
(1)正常値
 20~150mg/日
 正常でも微量の蛋白を尿中に排泄しているが、通常の検出法では検出できない。
(2)異常
①腎性蛋白尿
 ア.糸球体性蛋白尿:糸球体障害によるアルブミン尿
  ネフローゼ症候群、腎炎
 イ.尿細管性蛋白尿:尿細管の再吸収障害による
  重金属中毒、薬剤性障害、尿細管性アシドーシス
②腎外性蛋白尿:尿路結石、膀胱炎

 ※起立性蛋白尿:起立時にのみ蛋白尿が現れる。
 ※仮性蛋白尿:尿に月経血や精液が混じったもの
 ※生理的蛋白尿(無症候性蛋白尿)
  激しい運動後、入浴、精神感動、妊娠時

6)尿糖
(1)正常値
 健康成人で1日あたり60mg程度排泄されるが、通常の検査法では検出されない。
(2)異常
①高血糖性糖尿(血糖値170mg/dl以上)
 糖尿病、肝硬変、急性膵炎、バセドウ病、クッシング症候群、  下垂体機能亢進症、ストレス
②正常血糖性糖尿:腎性糖尿

7)尿中ビリルビン
(1)正常値
 正常では検出されない。
(2)異常
①黄疸尿:閉塞性黄疸(直接ビリルビンの増加)

8)尿中ウロビリノーゲン
(1)正常値
 ウロビリノーゲンは正常でも少量が尿中に存在する。
(2)異常
①増加:肝細胞性黄疸、溶血性黄疸、頑固な便秘など
②減少または消失:閉塞性黄疸、下痢など

9)尿中ケトン体(アセトン体)
 ケトン体とはアセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸の総称で、アセチルCoAから生成される代謝産物である。
(1)正常値
 ケトン体は、正常でも僅かに尿中に排泄される。
(2)異常
①尿アセトン陽性:飢餓、重症糖尿病、脱水
☆TCA回路が正常に働いていないときに、アセチルCoAが完全に解糖されずにケトン体で止まってしまう

10)尿沈渣
 新鮮尿を遠心沈殿し、上清を除いた残りの沈殿物を鏡検する方法で、腎・尿路系疾患の診断に用いられる。
(1)異常
①赤血球・赤血球円柱:各種腎障害、尿路結石
②白血球・白血球円柱:腎盂炎、尿路感染症
③細菌尿:腎盂腎炎、腎膿瘍、膀胱炎、尿路感染症
④腎上皮増加:腎臓腫瘍
☆血球柱:血球芽尿管などの管の形に円柱型に変丙したもの

■2)糞便検査の概要
固さや色などの外観、潜血反応、細菌や寄生虫、シュミット反応(胆汁色素の定性反応)などの有無をみる。
(1)潜血反応
少量の消化管出血を調べる方法で、便に血液が含まれていると陽性とする。
消化性潰瘍、メッケル憩室、潰瘍性大腸炎、消化管腫瘍
(2)寄生虫
蟯虫(卵)、条虫、回虫などを検査する。
(3)色調の異常
①灰白色の無胆汁便:胆道の完全閉塞
②タール便:上部消化管出血
③潜血便・血便:下部消化管、肛門の出血

■3血液検査の概要
(1)赤血球系の検査
①赤血球数の正常値(万/mm3)
成人男子:400~540
成人女子:380~490
②血色素量の正常値(g/dl)
成人男子:13.5~18.0
成人女子:11.0~15.0
③ヘマトクリットの正常値(%)
成人男子:40~54
成人女子:35~47
★赤血球数、血色素量、ヘマトクリットの異常
①低下:貧血、大量出血、白血病、栄養障害、寄生虫病
②増加:多血症(赤血球増多症)、脱水、慢性酸素欠乏
・慢性酸素欠乏ではエリスロポエチンの分泌増加で赤血球がたくさん産生される
★平均赤血球容積(MCV)
赤血球1個あたりの平均体積を示す。ヒト赤血球の正常値は77~93μm3である。
①減少:小球性貧血=鉄欠乏性貧血
②増加:大球性貧血=悪性貧血
☆悪性貧血ではビタミン不足により赤血球の成熟が阻害される。未熟な赤血球は大きい
★平均赤血球血色素濃度(MCHC)
個々の赤血球の容積に対する血色素重量の比を示すもので、成人の正常値は31~35%。
★平均赤血球血色素量(MCH)
個々の赤血球中に含まれる平均血色素量を表したもので、成人の正常値は27~32pg。

④網赤血球(新生赤血球)
・正常値
 正常網赤血球数 0.3~1.1%
・異常
 増加:溶血性貧血
 減少:再生不良性貧血

⑤赤血球の形態異常
・球状赤血球:遺伝性球状赤血球症など
・鎌状赤血球:鎌状赤血球貧血
・破砕赤血球:溶血性尿毒症症候群など

(2)白血球の検査
①白血球数の正常値
成人:4,500~9,000/mm3
☆出生時18000、1歳で1100、4際で9000程度
ア.異常
・増加:10,000以上
感染症(特に細菌感染)、熱傷、心筋梗塞、悪性腫瘍、白血病、糖尿病、炎症性疾患、アレルギー性疾患、膠原病
・減少:4,000以下
骨髄障害、薬物中毒、免疫不全、ウイルス性疾患、膠原病、周期性好中球減少症
☆麻疹など特定のウィルスで減少
☆全身性エリテマトーデスなどの特定の膠原病で減少

②白血球分画の正常値
・好中球:50~60%
・好酸球:2~3%
・好塩基球:0~1%
・単球:4~5%
・リンパ球:30~40%
ア.異常
・好中球の増加:急性感染症、炎症性疾患、外傷など
・好酸球の増加:アレルギー性疾患、寄生虫病など
・単球の増加:膠原病、白血病など
☆単球性白血病というのがある
・リンパ球の増加:ウイルス感染症、リンパ性白血病など

