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ノート・テスト科目一覧

東洋医学臨床論ノート34「スポーツ医学におけるあん摩、鍼、灸療法」

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第1節 スポーツ医学の概要

Ⅰ.スポーツ外傷とスポーツ障害(併せてスポーツ傷害)
(1)スポーツ外傷
・転倒や衝突など一回の強い力が加わり、骨折、脱臼、打撲、
 捻挫、挫傷などを発生するものと、直接外力が加わらなくても
 アキレス腱断裂、肉離れ、筋力による骨折などのように、
 自分の筋収縮によって起こるものがある。
(2)スポーツ障害
・一回の外力は小さいが、運動により局所に反復して小外傷が
 加わって発生する使いすぎ(オーバーユース)症候群である。

Ⅱ.スポーツ傷害の予防
・一般にスポーツ傷害は、不可抗力による場合よりも、
 予防可能な場合が多い。
・そこで、基本的な予防対策として以下のような事項が考えられる。
(1)身体的、精神的なコンディショニング
(2)自己能力の認識
(3)オーバートレーニングの回避
(4)ウオーミングアップ、クーリングダウンの実施
(5)ルール順守
(6)粗暴なプレーの禁止
(7)設備、用具の点検整備
(8)環境、気象状況の把握
(9)スポーツの繰り返しによる運動器系への配慮

Ⅲ.救急処置
・救急処置は傷害部位に対して、傷害組織の二次的拡大の防止と、
 炎症反応を最小限にくい止めるための必要不可欠な方法である。
。その方法としてRICEの処置がある。
①R(rest)— 安静
②I(icing)— 冷却
③C(compression)— 圧迫
④E(elevation)— 挙上

Ⅳ.スポーツ医学における鍼灸の目的
・主にオーバーユースによるスポーツ障害に対し、障害部位の
 鎮痛、循環改善、機能回復を図り、障害が起こりにくくすることが
 主目的となる。

Ⅴ.鍼灸と併用する療法
(1)テーピング
①テーピングの目的
・障害の再発予防、捻挫などスポーツ外傷の発生予防、
 軽度傷害の応急処置(圧迫・固定)。
②テーピングの効果
・腱や靱帯の補強で過度の外力による関節の異常な動きを制限する。
・スポーツ外傷の応急処置においては腫脹の抑制、
 圧迫による痛みの軽減と選手の精神的な安心感。
(2)ストレッチング
・反動をつけず、静かに痛みのでない範囲で、
 一定時間伸張姿勢を維持する。
・特に、自分の力で、静かに痛くない範囲で一定時間伸張姿勢を
 維持する方法(スタティックストレッチング)が安全で効果も
 大きい。

第2節 スポーツ外傷、障害の実際

★ インピンジメントとエントラップメント
(1)インピンジメント(衝突)症候群
・水泳肩、野球肩、腸脛靱帯炎など
(2)エントラップメント(絞扼性)症候群
・足根管症候群、モルトン病、手根管症候群、肘部管症候群、
 尺骨神経管(ギオン管)症候群
※モルトン病
・第3・4中足骨頭の間でおこる絞扼性症候群。

Ⅰ.運動性肩関節痛(野球肩)
(1)概要
①投球動作に伴う痛みを主症状とする障害をいう。
 上腕二頭筋長頭腱炎が最も多い。
②投球動作は、コックアップ(手関節伸展、肘関節屈曲、回内位、
 肩関節外転、最大外旋、後方分回し肢位)の位置から、
 加速期、球のリリース、フォロースルー期と続き、
 加速期の動作による障害が多い。
③コックアップから加速期において、肩の前方要素は過緊張を
 強いられるとともに、棘上筋腱板と上腕二頭筋長頭腱が
 衝突(インピンジ)し障害を生ずる。
④リリースの後は、肩は内旋内転しつつ、遠心力で引っ張られる。
 加速期からフォロースルー期は、肩の後方要素が障害されやすい。
(2)診察
①前方の障害
・肩峰下滑液包、三角筋下滑液包、上腕二頭筋長頭腱、
 棘上筋腱などの障害
②後方の障害
・棘下筋腱、小円筋腱、三角筋の後部線維、
 上腕三頭筋長頭腱などの障害
③検査法
・肩関節痛のページを参照
(3)治療法
・使い過ぎ症候群による場合、患者の理解、長期間機能訓練、
 治癒後の手入れが必要である。
・痛みがある間は、投球の禁止、局所の安静を命じ、
 安静期間にストレッチを行い筋線維の短縮を防ぐ。
・また、等尺性運動を行い筋力低下の予防・増強を図る。
①マッサージ
・急性期の炎症が強い場合、施術を避けアイスパックなどで
 鎮痛・消炎に努める。
・急性期を過ぎた後、肩関節の運動に関与する三角筋、腱板を
 構成する諸筋(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)、
 上腕二頭筋・上腕三頭筋などに軽擦、揉捏法、強擦法を施す。
・特に強擦法は腋窩や肩関節周辺に行うとよい。
・肩関節の運動法を加える他、温浴、ホットパックを併用する。
②鍼灸
・三角筋:臑会、臑兪、肩貞、肩、肩
・上腕二頭筋:結節間溝部、天府、侠白、天泉
・棘上筋:曲垣、秉風、天
・僧帽筋:肩井、肩外兪
・広背筋:腎兪、志室
・その他:肩関節周囲の運動痛、圧痛部位、硬結部位など
(4)予防
①投球前の施術、ウォーミングアップ、各方向へのストレッチ。
②投球後はしばらく肩を自然に冷やした後、約15分間アイシング。
③筋肉の過緊張の除去、循環改善、除痛の目的でマッサージや
 鍼灸治療を施す。
④不幸にして障害に陥った場合、十分な休養と治療を施す。
・その際、回復過程にあったプログラムに基づき理療施術や
 リハビリテーションを行う。

【備考】肩関節に起こりやすいその他のスポーツ傷害
①水泳肩
・クロールや背泳などで起こる。
・棘上筋腱、上腕二頭筋腱の肥厚と、烏口肩峰靱帯
 肩峰とのインピンジメント。
②肩関節脱臼:
・柔道、ラグビー、アメフトなどの接触競技で起こることが多い。
・前方脱臼(上腕骨頭が関節包を破り前方に脱臼)が大半を占める。
・整復固定後の後療法として理療施術を行う。

Ⅱ.運動性肘関節痛(テニス肘)
(1) 概要
①バックハンドテニス肘(上腕骨外側上顆炎)
・バックインパクトでボールに加わる衝撃が、前腕伸筋腱付着部に
 ストレスを生み出す。
・この反復で前腕の伸筋腱付着部(総指伸筋、短橈側手根伸筋の
 付着する上腕骨外側上顆)に軽度の断裂や炎症を生じる。
・特に初心者などに多い。
・上腕骨外側上顆に圧痛が出現する他、バックハンドストロークの
 たびに痛みを発現する。
・しかし、橈骨頭や外側関節裂隙には圧痛がない場合が多い。
・理学的検査法としては、コーゼンテスト(トムゼンテスト、
 チェアアップテスト、ミルテスト、中指伸展テストなどが
 陽性となる。
※ミルテスト
・患者を前腕回内、手関節掌屈位にさせる。検者は肘関節を固定し、
 もう一方の手で回内掌屈方向に抵抗をかけ、患者にその抵抗に
 うちかつように回外させる。外側上顆に痛みが出れば陽性。
②フォアハンドテニス肘(上腕骨内側上顆炎)
・サーブアップによる負荷が前腕の屈筋群を経て肘に加わることが
 原因と考えられ、特に熟練者に多い。
・上腕骨内側上顆から前腕屈筋群の圧痛や運動痛、
 肘関節伸展時痛や肘関節の運動制限が診られる。
・理学的検査としては、手関節掌屈テスト、グリップてすと、
 逆トムゼンテストなどが陽性となる。
(2)治療法
①マッサージ
・いずれのテニス肘であるか鑑別する。
・急性期で炎症が有る場合は患部の施術を避け、誘導的に
 頸肩背部の施術にとどめる。
・患部へはアイスパックなどして安静(R)につとめ炎症を抑える。
・急性期を過ぎた後、前腕部の諸筋に軽擦・揉捏法を施す。
・肘関節付近には入念に強擦法を施す。
・バックハンドテニス肘では短橈側手根伸筋の変性が主となるため、
 その部への施術は重要である。
・併用療法として超音波療法、極超短波療法を加えたり、
 補助的にストレッチを施す。
②鍼灸
・上腕骨外側上顆:曲池、中
・肘頭:天井
・肘窩:尺沢、曲沢,
・前腕伸筋群:手三里、四涜、外関、陽池
・上腕骨内側上顆:少海、小海
・前腕屈筋群:孔最、門、内関、大陵
・その他:肘関節周囲の運動痛、圧痛部、硬結部など
(3)予防
①プレー前後に肘から肩にかけてストレッチングを行う。
②毎日はプレーしない。
③自分の年齢と技術を考慮してプレーする。
④テニス用具を調整する。
⑤少しでも異常を感じたらプレーをやめアイシングを行う。
⑥平素から筋肉の柔軟性を目的に理療施術や温熱療法で
 循環改善を図り、ストレッチングや筋力強化をしやすくしておく。