(3)血小板数
・正常値
 成人:約26万/μl
・異常
増加:慢性骨髄性白血病、川崎病、鉄欠乏性貧血
減少:骨髄障害、急性白血病、特発性血小板減少性紫斑病、肝硬変、脾臓機能亢進症

(4)赤血球沈降速度(赤沈、血沈)
①正常値
10mm未満/1h (女子:6~10mm、男子:1~5mm)
②異常
・亢進:血沈速度が速くなる。
感染症、貧血、白血病、腎疾患、膠原病、悪性腫瘍、
糖尿病
・遅延:赤血球増多症、DIC(播種性血管内凝固症候群)

(5)出血時間の検査
耳たぶをランセットで切り、止血するまでの時間を測定する。正常では5分以内に止血する。
出血時間の延長:血小板減少症、血小板機能不全

(6)血液凝固の検査
☆内因性凝固因子:血漿に由来するもの
外因性凝固因子:組織に由来するもの
①血液凝固時間
静脈血を採血し、血液の流動性が消失するまでの時間を測定する。
・正常値
8~12分
②活性部分トロンボプラスチン時間(APPT)
被検血漿に部分トロンボプラスチンとCa2+を加えて凝固時間を測定する。内因性凝固因子を総合的に検査できる。
・正常値
 30~40秒
③プロトロンビン時間(PT)
被検血漿にCa2+と組織トロンボプラスチンを加えて凝固時間を測定する。外因性凝固因子を総合的に検査する方法である。
・正常値
 10~12秒
④血液凝固異常をきたす疾患
血友病、DIC、肝疾患など

■4)髄液検査の概要
(1)髄液圧
・正常値
側臥位で50~180mmH2O
・異常
 亢進:脳腫瘍、髄膜炎、脳炎、水頭症など
(2)外観
・正常
水様性、無色透明
・異常
①血性:赤色または黄色(キサントクロミー)
②混濁:髄膜炎など
(3)細胞数
・正常値
5/mm3以下
・異常
①単球の増加:ウイルス性髄膜炎、悪性腫瘍の髄膜浸潤
②顆粒球の増加:細菌性髄膜炎
(4)髄液タンパク
・正常値
15~45mg/dl
・異常
増加:髄膜炎、脳炎、クモ膜下出血、ギラン・バレー症候群
(5)髄液糖
・正常値
50~70mg/dl
・異常
低下:細菌性髄膜炎
☆髄液に巣くう最近が糖を消費する

■5)その他の検査(教科書にはない)
(1)喀痰検査
痰の性状、病原体や血液の有無をみる。
・異常
呼吸器の炎症や癌で出現する。
①黄色~緑色で膿状:感染症
②錆色痰:大葉性肺炎
③血痰:肺結核、肺ガン
④シャルコー・ライデン結晶:気管支喘息
☆痰を顕微鏡で観察すると血漿が見られる
(2)アレルギー皮膚反応
①皮内反応
 疑わしいアレルゲンを皮内に注入し、その後の反応をみる。花粉、薬剤などで起こる迅速反応と、ツベルクリン反応に代表される遅延反応がある。
②パッチテスト
接触性皮膚炎や薬疹の原因物質(抗原)を調べる検査で、抗原を塗布し24~48時間放置後、発赤があれば陽性とする。

(3)関節液の検査
・正常
アルカリ性、黄色透明または少しの濁りあり。
膝関節で0.5ml。
・異常
①増加:変形性関節症
②膿状:化膿性関節炎
(4)消化液の検査
胃液や十二指腸液を検査する。潰瘍・胆道疾患の有無などがわかる。

◎第2節 生化学的検査
■1)生化学的検査の概要
①血液生化学的検査
 総蛋白、血清電解質、酵素、ホルモンなど
②尿生化学的検査
 尿中電解質、クレアチニン、クレアチン、ホルモンなど
③髄液生化学的検査
 LDH、免疫グロブリン
④免疫・血清学的検査
・体液性免疫機能:γグロブリン、自己抗体など
・細胞性免疫機能:末梢リンパ球数など
・CRP
・補体

2.血液生化学的検査
(1)総蛋白、血清蛋白分画、A/G比
①正常値
・総蛋白:7.4g/dl
・アルブミン:4~5g/dl
・グロブリン:2.4~3.0g/dl
・A/G比:1.2~1.8
・タンパク分画
アルブミン:55~71%
α1グロブリン:2~4%
α2グロブリン:6~11%
βグロブリン:7~12%
γグロブリン:7~20%
②異常
・低タンパク血症
 栄養不足、肝機能障害、ネフローゼ症候群、
・低γグロブリン血症
 免疫不全疾患
・高γグロブリン血症
 肝障害、自己免疫疾患、悪性腫瘍、慢性感染症

(2)脂質
①正常値
・総コレステロール:150~220mg/dl
・トリグリセリド(中性脂肪):70~130mg/dl
・リン脂質:160~250mg/dl
・遊離脂肪酸:340~760μEq/l
②異常
・高コレステロール血症
 肥満、糖尿病、ネフローゼ症候群、高脂血症、粘液水腫
・低コレステロール血症
 甲状腺機能亢進症、肝硬変、貧血
☆甲状腺亢進ではエネルギーをたくさん使うようになるからか
・高トリグリセリド血症:糖尿病、甲状腺機能低下症
・高遊離脂肪酸:糖尿病