【備考】肘関節に起こりやすいその他のスポーツ傷害
①野球肘
・成長期の子供に多い。
・反復する投球動作で起こり、障害は主に加速期に原因がある。
・この時期には、内側部に牽引力が働き、外側部には圧迫力が
 生じるからである。
・障害は内側部に多く、進行するとX線像で骨端線の離開像が
 得られる。
・外側部の障害では、離断性骨軟骨炎を起こすことがある。
②ゴルフ肘
・特に内側上顆炎が多い。
③肘関節脱臼
・柔道や相撲などで投げられた時や、手首を急に引っ張られた時に
 起こる。

Ⅲ.運動性腰痛
(1)概要
①スポーツに伴う腰痛の原因となるもの
・腰部捻挫、腰椎分離症、辷り症、腰椎椎間板ヘルニア、
 腰部打撲、棘上棘間靱帯断裂、棘突起骨折、横突起骨折、
 腰部椎体圧迫骨折、腰部椎間関節症など。
②スポーツによる腰部の酷使で、腰部軟部組織に加わるストレスの
 繰り返しによる瘢痕形成、局所の循環障害、更に筋萎縮による
 筋拘縮を引き起こし、脊柱機能の代償不全が起こり、
 難治性傷害となる場合が多い。
(2)傷害の予防
・正しい姿勢を保持する。
・肥満を避ける(腰椎前弯の増大防止)。
・同じ動作を繰り返さない。
・スポーツの後はストレッチを行う。
・筋力強化、柔軟性の増大を図る。
・正しい姿勢保持には適当な骨盤傾斜が必要なため、腹筋と背筋の
 強化、下肢筋力強化、身体の柔軟性の維持発展が重要。
(3)治療
①マッサージ
・競技前には、腰殿部から下肢後側に軽擦や軽めの揉捏、
 各筋のストレッチを行う。
・競技後には、鎮痛や筋疲労の除去を目的に脊柱起立筋、殿部、
 下肢後側の揉捏や圧迫法を行う。
・大腿四頭筋や腸腰筋のストレッチを入念にする。
・筋膜の痛みには患部に結合織マッサージを行う。
②鍼灸
・競技後や中間日に鎮痛、筋緊張や筋疲労の除去、
 コンディショニングなどの目的で施術する。
・腰部局所や下肢後面の反応点に刺鍼する。
・筋膜に痛みや硬結のあるものは、前処置として温熱療法を行い、
 患部に散鍼を行う。

Ⅳ.運動性膝関節痛
(1)ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)
・ジャンプやランニングの着地時のショックは、大腿四頭筋、
 膝蓋骨、膝蓋靱帯、脛骨粗面へ続く縦の線によって吸収されるが、
 これを頻繁に繰り返す競技では、この線に負担が掛かり過ぎ、
 膝蓋骨下端を中心に疼痛を主症状とした膝蓋靱帯炎を発現する。
・病変は膝蓋靱帯の膝蓋骨の付着部にかかる牽引力が原因となり、
 靱帯を形成している膠原線維小断裂を招き、それが修復機転と
 合わさり自発痛、圧痛、腫脹、握雪音などを起こす。
・障害を起こしやすい競技はバスケ、バレー、長距離走など。
・広義のジャンパー膝は、膝蓋骨周囲の大腿四頭筋腱、外側広筋、
 内側広筋の付着部周辺に生じた疼痛性疾患も含んでいる。
(2)診察
・罹患しやすい素因は、膝蓋骨の過移動性、オスグッド病、
 外反膝、脛骨の外捻、O脚、X脚など。
・診察所見は、膝蓋骨下端部に限局した圧痛、自発痛、運動痛。
・腹臥位で膝関節を強く曲げると、痛みからの逃避で股関節を
 屈曲させる(尻上り現象)。
(3)治療法
・障害の程度によって治療法は異なるが、一般的には
 一時的に運動を休止させ患部の安静を図ることが第一。
①マッサージ
・大腿部、特に大腿四頭筋を中心に軽擦・揉捏法を入念に施し
 筋疲労の回復を図る。
・その後、補助的に大腿内側、外側、後側にも施術する。
・膝関節部への施術は疼痛、腫脹が消失してから始める。
・その際、膝蓋骨周囲の母指強擦法を中心に施術し、
 膝蓋骨を手掌で軽く圧迫しての上下左右への移動を行う。
・症状の回復度をみながら膝関節の運動法を行う。
②鍼灸
・膝蓋靱帯:犢鼻、内膝眼、外膝眼
・大腿四頭筋:血海、梁丘
・脛骨外側:足三里、陽陵泉
・脛骨内側:陰陵泉(鵞足部:縫工筋、薄筋、半腱様筋停止部)
・その他:膝蓋骨周囲、大腿四頭筋。
(4)予防
・膝蓋靱帯にかかる負担を軽減するために、運動前後に
 必ずストレッチングを行う。
・ジャンパー膝の場合、いきなりランニングによる
 ウォーミングアップをせずに、下肢以外の部位から
 使うようにして体温を上げて大腿四頭筋の伸展性をよくする。
・練習後直ちにアイシングにより、そのリバウンドで血流を良くし、
 組織の修復を早める。
・ジャンパー膝になりやすい素因のO脚、X脚などがある場合、
 ヒールウエッジを使用して矯正を図る。
・理療施術によって、大腿四頭筋の過緊張の緩和と膝関節周辺の
 循環を促進させて、疲労の回復を早期に解消し障害発生への
 予防を図る。

【備考】膝関節に起こりやすいその他のスポーツ傷害
①膝蓋軟骨軟化症
・ランニングによる膝の屈伸に伴い下腿が大腿骨に対して内外旋を
 繰り返すことにより、膝蓋大腿関節に摩擦が起こることによって
 生じ、X脚の人に多い。
・四頭筋強化が有効(膝蓋骨引き下げテスト「クラークスサイン」)
※ランナー膝といわれるものの定義には様々な解釈があり、
 腸脛靱帯炎、膝蓋靱帯炎、膝蓋軟骨軟化症をランナー膝と
 称しているものもある。
②腸脛靱帯炎
・平泳ぎや中距離ランナーに多く、膝関節屈曲、伸展の反復により
 腸脛靱帯と大腿骨外側上顆との間のインピンジメントである。
・O脚の人に多い。階段を降りる時など、膝を半ば曲げた姿勢で
 痛みが出るのが特徴。グラスピングサイン陽性。
・大腿内側の筋力強化が有効。理療施術は大腿筋膜張筋や
 腸脛靱帯に行う。
※平泳ぎ膝は、内側側副靭帯と脛骨とのインピンジメントであると
 する見解もある。
③半月板損傷
・バスケット、バレー、卓球、スキーなどで急に止まったり
 方向転換した時に起こることが多く、内側半月板に多い。
・マクマレーテストや押しアプレーテスト陽性、痛みと共に
 膝のロッキング(嵌頓)現象やクリック音などを呈すことが多い。
④靱帯損傷
・相撲や柔道などの格闘競技でみられる。
・側副靱帯損傷は内側側副靱帯損傷が多い。
・圧痛点は内側の大腿骨付着部。ストレステスト、引きアプレイ陽性。
・十字靱帯損傷は急激な疼痛と腫脹がある。
・前十字靭帯損傷では内側半月板損傷を合併することが多く、
 引き出し現象がみられラックマンテストなどが陽性となる。
※ラックマンテスト
・仰臥位をとらせ膝伸展位から20°程度屈曲させ、下腿を前方に
 引き出す操作をする。
・そのとき脛骨粗面が膝蓋骨より前に飛び出す。
⑤オスグッドシュラッテル病
・小学校高学年から中学校に欠けて、比較的激しいスポーツをする 男子に多い。
・骨の発育に筋の発育が追いつかないために起こるもので
 脛骨粗面から骨片が剥離するものである。
・成長とともに脛骨粗面の膨隆を残し治癒する。

Ⅴ.運動性下肢痛
・脛骨骨折、打撲、急性コンパートメント症候群、アキレス腱断裂、
 腓腹筋肉離れ、疲労骨折、シンスプリント(疲労性骨膜炎)、
 アキレス腱炎、慢性コンパートメント症候群などがある。