(3)尿素窒素(BUN)
①正常値
 10~15mg/dl
②異常
・血清BUN高値:腎疾患(尿中BUNは低値となる)
・血清BUN低値:肝疾患(尿中BUNも低値となる)
☆肝臓でのアンモニアから尿素への代謝ができない
(4)尿酸(UA)
①正常値
 男子:4.7~6.1mg/dl
 女子:3.6~4.8mg/dl
②異常
 高尿酸血症:痛風、白血病、レッシュ・ナイハン症候群
☆レッシュ・ナイハン症候群:伴性遺伝による核酸代謝異常
(5)クレアチン、クレアチニン
①正常値
・血清クレアチン:男子0.3~0.8、女子0.3~1.2mg/dl
・血清クレアチニン:男子0.6~1.1、女子0.5~0.9mg/dl
※尿中クレアチニン:15~30mg/Kg/日
☆クレアチンはローマン反応で使われる。クレアチニンはクレアチンからできるもので、通常は尿中に排泄される
②異常
・血清クレアチン上昇:筋疾患(尿中クレアチンも上昇)
・血清クレアチニン上昇:腎機能障害(尿中クレアチニンは低下)

(6)ビリルビン(直接型・間接型)
①正常値
・総ビリルビン:0.3~1.2mg/dl
・直接型ビリルビン:0~0.4mg/dl
・間接型ビリルビン:0.2~0.7mg/dl
②異常
・直接型ビリルビン増加:肝細胞障害、閉塞性黄疸
・間接型ビリルビン増加:溶血性疾患

(7)AST(GOT)、ALT(GPT)
☆以前はGOT、GPTが使われていた
☆アミノ基転移酵素のこと。アミノ基とはNH2で、アミノ酸に必ず含まれる構造。
☆GOTは筋、肝臓、腎臓などに含まれる
GPTは主に肝臓に含まれる
①正常値
・AST:8~40IU/l
・ALT:5~35IU/l
②異常
・AST、ALTともに上昇:肝障害
・AST上昇、ALT正常:心筋梗塞、進行性筋ジストロフィー症
(8)γ-GTP、LAP
☆酵素の一種。グルタミルトランスペプチダーゼ
①正常値
・γ-GTP:4~45IU/l
・LAP:30~70IU/l
②異常
・γ-GTP、LAPの上昇:閉塞性黄疸
・γ-GTP上昇:アルコール性肝障害
★血性膠質反応
 A/G比の低下により血清蛋白が不安定な状態になったときの反応で、ZTTとTTTがある。
①正常値
・ZTT(硫酸亜鉛混濁試験):3~14U
・TTT(チモール混濁試験):0~5U
②異常
・ZTT、TTTの上昇:肝疾患(肝硬変など)
(9)LDH(乳酸脱水素酵素)、AL-P(アルカリフォスファターゼ)
☆主に筋に含まれている酵素
①正常値
・LDH:200~360IU/l
・AL-P:18~71IU/l
②異常
・LDHの上昇
 心筋梗塞、白血病、各種肝疾患、悪性腫瘍、筋疾患
・AL-Pの上昇:閉塞性黄疸、骨の悪性腫瘍

(10)CPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)
☆筋に含まれる
☆CPK=CK
①正常値
・男子:50~280IU/l、女子:33~165IU/l
②異常
・CPK高値:筋疾患、心筋梗塞、脳血管障害急性期
(11)血清・尿中アミラーゼ
☆アミラーゼを作っている臓器の疾患によって血管に滲出
①正常値
・血清アミラーゼ:135~364IU/l
・尿中アミラーゼ:267~1,500IU/l
②異常
・血清・尿中アミラーゼ高値:急性膵炎、耳下腺炎
(12)血糖
①正常値
 空腹時70~110mg/dl
②異常
・高血糖:空腹時120~150mg/dl以上
 (糖尿病の診断基準は126以上)
 糖尿病、クッシング症候群、下垂体機能亢進、褐色細胞腫
・低血糖:空腹時40~60mg/dl以下
 下垂体機能不全、アジソン病、甲状腺機能低下
③その他
 確定診断には経口ブドウ糖負荷試験などの負荷試験を行う。

(13)血清電解質
①正常値
・ナトリウム:136~149mEq/l
・カリウム:3.7~5.3mEq/l
・クロール(塩素):98~107mEq/l
②異常
 下痢やホルモン異常、腎疾患などで平衡が崩れる。
・高ナトリウム血症:脱水、アルドステロン症
・高カリウム血症:腎機能障害

(14)血清カルシウム、無機リン
①正常値
・カルシウム:8.0~10.0mg/dl
・無機リン:2.5~4.5mg/dl
②異常
・高カルシウム血症:副甲状腺機能亢進症
・低カルシウム血症:副甲状腺機能低下症、ビタミンD欠乏
(15)血清鉄、不飽和鉄結合能、血清総鉄結合能
★不飽和鉄結合能(UIBC)
 血漿中の鉄はトランスフェリンという蛋白(βグロブリンの一属)と結合して存在している。正常では、トランスフェリンは1/3が鉄と結合しているが、残りの2/3は鉄を結合しうる予備として存在する。この予備トランスフェリンの鉄と結合しうる能力を不飽和鉄結合能といい、結合しうる鉄量で表す。
★総鉄結合能(TIBC)
 血漿中のトランスフェリンを中心とする蛋白体の鉄を結合する総能力をいい、鉄と結合しうる全ての蛋白体を鉄と結合させたときの鉄量で表す。
☆トランスフェリンは血漿蛋白の一つ
①正常値
・血清鉄(SI,Fe):男80~160μg/dl、女60~140μg/dl
・不飽和鉄結合能(UIBC):190~270μg/dl
・総鉄結合能(TIBC):男300~400、女250~350μg/dl
②異常
・血清鉄低下、UIBC・TIBC上昇:鉄欠乏性貧血
・UIBC低下:再生不良性貧血
☆鉄と結合しているトランスフェリンが増えている。つまり赤血球生成に使われるはずの鉄が使われていない
・UIBC・TIBC低下:肝疾患、感染症、腫瘍
☆トランスフェリンの数自体が減っている。肝臓でトランスフェリンがうまく作られていない
(16)血液ガス分析
 O2分圧(PO2)やCO2分圧(PCO2)、pHを測定する。通常動脈血で行う。
①正常値
・O2分圧:90mmHg
・CO2分圧:40mmHg
・pH:7.35~7.45
②異常
・pH低下、PCO2低下:代謝性アシドーシス
・pH上昇、PCO2上昇:代謝性アルカローシス
・pH低下、PCO2上昇:呼吸性アシドーシス
・pH上昇、PCO2低下:呼吸性アルカローシス
(17)腫瘍マーカー
 腫瘍組織から生成されるもので、腫瘍で高値となる。
・α-フェトプロテイン:肝臓癌
・CEA(癌胎児性抗原):膵臓癌
<主な肝機能検査>
・AST、ALT
・AL-P(アルカリフォスファターゼ)
・γ-GTP
・LAP
・LDH(乳酸脱水素酵素)
・血清膠質反応(ZTT、TTT)
・ビリルビン
<主な腎機能検査>
・BUN(尿素窒素)
・クレアチニン
・尿酸
・電解質

■3)免疫・血清学的検査
1)CRP(C反応性蛋白)
☆CRP=C Reactive prottain
☆炎症で見られる3第所見:CRP陽性、血沈亢進、白血球増加
炎症状態や組織壊死の変性に伴い血清中に出現する。病気の急性期や活動期にみられ、回復期には消失する。
陽性:炎症性疾患、細菌感染、悪性腫瘍、心筋梗塞
2)ASO値(ASLO値、抗ストレプトリジン-O値)
A群β溶連菌の毒素に対する抗体でA群溶連菌感染症の診断に用いられる。
上昇:リウマチ熱、溶連菌の上気道感染、急性糸球体腎炎
☆リウマチ熱は自己免疫疾患ではない。関節痛が現れるという意味でリウマチと名づけられた
下降:免疫不全
3)リウマチ因子(RA因子)
変性したヒトIgGに対する抗体である。
陽性:関節リウマチ、SLE
4)抗核抗体、抗DNA抗体、LE細胞
・抗核抗体:核の構成物質に対する自己抗体の総称。
・抗DNA抗体:DNAに対する抗体。
・LE細胞:無構造な封入体をもつ顆粒球由来の細胞。
陽性:膠原病、特にSLE
5)抗甲状腺抗体
・サイログロブリン(TG)抗体
・マイクロゾーム(MC)抗体
 陽性:橋本病、バセドウ病
☆橋本病は甲状腺炎
6)クームス試験
抗グロブリン血清を用いて赤血球膜表面に結合している赤血球抗体または補体を検出する。
☆自らの赤血球に対する自己抗体が存在するかどうかを検出
陽性:自己免疫性溶血性貧血
7)感染症診断のための血清検査
(1)梅毒血清反応
・脂質抗原(カルジオリピン抗原)に対する抗体を検出する方法(STS法)
・梅毒トレポネーマ抗原に対する抗体を検出する方法 
(TP法)
(2)ウイルス肝炎の血清学的診断
・A型肝炎:HAV抗体の検出
・B型肝炎:HBs抗原・抗体、HBc抗原・抗体、
      HBe抗原・抗体の検出
・C型肝炎:HCV抗体の検出
(3)エイズ(AIDS)の血清学的診断
HIV抗体を測定する。感染後6~8週で抗体陽性となる。
(4)ATL(成人T細胞白血病)の血清学的診断
HTLV-I抗体を検査する。
(5)ヴィダール反応
患者の血清とその起炎細菌との間の凝集反応をみるもので、腸チフス、パラチフスの診断に用いられる。
(6)ポール・バンネル反応
EBウイルスによる伝染性単核症において、血清中のヒツジ赤血球凝集素価が上昇することを診断に応用したものである。
(7)その他
・マイコプラズマ感染症:マイコプラズマ抗体の検出
・サイトメガロウイルス感染症:抗体の検出
・ロタウイルス感染症:血清抗体価と便中の抗原の検出
・風疹:風疹抗体の検出
・ヘルペスウイルス感染症:抗体の検出
(8)ツベルクリン反応
結核感染やその抗体の有無をみるための検査で、ツベルクリン抗原を皮内に注射し、48時間後の発赤をみる。
☆反応が出る方が正常。もともと抗体を持っていると即座に免疫グロブリンが中和イしてしまう
8)体液性免疫機能
免疫グロブリン(IgA、IgG、IgMなど)、補体、トランスフェリンなどを測定して免疫機能を評価する。

◎第3節 生理学的検査および画像診断の概要
■1)心電図検査(ECG)
心臓の電気的現象を体表から時間的変化として記録したものが心電図である。
心臓の位置、刺激伝導系の異常、不整脈、心筋障害などの心疾患や心臓に影響を与える全身性疾患などの診断に有用である。
(1)心電図の波形
心電図にはP、Q、R、S、T波が心拍動に伴って規則正しく出現する。
①P波:洞房結節の興奮(心房興奮)
②PR間隔:洞房結節から心室までの刺激伝達時間
        (正常は0.2秒)
③QRS波:心室筋の脱分極(心室興奮過程)
④ST部分:心室筋の脱分極の完結期と再分極の初期
⑤T波:心室収縮後の再分極期(心室興奮の消退)