1.アキレス腱炎
(1)概要
・アキレス腱はあらゆる運動において主動作筋として作用し、
 かつ運動量の増加と共に負担が大きくなる。
・そのため、 次第に柔軟性が低下し、そこへ急激な伸展が
 掛かったとき、小断裂や腱膜に炎症を起こす。
(2)診察
・初期は運動開始時痛が特徴で、少し運動を行って温まってくると
 痛みが軽くなるのが特徴。
・進行すると運動開始時だけでなく、起床時や歩行時にも
 痛みを発現する。
・圧痛は、初期にはないが、進行するとアキレス腱付着部や
 距骨にもみられる。
・腫脹は初期にはないが、進行すると次第に腱全体にみられ、
 腱と皮膚との間にギシギシという握雪音がある場合がある。
・比較的初期より、足関節の背屈制限がみられる。
※アキレス腱断裂との鑑別
・アキレス腱周囲の疼痛は、アキレス腱炎では底背屈で移動しないが、
 部分断裂では底背屈で疼痛部位が移動する。
・アキレス腱断裂では、つま先立ち不能、足関節の底屈制限、
 アキレス腱部の陥凹がみられ、トンプソンテストは陽性 となる。
(3)治療法
・初期は安静にさせ、炎症が強い場合はアイシングをする。
・消炎後に施術することを原則とする。
①マッサージ
・下腿三頭筋に対して、軽擦・揉捏・圧迫法の順に施術を始める。
・特に、揉捏法を中心に筋の過緊張の緩解を図る。
・但し、圧痛・腫脹のある急性期には、アキレス腱への
 直接の施術は避ける。
・急性期を経過した後、強度に注意しながらアキレス腱への強擦を
 はじめ、足関節の運動法を行い柔軟性を高める。
②鍼灸
・腓腹筋:承筋、承山
・ヒラメ筋:飛陽、築賓
・アキレス腱:崑崙、太谿
・その他:疼痛部位
(4)予防
・スポーツ前後、特に運動後の下腿後側筋群のストレッチング。
・理療施術によって下腿筋群の柔軟性を維持し、運動しやすい状態を
 作りだし筋力強化を図る。
・衝撃吸収に優れたシューズを使用し、腱への負担を軽減する。

2.コンパートメント症候群
・急性は打撲等で発症するもので、骨・筋膜・筋間中隔により
 囲まれた区画(コンパートメント)の内圧が上昇し循環不全が
 起こり、その結果、筋・腱・神経に障害が起こり、組織の
 壊死・神経障害をきたすスポーツ外傷である。
・激痛を伴い12時間以内に処置が必要とされ、下腿筋に多い。
・慢性コンパートメントの疼痛は、数分の安静で軽減し、
 スポーツをすると再発する。
・理療施術は、下腿部や足部の反応点に一般マッサージや散鍼、
 軽い雀啄などを行う。

3.シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
・後脛骨筋などが付着する脛骨後内側におこる炎症で、
 脛骨下1/3付近の後内側に圧痛がみられるのが特徴。
・長距離走、バレーボールなどの競技で多くみられる。
・施術は競技前後に脛骨内縁の圧痛部を中心に手掌軽擦、
 四指揉捏、結合織マッサージなどを行う。
・関節の柔軟性を高めるため、足関節の運動法やストレッチを行う。
・刺鍼は、三陰交、漏谷、交信、照海などに軽い雀啄。

4.下腿骨の疲労骨折
・オーバーユースによるもので脛骨、腓骨、足根骨に多い。
・シンスプリントが高じて起こるものが多く、これは
 脛骨下部にみられる。
・自発痛はないが運動痛があり、骨折局所に著明な圧痛がある。
・骨折直後はX線でも確定が難しいが、時間の経過と共に
 X線検査で異常がみられるようになる。

5.足関節捻挫
・内反捻挫が多い。
・捻挫は程度により第1~3度に分けられる。
・1度は関節周囲の炎症症状のみの軽傷、2度は靱帯の一部損傷を
 伴う中等傷、3度は靱帯の断裂を伴う重傷のもので手術が必要な
 場合もある。
・理療施術は急性期は患部は冷却・固定を行い、施術は誘導目的で
 下腿に施術する。
・炎症が消退したら、足関節部に軽擦・強擦・腱移動法などの
 関節マッサージや圧痛点への刺鍼、施灸などを加える。

6.足底筋膜炎:長距離選手に多い。

Ⅵ.肉離れ
①受傷部位と競技
・ハムストリングス:短距離、中距離選手
・大腿四頭筋:長距離選手、サッカー、ラクビー
・下腿三頭筋:相撲、長距離選手
・腹直筋:バレーボール
・内転筋:体操、ジャズダンス
②機序
・筋の急激な過伸展、繰り返し加わる筋への小外傷、
 拮抗筋のアンバランス、不正確な神経支配。
③症状
・受傷時の患部の異常音、皮下出血、疼痛
④治療
・肉離れの後遺症に受傷部が結合組織化する化骨性筋炎があり、
 この予防には炎症が取れるまでアイシングを十分行うことが必要。
・理療施術は炎症がある程度消失してから、患部に揉捏や
 散鍼などを行う。





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