(2)心電図検査で明らかになること
①不整脈の有無
 ・R-R間隔:脈のばらつき、期外収縮の有無
 ・R波の高さ:拍動の強さ
 ・PQ間隔の変動、QRS波の変動:刺激伝導障害
②心筋虚血の有無
☆心筋虚血=狭心症、心筋梗塞
 心室筋に障害があると、T波に変化がみられる。
・労作性狭心症:ST低下
☆ST波が基線(0)に戻らずに比例直剪に近い形で上昇することをSTの低下という
☆発作が起こったときにだけ心電図の異常が現れる
・異型狭心症:ST上昇
☆ST波の上昇とは、S波のくぼみがなくなり、基線に戻らないままT波に突入
☆自律神経失調で交感神経が亢進しやすい人に起こるといわれる
・心筋梗塞
 初期はST上昇、経過が長くなるとT波が陰性化する。
☆T波の陰性化とは、山になるはずのT波が逆に谷になっている。S波のへこみは消えている
③心肥大の有無
心室肥大ではQRS波の延長がおこる。
(3)運動負荷心電図
・運動させることで発作を誘発させて検査する(労作性狭心症など)
・トレッドミル負荷心電図
☆ルームランナーのようなもので歩かせる
・マスター負荷心電図
☆踏み台昇汞をさせる
・エルゴメーター負荷心電図
☆自転車をこがせる

■2)脳波検査(EEG)
 脳の電気活動を導出記録したものを脳波という。ヒトでは、頭皮の上に電極を置いただけで大脳皮質の脳波活動を記録できる。中枢神経系障害の診断に有用である。
(1)正常脳波
①δ波(0.5~3Hz):深い睡眠、深い麻酔、乳児の覚醒時
②θ波(4~7Hz):浅い睡眠
③α波(8~13Hz):精神安静時(とくに安静閉眼状態)
④β波(14~30Hz):精神活動時、感覚刺激を受けたとき
(2)脳波の異常
 特殊波形の電気活動がみられることがあり、てんかんや脳腫瘍の診断に用いられる。
①徐波
 α波より遅い周波数成分をいう。つまりδ波とθ波のことで、生理的には成人では睡眠時に、小児では覚醒時にも出現する。病的な徐波は脳の器質的異常や代謝異常で出現する
②棘波(スパイク)
 多くは陰性方向に尖った頂点をもつ波形で、てんかんでよくみられる。

■3)聴性脳幹反応(ABR)と体性感覚誘発電位(SEP)
(1)聴性脳幹反応(ABR)
音響刺激により発生する脳幹聴覚系の誘発反応をみるもので、末梢聴覚機能と脳幹障害の診断、脳死判定の補助診断に有用である。
(2)体性感覚誘発電位(SEP)
 体性感覚刺激による末梢神経、脊髄、脳幹、大脳皮質などの電気活動を記録するもので、体性感覚病変を客観的に診断できる。
☆体性感覚の検査(痛覚など)は被験者の主幹によるものが多いので

■4)筋電図(EMG)
骨格筋の活動電位を記録したもので、神経支配が正常であれば、運動神経の活動電位と同じ意味をもつ。
神経細胞、神経線維、筋の障害、神経筋接合部の病変の診断に有用である。

■5)神経伝導速度(NCV)
神経線維を興奮が伝わる速さで、有髄線維の伝導速度は直径に比例する。
同一の末梢神経を2ヶ所で刺激し、複合活動電位M波(潜時が短い)を各々記録し伝導速度を算出する。

■6)呼吸機能検査
 肺気量、肺酸素消費量、基礎代謝量について検査する。
1)換気障害の検査
 スパイロメーターで測定する。
(1)1回換気量、分時換気量
《正常値》
 1回換気量:約500ml
 分時換気量:6~8l
《異常》
 1回換気量が8ml/kg以下、分時換気量が0.12l/kg/分以下:換気不足
(2)肺活量、努力肺活量、1秒量
①努力肺活量
最大吸気位からできる限り速く呼出させ、最大呼気位に至るまでの量を測定する。
②1秒量
 努力肺活量のうち、最初の1秒間に呼出された量。
③1秒率
 努力肺活量に対する1秒量の割合。
《正常値》
 肺活量・努力肺活量:成人男子3~4l、成人女子2~3l
 1秒率:70%以上
《異常》
 ・肺活量の低下:拘束性換気障害(肺線維症など)
 ・1秒率の低下:閉塞性換気障害(気管支喘息、肺気腫)
(3)死腔換気量、及び肺胞換気量検査の目的
①死腔:ガス交換に関与しない空気量。約150ml
・解剖学的死腔:気道の体積
・生理学的死腔:実際にガス交換に関与しない空気量

2)基礎代謝率
 空腹安静時における酸素摂取量と二酸化炭素排出量を測定し、基礎代謝量を求める。また健常人の基準値と比較して基礎代謝率(BMR)を求める。
・正常値
 -10%~+10%

■7)画像診断
①X線撮影:単純撮影、特殊撮影、造影検査、CT
②MRI
③核医学:シンチグラフィー、PET、SPECT
④超音波検査
⑤内視鏡検査
(1)X線撮影検査
体内を透過してきたX線を画面に表示したり、X線フィルムに撮影したりして画像化して検査するものである。
X線は人体を透過すると、各組織間や異物の吸収係数と厚さの違いによって透過後にX線の強弱の差ができる。これらの差を画像として記録し、形態的あるいは機能的変化を診断しようとする方法である。
☆X線の吸収度(黒=低い、白=高い)
・黒い(低い)ものから順に
空気、脂肪、水、血液、灰白質、、白質、凝血、石灰化、骨
(骨は白く映る)
①単純X線撮影検査
 単純撮影法は、正常臓器と病的臓器あるいは異物との間に生じるX線吸収の差による像を求めるものである。
 全身に広く用いられるが、骨折・変形など骨の異常や、副鼻腔・胸腔・腸管などの体腔の炎症、ガス貯留などの変化が分かる。とくに肺野の所見では、気管支炎、肺炎、肺結核後の石灰沈着などがわかる。
②X線特殊撮影法
 特別な装置を必要とするもので、拡大撮影、連続撮影、立体撮影などがある。
③X線造影検査
 造影法は検査しようとする臓器に吸収率の著しく異なる物質(造影剤)を入れて、対照度を高めた像を得る方法である。消化管、尿路など中空性器官の検査に用いる。
造影剤として消化管にはバリウム、尿路・血管・脊髄腔にはヨード化合物を用いる。
④X線コンピュータ断層撮影法(CT)
 身体の特定の断層面に多方向からX線を照射し、透過してきたX線をコンピュータで処理し画像化する方法で、身体を輪切りにした写真が撮れる。画像はX線吸収度の低いものは黒く、高いものは白く写る。
 浮腫・出血・炎症・腫瘍の有無がわかり、頭部CTは頭蓋及び頭蓋内病変、胸腹部では腫瘍、炎症、外傷の診断に有用である。
(2)MRI(核磁気共鳴)
 強い磁力の磁場と高周波の組み合わせで、体内にある原子核(主に水素)の分布状態をコンピュータで処理して画像化するもので、T1強調像とT2強調像がある。
 軟部組織も映し出せ、生体内の壊死巣の発見に優れ、その他梗塞、腫瘍、椎間板ヘルニアなどの診断に有用である。
(3)核医学
放射性同位元素(ラジオアイソトープ、RI)を応用して臨床検査を行う分野を核医学という
☆放射性同位元素:原子量が普通のものと異なり不安定で、放射線を出すもの
RIで標識した化合物をトレーサーとして利用することで、放出される放射線を介してその化合物の体内分布、量、移動、排泄を知ることができる。
①シンチグラフィー
 RIで標識した化合物が特定の臓器や組織に集積した状態をシンチスキャナやシンチカメラを用いて体外より検出し、分布像として記録する。
②PET(ポジトロンCT)
 画像撮影装置とコンピュータを用いた画像情報処理装置を組み合わせて局所の血流や代謝を定量的に測定する。
③SPECT(核医学断層法)
 RI標識から放出される放射線を多方向から測定して、断層像をコンピュータによって再構築する方法。
(4)超音波検査
超音波(1~10MHz)を用いて人体内部の構造や物体の動きを知る方法である。
超音波の反射波(エコー)を体外より体内に向けて投射すると、臓器や組織の境界面で反射したり、透過しながら吸収されて超音波の強さが弱まったりする。これを画面に映し、画像を立体的に観察する。
心臓、乳腺、甲状腺、腹部、頭部の疾患の診断に有用である。
①心エコー
・パルス反射法
 心臓の形態(弁膜障害や肥大)、心筋運動、冠状血管の形態などがわかる。
・ドプラー法
 心臓内の血流速度や上行大動脈・冠状動脈の血流速度がわかる。→動脈瘤や血管狭窄の有無がわかる。
②腹部エコー
 肝臓、胆嚢、膵臓などの診断に有用である。
 また産婦人科領域では、胎児情報を得るために用いられている。

(5)内視鏡検査
 体表から直接みることのできない体腔内や中空器官の内部を観察するために用いられる器具を内視鏡という。
 金属製の硬性鏡と、ファイバースコープの軟性鏡に大別され、現在はファイバースコープが多用されている。
 消化器用、呼吸器用、泌尿器用など多くの種類がある。
 機能としては、内部の観察以外に写真、生検、細胞診、異物やポリープの摘出、結石除去、電気凝固止血、切開、薬剤注入、食道静脈瘤の硬化療法などができる。

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第4章 治療学
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1.治療の意義と分類
■1)意義
自然治癒力と協力して生体を健康に導く手段が治療法である
・治療法の種類
薬物療法、食事療法、理学療法
手術療法、放射線療法、心身医学的療法
特殊療法

■2)分類
・原因療法:その疾患の原因を治療する方法
・対症療法:症状を改善・軽減させる治療法
・救命療法:蘇生を目的として行う治療法
・リハビリテーション:社会復帰を目標とし、機能回復を図る治療法
・生活指導:栄養指導、運動の指導、ストレス除去の指導

2.薬物療法
■1)一般原則
1)薬物療法の種類
(1)特異療法
原因に直接作用する薬物を使用する治療法
例)感染症に対する抗生物質投与など
(2)対症療法
症状を軽減するための治療法
例)発熱に対する解熱剤、痛みに対する鎮痛剤
(3)経験療法
経験により効果が確認されている治療法
例下痢に対する止痢剤
2)薬物の投与法
経口投与、舌下投与
筋肉、静脈への注射による投与
座役、吸入など
★副作用や多剤併用の相互作用に注意する

■2)薬物の吸収と排泄
薬剤の血中濃度が上昇する時間は、投与法、剤型、薬剤の化学的性質により異なる
生体内で代謝されて始めて有効となる薬剤もある
水様性の薬剤は腎からそのまま排泄されるが、肝で代謝された後排泄されるものは排泄速度が遅く、副作用をきたしやすい

■3)主な薬物の薬理作用と治療効果、及び副作用
1)解熱、鎮痛、抗炎症薬
(1)解熱薬
体温調節中枢に作用して放熱を促進させる薬物
アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、イブプロフェンなど
(2)鎮痛薬
①麻薬性鎮痛剤
中枢神経系内で抑制的に働き、痛覚閾値を上げる
モルヒネ、塩酸ペチジン、ペンタゾシン
★習慣性が強いので連は避ける
②非麻薬性鎮痛薬
解熱・消炎作用をあわせ持つ薬剤で
末梢における発痛物質(プロスタグランジンE2)の合成を阻害する。
例)アスピリン、アセトアミノフェン、メフェナム酸、インドメサシン
・消化管の鎮痛に用いられる薬剤
抗コリン剤(副交感神経遮断剤)など
★副作用は、胃腸や肝機能障害、発疹など。

2)抗生物質と抗菌剤、及び抗ウイルス剤
(1)抗生物質と抗菌剤
起炎菌に感受性がある抗生物質や抗菌剤が使用される。
溶連菌・肺炎双球菌・髄膜炎菌:ペニシリンG
黄色ぶどう球菌:ペニシリンG、メチシリン、バンコマイシン
結核菌:ストレプトマイシン
(2)抗ウイルス剤
ヘルペスウイルス:アシクロビル、ビダラビン
インフルエンザウイルス:抗インフルエンザ薬

3)抗アレルギー薬
①抗ヒスタミン薬
細胞から遊離されたヒスタミンをブロックする。
フマル酸ケトチフェン、オキサトミド
②副腎皮質ステロイド薬
非常に強い抗炎症作用、抗アレルギー作用をもつ。

4)精神科用薬
睡眠薬、向精神薬(抗不安薬、抗うつ薬)、抗痙攣薬など

5)循環器用薬
(1)強心剤
①ジギタリス剤:心収縮力を増強する。
②カテコールアミン剤:心収縮力増強、冠血管拡張作用
(2)狭心症治療薬
①亜硝酸化合物:冠状血管を拡張し、狭心症発作中及び予防に用いる。
ニトログリセリン、亜硝酸アミル
②β-遮断薬:交感神経のβ-受容体を特異的に遮断する。
プロプラノロール
③冠拡張薬
(3)不整脈治療薬
①心筋の不応期を延長させる。 キニジン、プロカインアミド
②心筋の自動性を抑制する。 リドカイン、フェニトイン
③β-遮断薬
(4)降圧剤
①利尿剤:体液量を減少させて血圧を低下させる。
サイアザイド系薬剤、抗アルドステロン剤、ループ系利尿薬
②交感神経抑制薬 クロニジン、レセルピン
③β-遮断薬
④血管拡張剤 カルシウム拮抗薬、ヒドララジン、変換酵素阻害薬
(5)昇圧剤
末梢動脈収縮、心収縮力増加、心拍出量増加させて、血圧を上昇させる。
カテコールアミン類

6)呼吸器用薬
①鎮咳薬:咳そう中枢を抑制する
②去痰薬:気道内分泌物の粘稠性を下げる。
③気管支拡張薬:交感神経刺激薬、キサンチン誘導体など

7)消化器用薬
①下剤:刺激性下剤、小腸下剤、大腸下剤など
②止痢薬:収斂薬、吸着薬、腸運動抑制薬など
③その他:消化酵素薬、制酸薬、抗コリン薬など

8)ホルモン剤
下垂体ホルモン、甲状腺剤、副腎皮質ホルモン、性ホルモンなど

9)ビタミン剤

10)貧血止血治療薬
①貧血薬:鉄剤、ビタミンB12
②止血薬:ステロイド、凝固因子製剤
③抗凝血薬:血液凝固阻害薬(ヘパリン)、繊維素溶解薬(ウロキナーゼ)、血小板機能抑制薬(アスピリン)

11)免疫抑制薬
シクロフォスファミド、シクロスポリンなど

12)糖尿病治療薬
インスリン、経口糖尿病薬

■3)食事療法
1)意義
・各疾患により異なった食事療法を行う。

2)食事療法の種類と適応疾患
1)代謝・栄養障害
(1)糖尿病
適正なエネルギーを摂取し、血糖の正常化と体重の適性化が重要である。
摂取栄養素の配分はタンパク質20%、脂質25%、糖質55%程度がよい。
インスリンなど薬物療法を併用するときはアメなどを携行し低血糖に注意する。
(2)肥満症
 摂取熱量と糖質制限が重要である。
①減食療法:1日あたり1000~1600kcal
②半飢餓療法:1日あたり1000kcal以下
③超低エネルギー食:蛋白・ミネラル・ビタミンを含むが、脂質・糖質を含まない食事

2)肝疾患
常食より25%増の高タンパク、高カロリー食。

3)腎疾患
タンパク質・食塩・水分・カリウムの調節が必要。
蛋白質:尿中にタンパクが流出するので適切なタンパク量を補充する
食塩:高血圧を予防
水分:高血圧を予防
カリウム:分泌が障害される

4)心臓・循環器疾患
塩分制限と高タンパク食、水分制限が必要。

5)胃腸疾患
急性期で嘔吐・下痢が強いときは二日程度絶食し、補液を行う。その後流動食、粥食・通常食と進める。

6)成分栄養
線維成分の含まれない栄養剤(アミノ酸、ブドウ糖、脂肪酸、ビタミン、ミネラルを含む)を投与する。
経口投与、経鼻胃内チューブ、胃ろうからの注入投与

7)その他
食物アレルギー:アレルゲンの除去
フェニールケトン尿症:フェニールアラニン制限

■4)理学療法
1)運動療法
骨格筋・末梢神経・関節疾患に対し、ROMの維持と拡大・筋力増加を目的に行う。
また、脳卒中など中枢神経系疾患の際には、運動の協調性・歩行・ADLなどの訓練を行う。

2)物理療法の概要
末梢循環改善、代謝促進、筋緊張緩和、鎮痛などを目的として行われる。
慢性の関節痛や神経痛、冷え性、凝りなどに適し、腫瘍、感染性疾患、急性炎症には禁忌である。

3)物理療法の種類
(1)温熱療法と水治療法
1)温熱療法
①ホットパック
シリカゲルをつめたふくろを80℃に温め、タオルで包んで患部に当てる。
②パラフィン浴
50℃に溶かしたパラフィン内に患部をつけ、表面がパラフィン膜で覆われたら20分ほど保温する。
③マイクロ波(極超短波)
波長12.5cmの電波を患部に照射する。深部を温めるのに適する。骨の固定など、金属が入っている部には禁忌である。
④その他
赤外線・超短波・超音波など。
2)水治療法
浮力と水圧、温熱効果を利用した治療法で、ハバード浴や気泡浴、渦流浴などがある。
温泉療法は、これに薬効が加わる。

(2)光線療法の概要
紫外線や赤外線、レーザーなどを利用した治療法である。
①赤外線:温熱効果
②紫外線・日光療法:皮膚疾患が対象

(3)電気療法の概要
疼痛緩和、筋萎縮予防の目的で用いられる。
①低周波療法:筋萎縮の予防、神経痛の緩和、血行改善
②高周波療法:鎮痛、痙攣予防、血行改善

(4)その他
①低温療法:RAに応用される冷凍療法など
②あん摩・マッサージ・指圧・鍼灸

■5)その他の療法
1)手術療法の概要と適応疾患
手術適応の決定が重要である。
適応:急性腹症、悪性腫瘍、心疾患など

2)放射線療法の概要
主に悪性腫瘍に用いられる治療法で、放射線は細胞分裂の盛んな下等な組織を強く障害する。
例)X線、γ線、電子線、粒子線

3)集中治療の概要
絶えず監視を必要とする重症患者の病室で、十分な監視と治療ができるような設備とスタッフを備えている。
①ICU(集中治療室)
意識障害、呼吸障害、循環障害、術後、中毒患者が対象となる。
②CCU(冠疾患集中治療室)
急性心筋梗塞の患者に用いる。

4)透析療法の概要
重症腎疾患患者の血液を浄化する治療法である。
①血液透析
血液を体外循環させ、人工膜を用いて浄化する方法で、病院での拘束時間が長い。
②腹膜透析
腹膜を透析膜として用いる方法で、家庭で手軽にできるが、浄化効率の悪さや感染症が問題となる。

5)人工ペースメーカー
刺激伝導系の障害があるときに脈を整えるために用いる。一般には、刺激発生装置を右胸部の皮下に埋め込み、電極を心室筋に付ける。

6)気管切開の概要
上気道の閉塞、長期の人工呼吸、咽頭や喉頭の手術などで、気道を確保するために行う。成人では甲状腺狭部の中位、小児では下位を切開する。

7)輸液・輸血・血漿交換の概要
(1)輸液療法
経口摂取が不十分なときに、必要な電解質や水分、栄養などを輸液により投与する。
①維持輸液:外科手術における水分と電解質の投与
②欠乏輸液:脱水症や電解質異常の治療
③IVH(経静脈栄養法)・TPN(完全静脈栄養法)
全ての栄養素を経静脈的に投与する方法

2)輸血及び成分輸血
大量出血後・全身貧血・血友病などで行われるが、感染症などのリスクを伴うので必要最小限に行うことが重要である。
成分輸血は赤血球・血小板・血漿に分け、必要な成分だけを輸血するものである。
★輸血の副作用
溶血反応・発熱反応・輸血後移植片対宿主病(GVHD)がある。
GVHDは、ドナーの白血球が宿主(輸血先)の組織を異種タンパクとして攻撃するものである。

3)血漿交換療法(プラズマフェレーシス)
患者の血漿を廃棄し、正常な血漿に入れ替える治療法である。
劇症肝炎、自己免疫疾患の増悪期に行う。

8)体位ドレナージの概要
去痰を目的とする方法で、頭側低位の体位をとらせ、胸部を叩打して排痰を促す。
気管支拡張症や肺化膿症などが適応。

9)ネブライザー療法
薬液を霧状にして吸入させる治療法で、加湿や、気管支拡張薬・去痰薬などの薬剤の吸入を目的に行う。

10).移植
組織臓器の病変がひどく、治癒の見込みが低いときに行われる。腎・肺・角膜・骨髄・肝などで応用されている。
移植後は、拒絶反応防止のための免疫抑制剤の投与、逆に免疫不全状態による感染症の防止などが問題となる。
 例)骨髄移植:再生不良性貧血・白血病・悪性リンパ腫
 例)生体腎移植:慢性腎不全

11)免疫療法、
(1)特異的免疫療法
①特異的能動免疫療法:ワクチンの予防接種
②特異的受動免疫療法:γ-グロブリン療法、外毒素に対する血清療法
③減感作療法:アレルギー性疾患に応用
(2)非特異的免疫抑制療法:免疫抑制剤、プロスタグランジンの投与
(3)非特異的免疫調節療法:免疫調節薬の投与、胸腺摘出、インターフェロンの投与

12)心肺脳蘇生法
呼吸停止、心停止のときに行う救命処置で、冠状循環と脳循環を確保し、神経学的後遺症を防ぐことを目的とする。
(1)一次救命処置(重要)
☆A:air way 気道確保
B:bress 人工呼吸
C:circulation(循環) 心臓マッサージ
A)気道確保
①頚部後屈オトガイ挙上法
一方の手を前額にあて、頭を後ろにそらせて他方の手でオトガイを挙上する。
②下顎前推法
両手手指を両側の下顎角にあて、下顎を前方に押し出す。
③指による異物の除去
B)人工呼吸(口-口式人工呼吸)
気道を確保した後、患者の鼻をつまみ、術者の口から患者の口へ息を吹き込む。1回の吹き込み時間は1~1.5秒、3~5秒に1回の割合で繰り返す。このとき、胸郭の挙上(換気)を確認する。
C)心臓マッサージ(胸骨圧迫心マッサージ)
胸骨下端から2横指、頭側に術者の両手を重ねて、垂直に胸骨が4・5cm沈む程度に圧迫する。80~100回/分で、加圧と除圧の比は1:1で行う。

(2)二次救命処置
器具や薬物を利用して行う救命処置で、医師または救急救命士により行われる。
①気管内挿管、気管切開
②レスピレーターによる人工呼吸
③除細動
④静脈確保:輸液、輸血、薬剤投与
⑤開胸式心マッサージ
⑥膀胱管理:導尿
⑦低体温療法

14)高圧酸素療法
 高圧環境に生体をおくことで酸素を供給しようとする治療法である。
 急性一酸化炭素中毒、脳梗塞、突発性難聴などが適応。





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